(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機性廃棄物に内在する燃焼用エネルギー以外の燃焼用エネルギーは、前記燃焼手段に供給する補助燃料の流量と燃焼用気体の流量および温度とに基づくエネルギーであることを特徴とする請求項1に記載の有機性廃棄物の処理装置。
前記使用エネルギー要素は、前記燃焼手段における補助燃料使用量、熱回収発電量が減算された実電力使用量、動力源エネルギー、および有機性廃棄物供給ポンプの電力のうちの1以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の有機性廃棄物の処理装置。
前記全エネルギー使用量は、各使用エネルギー要素に対応した所定のエネルギー関連カテゴリへの変換重み係数を乗算した値を合算したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機性廃棄物の処理装置。
燃焼用エネルギーの供給量が有機性廃棄物の燃焼を行う燃焼手段の内部を所定温度に維持する供給量となるように、前記燃焼手段に、前記有機性廃棄物に内在する燃焼用エネルギー以外の燃料用エネルギーを供給する燃焼用エネルギー供給手段の動作を制御するエネルギー供給動作制御手段と、
前記エネルギー供給動作制御手段による制御の結果である燃焼用エネルギーの供給量に基づいて前記有機性廃棄物に内在する燃焼用エネルギーである有機性廃棄物エネルギーを推定する有機性廃棄物エネルギー推定手段と、
前記有機性廃棄物の低含水化・熱操作処理に関する複数の使用エネルギー要素ごとにエネルギー使用量の測定を行うとともに測定結果の合算を行って全エネルギー使用量を測定する全エネルギー使用量測定手段と、
あらかじめ算出された前記有機性廃棄物エネルギーと前記全エネルギー使用量との相関関係、前記あらかじめ算出された有機性廃棄物エネルギーと前記全エネルギー使用量との相関関係に対し前記有機性廃棄物エネルギー推定手段により推定された前記有機性廃棄物エネルギーの推定値と前記全エネルギー使用量測定手段により測定された全エネルギー使用量の測定値との相関関係によって逐次修正を加えて得られる有機性廃棄物エネルギーと全エネルギー使用量との相関関係、または前記有機性廃棄物エネルギーの推定値と前記全エネルギー使用量の測定値との相関関係によって逐次構築および修正を加えて得られる有機性廃棄物エネルギーと全エネルギー使用量との相関関係を、有機性廃棄物エネルギーと全エネルギー使用量との基準関係として保持する関係保持手段と、
前記関係保持手段により保持された有機性廃棄物エネルギーと全エネルギー使用量との基準関係と前記有機性廃棄物エネルギー推定手段により推定された有機性廃棄物エネルギーの最新の推定値とに基づいて、全エネルギー使用量を最小にする有機性廃棄物エネルギーの最適値と前記有機性廃棄物エネルギーの最新の推定値との大小関係を把握する大小関係把握手段と、
前記大小関係把握手段により把握された有機性廃棄物エネルギーの最適値と前記有機性廃棄物エネルギーの最新の推定値との大小関係に基づいて、前記有機性廃棄物エネルギー推定手段により推定されるべき有機性廃棄物エネルギーの推定値が大小の差を小さくする方向に向かうように、前記燃焼手段に供給するために前記有機性廃棄物を低含水化する低含水化手段の動作を制御する低含水化動作制御手段と、
を備えたことを特徴とする制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の一実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する一実施形態によって限定されるものではない。
【0017】
まず、本発明の一実施形態による有機性廃棄物の処理装置である下水等の汚泥の処理装置について説明する。
図1は、この一実施形態による汚泥の処理装置の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、最適運転制御システムを含む汚泥の処理装置1は、低含水化設備10および熱操作設備20と、制御装置としての最適運転制御装置30とを有する。
【0018】
低含水化設備10は、有機性廃棄物としての汚泥の含水率を増減可能に構成されている。低含水化設備10は、汚泥を脱水により低含水化する低含水化手段としての遠心分離型の脱水機11と、脱水制御部14とを有する。なお、低含水化手段としては、汚泥を乾燥させて低含水化する乾燥機や、その他汚泥の低含水化が可能な種々の装置を用いることが可能である。脱水制御部14は、後述する低含水化動作制御部35による制御によって脱水機11における動力源12の回転数、すなわち遠心力の増減を制御する。ここで、脱水機11は、ベルトプレス型脱水機やフィルタプレスなどの、その他の形式の脱水機であってもよく、汚泥を乾燥させて低含水化する乾燥機などでもよい。また、脱水機11は、使用エネルギー要素としての、モータなどの動力源12と、高分子凝集剤を投入する凝集剤投入器13とを有する。
【0019】
