(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記供給位置よりも搬送方向下流側であって前記記録ヘッドよりも搬送方向上流側の位置で前記記録媒体の記録面を加熱する媒体加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[画像形成装置の概略]
以下、本発明の一実施形態である画像形成装置1について、図面を用いて詳細に説明する。なお、実施形態は本発明の一例であり、これに限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置1の主要構成を示す図である。
画像形成装置1は、給紙部10、画像形成部20、排紙部30及び制御部40(
図5参照)を備えている。画像形成装置1は、制御部40の制御下で、給紙部10に格納された記録媒体Pを画像形成部20に搬送し、画像形成部20で記録媒体Pの片面又は両面に画像を形成し、画像が形成された記録媒体Pを排紙部30に排紙する。
【0019】
[給紙部]
給紙部10は、記録媒体Pを格納する給紙トレー11と、給紙トレー11から画像形成部20へ記録媒体Pを搬送する搬送部12とを有する。
給紙トレー11は、定型サイズにカットされた複数の記録媒体Pを重ねた状態で載置可能に設けられた板状の部材である。給紙トレー11は、給紙トレー11に載置された記録媒体Pの量に応じて上下動するよう設けられており、当該上下動方向について、最上の記録媒体Pが搬送部12により搬送される位置で保持される。
搬送部12は、内側が複数(例えば、2本)のローラー121、122により担持された輪状のベルト123を駆動してベルト123上の記録媒体Pを搬送する搬送機構や、給紙トレー11上に載置された最上の記録媒体Pをベルト123上に受け渡す図示しない供給部を有する。搬送部12は、供給部によりベルト123上に受け渡された記録媒体Pをベルト123に沿わせるように搬送する。
【0020】
[画像形成部の構成]
画像形成部20は、円筒状の外周面に沿って記録媒体Pを担持する画像形成ドラム50、給紙部10の搬送部12により搬送された記録媒体を画像形成ドラム50に受け渡す受け渡しユニット22、画像形成ドラム50に担持された記録媒体Pを加熱する媒体加熱手段としての第一ヒーター91、画像形成ドラム50に担持された記録媒体Pにインクを吐出して画像を形成するヘッドユニット70、ヘッドユニット70のメンテナンス時にヘッドユニット70から吐出されるインクを受けるクリーニング部60(
図4参照)、記録媒体P上に吐出されたインクを硬化させるためのエネルギー線を照射するエネルギー線照射手段としての照射部93、照射部93の照射を受けた記録媒体Pを画像形成ドラム50から受け取り、排紙部30への搬送と表裏を反転して再び画像形成ドラム50に戻す搬送とを選択して行う搬送機構80、記録媒体Pを介さずに直接的に画像形成ドラム50の外周面を加熱するドラム加熱手段としての第二ヒーター94等を有している。
【0021】
[画像形成部:画像形成ドラム]
図2は、画像形成ドラム50の斜視図である。
画像形成ドラム50は、その外周面上で記録媒体Pを担持するための爪部51及び吸気部52を備え、所定の搬送方向F(
図1における反時計方向)に回転を行うドラム回転モーター53(
図5参照)が併設されている。
画像形成ドラム50は、その外周面を三等分した三つの記録媒体Pの保持領域を有している。つまり、画像形成ドラム50は、最大で三枚の記録媒体Pを保持することが可能となっている。
爪部51は記録媒体Pの三つの保持領域の境界位置、つまり、画像形成ドラム50の回転軸を中心として120°間隔で設けられている。そして、これら三つの爪部51は、いずれも、円筒状の画像形成ドラム50の外周面上において回転軸方向(X方向)に沿って一列に並んで設けられた複数の爪から構成されている。
画像形成ドラム50の回転により各爪部51が受け渡しユニット22から画像形成ドラム50への記録媒体Pの受け渡しが行われる位置を供給位置m1とし、画像形成ドラム50から搬送機構80への記録媒体Pの受け渡しが行われる位置を受け取り位置m2とする。画像形成ドラム50には、各爪部51が供給位置m1及び受け取り位置m2に到達したときに、それぞれの爪部51を構成する複数の爪が解放状態となるように開き動作を付与する図示しないカム機構が設けられている。
即ち、各爪部51は各爪が開いた状態で供給位置m1に到達し、この供給位置m1を離れる際には各爪が閉じて記録媒体Pの端部を挟持して記録媒体Pを受け渡しユニット22から受け取り、搬送を開始する。
また、受け取り位置m2に到達すると、各爪部51は各爪が開いた状態となって搬送していた記録媒体Pを解放する。そして、この受け取り位置m2を離れる際には各爪が閉じて、当該保持領域は空の状態で下流側へ移動する。
なお、この受け取り位置m2は「記録ヘッドよりも搬送方向下流側の受け取り位置」に相当する。
【0022】
吸気部52は、
図2に示すように、爪部51によって一端部が担持された記録媒体Pが沿う画像形成ドラム50の外周面上に設けられた複数の吸気孔と、当該吸気孔を介して画像形成ドラム50内に気体を吸引するように吸引力を生じさせる、例えば、空気ポンプ、ファン、インジェクター等からなる吸引力発生部を有する。即ち、吸気部52は、吸気孔からの吸気により生じる吸引力により、記録媒体Pを画像形成ドラム50の外周面に沿わせるように吸い寄せる。
なお、この画像形成ドラム50では、三つの記録媒体Pの保持領域に対応して、ドラムの中空内部が三つに区画されており、各保持領域の吸気部52毎に個別に選択して吸引力を付与することを可能とする吸気回路54(
図5参照)を備えている。これにより、記録媒体Pを保持していない保持領域に対しては吸引力を付与しないように操作することができ、内部を区画しない場合のように、記録媒体Pを保持していない保持領域における吸気部52による吸引力低下を防止することが可能となっている。
【0023】
なお、
図2では、記録媒体Pの一部が画像形成ドラム50の外周面からめくり上がっているが、これは吸気孔を図示することを目的としたものであり、画像形成部20による画像形成時には記録媒体Pの全体が画像形成ドラム50の外周面上に沿うよう担持される。
【0024】
[画像形成部:受け渡しユニット]
受け渡しユニット22は、給紙部10の搬送部12と画像形成ドラム50との間に介在している。受け渡しユニット22は、搬送部12により搬送された記録媒体Pの一端を担持する渡し爪部221と、渡し爪部221に担持された記録媒体Pを受け取り、供給位置m1で画像形成ドラム50に渡す動作を行う円筒状の受け渡しドラム222とを有している。
受け渡しドラム222は、画像形成ドラム50の爪部51と同じ構造によって記録媒体Pの一端部を挟持する爪部223を一つ備えている。そして、受け渡しドラム222には、爪部223を構成する複数の爪をそれぞれ開閉させて記録媒体Pの受け取り又は受け渡しを行わせるカム機構が設けられている。
このカム機構は、爪部223が渡し爪部221と近接対向した状態となる渡し位置m3に到達する時に開いていた爪部223の爪を閉じて記録媒体を受け取り、爪部223が画像形成ドラム50の各爪部51と近接対向した状態となる供給位置m1に到達する時に閉じていた爪部223の爪を開いて記録媒体を画像形成ドラム50に受け渡す動作を行わせる。
また、受け渡しドラム222は、図示しない歯車機構により、画像形成ドラム50が記録媒体Pの保持領域一つ分(120°)回転すると、受け渡しドラム222が逆方向に一回転を行うように連動が図られている。
【0025】
[画像形成部:第一ヒーター]
第一ヒーター91は、例えば、赤外線照射を行う非接触型のハロゲンランプ等からなるランプヒーターであり、ランプヒーターからの照射光を一様に画像形成ドラム50の外周面に対する垂直方向となるように反射する反射板を有しており、効率良く画像形成ドラム50の外周面上を照射して加熱する。
この第一ヒーター91は、画像形成ドラム50の外周面における前述した供給位置m1よりも搬送方向下流側であって、各ヘッドユニット70よりも搬送方向上流側に位置している。つまり、この第一ヒーター91は、画像形成ドラム50の外周面上の画像形成前の記録媒体Pを加熱するために設けられている。
【0026】
また、第一ヒーター91の近傍であって搬送方向下流側には画像形成ドラム50に担持された記録媒体Pの温度を検出する温度センサー92が設けられている。温度センサー92としては、熱電対やサーミスタなどの接触型の温度検出素子を使用しても良いが、サーモパイルのような非接触式の温度検出素子がより好ましい。
制御部40は、温度センサー92による検知温度に基づいて、画像形成ドラム50に担持されて第一ヒーター91の近傍を通過した記録媒体Pが所定の温度となるよう第一ヒーター91の加熱動作を制御する。
【0027】
[画像形成部:ヘッドユニット]
図3Aと
図3Bは、ヘッドユニット70の内部構成を示す図である。
図3Aは、ヘッドユニット70を側方から見た場合の内部構成の概略図である。
図3Bは、ヘッドユニット70を上方から見た場合の内部構成の概略図である。なお、ここでいう上方とは、画像形成ドラム50の外周面と対向するヘッドユニット70の一面側をヘッドユニット70の下側とした場合における上方を意味する。また、側方から見た場合とは、ヘッドユニット70の上下方向及びX方向に沿うヘッドユニット70の一側面を正面としてヘッドユニット70を見た場合を示す。
