(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013466
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】物品を二酸化炭素で処理する方法
(51)【国際特許分類】
A01M 1/00 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
A01M1/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-514183(P2014-514183)
(86)(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公表番号】特表2014-516560(P2014-516560A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】IB2012052756
(87)【国際公開番号】WO2012168837
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年4月24日
(31)【優先権主張番号】61/495,258
(32)【優先日】2011年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル フランシーン オルソン
(72)【発明者】
【氏名】キム アール.スミス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン イー.トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー エム.シュルツ
【審査官】
門 良成
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0113674(US,A1)
【文献】
特開2004−208534(JP,A)
【文献】
特開平07−059497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00
A01M 1/20
A01M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を処理する方法であって、
a.トコジラミに侵入されている疑いのある物品及びCO2カートリッジをエンクロージャー内に置くこと、
b.前記エンクロージャーを封止すること、
c.CO2の濃度が、前記エンクロージャー内の空気の1立方メートル当たりに、約1.1ポンド(499g)〜2.2ポンド(998g)になるまで、封止した前記エンクロージャー内に前記CO2カートリッジからCO2を放出すること、ここで前記カートリッジからの前記CO2の放出は、前記カートリッジ上にある調節装置によって制御され、及び
d.前記物品を、CO2と共に、封止した前記エンクロージャー内に、最高48時間置くこと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記物品が、家具、本、DVD、写真フレーム、雑貨、衣類、リネン、及び電子機器からなる群から選択される個人用物品である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エンクロージャーが、処理される物品よりわずかに大きい、封止可能なバッグである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バッグが、ポート、減圧機、及び二酸化炭素監視装置からなる群から選択される更なる特徴を更に備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記エンクロージャー内のCO2の濃度が、空気の約50体積%〜100体積%である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
封止した前記エンクロージャー内の温度が室温である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記物品を、CO2と共に、封止した前記エンクロージャー内に最高20時間置くことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
a.前記エンクロージャーから前記物品を除去すること、
b.前記エンクロージャー内に再び前記物品を置くこと、
c.前記エンクロージャーを封止すること、及び
d.前記物品を、CO2と共に、封止した前記エンクロージャー内に最高48時間置くこと、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
トコジラミに侵入されている疑いのある個人用携行物品を処理する方法であって、前記方法は、