低含水化設備10は、さらに使用エネルギー要素としての汚泥供給ポンプ15および電力計Psを有する。汚泥供給ポンプ15は、脱水機11によって脱水された汚泥を熱操作設備20に供給する。電力計Psは、汚泥供給ポンプ15で消費される電力を検出し、脱水制御部14に入力する。脱水制御部14は、動力源12のエネルギー使用量および電力計Psから入力された汚泥供給ポンプ15の電力使用量を、最適運転制御装置30に出力するとともに、脱水機11における動力源12の回転数の増減を制御する。また、凝集剤投入器13は、脱水対象の汚泥に、予め算出された所定量の凝集剤投入量を投入する。
【0020】
また、熱操作設備20は、汚泥に対して熱操作する熱操作設備である。この熱操作設備20は、燃焼手段としての流動焼却炉21と、汚泥に内在する燃焼用エネルギー以外の燃焼用エネルギーを流動焼却炉21に供給するための燃焼用エネルギー供給手段と、エネルギー供給動作制御手段としての焼却設備燃焼制御装置28とを備える。
【0021】
流動焼却炉21は、燃焼用エネルギーを用いて脱水機11により低含水化された汚泥を燃焼させて減量化する。流動焼却炉21は、フリーボード部と下部の流動床21aとからなる。流動床21aには分散パイプ21bが水平に挿入されている。分散パイプ21bには均一に空気ノズルが設けられて燃焼用空気(流動空気)が送られる。有機性廃棄物としての汚泥は、汚泥供給ポンプ15により流動床21aに連続供給され、流動床21aにおいて分解、乾燥、および一部燃焼が進み、フリーボード部で完全燃焼して、燃焼ガスと灰分が上部から排出される。この流動焼却炉21において、温度センサT1によって流動床21aの温度が検出され、温度センサT2によって流動焼却炉21内の上部の温度が検出され、それぞれの温度の検出結果は焼却設備燃焼制御装置28に入力される。
【0022】
また、補助燃焼装置22は、流動焼却炉21の内部に燃焼用エネルギーとしての補助燃料を供給する。使用エネルギー要素としての補助燃焼装置22の補助燃料使用量は、燃料量検出器22aによって検出され、検出結果は、焼却設備燃焼制御装置28に入力される。補助燃料の供給量は、調整弁22bによって開度調整され、汚泥が自燃条件を満たす場合、補助燃料は供給されない。補助燃料の燃料使用量の検出結果は、焼却設備燃焼制御装置28に供給される。
【0023】
また、使用エネルギー要素である流動空気予熱器23は、バルブ23aによって流量が制御される流動ブロワB1によって大気から流入した流動空気と、燃焼ガスとの熱交換を行う。ここで、流動空気予熱器23は、上段および下段の塔で流動空気と燃焼ガスとの熱交換を行う。流動空気予熱器23から流動焼却炉21に供給される燃焼用エネルギーとしての流動空気において、温度は温度センサT3によって検出され、流量は流量センサF1,F2によって検出される。温度および流量の検出結果はそれぞれ、焼却設備燃焼制御装置28に入力される。流動空気の温度は、流動ブロワB1の後段に設けられる調整弁23d,23eの開度を変更することにより調整される。なお、流動空気の温度調整については、冷却ファンなどからなる冷却器を用いてもよい。以上のようにして熱交換された流動空気は、分散パイプ21bを通じて流動床21aに供給され、調整弁23b,23cを介して流動焼却炉21に供給される。これにより、流動焼却炉21内の空気比が調整されて流動焼却炉21内の温度が調整される。
【0024】
また、使用エネルギー要素としての流動ブロワB1は、焼却設備燃焼制御装置28により制御され、流動焼却炉21内の温度が最適ならば、ほぼ一定の最小電力を消費する一方、温度が低い場合は補助燃料の燃焼空気を要することから、電力消費が大きくなる。また、流動焼却炉21内の温度が最適状態を超えると、流動焼却炉21から排出される燃焼ガス量も増大するため、流動ブロワB1、後述する白防ファンB2、および誘引ファンB3の電力消費も大きくなる。なお、使用エネルギー要素としての流動ブロワB1、白防ファンB2、および誘引ファンB3の電力使用量はそれぞれ、電力計B1s,B2s,B3sによって検出され、それぞれ焼却設備燃焼制御装置28に入力される。
【0025】
以上の補助燃料および流動空気における熱量は、汚泥に内在する燃焼用エネルギー以外の燃焼用エネルギーとなる。また、上述した調整弁22aを備えた補助燃料装置22と、流動ブロワB1、バルブ23a、および調整弁23b〜23eに接続された流動空気予熱器23と、分散パイプ21bとによって、燃焼用エネルギー供給手段が構成されている。
【0026】
上述した流量センサF1,F2が検出した流動空気の流量、および温度センサT3が検出した流動空気の温度の計測値は、焼却設備燃焼制御装置28から最適運転制御装置30に供給される。最適運転制御装置30は、流動空気の流量および温度を含む、流動焼却炉21に供給される燃焼用エネルギー量に応じて脱水機11の動力源12を制御する。低含水化設備10は、最適運転制御装置30の低含水化動作制御部35による制御によって,動力源12の回転数を増減させることにより汚泥の含水率を制御して汚泥エネルギー値を増減させる。なお、最適運転制御装置30による制御の詳細については後述する。
【0027】
