特許第6013494号(P6013494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6013494コーヒーや一般的な可溶性製品に用いられるカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013494
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】コーヒーや一般的な可溶性製品に用いられるカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20161011BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A47J31/06 323
   B65D77/00 D
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-535014(P2014-535014)
(86)(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公表番号】特表2014-530064(P2014-530064A)
(43)【公表日】2014年11月17日
(86)【国際出願番号】EP2012069794
(87)【国際公開番号】WO2013053655
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】MI2011A001847
(32)【優先日】2011年10月10日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】508218822
【氏名又は名称】ゴグリオ ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】GOGLIO S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ゴグリオ,フランコ
(72)【発明者】
【氏名】ラ ガンバ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ロンギーニ,ドナート
(72)【発明者】
【氏名】ボッティーニ,ジョルジオ
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−199937(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/137952(WO,A1)
【文献】 特表2005−538787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 − 31/60
B65D 77/00
B65D 85/804
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された水またはその他の抽出液を用いた抽出装置で飲料を生成するためのコーヒーや可溶性製品に用いられるカートリッジ(1)であって、
前記カートリッジ(1)は、容器本体(10)を備え、
前記容器本体(10)は、互いに対向する基部(30、20)により密封されており、当該基部(30、20)は、それぞれ水の注入およびカートリッジからの飲料の排出のためであって、
前記容器本体(10)は、中空の管状であって、
前記対向する基部(30、20)は、アルミニウムのような非弾性材料の障壁フィルム(32、22)と、少なくとも1つ以上の弾性のプラスチックフィルム(33、23)とを備えた膜であって、
前記プラスチックフィルム(33、23)は、飲料を抽出するために、前記抽出装置の中で、あらかじめ定められた流体の圧力において対応する前記膜(30、20)が破れるように、少なくとも1つ以上の切れ込み(40、41)を有し、
前記プラスチックフィルム(33、23)は、前記膜(20、30)のうち少なくとも1つ以上において、前記プラスチックフィルム(23、33)と障壁フィルム(22、32)との間に接着剤を有さない狭い領域を備え、
前記接着剤を有さない狭い領域に、複数の小さい切れ込み((40)あるいは(41))を有しており、
前記流体の圧力が増加することで、前記接着剤を有さない狭い領域に小さい開口部が形成され、前記接着剤を有さない狭い領域だけが裂け、前記膜(20、30)の前記プラスチックフィルム(23、33)と前記障壁フィルム(22、32)とが接着されている領域に亀裂が伝播するのを防止することを特徴とするカートリッジ(1)。
【請求項2】
前記飲料の排出側に配置された前記膜(20)は、前記プラスチックフィルム(23)と前記障壁フィルム(22)とが接着されていない領域を備えていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ(1)。
【請求項3】
