(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3の領域がさらに2以上の領域に区分されており、各領域を各領域の温度を基に温度制御しながら独立して加熱する温度制御加熱手段をさらに備える、請求項6に記載のガス供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、液化ガスの液相と気相とを比較した場合、金属表面と液相との間の方が、金属表面と気相との間よりも熱伝達係数が高く、つまり、金属表面から液化ガスに熱が伝わりやすいことが知られている。言い換えると、液相に接した金属の表面と気相に接した金属の表面とに同じ熱量を与えた場合、気相の方が液化ガスに熱が伝わりにくいため、伝えられなかった熱が金属表面に溜まり、液相に比べ温度は高くなる傾向にある。
【0006】
よって、特許文献1に開示されたガス供給装置では、容器表面の全面を均一に加熱するため、容器内の気相部に接触する容器表面側の温度が過度に高くなり、容器に設けられた弁などに影響するおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、容器の表面温度の過度な上昇を防止することができるガス供給方法およびガス供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、
液化ガス容器内の気相部からガス状の液化ガスを外部へ供給するガス供給方法であって、
前記液化ガス容器の表面を、
供給開始時から供給終了時まで液相と接触する第1の領域と、
少なくとも供給終了時までに気相と接触する第2の領域と、に区分し、
各領域の表面温度を基に、独立して温度制御しながら各領域の表面を加熱することを特徴とするガス供給方法である。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、
液化ガス容器内の気相部からガス状の液化ガスを外部へ供給するガス供給方法であって、
前記液化ガス容器の表面を、
供給開始時から供給終了時まで液相と接触する第1の領域と、
供給開始時から供給終了時まで気相と接触する第2の領域と、
供給開始時から供給終了時までに液相から気相に変化する第3の領域と、に区分し、
各領域の表面温度を基に、独立して温度制御しながら各領域の表面を加熱することを特徴とするガス供給方法である。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、
前記第3の領域を、さらに2以上の領域に区分し、各領域の表面温度を基に、独立して温度制御しながら各領域の表面を加熱する、請求項2に記載のガス供給方法である。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、
液化ガス容器内の気相部からガス状の液化ガスを外部へ供給するガス供給方法であって、
前記液化ガス容器の表面を、
供給開始時から供給終了時まで気相と接触する第1の領域と、
少なくとも供給終了時までに液相と接触する第2の領域と、に区分し、
各領域の表面温度を基に、独立して温度制御しながら各領域の表面を加熱することを特徴とするガス供給方法である。
【0012】
また、請求項5に係る発明は、
液化ガス容器内の気相部からガス状の液化ガスを外部へ供給するガス供給装置であって、
供給開始時から供給終了時まで前記液化ガス容器内の液相に接触する部分に対応する、当該液化ガス容器の表面部分のみを含む第1の領域を、前記第1の領域の温度を基に温度制御しながら加熱する第1の温度制御加熱手段と、
少なくとも供給終了時までに前記液化ガス容器内の気相と接触する部分に対応する、当該液化ガス容器の表面部分を含む第2の領域を、前記第2の領域の温度を基に温度制御しながら加熱する第2の温度制御加熱手段と、を備えることを特徴とするガス供給装置である。
【0013】
また、請求項6に係る発明は、
液化ガス容器内の気相部からガス状の液化ガスを外部へ供給するガス供給装置であって、
供給開始時から供給終了時まで前記液化ガス容器内の液相に接触する部分に対応する、当該液化ガス容器の表面部分のみを含む第1の領域を、前記第1の領域の温度を基に温度制御しながら加熱する第1の温度制御加熱手段と、
供給開始時から供給終了時まで前記液化ガス容器内の気相に接触する部分に対応する、当該液化ガス容器の表面部分のみを含む第2の領域を、前記第2の領域の温度を基に温度制御しながら加熱する第2の温度制御加熱手段と、
