(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のスポークの少なくとも一部分は、穿刺のための貫通孔へのアクセスを容易にするために、スポーク状のディスクの平面から外れるように曲げることができ、そして1つまたはそれ以上の被検体センサの位置を変えることを可能にする、請求項1に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0015】
組織貫入デバイスの組織貫入要素がランセットである穿刺デバイスなどの既存の組織貫入デバイスを用いると、角質層を含む皮膚の厚さおよび表皮の水和の変動により、異なる使用者間で異なる結果が生じる可能性がある。多くの現在のデバイスは、ランセットの貫入の深さを制御するために、調整可能な機械的止め具または制動に依拠する。
【0016】
ばね駆動式とカム駆動式の両方の組織貫入デバイスに対する変位速度プロファイルを、それぞれ
図1および
図2に示す。ランセットの変位Xに対する速度を示す。
図1は、ばね駆動式デバイスに典型的な変位/速度プロファイルを表す。ランセット出口速度は、ランセットが皮膚10の表面に当たるまで増大する。皮膚は引っ張り特性のために屈曲または変形し、その後ランセット先端部が表面20をカットすると、ランセットは皮膚に貫入し、その後完全停止30に到達する。この時点で、変位は極大になって貫入の限界に到達し、ランセットは停止する。機械的止め具は、ドライバからの余分なエネルギーを吸収してランセットへ伝達する。ばねの中に蓄積されたエネルギーは反跳を引き起こし、
図1でコイル状のプロファイルによって見られるように複数の突刺を生じさせる可能性がある。この結果、追加の組織貫入ならびに皮膚への振動エネルギーの伝達および神経終末の刺激により、不要な痛みが生じる。次いでランセットは後退し、皮膚40から出てハウジング内へ戻る。このタイプのばね式ドライバの場合、速度を有意義に制御することはできない。
【0017】
図2は、カム駆動式ドライバに対する変位/速度プロファイルを示す。このプロファイルは、
図1のものに類似しているが、カム構成では復路が指定されるため、1回の作動から複数の組織貫入が生じる可能性はない。カムに基づくドライバは、ランセットの速度と変位の関係をある程度制御することができるが、多くの所望の変位/速度プロファイルを実現するには十分ではない。
【0018】
電磁エネルギーによって動力供給されるドライバなど、ランセットを駆動するように制御可能な押込みドライバを利用することによって、利点が実現される。制御可能なドライバは、
図3に示すものなど、所望の速度対位置のプロファイルを実現することができる。本発明の実施形態は、貫入の深さを正確に制御してランセット貫入および撤退速度を制御し、したがって皮膚に切り込むときに知覚される痛みを低減させる能力を可能にする。本発明の実施形態は、ランセットへ送達される電力を制御するために位置センサとともにフィードバック・ループで使用できる制御可能なドライバを含み、それによって、皮膚の厚さの変動を補償するように速度および変位プロファイルを最適化することができる。
【0019】
痛みの低減は、ランセットの素早いカッティング速さを使用することによって実現することができ、これは軽量のランセットを使用することによって容易になる。素早くカットすると、効率的なカッティングのために皮膚が圧縮されることに加えて、ランセットが皮膚に衝撃を与えるときに生じる衝撃波が最小になる。制御可能なドライバが使用される場合、機械的止め具の必要をなくすことができる。ランセットが非常に軽量であり、機械的止め具がないため、カッティング中に指へ伝達される振動エネルギーはほとんどまたはまったくない。
【0020】
図1および
図2に速度対位置のプロファイルが示されている穿刺デバイスなどの穿刺デバイスは典型的には、50%の自然発生的な血液をもたらす。さらに、穿刺事象の中には、指を搾出した場合でも、失敗したり、血液を生じないものもある。自然発生的な血液小滴の生成は、毛細血管および細静脈に到達することに依存し、それによって血液サンプルが得られる。したがって、カッティング・デバイスの貫入の深さが正しいかどうかが問題である。皮膚の厚さおよび水和の変動のため、いくつかのタイプの皮膚はカッティングが開始する前により大きく変形し、したがって実際の貫入の深さはより小さくなり、その結果、毛細管および細静脈のカット部もより小さくなる。制御可能な押込みドライバを用いると、ランセットの貫入の深さを制御することができ、したがって血液採取の自然発生性を高めることができる。さらに、制御可能な押込みドライバを使用することで、ランセットをゆっくりと(カッティング速度よりも遅く)後退させることが可能になり、その結果、創傷チャネルが開いたままになり、血液が皮膚の表面へ自由に進むことができるため、成功率を改善することができる。
【0021】
自然発生的な血液採取は、カットされた血管からの血液が創傷路を皮膚の表面まで流れるときに生じ、この血液を皮膚の表面で収集して検査することができる。組織の弾性パラメータによって、後退しているランセットの後ろで創傷路を強制的に閉じることで、血液が表面に到達するのを防止することができる。しかし、創傷路からランセットをゆっくりと撤退させ、したがって創傷を開いたまま保つ場合、ランセットが撤退している間に、血液は開いたチャネルを流れてランセットの先端部を越える(
図10および
図11参照)。したがって、創傷に出入りするランセット速度を制御する能力により、デバイスが皮膚の厚さの変化および皮膚の水和の変動を補償することを可能にし、それによって、痛みを最小にしながら、最大の成功率で自然発生的な血液採取を実現する。
【0022】
ランセットに電磁ドライバを直接連結することができ、それによってランセットの質量を最小にし、ドライバは機械的止め具を使用することなくランセットを所定の深さで停止させることが可能になる。別法として、積極的な位置決めのために機械的止め具が必要な場合、止め具へ伝達されるエネルギーを最小にすることができる。電磁ドライバにより、ランセットの開始時間の調整、ランセット位置の追跡、ランセット速度の測定、遠位止め具の加速度の制御、および皮膚貫入深さの制御を含む穿刺方法全体の速度対位置のプロファイルに対するプログラム可能な制御が可能になる。
【0023】
図4を参照すると、組織貫入デバイスの一実施形態が示されている。組織貫入デバイスは、ランセットを駆動するために使用できる電磁ドライバ形の制御可能な押込みドライバを含む。ランセットという用語は、本明細書では全体として、血管をカットして血液が皮膚の表面まで流れるようにする目的で皮膚を穿刺するために使用される任意の鋭利なまたは鈍い部材を含み、好ましくは比較的低い質量を有する。電磁ドライバという用語は、本明細書では全体として、電気または磁気誘起による力を受けてランセットなどの組織貫入要素を動かしまたは駆動する任意のデバイスを含む。
図4は、電磁ドライバの一実施形態の部分分解図である。ドライバの上半分は、組み立てた状態で示す。ドライバの下半分は、例示の目的で分解された状態で示す。
【0024】
図4は、例示の目的で、定置ハウジングまたはPC基板20から分離された内側絶縁ハウジング22、ならびに内側絶縁ハウジング22から分離されたランセット24およびフラグ26のアセンブリを示す。さらに、内側絶縁ハウジング22に取り付けられてPC基板20から分離されたリベット18が4つだけ示されている。一実施形態では、PC基板20および30内に位置するPC基板内の各コイル駆動界磁鉄心が、リベットによって内側絶縁ハウジング22および32に連結される。
【0025】
電磁ドライバは、近位または駆動端部に取り付けられたランセット24および透磁性のフラグ26を有するランセット・アセンブリを備える可動部材と、フラグにかかるあらゆる横方向の合力を低減または排除するように均衡のとれた電界をフラグで生じさせるように配置された電界コイルを有する定置ハウジング・アセンブリを備える定置部材とを有する。電界コイルは概して、1つまたはそれ以上の金属コイルであり、コイルに電流が流れると磁界を生成する。鉄フラグは、平坦なまたは引き延ばした磁気材料片であり、ランセット・アセンブリの表面積を増大させて、ランセットの近位端部と電界コイルの磁界との間で生成される磁力を高める。ランセットと鉄フラグを組み合わせた質量を最小にすることで、患者の皮膚内へ導入するための急速な加速を容易にして、ランセットが皮膚の中で停止したときの衝撃を低減させ、またサンプリング・サイクル全体にわたって迅速な速度プロファイルの変化を容易にすることができる。
【0026】
定置ハウジング・アセンブリは、PC基板20、下部内側絶縁ハウジング22、上部内側絶縁ハウジング32、上部PC基板30、およびリベット18からなり、これらが単一のユニットとして組み立てられている。下部内側絶縁ハウジング22および上部内側絶縁ハウジング32は、解放されるとスロットを形成し、その結果、ランセット・アセンブリは、ランセットの前進および後退方向に対して垂直な側面から、ドライバ・アセンブリ内へ摺動することができる。これにより、交換中の偶発的なランセットの発射を回避しながら、ランセット・アセンブリを処分し、定置ハウジング・アセンブリを別のランセット・アセンブリとともに再利用することが可能になる。
【0027】
上部定置ハウジング20および下部定置ハウジング30内の電界コイルは、多層のプリント回路(PC)基板内で製作される。これらの電界コイルはまた、従来の巻線コイルとすることができる。下部内側絶縁ハウジング22および上部内側絶縁ハウジング32を構築するために、Teflon(登録商標)材料または他の低摩擦性の絶縁材料が使用される。各絶縁ハウジングがPC基板上に取り付けられ、電気的絶縁および物理的保護、ならびにランセットに対する低摩擦性の案内を提供する。下部内側絶縁ハウジング22および上部内側絶縁ハウジング32は、小さい間隙を有する基準表面を提供し、その結果、良好な磁気結合のためにランセット・アセンブリ24および26とPC基板内の駆動電界コイルとを位置合わせすることができる。
【0028】
リベット18は、下部内側絶縁ハウジング22と下部定置ハウジング20を連結するものであり、フェライトまたは鋼鉄などの透磁性材料から作られており、磁界を集束させる働きをする。これは、上部内側絶縁ハウジング32および上部定置ハウジング30の構造を模倣している。これらのリベットは、電界コイルの極を形成する。PC基板は、複数のコイル層または複数の基板によって製作される。各層は、中心孔の周りの螺旋状のトレースを支持する。交互の層が、中心から外方へ、または縁部から内方へ、螺旋状をなす。このようにして、各層は簡単な貫通孔を介して連結し、電流は常に同じ方向に進んで合計がアンペア回数になる。
【0029】
下部定置ハウジング20および上部定置ハウジング30内のPC基板は、リベット18によって下部内側絶縁ハウジング22および上部内側絶縁ハウジング32に連結される。下部内側絶縁ハウジング22および上部内側絶縁ハウジング32は、ランセット・アセンブリ24および26が進むスロットの両端部で、リベット・ヘッドを露出させる。各リベットからの磁界線は、リベット・ヘッドで磁極を生じさせる。下部定置ハウジング20および上部定置ハウジング30のそれぞれの中でPC基板の反対側に位置する鉄バーが、リベットを連結することによって磁気回路を完成させる。リベットの代わりに、鉄または鋼などの透磁性材料から作られた任意の締め具を使用することもできる。リベット/ねじおよび鉄バーのアセンブリの代わりに、透磁性材料から作られ、馬蹄状に形成された単一の構成要素を使用することもできる。動作の際には、ランセット24に取り付けられた透磁性のフラグ26は、スリットとバー34に分割される。スリットのパターンは互い違いに配置され、その結果コイルは、フラグ26を2つ、3つ、またはそれ以上の位相で駆動することができる。
【0030】
下部PC基板20と上部PC基板30はどちらも駆動コイルを収容し、その結果、フラグ26の上下に対称の磁界が生じる。この1対のPC基板に電源が投入されると、フラグ26上の透磁性の鉄のスリット間で、バーの周りに磁界が確立される。フラグのバーは、磁界線の数および長さを最小にして磁極間の磁界線を伝導する位置へ透磁性材料を動かす傾向のある力を受ける。
【0031】
フラグ26のバーが磁極のリベット18間で中心に位置するときは、フラグに合力がかからず、磁界内の不均衡によって、妨害するあらゆる力に耐える。デバイスのこの実施形態は、ソレノイドのものに類似の原理で動作する。ソレノイドは鉄に反発して押し進むことはできない;ソレノイドは鉄を最小エネルギー位置内へ引き付けることによって引くことしかできない。フラグ26の片側のスリット34は、極のピッチの約2分の1だけ反対側に対してずれている。PC基板の各側のコイルを交互に起動することによって、定置ハウジング・アセンブリに対してランセット・アセンブリを動かすことができる。進行方向は、ランセット・アセンブリ上の金属フラグに隣接するコイルに選択的に通電することによって確立される。別法として、4分の1ピッチだけずらした3相3極設計またはくま取りコイルも、この進行方向を確立する。
図4に示す下部PC基板20および上部PC基板30は電界コイルを収容しており、電界コイルは、電磁ドライバ全体を制御するようにランセット・アセンブリおよび回路を駆動する。
【0032】
上記の実施形態は概して、一般に入手可能な円形のステッパ・モータ(Hurst Manufacturing BA Seriesモータ、または非特許文献1)に類似の磁気吸引駆動の原理を使用する。これらの参考文献は、参照によって本明細書に組み入れる。他の実施形態は、磁界の変化を使用してランセット・アセンブリ内に電流を誘起する線形誘起駆動を含むことができる。これらの誘起された電流は2次磁界を生じさせ、2次磁界は1次磁界に反発して、ランセット・アセンブリに合力を加える。線形誘起駆動は電気駆動制御を使用し、それによって磁界を極から極へ掃引してランセットをその前へ推進させる。駆動電圧および周波数を変えることによって掃引の速度および磁界の大きさを変動させることで、ランセット・アセンブリに加わる力およびその速度を制御する。
【0033】
また、磁束を集束させるようなコイルおよびリベットの配置は誘起設計にも当てはまり、磁界内の電流がオンに切り換わると大きくなる磁界を生じさせる。この大きくなる磁界は、導電フラグ内で反対の電流を生じさせる。線形誘起モータ内では、フラグは導電性を有しており、その磁気特性は重要でない。導電フラグに使用できる材料は、銅またはアルミニウムである。概して、導電性が良好であるために銅が使用される。反対の電界は、コイルの磁界に反発する反対の磁界を生じさせる。コイルの電力の位相を調整することによって可動電界を生成することができ、それによってコイルの同期速度よりわずかに遅い速度でフラグを押すことができる。掃引速度を制御し、複数の掃引を行うことによって、フラグを所望の速度で動かすことができる。
【0034】
図5は、直流(DC)電源を使用してランセット・アセンブリに取り付けられた鉄心またはスラグを駆動することが可能なソレノイド型の電磁ドライバの別の実施形態を示す。電磁ドライバはドライバ・コイル・パックを含み、ドライバ・コイル・パックは、ランセットの経路に沿って3つの別個のコイル、すなわち2つの端コイルおよび1つの中間コイルに分割される。コイルへ流れる直流電流を交番させて、ランセットを前進および後退させる。3つのコイルを有するドライバ・コイル・パックを示すが、任意の適した数のコイルを使用することができ、たとえば4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上のコイルを使用することができる。
【0035】
鉄の定置ハウジング40は、第1のコイル52を有するドライバ・コイル・パックを収容し、第1のコイル52の側面に鉄のスペーサ50が配置され、内径で磁束を集束させて磁極を生じさせる。内側絶縁ハウジング48は、コイルからランセット42および鉄心46を分離して、平滑な低摩擦の案内表面を提供する。ランセット・ガイド44はさらに、ランセット42および鉄心46を中心に位置合わせする。第1のコイル52、中間コイル、および第3のコイルの間で電流を交番させて鉄心46を引き付けることによって、ランセット42を延長および後退させる。コイル順序を逆にして、鉄心およびランセットを再びハウジング内へ引き付けると、ランセットが後退する。ランセット・ガイド44はまた、ランセット42に取り付けられた鉄心46に対する止め具として働く。
【0036】
上記で論じたように、ばねまたはカム駆動方法を用いる組織貫入デバイスは、
図6および
図7に示すように、ランセットの前進および後退に関して対称またはほぼ対称の作動変位および速度プロファイルを有する。大部分の利用可能なランセット・デバイスでは、発射が開始されると、蓄積されたエネルギーにより、エネルギーが放散されるまでの速度プロファイルが決まる。組織内のランセットの衝撃、後退速度、および休止時間を制御することで、皮膚の特性に対応しながら高い成功率を実現し、痛みを最小にすることができることが有用である。組織休止時間は、ランセットが皮膚の表面を穿刺しようとするときの皮膚の変形量、および皮膚の水和に基づく患者間の皮膚の変形の変動に関係することを考慮に入れることによって、利点を実現することができる。
【0037】
速度および貫入の深さを制御する能力は、フィードバックがドライバ制御の一体部分である制御可能な押込みドライバを使用することによって実現することができる。そのようなドライバは、金属もしくはポリマーのランセットまたは任意の他のタイプの組織貫入要素を制御することができる。そのようなドライバの動的制御が、制御された変位プロファイルの一実施形態を示す
図8、および制御された速度プロファイルの一実施形態を示す
図9に示されている。これらの図は、それぞれ調和的なばね/質量式ドライバの変位および速度プロファイルの実施形態を示す
図6および
図7と比較される。
【0038】
ランセットなどの組織貫入要素が組織に入るときに2m/秒より大きい衝撃速度を使用することによって、痛みの低減を実現することができる。
【0039】
細静脈/毛細管網のカッティングに続いて低速でランセットを後退させ、したがって
図10および
図11に示すように、後退中にランセットを使用してチャネルを開いたまま保つことで、血液は創傷路からあふれて表面まで自由に流れることが可能になる。創傷フラップ付近でランセットを低速で後退させることで、創傷フラップがチャネルを封止するのを防止する。したがって、ランセットの後退を遅くする能力は、血液を採取する成功率の増大に直接寄与する。サンプリング成功率を100%付近まで増大させることは、サンプリングと取得を組み合わせて、グルコース検査ストリップを統合する一体型のグルコース・サンプリング・モジュールなどの一体型のサンプリング・モジュールにするのに重要になる可能性がある。
【0040】
図5を再び参照すると、ランセットおよびランセット・ドライバは、ランセットの変位、速度、または加速度に基づいてフィードバック制御が行われるように構成される。実際のランセット経路に関連するフィードバック制御情報は、
図12に示すものなどの処理装置へ戻され、処理装置は、ドライバへのエネルギーを調節し、それによって前進および後退全体にわたってランセットを精密に制御する。ドライバは、直流および交流電流を含む電流によって駆動することができる。
【0041】
図5では、図示の電磁ドライバは、直流(DC)電源を使用してランセット・アセンブリに取り付けられた鉄心またはスラグを駆動することが可能であり、また、鉄心とコイルとの間の磁気結合を測定することによって、鉄心の位置を判定することも可能である。これらのコイルを対で使用して、鉄心をドライバ・コイル・パック内へ引き込むことができる。これらのコイルの1つをオンに切り換えると、隣接するコイル内の対応する誘起電流を監視することができる。この誘起電流の強度は、鉄心によって提供される磁気結合度に関係しており、この強度を使用して、鉄心の位置、したがってランセットの相対的な位置を推論することができる。
【0042】
一定期間後、駆動電圧をオフにすることができ、それによってコイルを弛緩させることが可能になり、次いでサイクルが繰り返される。コイル間の磁気結合度は、比例するDC電圧に電子的に変換され、アナログ/デジタル変換器に供給される。次いで、デジタル化された位置信号は、中央処理装置(CPU)によって処理され、所望の「公称」位置と比較される。CPUは、ソレノイド・コイルへの次の電力パルスのレベルおよび/または長さを設定するために、実際の位置と公称の位置との間の誤差を使用する。
【0043】
別の実施形態では、ドライバ・コイル・パックは、ドライバ・アセンブリ内へ構築された中心駆動コイルと、その側面に位置する平衡検出コイルとからなる3つのコイルを有し、平衡検出コイルは、作動または磁気活性領域を取り囲み、この領域は、行程の中間にある中間コイル上で中心に位置合わせされる。中心コイルに電流パルスが印加されると、隣接する感知コイル内に電圧が誘起される。感知コイルが互いに連結されており、したがって誘起された電圧が互いに対向する場合、その結果得られる信号は、行程の中間からの偏向に関して一方の方向では正であり、他方の方向では負であり、行程の中間ではゼロである。この測定技法は、線形可変作動変圧器(LVDT)内で一般に使用される。ランセットの位置は、2つの感知コイル間の電気的均衡を測定することによって判定される。
【0044】
別の実施形態では、フィードバック・ループにおいて、1215W.Crosby Road、Carrollton、Texas、75006のOptek Technology,Inc.製のOPB703などの市販のLED/光変換器モジュールを使用して、定置ハウジング上の固定モジュールからランセット・アセンブリ上に取り付けられた反射表面または標的までの距離を判定することができる。このLEDは、反射表面へ光ビームを送る光エミッタとして作用し、反射表面は光を再び光変換器へ反射し、光変換器は光センサとして作用する。光変換器によって反射光の強度を測定することによって、4mm程度の範囲の距離が判定される。別の実施形態では、フィードバック・ループにおいて、ランセット軸の透磁性領域自体を、線形可変作動変圧器(LVDT)の鉄心として使用することもできる。
【0045】
透過性領域は、ランセット軸の一部分を選択的に焼鈍することによって、または隣接する感知コイル間の連結を可能にするのに十分な磁気透磁率を有するフェライトなどの構成要素をランセット・アセンブリ内に含むことによって生成される。コイルの寸法、巻線の数、駆動電流、信号の増幅、および透過性領域までの空隙は、設計方法において指定される。別の実施形態では、フィードバック制御によって圧電ドライバに供給し、基本的な変位プロファイル上に高周波振動を重ね合わせる。圧電ドライバは、ランセットが組織内への通路を「のこぎり」で切ることを可能にし、またはランセットの前進する縁部の高周波振動によって生成される空洞化エネルギーで細胞を破壊することを可能にすることによって、カッティング効率を改善し、痛みを低減させる。圧電ドライバへの駆動電力では、デバイスが標的組織と相互作用するときのインピーダンス変化が監視される。その結果得られる力の測定と、ランセットの知られている質量とをつなぎ合わせて使用し、ランセットの加速度、速度、および位置を判定する。
【0046】
図12は、処理装置を使用するフィードバック・ループの動作を示す。処理装置60は、不揮発性メモリ内にプロファイル62を記憶する。使用者は、穿刺事象にとって所望の状況またはパラメータに関する情報64を入力する。処理装置60は、工場での検査によって判定され、または操作者によってプログラムされた、典型的または所望の組織貫入デバイス性能に基づいて、処理装置60内に事前にプログラムされた1組の代替ドライバ・プロファイルから、ドライバ・プロファイル62を選択する。処理装置60は、追加の使用者入力情報64に基づいてプロファイルをスケール変更または修正することによってカスタマイズすることができる。処理装置60は、プロファイルを選択およびカスタマイズすると、増幅器70を介して電源66からランセット・ドライバ68へ送られる電力を変調する準備が完了している。処理装置60は、アナログ/デジタル変換器76を介して位置感知機構74を使用してランセット72の位置を測定する。位置感知機構の例は、上記の実施形態で説明した。処理装置60は、ランセットの実際のプロファイルと所定のプロファイルとを比較することによって、ランセットの動きを計算する。処理装置60は、信号生成器78を介してランセット・ドライバ68へ送られる電力を変調し、信号生成器78は、ランセットの実際のプロファイルが事前設定された誤差限度を超えて所定のプロファイルを超過しないように、増幅器70を制御する。誤差限度は、ランセットの制御の精度である。
【0047】
穿刺事象後、処理装置60は、使用者が穿刺事象の結果を格付けすることを可能にすることができる。処理装置60は、これらの結果を記憶し、個々の使用者に対するデータベース80を構築する。処理装置60は、データベース80を使用して、使用者入力情報64に応じて様々なプロファイル62に対する無痛度、成功率、および血液量などのプロファイル特性を計算し、後の穿刺サイクルのために個々の使用者に対するプロファイルを最適化する。これらのプロファイル特性は、ランセットの前進および後退の特徴的段階に依存する。処理装置60は、これらの計算を使用して、各使用者に対するプロファイル62を最適化する。使用者入力情報64に加えて、内部クロックを用いることで、穿刺事象に対する時間スタンプを生成する時刻および穿刺事象間の時間などの情報を、データベース80内に記憶し、使用者の毎日の必要を予測することが可能になる。データベースは、各使用者および特定の使用者が使用する各プロファイルに対する情報および統計を記憶する。
【0048】
プロファイルを変動させることに加えて、処理装置60を使用して、使用者が必要とする血液量を実現するのに必要である適当なランセットの直径および幾何形状を計算することができる。たとえば、使用者が1から5マイクロリットルの血液量を必要とする場合、処理装置は、これらの結果を実現するために直径200ミクロンのランセットを選択する。各種のランセットに対して、所定の変位および速度プロファイルに基づいて達成可能な血液量の上限および下限に相当する直径とランセット先端部の幾何形状の両方が、処理装置内に記憶される。
【0049】
穿刺デバイスは、より適切に使用者に適合するために、穿刺事象の開始および終了時の情報を使用者に与えることが可能である。その目標は、異なるプロファイルに変更すること、または既存のプロファイルを修正することである。プロファイルが設定されると、前進および後退中、ランセットを駆動する力は、プロファイルに従って変動する。穿刺デバイスを使用するこの穿刺方法は、プロファイルを選択する工程と、選択されたプロファイルに従って穿刺する工程と、穿刺サイクルの各特徴的段階に対して穿刺プロファイル特性を判定する工程と、後の穿刺事象のためにプロファイル特性を最適化する工程とを含む。
【0050】
図13は、所望の変位および速度プロファイルを実現するためにランセット・ドライバがランセットに作用させる力を示す力対時間のグラフ上に、ランセットの前進および後退の特徴的段階の一実施形態を示す。特徴的段階とは、ランセットが長手方向に前進して皮膚に入るランセット導入段階A〜C、ランセットが長手方向の動きを終了してその最大深さに到達し、比較的固定されるランセット静止段階D、およびランセットが長手方向に後退して皮膚から出るランセット後退段階E〜Gである。ランセット後退段階E〜Gの持続時間は、ランセット導入段階A〜Cの持続時間より長く、ランセット導入段階A〜Cの持続時間は、ランセット静止段階Dの持続時間より長い。
【0051】
導入段階は、Aより前にランセットが空気中を皮膚の方へ長手方向に動くランセット発射段階と、Aの開始時にランセットの遠位端部が皮膚に最初に接触する組織接触段階と、水和および厚さに関係する皮膚の弾性に応じて皮膚が屈曲する組織変形段階Aと、ランセットが皮膚上の変曲点に当たって皮膚をカットし始め(B)、ランセットが引き続き皮膚をカットする(C)ときを含む組織穿刺段階とをさらに含む。ランセット静止段階Dは、ランセットが皮膚内へ貫入する限界である。使用者によって変動する変形段階Aおよび変曲点カッティングBの持続時間にかかわらず、特定の貫入深さまで速く穿刺するように、ランセット導入段階A〜Cの持続時間を最小にすることによって、痛みが低減される。変曲点Bからランセット静止段階Dにおける貫入限界までの正確な貫入の深さを測定することによって、成功率が増大する。この測定により、ランセットは常に、または少なくとも確実に、皮膚の表面の下で知られている距離を空けて位置する毛細管床に当たることが可能になる。
【0052】
ランセット後退段階は、皮膚が創傷路からランセットを押し出す1次後退段階Eと、ランセットが撤去され始めて皮膚の反対の方向に引っ張られる2次後退段階Fと、ランセットが皮膚から自由になるランセット退出段階Gとをさらに含む。1次後退は、ランセットが指から引き離されるにつれてランセットを皮膚から引き出すために作用する力が減少する結果である。2次後退は、ランセットを撤去するのとは反対の方向に力を作用させる結果である。血液が創傷路を流れるときに創傷路を開いたまま保つには、制御が必要である。どちらも使用者の皮膚の特性に応じて使用者によって変動しうる1次後退段階Eまたは2次後退段階Fに必要な力にかかわらず、均一の速度を使用してランセット後退段階E〜G中にランセットを後退させることによって、血液量が増大する。
【0053】
図14は、3ファセットの幾何形状を有するグルコース検査用の業界標準ランセットを示す。直径114のロッドを用いて1次軸の平面に対して8度研削し、1次ファセット110を生じさせることで、ランセット116が得られる。次いで、針の軸を15度回転させ、次いで1次ファセットの平面に対して12度回すことによって、2次ファセット112を生じさせる。他の可能な幾何形状には、軸の直径、角度、および並進運動距離などのランセットの作製パラメータを変える必要がある。
【0054】
図15は、痛み、血液量、および成功率を低減させる重要な要因であるファセットの幾何形状120および先端部の幾何形状122、直径124、ならびに深さ126を示す。ランセットによる追加のカッティングは、剪断率または1次ファセットと2次ファセットの比を増大させることによって実現されることが知られており、剪断率の増大とランセット直径の低減とを組み合わせたとき、皮膚の引き裂きおよび貫入力が低減され、認識される痛みがより小さくなる。しかし、血液採取の全体的な成功率はまた、ファセットの存在、ファセットの幾何形状、および皮膚の解剖学的構造を含む様々な要因に依存する。
【0055】
図16は、制御されたランセット後退に対するランセットの変位対時間のプロファイルの別の実施形態を示す。
図17は、
図16の制御された後退に対するランセットの速度対時間のプロファイルを示す。ランセット・ドライバは、ランセットが血管をカットして血液の貯留を可能にするとき(130)と、ランセットが後退する際に、血液が創傷から出るように創傷フラップがチャネルを封止しないように保ちながら、血液が創傷路からあふれるように後退速度を調節すること(132)とを含めて、穿刺サイクルにおけるいくつかの工程でランセットの変位および速度を制御する。
【0056】
血液を皮膚表面へ逃がすように創傷を開いたまま保持するために組織貫入要素をゆっくりと後退させることに加えて、他の方法が企図される。
図18は、ランセット先端部上に収納式コイルを含む本発明の一実施形態の使用を示す。コイル状のつる巻線またはチューブ140が、自由に摺動できるようにランセット116の外部に取り付けられており、その結果、ランセットが皮膚150に貫入すると、つる巻線またはチューブ140はランセット116の軌道をたどる。つる巻線は、ランセットのファセットおよび軸の周りでコイル状の穿刺サイクルを開始する(144)。ランセットが皮膚に貫入すると、つる巻線は、ランセットの周りで創傷路を補強する(146)。ランセットが後退すると、つる巻線は、創傷路を開いたまま補強し続け、創傷路がつぶれて表面の皮膚の口を閉じないようにする(148)。これにより、血液152が貯留し、チャネルを通って皮膚の表面へ流れることが可能になる。次いで、ランセットがつる巻線を引っ張るとつる巻線は後退して圧縮が解除され、つる巻線の直径が創傷路の直径より小さくなると、皮膚から撤去される。
【0057】
チューブまたはつる巻線140は、ステンレス鋼、ニッケル・チタン合金など、血管形成ステントで一般に使用されるタイプのワイアまたは金属から作られる。別法として、チューブもしくはつる巻線140またはリングは、皮膚内に逗留することによって創傷路を補強する生物分解性材料から作ることもできる。生物分解は、血液が貯留して創傷路を流れるのに十分な時間を見越して、挿入から数秒または数分以内に完了する。生物分解は、皮膚からの熱、水分、またはpHによって起動される。
【0058】
別法として、創傷は、ランセットを粉末または他の粒状物質で被覆することによって、開いたまま保持することもできる。粉末は、ランセットが撤退するとき、創傷路を被覆して開いたまま保つ。粉末または他の粒状物質は、チャネルを開いたまま保持しながら血液が多孔質の隙間を通って流れるのを可能にする、粗いミクロスフェアまたはカプセルの層とすることができる。
【0059】
別の実施形態では、2つの部材からなる針を使用して、創傷を開いたまま保持することができ、外側の部材は「U」字状であり、内側の部材は「U」を充填する。創傷を作った後、楓の木から樹液を取り出すために一般に使用される栓のように、内側の針は撤退して、開いたチャネルを残す。
【0060】
図19は、創傷を被覆するエラストマを利用して血液の流れを促す方法およびデバイスのさらなる実施形態を示す。この方法では、シリコンゴムなどのエラストマ154を使用し、指158の表面を覆って引き伸ばすことによって、創傷路156を被覆または補強する。エラストマ154は、穿刺前に指158に取り付けられる。短い遅延後、ランセット(図示せず)は、160に見られるように、指158の表面上でエラストマ154および皮膚に貫入する。162および164に見られるように、エラストマ154が創傷路156を補強する間に、血液は貯留して表面まで上昇することが可能になる。穿刺後の血液採取の成功率を増大させる他の知られている機構は、真空の印加、創傷の吸引、接着ストリップの適用、カッティング中の振動、または第1の穿刺が失敗した場合は第2の穿刺の開始を含むことができる。
【0061】
