(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スマートフォンやタブレット、ノートブック型のパーソナルコンピュータだけでなく、プリンタ、ビデオカメラなどにも、無線通信機能が備えられており、スマートフォンやタブレットから、プリンタへ直接印刷したり、ビデオカメラを操作したりできるようになっている。
しかし、色々な通信機能を持った装置が、同じ周波数帯域で通信すると、互いが混信したり、妨害しあったりして、通信品質が悪化する。
【0006】
そこで本発明は、良好な通信環境を確保することができる無線通信用補助具および無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無線通信用補助具は、第1の無線通信装置のアンテナに一端部が非接触状態で配置されると共に、第2の無線通信装置のアンテナに他端部が非接触状態で配置された電線を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の無線通信方法は、第1の無線通信装置のアンテナに、電線の一端部を非接触状態で配置する段階と、前記電線の他端部を、第2の無線通信装置のアンテナに非接触状態で配置する段階と、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置とを、前記電線を介在させて通信する段階とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1の無線通信装置のアンテナと、第2の無線通信装置のアンテナとの間に、非接触状態で電線の両端部を配置して、電線を介在させて第1の無線通信装置と第2の無線通信装置とが通信することで、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置との間の無線通信は、電線を通して行うことができるので、他の無線信号に妨害されずに通信を行うことができる。
ここで、アンテナに非接触とは、電線の一端部または他端部が直接アンテナに接続されていないことを意味している。従って、電線の一端部または他端部がアンテナに直接接触していなければ、第1の無線通信装置や第2の無線通信装置の筐体や基板、他の部品に接続している場合も、アンテナに非接触状態として含まれる。
【0010】
前記第1の無線通信装置は、前記第2の無線通信装置から前記電線を介在させて送信された無線信号により操作されるカメラであることが望ましい。
第1の無線通信装置がカメラであると、第2の無線通信装置からカメラを操作することができる。
【0011】
前記カメラを先端部に位置させる棒状支持用部材を備えていることが望ましい。棒状支持用部材の先端部にカメラが位置していることで、操作者の位置より高所から、または低所からの撮影、広い範囲の撮影を可能とすることができる。
【0012】
前記棒状支持用部材には、前記電線を前記棒状支持用部材に沿って配線する保持部材が所定間隔ごとに配置されていると、保持部材に電線を保持させることで、電線を棒状支持用部材に沿って配線することができるため、撮影者が撮影するときに棒状支持用部材を操作するときに電線が邪魔にならない。
【0013】
前記カメラを収納するハウジングを備えていると、カメラをハウジングにより、塵や埃、他の物の衝突による傷から、保護することができる。また、ハウジングに収納した状態のカメラを、棒状支持用部材の先端に取り付けることができる。
【0014】
前記ハウジングが、電磁波シールドを備えていると、カメラに他の無線通信装置からの無線信号が到達し難くなるため、更に、カメラと第2の無線通信装置との間の無線通信に、邪魔な他の無線信号が混入することを抑止することができる。
【0015】
前記カメラが水密状態で収納される水中撮影用のハウジングを備えていると、水中撮影をするときでも、第2の無線通信装置からの無線信号が、第2の無線通信装置のアンテナから空中に送信され、電線を通信路の一部として伝搬し、水密状態で、かつカメラと非接触状態の電線の一端部からカメラに到達することができる。また、カメラからの無線信号は、その反対方向の伝搬により第2の無線通信装置に到達する。従って、第2の無線通信装置からカメラまでの間の通信路に水が介在しないため、第2の無線通信装置とカメラとの間での無線信号は、大幅な減衰を伴うことなく、通信することができる。
【0016】
前記電線の一端部には、前記電線の導線部を収納して、水密状態で、前記ハウジングの外側面に接続する接続用部材が設けられていると、電線の一端部を水密状態でハウジングの外側面に設けることができる。電線の一端部は、ハウジングの外側面に配置されるため、既存のハウジングであっても、容易に、ハウジングに設けることができる。
【0017】
前記電線の一端部が、前記ハウジングを貫通して、前記ハウジング内の空間に突出していると、電線の一端部からの無線信号を、水密状態のハウジング内の空間に放出されることができる。
【0018】
前記電線の一端部が、前記ハウジングに埋入されていると、ハウジングに埋入されて水密状態となった電線の一端部からの無線信号を、ハウジングを介してハウジング内の空間に放出されることができる。