ヘッドユニット70は、画像形成ドラム50による記録媒体Pの搬送方向Fに沿って四つ並んでおり、各ヘッドユニット70は、搬送方向上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順番で並んでいる。なお、各色彩毎のヘッドユニット70の構造は同一であるため、一つのヘッドユニット70のみについて説明を行う。
【0028】
ヘッドユニット70は、その下面が画像形成ドラム50に対して所定の距離を置いて画像形成ドラム50の外周面に沿うよう配置される。
また、
図3及び
図3Bに示すように、ヘッドユニット70は、複数の記録ヘッド71と、各記録ヘッド71に供給するインクを貯留するインクタンク72と、インクタンク72から各記録ヘッド71に通じる図示しないインク経路において吐出前のインクを加熱により温度調節するインク加熱手段としてのインクヒーター73とを有している。
【0029】
記録ヘッド71は、画像形成ドラム50の回転軸方向(X方向)に平行な方向であって記録媒体Pの搬送方向Fに直交する方向に沿って並んだ複数のノズル711を有する。記録ヘッド71は、複数のノズル711から個別にインクを吐出し、画像形成ドラム50に担持された記録媒体Pに画像を形成する。即ち、記録ヘッド71は、複数のノズル711がヘッドユニット70の下面側に露出するよう設けられる。
図3Bに示す記録ヘッド71は、X方向に沿うノズルの列が二列設けられた配置の複数のノズル711を有する。
【0030】
複数の記録ヘッド71は、例えば、
図3Bに示すように、二つの記録ヘッド71を一組とし、記録ヘッド71の各組がX方向に沿って複数設けられた記録ヘッド71の列をなすよう配置されている。さらに、記録ヘッド71の列は複数設けられ、隣接する列の記録ヘッド71の組どうしの位置関係がX方向に直交する方向(搬送方向F)について千鳥状となるように配置されている。
【0031】
インクタンク72から各記録ヘッド71に至るインク経路には、供給圧力の調節機構が設けられ、各記録ヘッド71のノズル711からインクがこぼれ出ないように、大気圧よりも若干低い圧力に供給圧力が調整されている。
インクヒーター73は、供給されるインクの温度を検出する温度センサーが併設されており、供給されるインク温度を監視しつつ、適正な温度となるようにインクヒーター73は制御部40により出力制御が行われる。
【0032】
また、ヘッドユニット70は、前述したように、画像形成に用いられる各色(YMCK)について個別に設けられる。
図1に示す画像形成装置1には、画像形成ドラム50の回転に伴い搬送される記録媒体Pの搬送方向に沿って、上流から、Y、M、C、Kの色の順に、各色に対応したヘッドユニット70が設けられている。
また、
図4に示すように、ヘッドユニット70のX方向の幅は、画像形成ドラム50により担持、搬送される記録媒体PのX方向の幅を十分カバーできる幅(例えば、画像形成ドラム50の幅より小さいがこれに近い幅)に設定されており、ヘッドユニット70は画像形成ドラム50に対して位置が固定された状態で画像形成を行う。即ち、画像形成装置1は、ワンパス方式のインクジェット記録装置である。ヘッドユニット70は、X方向に沿って並んで配置された複数の記録ヘッド71による全てのノズル711の数が、搬送方向に直交する方向(X方向)における記録媒体P上に形成される画像の幅に応じた数で設けられている。
【0033】
[画像形成部:クリーニング部]
図4は、画像形成ドラム50とクリーニング部60との位置関係及びヘッドユニット70の移動前後の位置を示す斜視図である。
四つのヘッドユニット70は、画像形成部20内において、それぞれがX方向に沿って個別に移動可能に支持されている。具体的には、ヘッドユニット70は、
図4に示すように、X方向に沿って並ぶ画像形成ドラム50とクリーニング部60との間を移動可能に設けられている。ヘッドユニット70は、制御部40の制御下で、画像形成の際に、当該ヘッドユニット70の下面が画像形成ドラム50と対向する位置に移動し、後述する各種のメンテナンスの際に、当該ヘッドユニット70の下面がクリーニング部60と対向する位置に移動する。
クリーニング部60は、メンテナンスの際にヘッドユニット70から吐出されたインクを受け止めて集約する図示しない廃インク部等を有し、メンテナンスの際にヘッドユニット70から吐出されたインクにより画像形成部20内が汚損されることを防止する。
【0034】
[画像形成部:照射部]
照射部93は、例えば、高圧水銀ランプ等のランプを有し、当該ランプの発光により紫外線等のエネルギー線を照射する。照射部93は、画像形成ドラム50の外周面の近傍であって、画像形成ドラム50の回転による記録媒体Pの搬送方向Fについて各ヘッドユニット70の下流側且つ搬送機構80の上流側に位置するよう設けられる。照射部93は、画像形成ドラム50に担持されてインクが吐出された記録媒体Pに対してエネルギー線を照射して当該エネルギー線の作用により記録媒体P上のインクを硬化させる。
なお、紫外線を発するランプは高圧水銀ランプに限らず、数百[Pa]〜1メガ[Pa]程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ、発光ダイオード等が挙げられるが、紫外線をより高照度で照射可能であって省電力な光源(例えば、発光ダイオード等)であることが望ましい。また、エネルギー線は紫外線に限らず、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であればよく、光源もエネルギー線に応じて置換される。
【0035】
[画像形成部:搬送機構]
搬送機構80は、画像形成ドラム50から記録媒体Pを受け取る第一搬送ドラム81と、第一搬送ドラム81から記録媒体Pを受け取る第二搬送ドラム82と、第二搬送ドラム82から記録媒体Pを受け取る排紙ドラム83と、排紙ドラム83から記録媒体Pを受け取って排紙部30へ受け渡す排紙ベルト機構84と、第二搬送ドラム82から記録媒体Pを受け取る表裏反転ドラム85と、表裏反転ドラム85から記録媒体Pを引き離して画像形成ドラム50の爪部51に引き渡す反転腕部材86とを備えている。
【0036】
第一搬送ドラム81は、画像形成ドラム50の爪部51と同じ構造によって記録媒体Pの一端部を挟持する爪部811を一つ備えている。そして、第一搬送ドラム81の爪部811が画像形成ドラム50から第一搬送ドラム81への受け取り位置m2及び第一搬送ドラム81から第二搬送ドラム82への渡し位置m4にある時に、爪部811を構成する複数の爪をそれぞれ開閉させて記録媒体Pの受け取り又は受け渡しを行わせるカム機構が設けられている。
また、第一搬送ドラム81は、図示しない歯車機構により、画像形成ドラム50が記録媒体Pの保持領域一つ分(120°)回転すると、第一搬送ドラム81が逆方向に一回転を行うように連動が図られている。
【0037】
第二搬送ドラム82は、画像形成ドラム50の爪部51と同じ構造によって記録媒体Pの一端部を挟持する爪部821を一つ備えている。そして、第二搬送ドラム82の爪部821が、(1)第一搬送ドラム81から第二搬送ドラム82への渡し位置m4にある時、(2)第二搬送ドラム82から排紙ドラム83への渡し位置m5にある時、(3)第二搬送ドラム82から表裏反転ドラム85への渡し位置m6にある時に、爪部821を構成する複数の爪をそれぞれ開閉させて記録媒体Pの受け取り又は受け渡しを行わせるカム機構が設けられている。なお、このカム機構は、後述するように、二種類の動作状態を制御部40により切り替え可能となっている。
また、第二搬送ドラム82は、図示しない歯車機構により、第一搬送ドラム81が一回転すると、第一搬送ドラム81も逆方向に一回転を行うように連動が図られている。
【0038】
画像形成装置1は、記録媒体Pの表面のみの画像形成と表面と裏面の双方の画像形成とを選択して行うことが可能であり、表面のみの画像形成を連続して行う場合には、毎回、第二搬送ドラム82から排紙ドラム83へ記録媒体Pが受け渡されて排紙される。
従って、表面のみ画像形成を行う場合には、制御部40は、カム機構の動作切り替えを行うアクチュエータを制御して、上記(1)と(2)の状態で爪部821が作動する状態に切り替えを行う。上記(3)の状態では爪部821は記録媒体Pを保持していない状態で作動する。
【0039】
また、表面と裏面の双方の画像形成を連続的に行う場合には、画像形成ドラム50の三つの記録媒体の保持領域に対して、一つ飛ばしで受け渡しユニット22から記録媒体Pの供給を受け、これに対応して、第二搬送ドラム82は、第一搬送ドラム81から記録媒体Pを受け取って表裏反転ドラム85へ受け渡す動作と、第一搬送ドラム81から記録媒体Pを受け取って排紙ドラム83へ受け渡す動作とを交互に行う。これにより、画像形成の開始当初は、画像形成ドラム50の記録媒体の保持領域が一つおきに空領域となるが、表裏反転ドラム85を通って反転された記録媒体Pが空領域に戻される。つまり、画像形成ドラム50では、表面を外側に向けた記録媒体Pと裏面と外側に向けた記録媒体Pとが交互に並んだ状態となり、裏面を外側に向けて画像形成が行われた記録媒体Pを排紙して、表面を外側に向けて画像形成が行われた記録媒体Pを反転させて画像形成ドラム50に戻すことができる。