流動空気予熱器23で熱交換された燃焼ガスは、約500〜600℃程度の温度で白煙防止予熱器24に供給され、使用エネルギー要素としての白防ファンB2によって大気から入力される白煙防止空気と燃焼ガスとの間で熱交換される。白煙防止予熱器24において温度上昇した白煙防止空気は、使用エネルギー要素としての熱回収発電設備27を介して熱回収された後、煙突26に供給される。一方、白煙防止予熱器24から出力された燃焼ガスはスクラバー25で排煙処理され、煙突26に出力する。煙突26では、入力された燃焼ガスを熱回収発電設備27から送られた白煙防止空気によって温度上昇させ、白煙が防止された燃焼ガスを大気に放出する。ここで、熱回収動力設備を含む熱回収発電・動力設備の一例としての熱回収発電設備27は、熱回収された熱を用いてタービンなどを駆動して発電し、発電された電力は、汚泥の処理装置1やその他の設備に用いられる。なお、熱回収発電設備27によって発電された熱回収発電量は、焼却設備燃焼制御装置28に入力される。
【0028】
焼却設備燃焼制御装置28は、流動焼却炉21の内部を、微小の温度変動は生じつつも燃焼温度をほぼ一定の所定温度に維持するように補助燃焼装置22および流動空気予熱器23の動作を制御する。また、焼却設備燃焼制御装置28は、燃料量検出器22aによって検出された燃料使用量、流動ブロワB1、白防ファンB2、誘引ファンB3の各電力使用量、および熱回収発電設備27による熱回収発電量を、最適運転制御装置30に出力する。また、焼却設備燃焼制御装置28は、温度センサT1〜T3、流量センサF1,F2の検出結果に基づいて、調整弁23b〜23eを調整して汚泥の燃焼制御を行う。
【0029】
最適運転制御装置30は、汚泥の低含水化・熱操作に関する汚泥エネルギーと複数要素ごとの複数の使用エネルギー要素の使用量との関係、および汚泥エネルギーと各使用エネルギー要素における使用量の合算値(全エネルギー使用量)との相関関係を保持する関係保持手段としての関係保持部31を有する。
【0030】
また、最適運転制御装置30は、流動焼却炉21に供給される、汚泥に内在する燃焼用エネルギーの一部である汚泥エネルギーを推定する汚泥エネルギー推定手段としての汚泥エネルギー推定部32を有する。この汚泥エネルギー推定部32は、以下の流動焼却炉21におけるトータル熱量を示す(1)式と、燃焼用エネルギーのトータル熱量を示す(2)式とから、これらのトータル熱量が同一であるという原理に基づいて汚泥エネルギー値を算出する。この推定された汚泥エネルギー値を、その時点における汚泥エネルギー値E
esとして推定する。
【0031】
流動焼却炉21におけるトータル熱量
トータル熱量=排ガス量×排ガスの比熱×排ガスの温度 …(1)
流動焼却炉21に供給される燃焼用エネルギー(流動空気のエネルギー、汚泥エネルギー、および補助燃料のエネルギー)によるトータル熱量
トータル熱量=汚泥の質量×汚泥エネルギー(単位質量当たりの熱量)+補助燃料の質量×単位質量当たりの熱量+流動空気の量×流動空気の比熱×流動空気の温度 …(2)
なお、これらの(1)式および(2)式において、必要に応じて、補正値として流動焼却炉21の放熱量や、酸素温度などが算入される。
【0032】
ここで、汚泥エネルギーとは、汚泥エネルギー=(固形分燃焼熱)−(汚泥中水分潜熱+汚泥可燃分生成水分潜熱)である。そして、全エネルギー使用量は、単位体積当たりの汚泥エネルギーに対して一意に決定される依存性を有するとともに、最小値を有する。一方、単位体積当たりの汚泥エネルギーは、汚泥の性状によって変化する上に、その汚泥エネルギー値を検出して制御することが困難である反面、汚泥の含水率の増加に対して単調減少関係を有する。そこで、汚泥の含水率を増加および減少させることによって、汚泥エネルギー値をそれぞれ減少および増加させることができる。この関係を利用して、汚泥の含水率を増減させることによって、汚泥の汚泥エネルギー値を全エネルギー使用量が最小値となるように制御できる。この場合、全エネルギー使用量が最小値となるように汚泥エネルギー値まで収束するように、汚泥の含水率を増減させる方向に低含水化設備10、特に脱水機11を制御する。このとき汚泥の含水率は直接計測する必要がない。そのため、汚泥の含水率の検出系および制御系や汚泥エネルギー値の検出系および制御系などを設ける必要がなく、構成が簡略化できる。
【0033】
また、最適運転制御装置30は、汚泥の低含水化・熱操作処理に関する複数の使用エネルギー要素ごとの各エネルギー使用量の測定を行うとともに、測定された各エネルギー使用量の合算を行って全エネルギー使用量を算出する全エネルギー使用量測定手段としての全エネルギー使用量測定部33を有する。
【0034】
そして、関係保持部31は、最適運転制御装置30が計算により求めた例えば
図2に示すような汚泥エネルギーと全エネルギー使用量との相関関係を保持する。また、関係保持部31はこの計算により求めた汚泥エネルギーと全エネルギー使用量との相関関係に対し汚泥エネルギー推定部32が推定した汚泥エネルギーの推定値と全エネルギー使用量測定部33が測定した全エネルギー使用量との相関関係によって逐次修正を加えて更新された汚泥エネルギーと全エネルギー使用量との相関関係を、全エネルギー使用量と汚泥エネルギーとの基準関係として保持する。さらに、関係保持部31は、
図2に示すような汚泥エネルギーと全エネルギー使用量との相関関係を算出することなく、汚泥の処理装置1の稼働の開始から、汚泥エネルギー推定部32が推定した汚泥エネルギーの推定値と全エネルギー使用量測定部33が測定した全エネルギー使用量の測定値との相関関係によって、逐次構築および修正を加えて得られる、汚泥エネルギーと全エネルギー使用量との相関関係を、全エネルギー使用量と汚泥エネルギーとの基準関係として保持する。