供給開始時から供給終了時までに前記液化ガス容器内の液相から気相に変化する内容部に接触する部分に対応する、当該液化ガス容器の表面部分のみを含む第3の領域を、前記第3の領域の温度を基に温度制御しながら加熱する第3の温度制御加熱手段と、を備えることを特徴とするガス供給装置である。
【0014】
また、請求項7に係る発明は、
前記第3の領域がさらに2以上の領域に区分されており、各領域を、各領域の温度を基に温度制御しながら独立して加熱する温度制御加熱手段をさらに備える、請求項6に記載のガス供給装置である。
【0015】
また、請求項8に係る発明は、
液化ガス容器内の気相部からガス状の液化ガスを外部へ供給するガス供給装置であって、
供給開始時から供給終了時まで前記液化ガス容器内の気相に接触する部分に対応する、当該液化ガス容器の表面部分のみを含む第1の領域を、前記第1の領域の温度を基に温度制御しながら加熱する第1の温度制御加熱手段と、
少なくとも供給終了時までに前記液化ガス容器内の液相と接触する部分に対応する、当該液化ガス容器の表面部分を含む第2の領域を、前記第2の領域の温度を基に温度制御しながら加熱する第2の温度制御加熱手段と、を備えることを特徴とするガス供給装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のガス供給方法は、液化ガス容器の表面を、容器内の液化ガスへの熱の伝わりに差がある複数の領域に区分し、各領域の表面温度を基に、独立して温度制御しながら各領域の表面を加熱する構成となっており、熱の伝わりの差に応じた温度制御を行うことができるため、容器の表面温度の過度な上昇を防止することができる。
【0017】
また、本発明のガス供給装置は、容器内の液化ガスへの熱の伝わりに差がある複数の領域を、各領域の温度を基に温度制御しながら加熱する各温度制御加熱手段を備える構成となっており、熱の伝わりの差に応じた温度制御を行うことができるため、容器の表面温度の過度な上昇を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した一実施形態であるガス供給装置およびこれを用いたガス供給方法について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0020】
<第1の実施形態>
先ず、本発明を適用した第1の実施形態であるガス供給装置の構成について説明する。
図1は、本発明を適用した第1の実施形態であるガス供給装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のガス供給装置1は、液化ガス容器2と、第1の温度制御加熱手段3と、第2の温度制御加熱手段4と、容器弁5と、を備えて概略構成されている。本実施形態のガス供給装置1は、液化ガス容器2内の気相部からガス状の液化ガスを外部へ供給するための装置である。
【0021】
ところで、一般的に、容器内の液化ガスを気化して気相部からガス状の液化ガスを供給する際は、容器内の液相を数割ほど残した状態で供給を終了させる。これは、供給し続けることで容器内の液相が減少すると、気化されない容器内の不純物が凝縮し、徐々に不純物濃度の高い液化ガスとなるためである。また、容器内の気相部が広がることにより、液相部の気化が間に合わず、容器内の圧力の維持が困難となるためである。
【0022】
先に述べたように、液相に接した表面と、気相に接した表面とでは、それぞれの状態の液化ガスへの熱の伝わりが異なっている。その結果、これらの表面では、温度上昇に差が生じる。
【0023】
そこで、本実施形態のガス供給装置1では、液化ガス容器2の表面を、容器内の液化ガスへの熱の伝わりに差がある、供給開始時から供給終了時まで常に液相と接触する第1の領域S1と、供給開始時から供給終了時まで常に気相と接触する表面および供給終了時までに液相から気相へと変化する表面を合わせた第2の領域S2と、に区分し、各区分において独立して温度を制御している。
【0024】
液化ガス容器2は、液化ガスを充填するための容器である。液化ガス容器2の材質としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ステンレス鋼(SUS)、マンガン鋼などが挙げられる。
