【実施例】
【0019】
実施例1
操作したPCSK9抗体
マウス宿主を、ヒトPCSK9(配列番号17)のC末端切断断片を含むペプチドで免疫化し、PCSK9結合IgG抗体を単離し、標準的な方法を使用してクローニングする。単離したマウスFabのCDRを突然変異生成によりランダム化し、得られた抗体をヒトPCSK9に対する親和性についてスクリーニングする。親和性が増強した変異を合わせ、最適化したCDRをヒトVH3−21およびA3重鎖および軽鎖フレームワーク上でそれぞれ操作する。ヒト化抗体の生物物理学的特性をさらに最適化するために、CDR配列内の芳香族および疎水性アミノ酸の標的とする置換を生成する。ランダム化したCDRライブラリーもまた、さらなる親和性が増強した変異についてスクリーニングする。有益なCDR変異をランダムに合わせ、発現させ、得られた抗体をヒトPCSK9に対する親和性についてスクリーニングする。以下のアミノ酸配列を有する完全長のヒト化および最適化PCSK9抗体が得られる。
【0020】
【表1】
【0021】
配列番号9および配列番号10のそれぞれの重鎖および軽鎖アミノ酸配列をコードする対応するcDNA配列は以下の通りである:
【0022】
【表2】
【0023】
実施例2
操作したPCSK9抗体の発現
実施例1の操作したPCSK9抗体は、安定にトランスフェクトしたCHO細胞株中で発現できる。配列番号11(配列番号9の重鎖アミノ酸配列をコードする)および配列番号12(配列番号10の軽鎖アミノ酸配列をコードする)のcDNAを含有するグルタミン合成酵素(GS)発現ベクターを使用して、エレクトロポレーションによりチャイニーズハムスター細胞株、CHOK1SV(Lonza Biologics PLC、Slough、United Kingdom)をトランスフェクトする。発現ベクターは、SV早期(シミアンウイルス40E)プロモーターおよびGSについての遺伝子をコードする。GSの発現は、CHOK1SV細胞により必要とされるアミノ酸、グルタミンの生化学的合成を可能とする。トランスフェクション後、50μMのL−メチオニンスルホキシミン(MSX)を用いて細胞をバルク選択に供する。MSXによるGSの阻害を利用して、選択のストリンジェンシーを増加させる。宿主細胞ゲノムの転写活性領域内に発現ベクターcDNAを組み込んだ細胞は、GSの内因性レベルを発現する、CHOK1SV野生型細胞に対して選択できる。バルク培養物を、蛍光活性化細胞分類(FACS)技術を使用して単一細胞クローニングに供し、クローン細胞株を増殖させ、実施例1の操作したPCSK9抗体の発現についてスクリーニングする。
【0024】
実施例3
エピトープ結合
マウスIgGのPCSK9結合エピトープ(それから実施例1の操作したPCSK9抗体が誘導される)を、エピトープ抽出および水素/重水素交換質量分析により測定し、ヒトPCSK9の触媒ドメインの線形アミノ酸配列160−181内の領域に狭める(アミノ酸番号付けは、28のアミノ酸シグナルペプチドを含む、完全長ヒトPCSK9配列に基づいた)。ヒトPCSK9の触媒ドメイン内にこのエピトープを有する実施例1の操作した抗体の相互作用を、残基160−181に対応する合成ペプチドに対するその結合の評価により確認する(表1)。実施例1の操作した抗体はインタクトなヒトPCSK9より高い親和性を有するペプチド160−181に結合し、その相違は、より速い会合速度(k
on)により引き起こされる。解離速度(k
off)はインタクトなPCSK9の2倍以内であり、(結合が生じた後の)相互作用の強度は類似していることを示唆している。さらに、データは、ほぼ全ての結合決定基がPCSK9のこの線形領域内に含まれることを示唆している。ペプチド166−181に対する実施例1の操作した抗体の結合はペプチド160−181より顕著に弱く、160−165領域内のアミノ酸(または複数のアミノ酸)の役割を実証する。ペプチド163−174に対する実施例1の操作した抗体の結合は166−181より顕著に強く、同様に残基163−165からの寄与を示唆している。
【0025】
【表3】
【0026】
実施例4
結合キネティクスおよび結合親和性
当該技術分野において周知の表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイは、ヒト、カニクイザル、マウス、ラット、およびウサギPCSK9に対する試験PCSK9抗体の結合キネティクスおよび親和性を評価するために使用される。生理学的緩衝条件(イオン強度およびpH)および温度(37℃)下で、実施例1の操作した抗体は、1.2×10
5M
−1s
−1の平均会合速度(k
on)および1.2×10
−3s
−1の平均解離速度(k
off)でヒトPCSK9に結合する。実施例1の操作した抗体に対するヒトPCSK9結合についての平均K
Dは約11nMであると決定した。実施例1の操作した抗体は1.1×10
5M
−1s
−1の平均会合速度(k
on)および2.5×10
−3s
−1の平均解離速度(k