【0035】
また、最適運転制御装置30は、関係保持部31に保持された汚泥エネルギーと全エネルギー使用量との基準関係と、汚泥エネルギー推定部32により推定された現時点における最新の推定値である汚泥エネルギー値E
esとに基づいて、全エネルギー使用量Pを最小にする汚泥エネルギーの最適値Eminに対する汚泥エネルギー値E
esの大小関係を把握する大小関係把握部34を有する。
【0036】
さらに、最適運転制御装置30は、低含水化設備10における脱水機11を制御するための低含水化動作制御部35を有する。低含水化動作制御部35は、脱水制御部14に制御信号を供給することにより、脱水機11における動力源12の回転数の増減、すなわち遠心力の増減を制御して脱水処理される汚泥の含水率の増減を制御する。
【0037】
最適運転制御装置30は、上述した燃料使用量や電力使用量などの現在の複数の使用エネルギー要素の使用量を取得し、関係保持部31に保持された基準関係と、汚泥エネルギー推定部32が推定した最新の推定値である汚泥エネルギー値E
esとに基づいて、全エネルギー使用量測定部33が測定した全エネルギー使用量が最小となる汚泥エネルギーの最適値E1minに向かうように、すなわち、大小関係把握部34が把握した汚泥エネルギーの最適値E1minと汚泥エネルギー値E
esとの大小関係が解消する方向に向かうように、低含水化動作制御部35により脱水機11の使用電力量の増減を指示する。
【0038】
具体的に、
図2に示すように、最適運転制御装置30の関係保持部31は、燃料量検出器22aが検出した補助燃料の使用エネルギー要素の使用量としての燃料使用量P1の汚泥エネルギーに対する関係、流動ブロワB1、白防ファンB2、および誘引ファンB3の各電力使用量を加算した使用エネルギー要素の使用量としての電力使用量P2の汚泥エネルギーに対する関係、熱回収発電設備27の使用エネルギー要素の使用量としての熱回収発電量P3の汚泥エネルギーに対する関係、および動力源12の使用エネルギー要素の使用量としての動力源エネルギー使用量P4の汚泥エネルギーに対する関係を保持しているとともに、燃料使用量P1、電力使用量P2、動力源エネルギー使用量P4を加算し、熱回収発電量P3を減算して得られた全エネルギー使用量P(=P1+P2+P4−P3)と汚泥エネルギーとの基準関係を保持している。
【0039】
なお、燃料使用量P1と汚泥エネルギーとの関係において、汚泥エネルギーが大きい方は燃料使用量P1が0の自燃状態である。また、熱回収発電量P3は、汚泥エネルギーが大きく(含水率Rが小さく)なると、燃焼温度が高くなり、燃焼ガス温度が高くなるので熱回収量が大きくなって発電量が大きくなる。また、動力源エネルギー使用量P4は、汚泥エネルギーが小さく(含水率Rが大きく)なるほど、脱水機11の動力源12の回転数が小さくなるため小さくなる。なお、電力使用量P2は、加算前に予め熱回収発電量P3を減算した使用エネルギー要素の使用量としての実電力使用量としてもよい。なお、汚泥供給ポンプ15は、熱操作設備20側に設けてもよく、この場合、電力使用量P2のうちの汚泥供給ポンプ15の電力量は、焼却設備燃焼制御装置28に入力される。
【0040】
上述したように、全エネルギー使用量Pは、汚泥エネルギー値E1minで最小値をとる。一方、上述したように汚泥エネルギーEは、汚泥の含水率Rの増加に対して単調減少関係を有する。ここで、入力される汚泥の性状によって汚泥エネルギー値が変化すると、汚泥エネルギー値E1minを維持できなくなり、全エネルギー使用量Pも最小値を維持できなくなる。具体的に、
図3に示すように、入力される汚泥の単位体積当たりの汚泥エネルギーEと含水率との関係において、同一の含水率に対して順次、汚泥エネルギー値が低くなる3つの汚泥特性Ia,Ib,Icが存在する。汚泥特性Ia,Ib,Icは、例えば、可燃分率がそれぞれ90%,85%,80%である。
【0041】
そして、当初想定した汚泥特性がIbであり、この汚泥に対する全エネルギー使用量Pが汚泥エネルギー値E1minで最小であり、そのときの含水率がR1である場合を考える。汚泥特性がIcに変化した場合、単位体積当たりの汚泥エネルギーが小さくなるので、全エネルギー使用量Pは最小値よりも大きくなる。このため、最適運転制御装置30は、脱水制御部14に対して、現在の含水率R1を減少させるような脱水制御を行って単位体積当たりの汚泥エネルギー値をE1minに近づける制御を行う。この場合、結果的に、汚泥エネルギー値がE1minとなる汚泥の含水率の値は、R1a(<R1)となる。逆に、汚泥特性がIaに変化した場合、単位体積当たりの汚泥エネルギーが大きくなるので、全エネルギー使用量Pは、最小値よりも大きくなる。このため、最適運転制御装置30は、脱水制御部14に対して、現在の含水率R1を増加させるような脱水制御を行って単位質量当たりの汚泥エネルギー値をE1minに近づける制御を行う。この場合、結果的に、汚泥エネルギー値がE1minとなる汚泥の含水率の値は、R1b(>R1)となる。