前記プラスチックフィルム(23、33)と前記障壁フィルム(22、32)とが接着されていない領域は、前記膜(20、30)の両方に備えられていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ(1)。
【請求項4】
前記切れ込み(40)のうちの少なくとも1つは、前記プラスチックフィルム(33、23)の全厚みの深さの切れ目であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカートリッジ(1)。
【請求項5】
前記切れ込み(41)は、前記プラスチックフィルム(33、23)の破れを引き起こすように、前記プラスチックフィルム(33、23)の厚さの一部の深さを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のカートリッジ(1)。
【請求項6】
前記膜(30、20)のそれぞれは、前記容器本体(10)の対向する端に備えられた、内側の環状フランジ(10)および外側の環状フランジ(11)に固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のカートリッジ(1)。
【請求項7】
前記膜(30、20)は、内側に不織布あるいは他の材料のフィルター(31、21)をそれぞれに有していることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のカートリッジ(1)。
【請求項8】
前記フィルター(31)は、前記内側の環状フランジ(12)の外側あるいは内側に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のカートリッジ(1)。
【請求項9】
前記容器本体(10)は、ポリプロピレン、ポリプロピレン(PP)/エチレンビニルアルコール(EVOH)/ポリプロピレン(PP)の共押出、ポリラクチド(PLA)もしくはポリブチレンテレフタラート(PBT)等のプラスチック材料であって、
前記膜(30、20)は、前記容器本体(10)と接し、無伸延ポリプロピレン(cast PP)等のプラスチック材料であるフィルム(33、23)を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のカートリッジ(1)。
【請求項10】
前記容器本体(10)はアルミニウムであって、
前記膜(30、20)は、前記容器本体(10)と接し、アルミニウムの前記障壁フィルム(32、22)を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のカートリッジ(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの切れ込み(40、41)は、レーザーにより形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のカートリッジ(1)。
【請求項12】
前記容器本体(10)は、円筒形、円錐台形または角錐台形等であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のカートリッジ(1)。
【請求項13】
前記プラスチックフィルム(33、23)は、アルミニウムフィルム(32、22)のそれぞれと接着材の層あるいはその他のシステムにより層状に接続されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のカートリッジ(1)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明はカートリッジ、カプセルまたはさや(pod)に関するものであって、(a)コーヒー、(b)一般的な可溶性製品、または、(c)高温の加圧された水もしくは粒状や粉状の製品(例えば、大麦または粉ミルク等もしくは紅茶、カモミールおよび浸出液等の葉製品)である飲料に用いられるその他の抽出液で抽出可能な製品、を包むためのものである。
【0002】
以下では、コーヒー粉末を包むためのカートリッジについて具体的に言及するが、カートリッジは飲料品に用いられる可溶性製品を包むためにも用いられるという事実は損なわれない。
【0003】
コーヒー粉末を包むためのカートリッジとしては、2種類のカートリッジが市場ではかなり普及しており、それは硬質カートリッジと半硬質カートリッジである。
【0004】
硬質カートリッジは、略円筒形または円錐台形であって、硬質プラスチック材の中に、もう一方の部材と熱融着または超音波によって溶接された2つの部材を有している。カートリッジの中に配置されるのは、コーヒー粉末およびカートリッジの飲料を排出する側の壁面と接したフィルターである。
【0005】
一般的に、少なくとも水を入れる側のカートリッジの壁面に穴があけられており、好ましくは飲料を排出する側にも穴があけられている。そのため、飲料を抽出するための装置にカートリッジが挿入されると、穴の開いた壁面に高温の加圧された水が注入され、水は、飲料を生成するために風味を保持したカートリッジの中の粉末製品を通過し、飲料がカートリッジの排出面から取り出される。