液化ガス容器2に充填される液化ガスとしては、特に限定されないが、具体的には、例えば、アンモニア、塩化水素、塩素、亜酸化窒素などが挙げられる。
【0025】
液化ガス容器2の表面は、表面温度の上がり方で大きく2つの領域に分けられる。一つは、液相に接触する領域で、液状の液化ガスに熱が伝わりやすいため、表面温度は比較的上がりにくい。もう一つは、気相に接触する領域で、気化された液化ガスに熱が伝わりにくいため、表面温度は比較的上がりやすい。よって、ガスの供給中に液相から気相に変化する領域について、常に液相の領域に含めるか、常に気相の領域に含めるか、それとも独立した加熱領域とするかを、判断することになる。本実施形態のガス供給装置1では、常に気相の領域に加えたが、これに限定されることではなく、いずれの区分も可能である。
【0026】
第1の温度制御加熱手段3は、第1の加熱手段6と、第1の温度計7と、第1の制御部8と、を備える。第1の温度制御加熱手段3により、第1の領域S1の表面温度を制御しつつ第1の領域S1を加熱することができる。
【0027】
第1の加熱手段6は、液化ガス容器2の表面のうち、第1の領域S1、つまり、液化ガス容器2内の常に液相に接触する部分に対応する、当該液化ガス容器2の表面部分のみを含む領域を覆うように設けられている。第1の加熱手段6により、第1の領域S1を加熱することができる。
【0028】
第1の加熱手段6としては、液化ガス容器2の表面を加熱することができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、液化ガス容器2の表面に巻かれた熱交換媒体を流通するための配管であってもよい。熱交換媒体としては、具体的には、例えば、温風、熱風などの気体媒体、または、温水、熱水、熱油などの液体媒体などが挙げられる。また、第1の加熱手段6として、ハロゲンヒーターなどにより赤外線で熱を伝える方法や、電気ヒーターなどにより熱を直接容器表面に伝える方法であってもよい。
【0029】
第1の温度計7は、液化ガス容器2の表面のうち、第1の領域S1に設けられ、第1の領域S1の表面温度を測定し、第1の制御部8に測定値を送信することができる。第1の温度計7は、表面温度が上がりやすい位置に取り付けることが望ましい。第1の実施形態においては、第1の加熱手段6の熱を受ける容器表面に取り付けた。しかしながら、これに限定されることではなく、第1の領域S1の様々な位置に2か所以上に複数取り付け、それらの値の平均を測定値として送信してもよい。
【0030】
第1の制御部8は、第1の温度計7が測定した第1の領域S1の表面温度を基に、第1の加熱手段6を制御するために設けられる。第1の制御部8は、信号線C1を介して第1の加熱手段6と接続され、信号線C2を介して第1の温度計7と接続されている。
【0031】
第1の制御部8を用いて、第1の領域S1の表面温度を基に、第1の加熱手段6を制御することにより、例えば、第1の領域S1の表面温度が予め定められた目標温度まで加熱し、目標温度に達したら加熱を停止する。その後、目標温度を下回ったら再び加熱する、といった動作をすることにより、第1の領域S1の表面温度を制御することができる。しかしながら、温度制御の方法はこれに限定することではなく、例えば、上限値と下限値を設け、下限値を下回ったら加熱を開始し、上限値を上回ったら加熱を停止するような制御方法でもよく、目標温度に対するPID制御を行なってもよい。
第1の制御部8としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)などが挙げられる。
【0032】
第2の温度制御加熱手段4は、第2の加熱手段9と、第2の温度計10と、第2の制御部11と、を備える。第2の温度制御加熱手段4により、第2の領域S2の表面温度を制御しつつ第2の領域S2を加熱することができる。
【0033】
第2の加熱手段9は、液化ガス容器2の表面のうち、第2の領域S2、つまり、供給開始時から供給終了時まで常に気相と接触する表面、および少なくとも供給終了時までに液相から気相へと変化する表面を合わせた部分に対応する、当該液化ガス容器2の表面部分を含む領域を覆うように設けられている。第2の加熱手段9により、第2の領域S2を加熱することができる。第2の加熱手段9としては、上述した第1の加熱手段6と同様のものを用いることができる。
【0034】