【0042】
また、燃料使用量P1や電力使用量P2と汚泥エネルギーとの関係や全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの関係は、流動焼却炉21に投入する汚泥投入量によって変化する。
図2中の曲線Lの汚泥投入量は、190t/日である。
図2の全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの関係においては、そのほか、95t/日を曲線L1、250t/日を曲線L2、300t/日を曲線L3として示している。したがって、汚泥投入量が変化した場合には、この汚泥投入量に対応した関係に基づいて低含水化設備10を制御する。
【0043】
すなわち、全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの関係は投入量の変化に応じて種々変化する。そこで、最適運転制御装置30は、
図2に示すあらかじめ算出された全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの関係に対して、全エネルギー使用量測定部33が測定した全エネルギー使用量Pと、その時点において汚泥エネルギー推定部32が推定した汚泥エネルギー値E
esとの相関に基づいて適宜修正を加えて更新し、常に全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの基準関係を更新する。具体的には、汚泥投入量をさらに細分化して、最適運転制御装置30の関係保持部31に、種々の全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの関係を格納させることによって、全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの関係をより一層細かく適用できる。さらに、汚泥の処理装置1の稼働中においても、燃料使用量P1、電力使用量P2、熱回収発電量P3、および動力源エネルギー使用量P4が逐次変化するため、全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの関係も逐次変化する。そこで、最適運転制御装置30の全エネルギー使用量測定部33は、燃料使用量P1、電力使用量P2、熱回収発電量P3、および動力源エネルギー使用量P4を逐次測定し、全エネルギー使用量Pを逐次算出する。そして、全エネルギー使用量測定部33は、関係保持部31に当初格納されている、例えば
図2における全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの関係を示す曲線Lに対して、全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとのグラフを逐次更新し、全エネルギー使用量Pが最小になる汚泥エネルギーE1minを算出する。関係保持部31は、全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの基準関係を更新して保持する。
【0044】
次に、低含水化動作制御部35から供給される信号によって低含水化設備10の電力使用量と脱水された汚泥の汚泥エネルギーとの関係について説明する。
図4は、電力使用量と汚泥エネルギーとの関係を示すグラフである。
図4においては、汚泥の性状が変わることによって、汚泥特性がIdからIeに変化した場合を考える。この場合、低含水化設備10における電力使用量が同じ、すなわち汚泥に対する脱水処理が変わらず含水率がα%の場合でも、汚泥に含まれる可燃分が多くなると汚泥エネルギーEはE1からE2に増加する。そして、所望する汚泥エネルギーEがE1である場合には、汚泥エネルギーEをE2からE1に減少させる必要がある。この場合、脱水機11の電力使用量を矢印Bに沿って減少させて遠心力を下げて脱水効率を下げ、含水率を結果的にα%より高いβ%(α<β)とすることによって、矢印Aに沿って汚泥エネルギーEをE2からE1に戻すことができる。このように、脱水機11の電力使用量を制御して回転数を制御することにより、汚泥の含水率の増減を制御して、汚泥エネルギーEを、所望の汚泥エネルギーE1に向けて制御できる。逆に、汚泥特性がIeからIdに変化した場合においては、上述したプロセスとは逆のプロセスによって、脱水機11の回転数を増加させて脱水効率を上げる制御を行うことによって、汚泥エネルギーEをE3からE1に向けて制御できる。
【0045】
以上のように、低含水化設備10においては、低含水化動作制御部35が汚泥エネルギーの最新の推定値に基づいて脱水制御部14を通じて脱水機11における動力源12の回転数の増減、即ち、遠心力の増減を制御して脱水処理される汚泥の含水率の増減を制御できるので、汚泥特性に応じて汚泥エネルギーEを増減させることが可能となる。
【0046】
(最適運転制御処理方法)
次に、本発明の一実施形態による最適運転制御装置30による最適運転制御処理方法について説明する。
図5は、この最適運転制御処理方法を示すフローチャートである。
【0047】
