特許第6013478号(P6013478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013478
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】巻取り装置
(51)【国際特許分類】
   B21F 37/00 20060101AFI20161011BHJP
   B29D 30/48 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B21F37/00 B
   B29D30/48
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-521181(P2014-521181)
(86)(22)【出願日】2012年6月22日
(86)【国際出願番号】JP2012066006
(87)【国際公開番号】WO2013190696
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2015年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】591032356
【氏名又は名称】不二精工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594029333
【氏名又は名称】不二商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西田 喜八郎
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−267410(JP,A)
【文献】 実開平03−118630(JP,U)
【文献】 米国特許第2049587(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21F 37/00
B29D 30/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸により回転される基板と、
その基板の外周に対応する環状領域に配置され、前記基板の周方向に沿ってその環状領域を複数に分割した形状に対応するとともに、前記基板の径方向に沿って移動し得るようにその基板に支持された複数の分割片と、
ハンドルによって回転される操作軸と、
その操作軸と前記各分割片との間に設けられ、前記操作軸の回転を、前記各分割片の前記基板の径方向への移動に変換する変換機構とを備え、
前記基板の回転に伴い、その基板と一体に回転する各分割片の外周にワイヤを巻付けてビードリングを形成するようにした巻取り装置において、
前記変換機構は、
前記回転軸に対して相対的に回転可能に前記基板に支持された第1歯車と、
前記第1歯車に噛合するように前記操作軸に固定された第2歯車と、
前記基板に支持された複数のネジ軸と、
前記第1歯車に噛合するように前記ネジ軸にそれぞれ固定された複数の第3歯車と、
前記基板の径方向に沿って延びるように前記基板上に形成された複数のガイド部にガイドされ、かつ前記ネジ軸にそれぞれ螺合する雌ネジ部を有する複数の移動部材とを備え、前記移動部材に前記分割片がそれぞれ支持され、
前記各移動部材は、前記ガイド部によってガイドされる本体と、該本体に前記基板の径方向に沿って移動可能に支持され、かつ前記分割片を支持する支持部材とを備える巻取り装置。
【請求項2】
前記各分割片は、前記支持部材に支持される取付部と、該取付部に着脱可能に取り付けられた巻取り部とを備え、前記巻取り部にワイヤを巻付けるための溝が形成されている請求項に記載の巻取り装置。
【請求項3】
前記各巻取り部は、前記溝の溝幅を変更可能に構成されている請求項に記載の巻取り装置。
【請求項4】
前記各支持部材が前記基板の径方向に配列された複数の支持部を備え、前記分割片は前記支持部のうちの一つに支持される請求項またはに記載の巻取り装置。
【請求項5】
前記各分割片が、前記基板の径方向に沿って前記支持部材に対する位置を調節可能に、前記支持部材に支持されるとともに、前記分割片と前記支持部材との間には前記分割片の前記基板の径方向の位置を設定するためのスペーサが介在されている請求項またはに記載の巻取り装置。
【請求項6】