【0006】
この型式の硬質カートリッジは、カートリッジの内部の製品が外部の環境にさらされるため、製品が外部と接触するのを防ぐように、さらなる密封包装が必要となるという不都合がある。
【0007】
これにより、包装に余計な費用が必要となる。
【0008】
半硬質カートリッジは、円筒形あるいは、円錐台形の厚さの薄い容器を有している。容器は例えばアルミニウムでできており、粉末製品で満たされた後に、破れやすい膜で封がされる。このようにして、フレキシブルカートリッジの中に密封される。
【0009】
半硬質カートリッジが飲料を抽出するための装置に挿入されると、パンチはカートリッジの壁面に穴をあけ、飲料を生成するために、穴から製品に高温の水が侵入し、反対側の壁面に、装置に備えられた別のパンチあるいはプレートにより穴があけられ、製品が反対の壁面から取り出される。
【0010】
上記の半硬質の密封カートリッジは、製品の風味を保持するために追加の包装を必要としない。
【0011】
しかしながら、壁面が突然破れるため、カートリッジ内部の液体を最適な状態で保持することができず、そのため、高品質の飲料を得ることができない。
【0012】
国際公開2010/137952号には、飲料を生成するための粉末製品を包んだカプセルについて記載されている。当該カプセルは、十分に硬質の円周壁面を有しており、織り込まれたあるいは織り込まれていない繊維材料のフィルター層により上方と下方とが閉じられている。前記フィルター層は、機械的な手段によって流体が通過できるように穴があけられる。
【0013】
米国特許第5656311号明細書には、飲料品を生成するための粉末製品を包むのに適したカプセルについて記載されている。当該カプセルは、基部と、側壁と、当該上方に閉鎖膜がつけられた縁を備えた上部フランジとを有している。前記膜は、破るのを容易にするのに適した薄い厚さ領域をそなえており、膜は、カプセルの上面と下面とに穴をあけるのに適した道具により破られる。
【0014】
国際公開2010/063644号には、飲料を生成するための粉末製品を包んだカプセルについて記載されており、飲料は、遠心力を利用して前記粉末製品を液体が通過することにより生成される。カプセルは、当該上方に閉鎖膜がつけられた開放面を備えた容器本体を有している。膜は、機械的な穴あけ手段により穴をあけるのに適した中央部と外周部とを有しており、それぞれ、液体を注入するための穴と、カプセルから飲料を取り出すための穴である。
【0015】
本発明の目的は、多目的で実用的で経済的であり、製造が容易であり、非常に単純で非常に信頼度の高い調理装置と併用することで一般の使用者が連続して使用しても信頼度のあるカートリッジであって、コーヒーや可溶性製品のためのカートリッジを提供することで、先行技術の不都合を取り除くことにある。
【0016】
本発明の別の目的は、優れた品質の飲料を生成することができるコーヒーや可溶性製品のためのカートリッジを提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、たとえ長期間であっても、追加の包装を必要とせず、その内部で製品を完璧に保存することを保証できるカートリッジを提供することである。別の目的は、穴をあける装置を必要とせず、そのため、汚れが生じず、加えて、メンテナンスを必要としないカートリッジを形成することにある。
【0018】
本発明のさらなる目的は、包装の費用を低減したコーヒーや可溶性製品のためのカートリッジを提供することにある。
【0019】
これらの目的は、添付された独立請求項1の特徴点を有した発明に係る、コーヒーや可溶性製品のためのカートリッジにより達成される。
【0020】
本発明に係る有利な実施形態は従属項に記載される。
【0021】
本発明に係るコーヒーや可溶性製品のためのカートリッジは、容器本体を有している。容器本体は、十分に硬質なプラスチック材料であってもよく、薄いまたは/あるいは層状のアルミニウムのようなフレキシブルな材料であってもよい。容器本体は、円筒形であってもよいが、円錐台形が望ましく、底が無く、それぞれに外側の環状縁あるいはフランジおよび内側の環状縁あるいはフランジを備えている。これらの環状縁のそれぞれに密閉膜がつけられている。密閉膜は、例えばCPP(cast polypropylene:無伸延ポリプロピレン)のようなプラスチック材料のフィルムを少なくとも1枚以上含む層により構成され、容易に保護特性を破ることができる、アルミニウムの保護フィルムや、とても薄いプラスチックのフィルムと接続されている。プラスチックフィルムは少なくも1つ以上の切れ込みを有する。切れ込みは、望ましくはレーザーにより入れられ、フィルムの厚さの少なくとも一部の深さを有し、飲料を抽出するために、装置の中で液体があらかじめ定められた圧力になることで膜が破れるのを容易にする。本発明の実施形態において、複数の小さい切れ込みは、プラスチックフィルムと障壁フィルムとが接着されていない領域に形成される。