図5に示すように、この一実施形態において、まず、最適運転制御装置30は、関係保持部31に保持されている全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの基準関係に基づいて、入力される汚泥が標準汚泥(汚泥エネルギー値E1minで全エネルギー使用量Pが最小値をとる)であるとして、全エネルギー使用量Pが最小値となる汚泥エネルギー値E1minを求める(ステップS101)。
【0048】
次に、低含水化動作制御部35は、標準汚泥の場合による脱水機11の回転数を制御して汚泥に対して脱水処理を行う(ステップS102)。
【0049】
次に、ステップS103に移行して、最適運転制御装置30は、流動焼却炉21内に供給される使用エネルギー要素としての、補助燃料の流量(補助燃料使用量)と流動焼却炉21内に供給される流動空気の流量および温度とを含む燃焼用エネルギーのエネルギー量(燃焼用エネルギー量)が変動しているか否かを判断する(ステップS103)。なお、熱操作設備20に流動空気を冷却するための冷却器が設けられている場合においては、冷却用空気の供給量制御を行うため、供給量制御による冷却用空気の供給量や冷却器の電力量なども、燃焼用エネルギーとして算入してもよい。
【0050】
補助燃料や流動空気に基づく燃焼エネルギー量が変動した場合(ステップS103,Yes)、ステップS104に移行する。ステップS104において、最適運転制御装置30の汚泥エネルギー推定部32は、流動焼却炉21に流入する燃焼用エネルギーのトータル熱量と、流動焼却炉21から排出されるガスのトータル熱量とから、その時点に流動焼却炉21内に供給されている汚泥の汚泥エネルギー値E
esを算出して推定する。(ステップS104)。推定された汚泥エネルギー値E
esは所定の記録領域に格納される。
【0051】
次に、最適運転制御装置30の全エネルギー使用量測定部33は、汚泥の処理装置においた各部から供給されるデータに基づいて、使用エネルギー要素ごとにエネルギー使用量の測定を行うとともに、測定結果の合算を行って、全エネルギー使用量Pを測定する。そして、ステップS104において推定した最新の汚泥エネルギー値E
esと、その時点における全エネルギー使用量Pとに基づいて、過去のデータなどから補間を行う。これによって、
図2に示すあらかじめ算出された相関関係である全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの関係に対し、全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの基準関係を逐次修正して更新する。このとき、全エネルギー使用量Pが最小となる汚泥エネルギーの最適値(汚泥エネルギー値E1min)も導出される。更新された全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの基準関係は、関係保持部31に読み出し可能に格納される。なお、
図2に示すような汚泥エネルギーと全エネルギー使用量との相関関係をあらかじめ算出しない場合には、汚泥の処理装置1の稼働の開始から、汚泥エネルギー推定部32が推定した汚泥エネルギーの推定値と全エネルギー使用量測定部33が測定した全エネルギー使用量の測定値との相関関係によって、全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの関係を逐次構築し、これにさらに修正が加えられることによって、
図2に示すような全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの基準関係が導出される。
【0052】
その後、最適運転制御装置30は、上述した関係保持部31に格納された全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの基準関係に基づいて、現在の全エネルギー使用量Pが最小値であるか否かを判断する(ステップS106)。
【0053】
現在の全エネルギー使用量Pが最小値でない場合(ステップS106,No)、最適運転制御装置30の大小関係把握部34は、ステップS104において推定された汚泥エネルギーの推定値E
esと、ステップS105において導出された汚泥エネルギーの最適値E1minとの大小関係を算出して把握する(ステップS107)。
【0054】
そして、最適運転制御装置30の低含水化動作制御部35は、脱水制御部14を制御して脱水機11を制御することにより、推定された汚泥エネルギーが、全エネルギー使用量Pが最小になる汚泥エネルギーになる方向、すなわち大小関係が解消する方向に、脱水機11に対して遠心力の増減制御を行う(ステップS108)。ここで、
図6は、この一実施形態による全エネルギー使用量Pと汚泥エネルギーとの基準関係を示す
図2に示す曲線L,L1,L2,L3などのグラフを簡略化したグラフである。
図6に示すように、推定された汚泥エネルギー値E
esが汚泥エネルギーの最適値E1minより小さい場合には、矢印Cに沿って汚泥エネルギーを自燃側に向けて増加させるように脱水機11が制御される。他方、推定された汚泥エネルギー値E
esが汚泥エネルギーの最適値E1minより大きい場合には、矢印Dに沿って汚泥エネルギーを補燃側に向けて減少させるように脱水機11が制御される。なお、