off)でカニクイザルPCSK9に結合し、カニクイザルPCSK9結合について約25nMのK
Dを得た。以下の表2は、マウス、ラットおよびウサギPCSK9を使用して実施例1の操作したPCSK9抗体で得たさらなる結果の要約を示す。これらのデータは、実施例1の操作したPCSK9抗体が、生理学的条件のpH、イオン強度、および温度下でヒトおよびカニクイザルPCSK9の両方に対してナノモル親和性で結合することを示す。
【0027】
【表4】
【0028】
実施例5
LDL受容体に対するPCSK9結合の阻害
PCSK9は肝臓のLDLR含有量を減少させることにより血漿LDL−Cを調節し、それにより肝細胞によるLDL取り込みを減少させる。PCSK9の触媒ドメインはLDLRに結合する部位である。したがって、PCSK9の触媒ドメインを認識する抗体は、LDLRに対するPCSK9の結合を阻害すると予想される。
【0029】
AlphaLISA(登録商標)フォーマットを使用して、LDL受容体へのPCSK9結合に対する試験PCSK9抗体の効果を決定する。アッセイに使用した組換え完全長PCSK9は、ヒト胚腎臓(HEK)293安定細胞株(Qianら、J.Lipid Res.48:1488−1498、2007)においてC末端HISタグ化タンパク質として発現される。組換えLDL受容体細胞外ドメインは、一過性にトランスフェクトしたHEK293E細胞(Qianら、J.Lipid Res.48:1488−1498、2007)においてC末端FLAGタグ化タンパク質として発現される。ヒトPCSK9のC末端ドメインに結合するマウス抗PCSK9 Mabは、HEK293細胞において発現され、プロテイン−Gアフィニティカラム、続いてSuperdex200上で精製される。モノクローナルANTI−FLAG(登録商標)BioM2抗体(Sigma)は、ヒドラジド結合によりビオチンに共有結合する精製したマウスIgG1モノクローナル抗体である。ANTI−FLAG BioM2は、FLAG融合タンパク質のN末端、Met−N末端またはC末端におけるFLAG配列を認識する。ANTI−FLAG BioM2はアビジンまたはストレプトアビジンコンジュゲートにより検出できる。モノクローナルANTI−FLAG BioM2−ビオチンは、50%グリセロール、10mMリン酸ナトリウム、pH7.25、0.02%のアジ化ナトリウムを含有する150mMのNaCl中に供給され、−20℃で保存される。
【0030】
AlphaLISA(登録商標)実験は、25mMのHEPES;pH7.5、100mMのNaCl、2.5mMのCaCl2、0.5%のTX−100、0.1%のカゼイン、1mg/mlのデキストラン−500、および0.05%のプロクリン−300を緩衝液として使用して384ウェル白色プロキシプレート(Perkin Elmer)中で実施する。そのアッセイは、AlphaLISA(登録商標)ストレプトアビジンドナービーズ(Perkin Elmer)およびAlphaLISA(登録商標)アクセプタービーズにコンジュゲートしたマウス抗PCSK9Mabを使用する。ビーズが結合パートナーの相互作用を介して近接した場合、PCSK9およびLDLR、一重項酸素をドナービーズからアクセプタービーズに移す。680nmでのレーザ励起により、一重項酸素はアクセプタービーズを励起して発光する。アクセプタービーズは、NaBH
3CN(Sigma)を使用して還元的アミノ化によりマウス抗PCSK9Mabに結合し、4℃で保存する。マウス抗PCSK9Mabがコンジュゲートしたアクセプタービーズ(22μg/ml)を1時間、2.22nMのPCSK9で予め負荷する。ドナービーズ(44μg/ml)を1時間、5.55nMのANTI−FLAG(登録商標)BioM2および2.22nMのFLAGタグ化LDLRで予め負荷する。予め負荷した後、2μlの試験PCSK9抗体または対照IgGを、完全に自動化したMultimek(Beckman)を使用して9μlの各ビーズ混合物(最終濃度のPCSK9およびLDLR=1nM)を含有するプロキシプレートに加え、室温で一晩結合する。AlphaLISA(登録商標)信号(1秒当たりのカウント)をEnvision Turbo(Perkin Elmer)で測定する。AlphaLISA(登録商標)アッセイを用いて全ての実験を微光条件下で実施する。
【0031】
実質的に上記の手順の後、AlphaLISA(登録商標)アッセイにおけるLDLRに対するヒトPCSK9の結合はPCSK9濃度に応じて増加する。実施例1の操作したPCSK9抗体(試験PCSK9抗体)の添加により、約90pMの平均IC50で、LDLRに対するPCSK9結合の濃度に関連した完全な阻害が生じた。対照IgG4はそのアッセイにおいて効果を有さなかった。このアッセイの結果により、実施例1の操作したPCSK9抗体はLDLRに対するヒトPCSK9の結合を阻害することが実証される。
【0032】
実施例6
HepG2細胞上でのPCSK9機能の阻害
