【実施例】
【0021】
以下の成分を用いて表1の配合でインジェクションブロー成形し、実施例
、参考例及び比較例の中空成形体を製造し
た。
【0022】
・ポリエチレンテレフタレート(PET):華潤有限公司製「CR8816」
・ナイロンMXD6:三菱ガス化学社製「S6007」
・添加剤A:酢酸ビニル含有率28重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル単位を100%加水分解したエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、東ソー社製「メルセンH6051」
・添加剤B:エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体、住友化学社製「(登録商標)ボンドファースト7M」
・添加剤C:グリシジルメタクリレート含有量15重量%のエチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)とアクリロニトリルスチレン共重合体(AS)のグラフト共重合体(EGMA−g−AS)、EGMA/AS(重量%比)=70/30、日油社製「(登録商標)モディパーA4400」
【0023】
インジェクションブロー成形は、インジェクションブロー成形機(日精エー・エス・ビー社製、型式:ASB250EXH)を用いて重量27g、全長105mmの有底パリソン(プリフォーム)を成形した。この時の成形された有底パリソン(プリフォーム)の側面部の厚みは1.0mmであった。
その後、その有底パリソン(プリフォーム)を80〜120℃に調温して二軸延伸ブロー成形し、全長160mm、内容量300mlのボトル形状の中空成形体(容器)を成形した。
成形したボトル形状の中空成形体(容器)の側面部は、厚みが0.2mmであり、成形時の延伸によって1/5の厚みとなり、延伸倍率が5倍であった。
【0024】
【表1】
【0025】
実施例1〜実施例3は、PETとナイロンMXD6の割合を一定にして添加剤Aの量のみを変化させた例、実施例4は実施例2と添加剤Aの量を等しくしてPETの割合を実施例2よりも増大させた例である。また、
参考例5と
参考例6は、実施例2における添加剤Aに代えて、添加剤B(
参考例5)と添加剤C(
参考例6)を使用した例である。
【0026】
比較例1〜比較例4は、添加剤A〜Cの何れも添加せず、かつPETとナイロンMXD6の割合を変化させた例であり、比較例1はPETを100重量%(ナイロンMXD6を0重量%)とした例、比較例2はPETを99重量%、ナイロンMXD6を1重量%とした例、比較例3はPETを95重量%、ナイロンMXD6を5重量%とした例、比較例4は、PETを90重量%、ナイロンMXD6を10重量%とした例である。
比較例5と6は、PETとナイロンMXD6の割合を実施例1〜3と同様の95重量%と5重量%の一定にして、添加剤Aの量を本発明の範囲外となる0.02重量%(比較例5)と、0.1重量%(比較例6)にした比較例である。
【0027】
実施例
、参考例及び比較例のボトル形状の中空成形体(容器)に対して、透過度(透明性)、ヘイズ(曇り度)、酸素透過度を以下の方法で測定した。
なお、内容物視認性については、透過度(透明性)及びヘイズ(曇り度)の両方の測定結果によって判断し、以下に示す透過度(透明性)及びヘイズ(曇り度)の評価が、何れも「〇」の場合に内容物視認性を良好「〇」とした。実施例
、参考例及び比較例の測定結果及び評価は、配合と共に表1に示す。
【0028】
・透過度(透明性)
有底パリソン(プリフォーム)の元厚が1.0mmであったのが成形時の延伸によって0.2mmとなった部位(延伸倍率5倍)において、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、名称:V−650)を用いてJIS K 7361−1に準拠してτ
2(試験片を透過した全光束)とτ
1(入射光の光束)を測定し、表1の下部に示した式(1)により[τ
t(全光透過率)%]を算出し、得られた[τ
t]を透過度(透明性)とした。評価は、透過度(%)が80%以上を「〇」、80%未満を「×」とした。
・ヘイズ(曇り度)
紫外可視近赤外分光硬度計(日本分光社製、名称:V−650)を用いてJIS K 7136に準拠してτ
1(入射光の光束)、τ
2(試験片を透過した全光束)、τ
3(装置で拡散した光束)、τ
4(装置及び試験片で拡散した光束)を測定し、表1の下部に示した式(2)により[ヘイズ(%)]を算出した。評価は、ヘイズ(曇り度)(%)が15%以下を「〇」、15%より大を「×」とした。
・酸素透過度
MOCON社製OX−TRANを用い、JIS K7126−2に基づき、温度23℃、容器内100%RH/容器外50%RHの条件で酸素透過度を測定した。評価は、酸素透過度(cm
3/day/bottle/2.13×10
4Pa)が0.020以下を「〇」、0.020より大を「×」とした。
【0029】
実施例1〜
4は、何れも透過度(透明性)、ヘイズ(曇り度)、酸素透過度の評価が「〇」であり、かつ、透過度(透明性)及びヘイズ(曇り度)が「〇」のため、内容物視認性の評価も良好[〇]である。
【0030】
一方、添加剤A〜Cの何れも添加しない比較例1〜4のうち、PET100%の比較例1と、PETが99重量%とナイロンMXD6が1重量%である比較例2は、透過度(透明性)とヘイズは「〇」であったが、酸素透過度が高い(酸素バリア性が低い)ものであった。また、PETが95重量%とナイロンMXD6が5重量%である比較例3と、PETが90重量%とナイロンMXD6が10重量%である比較例4は、何れも酸素透過度が実施例1〜
4と同程度であり、酸素バリア性が良好であったが、透過度(透明性)とヘイズが「×」、すなわち内容物視認性の評価が「×」であった。また、PETが95重量%とナイロンMXD6が5重量%である比較例5と比較例6のうち、添加剤Aが0.02重量%の比較例5については、透過度(透明性)とヘイズ(曇り度)が「×」、酸素透過度が「〇」であり、添加剤Aが0.1重量%の比較例6については、透過度(透明性)が「〇」、ヘイズ(曇り度)が「×」、酸素透過度が「〇」であった。
【0031】
このように、本発明の樹脂組成物及び中空成形体は、酸素バリア性、生産性(成形性)、及び内容物の視認性の何れも良好である。