図6において、自燃側とは自燃状態になっている領域であり、補燃側とは補助燃料が必要となる領域であって、全エネルギー使用量Pの最小値となる汚泥エネルギーE1minは、自燃状態と補燃状態とが切り替わる汚泥エネルギー値に近い。しかしながら、全エネルギー使用量Pが最小値となる前後で、自燃状態と補燃状態とが明確に切り替わるものではない。
【0055】
その後、ステップS103に移行して上述したステップS103〜S108の処理を繰り返す。なお、以上のステップS103〜S108では、特にステップS103が所定の時間間隔で実行されるようにするのが望ましい。この時間間隔としては、脱水機11と流動焼却炉21との間における汚泥の搬送時間などを採用することが可能であり、汚泥の処理装置1の設計に応じて適切な時間間隔を設定可能である。
【0056】
なお、ステップS103において、補助燃料や流動空気に基づく燃焼エネルギー量が変動していない場合(ステップS102,No)、燃焼用エネルギー量の変動が生じるまでステップS103を繰り返す。また、ステップS106において、現在の全エネルギー使用量Pが最小値である場合(ステップS106,Yes)、最適運転制御装置30は脱水制御部14に電力使用量の増減を指示することなく、そのままステップS103に復帰する。
【0057】
以上説明した本発明の一実施形態によれば、焼却される汚泥の含水率や可燃分などを計測することなく、汚泥の処理装置1全体の全エネルギー使用量Pが最小値となる汚泥エネルギー値になるように低含水化設備10の運転制御を行っているので、汚泥の性状が変化して汚泥特性が変わった場合であっても、常に汚泥の処理装置1全体のエネルギー効率を最適状態にすることができる。
【0058】
また、本発明の一実施形態によれば、常に全エネルギー使用量Pが最小に向かうように低含水化設備10の脱水機11によって汚泥エネルギーを最適値まで制御させることができる。すなわち、上述したように、
図6における汚泥エネルギー値E1minは、自燃状態と補燃状態とが切り替わる汚泥エネルギー値に近い値であるが、この前後で自燃状態と補燃状態とは明確に切り替わるものではない。そのため、作業者等が自燃状態と補燃状態とを見極め、この状態の区別に応じて手作業によって低含水化設備10における消費電力量の増減を制御したとしても、全エネルギー使用量Pを最小にすることは極めて困難である。これに対し、この一実施形態によれば、汚泥エネルギーを推定して、現在の全エネルギー使用量Pが減少する方向に向けて汚泥エネルギーが変化するように脱水機11を制御していることにより、常に全エネルギー使用量Pが最小に向かうようにさせることができる。
【0059】
また、本発明の一実施形態によれば、エネルギーを削減することも可能になる。
図7は、全エネルギー使用量Pの時間変動の一例を示すグラフである。
図7における曲線Tは、低含水化熱操作設備に対する従来の制御による全エネルギー使用量Pの時間変動であり、曲線Sは、この一実施形態による最適運転制御による全エネルギー使用量Pの時間変動である。
図7に示すように、熱操作設備20の流動焼却炉21に供給される燃焼用エネルギー量の変動に応じて、全エネルギー使用量Pが常に最小値に向かうように低含水化設備10を制御していることにより、全エネルギー使用量Pを低い値で変動させることができる。したがって、汚泥の処理装置1において、任意の時間での曲線Tと曲線Sとの間の面積に相当する部分のエネルギーを削減することが可能になる。
【0060】
また、従来に比して、有機性廃棄物の処理装置における全体の設備を省スペース化できる。すなわち、従来の流動焼却炉21などの焼却炉においては、汚泥の含水率を広い範囲で対応できるとともに、焼却炉での発熱量についても広い範囲で対応する必要があった。そのため、汚泥の含水率と焼却炉での発熱量との関係について、広範囲を満足するような仕様にする必要があり、焼却炉は必然的にオーバースペックになっていた。これに対し、この一実施形態によれば、流動焼却炉21などの焼却炉において、汚泥の含水率の対応範囲を狭くできるとともに、焼却炉での発熱量の対応範囲についても狭くできるので、汚泥の含水率と発熱量との関係において満足すべき範囲を小さくした仕様にでき、有機性廃棄物の処理装置における全体の設備を省スペース化できる。
【0061】
(変形例1)
上述した一実施形態においては、全エネルギー使用量Pが最小値となる汚泥エネルギー値E1minとなるように含水率Rの増減制御を行っていたが、本変形例1では、
図8に示すように、各使用エネルギー要素の使用量である、燃料使用量P1、電力使用量P2、熱回収発電量P3、および動力源エネルギー使用量P4のそれぞれをランニングコストに変換する重み係数K1〜K4を乗算し、各乗算した、燃料コストC1、使用電力コストC2、および脱水機動力コストC4を加算し、熱回収発電コストC3を減算した全ランニングコストCが最小値となる汚泥エネルギー値E2minとなるように、脱水機11の遠心力の増減制御を行うようにしている。これによって、汚泥の処理装置1全体のランニングコストを最小とする最適制御を行うことができる。
【0062】
(変形例2)
本変形例2では、変形例1に対し、