前記巻取り装置は、前記支持部材をそれぞれ支持する複数のリンク機構と、該リンク機構をそれぞれロック位置でロックする複数のロック機構と、該ロック機構によるロックをそれぞれ解除する複数のロック解除機構とを備える請求項のうちのいずれか一項に記載の巻取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転体の外周にワイヤを巻付けて、ビードリングを形成する巻取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の巻取り装置においては、円板状の回転体の外周にワイヤを巻付けるための溝が形成されている。回転体を一方向に回転させながら、溝内に一本のワイヤを列方向に配列した状態で、段方向に積層されるようにワイヤを巻付けることによって、ビードリングが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−334858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビードリングの用途により、各種の巻径を有するビードリングが要求されることがある。しかしながら、特許文献1の巻取り装置によって、ビードリングを形成する場合、ビードリングの巻径を大幅に変更することが困難であるだけでなく、僅かに変更することも困難であり、このような要求に対応することが困難である。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、ビードリングの巻径を容易に変更することができる巻取り装置を提供することにある。この巻取り装置によると、巻径の変更量が小さい場合、あるいは大きい場合にも、ビードリングの巻径は容易に変更できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様によると、回転軸により回転される基板と、その基板の外周に対応する環状領域に配置され、基板の周方向に沿ってその環状領域を複数に分割した形状に対応するとともに、基板の径方向に沿って移動し得るように、その基板に支持された複数の分割片とを備え、基板の回転に伴い、その基板と一体に回転する各分割片の外周にワイヤを巻付けてビードリングを形成するようにした巻取り装置が提供される。巻取り装置は、ハンドルによって回転される操作軸と、その操作軸と前記各分割片との間に設けられ、操作軸の回転を、前記各分割片の前記基板の径方向への移動に変換する変換機構とを備えている。
【0007】
従って、この発明の巻取り装置においては、ハンドルにより操作軸を回転させると、変換機構により各分割片が、基板の周方向に沿って配置された状態で、基板の径方向に沿って移動され、ビードリングの巻径が変更される。よって、ハンドルを回転させるという簡単な操作により、ビードリングの巻径をわずかに、あるいは大幅に変更することができる。
【0008】
前記の構成において、前記変換機構は、前記回転軸に対して相対的に回転可能に前記基板に支持された第1歯車と、前記第1歯車に噛合するように前記操作軸に固定された第2歯車と、前記基板に支持された複数のネジ軸と、前記第1歯車に噛合するように前記ネジ軸にそれぞれ固定された複数の第3歯車と、前記径方向に沿って延びるように前記基板上に形成された複数のガイド部にガイドされ、かつ前記ネジ軸にそれぞれ螺合する雌ネジ部を有する複数の移動部材とを備えても良い。前記移動部材に前記分割片がそれぞれ支持される。
【0009】
前記の構成において、前記各移動部材は、前記ガイド部によってガイドされる本体と、該本体に前記基板の径方向に沿って移動可能に支持され、かつ前記分割片を支持する支持部材とを備えても良い。
【0010】
前記の構成において、前記各分割片は、前記支持部材に支持される取付部と、該取付部に着脱可能に取り付けられた巻取り部とを備え、前記巻取り部にワイヤを巻付けるための溝が形成されても良い。
【0011】
前記の構成において、前記各巻取り部は、前記溝の溝幅を変更可能に構成されても良い。
【0012】
前記の構成において、前記各支持部材が前記基板の径方向に配列された複数の支持部を備え、前記分割片は前記支持部のうちの一つに支持されても良い。
【0013】
前記の構成において、前記各分割片が、前記基板の径方向に沿って前記支持部材に対する位置を調節可能に、前記支持部材に支持されるとともに、前記分割片と前記支持部材との間には前記分割片の前記基板の径方向の位置を設定するためのスペーサが介在されても良い。
【0014】
前記の構成において、前記巻取り装置は、前記支持部材をそれぞれ支持する複数のリンク機構と、該リンク機構をそれぞれロック位置でロックする複数のロック機構と、該ロック機構によるロックをそれぞれ解除する複数のロック解除機構とを備えても良い。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、この発明によれば、ビードリングの巻径を容易に変更することができる。従って、各種の巻径を有するビードリングを形成するために、外形寸法が異なる複数種の回転体を用意し、所望の巻径に合わせて回転体を交換する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の巻取り装置を示す部分正面図。