a.予め充填したCO2カートリッジであって、調節装置を備えるカートリッジと共に、エンクロージャー内に前記物品を置くこと、
b.前記エンクロージャー内へのCO2の放出を開始するために、前記カートリッジを開けること、
c.前記エンクロージャーを封止すること、及び
d.前記物品を、CO2と共に、CO2が空気の約50体積%〜100体積%の量で存在する封止した前記エンクロージャー内に、最高48時間置くこと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トコジラミ処理のいくつかの方法は、侵入された疑いのある物品を廃棄することが必要である。
【背景技術】
【0002】
これらの物品は、特に家具、マットレス、及びボックススプリングのような大きい物品の場合、又は個人用携行物品の場合、交換するのに高価、又は困難であることがある。トコジラミ処理のいくつかの方法は専ら、特定の物品、特に人々に接触する物品について制限され、又は禁止されていることがある殺虫剤に依存している。トコジラミ処理の他の方法は、物に損傷を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、この背景に対して行う。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、二酸化炭素を用いて物品を処理することができることが分かった。
【0005】
したがって、いくつかの側面において、本開示は、エンクロージャー内に物品を置くこと、エンクロージャー内にCO
2を放出すること、エンクロージャーを封止すること、及び物品をCO
2と共にエンクロージャー内に最高48時間置くことによって、トコジラミに侵入されている疑いのある物品を処理する方法に関する。
【0006】
いくつかの側面において、本開示は、CO
2を予め充填したカートリッジであって、CO
2の放出を制御するための調節装置又はアダプタのいずれかを備えたカートリッジと共にエンクロージャー内に物品を置くこと、カートリッジを開いてエンクロージャー内へのCO
2の放出を開始すること、物品とカートリッジとを中に有するエンクロージャーを封止すること、及び物品を、CO
2と共に、CO
2が空気の約50体積%〜100体積%の量において存在する封止されたエンクロージャー内に最高48時間置くことによって、トコジラミに侵入された疑いのある物品を処理する方法に関する。
【0007】
いくつかの側面において、本開示は、エンクロージャー、及び複数のCO
2カートリッジを含んでおり、それぞれのカートリッジは、エンクロージャー内の1立方メートル当たりに約1.1ポンド(499g)(約50%の濃度について)〜2.2ポンド(998g)(100%の濃度について)の所定量のCO
2で満たされている、トコジラミに侵入されている疑いのある物品を処理するためのキットに関する。キットはまた、エンクロージャー内に物品を置くこと、CO
2カートリッジの少なくとも1つを開くこと、CO
2カートリッジを、物品と共に、エンクロージャー内に置くこと、エンクロージャーを封止すること、並びに物品とCO
2カートリッジとを、エンクロージャー内に最高48時間置くことについての指示書を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、エンクロージャー内の物品、例えばマットレス、又はボックススプリングの概略図を示す。
【
図2】
図2は、エンクロージャー内の2つの物品、例えばマットレス、及びボックススプリングの概略図を示す。
【
図3】
図3は、エンクロージャー内の個人用物品の概略図を示す。
【
図4】
図4は、トコジラミの成虫及び卵への二酸化炭素の効力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態において、本開示は、二酸化炭素を使用して、物品上のトコジラミを処理する方法、及びキットに関する。驚くべきことに、トコジラミの卵を含むトコジラミは、二酸化炭素を使用して予想より短い時間で殺すことができることが分かった。
【0010】
本開示は、一般に、トコジラミに侵入されている疑いのある物品を処理することに関する。処理する例示的な物品としては、小さい物品、例えば枕、寝具、衣類、窓の装飾、電話、遠隔制御装置、目ざまし時計、及びこれらと同種のものを挙げることができる。例示的な物品としてはまた、個人用物品、例えば家具、本、DVD、写真フレーム、写真アルバム、雑貨、電子機器、携帯電話、個人用音楽プレーヤー、コンピューター、タブレット型コンピューター、及びこれらと同種のものが挙げられる。例示的な物品としてはまた、中型サイズの物品、例えば家具、マットレス、ボックススプリング、ヘッドボード、ナイトテーブル、及びこれらと同種のものが挙げられる。