従って、両面に画像形成を行う場合には、制御部40は、カム機構の動作切り替えを行うアクチュエータを制御して、毎回の回転ごとに(1)の渡し位置m4で爪部821が作動する(記録媒体Pの受け取りを行う)と共に、(2)の渡し位置m5での爪部821の作動(記録媒体Pの解放)と非作動(記録媒体Pの保持)とが一回転毎に交互に行われる状態に切り替えを行う。なお、(3)の渡し位置m6での爪部821の作動(記録媒体Pの解放)は一回転毎に行われるが、渡し位置m5で記録媒体Pは二回転につき一回排紙されてしまうので、渡し位置m6における表裏反転ドラム85への記録媒体Pの受け渡しは二回転につき一回行われることになる。
【0040】
排紙ドラム83は、画像形成ドラム50の爪部51と同じ構造によって記録媒体Pの一端部を挟持する爪部831を一つ備えている。そして、排紙ドラム83の爪部831が第二搬送ドラム82から排紙ドラム83への渡し位置m5(第二搬送ドラム82の爪部821との近接対向位置)及び排紙ベルト機構84との近接対向位置である渡し位置m7にある時に、爪部831を構成する複数の爪をそれぞれ開閉させて記録媒体Pの受け取り又は受け渡しを行わせるカム機構が排紙ドラム83に内蔵されている。即ち、カム機構は、渡し位置m5において爪部831が作動して記録媒体Pの受け取りを行い、渡し位置m7において爪部831が作動して記録媒体Pの解放を行うように爪部831を作動させる。
また、排紙ドラム83は、図示しない歯車機構により、第二搬送ドラム82が一回転すると、排紙ドラム83が逆方向に一回転を行うように連動が図られている。
【0041】
排紙ベルト機構84は、主に、二つのスプロケット841,842と、その間に掛け渡されたタイミングベルト843と、タイミングベルト843に張力を付与するテンションローラー844とからなり、排紙ドラム83から排紙部30までの記録媒体Pの搬送を行う。
なお、排紙ドラム83から排紙ベルト機構84を通じて排紙部30に至るまでの記録媒体Pの経路が「排紙経路」を構成している。
【0042】
表裏反転ドラム85は、画像形成ドラム50の爪部51と同じ構造によって記録媒体Pの一端部を挟持する爪部851を一つ備えている。そして、表裏反転ドラム85の爪部851が第二搬送ドラム82の各爪部821との近接対向位置である記録媒体Pの渡し位置m6及び反転腕部材86への渡し位置m8にある時に、爪部851を構成する複数の爪をそれぞれ開閉させて記録媒体Pの受け取り又は受け渡しを行わせるカム機構が設けられている。
なお、表裏反転ドラム85は、第二搬送ドラム82のほぼ二倍の径であり、後述する独立した駆動源である反転モーター861(
図5参照)により回転動作を行うようになっている。
【0043】
反転腕部材86は、記録媒体Pの端部を把持する爪を先端に備え、反転腕部材86の先端部が表裏反転ドラム85の外周面に接した状態となる位置から反転腕部材86の先端部が画像形成ドラム50の外周面に接した状態となる位置までの間を往復回動することができる。
表裏反転ドラム85から反転腕部材86への記録媒体Pの受け渡しは、記録媒体Pを搬送する表裏反転ドラム85の爪部851が反転腕部材86との近接対向位置を通過して、当該爪部851に挟持されていない方の記録媒体Pの端部(搬送方向上流側端部)が反転腕部材86に近接する渡し位置m8まで爪部851が到達すると、反転腕部材86の爪が記録媒体Pの端部(爪部851に挟持されていない方の端部)を把持し、同時に爪部851はそのカム機構により記録媒体Pを解放することで受け渡しが行われる。
また、反転腕部材86から画像形成ドラム50への記録媒体Pの受け渡しは、記録媒体Pの端部を把持した反転腕部材86が画像形成ドラム50の爪部51との近接対向位置である戻し位置m9まで回動してから記録媒体Pの端部を解放することで行われる。
このように、上記表裏反転ドラム85と反転腕部材86とは、記録媒体の表裏を反転する「反転経路」を構成している。
また、上記戻し位置m9は、「受け取り位置よりも搬送方向下流側であって前記供給位置よりも搬送方向上流側の戻し位置」に相当する。
【0044】
上記搬送機構80の第一搬送ドラム81と第二搬送ドラム82と排紙ドラム83と排紙ベルト機構84とは、それぞれ図示しない歯車機構により画像形成ドラム50と連動して回転動作を行い、反転腕部材86は画像形成ドラム50と連動して往復回動動作を行う。また、表裏反転ドラム85のみは、記録媒体Pのサイズにより搬送方向長さが異なるので、反転モーター861(
図5参照)により回転動作を行うようになっている。即ち、画像形成ドラム50の回転に連動したタイミングで往復回動する反転腕部材86が表裏反転ドラム85から記録媒体Pを受け取る位置に到達するときに、記録媒体Pにおける爪部851に保持されていない方の端部が反転腕部材86に近接対向する位置に到達するように、記録媒体Pのサイズに応じた回転速度制御が必要となる。従って、画像形成ドラム50の回転からは独立して反転モーター861の回転速度制御が行われる。
【0045】
[画像形成部:第二ヒーター]
第二ヒーター94は、例えば、赤外線照射を行う非接触型のハロゲンランプ等からなるランプヒーターであり、第一ヒーター91と同構造の反射板を有し、効率良く画像形成ドラム50の外周面上を照射して加熱する。
上述した搬送機構80は、両面の画像形成の場合には、記録媒体Pの表裏の反転を行う機能上、受け取り位置m2で画像形成ドラム50から記録媒体Pを分離し、反転させてから画像形成ドラム50の戻し位置m9に戻すことが要求される。従って、搬送方向Fについて画像形成ドラム50の受け取り位置m2から戻し位置m9までの範囲は記録媒体Pが存在することがない。また、表面のみの画像形成の場合には、受け取り位置m2で画像形成ドラム50から記録媒体Pを分離して排紙するので、この場合も、搬送方向Fについて画像形成ドラム50の受け取り位置m2から戻し位置m9までの範囲は記録媒体Pが存在することがない。
そして、上記第二ヒーター94は、搬送方向Fについて画像形成ドラム50の受け取り位置m2から戻し位置m9までの範囲に対向するように配置されており、常に、記録媒体Pの介在しない状態で画像形成ドラム50の外周面上を加熱することが可能となっている。
また、第二ヒーター94の近傍であって搬送方向下流側には画像形成ドラム50の外周面上の温度を検出する温度センサー95が設けられている。この温度センサー95も熱電対やサーミスタなどの接触型の温度検出素子を使用しても良いが、サーモパイルのような非接触式の温度検出素子がより好ましい。
制御部40は、温度センサー95による検知温度に基づいて、第二ヒーター94の近傍を通過した画像形成ドラム50の外周面が所定の温度となるよう第二ヒーター94の加熱動作を制御する。
【0046】
[排紙部]
排紙部30は、搬送機構80により画像形成部20から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレー31等を有し、画像形成後の記録媒体Pがユーザーにより取り出されるまで格納する。
【0047】
[インク]
ここで、画像形成装置1による画像形成に用いられるインクについて説明する。
本発明で使用するインクはエネルギー線(活性光線)が照射されることで硬化する活性光線硬化型インクである。また、このインクは、当該インクの温度によってゲル又は固体と、液体とに相変化する性質を有している。
この活性光線硬化型インクは、ゲル化剤を1質量%以上10質量%未満含有しており、温度により可逆的にゾルゲル相転移することを特徴とする。本発明でいうゾルゲル相転移とは、高温では流動性を持つ溶液状態であるが、ゲル化温度以下に冷却することで液全体がゲル化し流動性を失った状態に変化し、逆に低温で流動性を失った状態であるが、ゾル化温度以上に加熱することで、流動性を持つ液体状態に戻る現象を指す。
【0048】
本発明でいうゲル化とは、ラメラ構造、非共有結合や水素結合により形成される高分子網目、物理的な凝集状態によって形成される高分子網目、微粒子の凝集構造などの相互作用、析出した微結晶の相互作用などにより、物質が独立した運動を失って集合した構造を指しており、急激な粘度上昇や弾性増加を伴って固化した、または半固化した、または増粘した状態のことを指す。また、ゾル化とは前記ゲル化により形成された相互作用が解消されて、流動性を持つ液体状態に変化した状態の事を指す。また本発明でいうゾル化温度とは、ゲル化したインクを加温していく際に、ゾル化により流動性が発現する温度であり、ゲル化温度とは、ゾル状態にあるインクを冷却していく際に、ゲル化して流動性が低下する際の温度を指す。
前記ゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクは、高温では液体状態であるため、記録ヘッドによる吐出が可能となる。この高温状態の活性光線硬化型インクを用いて記録すると、インク滴が記録媒体に着弾した後、温度差により自然冷却されることで速やかにインクが固化し、結果として隣り合うドット同士の合一を防いで画質劣化を防止できる。しかし、インク滴の固化力が強い場合には、ドット同士が孤立することで画像部に凹凸が生じ、極端な光沢低下や不自然なキラキラ感といった、光沢不均質感を招く場合があった。発明者らが鋭意検討した結果、インク滴の固化力、インクのゲル化温度、および記録媒体の温度を以下の範囲にすることで、インク滴同士の合一を防止して画質劣化を防ぐことができ、さらに最も自然な光沢感が得られることを見出した。すなわち、ゲル化剤を0.1質量%以上10質量%未満含有したインクの25℃における粘度が10