図2】第1実施形態の巻取り装置の拡大縦断面図。
図3】第1実施形態の巻取り装置の拡大平面図。
図4】第1実施形態の巻取り装置において、図2に示される巻取り部を拡大して示す部分断面図。
図5】第1実施形態の巻取り装置のリンク機構を拡大して示す部分正面図。
図6図2の巻取り装置の動作状態を示す部分断面図。
図7】第2実施形態の巻取り装置を示す部分正面図。
図8】第2実施形態の巻取り装置の部分拡大縦断面図。
図9図8の巻取り装置において巻径を変更した状態を示す部分断面図。
図10図8の巻取り装置の動作状態を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した巻取り装置の第1実施形態を図1図6に従って説明する。
【0018】
図1図3に示すように、装置フレーム21には回転軸22が回転可能に支持され、図示しないモータにより回転されるようになっている。回転軸22の先端には円板状の基板23が固定されている。基板23の外周に対応する環状領域(図示略)には、基板の周方向に沿ってその環状領域を複数(本実施形態では四個)に分割した形状に対応する複数の分割片25が配置されている。各分割片25は、回転軸22を中心とした基板23の径方向に沿って移動し得るように、基板23に支持されている。そして、回転軸22により基板23が一方向に回転されることによって、これらの分割片25の外周に沿ってワイヤWが巻付けられて、ビードリングBが形成される。
【0019】
前記基板23の前面には、基板23の径方向に沿って延びる操作軸26が、操作軸26の軸線を中心に回転可能に支持されている。操作軸26の第一端にはウォームホイール27が固定されている。操作軸26の第一端の近傍において基板23の前面には、回転軸22の軸線に沿って延びるハンドル軸28が、ハンドル軸28の軸線を中心に回転可能に支持されている。ハンドル軸28にはウォームホイール27に噛合するウォーム29が形成されている。ハンドル軸28の先端には、ハンドル30を着脱可能に取り付けるための取付部28aが形成されている。
【0020】
操作軸26の回転を各分割片25の径方向に沿った移動に変換するための変換機構31が、前記操作軸26と各分割片25との間に設けられている。前記ハンドル軸28の取付部28aに取り付けられたハンドル30の操作によりハンドル軸28が回転されたとき、ウォーム29及びウォームホイール27を介して操作軸26が回転される。変換機構31は、操作軸26の回転に応じて、各分割片25を基板23の径方向に沿って移動させるようになっている。
【0021】
次に、前記変換機構31の構成について詳細に説明する。図1図3に示すように、基板23の前面には、回転軸22を固定するためのボス部23aが形成されている。基板23のボス部23aの外周には、傘歯車よりなる第1歯車34がラジアルベアリング35及びスラストベアリング36を介して回転軸22に対して相対的に回転可能に支持されている。第1歯車34に噛合するように操作軸26の第2端には、傘歯車よりなる第2歯車37が固定されている。各分割片25と対応する位置において基板23の前面には、基板23の径方向に沿って延びる複数(実施形態では四本)のネジ軸38が、該ネジ軸38の軸線を中心に回転可能に支持されている。各ネジ軸38の内側の端部には、第1歯車34と噛合する傘歯車よりなる第3歯車39が固定されている。
【0022】
前記各ネジ軸38と対応する位置において基板23の前面には、基板23の径方向に沿って延びる一対のレール状のガイド部40が敷設されている。各ガイド部40には前記分割片25を支持する複数の移動部材41が移動可能に支持されている。各移動部材41の裏面にはネジ軸38に螺合する雌ネジ部42が後方へ突出するように形成されている。そして、前記ハンドル30の操作により操作軸26が回転されたとき、第2歯車37、第1歯車34及び第3歯車39を介してネジ軸38が回転される。各ネジ軸38の回転により雌ネジ部42を介して各移動部材41が各分割片25とともに基板23の径方向に沿って移動される。これにより、ビードリングBの巻径が変更される。
【0023】
前記各移動部材41は、基板23上のガイド部40によってガイドされる平板状の本体43と、本体43の前面に形成された一対のレール状のガイド部44を介して基板23の径方向に沿って移動可能に本体43に支持された平板状の支持部材45とにより構成されている。各支持部材45の前面には、複数の溝状の支持部46が基板23の径方向に所定間隔おきに配列されて、形成されている。隣り合う支持部46の間において支持部材45の前面には、支持部材45の両側部の近傍に、一対のネジ孔47が形成されている。後述するように、支持部材45上の支持部46のうち所望の巻径を実現するように選択された一つに分割片25が係合されて、分割片25が支持部材45上に支持される。