図9に示すように、さらに、温室効果ガス排出コストを加味し、都市ガス由来二酸化炭素排出コストC5および電力由来二酸化炭素排出コストC6を、全ランニングコストCに加算した全ランニングコストC´とし、この全ランニングコストC´が最小値となる汚泥エネルギー値E3minとなるように、脱水機11の遠心力の増減制御を行うようにしている。なお、都市ガス由来二酸化炭素排出コストC5は、補助燃料である都市ガスが発生する二酸化炭素排出量に対するコストであり、電力由来二酸化炭素排出コストC6は、ブロアなどに用いられる電力を生成する際の二酸化炭素排出量に対するコストである。
【0063】
(変形例3)
本変形例3では、上述した重み係数K1〜K4に替えて、
図10に示すように、各使用エネルギー要素の使用量である、燃料使用量P1、電力使用量P2、熱回収発電量P3、および動力源エネルギー使用量P4のそれぞれを二酸化炭素排出量に変換する重み係数K11〜K14を乗算し、各乗算した、都市ガス由来二酸化炭素排出量G1、使用電力由来二酸化炭素排出量G2、および脱水機動力由来二酸化炭素排出量G4を加算し、熱回収発電由来二酸化炭素排出量G3を減算した全二酸化炭素排出量Gが最小値となる汚泥エネルギー値E4minとなるように脱水機11の遠心力の増減制御を行うようにしている。これによって、汚泥の処理装置1全体の二酸化炭素排出量を最小とする最適制御を行うことができる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の一実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の一実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
【0065】
具体的に例えば、上述した一実施形態においては、最適運転制御装置30は、低含水化設備10側の動力源エネルギー使用量P4および電力使用量P2の一部である汚泥供給ポンプの電力量を加味して脱水機11の電力使用量の増減を制御するようにしているが、これらの低含水化設備10側の使用エネルギー要素を加味せず、熱操作設備20側の使用エネルギー要素のみに基づいて脱水機11を制御するようにしてもよい。
【0066】
また、上述した一実施形態において、汚泥の処理装置1に、上述した燃料使用量P1、電力使用量P2、熱回収発電量P3、および動力源エネルギー使用量P4以外の他のエネルギー要素の使用がある場合には、その使用エネルギー要素の使用量と汚泥エネルギーとの関係を含めて脱水機11の制御を行うようにすればよい。この使用エネルギー要素の使用量とは、例えば、他種の燃料使用量や他設備の電力使用量などである。
【0067】
なお、上述した変形例1〜3で示した以外のエネルギー関連カテゴリに変換する重み係数を用いてもよい。例えば、売価値に変換する重み係数であってもよい。さらには、この売価値は、ランニングコストと合わせて合算することができるため、例えば、熱回収発電コストに変換せずに、売電価格に変換するようにしてもよい。消費電力コストと売電価格とは変換係数が異なる場合が多いからである。
【0068】
また、上述した一実施形態、変形例1〜3では、最適状態を最小状態としているが、これに限らず、最適状態を最大状態としてもよい。
【0069】
なお、全エネルギー使用量P、全ランニングコストC,C´、全二酸化炭素排出量Gが最小値となる状態は、自燃状態であるとは限らず、また、各最小値に対応する汚泥エネルギー値も同一であるとは限らない。
【0070】
さらに、上述した一実施形態、変形例1〜3では、最適運転制御装置30を低含水化設備10および熱操作設備20に対して独立した構成としたが、これに限らず、最適運転制御装置30の機能を、低含水化設備10または熱操作設備20側に設けてもよい。
【0071】
なお、上述した各使用エネルギー要素の2以上の組み合わせは任意に設定することができる。
【0072】
また、上述の一実施形態においては、脱水機の遠心力を制御することにより、汚泥の含水率を変更して汚泥エネルギーを制御しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、汚泥エネルギーを増減変更可能であれば種々の制御を実行可能である。具体的には、脱水機の使用電力量や差速などを直接制御することによって汚泥エネルギーを増減させる方法や、汚泥の含水率を制御するための含水率制御手段を有する脱水機に対して、含水率の増減のみを指示して間接制御する方法を採用することも可能である。
【0073】
また、上述の一実施形態において、燃焼手段として、循環焼却炉などの流動焼却炉以外のタイプの焼却炉を用いてもよく、ガス化炉や炭化炉等、熱操作の目的に応じて適宜選択することも可能である。なお、熱操作設備20としては、焼却処理を行う焼却炉を含む焼却設備に限らず、汚泥ガス化炉や汚泥燃料化(炭化)炉を含む設備でもよい。
【0074】
また、上述の一実施形態において、熱回収発電設備27は、熱回収したエネルギーによって回転されるタービンの回転力を動力として直接出力するようにしてもよい。さらに、熱回収発電設備27は、流動空気予熱器23で熱交換される流動空気であって、流動空気予熱器23の前段の流動空気を熱源として使用してもよく、流動空気予熱器23の前段の流動空気に並列して取得した流動空気を熱源として使用してもよい。