図20は、組織貫入デバイス、より具体的には組織貫入要素に連結された制御可能なドライバ179を含む穿刺デバイス180の一実施形態を示す。穿刺デバイス180は、近位端部181および遠位端部182を有する。遠位端部182では、ランセット183の形の組織貫入要素が、駆動連結器185によって細長い連結器軸184に連結される。細長い連結器軸184は、近位端部186および遠位端部187を有する。ランセット183より近位で細長い連結器軸184の周りに、ドライバ・コイル・パック188が配置される。細長い連結器軸184の近位部分192の周りには位置センサ191が配置され、導電体194が処理装置193を位置センサ191に電気的に連結する。位置センサ191および処理装置193によって制御されるドライバ・コイル・パック188によって細長い連結器軸184が駆動されることで、制御可能なドライバ、具体的には制御可能な電磁ドライバが形成される。
【0062】
図21を参照すると、部分的な長手方向の断面において穿刺デバイス180をより詳細に見ることができる。ランセット183は近位端部195および遠位端部196を有し、ランセット183の遠位端部196には鋭利な先端が位置し、ランセット183の近位端部195には駆動ヘッド198が配置される。駆動ヘッド198と鋭利な先端197との間には、ランセット軸201が配置される。ランセット軸201は、ステンレス鋼、または任意の他の適した材料もしくは合金から構成することができ、約0.1から約0.4mmの横寸法を有することができる。ランセット軸は、約3mmから約50mm、具体的には約15mmから約20mmの長さを有することができる。ランセット183の駆動ヘッド198は、駆動ヘッド198より遠位のランセット軸201の横寸法より大きい横寸法を有する拡大部分である。この構成により、駆動連結器185によって駆動ヘッド198を機械的に捕捉することが可能になる。駆動ヘッド198は、約0.5から約2mmの横寸法を有することができる。
【0063】
細長い連結器軸184の遠位部分203上で駆動連結器185より近位では、磁気部材202が細長い連結器軸184に固定される。磁気部材202は、実質上円筒形の磁気材料片であり、磁気部材202の長さ方向に延びる軸方向ルーメン204を有する。磁気部材202は、ドライバ・コイル・パック188内に配置された低摩擦で場合によっては潤滑性のポリマー案内チューブ205’の軸方向ルーメン205内で容易に摺動することを可能にする外側横寸法を有する。磁気部材202は、約1.0から約5.0mm、具体的には約2.3から約2.5mmの外側横寸法を有することができる。磁気部材202は、約3.0から約5.0mm、具体的には約4.7から約4.9mmの長さを有することができる。磁気部材202は、鉄鋼、鉄、フェライトなどの鉄金属を含む様々な磁気材料から作ることができる。磁気部材202は、接着もしくはエポキシ接合、溶接、クリンピング、または任意の他の適した方法を含む様々な方法によって、細長い連結器軸184の遠位部分203に固定することができる。
【0064】
磁気部材202より近位では、光学エンコーダ・フラグ206が細長い連結器軸184に固定される。光学エンコーダ・フラグ206は、位置センサ191内のスロット207内で動くように構成される。位置センサ191のスロット207は、位置センサ191の第1のボディ部分208と第2のボディ部分209との間に形成される。スロット207は、約1.5から約2.0mmの分離幅を有することができる。光学エンコーダ・フラグ206は、約14から約18mmの長さ、約3から約5mmの幅、および約0.04から約0.06mmの厚さを有することができる。
【0065】
光学エンコーダ・フラグ206は、所定の方法で位置センサボディ部分208および209上または中に配置されたLEDによって発生する様々な光ビームと相互作用する。位置センサ191のLEDによって発生する光ビームの相互作用により、実質上高度な解像度で位置センサ191に対する光フラグ206の長手方向の位置を示す信号が発生する。位置センサ191の解像度は、約200から約400サイクル/インチ、具体的には約350から約370サイクル/インチとすることができる。位置センサ191は、0から約120,000Hzの速度応答時間(位置/時間解像度)を有することができ、ここで、フラグの中の1つの明暗ストライプが1ヘルツまたはサイクル/秒を構成する。磁気部材202、ドライバ・コイル・パック188、および位置センサ191に対する光学エンコーダ・フラグ206の位置は、光学エンコーダ191がランセットの動力行程の全長にわたってランセット183に関する精密な位置情報を提供できるような位置である。
【0066】
位置センサ191に適した光学エンコーダは、Agilent Technologies製の線形光学インクリメンタル・エンコーダ、モデルHEDS9200である。モデルHEDS9200は、約20から約30mmの長さ、約8から約12mmの幅、約9から約11mmの高さを有することができる。図示の位置センサ191は線形光学インクリメンタル・エンコーダであるが、必要な位置解像度および時間応答を有する限り、他の適した位置センサの実施形態を使用することができる。HEDS9200は2チャネルのデバイスであり、これらのチャネルは、互いに位相が90度ずれている。この結果、フラグの基本サイクルの4倍の解像度が得られる。これらの直角位相出力により、処理装置がランセットの進行方向を判定することが可能になる。他の適した位置センサには、容量エンコーダ、上記で論じた反射位置センサなどのアナログ反射センサなどが含まれる。
【0067】
穿刺デバイス180の近位端部181の方へ、連結器軸ガイド211が配置される。ガイド211は、細長い連結器軸184の近位部分192を摺動式に受け入れるようにガイド211内に配置されたガイドルーメン212を有する。ガイド211は、細長い連結器軸184を光学エンコーダ191のスロット202内において水平および垂直方向で中心に保つ。
【0068】
ドライバ・コイル・パック188、位置センサ191、および連結器軸ガイド211はすべて、ベース213に固定される。ベース213は、ドライバ・コイル・パック188、位置センサ191、および連結器軸ガイド211と長手方向に同一の広がりを有する。ベース213は、方形の金属もしくはポリマー片の形をとることができ、または穿刺デバイス180の様々な構成要素を受け入れるように構成された凹部を有するより細密なハウジングとすることができる。
【0069】
上記で論じたように、磁気部材202は、ドライバ・コイル・パック188の軸方向ルーメン205内で摺動するように構成される。ドライバ・コイル・パック188は、最も遠位の第1のコイル214と、軸方向で第1のコイル214と第3のコイル216との間に配置された第2のコイル215と、最も近位の第4のコイル217とを含む。第1のコイル214、第2のコイル215、第3のコイル216、および第4のコイル217はそれぞれ、軸方向ルーメンを有する。第1〜第4のコイルの軸方向ルーメンは、他のコイルの軸方向ルーメンと同軸になり、全体としてドライバ・コイル・パック188の軸方向ルーメン205をともに形成するように構成される。軸方向に隣接するコイル214〜217はそれぞれ、デバイス180の穿刺サイクル中にコイル214〜217の磁気回路の完成を強化する磁気ディスクまたはワッシャ218である。
図21の実施形態の磁気ワッシャ218は鉄鋼から作られるが、鉄またはフェライトなどの任意の他の適した磁気材料から作ることもできる。ドライバ・コイル・パック188の外殻189もまた、コイルの周りでワッシャ218間の磁気経路を完成させるために、鉄または鋼から作られる。磁気ワッシャ218は、約4.0から約8.0mmのドライバ・コイル・パック188の外径に対応した外径を有する。磁気ワッシャ218は、約0.05から約0.4mm、具体的には約0.15から約0.25mmの軸方向の厚さを有する。
【0070】
十分な数の巻線が実現されるまで、軸方向ルーメンの周りに細長い導電体221を巻き付け、または配線することで、コイル214〜217が形成される。概して、細長い導電体221は絶縁されたソリッド銅ワイアであり、約0.06mmから約0.88mm、具体的には約0.3mmから約0.5mmの小さい外側横寸法を有する。一実施形態では、コイル214〜217には32ゲージの銅ワイアが使用される。ドライバ・パック188のコイル214〜217のそれぞれに対する巻線の数は、コイルの寸法とともに変更することができるが、いくつかの実施形態の場合、各コイル214〜217は、約30から約80巻、具体的には約50から約60巻を有することができる。各コイル214〜217は、約1.0から約3.0mm、具体的には約1.8から約2.0mmの軸方向の長さを有することができる。各コイル214〜217は、約4.0から約2.0mm、具体的には約9.0から約12.0mmの外側横寸法または直径を有することができる。軸方向ルーメン205は、約1.0から約3.0mmの横寸法を有することができる。
【0071】
いくつかのドライバ・コイル188の実施形態では、1つまたはそれ以上のコイルを永久磁石に置き換え、それによってコイルが起動されたときのコイルの磁界に類似の磁界を生じさせることができると有利である。具体的には、いくつかの実施形態では、第2のコイル215、第3のコイル216、またはその両方を永久磁石に置き換えることができることが望ましい。さらに、磁気部材(Adams magnetic Products 23A0002の可撓性の磁石材料(800)747−7543)に対する固定の磁石ゼロイング機能を提供するために、コイル・ドライバ・パックの近位端部またはその付近に永久磁石を位置決めすることができると有利である。
【0072】
図20および
図21は、ドライバ・コイル・パック188の近位端部上に配置された永久棒磁石219を示す。
図21に示すように、棒磁石219は、一方の端部が磁気部材202の進路に隣接して配置されるように配置されており、棒磁石219に対して中心位置で磁気部材202を引き付けるように構成された極性を有する。ポリマー案内チューブ205’は、棒磁石219の径方向に内方の表面を磁気部材202の外面から絶縁するように近位方向に延びるように構成できることに留意されたい。この配置により、磁気部材219、したがって細長い連結器軸184を引き付けて、電源225からの電気エネルギーを消費することなくゼロ点または静止位置で保持することが可能になる。
【0073】
ランセット183の貫入の深さならびに他の穿刺パラメータを適切に制御するには、細長い連結器軸184およびランセット183に対して固定のゼロまたは始点を有することが非常に重要となる可能性がある。これは、制御可能なドライバに対する貫入の深さを制御するいくつかの方法では、分かっている開始位置から細長い連結器軸184およびランセット183の加速度および変位を測定するためでもある。標的組織からのランセット先端部196の距離が分かっている場合、ランセットの加速度および変位が分かり、ランセットの開始位置が分かり、処理装置193によって、組織の接触の時間および位置ならびに貫入の深さを判定することができる。
【0074】
上記で論じた目的のため、磁気棒219に対して任意の数の構成を使用することができる。具体的には、ドライバ・コイル・パック188の近位端部に第2の永久棒磁石(図示せず)を追加して、2つの棒磁石の磁界が互いに補完するように構成することもできる。さらに、
図22に示すように、円板磁石219’を使用することもできる。ドライバ・コイル状パック188の近位端部に配置された円板磁石219’が示されており、最も近位のコイル217と円板磁石219’との間にはポリマー非磁性ディスク219’’が配置され、円板磁石219’は最も近位のコイル217の近位端部から離れて位置決めされる。ポリマー非磁性ディスク・スペーサ219’’が使用され、その結果、ドライバ・コイル・パック188の最も近位のコイル217に対してわずかに近位のゼロまたは開始位置で、磁気部材202を中心に位置決めすることができる。これにより、穿刺サイクルの順方向駆動部分で受動的になるのではなく、穿刺サイクルの開始時に最も近位のコイル217によって磁気部材を引き付けることが可能になる。
【0075】
ポリマー非磁性ディスク219’’のルーメンは、磁気部材202を軸方向に通過させることが可能になるように構成することができ、円板磁石219’のルーメンは、細長い連結器軸184を通過させることが可能であるが、磁気部材202を通過させるほど大きくないように構成することができる。この結果、磁気部材202は円板磁石219’に引き付けられ、磁気部材202の近位表面が円板磁石219’の遠位表面に接した状態で静止する。この配置は、磁気部材、したがってランセットに対して確実で繰返し可能な停止を実現する。類似の構成を上記の棒磁石219に使用することもできる。
【0076】
典型的には、ドライバ・コイル・パック188のコイル214〜217内の電流がオフであるとき、軟鉄から作られた磁気部材202は、棒磁石219または円板磁石219’に引き付けられる。ドライバ・コイル・パック188および棒磁石219もしくは円板磁石219’または任意の他の適した磁石の磁界は、コイル214〜217内の電流がオンに切り換えられると、コイル214〜217からの漏れ磁界が棒磁石219または円板磁石219’と同じ極性を有するように構成することができる。この結果、棒磁石219または円板磁石219’から磁気部材202を反発させて、磁気部材202を起動されたコイル214〜217に引き付ける磁力が生じる。したがってこの構成の場合、棒磁石219または円板磁石は、加速に逆らうのではなく、磁気部材202の加速を容易にするように作用する。
【0077】
導電体222が、ドライバ・コイル・パック188を処理装置193に連結する。処理装置193は、導電体194によって処理装置193に連結された位置センサ191からの位置フィードバックに基づいて、ドライバ・コイル・パック188のコイル214〜217内の電流の流れを制御するように構成またはプログラムすることができる。処理装置193には電源225が電気的に連結されており、処理装置193を動作させてコイル・ドライバ・パック188に電力供給するための電力を提供する。電源225は、処理装置193に直流電力を提供する1つまたはそれ以上の電池とすることができる。
【0078】
図23は、駆動連結器185のより詳細な横断面図を示す。ランセット183の駆動ヘッド198は、駆動連結器185内に配置され、第1の保持レール226および第2の保持レール227が駆動ヘッド198を捕捉しながら、駆動ヘッド198を最小の機械抵抗で駆動連結器185内へ横方向に挿入し、また横方向に後退させることを可能にする。場合により、駆動連結器185は、スナップ・リッジ228を含むように構成することもでき、スナップ・リッジ228は、駆動ヘッド198を横方向に挿入および後退させることを可能にするが、駆動連結器185の横方向の開口部231の方へ所定の量の横方向の力が外部からランセット183の駆動ヘッド198に加えられない限り、駆動ヘッド198が駆動連結器185から落ちないように保つ。
図27は、駆動連結器185の連結器開口部231の拡大側面図を示し、横方向の開口部231内に配置されたスナップ・リッジ228と、保持レール226および227とを示す。
図28は、駆動連結器185の拡大正面図を示す。駆動連結器185は、ステンレス鋼、チタン、またはアルミニウムなどの合金から作ることができるが、ABS、PVC、ポリカーボネート・プラスチックなどの適したポリマーから作ることもできる。駆動連結器は両側を開くことができ、それによって駆動ヘッドおよびランセットを通過させることが可能になる。
【0079】
図24を参照すると、磁気部材202は、細長い連結器軸184の周りに配置され、細長い連結器軸184に固定される。磁気部材202は、第4のコイル217の軸方向ルーメン232内に配置される。ドライバ・コイル・パック188は、ベース213に固定される。
図25では、位置センサ191がベース213に固定され、位置センサ191の第1のボディ部分208は、位置センサ191の第2のボディ部分209の反対側に配置され、位置センサ191の第1のボディ部分208と第2のボディ部分209は、間隙またはスロット207によって分離される。位置センサ191の第1のボディ部分208と第2のボディ部分209との間で間隙207内には、細長い連結器軸184が摺動可能に配置される。細長い連結器軸184には光学エンコーダ・フラグ206が固定され、位置センサ191の第1のボディ部分208と第2のボディ部分209との間に配置される。
図26を参照すると、細長い連結器軸184の近位部分192は、連結器軸ガイド211のガイドルーメン212内に配置される。連結器軸ガイド211のガイドルーメン212は、穿刺デバイス180の動力行程中に細長い連結器軸184の摩擦を低減させるために、Teflon(登録商標)などの低摩擦材料で裏張りすることができる。
【0080】
図29A〜
図29Cを参照すると、動作サイクル中に上記で論じた穿刺デバイス180のランセット183を制御する際に処理装置193によって実行される動作について説明する流れ図が示されている。
図30〜
図36は、ランセット・デバイス183の動作サイクル中のランセット183と患者の指234の皮膚233との相互作用を示す。処理装置193は、関連するメモリ内に記憶されたプログラミング工程の制御下で動作する。プログラミング工程が実行されると、処理装置193は、本明細書に記載の動作を実行する。したがって、プログラミング工程は、
図29の流れ図に関して説明する動作の機能性を実施する。処理装置193は、ハード・ドライブもしくはフラッシュROMなどの直接アクセス・プログラム製品記憶デバイス、フレキシブルディスクなどの取外し可能なプログラム製品記憶デバイス、または当業者には知られている任意の他の方式のものを含む、記録可能な媒体内に記憶されたプログラム製品から、プログラミング工程を受け取ることができる。処理装置193はまた、ネットワーク接続またはシリアル接続を通じてプログラミング工程をダウンロードすることができる。
【0081】
図29Aで245と示す流れ図のボックスで表す第1の動作で、処理装置193は、動作中に制御可能なドライバ179を追跡するために使用する変数など、ランセットの制御に関連するメモリ内に記憶している値を初期化する。たとえば、処理装置は、クロック値をゼロに設定し、ランセット位置値をゼロまたは他の初期値に設定することができる。処理装置193はまた、あらゆる残留磁束をコイルから放散させることが可能になるように、約10msなどの一定期間にわたってコイル・パック188から電力を除去することが可能である。
【0082】
初期化動作において、処理装置193はまた、ランセットを最初の定置位置に着かせる。上記の
図21に示すように、最初の定置位置ではランセット183は、典型的には、完全に後退しており、その結果、磁気部材202は、ドライバ・コイル・パック188の第4のコイル217に実質上隣接して位置決めされる。処理装置193は、第4のコイル217へ電流パルスを送ることによって、ランセット183を最初の定置位置へ動かし、それによってランセット183上の磁気部材202を第4のコイル217に引き付けることができる。別法として、
図20および
図21に示す組織貫入デバイスに関連して上記で論じた棒磁石219、円板磁石219’、または任意の他の適した磁石などの永久磁石によって、磁気部材を最初の定置位置に位置決めすることもできる。
【0083】
247と示す流れ図のボックスで表す次の動作で、処理装置193は、コイル・パック188内のコイルのうちの1つまたはそれ以上に通電する。これにより、ランセット183は皮膚標的233の方へ動き始める(すなわち、ゼロ以外の速度を実現する)はずである。249と示す判断ボックスで表すように、次いで処理装置193は、ランセットが実際に動いているか否かを判定する。処理装置193は、ランセット183の位置を監視することによって、ランセット183が動いているかどうかを判定し、時間とともに位置が変化するかどうかを判定することができる。処理装置193は、細長い連結器軸184に固定された光学エンコーダ・フラグ206の位置を追跡することによって、ランセット183の位置を監視することができ、処理装置193に連結されたエンコーダ191は、ランセット183の空間位置を示す信号を生成する。
【0084】
処理装置193で、ランセット183が動いていないと判定した(運動事象がないままタイムアウトしたことによる)場合(判断ボックス249からの結果が「いいえ」)、この方法は、253と示す流れ図のボックスで表す動作へ進み、処理装置は、エラー状態が存在すると見なす。これは、システム内の何らかのエラーにより、ランセット183が動いていないことを意味する。このエラーは、機械、電気、またはソフトウェアに関連することがある。たとえば、ランセット183は、何かに動きを妨げられているため、定置位置で動きが取れないことがある。
【0085】
処理装置193で、ランセット183が実際に動いていると判定した場合(249と示す判断ボックスの結果が「はい」)、この方法は、257と示す流れ図のボックスで表す動作へ進む。この動作で、処理装置193は、
図30に矢印235で示すように、ランセット183を引き続き皮膚標的233に向けて加速し発射する。処理装置193は、コイル214〜217が引き付けて発射させる磁力を磁気部材202に作用させ、磁気部材202および磁気部材202に連結されたランセット183が所望の方向に動くように、適当なコイル214〜217へ電流を送ることによって、ランセット183の加速を実現することができる。たとえば、処理装置193は、第3のコイル216が磁気部材202を引き付けて、磁気部材202を第4のコイル217に隣接する位置から第3のコイル216の方へ動かすように、第3のコイル216へ電流を送ることができる。処理装置は、コイル214〜217に対する磁気部材202の位置に基づいて、磁気部材202を引き付けるにはどのコイル214〜217を使用するべきかを判定することが好ましい。このようにして、処理装置193は、制御された力をランセットに提供し、それによってランセットの動きを制御する。
【0086】
この動作中、処理装置193は、ランセット183の位置および/または速度を周期的または継続的に監視する。ランセット183が患者の皮膚233または他の組織の方へ動くときにランセット183の速度および位置を追跡する際、処理装置193はまた、コイル214〜217への電流も監視および調整する。いくつかの実施形態では、処理装置193は、所望の方向および加速度に従ってランセット183が引き続き動くように、適当なコイル214〜217に電流を印加する。この場合、処理装置193は、貫入すべき患者の皮膚233または他の組織の方向にランセット183を引き続き動かすように、適当なコイル214〜217に電流を印加する。
【0087】
処理装置193は、コイル214〜217間で電流を連続して遷移させることができ、その結果、磁気部材202が特定のコイル214〜217を越えると、処理装置193は、そのコイル214〜217への電流を遮断し、次いで別のコイル214〜217に電流を印加して、磁気部材202を引き付け、磁気部材202を引き続き所望の方向に動かす。コイル214〜217間で電流を遷移させる際、処理装置193は、ランセット183の速度、コイル214〜217に対するランセット183の位置、コイル214〜217の数、および所望の速度または加速度を実現するためにコイル214〜217に印加すべき電流のレベルを含めて、様々な要因を考慮に入れることができる。
【0088】
次の動作では、
図31に示し、
図29Bで265と示す判断ボックスで表すように、処理装置193は、ランセット183のカッティングまたは遠位先端部196が患者の皮膚233に接触したかどうかを判定する。処理装置193は、穿刺サイクルの開始前に測定されるパラメータに依拠する方法、およびいかなる所定のパラメータも用いずに穿刺サイクル中の使用に適合可能な他の方法を含めて、様々な方法によってランセット183が標的組織233に接触したかどうかを判定することができる。
【0089】
一実施形態では、処理装置193は、ランセット183の先端部196が最初の位置に対して所定の距離だけ動いたとき、皮膚に接触したと判定する。ランセット183の動きの開始前にランセット183の先端部961から標的組織233までの距離が分かっていた場合、ランセット183の最初の位置は固定かつ既知であり、穿刺サイクル中にランセット183の動きおよび位置を正確に測定することができ、次いでランセットの接触の位置および時間を判定することができる。
【0090】
この方法は、ランセット183がゼロの時間または最初の位置にあるときに、ランセット先端部196と患者の皮膚233との間の距離の正確な測定を必要とする。これは、複数の方法で実現することができる。1つの方法は、ランセット先端部196から患者の組織、または患者の皮膚233に接触する穿刺デバイス180の表面までの距離に影響する機械パラメータのすべてを制御することである。これは、磁気部材202の開始位置、磁気経路の公差、磁気部材202の寸法、全体として穿刺デバイス180内のドライバ・コイル・パック188の位置、細長い連結軸184の長さ、細長い連結軸184上の磁気部材202の配置、ランセット183の長さなどを含むことができる。
【0091】
これらすべてのパラメータ、ならびに他のパラメータを、製造時に許容できる積上げ公差で適切に制御できる場合、穿刺デバイス180の製造時に、ランセット先端部196から標的組織233までの距離を決定することができる。次いでこの距離を、処理装置193のメモリ内へプログラムすることができる。調整可能な長さの細長い連結軸184など、調整可能な特徴部が穿刺デバイス180に追加された場合、これは、ランセット183の長さを除いて、上記のパラメータのすべての変動に対応することができる。この機械的手法に対する電子的な代替手段は、上記の機械パラメータに基づいて製造中に、記憶されているメモリ接点を検量して処理装置193のメモリに入れることであろう。
【0092】
別の実施形態では、作動前にランセット先端部196を標的組織233へ非常にゆっくりかつ丁寧に動かして皮膚233に接触させることで、ランセット先端部196から組織233までの距離に到達することができる。位置センサは、初期化点から接触点までの距離を正確に測定することができる。接触点では、ランセット183の前進に対する抵抗により、ランセットの動きが停止する。次いでランセット183は、標的組織233までの距離を測定した後、使用者に不快感を与えることなく、初期化点まで後退する。
【0093】
別の実施形態では、処理装置193は、ソフトウェアを使用して、患者の皮膚233によって摩擦または抵抗がランセット183に加えられたことによるランセット183の速度の突然の低減を測定することによって、ランセット183が患者の皮膚233に接触したかどうかを判定する。光学エンコーダ191は、ランセット183の変位を測定する。位置出力データは、処理装置193の割込み入力へ入力を提供する。処理装置193はまた、割込み間の時間を測定することが可能なタイマを有する。割込み間の距離は、光学エンコーダ191には分かっており、その結果、ランセット183の速度は、割込み間の距離を割込み間の時間で割ることによって計算することができる。
【0094】
この方法では、摩擦によるランセット183および細長い連結器184のアセンブリに対する速度損失を許容できるレベルまで分かっていることが必要であり、それによって、それを上回るとランセット先端部196と標的組織233とが接触したと推定される減速閾値を確立するときに、これらの速度損失およびその結果生じる減速を相殺することができる。この同じ概念は、多くの方法で実施することができる。たとえば、ランセット183の速度を監視するのではなく、処理装置193が固定の速度を維持するようにランセット・ドライバを制御している場合、ドライバ188への電力を監視することもできる。一定の速度を維持するには所定の閾値を上回る電力の量が必要とされる場合、ランセットの先端部196と皮膚233との間の接触を推定することもできる。
【0095】
さらに別の実施形態では、処理装置193は、ランセット183の先端部196が患者の皮膚233に当たったときに生じさせる音響信号を検出することによって、皮膚233がランセット183に接触したかどうかを判定する。音響信号の検出は、
図31に示すように、ランセット貫入部位237に隣接して患者の皮膚233に接触するように配置された音響検出器236によって測定することができる。適した音響検出器236には、圧電変換器、マイクロフォンなどが含まれる。音響検出器236は、音響信号によって生成される電気信号を、導電体238を介して処理装置193へ伝送する。別の実施形態では、
図31に示すように、ランセット183と患者の皮膚233との接触は、ランセット183と、患者の指234と、ランセット183の接触部位237に隣接して患者の皮膚233上に配置された電気接触パッド240とを含む回路内の電気的導通の測定によって判定することができる。この実施形態では、ランセット183が患者の皮膚233に接触するとただちに回路239が完成され、回路239内を電流が流れる。次いで処理装置193によって回路239の完成を検出して、ランセット183が皮膚233に接触したことを確認することができる。
【0096】
ランセット183が標的の皮膚233に接触していない場合、この方法は、
図29Bで267と示す判断ボックスで表すタイムアウト動作へ進む。タイムアウト動作で、処理装置193は、所定の期間待機する。タイムアウト期間が経過していない場合(判断ボックス267からの結果が「いいえ」)、処理装置は、ランセットが標的の皮膚233に接触したかどうかを引き続き監視する。処理装置193は、ランセット183の位置および速度、ならびに所望のランセット183の動きを維持するのに適当なコイル214〜217への電流を、引き続き監視することが好ましい。
【0097】
ランセット183が皮膚に接触することなくタイムアウト期間が経過した場合(判断ボックス267からの出力が「はい」)、ランセット183が皮膚に接触することはないと見なされ、この方法は、以下でより詳細に論じるように、ランセットが皮膚233から撤退する撤退段階へ進む。ランセット183は、患者が穿刺デバイスから皮膚233を離した場合、またはランセット183が皮膚に接触する前に何かがランセット183を妨げた場合など、様々な理由で標的の皮膚233に接触しなかった可能性がある。
【0098】
処理装置193はまた、他の理由で、皮膚の接触前に撤退段階へ進むことができる。たとえば、ランセット183の動きを開始した後の任意の時点で、処理装置193は、患者の皮膚233の方へランセット183の順方向の加速を停止するべきである、またはすべてのコイル214〜217への電流を遮断するべきであると判定することができる。これはたとえば、ランセット183が十分な順方向への速度を実現したが、まだ皮膚233に接触していないと判定された場合に行うことができる。一実施形態では、皮膚との接触点から最大貫入点までのランセット183の平均貫入速度は、約2.0から約10.0m/秒、具体的には約3.8から約4.2m/秒とすることができる。別の実施形態では、ランセットの平均貫入速度は、約2から約8メートル/秒、具体的には約2から約4m/秒とすることができる。
【0099】
処理装置193はまた、ランセット183が穿刺処置の動作サイクルの動力行程の終端まで完全に延びたと判定された場合も、撤退段階へ進むことができる。言い換えれば、
図21に示すように、磁気部材202の軸方向の中心241が第1のコイル214の軸方向の中心242に対して遠位に動いたとき、この方法は撤退段階へ進むことができる。この状況では、ドライバ・コイル・パック188のコイル214〜217のいずれかへ電力を引き続き送ることで、磁気部材202、したがってランセット183を減速させる働きをする。この点で、処理装置193は、ランセット183の長さ(メモリ内に記憶できる)、磁気部材202に対するランセット183の位置、ならびにランセット183が進んだ距離を考慮する。
【0100】
図29Bの判断ボックス265を再び参照すると、処理装置193は、ランセット183が皮膚233に接触したと判定した場合(判断ボックス265からの結果が「はい」)、ランセットの所望の貫入速度を維持するために、皮膚への貫入でランセット183にかかるあらゆる摩擦力に打ち勝つように、ランセット183の速度またはランセット183へ送達される電力を調整することができる。これは、267と示す流れ図のボックスで表されている。
【0101】
図32に示し、さらに
図33に示すように、皮膚233との接触後にランセット183の速度が維持されると、ランセット183の遠位先端部196はまず、接触した皮膚237およびランセット183に隣接する皮膚233の押下またはテンティング(tent)を開始し、テンティング部分243を形成する。
図34に示すように、ランセット183が引き続き、患者の皮膚233に対して遠位方向に動き、または遠位方向に駆動されると、ランセット183は最終的に、皮膚233への貫入を開始する。皮膚233の貫入が開始すると、皮膚233からランセット183の遠位先端部196にかかる静的な力が、動的なカッティング力になる。この力は概して、先端部にかかる静的な力より小さい。カッティングの開始時にランセット183の遠位先端部196にかかる力が低減する結果、
図32および
図24に示すように、ランセット183の遠位先端部196に隣接する皮膚233のうち、押下されたテンティング部分243は、
図34に示すように跳ね返る。
【0102】
図29Bで271と示す判断ボックスで表す次の動作で、処理装置193は、ランセット183の遠位端部196が制動深さに到達したかどうかを判定する。制動深さとは、
図35に示すランセット183の所望の最終貫入深さ244を実現するにはランセット183の減速を開始するべきであると処理装置193が判定する皮膚貫入深さである。制動深さは、処理装置のメモリ内へ事前に決定およびプログラムすることができ、または処理装置193は、作動中に制動深さを動的に決定することができる。患者の皮膚233内のランセット183の貫入の量は、ランセット・デバイス180の動作サイクル中に測定することができる。さらに、上記で論じたように、使用可能なサンプルをうまく採取するのに必要な貫入深さは、穿刺サイクル中の皮膚233のテンティング量に依存することがある。患者の皮膚233のテンティング量は、弾性、水和などの患者の組織の特性に依存することがある。これらの特性を判定する方法について、穿刺サイクル中の皮膚233のテンティング測定に関連して以下に論じ、
図37〜
図41に示す。
【0103】
貫入測定は、患者の皮膚のテンティングの測定に依存しない様々な方法によって実施することができる。一実施形態では、患者の皮膚233内のランセット183の貫入深さは、ランセット183と患者の皮膚233との間の静電容量を監視することによって測定される。この実施形態では、回路は、ランセット183と、患者の指234と、処理装置193と、これらの要素を接続する導電体とを含む。ランセット183が患者の皮膚233に貫入するとき、貫入の量が大きければ大きいほど、ランセット183と患者の皮膚233との間の接触表面積も大きくなる。接触面積が増大するにつれて、皮膚233とランセット183との間の静電容量も増大する。増大した静電容量は、当技術分野で知られている方法を使用して、処理装置193によって容易に測定することができ、次いで静電容量と貫入深さを相関させることができる。同じ方法は、ランセット183と患者の皮膚との間の電気抵抗を測定することによって使用することもできる。