処理する例示的な物品としては、マットレス、ボックススプリング、寝具、幅木、ヘッドボード、ナイトテーブル、カーペット、家具、ミラー、写真、照明設備、窓の装飾、壁、天井、床、衣類、機器、商業的設備、電話、遠隔制御装置、目ざまし時計、及びペット寝具が挙げられる。物品は、ホテル、住宅、アパート、若しくは集合住宅、レストラン、オフィスビル、映画館、電車、バス、飛行機、車、トラック、小売店、大学寮、ペットトリマー、若しくは獣医クリニック、病院、及び療養所を含む様々な場所にある可能性がある。特に適する物品としては個人用携行物品であり、その理由は、人々と接触する物品への殺虫剤の使用を制限する規則のため、及び個人用携行物品の性質上、これらは損傷を受けやすいため、他の形態の害虫処理で処理することが困難だからである。更に、個人用携行物品の感情的価値は、それらの交換を困難にし、したがって、それらが侵入されたとしても廃棄することを困難にする。
【0011】
〈エンクロージャー〉
本開示は、エンクロージャー内に物品を置くことを含む。エンクロージャーの形状及びサイズは、相当に変化することができる。しかしながら、エンクロージャーは、好ましくは特定の特徴を有する。例えば、エンクロージャーは、好ましくは開閉することができ、又は封止することができる。エンクロージャーが封止される場合、好ましくは気密である。封止したエンクロージャーは気密であることが望ましいが、好ましくはベントを備えており、処理の時間に渡って二酸化炭素が放出されるにつれ、エンクロージャー内の気体の増加した体積に適応する。いくつかの実施形態において、エンクロージャーは、好ましくは2フィート(61cm)より高くない。
【0012】
例示的なエンクロージャーとしては、バッグ、トート、箱、ドラム、及び容器が挙げられる。
【0013】
例示的なバッグは、保持するよう設計された内容物よりわずかに大きい。例えば、マットレス及びボックススプリングの場合、バッグは、ボックススプリング及び/又はマットレスをバッグ内に入れること、及びバッグ外に出すことに適応する程度に十分大きいが、それより非常に大きくはない。個人用物品の場合、バッグは、物品周辺に二酸化炭素が循環するための充分な空間を与えつつ、一定数の個人用物品を収容する程度に十分大きい。バッグは、好ましくは、物品をバッグ内に及びバッグ外に移動する程度に十分耐久性がある。いくつかの実施形態において、バッグは、多層、例えば2層、3層、又は4層材料から作られる。例示的な材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ビニール、カンバス、紙、又は二つ以上の材料の組合せが挙げられる。好ましい材料は、耐久性があり、破れ及び裂けに耐えることができるが、保管し、折りたたみ、及び容易に輸送できる程度に十分に柔軟性がある。材料又は材料の組合せは、好ましくは、処理の間、二酸化炭素の損失を防止する程度に気密である。
図1は、中に物品12、例えばマットレス又はボックススプリングを有する、エンクロージャー又はバッグ14を有する、例示的な実施形態10を示す。構造体又はバッグ14は、空気を除去するか、又は例えばホースを通じてタンクから二酸化炭素を添加するかの、いずれかのためのポート16を備える。バッグ14は、任意に、エンクロージャー14内の二酸化炭素レベルを測定するための、CO
2確認用インジケーター又は監視装置18を備えることができる。エンクロージャー14は、好ましくは封止可能であり、及び開封可能である。例示的な封止機構としては、ジッパー、フックアンドループ、スナップ、ハンドシーラー、又はヒートシーラーが挙げられる。いくつかの実施形態において、エンクロージャー14は、再利用するよう設計される。いくつかの実施形態において、エンクロージャー14は、1回の使用のために設計される。これは、エンクロージャーが汚染源になる可能性がないため、有益であることがある。
図2は、エンクロージャー14が一つより多い物品12及び22を含む、他の例示的な実施形態20を示す。エンクロージャー14は、ポート16と係合することができ、エンクロージャーの外に空気をポンプ輸送して、二酸化炭素の添加に適用することができ、又はエンクロージャー内に二酸化炭素を添加することができる、ポンプ及び/又は減圧機を任意に備えることができる。エンクロージャー14はまた、二酸化炭素カートリッジをエンクロージャーに接続し、かつカートリッジを裂開するアダプタを含むことができる。バッグは、容易に輸送することができ、及び1回の使用のために構成することができるので有利である。それらは、小さい空間に折りたたむこともできる。エンクロージャーは、任意に、物品のための支持構造を備え、物品周辺の循環を促進することができる。
図3は、エンクロージャー14が物品34を含む、他の例示的な実施形態30を示す。エンクロージャーはまた、物品34を処理するための、エンクロージャー内に置かれたCO