【0024】
次に、前記分割片25の構成について詳細に説明する。図1図3及び図4に示すように、各分割片25は、前記支持部材45に支持される取付部50と、取付部50上に複数のネジ51により着脱可能に取り付けられた巻取り部52とにより構成されている。取付部50の内側縁には、支持部材45上の支持部46の一つに選択的に係合する凸状の係合部53が形成されている。そして、取付部50の係合部53が支持部材45上のいずれかの支持部46に選択的に係合された状態で、取付部50上から支持部材45のネジ孔47に一対のネジ54が螺合されている。ネジ54を外し、係合部53を別の支持部46に係合させることにより、分割片25の支持部材45上における位置を基板23の径方向に沿って調節することができる。
【0025】
図1及び図2に示すように、前記分割片25の巻取り部52は、正面視において円弧状に延びる本体部55と、本体部55の径方向外側に取り付けられ、かつ正面視において円弧状をなす調節部56とより構成されている。本体部55は、頭部が前方に向かって配向されたほぼT字状の断面を有する。調節部56は、該調節部56を貫通し、かつ前後方向に沿って延びる複数のスリット56aを備えている。調節部56は、スリット56aを介して本体部55の複数のネジ孔にそれぞれ螺合された複数のネジ57により本体部55に取り付けられる。これにより、本体部55に対する調節部56の位置が回転軸22の軸線方向、即ち、スリット56aの延在方向に沿って調節可能である。そして、図4に示すように、巻取り部52の本体部55と調節部56との間にはワイヤWを巻取るための溝58が形成され、溝58の溝幅L1が本体部55に対する調節部56の位置の調節により変更されて、ビードリングBの巻幅が変更されるようになっている。
【0026】
図1図2及び図5に示すように、前記各移動部材41の本体43上には、支持部材45を支持するためのリンク機構61が設けられている。リンク機構61は、本体43の内側端部に第1支持ピン62を介して回動可能に支持された第1リンク63と、支持部材45の内側端部に第2支持ピン64を介して回動可能に支持された第2リンク65と、第1リンク63及び第2リンク65を回動可能に連結する連結ピン66とより構成されている。
【0027】
図1図2及び図6に示すように、前記各移動部材41の本体43には、リンク機構61をロック位置P1でロックするためのロック機構67が設けられている。基板23には、ネジ軸38の両側に沿って延びる複数の長孔68が、基板23を貫通するように形成されている。各ロック機構67は、各ネジ軸38の両側における一対の長孔68を通って回転軸22の軸線方向に沿って延び、かつ本体43に固定された前端を有する一対の支持筒69と、支持筒69内にそれぞれ移動可能に挿通された一対のロッド70とを備えている。各ロック機構67は、一対のロッド70の前端をリンク機構61の連結ピン66の両端部にそれぞれ作動可能に連結する一対のロックレバー71と、支持筒69の後端およびロッド70の後端の間にそれぞれ配置された一対のバネ72とをさらに備えている。移動部材41の本体43上には、リンク機構61の第2リンク65の後方への移動を規制するストッパ73が前方へ突出するように形成されている。
【0028】
通常時には、図1及び図2に示すように、バネ72は、ロッド70及びロックレバー71を介して、リンク機構61の連結ピン66を基板23に向けて付勢している。これにより、リンク機構61の第1リンク63及び第2リンク65は、それぞれ第1支持ピン62及び第2支持ピン64を中心にして基板23に向けて回動されるように付勢されている。ストッパ73は、第2リンク65に係合することによって、連結ピン66の軸心が、第1支持ピン62及び第2支持ピン64の軸心を結ぶ直線上に配置されるデッドポイントより僅かに後方に配置される位置において、第2リンク65の後方への移動を規制するように構成されている。以下、この位置をロック位置P1という。ロック位置P1の状態で、リンク機構61の第1リンク63及び第2リンク65が回動不能にロックされる。従って、連結ピン66の軸心がロック位置P1よりも後方へ移動することが防止され、よって、分割片25を支持する移動部材41の支持部材45が径方向内方へ移動することが防止されている。
【0029】
図2及び図6に示すように、前記装置フレーム21には、各ロック機構67によるリンク機構61のロックを解除するためのロック解除機構74が設けられている。各ロック解除機構74は内部にピストンロッドを有するシリンダ75により構成されている。シリンダ75のピストンロッドの前端には、ロック機構67のロッド70の後端に係合可能な押圧部76が形成されている。