2mPa・s以上10
5mPa・s未満であるインクを用い、かつ該ゲル化剤によるインクのゲル化温度(Tgel)と記録媒体の表面温度(Ts)の差を5℃以上15℃以下に制御して印字又は画像形成することで、インク液滴合一の防止による高画質と自然な光沢感の両立が可能となる。なおこの場合、媒体の調温範囲は42℃以上、48℃以下に相当する。
【0049】
この理由について発明者らは次のように考えている。記録媒体にインク滴が着弾した後、隣り合うインク滴が着弾する前にインクが固化すると、光沢低下や画像部の不自然なキラキラ感が発生する。一方で隣り合うインク滴が着弾して合一した後時間を経てから固化すると、液滴同士が寄り合うため極端な画質劣化につながる。発明者らが鋭意検討した結果、インクの着弾時の粘度を制御することで液の合一が防止でき、かつ隣り合うインク滴が適度にレベリングして自然な光沢感を得られることが分かった。
【0050】
また、ゲル化剤を0.1質量%以上10質量%未満含有したインクの25℃における粘度が10
2mPa・s以上10
5mPa・s未満であるインクを用いることで、上記基材温度範囲における粘度制御が可能となり画質と自然な光沢が両立できる。その理由としては、以下のように推測している。25℃における粘度が10
2mPa・s未満のインクでは、液の合一を防止するには粘度が不十分であり、上記温度範囲では画質が劣化してしまう。また、25℃における粘度が10
5mPa・s以上のインクでは、ゲル化後の粘度が高く、かつ冷却過程で大きく粘度が増加する傾向があり、上記温度範囲では適度にレベリングさせる粘度に制御することが困難となり、光沢低下を生じてしまう。また、本発明のインクは、ゲル化後に適度な粘性を持った粘性ゲルとなるため、ドットの固化力をより適切に抑える事が可能になり、結果としてより自然な光沢感を持った画質が得られるものと考えている。
【0051】
なお本発明における光沢均質感とは、絶対的な光沢値、例えば60度正反射光沢値などを指すものではなく、画像上の微視的な光沢差に起因する不自然なキラキラ感や不必要な光沢低下、スジ状の光沢ムラといった、画像の一部において光沢が不均質になった状態が見られず、画像全面、特にベタ印字部の光沢が均質になった状態を指す。
本発明に記載の活性光線硬化型インクを用いて、インクのゲル化温度(Tgel)と記録媒体の表面温度(Ts)の差を5℃以上、15℃以下に調温することで、画質劣化がなく、文字などの細線の尖鋭性に優れ、自然な光沢感を持った画像を形成することが可能となるが、記録媒体の温度を5℃以上、10℃以下の範囲に調温することでより優れた画像を形成することが可能となる。
【0052】
以下、本発明で使用される活性光線硬化型インクのインク組成物について順次説明する。
[インク:ゲル化剤]
本発明でいうゲル化とは、ラメラ構造、非共有結合や水素結合により形成される高分子網目、物理的な凝集状態によって形成される高分子網目、微粒子の凝集構造などの相互作用、析出した微結晶の相互作用などにより、物質が独立した運動を失って集合した構造を指しており、急激な粘度上昇や弾性増加を伴って固化した、または半固化した、または増粘した状態のことを指す。
一般に、ゲルには、加熱により流動性のある溶液(ゾルと呼ばれる場合もある)となり、冷却すると元のゲルに戻る熱可逆性ゲルと、一旦ゲル化してしまえば加熱しても、ふたたび溶液には戻らない熱不可逆性ゲルがある。本発明に係るオイルゲル化剤によって形成されるゲルは、ヘッド内の目詰まり防止の観点からは、熱可逆性ゲルであることが好ましい。
本発明の活性光線硬化型インクにおいては、インクのゲル化温度(相転移温度)が、40℃以上、100℃未満であることが好ましく、より好ましくは45℃以上、70℃以下である。夏場環境での気温を考慮すると、インクの相転移温度が40℃以上であれば、記録ヘッドからインク液滴を吐出する際に、印字又は画像形成環境温度に影響されることなく安定した出射性を得ることができ、また90℃未満であれば、画像形成装置1を過度の高温に加熱する必要がなく、画像形成装置1の記録ヘッド71やインク供給系の部材への負荷を低減することができる。
【0053】
本発明でいうゲル化温度とは、流動性のある溶液状態から急激に粘度が変化してゲル状態になる温度のことを言い、ゲル転移温度、ゲル溶解温度、相転移温度、ゾル−ゲル相転移温度、ゲル化点と称される用語と同義である。
本発明において、インクのゲル化温度の測定方法は、例えば、各種レオメータ(例えばコーンプレートを使用したストレス制御型レオメータ、PhysicaMCRシリーズ、Anton Paar社製)を用いて、ゾル状態にある高温のインクを低剪断速度で温度変化をさせながら得られる粘度曲線、動的粘弾性の温度変化を測定することで得られる粘弾性曲線から求めることができる。また、ガラス管に封じ込めた小鉄片を膨張計の中にいれ、温度変化に対してインク液中を自然落下しなくなった時点を相転移点とする方法(J.Polym.Sci.,21,57(1956))、インク上にアルミニウム製シリンダーを置き、ゲル温度を変化させた時に、アルミニウム製シリンダーが自然落下する温度を、ゲル化温度として測定する方法(日本レオロジー学会誌 Vol.17,86(1989))が挙げられる。また、簡便な方法としては、ヒートプレート上にゲル状の試験片を置き、ヒートプレートを加熱していき、試験片の形状が崩れる温度を測定し、これをゲル化温度として求めることができる。なお、使用するゲル化剤の種類、ゲル化剤の添加量、活性光線硬化型モノマーの種類を変えることで、インクのゲル化温度(相転移温度)は調整可能である。
【0054】
本発明のインクにおいては、インクの25℃における粘度が10
2mPa・s以上10
5mPa・s未満であることが好ましく、より好ましくは10
3mPa・s以上10
4mPa・s未満である。インク粘度が10
2mPa・s以上であれば、ドットの合一による画質の劣化を防止でき、10
5mPa・s未満であれば、インク着弾時の記録媒体の表面温度を制御することで、適度にレベリングさせることで均質な光沢が得られる。なお、インクの粘度は使用するゲル化剤の種類、ゲル化剤の添加量、活性光線硬化型モノマーの種類を変えることで適宜調製することが可能である。本発明でいう粘度とは、コーンプレートを使用したストレス制御型レオメータ、PhysicaMCRシリーズ、Anton Paar社製)を用いて、剪断速度11.7s
−1で測定されたものである。
本発明に係るインクで用いられるゲル化剤は、高分子化合物であっても、低分子化合物であってもよいが、インクジェット射出性の観点から低分子化合物が好ましい。
【0055】
以下に、本発明に係るインクで用いることのできるゲル化剤の具体例を示すが、本発明はこれらの化合物にのみ限定されるものではない。
本発明で好ましく用いられる高分子化合物の具体例としては、ステアリン酸イヌリンなどの脂肪酸イヌリンや、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリンなどの脂肪酸デキストリン(レオパールシリーズとして千葉製粉より入手可能)や、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ベヘン酸エイコサン二酸ポリグリセリル(ノムコートシリーズとして日清オイリオより入手可能)などが挙げられる。
本発明で好ましく用いられる低分子化合物の具体例としては、例えば特開2005−126507号や特開2005−255821号や特開2010−111790号の各公報に記載の低分子オイルゲル化剤や、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−2エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドなどのアミド化合物(味の素ファインテクノより入手可能)や、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール(ゲルオールD 新日本理化より入手可能)などのジベンジリデンソルビトール類や、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムなどの石油系ワックスや、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、ホホバエステルなどの植物系ワックスや、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウなどの動物系ワックスや、モンタンワックス、水素化ワックスなどの鉱物系ワックスや、硬化ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体や、モンタンワックス誘導体,パラフィンワックス誘導体,マイクロクリスタリンワックス誘導体またはポリエチレンワックス誘導体などの変性ワックスや、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エルカ酸などの高級脂肪酸や、ステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ルなどの高級アルコ−ルや、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシステアリン酸や、12−ヒドロキシステアリン酸誘導体や、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノ−ル酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド(例えば、ニッカアマイドシリーズ 