【0022】
本発明のさらなる特徴は、実施形態を参照した以下の詳細な記述により明らかになる。実施形態は、添付の図面に描かれた方法に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明に係るコーヒーや可溶性製品のためのカートリッジにおける中央断面の概略図である。
【0024】
図2は、図1と同様の視点から、本発明に係るカートリッジの微細な変形例を描いたものである。
【0025】
図3は、カートリッジの本体がプラスチック材料である場合の、図1および図2においてAで示される部分の細部拡大図である。
【0026】
図4は、図3において、カートリッジの本体がアルミニウムである場合を示したものである。
【0027】
図5は、図3に示したプラスチック材料のカートリッジの部分拡大図であり、閉鎖膜の詳細を示したものである。
【0028】
図6は、図5において、カートリッジがアルミニウムである場合を示したものである。
【0029】
これらの図、ここでは特に図1および図2を参照し、1は、本発明に係るコーヒーや一般的な可溶性製品を包むカートリッジあるいはカプセルの全体を示している。前記1は、容器本体10を有し、本実施形態において、当該容器本体10は円錐台形を有し、底がなく、その場所のそれぞれに密封膜20および30がつけられている。密封膜はそれぞれ、フィルター21および31を間に挟んでいる。さらに、図面を参照して、本体10は、上側に位置する大きい底に、環状のフランジ、または外側展開部11を備えた縁と、下側に位置する小さい底に、環状のフランジ、または内側展開部12を備えた縁とを有している。
【0030】
飲料を抽出するための装置にカートリッジが挿入されると、カートリッジは、水が注入される面と飲料が排出される面とを有する。以下の記載では、水が注入される面は、膜30が配置されている、カートリッジの小さい側の底であり、飲料が排出される面は、膜20が配置されているカートリッジの大きい側の底である。
【0031】
当然ながら、本発明の目的から逸脱しない範囲で、水注入面と飲料排出面とはそれらを示す面が逆であってもよい。
【0032】
図1および図2に示した実施形態は、水注入面において、一方は、フィルター31がカートリッジの外側に配置され、環状フランジ12と膜30の間に配置されている(図1)。もう一方は、カートリッジの内部に配置されている(図2)。
【0033】
フィルター21および31は、例えば100%ポリプロピレン(PP)のような、不織布であることが好ましく、熱による溶接、もしくは接着剤等の別のシステムによって、本体10のフランジ11および12に接続される。
【0034】
カートリッジの本体10はプラスチック材料により成形されていてもよい。例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリラクチド(PLA)もしくはポリブチレンテレフタラート(PBT)等のポリプロピレン成形によるもの、または、ポリプロピレン(PP)/エチレンビニルアルコール(EVOH)/ポリプロピレン(PP)の共押出あるいはその他の障壁構造による熱成形によるものが挙げられる。
【0035】
あるいは、カートリッジの本体10は、十分にフレキシブルであってもよく、例えば深絞りのアルミニウムや、塗装アルミニウムが挙げられる。
【0036】
図3の拡大図は、カートリッジ1から飲料を取り出す面につけられた膜20の構造を示しており、水注入面における膜30の構造も同様である。
【0037】
この図面においては、フィルター21は、破線で図示されている。
【0038】
膜20は、層状であって、外側から内側(言い換えればカートリッジと接触している領域)へ向かって、アルミニウムフィルム22および少なくとも1つ以上の無伸延ポリプロピレン(CPP)のようなプラスチック材料のフィルム23とを含んでおり、お互いは、接着剤層24によって接続されている。
【0039】
上記のように構成された膜20は、カートリッジの本体10のフランジ11および下にあるフィルター21に、熱融着あるいは他の接着システムにより固定されている。水注入面に配置された膜30も同様である。
【0040】
図4図3と同様に、アルミニウムでできたカートリッジの本体10につけられた膜20の構造を示している。膜20は、同様にフィルムの層状であって、この場合は、カートリッジの本体10と対向したアルミニウムのフィルター22と、少なくとも1つの例えばポリエステル(PET:ポリエチレンテレフタラート)のようなプラスチック材料の外部フィルム23とを含んでおり、お互いは、接着剤24によって接続されている。
【0041】
膜20は、カートリッジの本体10およびフィルター21に、熱融着塗料を挿入した後、同様に適切に熱融着により固定されている。
【0042】
このようにして製造されたカートリッジは、アルミニウムの遮断フィルムにより完全に密封され、そのため、周囲の環境から内包する製品を保護するためのさらなる包装を必要としない。