【0019】
前記電線は、同軸ケーブルにより形成されていると、網状線を、通信路となる芯線の保護シールドとして機能させることができる。
【0020】
前記他端部に、前記第2の無線通信装置が有する第1コネクタに嵌合する第2コネクタが設けられていることが望ましい。電線の他端部に第2の無線通信装置が有する第1コネクタに嵌合する第2コネクタが設けられていると、電線の他端部を第2の無線通信装置に接続することができるため、電線を安定させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置との間の無線通信は、電線を通して行うことができるので、他の無線信号に妨害されずに通信を行うことができるため、良好な通信環境を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る無線通信用補助具を図面に基づいて説明する。
図1に示す無線通信用補助具1は、同軸ケーブルである電線200の一端部201がカメラ20(第1の無線通信装置)に近接して配置されていると共に、電線200の他端部202がスマートフォン30(第2の無線通信装置)に近接して配置されている。
電線200の両端部(一端部201,他端部202)が、それぞれカメラ20とスマートフォン30に近接していることにより、カメラ20のアンテナ(図示せず)に対して非接触の状態であり、スマートフォン30のアンテナ(図示せず)に対して非接触の状態である。
【0024】
カメラ20は、無線信号により操作される機能を有し、静止画や動画が撮影できるデジタルカメラである。無線信号は、例えば、WiFiやBLUETOOTH、または他の無線方式とすることができる。
スマートフォン30は、カメラ20を無線操作するためのアプリケーションソフトがインストールされている。スマートフォン30は、カメラ20を無線信号により遠隔装置ためのアンテナ(図示せず)が内蔵されている。
【0025】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る無線通信用補助具1に使用状態について、図面に基づいて説明する。
撮影者は、スマートフォン30を操作装置として機能させるプログラムであるカメラ20を無線操作するためのアプリケーションソフトを起動する。このアプリケーションソフトの起動は、
図2に示すように、操作画面31に表示されたショートカットアイコン32をタップする。
ショートカットアイコン32をタップすることで起動したアプリケーションソフトによって、カメラ20からの映像が操作画面31にファインダー33として表示される(
図3参照)。撮影者は、このファインダー33を見て、気に入ったシーンが映ると、操作画面31のシャッターボタン34をタップしてカメラ20に撮影を指示する。
【0026】
このようなスマートフォン30とカメラ20との間の通信は、無線通信用補助具1である電線200を介して行われる。
スマートフォン30からの無線信号は、スマートフォン30内部のアンテナから空中に送信され、電線200の他端部202から、芯線211(
図6参照)を通信路の一部として電線200の一端部201まで伝搬し、空中を介してカメラ20の内部のアンテナに到達する。カメラ20からの無線信号は、その反対方向の伝搬によりスマートフォン30に到達する。
【0027】
このようにして、カメラ20のアンテナと、スマートフォン30のアンテナとの間に、非接触状態で電線200の両端部(一端部201,他端部202)を配置して、電線200を介在させてカメラ20とスマートフォン30とが通信することで、カメラ20とスマートフォン30との間の無線通信は、電線200を伝送路として行うことができるので、他の無線信号に妨害されずに通信を行うことができる。従って、無線通信用補助具1は、良好な通信環境を確保することができる。
【0028】
また、電線200をカメラ20やスマートフォン30に近接するだけでよいので、既存のカメラ20またはスマートフォン30を改造しなくてもよい。
【0029】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る無線通信用補助具の一例である水中撮影用器具を、図面に基づいて説明する。なお、
図4から
図7において、
図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
水中撮影用器具は、カメラを陸上から遠隔操作する際に使用されるものである。
【0030】
従来では、水中でのカメラ撮影は、撮影者がカメラと共に水中に潜水しなければ、水上または陸上から遠隔操作により行う必要がある。水中に沈めたカメラを遠隔操作できるものとして、特許文献2に記載されたものが知られている。また、水中で撮影可能なものとして、特許文献3に記載されたものが知られている。
【0031】
特許文献2に記載の吊り下げ型無線テレビカメラは、下面を透明窓とした水密構造のコンテナ内に、下向きのテレビカメラとその電源及び該テレビカメラでの画像信号を無線発信する回路を内蔵し、無線発信するための送信アンテナとして偏平なフィーダー線を無線発信する回路に接続し、且つ該フィーダー線で該コンテナを長さ自在に吊り下げるというものである。