【0104】
制動深さに到達していない場合、判断ボックス271の結果が「いいえ」になり、この方法は、273と示す流れ図のボックスで表すタイムアウト動作へ進む。タイムアウト動作で、処理装置193は、所定の期間待機する。タイムアウト期間が経過していない場合(判断ボックス273からの結果が「いいえ」)、処理装置は、制動深さに到達したかどうかを引き続き監視する。ランセット183が制動深さを実現することなくタイムアウト期間が経過した場合(判断ボックス273からの出力が「はい」)、処理装置193は、ランセット183が制動深さに到達することはないと見なし、この方法は、以下でより詳細に論じる撤退段階へ進む。これはたとえば、ランセット183が特定の深さで動きが取れなくなった場合に行うことができる。
【0105】
図29Bで271と示す判断ボックスを再び参照すると、ランセットが制動深さに到達した場合(「はい」の結果)、この方法は、275と示す流れ図のボックスで表す動作へ進む。この動作で、処理装置193は、
図26に示すように、ランセットに制動力を加え、それによってランセット183の速度を低減させて、最終の皮膚貫入深さ244の所望の量を実現する。
図32および
図33は、ランセットが皮膚に実質的に貫入する前に患者の皮膚に接触して皮膚を変形または押下するところを示すことに留意されたい。ランセット183の速度は、所望の閾値を下回る値まで低減させ、最終的にはゼロまで低減させることが好ましい。処理装置193は、
図36に矢印290で示すように、患者の組織または皮膚233から離れて近位方向に、引き付ける制動力を磁気部材202に作用させる電流をコイル214〜217へ送ることによって、ランセット183の速度を低減させることができる。そのような負の力により、ランセット183の順方向または遠位方向の速度が低減する。処理装置193は、位置センサ191が示すドライバ・コイル・パック188のコイル214〜217に対する磁気部材202の位置に基づいて、どのコイル214〜217に通電するかを判定することができる。
【0106】
次の動作で、この方法は、277と示す流れ図のボックスで表す撤退段階へ進む。撤退段階は、
図29Cで279と示す流れ図のボックスで表す動作から始まる。ここで、処理装置193は、
図35に示すように、ランセット183が最大皮膚貫入の位置244で整定することを可能にする。この点で、処理装置193は、ランセット183の位置の変化を監視することによって、ランセット183の運動(皮膚の中に蓄積された衝撃およびばねエネルギーからの振動などによる)が停止するまで待機する。処理装置193は、ランセット183の位置の変化がない状態で約8ms程度など、数ミリ秒(ms)が経過するまで待機することが好ましい。これは、ランセット183の動きが完全に止まったことを示す。いくつかの実施形態では、ランセットは、約1から約2000ミリ秒、具体的には約50から約200ミリ秒間整定することが可能である。他の実施形態では、整定時間は、約1から約200ミリ秒とすることができる。
【0107】
穿刺サイクルのこの段階で、ソフトウェア方法を使用して、患者の皮膚233のテンティング量を測定し、したがって弾性、水和などの皮膚233の特性を判定することができる。
図37〜
図41を参照すると、穿刺サイクルの様々な段階のランセット183が、標的組織233とともに示されている。
図37は、ランセット183の先端部196が最初の衝撃点で皮膚233に最初に接触するところを示す。
【0108】
図38は、ランセット183が
図37に示す組織233に最初に接触するところの拡大図を示す。
図39で、
図39にXで表示した矢印で示すように、ランセット先端部196は、貫入前、距離Xにわたって皮膚233を押下またはテンティングしている。
図40で、ランセット183は、カッティングの動力行程の全長に到達しており、最大変位にある。この位置で、
図39にYで表示した矢印で示すように、ランセット先端部196は、距離Yにわたって組織233に貫入している。
図38と
図40の比較から分かるように、皮膚233との最初の接触が行われた時点から、ランセット先端部196が
図40に示す最大延長に到達した時点まで、ランセット先端部196は、XとYの和である総距離にわたって変位した。しかし、ランセット先端部196は、テンティング現象のため、距離Yしか皮膚233に貫入していない。
【0109】
ランセット183の動力行程の終了時に、
図26および
図29Cのボックス279に関連して上記で論じたように、処理装置193は、ランセットが約8ミリ秒間整定することを可能にする。この整定時間中、皮膚233は、
図41に示すように、ランセット183による接触前のほぼ元の構成へ再び跳ね返り、または弛緩する。
図41に示すように、ランセット先端部196は依然として、皮膚の中に深さYまで埋設されているが、組織の弾性反跳により、ランセットは、
図41に矢印Zで示す非弾性テンティング点まで、後方または逆行方向へ変位している。組織233の弾性テンティングによるランセット183の後方変位中、処理装置は、位置センサ191によって生成される位置データを読み取って記憶し、したがってXとZの差である弾性テンティング量を測定する。
【0110】
穿刺サイクル中のランセット183のテンティング方法および逆行運動について、
図42に図示する。
図42は、弾性および非弾性テンティングを含む穿刺サイクル中のランセット先端部196の速度対時間のグラフと位置対時間のグラフとの両方を示す。
図42で、点0から点Aまで、ランセット183は、初期化位置またはゼロ位置から加速している。点Aから点Bまで、ランセットは弾道または惰性モードであり、追加の電力は送達されない。点Bで、ランセット先端部196は組織233に接触して皮膚233のテンティングを開始し、変位Cに到達するまで行う。ランセット先端部196が最大変位に接近するにつれて、ランセット183に制動力が加えられ、ランセットは点Dで停止する。次いでランセット183は、DとEとの間に示す穿刺サイクルの整定段階中に逆行方向に反跳する。
図42に示す非弾性テンティングの大きさは、例示の目的で強調されていることに留意されたい。
【0111】
Zで示す非弾性テンティング量は、弾性テンティングの大きさに比べて、かなり一貫し、かつ小さい傾向がある。概して、非弾性テンティング量Zは、約120から約140ミクロンとすることができる。大部分の患者および皮膚タイプの場合、弾性テンティングの大きさに比べて非弾性テンティングの大きさはかなり一定の値を有し、かつ小さいため、ランセット183の貫入行程に対する総テンティング量の値は、処理装置193が測定する整定段階中のランセットの後方変位と、130ミクロンなどの非弾性反跳に対する所定の値との和に実質的に等しい。いくつかの実施形態に対する非弾性反跳は、約100から約200ミクロンとすることができる。概して、年齢、時刻、水和レベル、性別、および病理状態によって皮膚の弾性および他のパラメータが変動することが知られているため、患者に対する皮膚233のテンティングの大きさを測定する能力は、ランセット先端部196の貫入の深さを制御するのに重要である。
【0112】
次いで、穿刺サイクルに対するこの総テンティング値を使用して、患者の皮膚233の様々な特性を判定することができる。所与の患者に対するテンティング・データの本体を取得した後、このデータを分析して、穿刺処置の成功に必要な皮膚接触点からの総ランセット変位を予測することができる。これにより、組織貫入デバイスで高い成功率を実現し、使用者の痛みを最小にすることが可能になる。移動平均表を使用して、表の中の最後のエントリにポインタを合わせた状態で、患者に対するテンティング・データを収集および記憶することができる。新しいエントリが入力されると、ポインタが指すエントリに取って代わることができ、ポインタは次の値へ前進する。平均が望ましいときは、すべての値を加算し、その和を処理装置193によるエントリの総数で割る。指数関数的減衰を伴う類似の技法(0.95を掛ける、0.05×現在値を足すなど)も可能である。
【0113】
全体的に皮膚233のテンティングに関連して、貫入深さに関するいくつかの典型的な値について次に論じる。
図43は、皮膚233の層の横断面図を示す。皮膚233から使用可能な血液サンプルを確実に採取するために、ランセット先端部196を皮膚の細静脈叢に到達させることが望ましい。角質層は、典型的には、約0.1から約0.6mmの厚さであり、真皮の上部から細静脈叢までの距離は、約0.3から約1.4mmとすることができる。弾性テンティングは、最高約2mm程度、具体的には約0.2から約2.0mmの大きさを有することができ、平均的な大きさは約1mmである。これは、テンティングに打ち勝つのに必要なランセット変位量を、貫入して細静脈叢に到達するのに必要な皮膚の厚さより大きくすることができることを意味する。最初の皮膚接触点からの総ランセット変位は、約1.7から約2.1mmの平均値を有することができる。いくつかの実施形態では、貫入深さおよび最大貫入深さは、約0.5mmから約5mm、具体的には約1mmから約3mmとすることができる。いくつかの実施形態では、最大貫入深さが約0.5から約3mmであると有用である。
【0114】
図29Cを再び参照すると、
図29Cで280と示す流れ図のボックスで表す次の動作で、処理装置193は、
図36に矢印290で示すように、撤退する力をランセット183に作用させて、ランセット183を皮膚233から後退させる。処理装置193は、コイル214〜217が遠位方向の引付け力を磁気部材202に作用させて、ランセット183を所望の方向に後退させるように、適当なコイル214〜217へ電流を送る。いくつかの実施形態では、ランセット183は、動作サイクルの貫入部分中の力および速度より小さい力および遅い速度で撤退する。いくつかの実施形態では、ランセットの撤退速度は、約0.004から約0.5m/秒、具体的には約0.006から約0.01m/秒とすることができる。他の実施形態では、有用な撤退速度は、約0.001から約0.02メートル/秒、具体的には約0.001から約0.01メートル/秒とすることができる。貫入速度に比べて比較的遅い撤退速度を使用する実施形態の場合、撤退速度は、最高約0.02メートル/秒とすることができる。そのような実施形態の場合、平均貫入速度と平均撤退速度の比は、約100対約1000とすることができる。撤退速度を比較的遅くすることが重要でない実施形態では、約2から約10メートル/秒の撤退速度を使用することができる。
【0115】
次の動作で、処理装置193は、281と示す判断ボックスで表すように、力が印加された結果、ランセット183が所望の後方方向に動いているかどうかを判定する。処理装置193は、ランセット183が動いていないと判定した場合(判断ボックス281からの結果が「いいえ」)、282と示す流れ図のボックスで表すように、引き続きランセット183に力を作用させる。処理装置193は、より強い力をランセット183に作用させることができ、または単に同じ量の力を引き続き印加することができる。次いで処理装置は、283と示す判断ボックスで表すように、ランセットが動いているかどうかを再び判定する。それでもなお動きが検出されなかった場合(283と示す判断ボックスからの結果が「いいえ」)、処理装置193は、284と示す流れ図のボックスで表すように、エラー状態が存在すると判定する。そのような状況では、動きがないということは、ランセットが患者の皮膚の中で動きが取れず、したがって引き続きランセットを皮膚から引き出そうとすることは望ましくないことを示している可能性があるため、処理装置は、コイルの電源を遮断してランセットから力を除去することが好ましい。
【0116】
図29Cで281および283と示す判断ボックスを再び参照すると、処理装置193が、ランセットが皮膚233から離れる所望の後方方向に実際に動いていると判定した場合、この方法は、285と示す流れ図のボックスで表す動作へ進む。この動作で、ランセットの遠位端部が患者の皮膚233から完全に撤退するまで、ランセット183は引き続き後方へ動く。上記で論じたように、いくつかの実施形態では、ランセット183は、動作サイクルの貫入部分中の力および速度より小さい力および遅い速度で撤退する。ランセット183の撤退を比較的遅くすることで、ランセット183がアクセスした患者の毛細管からの血液が撤退中のランセット183に従って皮膚表面に到達することを可能にし、使用可能な血液サンプルを確実に取り出すことができる。ここで、この方法は終了する。
【0117】
上記で論じたように、ランセット183の動作サイクルにわたってランセットの運動を制御することで、穿刺デバイス180によって多種多様なランセット速度プロファイルを生成することが可能になる。具体的には、他の実施形態に関連して上記で論じたランセット速度プロファイルはいずれも、穿刺デバイス180の処理装置193、位置センサ191、およびドライバ・コイル・パック188を用いて実現することができる。
【0118】
ランセットに対する速度プロファイルの一実施形態の別の例は、
図44および
図45に見ることができ、速いエントリ速度および遅い撤退速度を有するランセット・プロファイルが示されている。
図44は、ランセットの速度と位置の関係を示す穿刺プロファイルの一実施形態を示す。穿刺プロファイルは、ゼロの時間および位置から開始し、電磁ドライバから生成される電磁力によってランセットが組織の方へ加速することを示す。点Aで、電力は遮断されており、ランセット183は惰性で進み始め、その後Bで示す皮膚233に到達し、点Bで速度は減少し始める。点Cで、ランセット183は最大変位に到達しており、瞬間的に、典型的には約8ミリ秒間にわたって整定する。
【0119】
次いで、約0.006から約0.01メートル/秒以下の撤退速度を維持するように処理装置によって制御される制御可能なドライバによって、逆行する撤退力がランセットに加えられる。同じサイクルは、
図45の速度対時間のグラフに示されており、
図45ではランセットは開始点から点Aまで加速する。ランセット183はAからBまで惰性で進み、Bでランセット先端部196は組織233に接触する。次いで、ランセット先端部196は組織に貫入して遅くなり、最大貫入深さに接近すると、最終的に制動力が印加される。ランセットは停止し、CとDの間は整定する。Dで、撤退段階が始まり、ランセット183はゆっくりと撤退した後、
図45にEで示す初期化点へ戻る。
図44および
図45の穿刺プロファイルでは、例示の目的で、また見やすいように、弾性および非弾性テンティングからの逆行する反跳は図示しなかったことに留意されたい。
【0120】
別の実施形態では、撤退段階において2重の速度プロファイルを使用することができ、ランセットが組織との接点を越えて撤退するまで、0.006から0.01メートル/秒という遅い速度を使用し、次いで0.01から1メートル/秒というより速い速度を使用して、サイクル全体を短くすることができる。
【0121】
図46を参照すると、ドライバ・コイル・パック295、位置センサ、およびランセット183を有する制御可能なドライバ294を含む穿刺デバイスの別の実施形態が示されている。ランセット297は近位端部298および遠位端部299を有し、ランセット297の遠位端部299には鋭利な点が位置する。ランセット297の近位端部部分302の周りに磁気部材301が配置され、近位端部部分302に固定されており、磁気部材301と鋭利な点299との間にはランセット軸303が配置される。ランセット軸303は、ステンレス鋼または任意の他の適した材料もしくは合金から構成することができる。ランセット軸303は、約3mmから約50mm、具体的には約5mmから約15mmの長さを有することができる。
【0122】
磁気部材301は、ドライバ・コイル・パック295の軸方向ルーメン304内で摺動するように構成される。ドライバ・コイル・パック295は、最も遠位の第1のコイル305と、軸方向で第1のコイル305と第3のコイル307との間に配置された第2のコイル306と、最も近位の第4のコイル308とを含む。第1のコイル305、第2のコイル306、第3のコイル307、および第4のコイル308はそれぞれ、軸方向ルーメンを有する。第1〜第4のコイル305〜308の軸方向ルーメンは、他のコイルの軸方向ルーメンと同軸になり、全体としてドライバ・コイル・パック295の軸方向ルーメン309をともに形成するように構成される。軸方向に隣接するコイル305〜308はそれぞれ、ドライブ・コイル・パック295の穿刺サイクル中にコイル305〜308の磁気回路の完成を強化する磁気ディスクまたはワッシャ310である。
図46の実施形態の磁気ワッシャ310は鉄鋼から作られるが、鉄またはフェライトなどの任意の他の適した磁気材料から作ることもできる。磁気ワッシャ310は、約4.0から約8.0mmのドライバ・コイル・パック295の外径に対応した外径を有する。磁気ワッシャ310は、約0.05から約0.4mm、具体的には約0.15から約0.25mmの軸方向の厚さを有する。コイル・パックの外殻294もまた、コイルの周りでワッシャ310間の磁気経路を完成させるために、鉄または鋼から作られる。
【0123】
十分な数の巻線が実現されるまで、軸方向ルーメン309の周りに細長い導電体311を巻き付け、または配線することで、コイル305〜308が形成される。概して、細長い導電体311は絶縁されたソリッド銅ワイアである。ドライバ・コイル・パック295のコイル305〜308、ワッシャ310、および他の構成要素の特定の材料、寸法、コイル巻線の数などは、上記で論じたドライバ・コイル・パック188の材料、寸法、コイル巻線の数などと同じまたは類似のものにすることができる。
【0124】
導電体312が、ドライバ・コイル・パック295を処理装置313に連結する。処理装置313は、導電体315によって処理装置313に連結された位置センサ296からの位置フィードバックに基づいて、ドライバ・コイル・パック295のコイル305〜308内の電流の流れを制御するように構成またはプログラムすることができる。処理装置313には電源316が電気的に連結されており、処理装置313を動作させてドライバ・コイル・パック295に電力供給するための電力を提供する。電源316は、上記で論じたように、処理装置313に直流電力を提供する1つまたはそれ以上の電池(図示せず)とすることができる。
【0125】
位置センサ296は、ハウジング318内に配置された光変換器317の形で光源および受光器を有するアナログ反射光センサであり、ハウジング318は、ドライバ・コイル・パック295に固定の空間関係で固定される。反射部材319が磁気部材301の近位端部320上に配置され、または近位端部320に固定される。処理装置313は、まず光変換器317の光源から反射部材319の方へ所定の放出立体角で光を放出することによって、ランセット299の位置を判定する。次いで、光変換器317の受光器は、反射部材319から反射する光の強度を測定し、導電体315は、生成された信号を処理装置313へ伝送する。
【0126】
ドライバ・コイル・パック295の動作サイクル中のランセット297の様々な位置に対する反射部材319からの反射光の強度を検量することによって、後に任意の所与の瞬間に反射光の強度を測定することにより、ランセット297の位置を判定することができる。一実施形態では、センサ296は、1215W.Crosby Road、Carrollton、Texas、75006のOptek Technology,Inc.製のOPB703などの市販のLED/光変換器モジュールを使用する。位置を感知するためのこのアナログ反射測定方法は、本明細書に論じるランセット・アクチュエータの実施形態のいずれに対しても使用することができる。さらに、コイルを含むランセット・アクチュエータまたはドライバはいずれも、これらのコイルのうちの1つまたはそれ以上を使用することができ、線形可変作動変圧器(LVDT)の鉄心としてランセット軸303上の透磁性領域または磁気部材301自体を使用することによって、ランセット297の位置を判定することができる。
【0127】
図47および
図48を参照すると、主本体ハウジング326および回転フレーム327を有する平巻コイル・ランセット・ドライバ325が示されている。回転フレーム327は心棒328の周りを枢動し、心棒328は、主本体ハウジング326のベース329と上部ボディ部分330との間で、回転フレーム327の枢動ガイド331内に配置されている。回転フレーム327のアクチュエータ・アーム332は、枢動ガイド331から放射状に延び、アクチュエータ・アーム332の外端部334にはリンク受容開口部333が配置される。連結器リンク336の第1の端部335は、アクチュエータ・アーム332のリンク受容開口部333に連結されており、リンク受容開口部333内で回転することができる。連結器リンク336の第2の端部337は、連結器並進運動部材341の近位端部338に位置する開口部内に配置される。この構成により、アクチュエータ・アーム332に加えられる円周方向の力が伝達され、連結器並進運動部材341の遠位端部343に固定された駆動連結器342に線形の力が加えられる。駆動連結器342の材料および寸法は、上記で論じた駆動連結器342の材料および寸法と同じまたは類似のものとすることができる。
【0128】
回転フレーム327のアクチュエータ・アーム332の反対側では、コイル・アーム344の形の並進運動基板が、回転フレーム327の枢動ガイド331から放射状に延びる。コイル・アーム344は、実質上三角形の形状である。平巻コイル345が配置され、コイル・アーム344に固定される。平巻コイル345は、先行区分346および追従区分347を有し、これらの区分はどちらも、回転フレーム327が枢動ガイド331の周りを回転しているとき、区分346および347の運動方向に対して実質上直交するように延びる。先行区分346は、上部磁石ベース351に固定された第1の上部永久磁石349、および下部磁石ベース353に固定された第1の下部永久磁石352によって生成される第1の磁気活性領域348内に配置される。追従区分347は、上部磁石ベース351に固定された第2の上部永久磁石355および下部磁石ベース353に固定された第2の下部永久磁石によって生成された第2の磁気活性領域354内に配置される。
【0129】
第1の上部永久磁石349および下部永久磁石352の磁界線または回路は、第1の下部永久磁石352から第1の上部永久磁石349へ上方に、または反対の方向へ下方に誘導することができる。第2の永久磁石355および356からの磁界線も上方または下方へ誘導され、第1の上部永久磁石349のおよび下部永久磁石352とは反対の方向を有する。この構成により、枢動ガイド331の周りでコイル・アーム344に回転力がかかり、この力の方向は、平巻コイル345内を電流が流れる方向によって決まる。
【0130】
位置センサ357が、回転フレーム327に固定された光学エンコーダ・ディスク区間358を含み、光学エンコーダ・ディスク区間358は、回転フレーム327とともに回転し、ベース329に固定された光学エンコーダ359によって読み取られる。位置センサ357は、回転フレーム327の回転位置を判定し、電気リード361を介してその位置情報を処理装置360へ送る。処理装置360は、上記で論じた処理装置193の機能と同じまたは類似の機能を有することができる。平巻コイル345の導電リード363もまた、処理装置360に電気的に連結される。
【0131】
平巻コイル345の先行区分346および追従区分347内を電流が通過すると、区分346および347にかかる回転力が、回転フレーム327からアクチュエータ・アーム332へ伝達され、連結器リンク336および連結器並進運動部材341を通って、最終的に駆動連結器342へ伝えられる。使用の際には、駆動連結器342内へランセット(図示せず)が固定され、平巻コイル・ランセット・アクチュエータ325が起動する。平巻コイル345内の電流により、駆動連結器342、したがって連結器342に固定されたランセット上で生成される力が決まる。処理装置360は、位置センサ357によって測定されて処理装置360へ送られるランセットの位置および速度に基づいて、平巻コイル345内の電流を制御する。処理装置360は、上記で論じた処理装置193に類似の方法でランセットの速度を制御することが可能であり、とりわけ、上記で論じた所望のランセット速度プロファイルのいずれかを生成することができる。
【0132】
図49および
図50は、組織貫入デバイスに対するドライバ・コイル・パック370を有する制御式のドライバ369のさらに別の実施形態を示す。ドライバ・コイル・パック370は、近位端部371と、遠位端部372と、近位端部371から遠位端部372まで延びる軸方向ルーメン373とを有する。軸方向ルーメン373の周りに内側コイル374が配置されており、内側コイル374は先細りした構成を有し、細長い導体375の1インチ当たりの巻数は遠位方向に増大する。内側コイル374は、コイル・ドライバ・パック370の近位端部371からドライバ・コイル・パック370の遠位端部372まで延び、主要外径または横寸法は約1から約25mm、具体的には約1から約12mmである。
【0133】
ドライバ・コイル・パック370の近位端部371における内側コイル374の外径または横寸法は、コイル・パック370の近位端部371における軸方向ルーメン373の直径にほぼ等しい。すなわち、内側コイル374は、近位方向に先細りして外径が低減され、ドライバ・コイル・パック370の近位端部371では、細長い導電体375の巻数はほとんどまたはまったくなくなる。内側コイル374の先細りした構成により、内側コイル374の細長い導電体375内に電流が流れて内側コイル374が起動されると、ドライバ・コイル・パック370の軸方向ルーメン373内で軸方向の磁界勾配が生じる。
【0134】
内側コイル374が起動されると、軸方向の磁界勾配により、軸方向ルーメン373内に配置された磁気部材376に対して駆動力が生じ、それによって磁気部材376をドライバ・コイル・パック370の遠位端部372の方へ駆動させる。内側コイル374によって磁気部材に生じる駆動力は平滑な連続する力であり、それによって、磁気部材376、および磁気部材376に固定されたランセット377を平滑に連続して加速させることができる。いくつかの実施形態では、内側コイル374に沿って遠位方向の外径の増大と軸方向の変位との比は、約1から約0.08、具体的には約1から約0.08とすることができる。
【0135】
外側コイル378が内側コイル374上に配置され、内側コイル374と長手方向に同一の広がりを有する。外側コイル378は、増大した直径または横寸法まで近位方向に先細りすることを除いて、内側コイル374と同じまたは類似の寸法および構造を有することができる。外側コイル378に対して近位方向に細長い導電体379の1インチ当たりの巻数がより多くなることで、外側コイル378が電流で起動されると磁界勾配が生じ、それによって磁気部材376を近位方向に駆動させる。これにより、ランセット377およびドライバ・コイル・パック370の動作サイクル中に、磁気部材376に制動または逆動効果が生じる。内側コイル374および外側コイル378の細長い導電体375および379は処理装置381に連結され、処理装置381は電源382に連結される。処理装置381は、上記で論じた他の処理装置に類似の特性を有することができ、上記その他の速度プロファイルのいずれかを生じさせるように、磁気部材376およびランセット377の速度プロファイルを制御することができる。ドライバ・コイル・パック370は、上記で論じたコイル・ドライバ・パックの代わりに使用することができ、穿刺デバイス180の他の構成要素は同じまたは類似のものである。
【0136】
ドライバまたはアクチュエータ機構の実施形態について説明したが、ランセットの収納、流体サンプルの収集、サンプルの分析、またはこれらの機能の任意の組合せを行うことができるデバイスの実施形態について次に論じる。これらの前置デバイスは、上記で論じたものなどのアクチュエータ、または任意の他の適したドライバもしくは制御可能なドライバと一体化することができる。
【0137】
概して、最もよく知られている血液サンプリング方法ではいくつかの工程が必要である。第1に、ランセット、ランセット・ドライバ、検査ストリップ、分析計器などの様々な物品を集めることによって、測定セッションが設置される。第2に、患者は、無菌ランセットを装填し、検査ストリップを装填し、ランセット・ドライバを装備することによって、装具を組み立てなければならない。第3に、患者は、ランセット・ドライバに指を配置しながら、他方の手を使用してドライバを起動しなければならない。第4に、患者は、ランセット・ドライバを押し下げて、出血している指を検査ストリップ(分析計器内へ装填されていても装填されていなくてもよい)に配置しなければならない。患者は、検査ストリップ上へ血液を確実に装填し、そのような装填前に分析計器を確実に検量しなければならない。最後に、患者は、ランセットを含む血液で汚染された装具すべてを処分しなければならない。したがって、組織貫入サンプリング・デバイスの穿刺およびサンプル収集機能を一体化することで、患者の利便性に関連する利点を実現することができる。
【0138】
図51は、ランセット412を収納する使い捨てのサンプリング・モジュール410を示す。ランセット412は、ドライバ438に連結された近位端部416上のヘッドと、皮膚を穿刺する遠位端部414とを有する。遠位端部414は、導管418内に配置される。近位端部416は、空洞420内へ延びる。サンプル貯蔵器422は、ランセット412の遠位端部414に隣接して、人間工学的な輪郭の表面426上に狭い入力ポート424を有する。本明細書では、人間工学的な輪郭という用語は、表面上に配置されると、穿刺または他の方法で検査される指または他の身体部分にぴったりと嵌るような形状であることを概略的に意味する。サンプリング・モジュール410は、小さい通路(図示せず)を通って血液サンプルをサンプル貯蔵器422から分析領域428へ輸送することが可能である。分析領域428は、血液サンプルを分析する化学的、物理的、光学的、電気的、または他の手段を含むことができる。ランセット、サンプル流れチャネル、サンプル貯蔵器、および分析領域は、単一の包装されたユニット内のサンプリング・モジュール410に一体化される。
【0139】
図52は、サンプリング・モジュール410が装填されたハウジング410’内のチャンバ430を示す。サンプリング・モジュール410は、ばね434で懸架されてスロット436内に位置するソケット432上に装填される。ソケット432にドライバ438が取り付けられる。ドライバ438は、近位端部440および遠位端部442を有する。ドライバ438は、制御可能なドライバもしくは制御可能でないドライバのいずれか、またはランセットを前進、停止、および後退させるための任意のばねもしくはカム駆動式手段などの機械的手段、もしくは電磁もしくは電子駆動式手段などの電気的手段とすることができる。ドライバ438の遠位端部442とチャンバ430に取り付けられたセンサ446との間には、隙間444が位置する。ソケット432はまた、血液を分析するシステムである分析器448を収容する。分析器448は、ソケット432内へ装填されると、モジュール410上の分析領域428に対応する。
【0140】
図53は、ハウジング410’のソケット432内へサンプリング・モジュール410が装填された組織貫入サンプリング・デバイス411を示す。分析領域428と分析器448は重複する。ドライバ438は、空洞420内へ嵌る。ドライバ438の近位端部440は、ランセット412の遠位端部416に当接する。患者の指450は、人間工学的な輪郭の表面426上に位置する。
【0141】
図54は、指450が人間工学的な輪郭の表面426上に位置したときにランセット412およびドライバ438が指450の側面を穿刺するように向けられた代替ランセット構成の図面を示す。
【0142】
図55は、オリフィス452および人間工学的な輪郭の表面426を示す。導管418は、血液ウェル454上で開いたオリフィス452を有する。貯蔵器422のサンプル入力ポート424もまた、血液ウェル454上に開いている。サンプル入力ポート424の直径は、ランセット412の直径と実質上同じ直径であるオリフィス452の直径よりかなり大きい。ランセットが後退した後、指450から流れる血液は、血液ウェル454内に集まる。ランセット412はオリフィス452内へ後退し、血液がオリフィス452を通過するのを実質的に阻止する。血液は、血液ウェル454からサンプル入力ポート424を通って貯蔵器422内へ流れる。
【0143】
図56は、穿刺事象の図面を示す。患者は、指450で人間工学的な輪郭の表面426を押し下げることによって圧力を加える。これにより下方への圧力がサンプリング・モジュール410に加えられ、サンプリング・モジュール410がソケット432内へ装填される。ソケット432は、下方へ押されるとばね434を圧縮する。センサ446はドライバ438の遠位端部442に接触し、それによって人間工学的な輪郭の表面上に指が存在することを電気的に検出する。このセンサは圧電デバイスとすることができ、この圧力を検出して回路456へ信号を送り、回路456はドライバ438を作動させて前進させ、次いでランセット412を後退させて指450を穿刺する。別の実施形態では、センサ446は電気接点であり、ドライバ438に接触すると回路を閉じてドライバ438を起動させ、ランセット412を前進および後退させて指450を穿刺する。
【0144】
サンプリング方法の一実施形態では、サンプルを採取して分析するために患者が行わなければならない工程の数が低減されている。第1に、患者は、埋込み式無菌ランセットを有するサンプリング・モジュール410をハウジング・デバイス410’内へ装填する。第2に、患者は、デバイスに電力を投入することによって、または穿刺すべき指を人間工学的な輪郭の表面426上に配置して押し下げることによって、穿刺サイクルを開始する。センサを開始するとセンサが動作し、ランチャを起動するように制御する。
【0145】
センサは、意図しない複数の穿刺事象を回避するため、穿刺サイクル後にランセットが後退したときは起動されない。穿刺サイクルは、ランセットを装備、前進、停止、および後退させること、ならびに貯蔵器内に血液サンプルを収集することからなる。血液サンプルが貯蔵器内に収集された後、サイクルは完了する。第3に、患者は、サンプリング・モジュールを押し下げ、それによってドライバ38を強制的にセンサに接触させてドライバ438を起動する。次いで、ランセットは皮膚に突刺し、貯蔵器が血液サンプルを収集する。