【0043】
膜が水あるいは飲料の一定の圧力によって破れるように、プラスチック材料のフィルムは、少なくとも1つ以上の切れ込みがあらかじめ入れられている。切れ込みは、レーザーによって適切に入れられ、膜厚の一部または全部の深さである。
【0044】
その様子が図5および6に描かれており、それぞれ、プラスチック材料およびアルミニウムの本体10を有したカプセルである。単純にするためフィルター21および31は省略されている。
【0045】
これらの図に例示したように、レーザーによる切れ込み40の深さは、フィルムが切れるようにフィルム23および33の全厚さである。浅い切れ込み41は、脆くはするが、しかしながら分離は引き起こさないように、これらのフィルムの厚さの一部の深さである。
【0046】
一般的に、膜20および30(特に、飲料が排出される膜20)のプラスチックフィルム23および33における切れ込みの形式は、それぞれの膜が破れる際の液体の圧力に基づいて選ばれる。
【0047】
実際、より高圧となるように、カートリッジ1の内部に液体をより好ましい状態で保持すると、製品の風味がよく移り、飲料がより高品質となるが、これはカートリッジに機械的手段によって穴があけられる場合においては一般的には成し得ない。
【0048】
プラスチックフィルムの弾性により、膜を破るのには非常に高圧が必要となり、許容することができないような飲料が「噴射(jet)」して排出される原因となるのに対して、多数の試験を行った出願人は、許容圧力下で膜が破れるためには、プラスチックフィルム23および33に切れ込み40または41が少なくとも1つ以上入っていればいいということを見出した。
【0049】
切断部40(言い換えればフィルム23あるいは33の全厚さの深さの切れ込み)が備えられていることにより、比較的低い圧力において、非プラスチックであるアルミニウムフィルム22および32が裂けることで、膜20および30が破れる。破れるのが高圧である必要があれば、切れ込み41をフィルム23および33の全厚さと同じ深さにしなければよい。この場合においては、切れ込み41によって、プラスチックフィルムが破れることが容易となり、前述の物と比較して、高圧においてプラスチックフィルムは破れる。
【0050】
試験を行った結果、膜20および30の少なくとも1つ以上において、特に、飲料排出面に配置された膜20において、より好ましくは、膜20および30の両方において、プラスチックフィルム23および33がアルミニウムの障壁フィルム22および32と接着されていない領域に、複数の小さい切れ込み40あるいは41を形成することにより最良の結果が得られた。プラスチックフィルム23および33がアルミニウムの障壁フィルム22および32と接着されていない領域に、複数の小さい切れ込み40あるいは41を形成することにより、接着されていない狭い領域でのみフィルムが裂け、プラスチックフィルムと障壁フィルムとが接着されている領域へ亀裂が伝播するのを防止し、膜を構成している層がより大きな抵抗となることにより、液体の圧力が増加する。
【0051】
言い換えれば、プラスチックフィルム23および33とアルミニウム障壁フィルム22および33との間に接着剤を有していない狭い領域に、小さい切れ込みを備えていることにより、この接着剤を有していない狭い領域において、小さい開口部が形成される。これにより、フィルム同士が接着されている膜で亀裂のトリガーが生じても、起こるあるいは起こるであろう、亀裂が無秩序に伝播するということを防止することができる。
【0052】
上述の開示により、密封されており、飲料を抽出するのに機械的な穴あけ手段を必要とせず、要求される圧力で飲料を取り出すことができ、優れた品質の飲料を得ることができるという、本発明に係るコーヒーや一般的な可溶性製品に用いられるカートリッジの利点が明確となった。
【0053】
当然ながら、本発明は前述の実施形態および添付の図面に限定されるものでは無く、当業者に想到でき、添付の請求項によって明確にされる、本発明の範囲を逸脱しない範囲において、無数の詳細な変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明に係るコーヒーや可溶性製品のためのカートリッジにおける中央断面の概略図である。
図2図1と同様の視点から、本発明に係るカートリッジの微細な変形例を描いたものである。
図3】カートリッジの本体がプラスチック材料である場合の、図1および図2においてAで示される部分の細部拡大図である。
図4図3において、カートリッジの本体がアルミニウムである場合を示したものである。
図5図3に示したプラスチック材料のカートリッジの部分拡大図であり、閉鎖膜の詳細を示したものである。
図6図5において、カートリッジがアルミニウムである場合を示したものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6