日本化成社製や、ITOWAXシリーズ 伊藤製油社製や、FATTYAMIDシリーズ 花王社製)や、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミドなどのN−置換脂肪酸アミドや、N,N´−エチレンビスステアリルアミド、N,N′−エチレンビス12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N′−キシリレンビスステアリルアミドなどの特殊脂肪酸アミドや、ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはオクタデシルアミンなどの高級アミンや、ステアリルステアリン酸、オレイルパルミチン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコ−ル脂肪酸エステル、エチレングリコ−ル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステル化合物(例えばEMALLEXシリーズ 日本エマルジョン社製や、リケマールシリーズ 理研ビタミン社製や、ポエムシリーズ 理研ビタミン社製)や、ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸などのショ糖脂肪酸エステル(例えばリョートーシュガーエステルシリーズ 三菱化学フーズ社製)や、ポリエチレンワックス、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックスなどの合成ワックスや、重合性ワックス(UNILINシリーズ Baker−Petrolite社製)や、ダイマー酸、ダイマージオール(PRIPORシリーズ CRODA社製)などが挙げられる。また、上記のゲル化剤は、単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0056】
本発明のインクは、ゲル化剤を含有することにより、記録ヘッド71より吐出された後、記録媒体上に着弾すると直ちにゲル状態となり、ドット同士の混じり合い・ドットの合一が抑制され高速印字又は画像形成時の高画質形成が可能となり、その後、活性光線の照射により硬化することにより記録媒体上に定着され強固な画像膜を形成する。ゲル化剤の含有量としては、1質量%以上、10質量%未満が好ましく、2質量%以上、7質量%未満がより好ましい。1質量%以上とすることで、ゲル形成が十分にされてドットの合一による画質の劣化を抑制でき、かつゲル形成によるインク液滴の増粘によって光ラジカル硬化系で用いた場合には酸素阻害による光硬化性低減することができ、また、10質量%未満とすることで、活性光線照射後の未硬化成分による硬化膜の劣化、インクジェット射出性の劣化を低減できる。
【0057】
[インク:活性光線硬化型組成物]
本発明のインクにおいては、ゲル化剤、色材と共に、活性光線で硬化する活性光線硬化型組成物を含有することを特徴とする。
本発明に用いられる活性光線硬化型組成物(以下、光重合性化合物ともいう)について説明する。
本発明でいう活性光線とは、例えば、電子線、紫外線、α線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険性や、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している紫外線または電子線が好ましい。本発明では特に紫外線が好ましい。
本発明において、活性光線の照射により架橋または重合する光重合性化合物としては、特に制限なく用いることができるが、中でも光カチオン重合性化合物または光ラジカル重合性化合物を用いることが好ましい。
【0058】
[インク:カチオン重合性化合物]
光カチオン重合性モノマーとしては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、特開2001−40068号、特開2001−55507号、特開2001−310938号、特開2001−310937号、特開2001−220526号の各公報に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
本発明においては、インク硬化の際の記録媒体の収縮を抑える目的で、光重合性化合物として少なくとも1種のオキセタン化合物と、エポキシ化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有することが好ましい。
【0059】
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロヘキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することにより得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0060】
本発明でいうオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526号公報、特開2001−310937号公報に記載されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
本発明で用いることのできるオキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になること、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなることがある。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
本発明で好ましく用いることのできるオキセタン環を有する化合物としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0089)に記載されている、一般式(1)で表される化合物、同じく同号公報の段落番号(0092)に記載されている、一般式(2)、段落番号(0107)の一般式(7)、段落番号(0109)の一般式(8)、段落番号(0166)の一般式(9)等で表される化合物を挙げることができる。
具体的には、同号公報の段落番号(0104)〜(0119)に記載されている例示化合物1〜6及び段落番号(0121)に記載されている化合物を挙げることができる。
【0061】
[インク:ラジカル重合性化合物]
次いで、ラジカル重合性化合物について説明する。
光ラジカル重合性モノマーとしては、各種公知のラジカル重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料と、カチオン重合系の光硬化性樹脂が知られており、最近では可視光以上の長波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂も例えば、特開平6−43633号公報、特開平8−324137公報等に公開されている。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
本発明のラジカル重合性化合物としては、公知のあらゆる(メタ)アクリレートモノマー及び/またはオリゴマーを用いることができる。本発明でいう「および/または」は、モノマーであっても、オリゴマーであっても良く、更に両方を含んでも良いことを意味する。また、以下に述べる事項に関しても同様である。
【0062】
(メタ)アクリレート基を有する化合物としては、例えば、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン変性可撓性アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート等の単官能モノマー、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の三官能以上の多官能モノマーが挙げられる。この他、重合性のオリゴマー類も、モノマー同様に配合可能である。重合性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、直鎖アクリルオリゴマー等が挙げられる。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(185年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79ページ、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマーオリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0063】