肝細胞上のLDLRの密度に対する試験PCSK9抗体の効果を決定するために、ヒトHepG2細胞を、ポリ−D−リシンをコーティングしたT75フラスコ中で培養する。24時間後、ポリ−D−リシンをコーティングした96ウェルブラックプレート(Becton−Dickinson)中の5%(v/v)ヒトリポタンパク質が枯渇した血清(LPDS;Intracel)を含有する100μlのDMEM/F−12(3:1)培地中で5,000細胞/ウェルにて細胞を播種する。LPDSを含有する培地中で一晩インキュベーションした後、2.6〜1333nMの範囲の濃度にて2時間、69nM(5μg/mL)のC末端HISタグ化組換えヒトPCSK9および試験PCSK9抗体またはIgG4対照抗体と共に細胞をインキュベートする。全てのインキュベーションは37℃で実施する。Zenon(登録商標)Alexa Fluor(登録商標)488マウスIgG2b標識キット(Invitrogen)で蛍光標識したLDLR抗体(Progen)を用いてLDLRレベルをモニターする。室温にて90分間、細胞を検出抗体とインキュベートし、次いでホルマリンを含まない固定剤(Prefer;ANATECH、Ltd)を使用して10分間固定し、その後、0.01%TritonX−100中で透過処理する。10μg/mlのヨウ化プロピジウム(Invitrogen)で細胞を染色して全細胞数を決定する。Acumen Explorer(商標)レーザ走査蛍光マイクロプレート血球計算器蛍光検出器(TTP LabTech)を使用してLDLR信号を定量する。
【0033】
実質的に上記の手順の後、ヒトPCSK9により、18nMのEC50で、HepG2細胞上のLDLRの濃度依存性の減少が生じる。実施例1の操作したPCSK9抗体(試験PCSK9抗体)は、104nMのIC50で、HepG2細胞上のLDLRのPCSK9により誘導される抑制を阻害した。ヒトIgG4対照は1333nMまでの濃度で比較的不活性であった。これらのデータにより、実施例1の操作したPCSK9抗体が、PCSK9により媒介されるLDLR分解を阻害することが実証される。
【0034】
実施例7
LDL取り込みのPCSK9誘導性減少の阻害
LDL取り込みに対する試験PCSK9抗体の効果を決定するために、ポリ−D−リシンをコーティングした96ウェルブラックプレート上で5%のヒトLPDSを補足した100μlのDMEM/F−12(3:1)培地中で5,000細胞/ウェルにてHepG2細胞を播種し、5%CO
2雰囲気下で37℃にて18時間インキュベートする。ヒトPCSK9(69nM)を、2.6nM〜1333nMの範囲の濃度にてPCSK9試験抗体またはヒトIgG4対照と共にまたは有さずに細胞に加え、37℃にて2時間、細胞とプレインキュベートする。100ng/ウェルの蛍光標識したLDL(BODIPY−LDL、Invitorogen)を添加した後、次いで細胞を37℃にて4時間インキュベートする。室温にて20分間、ホルマリンを含まない固定剤(Prefer;ANATECH、Ltd)中で細胞を固定する。細胞をPBSで2回洗浄した後、室温にて15分間、0.01%TritonX−100を含有するPBS緩衝液を用いて細胞を透過処理し、10μg/mlのヨウ化プロピジウムで染色して全細胞数を決定する。Acumen Explorer(商標)レーザ走査蛍光マイクロプレート血球計算器を使用してLDL取り込みを決定し、全細胞に対する蛍光細胞のパーセントとして表す。試験PCSK9抗体または対照IgGに対する反応は、PCSK9の阻害パーセント、すなわち、PCSK9単独の存在下でのベースラインLDL−C取り込みに対してPCSK9の非存在下での最大LDL取り込みに戻るパーセントとして表す。LDL取り込みのPCSK9誘導性減少の阻害についての対応するIC50値もまた、計算する。
【0035】
実質的に上記の手順の後、ヒトPCSK9により、32nMのEC50で、HepG2細胞中のLDL取り込みの濃度に関連した減少が生じた。実施例1の操作したPCSK9抗体は、PCSK9誘導性阻害を反転させ、増加したLDL取り込みとして示されるのに対して、対照IgGは阻害を反転しなかった。具体的には、実施例1の操作したPCSK9抗体により、84%のPCSK9の平均最大阻害パーセントおよび194nMの平均IC50が実証された。これらのデータにより、実施例1の操作したPCSK9抗体が、LDL取り込みのPCSK9誘導性減少を阻害することが実証される。
【0036】
実施例8
インビボ有効性
試験PCSK9抗体のインビボ薬物動態(PK)および/または薬力学(PD)効果を決定するために、試験抗体を正常なカニクイザルに投与でき、続いて種々のPKおよび/またはPDパラメータを決定できる。例えば、試験PCSK9抗体を健康な未処置のカニクイザルに静脈内または皮下に投与でき、次いでヒトIgGサンドイッチELISAの使用により試験抗体の血清濃度を測定できる。抗体投与後に種々の時点にわたって得られた血清濃度を使用して、T1/2、Cmax、AUCおよび血漿クリアランス(CL)を含む、試験抗体の種々のPKパラメータを決定できる。同様に、試験PCSK9抗体を健康な未処置のカニクイザルに静脈内または皮下に投与でき、自動分析装置(Direct LDL−C Plus、2