【0146】
次いで、患者は場合により、ブザーもしくはビーパーなどの可聴信号、および/またはLEDもしくは表示画面などの視覚信号によって、指を離すように通知される。次いで、患者は、サンプリング・モジュール410を除去して処分することによって、すべての汚染部材を処分する。別の実施形態では、複数のサンプリング・モジュール410をカートリッジ(図示せず)の形でハウジング410’内へ装填することができる。患者には、組織貫入サンプリング・デバイス411によって、分析が完了した後にカートリッジ全体をいつ処分するかに関して通知することができる。
【0147】
サンプリング・モジュール410の分析領域428内でサンプルを適切に分析するには、サンプル流れチャネル、サンプル貯蔵器、または分析領域の所与の部分内に流体サンプルが存在しているかどうかを判定できることが望ましく、または必要である。領域内に流体が存在するかどうかを判定する様々なデバイスおよび方法について、以下に論じる。
【0148】
図57では、基板502内で表面504に隣接して熱センサ500が埋め込まれており、表面504の上を流体が流れることができる。表面は、たとえば、流体がその中を流れることができるチャネルの壁、または流体がその上を流れることができる平面のデバイスの表面とすることができる。熱センサ500は信号処理要素506に電気的に通信しており、信号処理要素506は、基板502内に埋め込むことができ、または遠隔に位置することができる。信号処理要素506は、熱センサ500からの信号を受け取り、その信号を増幅し、フィルタリングして雑音を低減させることなどによって修正する。
図57はまた、表面上で流体の流れに直接露出される代替位置に位置する熱センサ508を示す。
【0149】
図58は、別個の加熱要素510に隣接している熱センサ500の構成を示す。熱センサ500および加熱要素510は、基板502内で表面504に隣接して埋め込まれており、表面504の上を流体が流れることができる。代替実施形態では、1つまたはそれ以上の追加の熱センサを加熱要素に隣接させることができ、増大された信号感度を実現することができる。熱センサ500は信号処理要素506に電気的に通信しており、信号処理要素506は、基板502内に埋め込むことができ、または遠隔に位置することができる。
【0150】
信号処理要素506は、熱センサ500からの信号を受け取り、その信号を増幅し、フィルタリングして雑音を低減させることなどによって修正する。加熱要素510は電源および制御要素512に電気的に通信しており、電源および制御要素512は、基板502内に埋め込むことができ、または遠隔に位置することができる。電源および制御要素512は、制御された電圧および電流源を加熱要素510に提供する。
【0151】
図59は、表面504に沿って互いに近接して基板502内に埋め込まれた3つの熱センサ/加熱要素対(500/510)または検出器要素を有する熱センサ500(
図58に示す関連する信号処理要素506ならびに電源および制御要素512を有する)の構成を示す。この図は、表面504に対して平行に線形に配置された熱センサ500を示すが、任意の動作可能な構成を使用することができる。代替実施形態では、2つ以下または4つ以上の熱センサ/加熱要素対(500/510)を使用して、表面504全体を流れる流体の到達を示すこともできる。他の実施形態では、自己加熱式熱センサが使用され、それによって別個の加熱要素を不要にする。
【0152】
本発明の実施形態は、画成された位置に流体が到達したことを検出する簡単かつ正確な方法論を提供する。そのような検出は、速度に基づく反応を測定するためにタイミング・サイクルのゼロまたは開始時間を画成できると特に有用である。これを生化学アッセイで使用して、酵素反応などの速度に基づく反応に対して、様々なタイプの生物標本または流体内に存在する様々な被検体を検出する。関連する流体の例には、血液、漿液、血漿、尿、脳脊髄液、唾液、酵素物質、および他の関連物質、ならびに分析および生物医学分野でよく知られている流体が含まれる。特定のアッセイで生体分子流体を分析するための反応化学は一般によく知られており、使用される特定のアッセイの選択は、対象の生体液に依存する。
【0153】
本発明の実施形態に関連するアッセイには、個々の被検体または酵素、たとえばグルコース、ラクテート、クレアチニン・キナーゼなどの測定をもたらすアッセイ、ならびに全サンプルの特徴、たとえば凝結時間(凝固)または補完に依存する溶解を測定するアッセイが含まれる。本発明に対する他の実施形態では、検査物品にサンプルが追加されたこと、またはその物品内の特定の位置にサンプルが到達したことの感知を実現する。
【0154】
図60を次に参照すると、基板502が内面522を有するチャネル520を画成し、内面522の上を流体が流れることができる。チャネル520内に分析箇所524が位置し、チャネル520を流れる流体が分析箇所524に接触することができる。様々な実施形態では、分析箇所524は別法として、内面522上に位置し、基板502内へ凹部をなし、または内面522と本質的に同一平面上に位置することができる。
図60は、基板、チャネル、および分析箇所に対する熱センサのいくつかの可能な位置を示す;また、他の位置も有用であり、これは当業者には明らかなように、デバイスの設計に依存する。
【0155】
使用の際には、所期の設計に応じて、
図60に示す位置のうちの1つまたはそれ以上から熱センサを省くことができる。分析箇所の外周が熱センサ528に対する位置を提供することができるのと同様に、分析箇所524内の凹部は熱センサ526に対する位置を提供することができる。分析箇所524の上流側に(
図60で流体は右から左へ流れる)、1つもしくはそれ以上の熱センサ530、532、534が位置することができ、または分析箇所524の下流側に1つもしくはそれ以上の熱センサ536、538、540が位置することができる。
【0156】
熱センサは、熱センサ542を示すように、基板内で表面付近に埋め込むことができる。様々な他の実施形態では、熱センサ(複数可)は、内面上に位置し、内面内へ凹部をなし、または内面と本質的に同一平面上に位置することができる。また、上記のように、各熱センサを信号処理要素、加熱要素、ならびに電源および制御要素に関連させることができ、ならびに単一の信号処理要素、加熱要素、または電源および制御要素を2つ以上の熱センサに関連させることができる。
【0157】
図61は、表面556上の配列内に配置された分析箇所524に対する熱センサの可能な位置を示す。分析箇所の外周が熱センサ546に対する位置を提供することができるのと同様に、分析箇所524内の凹部は熱センサ544に対する位置を提供することができる。分析箇所の配列を取り囲む表面の縁部は、1つまたはそれ以上の熱センサ548に対する位置を提供することができる。熱センサは、特定の行550もしくは列552の配列内で分析箇所間に位置決めすることができ、または対角線554上に配置することができる。
【0158】
様々な実施形態では、熱センサ(複数可)は、基板内で表面付近に埋め込むことができ、または表面上に位置し、表面内へ凹部をなし、もしくは表面と本質的に同一平面上に位置することができる。また、上記のように、各熱センサを信号処理要素、加熱要素、ならびに電源および制御要素に関連させることができ、ならびに単一の信号処理要素、加熱要素、または電源および制御要素を2つ以上の熱センサに関連させることができる。
【0159】
非常に小さい流体サンプル上で生体分子の分析を実行するマイクロ流体デバイスなどの小型化されたシステムでは、小さい熱センサを使用できると有用である。そのような分析は概して、分析箇所を通って、分析箇所の上を、もしくは分析箇所に隣接して、生体分子流体を通過させること、ならびに試薬を使用することによって生体分子流体に関する情報を取得すること、ならびに/または分析箇所に関連する回路および/もしくは構成要素を検査することを含む。
【0160】
図62は、チャネルおよび分析箇所に対する熱センサのいくつかの可能な構成を示す。
図62に概略的に示すデバイスは、たとえば、少量のサンプル流体、たとえば生体分子流体を分析するマイクロ流体デバイスとすることができる。このデバイスは、ある量のサンプル流体を保持するサンプル貯蔵器560を有する。サンプル流体は、サンプル貯蔵器560と流動的に連通しているサンプル入口ポート562を介してサンプル貯蔵器560へ導入される。サンプル入口ポート562内またはその付近に、熱センサ564が位置する。1次チャネル566がサンプル貯蔵器560から生じ、流出貯蔵器568で終端する。
【0161】
場合により、1つまたはそれ以上の捕捉貯蔵器570が存在し、1つまたはそれ以上の捕捉チャネル572を介して1次チャネル566と流動的に連通しており、捕捉チャネル572は、捕捉貯蔵器570から1次チャネル566へつながる。捕捉貯蔵器570は、試薬液、洗浄液、現像液、固定液など、アッセイの動作に必要な流体を保持するように機能する。1次チャネル566内でサンプル貯蔵器560から所定の距離を空けて、分析箇所574の配列が存在する。
【0162】
配列576のすぐ上流(この図で流体は右から左へ流れる)および配列578のすぐ下流に、熱センサが位置する。熱センサはまた、1次チャネル内で1次チャネルがサンプル貯蔵器から生じる場所付近(580)、および1次チャネルが流出貯蔵器で終端する場所付近(582)にも位置する。捕捉チャネルは、別の熱センサ584に対する位置を提供する。
【0163】
本明細書に記載のように、デバイスが動作中のとき、サンプル入口ポート562内またはその付近に位置する熱センサ564を使用して、その熱センサの局所環境内にサンプル流体、たとえば生体分子流体が到達したことを示し、したがって、サンプル流体がデバイス内へうまく導入されたことを示す確認を提供する。1次チャネル566内で1次チャネル566がサンプル貯蔵器560から生じる場所付近に位置する熱センサ580は、サンプル流体がサンプル貯蔵器560から1次チャネル566内へ流れ始めたことを示す信号を生成する。分析箇所574の配列のすぐ上流に位置する1次チャネル566内の熱センサ576を使用して、流体サンプルが配列574に接近していることを示すことができる。同様に、1次チャネル566内で分析箇所574の配列のすぐ下流に位置する熱センサ578を使用して、流体サンプルが配列574を越えて前進し、したがって各分析箇所に接触したことを示すことができる。
【0164】
捕捉チャネル572内の熱センサ584は、捕捉貯蔵器570内に収容されている流体が捕捉貯蔵器570から流れ始めたことを示す確認を提供する。1次チャネル566内で1次チャネル566が流出貯蔵器568で終端する場所付近に位置する熱センサ582は、サンプル流体がいつ流出貯蔵器568付近に到達するかを示し、次いで十分なサンプル流体が分析箇所574の配列を通ったこと、および分析箇所における分析が完了したことを示すことができる。
【0165】
本発明の実施形態では、熱センサを使用して、熱センサ付近の熱センサの局所環境内の分析箇所などの所定の領域に流体サンプルが到達したかどうかを検出することを実現する。様々な熱センサを使用することができる。サーミスタは感熱抵抗器であり、その主要機能は、対応する温度変化を受けたときに電気抵抗の予測可能かつ精密な変化を検出することである。負温度係数(NTC)サーミスタは、温度の上昇を受けると電気抵抗の減少を示し、正温度係数(PTC)サーミスタは、温度の上昇を受けると電気抵抗の増大を示す。
【0166】
店頭販売の用途および適用のため、様々なサーミスタが製造されている。サーミスタは、華氏−100度から600度を超える温度範囲で動作することが可能である。その柔軟性のため、サーミスタは、マイクロ流体ならびに温度測定および制御の適用分野で有用である。
【0167】
温度変化の結果、それに対応してサーミスタの電気抵抗も変化する。この温度変化は、サンプルまたは周囲環境からサーミスタへの伝導もしくは放射による外部の熱伝達、またはデバイス内での電力放散による内部の熱の印加に起因する。サーミスタが「自己加熱」モードで動作するとき、デバイス内で放散される電力は、局所環境の温度を超えて温度を上昇させるのに十分になり、それによって局所環境の伝導性の熱変化がより容易に検出される。
【0168】
サーミスタは、流体レベル検出、空気流れ検出、および熱伝導材料の特性評価などの適用分野において、「自己加熱」モードで使用されることが多い。自己加熱式の伝導センサは、静止した空気中よりも流動的または動いている空気流中にかなりの熱を放散するため、このモードは流体の感知に特に有用である。
【0169】
本発明の実施形態は、熱センサがサンプルに直接露出されるように設計することができる。しかし、デバイスの材料内、たとえばサンプルを輸送するためのチャネルの壁内に熱センサを埋め込むこともできる。熱センサは、ポリマーまたは他の保護材料の薄い被覆で覆うことができる。
【0170】
このデバイスの実施形態では、温度などの監視パラメータの基準値または閾値値を確立する必要がある。理論上、これは設置方法中に確立される。流体が動き始めると、デバイスはその後、著しい変化がないかどうかを連続して監視する。「著しい」と指定される変化レベルは、雑音の阻止と十分な感度との間の妥協として設計される。「ゼロまたは開始時間」の実際の定義はまた、データの時刻歴から判定されるアルゴリズムを含むことができ、すなわち、簡単な閾値を横切る正確な瞬間からデータの時間シーケンスに基づく複雑な数学的関数の範囲で定義することができる。
【0171】
使用の際には、サンプルまたは流体がない場合、熱センサから信号が読み取られる。次いで、流体サンプルが導入される。サンプルは、熱センサの局所環境内の対象の箇所へ、または対象の箇所を越えて流れ、熱センサはサンプルが到達したことを登録する。対象の箇所は、たとえば酵素アッセイを行うための分析箇所を含むことができる。したがって、対象の箇所で流体の到達を測定することで、実行すべき反応のゼロまたは開始時間を示す。流体が存在するかどうかを検出するため、これらの箇所は、流体経路に沿った様々な所望の位置のいずれかとすることができる。本発明の実施形態は、マイクロ流体カートリッジまたはプラットホームに特によく適しており、流体サンプルが導入されてプラットホーム内の適当な位置へ流れたことを示す保証を使用者に提供する。
【0172】
速度に基づくアッセイでは、開始時間といくつかの後の時点との両方を測定しなければならず、後の時点の1つはアッセイの終了点である。したがって、基準値または閾値値を確立することができ、次いで後に著しい変化がないかどうかを連続して監視することができる;1つのそのような変化は、流体サンプルが到達して酵素反応を開始したことを示す。基準値は、デバイス設置方法中に確立されることが多い。閾値は、雑音の阻止と十分な感度との間の妥協として設計される。定義されるゼロまたは「開始時間」は、簡単な閾値を横切る正確な瞬間から、データの時間シーケンスに基づいてフィルタを使用してアルゴリズムで判定される値の範囲で定義することができる。
【0173】
本発明の実施形態では、様々な方法でこれを実現する。一実施形態では、サンプルが存在しない状態で、最初の温度測定が熱センサで行われる。サンプルが到達すると、熱センサは新しい値を登録する。次いでこれらの値が比較される。
【0174】
別の実施形態では、流体サンプルの到達によって引き起こされる熱センサの局所環境内の熱特性(熱伝導性または熱容量など)の変化を測定する。概して、これは「熱伝導センサ」または「熱束センサ」として知られている一種のデバイスの動作原理である。少なくとも2つのハードウェア実装形態が使用されており、それについては上述した。一実装形態では、「自己加熱モード」の熱センサを利用する。「自己加熱モード」では、自己加熱式熱センサは、流れチャネル内またはその付近に配置され、たとえば流れチャネルの壁の中に配置された正温度係数サーミスタを利用することができる。
【0175】
サーミスタを電流が流れ、それによってサーミスタの平均温度が上昇して周囲環境の平均温度を上回る。電気抵抗が温度に依存するため、この温度は電気抵抗から判定することができる。流体がチャネル内を流れると、サーミスタ付近の局所的な熱伝導性を変化させ(通常はより高くなる)、これによってサーミスタの平均温度の変化を引き起こす。また、熱容量を変化させ、それによって熱的な動的応答を修正する。これらの変化により信号が生じ、この信号は、よく知られている手段によって電子的に検出することができ、それによって流体が到達したことを推論することができる。
【0176】
第2のハードウェア実装形態では、流れチャネル内またはその付近の別個の加熱要素と、密接した熱センサ配置とが必要とされる。要素に電流を流すことで局所環境に熱を提供し、熱電対デバイスによって検出される局所的な温度を確立する。この温度またはその動的応答は、前述の実装形態と同様に、流体または血液が局所環境内またはその付近に到達することによって変わり、この事象が電子的に検出される。
【0177】
加熱要素は、制御された入力モードで動作させることができ、印加電流、電圧、または電力というパラメータのうちの1つまたはそれ以上を所定の方法で制御することを含むことができる。制御された入力モードで動作するとき、熱センサの温度の変動を監視して、流体が到達したかどうかを検出する。
【0178】
別法として、加熱要素は、熱センサの温度を所定の方法で制御するように動作することができる。この動作モードでは、その結果生じる加熱要素への入力パラメータ(印加電流、電圧、および電力)のうちの1つまたはそれ以上の変動を監視して、流体が到達したかどうかを検出することができる。
【0179】
前述の動作モードのいずれかにおいて、一定の値、またはデバイスの特有の動作段階中に一定に保持される一連の値で、所定のパラメータを保持することができる。所定のパラメータはまた、知られている関数または波形として時間とともに変動させることができる。
【0180】
流体の到達によって引き起こされる監視パラメータの変化は、信号処理の当技術分野ではよく知られている方法を使用して、複数の方式のいずれかで計算することができる。これらの信号処理方法では、流体が到達する前に受け取った信号と、流体が到達したときに受け取った信号との関係により、流体が到達したことを示すことが可能である。たとえば、適した信号フィルタリングを適用した後、監視値の変化または信号の値の変化率を監視して、流体が到達したかどうかを検出することができる。さらに、流体が到達すると、熱伝導性または熱容量などの局所環境の熱力学特性の動的な変化を引き起こす。入力パラメータが、時間とともに変動する関数であるとき、この熱力学特性の変化により、測定パラメータから制御パラメータへの移相が引き起こされる。この移相を監視して、流体が到達したかどうかを検出することができる。
【0181】
これらの動作モードのいずれにおいても、適当なよく知られている信号処理方法を監視パラメータに適用するとともに、所定のパラメータに対して時間とともに変動する波形を適切に選択することによって、熱雑音および動作電力レベルに対する感度を低減させることができることにも留意されたい。しかし、これらの潜在的な利益は、応答時間がより遅くなるという犠牲を伴うことがある。
【0182】
図63を参照すると、使い捨てのサンプリング・モジュール590、ランセット・ドライバ591、および任意選択のモジュール・カートリッジ592を統合する組織貫入サンプリング・デバイスの代替実施形態が示されている。任意選択のモジュール・カートリッジは、サンプリング・モジュール590を収納する収納空洞594を有するケース体593を備える。この空洞に対するカバーは、見やすいように省かれている。カートリッジは、ランセット・ドライバ591を保持するチャンバ595をさらに備える。ランセット・ドライバは予圧調整ノブ596を有し、予圧調整ノブ596によって、ランセット・ドライバのトリガ点を調整することができる。これにより、貫入の深さおよび血液採取のより良好な制御のために、皮膚の表面上に再現可能な張力が確実にかかるようにする。一実施形態では、サンプリング・モジュール590は、図示のように、ランセット・ドライバ591に着脱可能に取り付けられ、その結果、サンプリング・モジュール590は使い捨てであり、ランセット・ドライバ591は再利用可能である。代替実施形態では、サンプリング・モジュールおよびランセット・ドライバは、単一の組み合わせたハウジング内に収容され、組合せサンプル取得モジュール/ランセット・ドライバは使い捨てである。サンプリング・モジュール590はサンプリング箇所597を含み、サンプリング箇所597は、使用者の指または他の解剖学的特徴部(図示せず)の形状と共形となるように人間工学的に設計できる凹面の窪み598またはクレードルを有することが好ましい。
【0183】
サンプリング箇所は、凹面の窪み内に位置する開口部599をさらに含む。ランセット・ドライバ591を使用して、サンプリング・モジュール590内に収容されてサンプリング・モジュール590によって案内されるランセットを始動させ、サンプリング箇所597上に指が配置されると使用者の指上に穿刺を作る。一実施形態では、サンプリング箇所に皮膚をしっかりと付勢すると、サンプリング箇所は開口部で実質上気密性の封止を形成する;サンプリング箇所は、周囲空気による血液サンプルの汚染をさらに制限するように開口部を取り囲む柔軟な圧縮性材料をさらに有することができる。この文脈で「実質上気密性」とは、正常な動作条件下では無視できるほどの量の周囲空気しか封止から漏れないことを意味し、実質上気密性の封止によって血液を連続的に収集することが可能になる。
【0184】
図64および
図65を参照すると、ランセット600は一体型のハウジング601内に保護されており、ハウジング601は、使用者の指または他の身体部分を位置決めするクレードル602と、クレードル602内のサンプリング・ポート603と、その結果得られる血液サンプルを収集するサンプル貯蔵器603’とを提供する。ランセット600は、最小の痛みで穿刺を行うために鋭利な遠位端部604を有する軸である。ランセット600は、遠位端部の反対側に拡大された近位端部605をさらに有する。類似のランセットは、当技術分野では一般に知られている。
【0185】
鋭利な端部を有する軸に制限されるのではなく、ランセットは、当技術分野で知られている様々な構成を有することができ、そのような他のランセット構成に対応するためにシステムには適した修正が加えられ、そのような構成は、サンプリング・ポートから出て創傷を作る鋭利な計器を有し、その創傷から血液サンプルを採取することができる。
【0186】
これらの図では、ランセット600は、ハウジング601内のランセット・ガイド606内に摺動可能に配置され、ランセット・ガイド606内のランセット600の動きは、ランセットの横方向の運動を低減させるように厳密に制御され、それによって穿刺時に突き刺す痛みを低減させる。サンプル取得モジュールはまた、サンプル取得モジュール内でランセットを保持する戻り止め613を含む。サンプリング・モジュールは、ランセット・ドライバに装着するための装着箇所615を有する。
【0187】
サンプリング・モジュールは深さ選択器をさらに含み、深さ選択器により、使用者がいくつかの貫入深さ設定のうちの1つを選択することが可能になる。深さ選択器は、目盛り付きの表面を有する多位置サムホイール607として示されている。サムホイール607を回転させることによって、使用者は、ランセット・ガイド606内でランセット600の動きを制限するために、目盛り付きの表面のどの部分をランセットの拡大された近位端部605に接触させるかを選択する。
【0188】
サムホイールは、サムホイール607内のいくつかの窪み609(たとえば、凹み、溝、またはスロット)のうちの少なくとも1つに係合する突出した丸い表面を有する保持器608によって、選択された位置で維持される。窪み609は、サムホイール607の目盛り付きの傾斜に一致するように空間的に位置合わせされ、その結果、サムホイール607を回すと深さ設定が選択され、選択された特定の深さ設定に対応する窪み609に保持器608が係合することによって維持される。
【0189】
代替実施形態では、保持器は深さ選択器上に位置することができ、深さ設定に対応する窪みは、保持器が窪みに機能的に係合できるようにハウジング上に位置することができる。構成要素を位置合わせされた状態で維持する他の類似の配置も当技術分野では知られており、それを使用することもできる。さらなる代替実施形態では、深さ選択器は、ランセットの拡大された近位端部に接触する目盛り付きの傾斜を有するくさびの形をとることができ、くさびはハウジング内の溝によって保持される。
【0190】
サンプル貯蔵器603’は、サンプル取得モジュールのハウジング601内に細長く丸いチャンバ610を含む。チャンバ610は、平坦またはわずかに球状の形状を有し、チャンバ610の少なくとも1つの側面は、好ましくは鋭利な角のない平滑なポリマーによって形成される。サンプル貯蔵器603’はまた、サンプリング・ポート603と流動的に連通しているチャンバ610へのサンプル入力ポート611と、チャンバから出る排出口612とを含む。
【0191】
好ましくはプラスチックなどの透明の材料のカバー(図示せず)が、ランセット600を位置決めしてチャンバ603’を閉じ、チャンバ603’の反対側の側面を形成する。カバーが透明の実施形態では、カバーは検査手段として働くことができ、この検査手段によって、カバーを通じて動作する光感知技法を介して、貯蔵器内でサンプルを分析することができる。透明カバーはまた、サンプル貯蔵器が血液サンプルで一杯であるときに目視による判定を支援する。
【0192】
図66は、サンプル貯蔵器の代替実施形態を示すサンプリング・モジュールの一部分を示す。サンプル貯蔵器はチャンバ616を有し、チャンバ616は、チャンバ616を血液輸送毛細管チャネル618につなぐサンプル入力ポート617を有する;チャンバ616はまた、排出口619を有する。チャンバは第1の側面620を有し、第1の側面620は、鋭利な角のない平坦またはわずかに球状の形状を有し、平滑なポリマーによって形成される。チャンバ616の外周にはエラストマ隔膜621が取り付けられており、チャンバの第1の側面620に密接に嵌ることが可能であることが好ましい。
【0193】
血液の流れる方向を制御するために、サンプル貯蔵器は、サンプル貯蔵器の入口617に位置する第1の逆止弁622と、排出口619に位置する出口チャネル624につながる第2の逆止弁623とを備える。別法として、血液輸送毛細管チャネル618を介してチャンバ616内へ進む流れと、チャンバ616から出て任意選択の代替出口チャネル625内へ進む流れとの両方を制御する単一の逆止弁(位置622)が存在することもできる。サンプル貯蔵器は、隔膜621の動きを容易にする変動圧力源に連結される導管626を有する。
【0194】
隔膜621が曲がってチャンバの第1の側面620から離れると(導管626を介して圧力源から供給される圧力が低い)、第1の逆止弁622が開いて第2の逆止弁623が閉じ、続いて血液サンプルがサンプル貯蔵器内へ吸い込まれる。隔膜621がチャンバの第1の側面620の方向に曲がり(導管626を介して圧力源から供給される圧力が高い)、第1の逆止弁622が閉じて第2の逆止弁623が開くと、血液は強制的にチャンバ616から排出される。隔膜621の動き方向および作動速度は圧力源によって制御することができ、したがってサンプルの流れを加速または減速させることができる。この機能により、血球の損傷を低減させるだけでなく、チャンバ616が充填される速度を制御することが可能になる。
【0195】
この実施形態では空気圧による手段を介して隔膜621を制御することについて説明するが、別法として機械的手段を使用することもできる。本質的に、このマイクロ膜ポンプは、吸引、収納、および送達機能を満たす。本質的に隔膜621をポンプとして使用して、すべての必要な領域に到達するように血液の伝達を容易にすることができる。そのような必要な領域は、血液を検定するため、または血液を化学センサもしくは他の検査手段に露出させるための、さらに下流の簡単なサンプル収納領域とすることができる。血液の送達は、サンプリング・モジュール内の箇所へ、またはサンプリング・モジュールの外側の箇所、すなわち別個の分析デバイスへ行うこともできる。
【0196】
代替実施形態では、化学センサまたは他の検査手段がサンプリング・モジュール内に位置し、血液は、サンプル貯蔵器と流動的に連通している血液伝達チャネルを介して化学センサまたは他の検査手段へ送達される。サンプリング・モジュールの構成要素は射出成形することができ、隔膜は、一体型の構成要素として溶融またはインサート成形することができる。
【0197】
図67は、サンプリング・ポート627を取り囲む使い捨てのサンプリング・モジュールの一部分を示し、サンプリング箇所クレードル表面628の一部分を含む。サンプリング・モジュールのハウジングは、サンプル入力ポートをサンプル貯蔵器に連結させる毛細管チャネルである1次サンプル流れチャネル629を含む。1次サンプル流れチャネル629は、1次チャネルルーメン表面630および1次チャネル入口631を含み、1次チャネル入口631はサンプル入力ポート627内へ開いている。サンプリング・モジュールは、場合により、同様に捕捉チャネルルーメン表面633および捕捉チャネル入口634を有する毛細管チャネルである捕捉サンプル流れチャネル632を含むことができ、捕捉チャネル入口634はサンプル入力ポート627内へ開いている。
【0198】
1次サンプル流れチャネル629は、捕捉サンプル流れチャネル632より大きい、好ましくは少なくとも2倍の断面積を有する。したがって、捕捉サンプル流れチャネル632は、1次サンプル流れチャネル629より速く流体を引き込む。第1の血液小滴がサンプル入力ポート627内へ受容されると、この小滴の大部分は捕捉サンプル流れチャネル632内へ引き込まれる。しかし、血液が引き続き穿刺部からサンプル入力ポート627内へ流れるにつれて、捕捉サンプル流れチャネル632の容量が制限されており、第1の血液小滴で充填またはほぼ充填されるため、この血液の大部分は1次サンプル流れチャネル629内へ引き込まれる。この2重毛細管チャネル構成は、サンプルの汚染、たとえばランセット衝撃からの破片、または(特に、血液ガス検査の場合)空気に伴う問題がある場合の検査で特に有用である。
【0199】
血液小滴の流れを改善するには、毛細管流方法を開始するために、血液による表面のプライミングまたはウィッキングが必要になることがある。表面のうち、サンプル入力ポート627ならびに1次サンプル流れチャネル629および捕捉(存在する場合)サンプル流れチャネル632の部分は、これらの表面が親水性になるように処理される。この表面改質は、機械、化学、コロナ、またはプラズマ処理を使用して実現することができる。そのような被覆および方法の例は、AST Products(Billerica、MA)およびSpire Corporation(Bedford、MA)によって市販されている。
【0200】
しかし、表面の完全なブランケット処理は、血液を毛細管チャネル(複数可)へ優先的に流すのではなく、表面全体にむやみに流すことによって、有害になる可能性もある。これは最終的に、血液の損失を招く。処理を受ける特定の表面は、サンプリング箇所クレードル表面628上にある穿刺した指からサンプル入力ポート627およびサンプル流れチャネル629、632の少なくとも1つを通ってサンプル貯蔵器へ進む血液の流れを改善するように選択される。したがって、この処理は、選択された表面のみにマスキングおよび制限されるべきである。サンプリング表面を疎水性から親水性へ選択的に改質するマスキング処理は、金属遮蔽、誘電体もしくは導電膜の堆積、または電気遮蔽手段などの機械的マスキング技法によって行うことができる。
【0201】
いくつかの実施形態では、処理される表面は、以下:すなわち、サンプリング・ポートのうち、サンプリング箇所クレードル表面と1次および捕捉サンプル流れチャネルとの間に位置する表面、1次サンプル流れチャネル631および/または捕捉サンプル流れチャネル634(どちらもサンプル入力ポート内およびサンプル流れチャネル内)への入口に密接する表面、ならびに1次サンプル流れチャネル630および/または捕捉サンプル流れチャネル633のルーメン表面のうちの1つまたはそれ以上に制限される。
【0202】
穿刺血液は、出るとき、サンプル入力ポート627を通って、捕捉サンプル流れチャネル632(存在する場合)および1次サンプル流れチャネル629内に入ってサンプル貯蔵器へ優先的に動き、その結果、血液が効率的に取り込まれる。別法として、基板材料は、親水性または疎水性になるように選択することができ、基板材料の表面の一部分を反対の特徴を有するように処理することができる。
【0203】
一実施形態では、
図67で、サンプル入力ポート627のベースにおける膜635が、ランセットの後退させた鋭利な遠位端部636と、サンプル流れチャネル631、634への入口との間に位置決めされる。膜635は、ランセット637の遠位端部を取り囲む領域636内へ血液が流れるのを制限することによって、サンプル流れチャネル629、632を通る血液サンプルの流れを容易にする。したがって、血液はサンプル貯蔵器内へ優先的に流れる。一実施形態では、膜635は、疎水性を有するように処理される。別の実施形態では、膜635はポリマー・ベースの膜638から作られ、シリコーン・ベースのゲル639で被覆される。
【0204】
たとえば、膜の構造は、商標MYLARで販売されている膜など、ポリエチレン・テレフタレートから構成されたポリマー・ベースの膜638を含むことができる。膜の構造は、商標SYLGARDで販売されているゲルなど、シリコーン・ベースのゲル639の薄い被覆を、膜の少なくとも1つの表面上にさらに含むことができる。そのような膜の有用性は、ランセットのカッティング先端部および縁部に物理的な影響を与えることなく、ランセットが貫入した後に再封止する能力である。MYLAR膜は構造上の安定性を提供する一方、薄いSYLGARDシリコーン積層体は、形状を保持し、MYLAR膜内に作られた孔を閉じるのに十分な可撓性を有する。この実施形態では、膜の製造において、構造上の安定性および柔軟性の役割を満たす他の類似の材料を使用することもできる。
【0205】
膜635は、ランセット637の鋭利な遠位端部がサンプル入力ポート627内へ進んでサンプル入力ポート627を通るときにランセット637の鋭利な遠位端部が膜に突刺することが可能になるように動作する。一実施形態では、膜635のシリコーン・ベースのゲル639は、突刺ランセットによって生じるカット部を自動的に封止する。したがって、使用者の指上に穿刺が作られた後、穿刺からの血液が膜635を通って流れないようにし、それによって血液が1次サンプル流れチャネル629を通過してサンプル貯蔵器内に収納されるのを支援する。したがって、膜は、あらゆる血液がランセット・デバイス・アセンブリ内へ流れるのを防止し、それによってランセット・デバイス機構空洞内への血液の汚染および損失を防止する。再封止層639がない場合でも、疎水性の膜635が膜635を横切る血液の流れを抑止し、その結果、1次サンプル流れチャネル629を通る流れが改善され、突刺された膜635を通る流れが低減または排除される。