第2の温度計10は、液化ガス容器2の表面のうち、第2の領域S2に設けられ、第2の領域S2の表面温度を測定し、第2の制御部11に測定値を送信することができる。第2の温度計10は、表面温度が上がりやすい、位置に取り付けることが望ましい。第1の実施形態においては、供給開始時から供給終了時まで常に気相と接触する表面に取り付けた。しかしながら、これに限定されることではなく、第2の領域S2の様々な位置に2か所以上に複数取り付け、それらの値の平均を測定値として送信してもよい。
【0035】
第2の制御部11は、第2の温度計10が測定した第2の領域S2の表面温度を基に、第2の加熱手段9を制御するために設けられる。第2の制御部11は、信号線C3を介して第2の加熱手段9と接続され、信号線C4を介して第2の温度計10と接続されている。
【0036】
第2の制御部11を用いることにより、上述した第1の制御部8と同様にして、第2の領域S2の表面温度を制御することができる。また、第1の制御部8と同様の装置を用いることができる。
【0037】
容器弁5は、液化ガス容器2の先端部に設けられた弁であり、弁の開閉により、ガスの供給を制御することができる。
容器弁5としては、特に限定されないが、一般的に、玉形弁が用いられる。
【0038】
<ガス供給方法>
次に、上述した第1の実施形態のガス供給装置1を用いた、本実施形態のガス供給方法について説明する。
本実施形態のガス供給方法は、液化ガス容器2の表面を、前述の第1の領域S1と、前述の第2の領域S2と、に区分し、各区分において、独立して温度制御することを特徴とする。
【0039】
本実施形態のガス供給方法を、
図2を参照しながら説明する。ここで、
図2中の横軸は、時間を示している。また、縦軸は、上から1段目および2段目は、それぞれ第1の加熱手段6および第2の加熱手段9による加熱制御の状態を示しており、「ON」は加熱していることを示し、「OFF」は加熱を停止していることを示している。上から3段目は、第1の温度計7および第2の温度計10により測定された、第1の領域S1および第2の領域S2の表面温度を示している。上から4段目は、液化ガス容器2内の液面の高さを示している。上から5段目は、ガス供給装置1によるガスの供給量を示している。
【0040】
図2に示すように、先ず、時刻t
1になる前まで、つまり、ガスの供給の開始前までは、第1の加熱手段6および第2の加熱手段9は停止した状態である。この状態では、液化ガス容器2の表面温度および液面高さに変化はない。
【0041】
次に、時刻t1において、ガスの供給を開始するために容器弁5を開く。また、第1の加熱手段6により、第1の領域S1の加熱を開始する。さらに、第2の加熱手段9により、第2の領域S2の加熱を開始する。これにより、液化ガスが気化し、液化ガス容器2の内圧を高めることで、液化ガスの供給による圧力低下を防ぐ。液化ガスの供給にともない、液面が降下する。
【0042】
第1の領域S1および第2の領域S2が加熱されることにより、表面温度が上昇する。このとき、第2の領域S2では気相部が含まれるため、第1の領域S1よりも表面温度の上昇が速い。また、第2の領域S2では、時間の経過とともに気相部の割合が増えていくため、表面温度の上昇が加速される傾向にある。
【0043】
次に、時刻t2において、第2の領域S2の表面温度が目標温度に達したのを確認したら、第2の加熱手段9による加熱を停止する。これにより、第2の領域S2の表面温度の過度な上昇が抑えられる。
【0044】
次に、時刻t3において、第1の領域S1の表面温度が目標温度に達したのを確認したら、第1の加熱手段6による加熱を停止する。これにより、第1の領域S1の表面温度の過度な上昇が抑えられる。
時刻t3の経過後、第1の領域S1および第2の領域S2の表面温度はそれぞれピークをとり、その後、表面温度は低下する。
【0045】
次に、時刻t4において、第2の領域S2の表面温度が目標温度よりも低下したことを確認したら、第2の加熱手段9による加熱を再開する。これにより、第2の領域S2の表面温度の低下が抑えられる。
【0046】
次に、時刻t5において、第1の領域S1の表面温度が目標温度よりも低下したことを確認したら、第1の加熱手段6による加熱を再開する。これにより、第1の領域S1の表面温度の低下が抑えられる。
【0047】
このように、第1の領域S1および第2の領域S2に対して、独立して、温度測定および加熱制御を行うことにより、表面温度が目標温度に近い状態を維持しながら、気相部からガス状の液化ガスを供給する。