ndGen.、Roche Diagnostics)によりLDL−Cの血清濃度を測定できる。
【0037】
実質的に上記の手順の後、1、5または15mg/kgの単回用量の静脈内投与後、および5mg/kgの単回皮下用量後の健康なカニクイザルにおける実施例1の操作したPCSK9抗体の薬物動態を評価した。これらの研究から決定した薬物動態パラメータを以下の表3に与える。
【0038】
【表5】
【表6】
【0039】
2回の独立した研究において実施例1の操作したPCSK9抗体の投与後に血清LDLを測定した。両方の研究において、LDL−C抑制の証拠は、実施例1の操作したPCSK9抗体の24時間の投与後に明白であった。5mg/kgでの実施例1の抗体の静脈内(i.v.)投与後、60%(研究1)および25%(研究2)の最大平均LDL−C減少を観測した。5mg/kgi.v.にて、約8週間(研究1)および2週間(研究2)、平均LDL−C抑制を維持した。研究2において、LDL−C抑制の大きさ(25〜35%)に対する用量(1〜15mg/kg)の適度の効果が存在した。LDL−C抑制の期間に対する用量の効果は、より明白であった。皮下投与(5mg/kg)した場合、実施例1の操作した抗体は、静脈内投与後に観測されたものと同様の大きさまでLDL−Cレベルを抑制するのに効果的であった。実施例1の操作した抗体の任意の用量の投与後の血清高密度リポタンパク質コレステロールに対する効果は存在しなかった。
【0040】
実施例9
操作したPCSK9抗体の物理化学的性質
実施例1の操作したPCSK9抗体はまた、良好な溶解度、化学的安定性、および物理的安定性を有することを見出した。
A.溶解度
十分に高い溶解度は簡便に投与できることが望まれる。例えば、100kgの患者へ1.0mLの注射により投与される1mg/kg用量は100mg/mLの溶解度を必要とする。さらに、高濃度で高分子量(HMW)の凝集体を有さずに単量体状態で抗体を維持することもまた望まれる。試験抗体の溶解度を決定するために、抗体を、(1)10mMのクエン酸塩pH6;(2)10mMのクエン酸塩pH6、150mMのNaCl;および(3)リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4中に透析できる。次いで回収した透析物を、HMWパーセントを測定するために分析的サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分析できる。次いで試験抗体を、溶解限度に到達するかまたは濃縮器の空隙容量に到達するまで、約25℃にて4mLの遠心濃縮器中で濃縮できる。空隙容量に到達する場合、濃度は≧として表す。次いで濃縮した抗体をSECにより分析してHMWパーセントを測定できる。濃度が元に戻ってHMW%の増加があるかどうかを決定するために、濃縮した試料を1mg/mLに希釈し、SECにより分析できる。
【0041】
実質的に上記の手順の後、実施例1の操作したPCSK9抗体は、試験した全ての条件下で128mg/mLより大きい溶解度を示した。さらに、低レベルのHMWのみが高濃度で存在した。
【0042】
【表7】
【0043】
B.化学的安定性
化学的安定性は十分な保存期間を有する薬剤の開発を促進する。試験抗体の化学的安定性を評価するために、抗体は、pH4、pH5、pH6、またはpH7にて緩衝した10mMのクエン酸中の1mg/mLの濃度で製剤化できる。次いで製剤化した試料を、促進した分解研究において4℃、25℃、および40℃にて4週間インキュベートする。化学変化を反映する抗体の電荷プロファイルの変化は、標準的な手順に従ってキャピラリ等電点集束(cIEF)を使用して評価できる。実質的に上記の手順の後、実施例1の操作した抗体の化学安定性の分析により以下の結果が与えられた。
【0044】
【表8】
【0045】
この結果は、25℃で4週間の保存後、pH6(抗体製剤に使用される一般的なpH)で製剤化した場合、主要ピーク%は4.1パーセントポイントのみ減少し、実施例1の操作したPCSK9抗体が、適切な保存期間を有する溶液製剤の開発を促進するのに十分な化学安定性を示すことを実証する。さらに、抗体はまた、pH5、およびより少ない程度でpH7において良好な化学的安定性を示し、抗体が、様々な範囲のpH単位にわたって製剤化を可能とし得る安定な特徴を有することを示す。
【0046】
C.物理的安定性
試験抗体の物理的安定性を評価するために、pH4、pH5、pH6、またはpH7(または10mMのTris、pH8)にて緩衝した10mMのクエン酸塩中の1mg/mLのタンパク質濃度で抗体を製剤化できる。次いで試料を、促進した分解研究において4℃、25℃、および40℃にて4週間インキュベートする。インキュベーション後、凝集した高分子量(HMW)抗体から所望の単量体抗体を分離する、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して物理的安定性を評価する。