【0206】
図68〜
図70は、ランセット・ドライバの使用中の3つの異なる点におけるランセット・ドライバ640の一実装形態を示す。ランセット・ドライバについてのこの説明では、近位とは、サンプリング・モジュールを装着箇所に比較的に近接している位置を示す;逆に、遠位とは、サンプリング・モジュールを装着箇所から比較的遠い位置を示す。ランセット・ドライバは、円筒形のウェル642を画成するドライバ・ハンドル本体641を有し、ウェル642内に予圧ばね643が位置する。予圧ばね643より近位には、ドライバ・スリーブ644が位置し、ウェル642内に密接に嵌り、摺動可能に配置される。ドライバ・スリーブ644は、円筒形のドライバ・チャンバ645を画成し、ドライバ・チャンバ645内に、アクチュエータばね646が位置する。アクチュエータばね646より近位には、プランジャ・スリーブ647が位置し、プランジャ・スリーブ647はドライバ・スリーブ644内に密接に嵌り、摺動可能に配置される。
【0207】
ドライバ・ハンドル本体641は、ねじ山を切った通路649を画成する遠位端部648を有し、通路649内へ予圧ねじ650が嵌る。予圧ねじは、端ぐり穴651を画成する。予圧ねじ650は、予圧調整ノブ653に取り付けられた遠位端部652と、開口655を画成する近位端部654とを有する。ドライバ・スリーブ644は、キャッチ・フィッティング657に取り付けられた遠位端部656を有する。キャッチ・フィッティング657は、キャッチ孔658を画成する。ドライバ・スリーブ644は近位端部659を有し、近位端部659は、ドライバ・スリーブの近位端部659の内面を囲む傾斜リング特徴部660を有する。
【0208】
ランセット・ドライバは、近位端部661および遠位端部662を有するプランジャ軸660を含む。遠位端部662では、拡大されたプランジャ・ヘッド663がプランジャ軸660を終端する。近位端部661では、プランジャ先端部667内の孔665内への接着接合、溶接、クリンピング、またはねじによって、プランジャ軸660がプランジャ先端部667に固定される。プランジャ軸660上でプランジャ・ヘッド663とプランジャ先端部667との間に、プランジャ・フック665が位置する。プランジャ・ヘッド663は、予圧ねじ650によって画成される端ぐり穴651内に摺動可能に配置される。プランジャ軸660は、プランジャ・ヘッド663から、予圧ねじの近位端部654によって画成された開口655を通って延び、そこからキャッチ・フィッティング657内の孔658を通って、プランジャ先端部667内の接合部664へ延びる。組立ての目的で、プランジャ・ベース接合部664はプランジャ・スリーブ647内へ一体化することができ、プランジャ軸660は、クリンピング、スウェージング、接着、溶接、または他の手段によってプランジャ・ベース664に装着することができる。ランセット・ドライバ640は、上記で論じた制御式の電磁ドライバのいずれかと置き換えることもできることに留意されたい。
【0209】
組織貫入サンプリング・デバイスの動作について、
図63〜
図70を参照して以下に説明する。動作の際には、新しいサンプリング・モジュール590が収納空洞594から取り出されて、多位置サムホイール607を使用して所望の深さ設定に調整される。次いで、ランセット・ドライバ591の端部上へサンプリング・モジュール590が配置される。予圧設定を確認することができるが、好ましい設定が見つかった後は、サイクルごとに変化しない;必要な場合、予圧調整ノブ596を使用して予圧設定を調整することができる。
【0210】
次いで、組み合わせたサンプリング・モジュールおよびランセット・ドライバ・アセンブリは、平滑な運動で使用者の指(または他の選択された解剖学的特徴部)に押し当てられ、その後事前設定されたトリガ点に到達する。トリガ点は、ドライバを作動させてランセットを皮膚の方へ駆動させるのに打ち勝つ必要のある予圧力の量に対応する。予圧ねじにより、穿刺が実行されるたびに一貫した事前設定(使用者による)された量の予圧力がサンプリング箇所597に印加されるように、使用者が予圧設定を調整することが可能になる。
【0211】
アセンブリを使用者の指に押し当てる運動が始まると(
図68参照)、プランジャ・フック665がキャッチ・フィッティング657に係合し、アクチュエータばね646を上向きの位置で保持する一方、ドライバ・スリーブ644が引き続き予圧ばね643を圧縮するにつれて、指にかかる力は蓄積する。最終的に(
図69参照)、プランジャ・フック665の傾斜した裏面が予圧ねじ654の近位端部内の孔655内へ摺動し、キャッチ・フィッティング657から係合解除される。プランジャ・フック665が解放されると、プランジャ・スリーブ647は近位方向に自由に動くことができ、プランジャ・スリーブ647はアクチュエータばね646によって加速され、その後プランジャ先端部667は、ランセット212の拡大された近位端部に当たる。
【0212】
ランセットの拡大された近位端部605に当たると、作動したランセット・ドライバのプランジャ先端部667は、ランセットの拡大された近位端部605に可逆的に係合する。これは、機械的手段、たとえばランセットの拡大された近位端部605上の相補型のフィッティングに取外し可能に係合するプランジャ先端部667に取り付けられたフィッティングによって実現することができ、または作動したランセット・ドライバのプランジャ先端部667に付着する接着剤で、ランセットの拡大された近位端部605を被覆することができる。プランジャ先端部667によって係合されると、ランセット600はランセット・ガイド606内を摺動し、ランセットの鋭利な遠位端部604がサンプリング・ポート603を通ってハウジング601から現れ、使用者の指に穿刺を作る。
【0213】
プランジャ先端部667がランセットの拡大された近位端部605に接触する点付近で、アクチュエータばね646は弛緩位置にあり、プランジャ先端部667は最大速度で進んでいる。延長行程中、アクチュエータばね646は延ばされ、プランジャ先端部667およびランセット600を遅くしている。ランセットの拡大された近位端部605が多位置サムホイール607に当たると、行程が終了する(
図70参照)。
【0214】
次いで、ランセット600の動く方向が逆になり、次いで、延びたアクチュエータばねは、再びサンプリング・ポート603を通ってランセットの鋭利な遠位端部604を迅速に後退させる。戻り行程の終了時に、ランセット600は戻り止め613によってプランジャ先端部667から外される。接着剤が戻り止め613に付着し、ランセットを安全な位置で保持する。
【0215】
血液は、創傷から染み出ると、サンプル入力ポート603を充填し、毛管作用によってサンプル貯蔵器603’内へ引き込まれる。この実施形態では、創傷に減圧または真空は生じず、すなわち創傷は周囲空気圧力にあるが、たとえばシリンジまたはポンプによって供給される吸引によって血液サンプルを引き込む実施形態を使用することもできる。排出口612により、チャンバ全体が充填されるまで引き続き毛管作用を生じさせることが可能であり、他の計器類によって血液を分析するための伝達ポートが提供される。指は、サンプル貯蔵器内で完全なサンプルが観察されるまで、サンプル取得モジュールに当てたまま保持される。
【0216】
サンプリング・モジュール600がランセット・ドライバ591から除去されると、戻り止め613構造の一部である掛止614がランセット・ドライバ591の内部で傾斜リング特徴部660に係合する。ランセット・ドライバ591がサンプリング・モジュール600から除去されると、掛止は戻り止め613をランセット600の方へ強制的に回転させ、屈曲させて安全な位置でロックし、再利用を防止する。
【0217】
サンプリング・モジュール600がランセット・ドライバ591から除去されると、ドライバ・スリーブ644は、予圧ばね643内に蓄積されたエネルギーによってドライバ・ハンドル本体641内を強制的に摺動させられる。ドライバ・スリーブ644、プランジャ・スリーブ647、およびアクチュエータばね646はともに外方へ動き、その後、プランジャ軸660上のプランジャ・ヘッド663が、予圧ねじ654の近位端部で端ぐり穴651の底部に接触する。予圧ばね643は、引き続きドライバ・スリーブ644を外方へ動かしてアクチュエータばね646を圧縮し、その後プランジャ・フック665がキャッチ・フィッティング657内の孔658を通過する。最終的に、2つのばねは平衡状態に到達し、プランジャ・スリーブ647は上向きの位置で静止する。
【0218】
サンプリング・モジュール600は、ランセット・ドライバ591から除去された後、血液の化学的性質の読取り値を取得するために別個の分析デバイス内に配置することができる。好ましい実施形態では、サンプリング・モジュール600の一体型のハウジング601またはサンプル貯蔵器603’は少なくとも1つのバイオセンサを収容し、このバイオセンサは、別個の分析デバイスによって電力供給され、かつ/または読み取られる。別の実施形態では、分析デバイスは、サンプリング・モジュールの透明のプラスチック・カバーを通じて直接、血液サンプルの光学分析を実行する。別法として、血液サンプルをサンプリング・モジュールから分析デバイス内へ伝達して、様々な分析方法へ分配することができる。
【0219】
本発明の代替実施形態は、サンプリングに対して改善された成功率を提供し、それによって、不十分な体積充填によるサンプル収納貯蔵器または分析モジュールの不要な犠牲を低減させる。代替実施形態では、十分な血液が収集されたことを自動的に検証してから、サンプリング箇所から皮膚を外してよいという信号を使用者に(たとえば、信号光または可聴ビープによって)送ることを可能にする。そのような代替実施形態では、1つもしくはそれ以上の追加のランセット(複数可)(図示の予備ランセット)、および/またはランセット・ドライバ(複数可)(図示の予備ランセット・ドライバ)、および/またはサンプル貯蔵器(複数可)(図示の予備サンプル貯蔵器)が、「1次」サンプリング・モジュールとともに存在する。
【0220】
1つのそのような好ましい実施形態では、血液サンプルの量が不十分であることを検出すると(たとえば、光または電子的方法による)、予備サンプリング・サイクルが自動的に開始される。「予備サンプリング・サイクル」は、簡単なバルブ・システムを介して1次サンプル貯蔵器を取り外すことと、予備構成要素を接続状態にすることと、皮膚の穿刺と、血液の収集と、血液を予備サンプル貯蔵器へ動かすこととを含む。
【0221】
血液は、必要な量が採取されるまで、予備サンプル貯蔵器内へ流れる。サイクルは、必要に応じて何度も繰り返された後、正しい量が採取される。このときようやく、サンプル貯蔵器は、測定での使用または他の適用分野に対するサンプリングした血液の供給源として利用可能になる。一連の貯蔵器および/またはランセットおよび/またはランセット・ドライバは、同じハウジング内で容易に製造することができ、使用者に対して透過的である。
【0222】
一実施形態では、単一のサンプル取得モジュール内に最高3つのサンプル貯蔵器(1次と2つの予備)が存在し、それぞれ毛細管チャネル/バルブ・システムを介して1つまたはそれ以上のサンプリング・ポートに連結される。別の実施形態では、単一のサンプル取得モジュール内に4つのサンプル貯蔵器(1次と3つの予備)が存在し、それぞれ毛細管チャネル/バルブ・システムを介して1つまたはそれ以上のサンプリング・ポートに連結される。いくつかの実施形態では、3つまたは4つのサンプル貯蔵器を有する場合、少なくとも80%のサンプリング成功率を実現することができる。
【0223】
別の実施形態は、小型版の組織貫入サンプリング・デバイスを含む。単一のサンプリング箇所内にいくつかの小型のランセットが位置することができ、対応するサンプル流れチャネルが、1つまたはそれ以上の貯蔵器へ血液を伝達する。サンプル流れチャネルは、場合により、血液の流れを制御するバルブを有することができる。デバイスはまた、たとえば十分な量の血液を採取したかどうかを判定するために、血液が存在するかどうかを検出する上記で論じた熱センサなど、1つまたはそれ以上のセンサを含むことができる。そのような一実施形態では、使い捨てのサンプリング・モジュール、ランセット・ドライバ、および任意選択のモジュール・カートリッジは、長さ約150mm、幅60mm、および厚さ25mm以下の寸法を有する。
【0224】
他の実施形態では、使い捨てのサンプリング・モジュール、ランセット・ドライバ、および任意選択のカートリッジを含む組織貫入サンプリング・デバイスの寸法は、長さ約100mm、幅約50mm、および厚さ約20mm以下の寸法を有し、さらに他の実施形態では、長さ約70mm、幅約30mm、および厚さ約10mm以下の寸法を有する。使い捨てのサンプリング・モジュール、ランセット・ドライバ、および任意選択のカートリッジを含む組織貫入サンプリング・デバイスの寸法は概ね、少なくとも長さ約10mm、幅約5mm、および厚さ約2mmである。
【0225】
別の小型の実施形態では、カートリッジまたはサンプリング・モジュールをもたないランセット・ドライバの寸法は、長さ約80mm、幅10mm、および厚さ10mm以下、または具体的には長さ約50mm、幅7mm、および厚さ7mm以下、またはさらに具体的には長さ約15mm、幅5mm、および厚さ3mm以下である;カートリッジまたはサンプリング・モジュールをもたないランセット・ドライバの寸法は概ね、少なくとも長さ約1mm、幅0.1mm、および厚さ0.1mm、または具体的には少なくとも長さ約2mm、幅0.2mm、および厚さ0.2mm、またはさらに具体的には少なくとも長さ約4mm、幅0.4mm、および厚さ0.4mmである。
【0226】
さらに別の小型の実施形態では、ランセット・ドライバまたはカートリッジをもたない小型のサンプリング・モジュールの寸法は、長さ約15mm、幅約10mm、および厚さ約10mm以下、または長さ約10mm、幅約7mm、および厚さ約7mm以下、または長さ約5mm、幅約3mm、および厚さ約2mm以下である;ランセット・ドライバまたはカートリッジをもたない小型のサンプリング・モジュールの寸法は概ね、少なくとも長さ約1mm、幅0.1mm、および厚さ0.1mm、具体的には少なくとも長さ約2mm、幅0.2mm、および厚さ0.2mm、またはさらに具体的には少なくとも長さ約4mm、幅0.4mm、および厚さ0.4mmである。
【0227】
別の実施形態では、小型化されたサンプリング・モジュールおよびランセット・ドライバは、共用のハウジングを有する単一のユニットを形成し、組み合わせたサンプル取得モジュール/ランセット・ドライバ・ユニットは使い捨てである。そのような組み合わせたユニットは、長さ約80mm、幅約30mm、および厚さ約10mm以下、具体的には長さ約50mm、幅約20mm、および厚さ約5mm以下、より具体的には長さ約20mm、幅約5mm、および厚さ約3mm以下である;組み合わせたユニットは概ね、少なくとも長さ約2mm、幅約0.3mm、および厚さ約0.2mm、具体的には少なくとも長さ約4mm、幅0.6mm、および厚さ0.4mm、より具体的には少なくとも長さ約8mm、幅1mm、および厚さ0.8mmである。
【0228】
図71を参照すると、使い捨てのサンプリング・モジュール608のカートリッジおよび分析器デバイス669を統合する組織貫入サンプリング・デバイスの別の実施形態が示されている。分析器デバイス669はデック670を含み、デック670は、システムの後縁部672に沿ってヒンジによってデックに取り付けられた蓋671を有する。蓋671上の読出し表示部673は、分析器デバイス669および/もしくはサンプリング・モジュール・カートリッジ668の状態に関する情報を使用者に与え、または血液検査の測定値を与えるように機能する。分析器デバイス669は、分析器デバイス669の機能を制御し、または読取りデバイス669内へ情報を入力するためのいくつかの機能ボタン674を有する。別法として、読取りデバイスは、接触式画面、光学スキャナ、または当技術分野で知られている他の入力手段を有することができる。
【0229】
光学スキャナを有する分析器デバイスは、臨床の設定において、患者のリストバンドまたはファイル上の走査コードを使用して患者情報を記録できることが特に有用である。分析器読取りデバイスはメモリを有することができ、それによって分析器デバイスは、多くの最近の検査の結果を記憶することを可能にする。分析器デバイスはまた、クロックおよびカレンダ機能を有することができ、それによってメモリ内に記憶された検査の結果に日時を記録することを可能にする。コンピュータ・インターフェース675により、メモリ内の記録をコンピュータへエクスポートすることを可能にする。分析器デバイス669は、デック670と蓋671との間に位置するチャンバを有し、このチャンバは、サンプリング・モジュール・カートリッジ668を厳重に収容する。蓋671を持ち上げることでチャンバにアクセスし、サンプリング・モジュール・カートリッジ668を挿入または除去することが可能である。
【0230】
図72は、サンプリング・モジュール・カートリッジの一実施形態の特徴部のいくつかを示す図である。サンプリング・モジュール・カートリッジ668は、分析器デバイス上の相補型の表面と嵌合する方位感知性の接触インターフェースを有するハウジングを有する。接触インターフェースは、サンプリング・モジュール・カートリッジと分析器デバイスを位置合わせするように機能し、また、新しいサンプリング事象に備えて分析器デバイスがサンプリング・モジュール・カートリッジを回転させることを可能にする。接触インターフェースは、ハウジング内に形成された歯車または溝の形をとることができ、分析器デバイスのチャンバ内の相補型の歯車または溝と嵌合する。
【0231】
サンプリング・モジュール・カートリッジは、サンプリング・モジュール・カートリッジ668の外周付近にわずかに凹面の窪みとして示す複数のサンプリング箇所678をハウジング上に有する。各サンプリング箇所は、サンプリング・モジュールに入るサンプル入力ポートと連続した開口部679を画成する。代替実施形態では、サンプリング箇所およびサンプル入力ポートは、サンプリング・モジュール・カートリッジの縁部上に位置する。光窓680により、検査結果を光学的に読み取る目的で、光をサンプリング・モジュール・カートリッジ内へ伝送することが可能になる。別法として、センサ接続点により、電気接点を介して検査結果を分析器デバイスへ伝送することも可能である。アクセス・ポート681は、存在する場合、力または圧力を分析器デバイスからサンプリング・モジュール・カートリッジ内へ伝送することを可能にする。アクセス・ポートは、検量検査を行うこと、または試薬とサンプリングされた血液もしくは他の体液を組み合わせることと一緒に使用できることが有用である。
【0232】
記載の特徴部は、サンプリング・モジュール・カートリッジの周りに配置され、サンプリング・モジュール・カートリッジは、多くのサンプリング・モジュールに放射状に分割されており、各サンプリング・モジュールは、単一の血液サンプリングおよび検査事象を実行するのに必要な構成要素を有する。サンプリング・モジュール・カートリッジ上には複数のサンプリング・モジュールが存在し、概して、単一の使い捨てのサンプリング・モジュール・カートリッジ上に少なくとも10個のサンプリング・モジュールが存在する;いくつかの実施形態では、少なくとも約20個以上が存在し、一実施形態では、少なくとも約34個のサンプリング・モジュールが存在し、それによって、サンプリング・モジュール・カートリッジを分析器デバイス内で約1週間維持してから、新しいサンプリング・モジュール・カートリッジと交換することが可能になる(1日当たり5回のサンプリングおよび検査事象を7日間行うものとする)。小型化を増大させることで、単一のサンプリング・モジュール・カートリッジ上に最高約100個以上、好ましくは最高約150個のサンプリング・モジュールを含むことができ、それによって新しいサンプリング・モジュール・カートリッジとの交換までの間を最高1箇月とすることが可能になる。単一のサンプリング・モジュール・カートリッジ上のサンプリング・モジュールの数をより多くするには、サンプリング・モジュール・カートリッジの周囲でいくつかの同心円状のリング内にサンプリング箇所を配置すること、または他の形でハウジング表面上へ詰めることが必要になることもある。
【0233】
他の実施形態では、サンプリング・モジュール・カートリッジは、分析器デバイス内へ好都合に挿入できる、複数のサンプリング・モジュールを収容するように設計された任意の他の形状、たとえば正方形、方形、楕円形、または多角形の形状とすることができる。各サンプリング・モジュールが小型化され、概ね長さ約6.0cm×幅約1.0cm×厚さ約1.0cm未満であり、その結果、約6.0cmの半径を有するディスクの周囲に35個程度のくさび形のサンプリング・モジュールを嵌めることができる。いくつかの実施形態では、サンプリング・モジュールは、さらに小さくすることができ、たとえば長さ約3.0cm×幅約0.5cm×厚さ約0.5cm未満とすることができる。
【0234】
図73は、分析器デバイス内に位置決めされた単一のサンプリング・モジュールを非常に概略的に示す。当然ながら、機能システムを得るために様々な記載の構成要素を様々な構成で物理的に配置できることが、当業者には想到されよう。
図73は、いくつかの構成要素を示すが、これらの構成要素は、代替実施形態のみに存在することもあり、あらゆる単一の実施形態に必ずしもすべて存在するわけではない。サンプリング・モジュールは、カートリッジ・ハウジング685上にサンプリング箇所684によって画成された開口部683に連続したサンプル入力ポート682を有する。サンプル入力ポート682に隣接してランセット先端部687を有するランセット686が、ハウジング内で動作可能に維持され、その結果、ランセット686は、サンプル入力ポート682を通ってランセット先端部687をサンプリング・モジュール・カートリッジの外側へ延ばすように動くことができる。
【0235】
ランセット686はまた、ランセット先端部の反対側にランセット・ヘッド688を有する。ランセット686は、ランセット686の周囲のコイルとして概略的に示すランセット・ドライバ689によって動くように駆動される。ランセット・ドライバ689は場合により、図示のようにサンプリング・モジュール・カートリッジ内に含まれ、または別法としてサンプリング・モジュール・カートリッジの外部に位置する。サンプリング・モジュールは、ランセット・ヘッド688に隣接してハウジングによって画成されたドライバ・ポート690をさらに含むことができ、ドライバ・ポート690により、外部のランセット・ドライバ691がランセット686にアクセスすることが可能になる。
【0236】
ランセット・ドライバ689がサンプリング・モジュール・カートリッジ内に位置する実施形態では、分析器デバイスがアクセス可能なドライバ接続点694をハウジング上に有することが必要になることがある。ドライバ接続点694は、ランセット・ドライバ689をトリガする手段、またはランセット・ドライバ689に原動力を供給し、たとえば電気機械的ランセット・ドライバに電流を供給する手段とすることができる。制御可能なドライバ、電気機械的ドライバなどを含む上記で論じたドライバはいずれも、図示のランセット・ドライバ689に置き換えることができることに留意されたい。
【0237】
一実施形態では、ランセット先端部687とサンプル入力ポート682との間に突刺可能な膜692が存在し、使用前にあらゆる外側からの接触からランセット686を封止する。ランセット・ヘッド688に隣接して、ドライバ・ポート690を封止する第2の膜693が存在することができる。突刺可能な膜692および第2の膜693は、ランセット・チャンバ内のランセット686を分離して使用前にランセット686の無菌状態を維持するように機能する。使用中、ランセット先端部687および外部のランセット・ドライバ691は、存在する場合、それぞれ突刺可能な膜692および第2の膜693を突刺する。
【0238】
サンプル流れチャネル695が、サンプル入力ポート682から分析領域696へつながる。分析領域696は、分析器デバイスによって読み取ることが可能なサンプル・センサに連結される。サンプル・センサが光学的な性質である場合、サンプル・センサは、ハウジング内で分析領域696の上および下に光透過窓697を含むことができ、それによって分析器デバイス内の光源は分析領域に光698を通すことが可能になる。分析器デバイス内には、分析領域696を通過した光699を感知して、分析器デバイスによって分析される信号を生成するための光センサ698’、たとえばCMOS配列が存在する。
【0239】
別個の実施形態では、1つの光透過窓のみが存在し、分析領域の反対側は銀めっきされ、または他の方法で反射被覆されており、分析器デバイスによって分析するために光を窓から出すのではなく、分析領域を通って後方反射する。代替実施形態では、センサは、電気化学センサ700、たとえば酵素電極であり、サンプリング・モジュール・カートリッジから分析器デバイスへ電流を伝送する手段、たとえば分析器デバイスがアクセス可能なハウジング上の電気接点701、または複数の電気接点701を含む。
【0240】
一実施形態では、突刺可能な膜692はポリマー・ベースの膜から作ることができ、シリコーン・ベースのゲルで被覆される。たとえば、膜の構造は、商標MYLAR(登録商標)で販売されている膜など、ポリエチレン・テレフタレートから構成されたポリマー・ベースの膜を含むことができる。膜の構造は、商標SYLGARD(登録商標)で販売されているゲルなど、シリコーン・ベースのゲルの薄い被覆を、膜の少なくとも1つの表面上にさらに含むことができる。
【0241】
そのような膜の有用性は、ランセットのカッティング先端部および縁部に物理的な影響を与えることなく、ランセット先端部が貫入した後に再封止する能力である。MYLAR(登録商標)膜は構造上の安定性を提供する一方、薄いSYLGARD(登録商標)シリコーン積層体は、形状を保持し、MYLAR(登録商標)膜内に作られた孔を閉じるのに十分な可撓性を有する。この実施形態では、突刺可能な膜の製造において、構造上の安定性および柔軟性の役割を満たす他の類似の材料を使用することもできる。
【0242】
突刺可能な膜692は、ランセット先端部687がサンプリング・ポート682内へ進んでサンプリング・ポート682を通るときにランセット先端部687が突刺可能な膜692に突刺することが可能になるように動作する。図示の実施形態では、膜692のシリコーン・ベースのゲルは、ランセット先端部687によって生じるカット部を自動的に封止する。したがって、使用者の指上に穿刺が作られ、ランセット先端部687が再び突刺可能な膜692を通って後退した後、穿刺からの血液が突刺可能な膜692を通って流れないようにし、それによって血液がサンプル流れチャネル695を通過して分析領域696内に収納されるのを支援する。
【0243】
したがって、突刺可能な膜692は、血液がランセット・デバイス・アセンブリ内へ流れるのを防止し、それによってランセット・デバイス機構空洞内への血液の汚染および損失が防止される。さらに別の実施形態では、簡単なボタン機構によって、使用済みのサンプル入力ポートが次のサンプル取得サイクルへ進む前に自動的に封止される。類似の機構は、万一サンプリングが失敗した場合、サンプル入力ポートを封止する。
【0244】
また、代替実施形態では、各サンプリング・モジュール内に検量体供給貯蔵器702が存在する。検量体供給貯蔵器702は、検量液で充填され、検量チャンバ703と流動的に連通している。検量チャンバ703は、分析領域696内で行われる検査を認証および定量化するために使用されるサンプリング・モジュール・カートリッジからの知られている信号の供給源を提供する。したがって、検量チャンバ703の構成は、分析領域696に非常によく類似している。
【0245】
使用中、検量液は強制的に検量体供給貯蔵器702から検量チャンバ703内へ送られる。この図は、検量体供給貯蔵器702の上に、検量体供給貯蔵器702を圧搾する準備の完了した様式化されたプランジャ704を示す。実際には、少量の流体を輸送する様々な方法が当技術分野では知られており、サンプリング・モジュール・カートリッジ上で実施することができる。検量チャンバ703は、検量体検査手段に連結される。
【0246】
図73は、2つの代替検量体検査手段、すなわち光窓697および電気化学センサ676を示す。サンプリング・モジュールが血液上でいくつかの異なる検査を実行するように設計される場合、光学検査手段と電気化学検査手段の両方が存在することもできる。光窓697により、分析器デバイスからの光677が検量チャンバ703を通過することが可能になり、そのとき検量チャンバ703を離れる光703’は光センサ698’上へ進み、その結果、分析器デバイス内で信号が得られる。
【0247】
電気化学センサ676は、たとえば電気接点704’を介して分析器デバイスへ通信される信号を生成することが可能であり、電気接点704’には、電気接点704’に接触するように延びることができる分析器デバイス上の接触プローブ702’がアクセス可能である。検量液は任意の溶液とすることができ、検量体検査手段と組み合わせて、分析器デバイスに対する検量測定として働くのに適した信号を提供する。適した検量液は当技術分野では知られており、たとえば知られている濃度のグルコース溶液である。検量測定は、分析領域696からのサンプル・センサから取得した結果を調整するために使用される。
【0248】
いくつかのサンプリング・モジュール・カートリッジの実施形態では、少量のサンプリングされた血液で十分になるように小さい寸法を維持するために、サンプリング・モジュールの各構成要素、特にサンプル流れチャネルおよび分析領域を小さくしなければならない。サンプル流れチャネルは、直径約0.5mm未満、具体的には直径約0.3mm未満、より具体的には直径約0.2mm未満、さらに具体的には直径約0.1mm未満とすることができる。
【0249】
サンプル流れチャネルは概ね、少なくとも直径約50マイクロメートルとすることができる。分析領域の寸法は、約1mm×約1mm×約1mm未満、具体的には約0.6mm×約0.6mm×約0.4mm未満、より具体的には約0.4mm×0.4mm×0.2mm未満、さらに具体的には約0.2mm×約0.2mm×約0.1mm未満とすることができる。分析領域は概ね、少なくとも約100マイクロメートル×100マイクロメートル×50マイクロメートルとすることができる。
【0250】
サンプリング・モジュール・カートリッジは、患者の皮膚から得た約5マイクロリットル未満、具体的には約1マイクロリットル未満、より具体的には約0.4マイクロリットル未満、さらに具体的には約0.2マイクロリットル未満の血液で、有効な検査結果を戻すことが可能である。概して、少なくとも0.05マイクロリットルの血液がサンプルのために引き出される。
【0251】
カートリッジ・ハウジングは複数の別個の部品から作ることができ、次いでこれらを組み付けて完成されたハウジングを提供する。別個の部品は、広い範囲の基板材料から製造することができる。記載の装置を形成するのに適した材料は、それだけに限定されるものではないが、ポリマー材料、セラミック(酸化アルミニウムなどを含む)、ガラス、金属、複合材、およびこれらの積層体を含む。本明細書ではポリマー材料が特に好ましく、典型的には、単独重合体または共重合体、天然または合成、架橋または非架橋の有機ポリマーである。
【0252】
サンプリング・モジュール・カートリッジ、サンプリング・モジュール、ハウジングなど、本明細書に記載の様々な構成要素およびデバイスは、以下の材料:すなわちポリカーボネート;ポリ(エチレン・テレフタレート)およびポリ(ブチレン・テレフタレート)を含むポリエステル;ポリアミド(ナイロンなど);ポリホルムアルデヒドおよびポリ(フェニレン・スルフィド)を含むポリエーテル;商標KAPTON(DuPont、Wilmington、DE)およびUPILEX(Ube Industries、Ltd.、日本)で製造されているものなどのポリイミド;ABSポリマー、ケルF共重合体、ポリ(メチル・メタクリレート)、ポリ(スチレン・ブタジエン)共重合体、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(エチレンビニル・アセテート)共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、およびポリスチレンを含むポリオレフィン化合物などの材料を含む様々な材料から作ることができることが企図される。
【0253】
本明細書に記載の様々な構成要素およびデバイスはまた、「複合材」、すなわち異なる材料から構成される組成物から製作することができる。複合材は、ブロック複合材、たとえばA−B−Aブロック複合材、A−B−Cブロック複合材などとすることができる。別法として、複合材は、材料の不均一の組合せ、すなわち、材料が別個の位相からの異質のものである組合せ、または異なる材料の均質な組合せとすることができる。同一または異なる材料のいくつかの異なる接合層による積層複合材を使用することもできる。
【0254】
他の好ましい複合基板は、ポリマー積層体、ポリマー/金属積層体、たとえばポリマーが銅で被覆されたもの、金属内にセラミックが位置する複合体、または金属内にポリマーが位置する複合体を含む。1つの複合材料は、DuPont(Wilmington、Delaware)から入手可能なKAPTONポリイミドなどの第1のポリイミド層と、同じくDuPont(Wilmington、Delaware)から入手可能なKJ(登録商標)として知られている第2の熱接着性のポリイミドの薄い層とを同時に押出し成形することで形成されたポリイミド積層体である。
【0255】
本明細書に記載の様々な構成要素およびデバイスに対して、それだけに限定されるものではないが、成形および鋳造技法、型押し方法、表面機械加工技法、バルク機械加工技法、ならびに打抜き加工方法を含む、任意の適した製作方法を使用することができる。さらに、当技術分野ではよく知られている射出成形技法も、サンプル・モジュールおよび他の構成要素を作るために使用される材料を成形するのに有用である。
【0256】