なお、感作性、皮膚刺激性、眼刺激性、変異原性、毒性などの観点から、上記モノマーの中でも、特に、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、イソボルニルアクリレート、ラクトン変性可とう性アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましい。
更に、これらの中でも、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが特に好ましい。
【0064】
本発明においては、重合性化合物としてビニルエーテルモノマー及び又はオリゴマーと(メタ)アクリレートモノマー及び又はオリゴマーを併用しても構わない。ビニルエーテルモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。ビニルエーテルオリゴマーを用いる場合は、分子量が300〜1000で、エステル基を分子内に2〜3個持つ2官能のビニルエーテル化合物が好ましく、例えばALDRICH社のVEctomerシリーズとして入手可能な化合物、VEctomer4010、VEctomer4020、VEctomer4040、VEctomer4060、VEctomer5015などが好ましく挙げられるが、この限りではない。
また本発明においては、重合性化合物として各種ビニルエーテル化合物とマレイミド化合物を併用して用いることも可能である。マレイミド化合物としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N,N′−メチレンビスマレイミド、ポリプロピレングリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、テトラエチレングリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、ビス(2−マレイミドエチル)カーボネート、N,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N′−2,4−トリレンビスマレイミド、あるいは、また特開平11−124403号公報に開示されているマレイミドカルボン酸と種々のポリオール類とのエステル化合物である多官能マレイミド化合物などが挙げられるが、この限りではない。
上記カチオン重合性化合物及びラジカル重合性化合物の添加量は好ましくは1〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
【0065】
[インクの各構成要素]
次いで、本発明のインクについて、上記項目を除いた各構成要素について説明する。
[インクの構成要素:色材]
本発明のインクにおいては、インクを構成する色材としては、染料あるいは顔料を制限なく用いることができるが、インク成分に対し良好な分散安定性を有し、かつ耐候性に優れた顔料を用いることが好ましい。顔料としては、特に限定されるわけではないが、本発明には、例えば、カラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤或いはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、
緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、
黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26などが目的に応じて使用できる。
【0066】
具体的に商品名を示すと、例えば、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF−1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレットRE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS−3、5187、5108、5197、5085N、SR−5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN−EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G−550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA−1103、セイカファストエロー10GH、A−3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY−260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR−116、1531B、8060R、1547、ZAW−262、1537B、GY、4R−4016、3820、3891、ZA−215、セイカファストカーミン6B1476T−7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B−430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN−EP、4940、4973(大日精化工業製)、KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(大日本インキ化学製)、Colortex Yellow 301、314、315、316、P−624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA−414、U263、Finecol Yellow T−13、T−05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P−625、102、H−1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、Colortex Blue516、517、518、519、A818、P−908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素製)、Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP−S(東洋インキ製)、Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG−02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリ製)、Novoperm P−HG、Hostaperm Pink E、Hostaperm Blue B2G(クラリアント製)、カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9(三菱化学製)などが挙げられる。
【0067】
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。
また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としては、例えば、Avecia社のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のPBシリーズが挙げられる。更には、下記のものが挙げられる。
顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等を挙げることができる。
【0068】
具体例としては、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン系)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコン)」が挙げられる。
また、Efka CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」;共栄化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」;楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」等が挙げられる。
更には、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」;ゼネカ社製「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13240、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000、32000」;日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」等が挙げられる。
【0069】
これらの顔料分散剤は、インク中に0.1〜20質量%の範囲で含有させることが好ましい。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明のインクでは、印字或いは画像形成後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤では無く重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、記録ヘッドのノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