【0047】
表6は、実質的に上記の手順の後、実施例1の操作したPCSK9抗体の物理的安定性の分析の結果をまとめる。そのデータは、pH5、pH6、およびpH7において、25℃または40℃で4週間にわたるHMWの変化が1%未満であったことを示し、この抗体が良好な物理的安定性有し、自己会合および凝集に耐性があることを示す。
【0048】
【表9】
【0049】
配列
HCDR1(配列番号1):
GFPFSKLGMV
HCDR2(配列番号2):
TISSGGGYTYYPDSVKG
HCDR3(配列番号3):
EGISFQGGTYTYVMDY
LCDR1(配列番号4):
RSSKSLLHRNGITYSY
LCDR2(配列番号5):
QLSNLAS
LCDR3(配列番号6):
YQNLELPLT
HCVR(配列番号7):
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFPFSKLGMVWVRQAPGKGLEWVSTISSGGGYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAREGISFQGGTYTYVMDYWGQGTLVTVSS
LCVR(配列番号8):
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSKSLLHRNGITYSYWYLQKPGQSPQLLIYQLSNLASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCYQNLELPLTFGQGTKVEIK
HC(配列番号9):
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFPFSKLGMVWVRQAPGKGLEWVSTISSGGGYTYYPDSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCAREGISFQGGTYTYVMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
LC(配列番号10):
DIVMTQSPLSLPVTPGEPASISCRSSKSLLHRNGITYSYWYLQKPGQSPQLLIYQLSNLASGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCYQNLELPLTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
HC cDNA(配列番号11):
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTAAAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCCCGTTCAGTAAGCTCGGCATGGTTTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTCTCAACCATTAGTAGTGGTGGTGGTTACACATACTATCCAGACAGTGTGAAGGGGCGGTTCACCATCTCCAGAGACAATGCCAAGAACTCACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAGAGAAGGAATTAGCTTTCAGGGTGGCACCTACACTTATGTTATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCGCTAGCGCCCTGCTCCAGGAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACGAAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAGAGTTGAGTCCAAATATGGTCCCCCATGCCCACCCTGCCCAGCACCTGAGGCCGCCGGGGGACCATCAGTCTTCCTGTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACTCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACGTGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCAGGAAGACCCCGAGGTCCAGTTCAACTGGTACGTGGATGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTTCAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAACGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGGCCTCCCGTCCTCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAGCCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCAGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTACCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAAAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAGGCTAACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGGAGGGGAATGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACACAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCTGGGTTGA
LC cDNA(配列番号12)
GATATTGTGATGACTCAGTCTCCACTCTCCCTGCCCGTCACCCCTGGAGAGCCGGCCTCCATCTCCTGCAGGTCTAGTAAGAGTCTCTTACATCGTAATGGCATCACTTATTCGTATTGGTACCTGCAGAAGCCAGGGCAGTCTCCACAGCTCCTGATCTATCAGCTGTCCAACCTTGCCTCAGGAGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCAGGCACTGATTTCACACTGAAAATCAGCAGGGTGGAGGCTGAGGATGTTGGAGTTTATTACTGCTATCAAAATCTAGAACTTCCGCTCACGTTCGGCCAGGGCACCAAGGTGGAAATCAAACGGACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGCTAA
hPCSK9(配列番号13):
RAQEDEDGDYEELVLALRSEEDGLAEAPEHGTTATFHRCAKDPWRLPGTYVVVLKEETHLSQSERTARRLQAQAARRGYLTKILHVFHGLLPGFLVKMSGDLLELALKLPHVDYIEEDSSVFAQSIPWNLERITPPRYRADEYQPPDGGSLVEVYLLDTSIQSDHREIEGRVMVTDFENVPEEDGTRFHRQASKCDSHGTHLAGVVSGRDAGVAKGASMRSLRVLNCQGKGTVSGTLIGLEFIRKSQLVQPVGPLVVLLPLAGGYSRVLNAACQRLARAGVVLVTAAGNFRDDACLYSPASAPEVITVGATNAQDQPVTLGTLGTNFGRCVDLFAPGEDIIGASSDCSTCFVSQSGTSQAAAHVAGIAAMMLSAEPELTLAELRQRLIHFSAKDVINEAWFPEDQRVLTPNLVAALPPSTHGAGWQLFCRTVWSAHSGPTRMATAVARCAPDEELLSCSSFSRSGKRRGERMEAQGGKLVCRAHNAFGGEGVYAIARCCLLPQANCSVHTAPPAEASMGTRVHCHQQGHVLTGCSSHWEVEDLGTHKPPVLRPRGQPNQCVGHREASIHASCCHAPGLECKVKEHGIPAPQEQVTVACEEGWTLTGCSALPGTSHVLGAYAVDNTCVVRSRDVSTTGSTSEGAVTAVAICCRSRHLAQASQELQDVHHHHHH
hPCSK9 160−181(配列番号14):
RITPPRYRADEYQPPDGGSLVE
hPCSK9 166−181(配列番号15):
YRADEYQPPDGGSLVE
hPCSK9 163−174(配列番号16):
PPRYRADEYQPP
C末端切断hPCSK9(配列番号17):
QEDEDGDYEELVLALRSEEDGLAEAPEHGTTATFHRCAKDPWRLPGTYVVVLKEETHLSQSERTARRLQAQAARRGYLTKILHVFHGLLPGFLVKMSGDLLELALKLPHVDYIEEDSSVFAQSIPWNLERITPPRYRADEYQPPDGGSLVEVYLLDTSIQSDHREIEGRVMVTDFENVPEEDGTRFHRQASKCDSHGTHLAGVVSGRDAGVAKGASMRSLRVLNCQGKGTVSGTLIGLEFIRKSQLVQPVGPLVVLLPLAGGYSRVLNAACQRLARAGVVLVTAAGNFRDDACLYSPASAPEVITVGATNAQDQPVTLGTLGTNFGRCVDLFAPGEDIIGASSDCSTCFVSQSGTSQAAAHVAGIAAMMLSAEPEL