いくつかの実施形態では、新しいサンプリング・モジュール・カートリッジ668を最初に使用するとき、使用者は、あらゆる外側の包装材料をサンプリング・モジュール・カートリッジ668から取り外して、分析器デバイス669の蓋671を開き、チャンバを露出させる。サンプリング・モジュール・カートリッジ668はチャンバ内へ摺動し、蓋671は閉じる。患者の皮膚は、サンプリング箇所678の位置決めされており、皮膚を穿刺し、血液サンプルを収集し、かつ血液サンプルを検査する一体化された方法が、たとえば機能ボタン674を押してランセット・ドライバをトリガさせることによって開始される。患者の皮膚は、十分な量の血液が収集されるまで、サンプル入力ポート682に隣接するサンプリング箇所678上の定位置で維持され、その後システムは、患者の皮膚をサンプリング箇所678から持ち上げてもよいことを示す信号(たとえば、可聴ビープ)を出す。
【0257】
サンプルの検査が完了したとき、分析器デバイス669はサンプリング・モジュール・カートリッジ668からの結果を自動的に読み取り、それらの結果を読出し表示部673上に報告する。分析器デバイス669はまた、後にコンピュータ・システムへダウンロードできるように、結果をメモリ内に記憶することができる。次いで、サンプリング・モジュール・カートリッジ668は自動的に前進し、次の使用に備えて次のサンプリング・モジュールを接続状態にすることができる。連続してシステムが使用されるたびに(場合により、サンプリング・モジュール・カートリッジ668が使用されるまで)、患者の皮膚を(すでに設置済みの)サンプリング・モジュール・カートリッジ668のサンプリング箇所678上に配置することができ、したがって血液サンプリングおよび検査方法を簡略化することができる。
【0258】
分析器デバイスに連結されるように設計された単一の使い捨てのサンプリング・モジュール・カートリッジを使用して一連の血液サンプルを収集および検査できる、より好都合な血液サンプリングを提供する方法について説明する。このサンプリング・モジュール・カートリッジの実施形態は、複数のサンプリング・モジュールを含む。各サンプリング・モジュールは、単一の血液サンプリング・サイクルを実行するように適合することができ、血液サンプリング・サイクルが完了した後に新しいサンプリング・モジュールを接続状態にすることが可能になるように、サンプリング・モジュール・カートリッジ内に機能的に配置される。
【0259】
各血液サンプリング・サイクルは、患者の皮膚の穿刺、血液サンプルの収集、および血液サンプルの検査を含むことができる。血液サンプリング・サイクルはまた、分析器デバイスによる血液サンプルに関する情報の読取り、分析器デバイスによる検査結果の表示および/もしくは記憶、ならびに/またはサンプリング・モジュール・カートリッジを自動的に前進させて新しいサンプリング・モジュールを接続状態にし、次の血液サンプリング・サイクルを始める準備を完了することを含むことができる。
【0260】
方法の実施形態は、サンプリング・モジュール・カートリッジと分析器デバイスを連結し、次いで血液サンプリング・サイクルを開始することから始まる。血液サンプリング・サイクルの完了後、サンプリング・モジュール・カートリッジを前進させ、新しい未使用のサンプリング・モジュールを接続状態にし、別の血液サンプリング・サイクルを実行する準備を完了する。概して、少なくとも10個のサンプリング・モジュールが存在し、最初の血液サンプリング・サイクル後、サンプリング・モジュール・カートリッジを9回前進させることが可能である。
【0261】
いくつかの実施形態では、より多くのサンプリング・モジュールが存在し、サンプリング・モジュール・カートリッジを約19回、いくつかの実施形態では約34回前進させることができ、最初の血液サンプリング・サイクル後にそれぞれ約19回または約34回の血液サンプリング・サイクルを可能にすることができる。一連の血液サンプリング・サイクルが実行され、実質上すべての(すなわち、約80%を超える)サンプリング・モジュールが使用された後、サンプリング・モジュール・カートリッジを分析器デバイスからデカップリングして破棄し、分析器デバイスを新しいサンプリング・モジュール・カートリッジと連結する準備を完了する。
【0262】
図74〜
図76を参照すると、サンプリング・モジュール・カートリッジ705に連結されてドライバ・ハウジング706内に配置された
図20の制御可能なドライバ179を有する組織貫入サンプリング・デバイス180が示されている。爪車駆動機構707がドライバ・ハウジング706に固定され、サンプリング・モジュール・カートリッジ705に連結されており、サンプリング・モジュール・カートリッジ705内のサンプリング・モジュール・ベルト708を前進させて、サンプリング・モジュール・ベルト708内の各サンプリング・モジュール709の順次使用を可能にするように構成される。爪車駆動機構707は、サンプリング・モジュール・ベルト708のサンプリング・モジュール709に係合するように構成された駆動輪711を有する。駆動輪711は作動レバー712に連結され、作動レバー712は、単一のサンプリング・モジュール709の幅の単位で駆動輪711を前進させる。細長い連結器軸184にはT字スロット駆動連結器713が固定される。
【0263】
サンプリング・モジュール709が装填されており、駆動連結器713のT字スロット714内に装填されたサンプリング・モジュール709のランセット183の駆動ヘッド198とともに使用する準備が完了している。ランセット出口ポート717の周りに配置されたサンプリング・モジュール709の遠位端部716には、サンプリング箇所715が配置される。サンプリング・モジュール709の遠位端部716は、サンプリング・モジュール・カートリッジ705のカートリッジ・カバー721内の開口部であるモジュール窓718内で露出される。これにより、使用するために装填されたサンプリング・モジュール709の遠位端部716を露出させて、穿刺方法からの血液によるカートリッジ・カバー721の汚染を回避する。
【0264】
使用するために駆動連結器713内に装填されたサンプリング・モジュール709の遠位部分の上に読取りモジュール722が配置され、読取りモジュール722は、
図77に示すように、サンプリング・モジュール709のセンサ接点725を位置合わせしてセンサ接点725と電気的に接触するように構成された2つの接触刷子724を有する。センサ接点725と接触刷子724との間を電気的に接触させることで、穿刺サイクルが完了し、血液サンプルがサンプリング・モジュール709の分析領域726に入った後、制御可能なドライバ179の処理装置193は、サンプリング・モジュール709の分析領域726から信号を読み取ることができる。接触刷子724は任意の適した構成を有することができ、それによって、接触刷子724の下でサンプリング・モジュール・ベルト708を横方向に進めて、駆動連結器713内に装填されて使用する準備の完了したサンプリング・モジュール709と確実に電気的に接触させることが可能になる。ばね式の導電性玉軸受は、使用できる接触刷子724の一例である。サンプリング・モジュール709のセンサ接点領域728に沿って可撓性ポリマー・シート727の内側表面を付勢するように成形された弾性の導電ストリップは、接触刷子724の別の実施形態である。
【0265】
サンプリング・モジュール・カートリッジ705は、供給キャニスタ729およびレセプタクル・キャニスタ730を有する。サンプリング・モジュール・ベルト708の未使用のサンプリング・モジュールが、供給キャニスタ729内に配置され、使用済みのサンプリング・モジュール・ベルト708のサンプリング・モジュールは、使用後にレセプタクル・キャニスタ730内へ順次前進する。
【0266】
図77は、
図74のサンプリング・モジュール・カートリッジ705内に示すサンプリング・モジュール・ベルト708の一部分の斜視図である。サンプリング・モジュール・ベルト708は、可撓性ポリマー・シート727によって直列に連結された複数のサンプリング・モジュール709を有する。
図77に示すサンプリング・モジュール・ベルト708は、複数のサンプリング・モジュールボディ部分731から形成されており、複数のサンプリング・モジュールボディ部分731は、互いに横方向に隣接して配置され、単一の可撓性ポリマー・シート727によって連結および封止される。可撓性ポリマー・シート727は、場合により、可撓性ポリマー・シート727の内側表面734上に形成されたセンサ接点725、可撓性の導電体732、サンプル・センサ733、またはこれらの要素の任意の組合せを有することができる。これらの電気的、光学的、または化学的要素は、気相成長などを含む様々な方法によって形成することができる。
【0267】
可撓性ポリマー・シート727の近位部分735は、センサ接点725をサンプリング・モジュール709の外側表面に露出させるように折り畳まれている。これにより、サンプリング・モジュール709が前進して定位置に装填され、制御可能なドライバ179の駆動連結器713を使用できる準備が完了したとき、読取りモジュール722の接触刷子724とセンサ接点725との間の電気的接触をより容易に確立できるようにする。可撓性ポリマー・シート727は、接着接合、溶剤接合、超音波による熱接合、または任意の他の適した方法によって、サンプリング・モジュールボディ部分731に固定することができる。
【0268】
図78は、サンプリング・モジュール709の組立て段階中の
図77のサンプリング・モジュール・ベルト708の単一のサンプリング・モジュール709の斜視図である。可撓性ポリマー・シート727の近位部分735は、可撓性ポリマー・シート727の内側表面上のセンサ接点725を露出させるように、図示のように折り畳まれている。
図79は、
図78のサンプリング・モジュール709の可撓性ポリマー・シート727の一部分の底面図であり、可撓性ポリマー・シート727の底面上に堆積させたセンサ接点725、可撓性の導体732、およびサンプル・センサ733を示す。
【0269】
図78のサンプリング・モジュール709のランセット・チャネル736内、ならびに
図77のサンプリング・モジュール・ベルト708のサンプリング・モジュール709のランセット・チャネル736内に配置されたランセット183が示されている。ランセット183は、先端部196および軸部分201および駆動ヘッド198を有する。ランセットの軸部分201は、サンプリング・モジュール709のランセット・チャネル736内で摺動し、ランセット183の駆動ヘッド198は、サンプリング・モジュール709の駆動ヘッド・スロット737内を近位および遠位方向に動けるように隙間を有する。細長くランセット183に対して実質上平行に延びる第1の保護支柱737’および第2の保護支柱737’’が、駆動ヘッド・スロット737に隣接して配置され、少なくとも部分的に駆動ヘッド・スロットを形成する。
【0270】
1つのランセット183の実施形態では、ランセット183の駆動ヘッド198は、約0.9から約1.1mmの幅を有することができる。ランセット183の駆動ヘッド198の厚さは、約0.4から約0.6mmとすることができる。サンプリング・モジュール709の駆動ヘッド・スロット714は、駆動ヘッド198が駆動ヘッド・スロット714内を自由に動くことを可能にする幅を有するべきである。ランセット183の軸部分201は、約50μmから約1000μmの横寸法を有することができる。典型的には、ランセット183の軸部分201は丸い横断面を有するが、他の構成も企図される。
【0271】
サンプリング・モジュールボディ部分731と可撓性ポリマー・シート727はどちらも、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、または上記で論じたものなどの任意の他の適したポリマーから作ることができる。典型的なサンプリング・モジュールボディ部分731の寸法は、長さ約14から約18mm、幅約4から約5mm、および厚さ約1.5から約2.5mmとすることができる。他の実施形態では、サンプル・モジュールボディ部分の長さは約0.5から約2.0インチとすることができ、横寸法は約0.1から約0.5インチとすることができる。可撓性ポリマー・シート727の厚さは、約100から約150ミクロンとすることができる。サンプリング・モジュール・ベルト708内の隣接するサンプリング・モジュール709間の距離は、約0.1mmから約0.3mm、いくつかの実施形態では約0.2から約0.6で変動することができる。
【0272】
図80および
図81は、
図77のサンプリング・モジュール709のボディ部分731の斜視図を示すが、例示の目的で可撓性ポリマー・カバー・シート727またはランセット183は図示しない。
図81は、
図80のサンプリング・モジュール709のボディ部分731の一部分の拡大図であり、サンプリング・モジュール709のサンプリング箇所715、サンプル入力空洞715’、サンプル入力ポート741、サンプル流れチャネル742、分析領域743、制御チャンバ744、排出口762、ランセット・チャネル736、ランセット・チャネル停止構造747および748、ならびにランセット・ガイド749〜751を示す。
【0273】
ランセット・チャネル736は、近位端部752および遠位端部753を有し、一連のランセット軸受ガイド部分749〜751およびサンプル流れ停止構造747〜748を含む。ランセット・ガイド749〜751は、ランセット183の軸と密接に嵌ってランセット183を実質上軸方向の動きに制限するように構成することができる。ランセット・チャネル736の遠位端部753で、最も遠位のランセット・ガイド部分749はサンプル入力ポート741に隣接して配置され、最も遠位端には、サンプル入力空洞715’に隣接して配置されたランセット出口ポート754を含む。サンプル入力空洞は、ランセット183の横寸法の約2から5倍、または約0.2から約2mm、具体的には約0.4から約1.5mm、より具体的には約0.5から約1.0mmの横寸法、深さ、またはその両方を有することができる。最も遠位のランセット・ガイド749は、幅約300から約350ミクロンおよび深さ約300から約350ミクロンの内側横寸法を有することができる。最も遠位のランセット・ガイド部分749より近位には、遠位サンプル流れ止め747が位置し、最も遠位のランセット749に隣接するチャンバを含む。チャンバは、最も遠位のランセット・ガイド749の横寸法よりかなり大きい横寸法を有する。チャンバは、約600から約800ミクロンの幅、および約400から約600ミクロンの深さ、および約2000から約2200ミクロンの長さを有することができる。最も遠位のランセット軸受ガイド749と遠位サンプル流れ止め747との間で横寸法および断面積が急速に遷移することで、サンプル入力空洞715’を通ってランセット・チャネル736内へ流体サンプルを引き込む毛管作用を妨げる。
【0274】
遠位のランセット・チャネル止め747より近位に中心のランセット軸受ガイド750が配置され、最も遠位のランセット軸受ガイド749の寸法に類似の寸法を有することができる。中心のランセット・ガイド750より近位には、チャンバを有する近位のランセット・チャネル止め748が位置する。近位のランセット・チャネル止めの寸法は、遠位のランセット・チャネル止め747の寸法と同じまたは類似のものとすることができる。近位のランセット・チャネル止め748は、約600から約800ミクロンの幅、および約400から約600ミクロンの深さ、および約2800から約3000ミクロンの長さを有することができる。近位のランセット・チャネル止め748より近位には、近位のランセット・ガイド751が位置する。近位のランセット・ガイド751は、他のランセット・ガイド749および750部分と類似の寸法を有することができ、内側横寸法は幅約300から約350ミクロンおよび深さ約300から約350ミクロンである。典型的には、ランセット・ガイド749〜751の横寸法は、ランセット・ガイド749〜751が案内するように構成されるランセット183の軸部分201の横寸法より約10パーセント大きい。
【0275】
近位のランセット・ガイド751とランセット183の軸部分201との間には、近位のランセット・チャネル止め748のチャンバを外側環境から封止する近位の破断可能な封止(図示せず)を位置決めすることができる。破断可能な封止は、サンプリング・モジュール709が使用のために収納されたとき、近位のランセット・チャネル止め748のチャンバおよびサンプル・チャンバの他の内部部分を外側環境から封止する。破断可能な封止は、ランセット・サイクル中にランセット183が遠位方向に駆動されるまで無傷のままであり、その時点で封止が破られてサンプル・チャンバの無菌の内部部分が露出され、血液のサンプルなどの液体サンプルの入力を受け入れる準備が完了する。ランセット183とサンプリング・モジュール709の最も遠位のランセット・ガイド749との間には、遠位の破断可能な封止(図示せず)を配置することができ、それによってランセット・チャネル736の遠位端部753およびサンプル入力ポート741を封止し、穿刺サイクル中にランセット183が前方へ駆動されるまで、サンプリング・モジュール709の内部部分の無菌状態を維持することができる。
【0276】
サンプル入力空洞715’内のランセット出口ポート754にサンプル入力ポート741が隣接し、穿刺サイクル後に穿刺箇所で標的組織233から出てサンプル入力空洞715’内へ入る流体サンプルを受け入れるように構成される。サンプル入力ポート741の寸法は、深さ約60から約70ミクロン、幅約400から約600ミクロンとすることができる。サンプル入力空洞は、ランセット183の横寸法の約2から約5倍、または約400から約1000ミクロンの横寸法を有することができる。サンプル入力空洞は、穿刺された組織から出た流体サンプルを受け入れ、流体サンプルをサンプル入力ポート741へ、その後サンプル流れチャネル742へ誘導する働きをする。サンプル流れチャネル742は、サンプル入力ポート741と分析領域743との間に配置され、サンプル入力ポート741および分析領域743と流動的に連通している。サンプル流れチャネル742の横寸法は、サンプル入力ポート741の横寸法と同じにすることができ、深さ約60から約70ミクロン、幅約400から約600ミクロンとすることができる。サンプル流れチャネル742の長さは、約900から約1100ミクロンとすることができる。したがって、使用の際には、サンプリング箇所715上に標的組織が配置され、穿刺サイクルが開始される。標的組織233が穿刺され、その後サンプルが流れ始めると、サンプルはサンプル入力空洞715’に入り、次いでサンプル入力ポート741に入る。サンプル入力空洞715’は、穿刺サイクル前、穿刺サイクル中、および穿刺サイクル後に標的組織233の外周に圧力を印加することによって、サンプリングの成功を容易にし、穿刺サイクル後に傷跡を開いたまま保持して、血液または他の流体が傷跡からサンプル入力空洞715’内へ流れるのを可能にするように寸法設定および構成することができる。サンプル入力ポート741から、次いでサンプルは、毛細管力または他の力によってサンプル流れチャネル742を通って分析領域743内へ引き込まれ、最終的には制御チャンバ744内へ引き込まれる。制御チャンバ744を使用して、サンプル流体によって分析領域743が完全に充填されたことを示す間接的な確認を提供することができる。制御チャンバ744内で流体サンプルが検出された場合、これによって、サンプルが分析領域743を完全に充填したことが確認される。したがって、サンプル検出器は、分析領域743が充填されたことを確認するように制御チャンバ744内に位置決めすることができる。
【0277】
分析領域743は、サンプル流れチャネル742と制御チャンバ744との間に配置され、サンプル流れチャネル742および制御チャンバ744と流動的に連通している。分析領域743は、約60から約70ミクロンの深さ、約900から約1100ミクロンの幅、および約5から約6mmの長さを有することができる。分析領域743に対する典型的な体積は、約380から約400ナノリットルとすることができる。制御チャンバ744は、分析領域743に隣接して分析領域743より近位に配置され、約900から約1100ミクロンの横寸法または直径および約60から約70ミクロンの深さを有することができる。
【0278】
制御チャンバ744は、制御チャンバ744と近位のランセット・チャネル止め748のチャンバとの間に配置され、制御チャンバ744および近位のランセット・チャネル止め748のチャンバと流動的に連通している排出口によって、近位のランセット・チャネル止め748のチャンバへ排出される。排出口762は、分析領域743とサンプル入力ポート741との間に配置されたサンプル流れチャネル742の横寸法と同じまたは類似の横寸法を有することができる。サンプル入力ポート741、サンプル流れチャネル742および762、分析領域743、排出口745、または制御チャンバ744の内面はいずれも、毛管作用を促進する被覆で被覆することができる。洗浄剤などの親水性の被覆は、そのような被覆の一例である。
【0279】
分析領域743は、毛管作用によってサンプリング箇所715からサンプル入力空洞715’を通ってサンプル入力ポート741内へ進み、サンプル流れチャネル742を通って分析領域743内へ進む血液サンプルを収容する。次いで、血液は制御チャンバ744内へ進むことができる。制御チャンバ744と分析領域743はどちらも排出口762によって排出され、排出口762は、ガスを逃がすことが可能であり、分析領域743および制御チャンバ744内の気泡の形成およびサンプルの閉じ込めを防止する。毛管作用に加えて、分析領域743内への血液サンプルの流れは、真空、機械ポンプ、または任意の他の適した方法を適用することによって容易にし、または実現することができることに留意されたい。
【0280】
分析領域743内に血液サンプルが配置された後、サンプルに関する分析検査を実行することができ、その結果は、導電体732によって、光学的に、または任意の他の適した方法もしくは手段によって、処理装置193へ伝送される。いくつかの実施形態では、血液サンプルが分析領域743を充填したこと、およびサンプルに関する分析を実施するのに適当な量のサンプルがチャンバ内に存在することを確認できることが望ましい。
【0281】
分析領域743または制御チャンバ744内にサンプルが到達したことの確認は、透過性を有することができる可撓性ポリマー・シート727を通じて視覚的に実現することができる。しかし、いくつかの実施形態では、非常にわずかな量の血液サンプルを使用して、穿刺サイクル中の患者にとっての痛みおよび不快を低減させることができることが望ましい。本明細書に記載のものなどのサンプリング・モジュール709の実施形態では、ランセット出口ポート754に隣接してサンプル入力空洞715’およびサンプル入力ポート741を有することで、穿刺サイクルとサンプル収集方法との間でサンプリング・モジュール709を動かす必要なく、患者の皮膚233から血液サンプルを収集することが可能になる。したがって、使用者は、サンプルをサンプリング・モジュール709内へ伝達させるのに、サンプルを目視できる必要はない。このため、サンプル入力空洞715’およびサンプル入力ポート741の位置をランセット出口ポート754に隣接させることで、非常にわずかな量のサンプルを確実に採取して検査することが可能になる。
【0282】
約10から約50ナノリットルなど、数十ナノリットル程度のサンプルを、サンプリング・モジュール709を用いて確実に収集して検査することができる。この血液サンプルの寸法は、目視して視覚的に確実に検証するには少なすぎる。したがって、分析領域743内に血液サンプルが存在することを確認する別の方法を有することが必要である。上記で論じた熱サンプル・センサなどのサンプル・センサ733を分析領域743または制御チャンバ744内に位置決めして、適当な量の血液サンプルが到達したことを確認することができる。
【0283】
さらに、分析領域743または制御チャンバ744の内容物の分光分析などの光学的方法を使用して、血液サンプルが到達したことを確認することもできる。電気的な検出などの他の方法を使用することもでき、またこれらの同じ検出方法を、サンプリング・モジュール709を通じてサンプル流れ経路に沿って任意の場所に配置して、
図81に矢印763で示す流れ経路に沿って動くときのサンプル(または複数のサンプル)の位置または進行を確認することもできる。上記の検出方法はまた、正確な開始時間を必要とする分析方法にも有用である。
【0284】
血液サンプルが分析領域743に入ると多くの分析方法が始まるため、分析方法に対して正確な開始時間を有する必要があるということは、分析領域743を急速に充填することを必要とする可能性がある。分析領域743を充填するのに時間がかかりすぎた場合、血液サンプルのうち第1に分析領域743に入る部分は、サンプルのうち分析領域743に入る最後の部分より長い時間にわたって検査されることになり、そのため結果が不正確になる可能性がある。したがって、これらの状況では、血液サンプルを第1に貯蔵器へ流して貯蔵器を充填させ、次いでそのサンプルをすべて貯蔵器から分析領域743内へ急速に流すことができることが望ましい。
【0285】
サンプリング・モジュール709の一実施形態では、分析領域743は、制御チャンバ744の横断面より実質上大きい横断面を有することができる。横断面の変化は、制御チャンバ744の深さを段階的に減少させることによって、または任意の他の適した方法によって、制御チャンバ744と分析領域743の横方向の横寸法を制限することで実現することができる。分析領域743と制御チャンバ744との間のそのような段階を
図81に示す。そのような一実施形態では、分析領域743はサンプル貯蔵器として挙動することができ、制御チャンバ744は、一貫した分析開始時間を有するために急速なまたはほぼ瞬時の充填を必要とする分析領域として挙動することができる。分析領域743は、分析領域が一杯になるまでサンプル流れチャネル742からのサンプルの流れによって充填され、サンプルは、制御チャンバ744との境界でチャンバ深さの段階的な減少に到達する。サンプルは、制御チャンバ744の断面積の段階的な減少に到達すると、制御チャンバ744の断面積を低減させることで高まった毛管作用によって、制御チャンバ744を急速に充填する。制御チャンバを急速に充填することで、制御チャンバ744内に実施すべきサンプルが存在することによって、制御チャンバ744のサンプル全体の分析方法に対して確実な開始時間で、任意の分析方法を開始することが可能になる。
【0286】
毛細管力による充填は受動的である。いくつかのタイプの分析検査では、サンプルの第1の部分の間質性の流体汚染がありうる場合など、サンプルのうちサンプリング・モジュール709に入った第1の部分を破棄できることが有用である。サンプルのそのような汚染部分は、行き止まりのチャネルまたは貯蔵器によって側方サンプル流れチャネル(図示せず)内へ毛管作用によりサンプルを引き込み、その後、側方サンプル流れチャネルまたはそこに流動的に連通している貯蔵器が一杯になると、破棄することができる。次いで、サンプルの残りは、行き止まりのサンプル流れチャネルに隣接するサンプル流れチャネルへ進み、分析領域743へ進むことができる。
【0287】
いくつかのタイプの分析検査の場合、単一のサンプリング・モジュール709内に複数の分析領域743を有することができると有利である。このようにして、同じタイプの分析を複数回反復して実行して、様々な異なるパラメータを測定する所与の1つまたはそれ以上の検査の統計情報、たとえば平均、変動、または確認を導出することができ、この分析は、単一の穿刺サイクルからの血液サンプルで充填された同じサンプリング・モジュール709内の異なる分析領域743内で実行することができる。
【0288】
図82は、複数の少量分析領域767を有するサンプリング・モジュール766の代替実施形態の一部分の拡大立面図である。少量分析領域767は、両方向に約40から約60ミクロンの幅、および各分析領域767に約1ナノリットルから約100ナノリットル、具体的には約10ナノリットルから約50ナノリットルの体積をもたらす深さの寸法を有することができる。少量分析領域767の配列は、第1の分岐点769、第2の分岐点770、および第3の分岐点771で分岐するサンプル流れチャネル768を通じて、毛管作用によって充填することができる。各少量分析領域767を使用して同様の分析検査を実行することができ、または様々な分析領域767内で様々な異なる検査を実行することができる。
【0289】
いくつかの分析検査では、血液サンプル上で実行できる分析検査の一部が体積に依存するため、分析領域767は、非常に正確な体積を維持しなければならない。いくつかの分析検査方法は、グルコース消費の速度または反応速度を測定することによってグルコース値を検出する。これらの検査に必要な血液量は、約1から約3マイクロリットル程度である。比較的大量のサンプル中のグルコースの濃度に依存し、グルコースの濃度は分析全体を通して本質的に一定のままであるため、反応速度分析は血液サンプル量の変動の影響を受けない。このタイプの分析では検査中にグルコースを動的に消費するため、グルコースの消費でグルコースの濃度が変わる少量のサンプル、たとえば数十ナノリットル程度のサンプルでの使用には適していない。
【0290】
別の分析方法では、グルコース濃度の電量測定を使用する。この方法は、サンプル体積が約1マイクロリットル未満であり、分析領域の体積が精密に制御されている場合に正確である。分析の速度が体積に依存し、大きい体積は反応時間を遅らせて測定の精度に悪影響を与えるため、この方法の精度および速度は、分析領域767の体積が小さく、精密に知られていることに依存する。
【0291】
別の分析方法では、非常に小さいサンプル量を分析することを可能にする光蛍光減退測定を使用する。またこの方法では、分析領域767の体積を精密に制御する必要がある。上記で論じた少量分析領域767は、少量分析領域767が精密な製造技法を使用して形成されたとき、正確に制御されたわずかな量を維持する基準を満たすことができる。正確に形成された少量分析領域767は、成形および打抜き加工などの方法によって、PMMAなどの材料で形成することができる。どちらも化学またはレーザ方法による機械加工およびエッチングを使用することもできる。気相成長およびリソグラフィを使用して、所望の結果を実現することもできる。
【0292】
上記で論じたサンプリング・モジュール709および766はすべて、ランセット183を収納するとともに、サンプルを収集および分析する能力も有する実施形態を対象とする。サンプリング・モジュールのいくつかの実施形態では、ランセット183を収納することができ、サンプル貯蔵器内にサンプルを収集することができるが、分析機能をもたない。そのような一実施形態では、サンプル貯蔵器内のサンプルの分析は、サンプルを貯蔵器から別個の分析器へ伝達することによって実施することができる。さらに、いくつかのモジュールは、いかなるサンプル取得能力ももたず、ランセット183を収納する働きのみをする。そのようなランセット・モジュール775のボディ部分774を
図83に示す。ランセット・モジュール775は、上記で論じたサンプリング・モジュール709および766のものに類似の外側構造を有し、同じまたは類似の材料から作ることができる。
【0293】
可撓性ポリマー・シート727(図示せず)を使用してランセット・モジュール775の面を覆うことができ、ランセット・モジュールボディ部分774内を長手方向に延びるランセット・チャネル776内にランセット183を収容することができる。可撓性のポリマー・シート727は、上記で論じた可撓性ポリマー・シート727と同じ材料から作ることができ、同じ寸法を有することができる。露出させるセンサ接点725がないため、可撓性ポリマー・シート727の近位部分を折り畳む必要はないことに留意されたい。そのようなランセット・モジュール775内の可撓性ポリマー・シート727は、ランセット・チャネル776内でランセット183を制限する働きのみをする。ランセット・モジュール775は、可撓性ポリマー・シート727がベルトとして作用する上記で論じたサンプリング・モジュール・ベルト708と同様に、ランセット・モジュール・ベルトとして構成することができる。ランセット・チャネル776より近位には、駆動ヘッド・スロット777が配置される。
【0294】
図74の組織貫入サンプリング・デバイス180に関連して、デバイス180の使用は、サンプリング・モジュール・カートリッジ705を制御可能なドライバ・ハウジング706内へ装填してカートリッジ705を制御可能なドライバ・ハウジング706に連結し、サンプリング・モジュール・ベルト708を制御可能なドライバ179の爪車駆動707および駆動連結器713と係合することから始まる。駆動連結器713は、
図84および
図85に示すものなどのT字スロット構成を有することができる。細長い連結器軸184の遠位端部は駆動連結器713に固定され、駆動連結器713は、主ボディ部分779と、第1の案内ランプ780および第2の案内ランプ781と、主ボディ部分779内に配置されたT字スロット714とを有する。T字スロット714は、ランセット183の駆動ヘッド198を受け入れるように構成される。サンプリング・モジュール・カートリッジ705が制御可能なドライバ・ハウジング706内へ装填された後、サンプリング・モジュール・ベルト708は横方向へ前進し、その後、
図86〜
図88に示すように、サンプリング・モジュール709のうちの1つのランセット183の駆動ヘッド198が、駆動連結器713内へ送られる。
図86〜
図88はまた、駆動連結器713に隣接している使用済みのランセット183の軸部分201を屈曲させるランセット・クリンプ・デバイス783を示す。これにより、使用済みのランセット183がモジュール本体731から出て再利用されるのを防止する。
【0295】
サンプリング・モジュール・ベルト708のサンプリング・モジュール709は、順次使用されるにつれて、一度に1つずつ横方向に前進してレセプタクル・キャニスタ730内へ入り、サンプリング・モジュール・ベルト708全体が消費されるまでそこで収納される。次いで、レセプタクル・キャニスタ730は、血液で汚染された廃棄物を処分する正しい技法で適切に処分することができる。サンプリング・モジュール・カートリッジ705により、使用者は、血液廃棄物に不必要に露出されることなく、複数の検査動作を好都合に実行することが可能になり、汚染されたランセット183またはモジュール709を使用のたびに処分しなければならないのではなく、何度も使用した後に1つのカートリッジを処分するだけでよい。
【0296】
図89および
図90は、サンプリング・モジュール・カートリッジの代替実施形態を示す。
図89は、カルーセル構成のサンプリング・モジュール・カートリッジ784を示し、隣接するサンプリング・モジュール785がしっかりと連結され、様々なサンプリング・モジュール785の分析領域からのセンサ接点786がカルーセルの内側半径787付近に配置される。サンプリング・モジュール・カートリッジ784のサンプリング・モジュール785は、線形ではなく円形に、駆動連結器713を通って前進する。