2カートリッジ32を含む。エンクロージャー14は、ジッパー36、スナップ、フックアンドループ、又は他の封止機構で封止することができる。
【0014】
バッグのように、適切なトートは、保持するよう設計された内容物よりわずかに大きい。トートは、剛性であることができ、又は柔軟性であることができる。トートは、再利用するよう設計することができ、又は使用後に処分するよう設計することができる。また、汚染源にならないように、トートを処分することは有益であることがある。トートは、トートの中に物品を置くための開口部を備える。トートもまた、空気を除去し、又は二酸化炭素を添加するためのポートを含む。それらはまた、二酸化炭素が添加されるにつれて気体を放出するためのベントを備えることができる。トートは、エンクロージャー内の二酸化炭素レベルを測定するための、CO
2確認用インジケーター又は監視装置を任意に備えることができる。トートは、好ましくは封止可能であり、及び開封可能である。例示的な封止機構としては、ジッパー、フックアンドループ、スナップ、ハンドシーラー、又はヒートシーラーが挙げられる。トートは、ポートと係合することができ、及びエンクロージャーの外に空気をポンプ輸送して、二酸化炭素の添加に適応することができ、又は二酸化炭素をトート内にポンプ輸送することができる、ポンプ及び/又は減圧機を任意に含むことができる。エンクロージャーはまた、二酸化炭素カートリッジをエンクロージャーに接続し、かつカートリッジを裂開するアダプタを備えることができる。
【0015】
〈二酸化炭素源〉
方法は、二酸化炭素を使用して、トコジラミが侵入している疑いのある物品を処理する。方法は、トコジラミが存在したらそれらを殺すよう設計されている。いくつかの実施形態において、二酸化炭素はカートリッジを使用して出される。カートリッジは、エンクロージャー内の二酸化炭素の濃度を、エンクロージャー内の空気の体積の約50%〜100%の間、又はエンクロージャー内の空間の1立方メートルにつき、約1.1ポンド(499g)(例えば約50%の濃度について)〜2.2ポンド(998g)(例えば100%の濃度について)の間に維持するよう設計された、所定量の二酸化炭素を含む。カートリッジを使用する場合、カートリッジは、好ましくは99.8%以上の二酸化炭素である。二酸化炭素は不活性であり、低濃度において無毒であるので、本出願において有利である。しかしながら、二酸化炭素が、48時間未満で、トコジラミ及びトコジラミの卵を殺すことに効果的なことがあることは予想外である。
【0016】
エンクロージャー内の二酸化炭素の濃度を管理するために、カートリッジは、任意に調節装置を備えることができる。エンクロージャーは、任意に、カートリッジをエンクロージャーに接続するためのアダプタであって、カートリッジを貫通して二酸化炭素を放出し、及び二酸化炭素の流れを制御するアダプタを含むことができる。操作において、ユーザは二酸化炭素カートリッジをとり、及びカートリッジを貫通することによってカートリッジを開ける。一旦カートリッジが開くと、二酸化炭素を放出し始める。この点において、ユーザは、カートリッジを物品と共にエンクロージャー内に置き、エンクロージャーを封止して、添加された二酸化炭素が漏れることを防止する。二酸化炭素の濃度が、トコジラミを殺す程度に十分に高いが、有毒になるほど高くはない程度にとどまるように、調節装置又はアダプタは、所望の時間に渡って所定の速度で二酸化炭素を放出する。二酸化炭素は、好ましくは、エンクロージャー内の空気の体積の50%より多く、75%より多く、又は100%まで、若しくは約100%存在する。二酸化炭素は、エンクロージャー内の空気の体積の約50%〜100%で存在してもよい。システムは、好ましくは、二酸化炭素濃度を測定するための二酸化炭素監視装置を備える。
【0017】
いくつかの実施形態において、エンクロージャーを大きくして、マットレス、ボックススプリング、及び家具のような大きい物品を収容するように構成してもよい。これらの実施形態について、カートリッジの代わりに二酸化炭素タンクを使用することがより実用的であることがある。タンクは、好ましくは調節装置及びホースを備えて、エンクロージャー内に二酸化炭素をもたらしてもよい。ホースは、エンクロージャー上のポートに接続してもよい。
【0018】
〈方法〉
いくつかの実施形態において、本開示は、トコジラミに侵入されている疑いのある物品を処理する方法を含む。実際にトコジラミに侵入されていない場合であっても、物品が確実に侵入されているかどうかを決定することは困難なことがあるため、物品は処理を必要としてもよい。更に、侵入を発見した場合、物品を処理して、確実にトコジラミがその物品に侵入していないようにすることは有益であることがある。
【0019】
いくつかの実施形態において、方法は、トコジラミに侵入されている疑いのある物品をエンクロージャー内に置くこと、エンクロージャーを封止すること、封止したエンクロージャー内にCO