【0030】
分割片25の外周の溝58へのワイヤWの巻取りが終了した後、即ちビードリングBの形成が終了した後、基板23が所定位置に停止される。このとき、ロック機構67のロッド70の後端がロック解除機構74の押圧部76に対応するように配置される。この状態で、シリンダ75がピストンロッドを突出するように動作されることによって、図6に示すように、押圧部76により、ロッド70が前方へ向けて押圧される。これにより、ロッド70は、ロックレバー71を介して、リンク機構61の連結ピン66を基板23から離間する方向に移動させて、ロック位置P1から離脱させる。これにより、リンク機構61の第1リンク63及び第2リンク65がロック状態から解除され、分割片25を支持する移動部材41の支持部材45が径方向内方へ向けて移動されて、ビードリングBが溝58内から離脱する。
【0031】
次に、前記のように構成された巻取り装置の作用を説明する。
【0032】
図1及び図2に示す状態では、ロック機構67によりリンク機構61の第1リンク63及び第2リンク65がロック位置P1でロックされて、分割片25を支持する移動部材41の支持部材45が径方向内方へ向かって移動しないように保持されている。この状態で、回転軸22により基板23が一方向に回転されると、分割片25の外周の溝58内に、ワイヤWが、列方向に配列した状態で、段方向に積層されるように巻付けられて、ビードリングBが形成される。
【0033】
ビードリングBの形成終了後に、基板23が所定位置に停止されると、ロック機構67のロッド70の後端がロック解除機構74の押圧部76に対応するように配置される。この状態で、ロック解除機構74のシリンダ75のピストンロッドが突出するように動作されると、図6に示すように、リンク機構61の第1リンク63及び第2リンク65がロック位置P1でのロック状態から解除される。これにより、分割片25を支持する移動部材41の支持部材45が径方向内方へ向けて移動されて、ビードリングBが溝58内から離脱する。よって、ビードリングBが分割片25上から容易に取り外される。
【0034】
前記分割片25上に形成されるビードリングBの巻径を調節する必要がある場合には、ハンドル30をハンドル軸28の取付部28aに取り付けて、そのハンドル30の操作によりハンドル軸28を回転させる。それに伴い、ウォーム29及びウォームホイール27を介して操作軸26が回転され、操作軸26の回転により変換機構31を介して、分割片25を支持する各移動部材41が基板23の径方向に沿って移動される。これにより、各分割片25が径方向に沿って移動され、その外周の溝58に沿って形成されるビードリングBの巻径を変更することができる。従って、たとえ巻径が僅かに調節されることが望まれる場合であっても、ハンドル30の操作量に応じて、ビードリングBの巻径を所要量だけ正確に調節できる。
【0035】
前記分割片25に沿って形成されるビードリングBの巻径を大幅に変更する必要がある場合には、ハンドル30による調節によらず、図2に鎖線で示すように、支持部材45に対する分割片25の位置を変更する。分割片25の支持部材45に対する位置は、分割片25を支持部材45上の別の支持部46に係合させることによって、変更される。これにより、基板23の周方向に沿って配置される分割片25の位置が基板23の径方向に沿って変更されて、ビードリングBの巻径が段階的に変更される。
【0036】
前記分割片25上に形成されるビードリングBの巻幅を変更する必要がある場合には、図4に示すように、分割片25の巻取り部52における調節部56の位置が調節される。複数のネジ57を弛めた状態で、調節部56が本体部55に対して回転軸22の軸線方向に沿って後方または前方へ移動される。これにより、本体部55と調節部56との間に形成された溝58の溝幅L1が拡大または縮小されて、ビードリングBの巻幅を変更することができる。
【0037】
また、例えば、前記分割片25上に形成されるビードリングBの断面形状を変更する必要がある場合には、分割片25の取付部50から巻取り部52を取り外して、所望のビードリングBを形成するように構成された巻取り部52に交換する。これにより、ビードリングBの断面形状を、例えば後述する第2実施形態のように六角形等の形状に変更することができる。
【0038】
従って、第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0039】