【0297】
図90は、4×8の行列の1群のサンプリング・モジュール788を示す。
図90に示すサンプリング・モジュール789のランセット183の駆動ヘッド198は、上記で論じた駆動連結器713とは異なる方法を使用して係合および駆動される。ランセット183の駆動ヘッド198は、ランセット・ドライバ179の駆動連結器791に嵌合して固定される接着剤被覆790を有する。ランセット・ドライバ179は、上記で論じた制御可能なドライバを含むドライバのいずれかとすることができる。
【0298】
駆動連結器791の遠位端部792は、ランセット・サイクルの開始時に、ランセット183の駆動ヘッド198の近位表面の接着剤790に接触して付着している。ドライバ連結器791は、ランセット183を標的組織237内へ所望の貫入の深さまで押し込んで停止する。次いで駆動連結器791は、ランセット183の駆動ヘッド198の近位表面と、近位表面と嵌合するように成形された駆動連結器791の遠位端部表面との間の接着性の接触を使用して、ランセット183を組織233から後退させる。
【0299】
後退行程の上部では、サンプリング・モジュール789に固定された1対のフック付き部材793が駆動ヘッド198の近位表面に係合し、駆動ヘッド198およびランセット183によるさらなる逆行運動を防止する。その結果、駆動連結器791は、駆動ヘッド198との接着接合を断ち、次いで、使用すべき次のサンプリング・モジュール789へ、割出し動作によって前進することができる。
【0300】
図91は、ランセット・モジュール800内に配置されたランセット799のL字状の駆動ヘッド798を受け入れるように構成された横方向のスロット797を有する駆動連結器796の代替実施形態の側面図であり、L字状の駆動ヘッド798が横方向のスロット797内に装填された状態で示されている。
図92は、
図91の駆動連結器796、L字状の駆動ヘッド798を有するランセット799、およびランセット・モジュール800の分解図である。このタイプの駆動連結器796および駆動ヘッド798の配置は、
図84〜
図88に関連して上記で論じた構成に置き換えることができる。駆動ヘッド798のL字状の実施形態は、制御可能なランセット・ドライバ179などのランセット・ドライバの駆動連結器796を通ってサンプリング・モジュール・ベルトまたはランセット・モジュール・ベルトが順次前進することを可能にする連結配置をもたらすそれほど高価でない選択肢となりうる。
【0301】
複数の穿刺デバイス180のいくつかの実施形態では、カートリッジ内に収納されたランセット183を収納するためにランセット・モジュール775を必要としない大容量の穿刺デバイスを有することができることが望ましい。複数のランセット・デバイス180からランセット・モジュール775をなくすことで、カートリッジの体積が複数のモジュール775の大部分で占有されないため、カートリッジの容量をより大きくすることが可能になる。
図93〜
図96は、ベルト前進機構804に連結された大容量のランセット・カートリッジを示す。ベルト前進機構804は、制御式の電磁ドライバを収容する制御式のドライバ179のハウジングに固定される。
【0302】
ランセット・カートリッジ803は、供給キャニスタ805およびレセプタクル・キャニスタ806を有する。供給キャニスタ805内にはランセット・ベルト807が配置される。ランセット・ベルト807は複数の無菌ランセット183を収容し、ランセット183の軸部分201は、第1のキャリア・テープ809の接着表面808と第2のキャリア・テープ811の接着表面810との間に配置され、ランセット183の軸部分201の周りで接着表面808および810を押し合わせて、ランセット・ベルト807内に確実に保持する。ランセット183は、駆動連結器713と横方向に係合されるように構成された駆動ヘッド198を有し、駆動連結器713は、制御可能なドライバ179の細長い連結器軸184に固定される。
【0303】
ベルト前進機構804は、第1の歯車ローラ814および第2の歯車ローラ815を含み、第1の歯車ローラ814および第2の歯車ローラ815は、同期された回転運動を有し、漸進的割出し運動で一斉に前進する。第1の歯車ローラ814および第2の歯車ローラ815の割出し運動により、ランセット・ベルト807内に配置されたランセット183間の距離に等しい距離だけ、ランセット・ベルト807を一斉に前進させる。ベルト前進機構804はまた、第1の巻取りローラ816および第2の巻取りローラ817を含み、第1の巻取りローラ816および第2の巻取りローラ817は、それぞれ第1のキャリア・テープ809および第2のキャリア・テープ811内のたるみを巻き取るように構成される。
【0304】
ベルト前進機構804内にランセット・ベルト・カートリッジ803が装填されると、第1のキャリア・テープ809のリード部分818が、ベルト前進機構804の第1の歯車ローラ814と第2の歯車ローラ815との間に配置される。第1のキャリア・テープ809のリード部分818は、第1のターニング・ローラ827の外面819に巻き付けられて再びローラ814に係合し、第1の歯車ローラ814の歯車820は、第1のキャリア・テープ809内の嵌合孔821に係合する。次いで、第1のキャリア・テープ809のリード部分818は、第1の巻取りローラ816に固定される。また、第1の歯車ローラ814と第2の歯車ローラ815との間に第2のキャリア・テープ811のリード部分822が配置され、第2のターニング・ローラ828の外面823に巻き付けられて再びローラ815に係合し、第2の歯車ローラ815の歯車826’は、第2のキャリア・テープ811の嵌合孔825に係合する。その後、第2のキャリア・テープ811のリード部分822は、第2の巻取りローラ817に固定される。
【0305】
第1の歯車ローラ814および第2の歯車ローラ815が前進するにつれて、ターニング・ローラ827および828が第1のキャリア・テープ809および第2のキャリア・テープ811を引き剥がし、ランセット183を露出させる。第1のキャリア・テープ809および第2のキャリア・テープ811のうち、第1の歯車ローラ814および第2の歯車ローラ815の前進から生じた部分の追加の長さまたはたるみは、第1の巻取りローラ816および第2の巻取りローラ817によって巻き取られる。ランセット183が第1のキャリア・テープ809および第2のキャリア・テープ811から引き剥がされると、露出したランセット183は、
図96に示すベルト前進機構804のランセット案内輪826’によって捕捉される。ランセット案内輪826’は、第1の歯車ローラ814および第2の歯車ローラ815と同期する。次いで、ランセット案内輪826’は、ランセット183の駆動ヘッド198が制御可能なドライバ179の駆動連結器713内へ装填されるまで、ランセット183を横方向に前進させる。次いで、制御可能なドライバ179を起動させてランセット183を標的組織233内へ駆動させ、後退させて穿刺サイクルを完了することができる。
【0306】
穿刺サイクルが完了すると、ベルト前進機構804をもう一度起動させることができ、それによってランセット案内輪826を回転させ、使用済みのランセット183を横方向に前進させてレセプタクル・キャニスタ806内へ入れる。同時に、新しい未使用のランセット183が駆動連結器713内へ装填され、次の穿刺サイクルの準備が完了する。ランセット・ベルト807内のすべてのランセット183が使用されてレセプタクル・キャニスタ806内で処分されるまで、複数の穿刺デバイス180をこうして繰り返し順次使用し続ける。最後のランセット183が消費された後、血液で汚染されたいかなる材料にも使用者を露出させることなく、ランセット・ベルト・カートリッジ803を除去して処分することができる。
【0307】
ベルト前進機構804は、第1の歯車ローラ814および第2の歯車ローラ815ならびにランセット案内輪826に連結されたモータ駆動式または手動操作式のサムホイールを含む様々な方法によって起動することができる。
【0308】
本明細書に記載のデバイスに関する議論は、患者の毛細管の血液にアクセスするための実質上痛みのない方法およびデバイスを主に対象とするが、これらのデバイスおよび方法には多くの他の用途もある。たとえば、本明細書に論じる組織貫入デバイスは、遺伝子治療薬剤、ベクター、放射線源などの少量の薬物または他の生物活性薬剤の実質上痛みのない送達に使用することもできる。したがって、本明細書に論じる組織貫入デバイスおよびランセット・デバイスを使用して、患者の体内の位置へ薬剤を送達でき、ならびに血液、リンパ液、脊髄液などの物質を患者の体内から得ることができることが企図される。送達される薬物は、患者の身体組織への貫入時に患者が知覚する痛みをさらに低減させるはずの鎮痛剤、ならびに患者の組織への貫入時に血液サンプルをうまく取得しやすくする抗凝固剤を含むことができる。
【0309】
図97〜
図101を参照すると、薬物または他の有用な材料を患者の組織内へ注射するデバイスが示されている。体内の組織、組織層、または臓器内の特有の箇所内へ注射またはワクチンを局所化する能力は重要になる可能性がある。たとえば、上皮腫は、抗原、サイトカイン、またはコロニー刺激因子を、抗原が少なくとも患者の表皮または真皮に入るのに十分な皮下注射針または高圧注射によって注射することによって治療することができる。多くの場合、薬物または複合薬治療の有効性は、局所的な領域への標的を合わせた送達に依存し、したがって治療結果に影響を与える。
【0310】
薬物またはワクチン接種を皮膚または組織層内の特有の深さまで正確に送達する能力は、高価な薬物治療の浪費を回避することができ、したがって特定の治療の費用効果に影響を与えることができる。さらに、薬物または他の薬剤を精密な深さまで送達する能力は、治療の結果が精密に局所化された薬物の送達に依存する場合(病巣内免疫療法の治療などの場合)、明らかな利点となることができる。また、皮下注射針を患者の皮膚内の精密な所定の深さまで挿入する速度が速いことは、針を皮膚内へ挿入する痛みを低減させることが予期される。皮下注射針の速い挿入および貫入深さ、または組織に貫入するのに適した任意の他の適した細長い送達デバイスは、皮下注射針に連結された制御可能なドライバの位置フィードバック・ループによって正確に制御することができる。
【0311】
図97は、制御可能な電磁ドライバ904によって皮膚組織層903内へ駆動される皮下注射針902の遠位端部901を示す。
図79の制御可能な電磁ドライバ904は、上記で論じた制御可能な電磁ドライバの構成などの任意の適した構成を有することができる。貫入されている皮膚層903は、角質層905、淡明層906、顆粒層907、有棘層908、基底層909、および真皮911を含む。角質層905の厚さは概ね、約300マイクロメートルである。表皮のうち、角質層905を除く部分は、淡明層906、顆粒層907を含み、基底層は厚さ約200マイクロメートルとすることができる。真皮は、厚さ約1000マイクロメートルとすることができる。
図97では、概ね皮膚層903の有棘層908内に配置されて有棘層908内へ薬剤913を注射する皮下注射針902の出口ポート912が示されている。
【0312】
図98〜
図101は、注射部材916を含む薬剤注射モジュール915を示し、薬剤注射モジュール915は、折り畳み式キャニスタ917と、皮下注射針902とを含み、皮下注射針902は、薬物、ワクチンなどの注射のために皮下注射針を皮膚903内へ駆動させるように、上記で論じた制御可能なドライバのいずれかなどの制御可能なドライバによって駆動または作動することができる。薬剤注射モジュール915は貯蔵器を有し、貯蔵器は、薬物またはワクチン913を注射するために
図98に示すような主チャンバ918を有する折り畳み式キャニスタ917の形とすることができる。複数の薬剤注射モジュール915のカセット(図示せず)により、長期的な医薬品の必要に対して一連の計量された用量を提供することができる。そのようなカセットは、上記で論じたモジュール・カセットと同様に構成することができる。薬剤注射モジュール915および針902は使い捨てとすることができ、それによって使い残した薬物または使用済みの皮下注射針902による生物災害の問題を回避する。
図79に示す皮下注射針のカッティング・ファセット921の幾何形状は、上記で論じたランセット183のカッティング・ファセットの幾何形状と同じまたは類似のものとすることができる。
【0313】
制御可能なドライバのいくつかの実施形態の位置および速度制御システムには、制御可能なドライバまたは貫入されている標的組織もしく皮膚層903に対する皮下注射針902の位置または貫入深さを精密に判定する能力が備わっている。Agilent HEDS9200シリーズなどの位置センサとして光学エンコーダを使用し、4縁部検出アルゴリズムを使用する制御可能なドライバの実施形態では、深さ±17μmの平面空間解像度で実現することが可能である。皮内または皮下注射に使用されうるものなど、全組織貫入行程が長さ約3mmである場合、貫入行程に沿って合計88箇所を分解することができる。これだけ微細な空間解像度により、薬剤または薬物913の送達中に皮下注射針902の遠位先端部901または出口ポート912を皮膚層903に対して精密に配置することが可能になる。いくつかの実施形態では、約200ミクロンより良好な変位精度を実現することができ、他の実施形態では、約40ミクロンより良好な変位精度を実現することができる。
【0314】
薬剤注射モジュール915は注射部材916を含み、注射部材916は、皮下注射針902および薬物貯蔵器または折り畳み式キャニスタ917を含み、折り畳み式キャニスタ917は、図示のように駆動連結器185を介して細長い連結器軸184に連結することができる。皮下注射針902は、所望の貫入深さまで駆動することができ、次いでワクチンなどの薬物または他の薬剤913が、
図98に矢印924で示すように、皮下注射針902の中心ルーメン923を通って針902の入口ポート922内へ送られ、
図97に示す皮下注射針902の遠位端部901で出口ポート912から出る。
【0315】
薬物または薬剤の送達は、最大貫入の時点で、または皮下注射針902の後退に続いて行うことができる。いくつかの実施形態では、皮下注射針902の挿入中に薬物または薬剤913を送達できることが望ましい。薬物または薬剤の送達は、皮下注射針902が撤退している間も継続することができる(これは一般に、歯科治療における麻酔中の慣行である)。別法として、薬物の送達は、後退段階の一部の間に針902が固定されている間に行うことができる。
【0316】
中空の皮下注射針902は、投薬すべき薬物または他の薬剤913を収容する折り畳み式キャニスタ917を備える。この折り畳み式キャニスタ917の壁928は、プラスチック、ゴム、または任意の他の適した材料などの柔軟な弾性材料から作ることができる。折り畳み式キャニスタの遠位端部926に遠位板925が配置され、皮下注射針902の遠位先端部901より近位で皮下注射針の軸927にしっかりと固定される。遠位板925は、折り畳み式キャニスタ917からの医薬品913の漏れを防止するように、皮下注射針902の軸927に封止および固定される。
【0317】
折り畳み式キャニスタ917の近位端部932に配置された近位板931は、摺動封止934によって、皮下注射針902の軸927の近位部分933に摺動式に嵌る。摺動封止934は、封止934と皮下注射針902の軸927の外側表面との間で薬剤または医薬品913の漏れを防止する。摺動封止により、折り畳み式キャニスタ917の近位板931が折り畳み式キャニスタ917の遠位板925に対して針902に沿って軸方向に摺動することが可能になる。製造中、折り畳み式キャニスタ917の主チャンバ918内へ薬物用量を装填することができ、薬剤注射モジュール915の駆動ヘッド・スロット936を取り囲む包装および案内フィン935によって、出荷および収納中にアセンブリ全体を保護することができる。
【0318】
注射サイクルは、薬剤注射モジュール915が爪車前進機構(図示せず)内へ装填され、駆動連結器185内に係合された皮下注射針902の駆動ヘッド937と駆動位置で位置合わせされたときに始めることができる。この準備完了位置にある皮下注射針902および折り畳み式キャニスタ917の位置を
図99に示す。
【0319】
薬剤注射モジュール915の駆動ヘッド937がドライバ連結器185内へ装填された後、制御可能なドライバを使用して、皮下注射針902および折り畳み式キャニスタ917を含む注射部材916を患者の組織903の方へ高速で発射して患者の組織903内へ入れ、患者の皮膚または他の臓器内へ所定の深さまで動かすことができる。患者の皮膚903または他の組織に接触する時点の注射部材916の速度は、いくつかの実施形態では最高約10メートル/秒、具体的には約2から約5m/秒とすることができる。いくつかの実施形態では、注射部材916の速度は、患者の皮膚903に接触する時点で約2から約10m/秒とすることができる。折り畳み式キャニスタ917が皮下注射針902とともに動くにつれて、折り畳み式キャニスタ917の近位板931はモジュール本体939の2つの掛止ばね938間を進み、
図100に示すように、折り畳み式キャニスタ917が貫入行程の終端に到達すると、掛止ばね938は近位板931の後ろでカチッと留まる。
【0320】
次いで、制御可能なドライバは逆方向に動き、反対の逆行方向の力を加え、皮下注射針902をゆっくりと(貫入行程の速度に比べて)後退させ始める。皮下注射針902は、折り畳み式キャニスタ917の摺動封止934を通って摺動しながら、折り畳み式キャニスタの遠位板925を折り畳み式キャニスタ917の近位板931に対して近位方向に運ぶ。折り畳み式キャニスタ917の遠位板925と折り畳み式キャニスタ917の近位板931との間のこの相対的運動により、主チャンバ918の体積が減少する。主チャンバ918の体積の減少により、折り畳み式キャニスタ917の主チャンバ918内に配置された薬物または他の薬剤913が主チャンバ918から押し出されて皮下注射針902の軸927内の入口ポート922内へ入る。皮下注射針902の入口ポート922は、
図80に示すように、折り畳み式キャニスタ917の主チャンバ918内に配置され、主チャンバ918と流動的に連通している。次いで、薬物または薬剤は、皮下注射針902の中空の軸927の中心ルーメン923を通過し、次いで皮下注射針902の遠位端部901で出力ポート912から標的組織903内へ投薬される。薬物または他の薬剤913の灌流速度は、折り畳み式キャニスタ917の内径または横寸法によって決定することができる。灌流速度はまた、送達されている薬物または薬剤913の粘性、皮下注射針902の中心ルーメン923、入力ポート922、または出力ポート912の横寸法または直径、ならびに他のパラメータによって決定することができる。
【0321】
皮下注射針902の近位方向の逆行後退行程中、
図101に示すように折り畳み式キャニスタ917の主チャンバ918が完全に折り畳まれるまで、薬物の送達は継続される。この時点で、駆動連結器185は後退し続けることができ、その後、皮下注射針902の駆動ヘッド937が壊れて自由になり、またはチャンバの遠位板925と皮下注射針902との間の遠位封止941が機能しなくなると、駆動連結器185は開始位置へ戻ることが可能になる。皮下注射針902の遠位先端部901は、制御可能なドライバまたは任意の他の適したドライバを使用して所望の貫入深さを実現することに関連して上記で論じた方法またはデバイスのいずれかを使用して、患者の組織903内で精密な貫入深さまで駆動することができる。
【0322】
別の実施形態では、薬剤注射モジュール915は爪車前進機構内へ装填され、爪車前進機構は、皮膚接点または表面942に対して薬剤注射モジュール915を位置決めする調整可能または可動の遠位ステージまたは表面(図示せず)を含む。このようにして、
図99〜
図101に示すものなどの所定の固定の長さの貫入行程を有する薬剤送達モジュール915が、事前設定可能な貫入深さに到達する。可動ステージは、薬物送達サイクル中も固定されたままである。この実施形態の一変形形態では、可動ステージの運動と皮下注射針902の撤退を協働させて、薬物送達の深さをさらに制御することができる。
【0323】
別の実施形態では、
図99〜
図101の薬剤注射モジュール915内に示す掛止ばね938は、貫入行程を通過するときに折り畳み式キャニスタ917の近位端部932に係合する複数の爪車の歯(図示せず)とともに成形することができる。所定の貫入の深さが全行程に満たない場合、撤退行程中には中間の歯が折り畳み式キャニスタ917の近位端部932を保持して、上記で論じたように折り畳み式キャニスタ917の主チャンバ918を折り畳み、薬物または薬剤913を投薬する。
【0324】
さらに別の実施形態では、駆動フィンガ(図示せず)が作動機構(図示せず)に固定され、掛止ばね938に取って代わる。作動機構は、作動サイクル内の任意の場所で送達される薬物の速度および量を制御するように、上記で論じた処理装置60などの処理装置または制御装置によって、制御可能なドライバとともに電子駆動される。この実施形態により、作動サイクルならびに後退サイクル中の医薬品の送達が可能になる。
【0325】
制御可能なドライバの位置および速度制御システムには、皮下注射針902の空間内の位置を精密に画成して、薬物、ワクチンなどの注射のために皮膚903内に皮下注射針を有限に配置することを可能にする能力が備わっている。薬物の送達は、必要に応じて個別に、または連続して行うことができる。
【0326】
図102〜
図106は、ランセット・カートリッジ本体946とサンプリング・カートリッジ本体947の両方を有する、サンプリングに使用できるカートリッジ945の一実施形態を示す。サンプリング・カートリッジ本体947は、サンプリング・カートリッジ本体947の長手方向軸949から放射状に配置された複数のサンプリング・モジュール部分948を含む。ランセット・カートリッジ本体946は、ランセット183が摺動可能に配置されたランセット・チャネル951を有する複数のランセット・モジュール部分950を含む。ランセット・モジュール部分950は、ランセット・カートリッジ本体946の長手方向軸952から放射状に配置される。
【0327】
サンプリング・カートリッジ本体947およびランセット・カートリッジ本体946は、各ランセット・モジュール部分950と各サンプリング・モジュール部分948とを機能的な配置で容易に位置合わせできるように、動作可能な構成で互いに隣接して配置される。
図102〜
図106に示す実施形態では、サンプリング・カートリッジ本体947はランセット・カートリッジ本体946に対して回転可能であり、それによって、ランセット・カートリッジ本体946の任意のランセット・チャネル951および対応するランセット183と、サンプリング・カートリッジ本体947のサンプリング・モジュール部分948のランセット・チャネル953のいずれかとを位置合わせする。サンプリング・カートリッジ本体947とランセット・カートリッジ本体946とを相対的に位置合わせして回転可能に連結できる動作可能な構成により、特定のランセット・モジュール部分950とサンプリング・モジュール部分948との機能的な配置を実現するようにランセット・チャネル951および953をすぐに位置合わせすることが可能になる。図示の実施形態の場合、特定のランセット・モジュール部分950とサンプリング・モジュール部分948とを位置合わせするために使用される相対的運動は、相対的な回転を介して単一の自由度に制限される。
【0328】
カートリッジ945が様々なサンプリング・モジュール部分948とランセット・モジュール部分950とを位置合わせする能力により、使用者は、サンプリング・カートリッジ本体947の複数のサンプリング・モジュール部分948とともに特定のランセット・モジュール部分950の単一のランセット183を使用することが可能になる。さらに、各穿刺処置に対して新しい未使用のランセット183が必要とされ、または所望されているが、前の穿刺サイクルで使用可能なサンプルを採取できなかった場合、ランセット・モジュール部分950の複数の異なるランセット183を使用して、サンプリング・カートリッジ本体947の単一のサンプリング・モジュール部分948内でサンプルを採取することもできる。
【0329】
図102は、近位端部部分954および遠位端部部分955を有するカートリッジ945の分解斜視図である。ランセット・カートリッジ本体946は、カートリッジ945の近位端部部分954に配置され、
図103に示すランセット・モジュール部分950などの複数のランセット・モジュール部分950を有する。各ランセット・モジュール部分950はランセット・チャネル951を有し、ランセット・チャネル951内にランセット183が摺動可能に配置される。ランセット・チャネル951は、ランセット・カートリッジ本体946の長手方向軸952に対して実質上平行である。図示のランセット183は、駆動ヘッド198、軸部分201、および鋭利な先端部196を有する。ランセットの駆動ヘッド198は、上記で論じた駆動連結器185などの駆動連結器(図示せず)に連結するように構成される。
【0330】
ランセット183は、それぞれのランセット・チャネル951内を自由に摺動し、公称では、鋭利な先端部196をランセット・チャネル951内へ撤退させて先端部196を保護し、
図102に矢印956および矢印957で示すようにランセット・カートリッジ本体946とサンプリング・カートリッジ本体947との間で相対的な回転運動を可能にするように配置される。各ランセット・チャネル951の径方向の中心は、ランセット・カートリッジ本体946の長手方向軸952およびカートリッジ945の長手方向軸958から固定の知られている径方向の距離を空けたところに配置される。ランセット・カートリッジ本体946およびカートリッジ945の長手方向軸952および958から固定の知られている径方向の距離を空けて各ランセット・チャネル951を配置することによって、ランセット・チャネル951とサンプリング・カートリッジ本体947のランセット・チャネル953とを機能的な配置で容易に繰り返し位置合わせすることができる。ランセット・カートリッジ本体946は、ランセット・カートリッジ本体946およびカートリッジ945の長手方向軸952および950と同軸の長手方向軸960を有する取外し可能な枢動軸959の周りを回転する。
【0331】
サンプリング・カートリッジ本体947は、カートリッジの遠位端部部分955に配置されており、サンプリング・カートリッジ本体947の長手方向軸949の周りに放射状に配置された複数のサンプリング・モジュール部分948を有する。サンプリング・カートリッジ本体947の長手方向軸949は、ランセット・カートリッジ本体946、カートリッジ945、および枢動軸959の長手方向軸952、958、および960と同軸である。サンプリング・カートリッジ本体947はまた、枢動軸959の周りを回転することができる。ランセット・カートリッジ本体946とサンプリング・カートリッジ本体947との間で精密な相対的運動を実現するために、カートリッジ本体946および947の一方または両方は、枢動軸959の周りを回転可能にしなければならないが、両方を枢動軸959の周りで回転可能にする必要はなく、すなわち、カートリッジ本体946および947の一方は、枢動軸959に永久的または着脱可能に固定することができる。
【0332】
サンプリング・カートリッジ本体947は、ベース961と、ベースの近位表面963を覆って液密封止を形成するカバー・シート962とを含む。
図104(例示を見やすくするためにカバー・シートを除いた)に示すサンプリング・モジュール部分948などのサンプリング・カートリッジ本体947の各サンプリング・モジュール部分948は、サンプル貯蔵器964およびランセット・チャネル953を有する。サンプル貯蔵器964は径方向に外方の端部に排出口965を有し、排出口965により、サンプル貯蔵器964を流体サンプルで容易に充填することが可能になる。サンプル貯蔵器964は、サンプリング・カートリッジ本体947の長手方向軸949に対して実質上平行に延びるそれぞれのランセット・チャネル953と流動的に連通している。ランセット・チャネル953は、サンプル貯蔵器964の径方向に内方の端部に配置される。
【0333】
サンプル・カートリッジ本体947のランセット・チャネル953は、ランセット183の通過を可能にし、また、
図106に示すランセット・チャネル953の入口ポート967からサンプル貯蔵器964へ延びるサンプル流れチャネル966として機能する。カバー・シート962の近位表面968は、ランセット・カートリッジ本体946のランセット・チャネル951内へ毛管作用によって流体サンプルが引き込まれるのを防止するために、ランセット・チャネル箇所で、ランセット・カートリッジ本体946の遠位表面969から空間的に分離されることに留意されたい。カバー・シート962の近位表面968とランセット・カートリッジ本体946の遠位表面969との空間的な分離は、
図105に示すようにランセット・カートリッジ本体の遠位表面969内へ形成された2つの表面968および969間の突起970によって実現される。
【0334】
サンプリング・カートリッジ本体947のサンプル貯蔵器964は、他のサンプリング・モジュールの実施形態に関連して上記で論じたサンプル検出センサ、検査センサ、センサ接点などのいずれかを含むことができる。カバー・シート962は、PMMAから形成することができ、その表面上には導体、センサ、またはセンサ接点を形成することができる。また、サンプル貯蔵器内で採取したサンプルに対して光学的な感知または検査方法を使用するには、カバー・シート962を透過性または半透明の材料から作ることができることが望ましい。図示の実施形態では、サンプリング・カートリッジ本体967のサンプル貯蔵器964の少なくとも一部分の径方向に外方の位置は、ランセット・カートリッジ本体946の径方向に外方の寸法を超える。したがって、
図105に示すものなどの光検出器またはセンサ971は、カバー・シート962を通じて光信号を伝送し、サンプルからの光信号を受け取ることによって、サンプル貯蔵器964内に配置されたサンプルを検出または検査することができる。
【0335】
カートリッジ本体946および947は、上記で論じたサンプリング・カートリッジおよびランセット・カートリッジまたはその任意の構成要素の形状特徴、寸法、または材料と同じまたは類似の形状特徴、寸法、または材料を有することができる。モジュール部分948および950はまた、上記で論じたランセットもしくはサンプリング・モジュール、またはその任意の構成要素の形状特徴、寸法、または材料と同じまたは類似の形状特徴、寸法、または材料を有することができる。さらに、カートリッジ945は、動作可能な構成で、上記で論じたドライバのいずれか、または任意の他の適したドライバに連結させることができ、または隣接して位置決めすることができ、それによって穿刺サイクル内でランセット・カートリッジ本体のランセットを選択的に駆動させることができる。
図102〜
図106に示す実施形態は、相対的な回転運動で様々なサンプリング・モジュール部分948およびランセット・モジュール部分950の位置合わせを可能にするが、同様に機能する他の実施形態も企図される。たとえば、ランセット・モジュール部分、サンプリング・モジュール部分、またはこれらの両方は、モジュール部分を機能的な配置で位置合わせするために使用される相対的なxy運動により2次元の配列で配置することもできる。そのような相対的なxy運動は、そのような代替実施形態において位置合わせを実現するために位置センサおよびサーボ・モータで実現することができる。
【0336】
一実施形態では、本発明は、単一の使い捨て部分上に組み合わせた複数の血糖検査を含む。ばらの個々の検査ストリップをもたない、使用者が取り扱うための単一の使い捨て部分が提供される。1つの基板上には、必要に応じてセンサを露出させるカセット・ハウジングを用いて、清浄度および湿気の封止とともに複数の被検体センサが提供される。穿刺とグルコース検査は、単一のデバイス内へ統合される。
【0337】
1つの特有の実施形態では、使い捨てのプラスチック・ディスク上に5つまたはそれ以上の電気化学センサが組み付けられており、その結果ディスクは、単一の使い捨て部分をデバイス内へ挿入して血糖測定と指の穿刺とを統合する能力を使用者に提供する。使い捨て部分を交換しなくても、複数の検査を行うことができる。ディスクはカセット・ハウジング内に収容され、このハウジングは、湿気からの障壁を提供し、センサの清浄度を保持する。ディスクはカセット・ハウジング内を自由に回転する。そのようなディスクが
図1に示され、たとえば7つのセンサがディスク上に組み付けられており、見やすいように半透明のカセット・ハウジングが示されている。この構成では、使用者が検査するのに備えてディスクが回転すると、
図107に示すカットアウトで使用するために未使用のセンサが露出される。カセット・ハウジングは、湿気によるセンサの劣化から保護する封止を収容すると同時に、検査で使用するために新しいセンサが封止を通過することが可能にし、ならびに使用済みのセンサをカセット・ハウジング内へ戻すことを可能にする。
【0338】
図107に示すように、ディスクは、それだけに限定されるものではないが血糖を含む体液内の被検体を検査する複数のセンサを含む。
図107では、センサは穿刺孔を有し、出血−読取り(bleed−to−read)構成で使用するためにランセットがセンサを通過することを可能にする。ディスクは、清浄度および湿気からの保護のための障壁を提供するために、カセット・ハウジング内に収容される。
【0339】
カセット・ハウジング内のディスクは、複数のセンサを有する連続する平坦なディスクとすることができ、またはカセットがデバイス内で定位置にある状態でランセットを交換したいと使用者が望む場合、ランセットがスポーク間を通ることができるようなスポーク状のディスクとすることができる。この構成を
図108に示す。
【0340】
ディスク上のセンサの数は、少なくとも5であり、最高12とすることができる。これは、使用者がデバイス内に1つのディスクを配置し、余分のカセットを保持しなくても1日分の検査に対して十分な検査を行うことができるようにするのに十分な数のセンサである。
【0341】
本発明の別の実施形態を
図108に示す。この形態では、ディスク基板は、ランセットがスポーク間を通ることが可能になるようにスポーク状であり、その結果、ディスクを取り外すことなく、使用済みのランセットを除去することができ、新しいランセットを挿入することができる。
【0342】
図107と
図108ではどちらも、ディスクは、センサが出血後読取り(bleed−then−read)または出血−読取りの用途に適するように作ることができる。出血後読取りの用途では、センサは、血液がセンサの最も外側の縁部上に配置されるように製作される。出血−読取りの用途では、センサは図示のように通過孔を有するように製作され、それによって、ランセットがセンサを直角に通過して使用者の皮膚を突刺し、自然発生的な血液のサンプルを引き込んでセンサを濡らすことが可能になる。