【0048】
次に、時刻t12において、液面の高さを測定することにより、液化ガス容器2の交換時期であることを確認したら、容器弁5を閉めてガスの供給を停止する。それと同時に、第1の加熱手段6による、第1の領域S1の加熱を停止する。さらに、第2の加熱手段9による、第2の領域S2の加熱を停止する。
以上の操作により、液化ガス容器2の表面温度の過度な上昇を防止しつつ、液化ガスを供給することができる。
【0049】
<第2の実施形態>
次に、本発明を適用した第2の実施形態であるガス供給装置の構成について説明する。
図3は、本発明を適用した第2の実施形態であるガス供給装置の構成を示す図である。
図3に示すように、本実施形態のガス供給装置21は、液化ガス容器2と、第1の温度制御加熱手段3と、第2の温度制御加熱手段24と、第3の温度制御加熱手段32と、容器弁5と、を備えて概略構成されている。
【0050】
また、本実施形態のガス供給装置21では、液化ガス容器2の表面を、容器内の液化ガスへの熱の伝わりに差がある、供給開始時から供給終了時まで常に液相と接触する第1の領域S1と、供給開始時から供給終了時まで常に気相と接触する第2の領域S22と、供給開始時から供給終了時までに液相から気相に変化する第3の領域S23と、に区分し、各区分において独立して温度を制御している。
【0051】
つまり、第2の実施形態のガス供給装置21は、より高い精度で温度制御する目的で、第1の実施形態のガス供給装置1における第2の領域S2を、熱の伝わりの違いによってさらに2つの区分に分けて、各区分に独立して容器表面の温度を制御するための温度制御加熱手段を備えていること以外は、第1の実施形態のガス供給装置1と同様である。そのため、重複する部分については、説明を省略する。
【0052】
第2の温度制御加熱手段24は、第2の加熱手段29と、第2の温度計30と、第2の制御部31と、を備える。第2の温度制御加熱手段24により、供給開始時から供給終了時まで気相と接触する第2の領域S22の表面温度を制御すること以外は、上述した第1の実施形態のガス供給装置1における第2の温度制御加熱手段4と同様である。
【0053】
第3の温度制御加熱手段32は、第3の加熱手段33と、第3の温度計34と、第3の制御部35と、を備える。第3の温度制御加熱手段32により、供給開始時から供給終了時までに液相から気相に変化する第3の領域S23の表面温度を制御することができる。第3の加熱手段33、第3の温度計34、第3の制御部35としては、上述した第1の実施形態のガス供給装置1における第1の加熱手段6、第1の温度計7、第1の制御部8と同様の機器や装置を用いることができる。
【0054】
以上説明したように、第1の実施形態のガス供給装置1は、前述の第1の領域S1を加熱する第1の加熱手段6と、前述の第2の領域S2を加熱する第2の加熱手段9と、を備える構成となっているため、熱の伝わりの差に応じたガス供給中の液化ガス容器2の表面の温度制御を行うことができる。これにより、容器の表面温度の過度な上昇を防止することができる。
【0055】
また、第2の実施形態のガス供給装置21は、前述の第1の領域S1を加熱する第1の加熱手段6と、前述の第2の領域S22を加熱する第2の加熱手段29と、前述の第3の領域S23を加熱する第3の加熱手段33と、を備える構成となっているため、ガス供給中の液化ガス容器2の表面温度を、より高い精度で制御することができる。これにより、容器の表面温度の過度な上昇を防止することができる。
【0056】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上記第3の領域S23を、液相から気相に変化するタイミングに応じて、さらに2以上の領域に区分してもよい。これにより、ガス供給中の液化ガス容器2の表面温度を、より高い精度で制御することができ、液化ガス容器2の表面温度の過度な上昇を防止することができる。
【0057】
また、液化ガス容器2の加熱領域を、供給開始時から供給終了時まで常に気相に接触する第1の領域S1と、少なくとも供給終了時までに液相と接触する第2の領域S2とに区分してもよい。
【0058】
また、上述した第1の実施形態のガス供給装置1および第2の実施形態のガス供給装置21では、複数の制御部を備える例について説明したが、1台の制御部により各加熱手段および各温度計を制御してもよい。