【0070】
また、本発明のインクにおいては、従来公知の染料、好ましくは油溶性染料を必要に応じて用いることができる。本発明で用いることのできる油溶性染料として、以下にその具体例を挙げるが、本発明はこれらにのみ限定されるものではない。
【0071】
[インクの構成要素:マゼンタ染料]
MS Magenta VP、MS Magenta HM−1450、MS Magenta HSo−147(以上、三井東圧社製)、AIZENSOT Red−1、AIZEN SOT Red−2、AIZEN SOTRed−3、AIZEN SOT Pink−1、SPIRON Red GEH SPECIAL(以上、保土谷化学社製)、RESOLIN Red FB 200%、MACROLEX Red Violet R、MACROLEX ROT5B(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Red B、KAYASET Red 130、KAYASET Red 802(以上、日本化薬社製)、PHLOXIN、ROSE BENGAL、ACID Red(以上、ダイワ化成社製)、HSR−31、DIARESIN Red K(以上、三菱化成社製)、Oil Red(BASFジャパン社製)。
【0072】
[インクの構成要素:シアン染料]
MS Cyan HM−1238、MS Cyan HSo−16、Cyan HSo−144、MS Cyan VPG(以上、三井東圧社製)、AIZEN SOT Blue−4(保土谷化学社製)、RESOLIN BR.Blue BGLN 200%、MACROLEX Blue RR、CERES Blue GN、SIRIUS SUPRATURQ.Blue Z−BGL、SIRIUS SUPRA TURQ.Blue FB−LL 330%(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Blue FR、KAYASET Blue N、KAYASET Blue 814、Turq.Blue GL−5 200、Light Blue BGL−5 200(以上、日本化薬社製)、DAIWA Blue 7000、Oleosol Fast Blue GL(以上、ダイワ化成社製)、DIARESIN Blue P(三菱化成社製)、SUDAN Blue 670、NEOPEN Blue 808、ZAPON Blue 806(以上、BASFジャパン社製)。
【0073】
[インクの構成要素:イエロー染料]
MS Yellow HSm−41、Yellow KX−7、Yellow EX−27(三井東圧)、AIZEN SOT Yellow−1、AIZEN SOT YelloW−3、AIZEN SOT Yellow−6(以上、保土谷化学社製)、MACROLEX Yellow 6G、MACROLEX FLUOR.Yellow 10GN(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Yellow SF−G、KAYASET Yellow2G、KAYASET Yellow A−G、KAYASET Yellow E−G(以上、日本化薬社製)、DAIWA Yellow 330HB(ダイワ化成社製)、HSY−68(三菱化成社製)、SUDAN Yellow 146、NEOPEN Yellow 075(以上、BASFジャパン社製)。
【0074】
[インクの構成要素:ブラック染料]
MS Black VPC(三井東圧社製)、AIZEN SOT Black−1、AIZEN SOT Black−5(以上、保土谷化学社製)、RESORIN Black GSN 200%、RESOLIN BlackBS(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Black A−N(日本化薬社製)、DAIWA Black MSC(ダイワ化成社製)、HSB−202(三菱化成社製)、NEPTUNE Black X60、NEOPEN Black X58(以上、BASFジャパン社製)等である。
【0075】
顔料あるいは油溶性染料の添加量は0.1〜20質量%が好ましく、更に好ましくは0.4〜10質量%である。0.1質量%以上であれば、良好な画像品質を得ることができ、20質量%以下であれば、インク出射における適正なインク粘度を得ることができる。又、色の調整等で2種類以上の着色剤を適時混合して使用できる。
【0076】
[インクの構成要素:光重合開始剤]
本発明のインクにおいて、活性光線として紫外線等を用いる場合には、少なくとも1種の光重合開始剤を含有することが好ましい。だたし、活性光線として電子線を用いる場合には、多くの場合、光重合開始剤を必要としない。
光重合開始剤は、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型の2種に大別できる。
分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、などが挙げられる。
一方、分子内水素引き抜き型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンの如きチオキサントン系;ミヒラ−ケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、などが挙げられる。
【0077】
光重合開始剤を使用する場合の配合量は、活性光線硬化型組成物の0.01〜10質量%の範囲が好ましい。
また、ラジカル重合開始剤としては、特公昭59−1281号、特公昭61−9621号、及び特開昭60−60104号等の各公報記載のトリアジン誘導体、特開昭59−1504号及び特開昭61−243807号等の各公報に記載の有機過酸化物、特公昭43−23684号、特公昭44−6413号、特公昭44−6413号及び特公昭47−1604号等の各公報並びに米国特許第3,567,453号明細書に記載のジアゾニウム化合物、米国特許第2,848,328号、同第2,852,379号及び同2,940,853号各明細書に記載の有機アジド化合物、特公昭36−22062号、特公昭37−13109号、特公昭38−18015号、特公昭45−9610号等の各公報に記載のオルト−キノンジアジド類、特公昭55−39162号、特開昭59−14023号等の各公報及び「マクロモレキュルス(Macromolecules)、第10巻、第1307頁(1977年)に記載の各種オニウム化合物、特開昭59−142205号公報に記載のアゾ化合物、特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許第109,851号、ヨーロッパ特許第126,712号等の各明細書、「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス」(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)に記載の金属アレン錯体、特許第2711491号及び特許第2803454号明細書に記載の(オキソ)スルホニウム有機ホウ素錯体、特開昭61−151197号公報に記載のチタノセン類、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(Coordination Chemistry Review)」、第84巻、第85〜第277頁(1988年)及び特開平2−182701号公報に記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体、特開平3−209477号公報に記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、四臭化炭素や特開昭59−107344号公報記載の有機ハロゲン化合物等が挙げられる。これらの重合開始剤はラジカル重合可能なエチレン不飽和結合を有する化合物100質量部に対して0.01から10質量部の範囲で含有されるのが好ましい。
また、本発明のインクにおいては、光重合開始剤として、光酸発生剤も用いることができる。
【0078】
光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C
6F
5)
4−、PF
6−、AsF
6−、SbF
6−、CF
3SO
3−塩を挙げることができる。
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0132)に記載されている化合物を挙げることができる。
第2に挙げられる、スルホン酸を発生するスルホン化物の具体的な化合物としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0136)に記載されている化合物を挙げることができる。
第2に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、その具体的な化合物としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0138)に記載されている化合物を挙げることができる。