(1) 第1実施形態による巻取り装置においては、回転軸22により回転される基板23の周方向に沿って、複数の分割片25が配置されており、各分割片25は、回転軸22を中心とする基板23の径方向に沿って移動できるように、基板23に支持されている。各分割片25は、基板23の周方向に沿って延びる環状体が複数個に分割された形状を有する。それらの分割片25の外周に沿ってワイヤWが巻取られて、ビードリングBが形成される。ハンドル30によって回転される操作軸26と各分割片25との間に変換機構31が設けられ、変換機構31は、操作軸26の回転を各分割片25の径方向に沿った移動に変換するように構成されている。
【0040】
このため、ハンドル30により操作軸26が回転されると、その操作量に応じて、変換機構31は、各分割片25が基板23の周方向に沿って配置された状態で、分割片25を径方向に沿って移動させ、ビードリングBの巻径を変更する。よって、ハンドル30を回転させるという簡単な操作により、ビードリングBの巻径を、その変更量が僅かである場合、あるいは大きい場合にも、容易に変更することができる。
【0041】
(2) 第1実施形態による巻取り装置においては、前記変換機構31が、回転軸22に相対的に回転可能に支持された第1歯車34と、第1歯車34に噛合するように操作軸26に固定された第2歯車37と、基板23に支持されたネジ軸38と、第1歯車34に噛合するようにネジ軸38に固定された第3歯車39と、基板23の径方向に沿って延びるガイド部40にガイドされ、かつネジ軸38に螺合する雌ネジ部42を有する移動部材41とにより構成されている。移動部材41には、前記分割片25が支持されている。このため、ビードリングBの巻径を変更するために、ハンドル30の回転により、歯車34,37,39等からなる変換機構31は、各分割片25が周方向に沿って配置された状態で、各分割片25を径方向に沿って移動させることができる。
【0042】
(3) 第1実施形態による巻取り装置においては、前記移動部材41が、ガイド部40によってガイドされる本体43と、本体43に基板23の径方向に沿って移動可能に支持され、かつ前記分割片25を支持する支持部材45とにより構成されている。このため、分割片25上へのビードリングBの形成終了後に、支持部材45を本体43に対して相対的に基板23の径方向に沿って移動させることにより、分割片25をビードリングBの内周面から離間させることができて、ビードリングBを容易に取り外すことができる。
【0043】
(4) 第1実施形態による巻取り装置においては、前記分割片25が、支持部材45に支持される取付部50と、取付部50に着脱可能に取り付けられた巻取り部52とにより構成されている。また、巻取り部52にビードリングBを形成するための溝58が形成されている。このため、溝58の断面形状が異なった複数種の巻取り部52を用意しておけば、巻取り部52を取付部50から取り外して、交換することにより、形成されるビードリングBの断面形状を変更することができる。
【0044】
(5) 第1実施形態による巻取り装置においては、前記溝58の溝幅L1が変更可能に構成されている。このため、溝58の溝幅L1を調整することにより、形成されるビードリングBの巻幅を変更することができる。
【0045】
(6) 第1実施形態による巻取り装置においては、前記支持部材45には、ネジ軸38に直交するように延びる複数の支持部46が基板23の径方向に配列され、前記分割片25がいずれかの支持部46に支持される。このため、支持部材45上の支持部46のうち所望の巻径を実現するように選択された一つに支持されるように分割片25の位置を変更することにより、分割片25の径方向の位置を変更することができて、ビードリングBの巻径を大幅に変更することができる。
【0046】
(7) 第1実施形態による巻取り装置においては、前記支持部材45を支持するリンク機構61と、リンク機構61をロック位置P1でロックするロック機構67とが設けられている。装置フレーム21には、ロック機構67によるロックを解除するロック解除機構74が設けられている。このため、通常時には、ロック機構67によりリンク機構61がロック位置P1でロックされて、分割片25を支持する支持部材45が径方向内方に向かって移動しないように保持され、分割片25に沿ってワイヤWを安定して巻取ることができる。これに対して、ビードリングBの形成終了時には、ロック解除機構74によりリンク機構61のロックが解除されて、支持部材45が径方向内方へ向かって移動され、各分割片25がビードリングBの内周面から離間されて、ビードリングBが容易に取り外されることができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した巻取り装置の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0048】