2を放出すること、及び物品を、CO
2と共に、封止したエンクロージャー内にしばらくの間置くことを含む。いくつかの実施形態において、方法は、予め充填したCO
2カートリッジであって、カートリッジからのCO
2の放出を制御するための調節装置を備えたカートリッジと共に、個人用携行物品をエンクロージャー内に置くこと、カートリッジを開いて、エンクロージャー内へのCO
2の放出を開始すること、エンクロージャーを封止すること、及び物品を、CO
2と共に、CO
2が空気の約50体積%〜100体積%で存在する封止したエンクロージャー内に、しばらくの間置くことを含む。
【0020】
物品がエンクロージャー内で費やす時間は、約48時間まで、約24時間まで、約20時間まで、又は約16時間までとすることができる。好ましい実施形態において、物品は二酸化炭素と共に、封止されたエンクロージャー内に、約16〜約20時間とどまる。
【0021】
いくつかの実施形態において、封止したエンクロージャー内の温度は室温付近である。いくつかの実施形態において、封止したエンクロージャー内の温度は、100°F(37.7℃)、115°F(46.1℃)、118°F(47.7℃)、又は120°F(48.9℃)まで上昇する可能性がある。
【0022】
いくつかの実施形態において、物品は、トコジラミを殺すために一度処理される。いくつかの実施形態において、物品が複数回処理される処理プログラムの一部として、物品を処理することは有益である。例示的な処理計画は、第一の処理、第一の処理の24時間後の第二の処理、第一の処理の2週間後の第三の処理を含む。他の例示的な処理計画は、第一の処理、及び第一の処理の2週間後の第二の処理を含む。他の例示的な処理計画を使用することができる。更なる処理を使用する場合、更なる処理は、第一の処理と異なってもよく、同様でもよく、又は同一でもよい。
【0023】
〈キット〉
いくつかの実施形態において、本開示は、トコジラミに侵入されている疑いのある物品を処理するためのキットを含む。キットは、物品を処理するための構成部品、及び物品を処理するための構成部品を使用する方法についての指示書を含むことができる。いくつかの実施形態において、キットは、エンクロージャー、及び少なくとも一つの二酸化炭素カートリッジを含む。使い捨て又は1回の使用のために設計されているシステムの場合、キットは、ただ一つの二酸化炭素カートリッジを含むことができる。代替として、キットは、複数の処理が必要である場合、又は後日新たな物品を処理するためにキットが利用可能であることをユーザが望む場合、キットを再び使用することを可能にする、複数の二酸化炭素カートリッジを含むことができる。キットは、特に消費者用途に適している。トコジラミの侵入は、旅行の増加によって増加している。そして、旅行者は最終的に帰宅する必要があり、潜在的にトコジラミを共に持ち帰る。このキットは、ユーザが、トコジラミに侵入された疑いのある物品を自宅で処理することを可能にする。構成部品を含むことに加えて、キットは、構成部品を使用するための指示書を含むことができる。非限定的な指示書の例は、エンクロージャー内に物品を置くこと、CO
2カートリッジの一つを開けること、CO
2カートリッジを物品と共にエンクロージャー内に置くこと、エンクロージャーを封止すること、並びに物品及びCO
2カートリッジを、エンクロージャー内に、しばらくの間、例えば約48時間まで、約24時間まで、約20時間まで、約16時間まで、又は約16時間〜約20時間置くことについての指示を含む。
【0024】
本開示は、以下の例を参照して、より理解することができる。この例は、本開示の特定の実施形態を代表することを意図し、及び本開示の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例】
【0025】
〈例1−トコジラミの全ての成長段階を殺す二酸化炭素の効力〉
例1は、トコジラミの全ての成長段階を殺す二酸化炭素の効力を決定した。卵に対する効力を試験するために、試験の1週間前、及び給餌した直後に、給餌した8匹のメスの成虫のトコジラミと、給餌した2匹のオスの成虫のトコジラミとを、新しいフィルタ紙上に置いて、7日間に渡って試験用卵を敷設した。7日目に、試験の24時間前に、成虫及び卵を有するフィルタ紙を、10分間、10°F(−12.2℃)に設定した冷凍庫に入れた。これは、非常に穏やかにたたくことによって、フィルタ紙から成虫のトコジラミが容易に除去される程度に十分長かった。卵を除くことなく成虫のトコジラミを除去した。卵を計数し、通気性のある容器に入れた。容器をエンクロージャー内に置き、エンクロージャーを封止し、処理を適用した。二酸化炭素の濃度を、CO
2計器を使用して追跡した。20時間の暴露時間の後、容器をエンクロージャーから除去した。16日目に、あらゆる孵化について、容器を観察した。