第3に、特開2005−255821号公報の段落番号(0140)に記載されている鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0079】
[インクの構成要素:その他の添加剤]
本発明に係る活性光線硬化型インクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などが挙げられる。
【0080】
以下、本実施形態で用いられるインクの具体例を列挙する。
なお、以下のインク組成物において用いられる顔料分散体は、ソルスパーズ32000(ルーブリゾール社製)5部と、HD−N(1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート:新中村化学社製)80部とをステンレスビーカーに入れ加熱撹拌溶解し、これを室温まで冷却した後、カーボンブラック(#56:三菱化学社製)15部を加えて、0.5mmのジルコニアビーズとともにガラスビンに入れ密栓し、ペイントシェーカーにて10時間分散処理してから、ジルコニアビーズを除去したものである。
【0087】
[画像形成装置の制御構成]
図5は画像形成装置1の主制御構成を示すブロック図である。図示のように、画像形成装置1の制御部40には、画像形成部20に記録媒体Pを搬送する給紙部10と、画像形成ドラム50を回転させるドラム回転モーター53と、ドラム50の吸気を行う吸気回路54と、各ヘッド71に供給されるインクを加熱するインクヒーター73と、表裏反転ドラム85に回転動作を付与する反転モーター861と、画像形成ドラム50の外周面上で画像形成前の記録媒体Pを加熱する第一ヒーター91と、当該第一ヒーター91により加熱された記録媒体Pの温度を検出する温度センサー92と、記録媒体Pに形成されたインク画像にUV光線を照射する照射部93と、記録媒体Pを介することなく画像形成ドラム50の外周面上を直接的に加熱する第二ヒーター94と、当該第二ヒーター94に加熱された画像形成ドラム50の外周面の温度を検出する温度センサー95と、各記録ヘッド71を駆動させるヘッド駆動回路74とが電気的に接続されている。
【0088】
そして、制御部40は、画像形成装置1の各構成要素を制御するためのプログラムを記憶するROMと、プログラムを実行するCPUと、プログラム実行の際の作業領域となるRAM等から構成されている。
また、制御部40には、上位装置としてのホストコンピュータからインターフェイス回路41を介して入力された形成画像データを記憶する画像メモリー回路42が併設されている。制御部40のCPUは、画像メモリー回路42に格納された画像のデータやプログラムに基づいて演算を行い、この演算結果に基づいて各構成要素に制御信号を送信する。
【0089】
[画像形成装置の動作説明]
上記構成からなる画像形成装置1の記録媒体Pに対する両面の画像形成時の動作について説明する。
まず、画像形成ドラム50がドラム回転モーター53により回転し、第二ヒーター94を点灯して、温度センサー95による検出温度に基づいて、その外周面を目標温度になるまで加熱する。
【0090】
そして、制御部40は、給紙部10を制御して、回転を行う画像形成ドラム50の記録媒体の保持領域に対して一つ飛ばしとなるように、画像形成ドラム50へ間欠的に記録媒体Pの搬送を行う。
受け渡しユニット22から供給された記録媒体Pは、供給位置m1において、画像形成ドラム50の爪部51により搬送方向下流側の端部が保持され、保持領域に吸着される。そして、画像形成ドラム50により搬送が開始された記録媒体Pは、温度センサー92による検出温度に基づいて制御される第一ヒーター91により所定の目標温度となるように加熱される。
【0091】
そして、各ヘッドユニット70の複数のヘッド71が駆動され、画像データに基づく画像形成が行われる。
形成されたインク画像は、各ヘッドユニット70の搬送方向下流側に位置する照射部93からのUV照射によりドットの固化が図られる。
そして、記録媒体Pの搬送方向下流側の端部を保持していた爪部51が受け取り位置m2に到達すると、記録媒体Pは第一搬送ドラム81に渡る。この時、記録媒体Pの画像形成が行われた表面は第一搬送ドラム81の外周面に密着し、裏面が外側を向いた状態となる。
さらに、記録媒体Pの搬送方向下流側の端部を保持していた爪部811が渡し位置m4に到達すると、記録媒体Pは第二搬送ドラム82に渡る。この時、記録媒体Pの裏面は第二搬送ドラム82の外周面に密着し、表面が外側を向いた状態となる。
【0092】
そして、第二搬送ドラム82の爪部821が渡し位置m5を通過する際には、第二搬送ドラム82から排紙ドラム83に記録媒体Pが渡らずに通過するように、爪部821がカム機構により操作される。さらに、記録媒体Pの搬送方向上流側の端部を保持していた爪部821が渡し位置m6に到達すると、記録媒体Pは表裏反転ドラム85に渡る。この時、記録媒体Pの表面は表裏反転ドラム85の外周面に密着し、裏面が外側を向いた状態となる。
さらに、記録媒体Pの搬送方向下流側の端部を保持していた爪部851が渡し位置m8に到達すると、記録媒体Pの搬送方向上流側端部(記録媒体Pにおける爪部851が保持する端部とは逆側の端部)が反転腕部材86の先端部に近接対向状態となり、爪部851が保持状態を解除すると共に、反転腕部材86の先端部において記録媒体Pの搬送方向上流側端部が把持される。
【0093】
そして、反転腕部材86が画像形成ドラム50側に回動し、記録媒体Pが裏面が外側を向いたままの状態で、表裏反転ドラム85の上では搬送方向上流側であった端部が戻し位置m9に引き寄せられる。画像形成ドラム50は、このタイミングで、空状態の記録媒体の保持領域の爪部51が戻し位置m9に到達するように同期が図られており、裏面を外側に向けた状態の記録媒体Pにおける当初搬送方向上流側であった端部が爪部51に保持される。これにより、記録媒体Pは表裏が反転された状態で画像形成ドラム50の外周面に密着し、供給位置m1を通過して、表面の画像形成と同じ動作手順で裏面の画像形成が実行される。
【0094】
そして、裏面の画像形成が行われ、UV照射までが完了すると、受け取り位置m2において、画像形成ドラム50から第一搬送ドラム81に渡り、記録媒体Pは表面が外側を向いた状態となる。
さらに、渡し位置m4で記録媒体Pは第一搬送ドラム81から第二搬送ドラム82に渡り、記録媒体Pは裏面が外側を向いた状態となる。
次いで、渡し位置m5で記録媒体Pは第二搬送ドラム82から排紙ドラム83に渡り、記録媒体Pは表面が外側を向いた状態となる。
そして、渡し位置m7で記録媒体Pは排紙ドラム83から排紙ベルト機構84に渡り、記録媒体Pは裏面が外側を向いた状態で排紙部30に排紙される。
【0095】
[画像形成装置における技術的効果]
以上のように、画像形成装置1では、搬送機構80による受け取り位置m2から搬送方向Fに向かって戻し位置m9までの間では、画像形成ドラム50の外周面上から記録媒体Pが分離して反転させるための搬送が行われるので、受け取り位置m2から戻し位置m9までの領域を利用して第二ヒーター94が画像形成ドラム50の加熱を行うことにより、記録媒体Pを介さずに効率的な画像形成ドラム50の加熱を実現することが可能となる。
【0096】
また、この画像形成装置1では、インクの温度により相変化する特性を有するインクを使用している。そして、画像形成ドラム50の周囲には、その外周面を直接的に加熱する第二ヒーター94と、画像形成ドラム50の外周面上の記録媒体Pを加熱する第一ヒーター91とを備えているので、画像形成前に記録媒体Pを適正な温度に維持することができ、より良好で且つ品質が安定した画像形成を行うことが可能となる。
また、各ヘッドユニット70は、各記録ヘッド71に供給されるインクを加熱するインクヒーター73を備えるので、吐出前のインクの温度の適正化を図ることが可能となり、適正な粘度でインクの吐出を行うことができ、さらに、品質が安定した画像形成を行うと共に記録ヘッド71の信頼性向上を図ることが可能となる。
【0097】
[その他]
なお、画像形成部20における第一及び第二ヒーター91,94は、いずれも赤外線を照射する非接触方式の加熱手段を使用しているが、例えば、いずれか一方或いは双方とも接触式の加熱手段を使用しても良い。
図6は接触式の加熱手段としての加熱ローラー91Aの概略構成を示す断面図である。図示のように、加熱ローラー91Aは、例えばアルミニウム等の金属からなる中空パイプ911Aと、中空パイプ911Aの全周を覆う例えばシリコンゴム等の弾性層912Aと、中空パイプ911Aに内蔵されて、中空パイプ911A及び弾性層912Aを加熱するハロゲンヒータ等の加熱源913Aとを備えている。
弾性層912Aは、熱伝導性の優れた材質であることが望ましい。さらに、弾性層912Aの表面は、滑り性のよい材質(例えばPFAチューブ等)を被膜しておき、耐久性を高めておくことも可能である。
【0098】
また、画像形成に使用するインクは、エネルギー線を照射することにより硬化する特性とインクの温度により相変化する特性とを有するものを使用しているがこれに限られない。例えば、インクの温度により相変化する特性を有していないインクやエネルギー線を照射することにより硬化する特性を有していないインク、或いはこれら双方の特性を有していないインクで画像形成を行う場合でも、適正な温度での画像形成が要求されるインクを使用する限りは、各ヒーター91,94,73による温度制御は有意義である。