【0032】
特許文献3に記載のカメラシステム及び防水ハウジングは、防水ハウジングの操作スイッチの操作状態に応じてスイッチ検出部から操作状態信号が無線送信部に出力されと、無線送信部がアンテナを介して無線通信アダプタに操作状態信号を無線送信し、無線通信アダプタが、受信した操作状態信号を、コネクタを介してカメラ本体に転送し、カメラ本体内部の制御部が、コネクタを介して入力された操作状態信号に基づいて各種制御を実行するというものである。
【0033】
しかし、特許文献2に記載の吊り下げ型無線テレビカメラでは、無線発信する回路に接続されたフィーダー線がアンテナに接続されているので、この技術を既存のカメラに適用するには、既存のカメラの筐体に貫通孔を設けて、電線を接続する必要があるため、適用が困難である。また、アンテナに直接フィーダー線を接続すると、フィーダー線の長さと、無線信号の波長との関係から、無線通信に支障が生じるおそれがある。
また、特許文献3に記載のカメラシステム及び防水ハウジングでは、防水ハウジング内部で無線通信するもので、遠隔操作できるものではない。
【0034】
そこで、無線信号が伝搬しにくい水中に所在する無線操作可能なカメラを、大きく変更することなく、水上または陸上から無線操作することが可能な水中撮影用器具が望まれている。
【0035】
図4および
図5に示すように水中撮影用器具100は、水中撮影用のハウジング10に収納されるカメラ20を、陸上、または水上などから、操作装置であるスマートフォン30にて、遠隔操作するときに、使用されるものである。
【0036】
水中撮影用器具100は、ハウジング10とカメラ20との間に配線される電線200と、電線200の一端部201をハウジング10に接続する接続用部材300と、棒状支持用部材であるロッド400と備えている。
電線200は、同軸ケーブルである。
図6に示すように、電線200は、導線部210と、被覆部220とを備えている。導線部210は、芯線211と、芯線211と対をなす網状線212とから構成される。被覆部220は、芯線211を覆う内部絶縁体221と、網状線212を覆う外皮絶縁体222とから構成されている。
【0037】
図5および
図6に示すように、接続用部材300は、電線200の一端部201を、水密状態で、かつカメラ20と非接触状態でハウジング10に配置するものである。接続用部材300は、樹脂製である。接続用部材300は、第1部分310と、第2部分320と、固定用部材330とを備えている。
【0038】
第1部分310は、ハウジング10の側面に密着した状態で接続される。第1部分310は、細長の直方体状に形成されている。第1部分310には、被覆部220から露出した芯線211が内部に収納される細長の第1空間311が形成されている。ハウジング10への接続は、ハウジング10と、第1部分310および第2部分320とを一体成形してもよい。ハウジング10と、第1部分310および第2部分320とを一体成形した場合には、水中撮影用器具100は、水中撮影用器具100付きのハウジング10として販売することができる。
【0039】
また、ハウジング10が市販されているような既存のものであるときには、第1部分310を、ハウジング10に溶着させたり、接着材や両面テープなどで貼り付けたり、ねじ止めしたりすることができる。
また、ハウジング10にスロットを設け、接続用部材の第1部分に板状突起を形成して、板状突起をスライドさせて、スロットに嵌め込み、接続用部材をハウジングに固定するようにしてもよい。
【0040】
第2部分320には、芯線211以外の軸太部分である内部絶縁体221,網状線212および外皮絶縁体222が収納される第2空間321が形成されている。また、固定用部材330のための雄ねじ面322が形成されている。
固定用部材330は、電線200を水密に第2部分320に固定するためのものである。固定用部材330は、電線200が挿通され、雄ねじ面322にねじ込まれる第1ナット331および第2ナット332と、電線200に巻き付けられた、または挿通させたパッキン部333を備えている。パッキン部333は、第2ナット332の内周面と電線200の外周面との隙間を塞ぎ、水密性を確保するものである。
【0041】
図4および
図7に示すように、電線200の一端部201の反対側である他端部202は、スマートフォン30と非接触状態で配置される。電線200の他端部202は、芯線211を被覆した内部絶縁体221を、外皮絶縁体222と網状線212とから露出した状態に形成されている。従って、芯線211は内部絶縁体221により被覆されたままであり、網状線212は外皮絶縁体222被覆されたままとすることができる。
電線200の他端部202は、スマートフォン30側に配置されていればよいため、外皮絶縁体222が全体を被覆した同軸ケーブルを切断したままの状態であったり、内部絶縁体221から芯線211が露出した状態であったりしてもよい。しかし、芯線211を保護するためには、芯線211は内部絶縁体221に覆われた状態とすることが望ましい。