【0026】
成虫への効力を試験するために、試験の24時間前に、成虫のトコジラミを給餌した。10匹の給餌したトコジラミを、新しいフィルタ紙上に置いた。フィルタ紙を瓶の中に入れた。瓶をエンクロージャー内に入れ、エンクロージャーを封止し、処理を適用した。20時間の暴露時間の後、瓶をエンクロージャーから除去した。直ちに死亡率について瓶を観察し、並びにエンクロージャーから除去した24時間後、及び1週間後に、死亡率について再び観察した。二酸化炭素がトコジラミの卵、及び成虫を殺すことを示す結果を、
図4に示す。
【0027】
上記の明細書、例、及びデータは、本開示の説明を提供するものである。本開示の多くの実施形態を、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができるため、本発明は請求項に帰属する。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[17]に記載する。
[1]
トコジラミに侵入されている疑いのある物品を処理する方法であって、
a.前記物品をエンクロージャー内に置くこと、
b.前記エンクロージャーを封止すること、
c.封止した前記エンクロージャー内にCO2を放出すること、及び
d.前記物品を、CO2と共に、封止した前記エンクロージャー内に、最高48時間置くこと、
を含む、方法。
[2]
前記物品が、家具、本、DVD、写真フレーム、雑貨、衣類、リネン、及び電子機器からなる群から選択される個人用物品である、項目1に記載の方法。
[3]
前記エンクロージャーが、処理される物品よりわずかに大きい、封止可能なバッグである、項目1に記載の方法。
[4]
前記バッグが、ポート、減圧機、及び二酸化炭素監視装置からなる群から選択される更なる特徴を更に備える、項目3に記載の方法。
[5]
前記エンクロージャー内のCO2の濃度が、空気の約50体積%〜100体積%である、項目1に記載の方法。
[6]
前記CO2の濃度が、前記エンクロージャー内の空気の1立方メートル当たりに、約1.1ポンド(499g)〜2.2ポンド(998g)である、項目1に記載の方法。
[7]
封止した前記エンクロージャー内の温度が室温である、項目1に記載の方法。
[8]
前記物品を、CO2と共に、封止した前記エンクロージャー内に最高20時間置くことを更に含む、項目1に記載の方法。
[9]
封止した前記エンクロージャー内に置かれた、予め充填したCO2カートリッジから、前記CO2が放出される、項目1に記載の方法。
[10]
前記カートリッジからの前記CO2の放出を、前記カートリッジ上にある調節装置によって制御する、項目9に記載の方法。
[11]
前記カートリッジ内の前記CO2が、少なくとも99.8%のCO2である、項目9に記載の方法。
[12]
a.前記エンクロージャーから前記物品を除去すること、
b.前記エンクロージャー内に再び前記物品を置くこと、
c.前記エンクロージャーを封止すること、及び
d.前記物品を、CO2と共に、封止した前記エンクロージャー内に最高48時間置くこと、
を更に含む、項目1に記載の方法。
[13]
トコジラミに侵入されている疑いのある個人用携行物品を処理する方法であって、前記方法は、
a.予め充填したCO2カートリッジであって、調節装置を備えるカートリッジと共に、エンクロージャー内に前記物品を置くこと、
b.前記エンクロージャー内へのCO2の放出を開始するために、前記カートリッジを開けること、
c.前記エンクロージャーを封止すること、及び
d.前記物品を、CO2と共に、CO2が空気の約50体積%〜100体積%の量において存在する封止した前記エンクロージャー内に、最高48時間置くこと、
を含む、方法。
[14]
前記カートリッジが、少なくとも99.8%のCO2を含む、項目13に記載の方法。
[15]
トコジラミに侵入されている疑いのある物品を処理するためのキットであって、
a.エンクロージャー、
b.複数のCO2カートリッジであって、それぞれのカートリッジは、前記エンクロージャー内の空気の1立方メートル当たりに、約1.1ポンド(499g)〜2.2ポンド(998g)のCO2を生ずるのに十分な量のCO2で満たされた、カートリッジ、並びに
c.前記物品を処理するための指示書であって、
i.前記エンクロージャー内に物品を置くこと、
ii.前記CO2カートリッジの一つを開けること、
iii.前記CO2カートリッジを、前記物品と共に、前記エンクロージャー内に置くこと、
iv.前記エンクロージャーを封止すること、及び
v.前記物品と前記CO2カートリッジとを、前記エンクロージャー内に、最高48時間置くこと
を含む指示書、
を含む、キット。
[16]
前記エンクロージャーが、ベントを有するバッグである、項目15に記載のキット。
[17]
前記キットが、消費者用途のために構成された、項目15に記載のキット。