第2実施形態においては、図7図10に示すように、各分割片25の取付部50において、ネジ軸38の軸線の方向に沿って延びる二つの長孔81が形成されている。各長孔81を介して移動部材41の支持部材45にネジ54が螺合される。これにより、分割片25の取付部50が、基板23の径方向に沿って支持部材45に対して相対的に位置を調節できるように、支持部材45に支持される。支持部材45の前面の内側縁には前方へ突出する段差部82が形成され、段差部82と分割片25の取付部50との間には分割片25の径方向の位置を設定するためのスペーサ83が介在されている。
【0049】
厚さ(基板23の径方向に沿った寸法)の異なる複数種のスペーサ83が用意されている。図8及び図9に示すように、選択された一つのスペーサ83が支持部材45の段差部82と分割片25の取付部50との間に介在されることによって、分割片25の径方向の位置が変更される。これにより、分割片25の外周の溝58内で形成されるビードリングBの巻径が大幅に変更される。
【0050】
また、第2実施形態においても、前記第1実施形態の場合と同様に、変換機構31を介して、ビードリングBの巻径を調節することができる。ハンドル30の操作による操作軸26の回転に伴い、複数の歯車34,37,39を備える変換機構31が、各分割片25を基板23の径方向に沿って移動させる。これにより、その調節量が僅かである場合にも、ビードリングBの巻径が容易に調節される。さらに、第2実施形態においても、前記第1実施形態の場合と同様に、リンク機構61、ロック機構67及びロック解除機構74が設けられている。リンク機構61及びロック機構67により、分割片25を支持する支持部材45が、図8に示すように、径方向内方へ向かって移動しないようにロックされて、分割片25上においてビードリングBを安定して形成することができる。また、ロック解除機構74によって、ロックが解除されて、図10に示すように、分割片25が径方向内方へ向かって移動されて、分割片25からビードリングBが容易に取り外される。
【0051】
従って、第2実施形態によれば、前記第1実施形態における(1)〜(5)及び(7)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
【0052】
(8) 第2実施形態においては、前記分割片25が基板23の径方向に沿い、支持部材45に対して相対的に位置を調節できるように、支持部材45に支持されている。また、分割片25と支持部材45との間には分割片25の径方向の位置を調節するためのスペーサ83が介在されている。このため、厚さの異なる複数種のスペーサ83から、適切なスペーサ83を選択して、分割片25と支持部材45との間に介在させることにより、分割片25の径方向の位置を変更することができる。これにより、ビードリングBの巻径を適切に変更することができる。
【0053】
(変更例)
なお、各実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0054】
・ 前記第1,第2実施形態において、各分割片25は、基板23の外周近傍において基板と同心状に配置可能な環状体を4分割した形状を有するが、2分割,3分割あるいは5分割以上に分割した形状を有していても良い。
【0055】
・ 前記巻径を段階的に変更するために分割片25に係合可能な複数の支持部46を備える構成は省略されても良い。
【0056】
・ 前記第1,第2実施形態において、各分割片25の位置を基板23の径方向に沿って大幅に変更する場合、例えば、分割片25の支持位置を、第2支持ピン64に隣接する支持部46から支持部材45の外端近傍に位置する支持部46に変更する場合、曲率半径が異なる巻取り部52を有する分割片25に交換する必要があり得る。このような要求に対応するために、曲率半径が異なる巻取り部52を有する複数種の分割片25を用意して、適宜交換するようにしても良い。一方、分割片25の位置の変更量が著しく大きくない場合、例えば、分割片25に係合する支持部46を支持部材45上において一つ隣の支持部46に変更する場合には、分割片25の交換は必要ない。
【符号の説明】
【0057】
21…装置フレーム、22…回転軸、23…基板、25…分割片、26…操作軸、28…ハンドル軸、30…ハンドル、31…変換機構、34…第1歯車、37…第2歯車、38…ネジ軸、39…第3歯車、40…ガイド部、41…移動部材、42…雌ネジ部、43…本体、45…支持部材、46…支持部、50…取付部、52…巻取り部、53…係合部、55…本体部、56…調節部、58…溝、61…リンク機構、63…第1リンク、65…第2リンク、66…連結ピン、67…ロック機構、70…ロッド、71…ロックレバー、72…バネ、73…ストッパ、74…ロック解除機構、75…シリンダ、83…スペーサ、W…ワイヤ、B…ビードリング、L1…溝幅、P1…ロック位置。
図2
図3
図4
図5
図6
図8
図9
図10
図1
図7