図4に示すように、ロッド400は、段階的に伸縮するロッド本体410と、ハウジング10を取り付けたり、カメラ20を直接取り付けたりすることができる取付台420とを備えている。
【0042】
次に、ハウジング10について説明する。
図5に示すように、ハウジング10は、カメラ20を水中でも安全に使用できるように水密性を有している。ハウジング10は、内部のカメラ20の状態が外部から視認しやすいように透明樹脂により形成されている。ハウジング10は、カメラ20を内部に収納するために、カメラ20の外形に適合した収納空間が形成されている。
【0043】
以上のように構成された本発明の実施の形態2に係る水中撮影用器具100における使用状態について、図面に基づいて説明する。
図4に示すように、撮影者は、カメラ20が収納されたハウジング10をロッド400の取付台420に取り付け、ロッド本体410を適当な長さに調整した後、ロッド400の基端部を持って、先端部のカメラ20を水中に浸漬する。
次に、撮影者は、実施の形態1にて、
図2および
図3を用いて説明したようにして、スマートフォン30によりカメラ20を操作して撮影する。
【0044】
スマートフォン30からカメラ20までの間の通信路に水が介在することなく、電線200を通信路として無線信号が伝搬するため、スマートフォン30とカメラ20との間での無線信号は、大幅な減衰を伴うことなく、通信することができる。
また、接続用部材300は、ハウジング10の外側面に接触するように配置されている。そのため、既存のハウジング10であっても、ハウジング10の外側面に接続用部材300を接着したり、溶着したりするなどして、接続用部材300をハウジング10に接続すればよいので、容易に、接続用部材300をハウジング10に設けることができる。
また、接続用部材300は、電線200の被覆部220から露出した芯線211を収納して水密状態にしているため、ハウジング10と電線200との間に水を介在させることなく、電線200をハウジング10の近接した位置に配置することができる。
【0045】
従って、水中撮影用器具100をカメラ20とスマートフォン30との間に介在させることで、水中での撮影には不向きな無線操作可能なカメラ20を大きく変更することなく、ハウジング10に収納して水中で撮影することができる。
【0046】
更に、
図6に示すように、電線200が同軸ケーブルによって形成されているため、網状線212が通信路となる芯線211を外来ノイズから保護するシールドとして機能する。従って、電線200は高品質な通信を確保することができる。
【0047】
本実施の形態2では、
図4に示すように、ハウジング10はロッド400の先端に取り付けられていたが、接続用部材300とハウジング10との接続強度、電線200の強度が十分であれば、ロッド400を使わずに、電線200によりカメラ20を収納したハウジング10を直接吊り下げてもよい。
また、ロッド400は伸縮するものであるが、ハウジング10が先端部に取り付けられる取付台420を備えていれば、棒状支持用部材は、複数のパーツに分離するものであったり、伸縮できないものであったりしてもよい。
【0048】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る水中撮影用器具について、図面に基づいて説明する。
図8に示す本実施の形態3に係る水中撮影用器具は、電線200の一端部201がハウジング10を貫通して、ハウジング10内の空間に電線200を突出させている。図示しない電線200の他端部202は、
図1および
図4と同様にスマートフォン30と非接触状態であればよい。
【0049】
電線200は、一端部201の外皮絶縁体222と網状線212とが除去されていると共に、内部絶縁体221から芯線211が露出している。
ハウジング10には、チューブ340が貫通している。このチューブ340に電線200の一端部201が挿通している。そして、第1ナット331および第2ナット332により電線200の一端部201をチューブ340の上から締め付けることで、電線200の一端部201がハウジング10に固定されている。
このように、電線200の一端部201がハウジング10を貫通して、ハウジング10内の空間に電線200を突出させているため、電線200の一端部201からの無線信号を、水密状態のハウジング10内の空間に放出させることができる。
【0050】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る水中撮影用器具について、図面に基づいて説明する。
図9に示す本実施の形態4に係る水中撮影用器具は、電線200の一端部201がハウジング10に埋入されている。図示しない電線200の他端部202は、
図1および
図4と同様にカメラ20と非接触状態であればよい。
【0051】
電線200は、一端部201の外皮絶縁体222と網状線212とが除去されていると共に、内部絶縁体221から芯線211が露出している。