【0343】
図108に示すスポーク状のディスク上の別の実施形態を、
図109に示す。この実施形態では、ディスクは、1つのスポークが平面から屈曲してデバイスの小型の設計を容易にし、ランセットがディスクを通過することを可能にすることができるように構築される。1つまたはそれ以上のスポークの位置を変える能力はまた、端部充填型の吸入ストリップにも当てはまる。
図109は、スポーク状のディスク上の一変形形態を示し、スポークを平面から屈曲させて穿刺のために貫通孔へのアクセスを容易にし、または他の方法で端部充填型の吸入ストリップに対する能動センサの位置を変えることができる。左側の図は、スポーク状の平面ディスクを示す;右側の図は、ディスクの1つのスポークが平面から屈曲しているところを示す。
図109に示すスポーク状のディスクは、
図108などのカセット内に収納されているはずであるが、見やすいように
図109では図示されていない。
【0344】
すべての実施形態で、センサとの電気接点を作らなければならない。
図110に示すように、一実施形態では、個々のセンサに関連する電気接点を露出させる。この実施形態では、平坦なディスクとスポーク状のディスクの両方を使用することができ、電気接点は、センサのいずれかの側に位置することができる。そのような実施形態では、デバイスは、使用のために露出されると、センサと直接電気的に接触する。
【0345】
別の実施形態では、これらのセンサは、カセット・ハウジング内へ統合された接点に電気的に接続することができ、これらの接点は、電気化学的グルコース測定を行うのに適した形で、他の手段によってデバイスに接続される。
【0346】
カセット・ハウジングに関して、一実施形態では、センサ自体の上に湿気封止が提供されることになり、カセット・ハウジングを検査するためにディスクが回転して未使用のセンサが定位置に配置されるときは、使用者による表立った処置なくセンサから湿気封止を除去する手段を有する。
【0347】
また、カセット・ハウジングに関して、別の実施形態では、カセット・ハウジング内のそれらの未使用のセンサに対して湿気封止された環境が提供されることになる。この実施形態では、カセット・ハウジングは、湿気からの封止の完全性を損なうことなくディスクがハウジング内で回転できるように、機械封止が提供されることになる。
【0348】
湿気からの封止を提供するカセット・ハウジングを用いる場合、1つの使用モデルでは、使用者がディスク1枚分のセンサを消費するはずの時間量である1日から1週間の間の短期間にわたって、未使用のセンサを保護するのに十分な封止が好ましい。別の使用モデルでは、使用者は、現在一般に使用されているバイアルを乾燥させる際の検査ストリップの貯蔵寿命に同等の最高3箇月の長期間にわたって、未使用のセンサを保護するのに十分な封止が好ましい。
【0349】
カセット・ハウジングが湿気からの保護を提供できる1つの手段は、環境に対する機械封止を組み合わせること、および乾燥用プラスチックから作ることである。
【0350】
図1、
図2、および
図3に示すディスク構成は、2つの方法:(i)プラスチック基板上にセンサを印刷して、図示の構成を直接作製し、次いでカセット・ハウジングに組み付けること;(ii)センサを単独または大量に印刷、積層、または他の方法で製造し、適した基板上に個々のセンサを図示の構成に組み付け、次いでカセット・ハウジングに組み付けることによって製造することができる。
【0351】
本発明の別の実施形態では、使い捨てのプラスチック・ディスク上に5つまたはそれ以上のセンサが組み付けられており、その結果このディスクは、血糖測定と指の穿刺を統合するデバイス内へ単一の使い捨て部分を挿入し、使い捨て部分を変更しなくても利用可能な5つまたはそれ以上の検査を有する能力を使用者に提供する。そのようなディスクは
図1に示されており、たとえば7つのセンサがディスク上に組み付けられる。この構成では、各センサを湿気から封止して、血糖と反応して電流を生じさせるために使用される材料の劣化を防止する。使用の際には、使用者は、穿刺機構も統合する血糖計内へそのようなディスクを挿入する。使用者が検査を行うのに備えてディスクを回転させると、湿気封止はデバイスによって受動的に除去され、すなわち使用者が封止除去処置を表立って行うことはない。
【0352】
図111は、血糖を検査する複数のセンサを有するディスクを示す。この図には穿刺孔を有するセンサが示されており、それによって出血−読取り構成で使用するためにランセットがセンサを通過することを可能にする。
【0353】
図112の実施形態は、
図111の実施形態に類似している。この図では、ディスク基板は、ランセットがスポーク間を通ることが可能になるようにスポーク状であり、その結果、ディスクを取り外すことなく、使用済みのランセットを除去することができ、新しいランセットを挿入することができる。
【0354】
図111と
図112ではどちらも、ディスクは、センサが出血後読取りまたは出血−読取りの用途に適するように作ることができる。出血後読取りの用途では、センサは、血液がセンサの最も外側の縁部上に配置されるように製作される。出血−読取りの用途では、センサは図示のように通過孔を有するように製作され、それによって、ランセットがセンサを直角に通過して使用者の皮膚を突刺し、自然発生的な血液のサンプルを引き込んでセンサを濡らすことが可能になる。
【0355】
出血後読取り構成の
図112からのスポーク状のディスクの一実施形態を、
図113に示す。この構成では、ディスクの1つのスポークが、使用者がアクセスできるように露出される。これは、図示のように血糖計の上側に示されている。能動センサは、使用者がアクセスできるようにデバイスの前面から露出される。
【0356】
出血−読取り構成に対するスポーク状のディスクまたは平坦なディスクの追加の実施形態を、
図114に示す。この構成では、スポーク状のディスクは、ランセットの作動軸がディスクの平面に対して直角になるように向けられる。スポーク状のディスクの場合、ランセットが交換されるアクセス孔が設けられる。
図114では、ランセットが交換されるランセット開口を有するスポーク状のディスクが示されている。スポーク状のディスクはデバイスの内側に位置するが、見やすいように、
図114では、デバイスの端部上に位置するかのように示されている。
【0357】
図112の実施形態の一変形形態を、
図115に示す。この実施形態では、ディスクは、1つのスポークが平面から屈曲して小型の設計を容易にし、穿刺のために貫通孔へのアクセスを可能にし、または他の方法で端部充填型の吸入ストリップに対する能動センサの位置を変えることを可能にすることができるように構築される。1つまたはそれ以上のスポークの位置を変える能力はまた、端部充填型の吸入ストリップにも当てはまる。左側の図は、スポーク状の平面ディスクを示す;右側の図は、ディスクの1つのスポークが平面から屈曲しているところを示す。
【0358】
平坦なディスクを再構成する極端な例は、平坦なディスクを円錐または円筒に成形して、一体型の穿刺デバイスおよび血糖計の他の向きまたは構成を容易にすることである。
【0359】
図111、
図112、
図114、および
図115に関して、出血−読取り構成で使用されるときのセンサ上の電気接点が示されており、ディスクの中心の方へ向き、ランセット孔がディスクの外縁の方へ向いている。これらの2つの特徴部の相対的な位置は、電気接点がディスクの外縁の方へ向き、ランセット孔がディスクの中心の方へ向くように交換することもできる。
【0360】
図111、
図112、および
図115に示すディスク構成は、2つの方法;(i)プラスチック基板上にセンサを印刷して、図示の構成を直接作製すること;(ii)センサを単独または大量に印刷、積層、または他の方法で製造し、適した基板上に個々のセンサを図示の構成に組み付けることによって製造することができる。
【0361】
本発明の一実施形態では、ある方法で、アクチュエータまたはドライバに使い捨てのランセットが連結される。この実施形態では、機械的グリッパまたはチャックを使用してランセットをアクチュエータ駆動機構に固定するのではなく、電磁駆動原理を用いる。代わりに、
図116に示すように、ランセットは「カートリッジ」内に完全に収容され、それがアクチュエータ・ソレノイド・コイルの口径内へ挿入される。
【0362】
カートリッジは、穿刺動作中にコイルに対して動くことはなく、したがって比較的簡単な捕捉/ロック機構を使用して、コイルに対するカートリッジの位置を固定することができる。
図111は、使い捨てのカートリッジがアクチュエータ・コイルの口径内へ挿入されているところを示す。カートリッジ内でランセットの位置を測定するセンサも示されている。それだけに限定されるものではないが渦電流などを含む他の手段を利用して、ランセットの位置を測定することもできる。
【0363】
図117は、カートリッジの横断面を示す。カートリッジの内側にはいくつかの軸受が位置し、ランセット・アセンブリに対する支持および案内経路を提供する。ランセット・アセンブリは、スラグに連結されたランセット・ワイアと、アクチュエータ・ソレノイドを押す/引くことができる材料と、場合により「フラグ」、すなわちランセットの位置を判定するために使用できる構成要素とを含む。スラグおよびフラグは、それぞれアクチュエータのソレノイドおよび位置センサ(複数可)内で最適に位置決めされる位置で、ランセット上に配置される。
【0364】
図117は、カートリッジがアクチュエータ/デバイスに対して適切に位置決めされたときのアクチュエータ・ソレノイドおよび位置センサに対するスラグおよびフラグの位置の概略図を提供する。
図117は、使い捨てのランセット・カートリッジの横断面である。ランセット・アセンブリは、カートリッジの内部で軸受内に懸架される。カートリッジは、ランセットと同一線上に開口を収容する。
【0365】
フラグは、いくつかの方法:すなわち、(i)線形エンコーダ・フラグを用いること;および(ii)絶対エンコーダ・フラグとして用いることを含む方法で実施することができる;スラグはフラグとして働き、渦電流を介して位置を感知する手段を使用することができる。
【0366】
ランセット・アセンブリ、スラグ、フラグなどの形状特徴または構成要素の寸法は、ランセットの運動範囲を制限するように、軸受と組み合わせて設計することができる。これらの機械的「止め具」は、ランセットがカートリッジからさらに出るのを防止することができる。
【0367】
カートリッジの面に「出血−読取り」センサを取り付けて、「単発式」の使い捨て部分を作ることができる。カートリッジの開口の上には、滅菌バリア、オーバーモールド成形されたホイル・キャップなどを配置することができる。カートリッジは、使用者にとって取扱いおよび使用がより容易である。
【0368】
本発明の一実施形態では、固定間隔の多センサ・テープの使い捨ての検査ストリップなどのセンサに対するサンプル取込みおよび輸送構成が提供され、単一の使用による検査を可能にする輸送方法が使用される。構造を提供することができ:(i)穿刺事象を行うこと、(ii)サンプルの収集;(iii)サンプルの輸送および体液サンプルの測定を可能にする。これらの構造は密接に流動的に連結され、その結果、穿刺事象から搾り出したサンプルは、所定の位置に存在する。そのような構造により、このサンプルの収集、およびその後の測定セルへの輸送が可能になる。
【0369】
図118は、可撓性の輸送キャリア上に隔置された垂直センサを有する本発明の一実施形態を示す。単一化されたセンサが、固定の間隔でキャリア・テープに固定される。
【0370】
この実施形態では、これらのセンサは、個別または連続的に両側で封止することができる。この実施形態では、未使用のセンサの単一の使用および保護が可能になる。大容量のSMTリール製造により、テープに対するセンサのSMT取付け具を利用することができる。この実施形態は、別個の高密度センサが製造されるため、低コストである。
【0371】
センサ基板は、テープとして機能することができ、リボンのカッティング後に使用して、より簡単な製造およびより低いセンサ密度を提供することができる。基板またはテープを横切るようにセンサ・リボンを適用し、次いで最終の形状にカットすることができる。両面封止を使用して、水分および汚染の侵入を低減させることができる。センサ・コネクタの接触パッドは、両側の上下に位置することができる。
【0372】
図119は、可撓性の輸送キャリア上の隔置された水平センサの一実施形態を示し、単一化されたセンサが、固定の間隔でキャリア・テープに固定される。
【0373】
図119の実施形態では、個々のセンサを封止することができ、連続封止を使用することができ、両面封止を用いることができる。
図119の実施形態では、未使用のセンサの単一の使用および保護が可能になる。SMT取付け具を使用して、センサをテープに取り付けることができる。大容量のSMTリール製造を用いることができる。この実施形態により、別個の高密度センサが製造されるため、低コストのセンサが提供される。
【0374】
センサ基板はまた、テープとして機能することができ、リボンのカッティング後に使用して、より簡単な製造およびより低いセンサ密度を提供することができる。基板またはテープを横切るようにセンサ・リボンを配置し、最終の形状にカットすることができる。両面封止を使用して、水分および汚染の侵入を低減させることができる。センサ・コネクタの接触パッドは、両側の上下に位置決めすることができる。
【0375】
図120の実施形態では、基板輸送システムが、供給および巻取りリールに分配された固定の間隔のリール・ツー・リール(reel to reel)センサを可撓性のキャリア・テープ上に有する。この実施形態では、低コストの可撓性テープが提供され、単一化されたセンサが固定の間隔で隔置される。センサ内には、前面または裏面のいずれかにセンサの電気接触パッドを収容することができる。この実施形態では、未使用のセンサの単一の使用および保護が可能である。基板またはテープを横切るようにセンサ・リボンを配置することができ、最終の形状にカットすることができる。これらのリールは、高い密度/大きな数を提供する。単一化されたセンサは、低コストの高密度シートから単一化することができる。
【0376】
この実施形態では、各使い捨て部分内に新しい乾燥剤を位置決めすることができる。低コストの2次包装は、低コストのホイルとすることができる。テープ・ツー・リール(tape to reel)を利用して、使用済みのセンサ材料およびテープの巻取りを提供することができる。リール・ツー・テープ(reel to tape)を使用すると、使用者は、単一化されたセンサの使用のために、一度に1つずつ、環境的に封止されたコンテナを挿入することが可能になり、テープは、最終の使用時に取り出されて手で除去される。
【0377】
本発明の別の実施形態では、被検体流体検査デバイスが一体型の電子穿刺を有し、センサは、それだけに限定されるものではないが検査ストリップを含む。新しいランセットおよびセンサを使用するカートリッジが設けられる。カートリッジは、取り扱いが簡単で使用者が設置する消耗品として提示される。1つのカートリッジが1つの検査に適している。システムは、結果を通じて穿刺からの血糖検査を提供するものであり、出血−読取りシステム、すなわち1工程の結果を使用者に提供する能力である。さらに、システムは、各使い捨てのカートリッジを用いて単一の検査を実現する。
【0378】
検査デバイスは、携帯して日常的に使用するのに望ましい寸法および形状因子とすることができる。この計器は、可能な限り小型にする必要がある。検査デバイスは、使用者にとって、SMBG製品に対する業界の典型と一貫したコスト点で利用可能である。
【0379】
検査デバイスは、穿刺およびサンプリン方法の密接な流動的連結を有する一体型の穿刺およびグルコース測定検査デバイスである。これにより、単一工程の測定経験を容易にする。貫入部材または穿刺アクチュエータを設けることができ、軸受アクチュエータ・アセンブリとすることができる。使用者変更可能な検査カートリッジが設けられる。検査デバイスは、1つの単一使用者工程において、穿刺、自動サンプル取込み、輸送、および測定を提供する。
【0380】
単発式の使い捨て部分は、前述の検査デバイスのカートリッジ部分である。このカートリッジは、ランセット、グルコース・センサを収容し、密接な機械的および流動的連結を提供して、単発式のデバイスの要件を実現する。
【0381】
また、そのようなデバイスの複数検査バージョンが提供される。複数検査バージョンでは、単一化されているか、それとも連結されているかにかかわらず、複数のカートリッジを使用し、単発の機能性を高めて、複数のカートリッジを収納して交換を取り扱う。多発式の検査デバイスは、単発式の基本要件を満たす。
【0382】
様々な実施形態では、ランセットは、ばらのランセットが非常に重大な安全上の危険になる可能性を軽減し、ランセットに対するデバイス・インターフェースを容易にするために、オーバーモールド成形することができる。オーバーモールドを使用して滅菌バリアを作る場合、障壁は、オーバーモールド成形されたランセット/カートリッジの製造コスト内に含まれる。オーバーモールドを使用して滅菌バリアを作る場合、無菌状態のホイル障壁は必要とされない。カートリッジは、ランセットおよびセンサの一体型の管理を有することができ、オーバーモールド成形されたランセットおよび別個のセンサのコストに対して、カートリッジのコストを競争的に有利なものにすることが可能である。
【0383】
成形されたカートリッジは、容易に取り扱われるように設計することができる。カートリッジは、センサの浮動を容易にするように構成することができ、それによって、センサをカートリッジに精密に位置決めするのではなく、センサにおける重要な形状特徴に基づいてセンサを位置決めすることが可能になる。カートリッジまたはオーバーモールドは、センサに対する湿気管理を容易にするために、乾燥用材料から成形することができ、または乾燥用材料を含むことができる。
【0384】
完成したカートリッジの製造は、高度に自動化された形で行うことができ、リボンまたはストリップ内のセンサおよびチェーン内のカートリッジを連結したまま保つことができ、その結果、センサが個別に取り扱われることはない。オーバーモールドを設計の一部として使用する場合、ランセットは、成形方法の一部としてのみ取り扱われる。オーバーモールドを使用する場合、オーバーモールド成形された部材を取り出して殺菌し、次いでオーバーモールドにセンサを追加するという点で、この方法は製造が大いに簡略化される。
【0385】
湿気管理は、以下;(i)センサを個別に封止すること;(ii)バイアルまたはホイル・パッケージなどの湿気管理された主要なパッケージ内にセンサ/カートリッジ全体を収納することによって維持することができる。
【0386】
ランセット・オーバーモールド、ランセット滅菌封止、センサ・ホルダ、およびカートリッジを単一の成形部材にすることによって、カートリッジのコスト、組立て、殺菌、および使用が強化される。
【0387】
図121の実施形態では、成形されたカートリッジ内に収納された棒ランセットが統合される。ランセットは、ゲル保持、ピンチ構造などによって保持される。無菌状態は、ランセット・チャンバに対するホイル障壁によって維持され、湿気管理は、カートリッジ内のセンサまたはセンサ・ポケットをホイル封止することによって維持される。
【0388】
図121の実施形態は、以下の特徴:(i)カートリッジに対する成形;(ii)挿入によってランセットを把持すること;(iii)無菌および湿気封止にホイルが使用されること;ランセットが挿入/取得の一部として検査のために定位置へ動くこと;使用後にランセットをカートリッジ内に再び収納することなどを有する、オーバーモールド成形されたランセット/カートリッジである。
【0389】
製造の一実施形態では、成形は、チェーン内の複数のセンサに対して行われ、成形−ランセット挿入−ホイル−殺菌−センサ固定−単一化が提供される。
図121の実施形態の1つの利点は、ランセットがセンサに対して精密に位置合わせされることである。
【0390】
図122のホイル封止を有するオーバーモールド成形されたランセット・カートリッジは、成形されたカートリッジの一部であるオーバーモールド成形されたランセットを提供する。ランセットは、成形されたウェブによって、使用までカートリッジ内で保持される。使用されると、ウェブは破れてランセットを自由にする。滅菌封止は、カートリッジ上のホイル障壁によって行われる。
【0391】
図122の実施形態は、以下の特徴:(i)一体成形;(ii)挿入によってランセットを解放すること;(ii)無菌および湿気封止(複数可)にホイルが使用されること;ランセットが挿入/取得の一部として検査のために定位置へ動くこと;使用後にランセットをカートリッジ内に配置することなどを有する。
【0392】
製造の一実施形態では、多くのセンサがチェーン状に成形され、成形−ホイル−殺菌−センサ固定−単一化が提供される。
【0393】
図123の実施形態では、成形されたカートリッジの一部であるオーバーモールド成形されたランセットが提供される。ランセットに対する滅菌封止は、オーバーモールド/カートリッジの一部である。使用の際には、ランセットは滅菌封止片から取り出され、使用のために位置決めされる。封止片は、センサが取り付けられた状態で、測定のために位置決めされる。
【0394】
図123の実施形態の特徴には、以下:一体成形;挿入によってランセットを前面片から解放し、使用のためにセンサを位置決めすること;(iii)ランセット上にホイルがない状態で滅菌封止のためにオーバーモールドが設けられること;(iv)ランセットが挿入/取得の一部として検査のために定位置へ動くこと;(v)センサが個別にホイル保護されること、または湿気を管理する主要な包装内でカートリッジが出荷されること;(vi)使用後にランセットをセンサ片内へ埋め込んで、使用者が鋭利部分に露出されるのを防止することなどが含まれる。
【0395】
図123の実施形態は、以下:多くをチェーン状に成形すること;成形−殺菌−センサ固定−単一化を使用することなどによって製造することができる。
【0396】
図124の実施形態は、成形されたカートリッジの一部であるオーバーモールド成形されたランセットを実現する。ランセットに対する滅菌封止は、オーバーモールド/カートリッジの一部である。使用の際には、カートリッジが使用者によって挿入され、滅菌封止/ハンドルが除去され、ランセットが露出される。センサは、デバイス閉鎖の一部として定位置へ揺動し、測定のために位置決めされる。場合により、センサの湿気封止は、デバイスの閉鎖中に管理することができ、またはカートリッジが湿気管理なく主要な包装内に収納されている場合は、一切管理されない。
【0397】
図124の実施形態の特徴には、以下:(i)一体型のオーバーモールド成形されたランセット/アセンブリ;(ii)挿入によってランセットを無菌状態から解放し、使用のためにセンサとランセットを一列に位置決めすること;(iii)ランセット上にホイルがない状態の滅菌封止のためのオーバーモールド;(iv)ランセットが挿入の一部として検査のために定位置へ動き、使用者が滅菌封止を破ること;(v)センサが個別にホイル保護されること、または湿気を管理主要な包装内でカートリッジが出荷されること;(vi)使用後にランセットをセンサ・ハウジング片内へ埋め込んで、使用者を鋭利部分から保護することが含まれる。
【0398】
図124の実施形態は、以下:すなわち、多くをチェーン状に成形すること;成形−殺菌−センサ固定−単一化などによって製造することができる。
【0399】
本発明の別の実施形態では、一体型で電池駆動式の携帯型の体液検査デバイスを提供し、この体液検査デバイスは、穿刺と被検体測定の両方と、マルチセンサ検査ストリップと、関連する付属品とを提供する。
図125に示す検査ストリップが設けられ、検査ストリップごとに2つ以上の使用者検査を行う複数のセンサを有する。検査ストリップは、使用者が容易に取り扱うことができるストリップ形式で配置された積層材料から構成される。
【0400】
マルチセンサ検査ストリップは、複数のセンサ(A)を有する。
図125は、一体型のサンプル収集構造および関連する電気接点とともに、5つのセンサを示す。ストリップは、使用者が設置するランセットの交換を容易にする緩和構造(B)を有する。検査ストリップは、それだけに限定されるものではないがグルコースを含む各体液の測定に対して、デバイス内に検査ストリップを精密に位置決めする基準特徴部を有することができる。
【0401】
図
126の一体型の穿刺およびグルコース測定デバイスは、マルチセンサ検査ストリップ、使用者交換可能ランセットを収容するように配置され、穿刺、サンプル収集および輸送、ならびにグルコース測定にとって重要な構成要素を有し、これらは出血−読取りを容易にするために密接に流動的に連結し、構造上かつ/または密接に近接している。このデバイスは、使用者・ディスプレイおよび制御部を有する携帯型で手持ち式の電池駆動式電子装置である。
【0402】
デバイスは、使用者がグルコース測定のために指を配置するための特徴部、すなわち指前端部(E)と、ストリップ挿入ポート(A)と、ストリップ除去ポート(B)と、マルチセンサ検査ストリップを装填および前進させるノブ(C)と、ストリップの設置、使用、および除去のためにMSTSを動かす機構と、洗浄のために使用者がアクセスできる取外し可能な前面「キャップ」(H)と、使用者制御部(F)と、ディスプレイとを有する。デバイスは、使用者が交換可能なランセットを分解することなく容易に交換できるようにする機能をさらに有する。これを行うことのできる1つの方法は、ランセット交換制御部によって行われるものであり、ランセット交換制御部は、押されると、設置されたMSTSを経路から動かし、使用者が前端部を通じてランセットを交換できるようにする。
【0403】
図127を参照すると、検査ストリップ上の各センサ構造、サンプル収集、血液輸送、およびセンサは、湿気のアクセスを管理する構造を有することができる。湿気管理封止は、3つの場所:(i)センサ停止接合部;(ii)基板内の穿刺開口、および(iii)カバー・スリップ内のサンプル収集開口に対処しなければならない。デバイスは、検査の準備するときは、湿気封止を自動的に破り、検査のために新しいセンサを露出させる。
図127では、サンプル収集開口およびセンサ停止接合部を覆う封止(A)と、穿刺開口に対する第2の封止(B)とを示す。
【0404】
MSTSを設置する一実施形態では、以下の工程:(i)使用者がコンテナからMSTSを除去すること;(ii)使用者が次いでMSTSをデバイス上のストリップ入力ポート(A)内へ挿入し、完全に挿入すること;(iii)使用者・ディスプレイが残りの検査数を示すことが行われる。
【0405】
検査を実行する際には、第1にデバイスの電源が投入される。使用者は、センサ前進ノブ(C)を回転させることによって、MSTSを第1のセンサまたは次の利用可能なセンサへ前進させる。ノブは、爪車ノブとすることができる。適切に前進されると、MSTSはそれ以上前進しなくなり、使用する準備がされた位置を越えて前進しない。計器の電源が投入され、ディスプレイは検査の準備が完了したことを示す。
【0406】
使用者は、指前端部(E)上に指を配置してわずかな量の圧力を加える。使用者は、ボタン(F)を押すことによって測定シーケンスを開始する。次いで、ディスプレイ上に結果が提示される。
【0407】
MSTS上のすべてのセンサが使用されたとき、ディスプレイは、センサを交換する必要があることを示す。使用者は、ストリップ前進ノブを前進させ、使用済みのMSTSをストリップ出口ポート(B)から出す。使用者は、使用済みのMSTSを取り出し、デバイスから除去して安全に破棄する。
【0408】
ランセット交換は、使用者が望む任意の時点で行うことができる。使用者は、デバイスの裏面に位置することができるランセット・アクセス・ボタンを押す。検査ストリップはデバイスによって自動的に変位され、その結果、ランセットはノッチ(B)で検査ストリップを取り除く。ランセット・ハンドルを使用して、使用者は、穿刺開口を通じて使用済みのランセットを除去する。使用者は、新しいランセットを穿刺開口内へ挿入することによって設置する。
【0409】
別の実施形態では、被検体センサを有するチャンバが設けられる。被検体センサは、体液中の被検体の量を測定する。チャンバは、複数の被検体センサを積層状に収納する。チャンバ内には、乾燥した雰囲気を維持するために乾燥剤が組み込まれる。チャンバの上部は、一度に1つのセンサを収容するカップによって製作された回転キャップに封止される。キャップが回転すると、新しいセンサが感知位置へ運ばれ、血液充填ポートがチャンバ・ハウジングの縁部を越えて突出し、感知電子機器に電気的に接続される。使用済みのセンサは、使用直後に使用者によって除去され、または次のセンサが装填されるときに回転キャップによって排出される。
【0410】
図128は、積層状の血糖センサを収容する封止チャンバを有するハウジングを示す。
図129は、積層状のセンサと、センサをキャップ(図示せず)に付勢する圧縮ばねとを示すハウジングの透視図である。
【0411】
図130は、定位置にあるキャップを示す。キャップは、使用中にセンサに対する電気的接続を提供する電気接点フィンガを支持する。
図134は、キャップの封止面のポケット内へ入れ子になった積層体内の上部センサを示すキャップの透視図である。プッシャ・フィンガも見ることができる。使用済みのセンサが作業位置に残っていた場合、キャップが回転すると、プッシャ・フィンガはそれを排出する。
【0412】
図135は、時計回りに回転するキャップを示す。作業中のセンサは、回転キャップによって作業位置へ運ばれている。積層体内の次のセンサは、キャップの平滑な底面を押し付けているため、まだ持ち上げられていない。
【0413】
図136は、作業位置にある作業中のセンサを示す。キャップ(図示せず)内のばねが、ハウジングの上部のリリーフ内へセンサを押し込む。
【0414】
図137は、空の移送ポケットが途中まで開始位置へ戻った状態のキャップを示し、開始位置で次のセンサが移送ポケット内へ押し込まれる。キャップが開始位置まで回転すると、電気接点フィンガが、グルコース・センサのカーボン接点上の定位置内へ摺動する。
【0415】
図138は、ハウジングの側面から突出して血液の小滴を受ける準備の完了したグルコース・センサを示す。キャップは開始位置にあり、電気接点はセンサの接続タブと位置合わせされる。排出器フィンガがセンサ上に乗り、センサをハウジングの上部内のリリーフの側面へ付勢する。このとき排出器フィンガは、後の時点で次のセンサが装填されるときに使用済みのセンサを作業位置から除去するための定位置にある。キャップ内のリブもまた、作業中のセンサを接触フィンガ下の正しい位置で捕捉する。
【0416】
図139は、キャップを除去した透視図によって、作業位置にあるハウジング、キャップ、およびセンサを示す。新しいグルコース・センサを収納するチャンバの上部を取り囲む弾性封止を見ることができる。キャップが「閉鎖」または作業位置にあるとき、この封止はキャップの底面との接触を維持する。装填サイクル中、最小の周囲空気が封止を越えて伝達され、その結果、乾燥剤にかかる水分の負荷がより小さくなる。こうして水分の露出が小さくなるということは、乾燥剤の寿命が延びること、または必要な乾燥剤の量がより少なくなることを意味する。
【0417】
本発明の別の実施形態では、被検体センサを有する別のチャンバが設けられる。被検体センサは、体液中の被検体の量を測定する。チャンバは、それだけに限定されるものではないがグルコース・センサを含む複数の被検体センサを積層状に収納する。チャンバ内には、乾燥した雰囲気を維持するために乾燥剤が組み込まれる。チャンバの上部は、一度に1つのセンサを収容するカップによって製作された回転キャップに封止される。キャップが回転すると、新しいセンサが感知位置へ運ばれ、血液充填ポートがチャンバ・ハウジングの縁部を越えて突出し、感知電子機器に電気的に接続される。使用済みのセンサは、使用直後に使用者によって除去され、または次のセンサが装填されるときに回転キャップによって排出される。
【0418】
この実施形態では、投薬処置は、回転キャップではなく線形摺動運動である。それだけに限定されるものではないがグルコース検査ストリップを含む被検体検査ストリップのカセットが設けられ、検査計内へ装填することができ、その結果、注射器ハンドルを簡単に摺動させることによって、ストリップを使用できるように割出しすることができる。
【0419】
図140および
図142は、右側へ摺動して検査ストリップ接触アセンブリ内へロックしようとしている予圧されたカセットを示す。摺動器はカセットを覆って封止を提供し、水分が検査ストリップに接触することを防止する。摺動器は、作動ハンドル下で小さいタブによってカセットにロックされる。このタブは、摺動器の第1の使用中に破られ、それによって、摺動器が検査ストリップ収納チャンバを開き、第1の検査ストリップを選択することが可能になる。使用済みの検査ストリップがコネクタ・アセンブリ内の定位置に示されている。使用済みの検査ストリップは、使用者が使用後に除去して破棄することができ、または使用済みの検査ストリップは、次の検査ストリップが摺動器によって装填されるときに排出される。
【0420】
図143は、検査ストリップ接触アセンブリ内の定位置でロックされたカセットを示す。
【0421】
図144は、摺動器が完全に後退し、ロッキング・タブを破った後にカセットから次の
検査ストリップを挿入する準備の完了したところを示す。
【0422】
図145は、摺動器が次の検査ストリップを挿入する準備をしているところの断面図である。カセット内の積層状の検査ストリップ、ならびに摺動器が後退したときに形成される検査ストリップをチャンバ内へ押し込むばねを見ることができる。摺動器上のロッキング・タブは、普通ならこの時点で破られているはずであるが見ることができる。
【0423】
図146は、検査ストリップ・コネクタの電気接点下で新しい検査ストリップを摺動させた後に定位置にある摺動器の裏面を示す。このとき検査ストリップは、血糖を検査する準備が完了している。摺動器は、カセットの上部との封止を再び確立する。カセットの上部内には、エラストマ封止(図示せず)が構築される。
【0424】
長さ27mmの検査ストリップの場合、ハンドルの端部から検査ストリップ・ポートの表面までのカセット/コネクタ・アセンブリの長さは約55mmである。
【0425】
本発明の他の実施形態は、本明細書を考慮し、本明細書に開示の本発明を実施すれば、当業者には明らかになるであろう。本明細書および例は例示のみを目的とすると見なされ、本発明の真の範囲および精神は添付の特許請求の範囲によって示されるものとする。