ハウジング10への電線200の一端部201の埋入は、ハウジング10を成形する際に、ハウジング10の成形金型内の成形用空間(キャビティ)に電線200の一端部201を配置する。そうすることで、ハウジング10が成形されると、電線200の一端部201がハウジング10と一体的に隙間無くハウジング10に埋入した状態となる。
このように、電線200の一端部201がハウジング10に埋入されていることで、一端部を水密状態で、かつカメラ20と非接触状態とすることができるので、電線200の一端部201からの無線信号を、ハウジング10を透過させてハウジング10内の空間に放出させることができる。
【0052】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る水中撮影用器具について図面に基づいて説明する。
本実施の形態5では、スマートフォン30(
図1参照)側に配置される電線200の他端部202に、
図10に示すように、スマートフォン30のイヤホンジャック(第1コネクタ)に嵌合するイヤホンプラグ500(第2コネクタ)が設けられている。
【0053】
イヤホンプラグ500は、電線200の通信路となる導線部210(芯線211)と導通状態としている。従って、イヤホンプラグ500をスマートフォン30のイヤホンジャックに嵌合させると、導線部210はスマートフォン30の音声出力回路に接続される。そして、スマートフォン30によりカメラ20を操作しているときは、スマートフォン30は、音声出力しておらず、電線200による無線信号の伝搬も微小電力である。そのため、イヤホンプラグ500に導線部210が導通状態であっても、音声出力回路に悪影響を及ぼさない。
【0054】
また、スマートフォン30のイヤホンジャックに接続された音声出力回路の信号線に、導線部210からの無線信号が伝搬する。そのため、スマートフォン30のアンテナにより近い位置へ導線部210からの無線信号を伝搬させることができるので、更に、通信品質を向上させることができる。
【0055】
また、イヤホンプラグ500をイヤホンジャックに嵌合させることで、電線200の他端部202がスマートフォン30に固定される。そのため、電線200の他端部202を安定させることができる。また、電線200の他端部202をスマートフォン30に接近させて配置することができる。
【0056】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6に係る水中撮影用器具について図面に基づいて説明する。
図11に示すように、本実施の形態6に係る水中撮影用器具101では、ロッド400のロッド本体410に、電線200を配線する保持部材430が所定間隔ごとに配置されている。
保持部材430は、電線200が保持できればよいので、様々な形状なものが採用できる。例えば、
図12(A)に示すように保持部材431は、貫通孔431aが形成されており、電線200を挿通させて配置するものや、
図12(B)に示すように、保持部材432には一対の爪部432aが形成されて、一対の爪部432aの間の円形状の空間432bに電線200を収納して挟み込むクリップ式である。
このように、保持部材430(431,432)がロッド400に所定間隔ごとに配置されていることで、電線200をロッド本体410に沿って配線することができる。従って、撮影者がロッド400を操作するときに電線200が邪魔にならない。
【0057】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7に係る水中撮影用器具について図面に基づいて説明する。なお、
図13においては、
図8と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
本実施の形態7に係る水中撮影用器具は、
図8に示す実施の形態3に係る水中撮影用器具のハウジングに電磁波シールドを備えさせることにより、陸上でも良好に無線通信できるようにしたものである。
【0058】
ハウジング10の電磁波シールドは、ハウジング10にカメラを収納したときにカメラのレンズが位置する撮影用窓部11を除いた内側面に設けた防磁層12である。
この防磁層12は、銀コートされた銅粉を吹き付けることにより形成することができる。銀コートされた銅粉は、電磁波シールド材として販売されているものが使用できる。また、撮影用窓部11には、透明の電磁波シールドフィルムを貼ることもできる。更に、撮影用窓部11に電磁波シールドフィルムを貼るだけでなく、撮影用窓部11以外にも、電磁波シールドフィルムを貼って、防磁層12とすることも可能である。
【0059】
防磁層12がカメラを囲うことで、防磁層12が電波を遮断する。そして、防磁層12が囲う内部空間に電線200の芯線211が露出している。そうすることで、カメラへの電線200を通じて伝送される無線信号以外の無線信号は、ハウジング10に形成された防磁層12が遮断する。従って、この水中撮影用器具を空中で使用しても、カメラとスマートフォンとの間の無線通信は、他の無線信号に妨害されずに通信を行うことができる。よって、防磁層12を備えたハウジング10は、水中でも、空中でも、更に、良好な通信環境を確保することができる。
【0060】
本実施の形態7では、電磁波シールドとしてハウジング10の内側面に防磁層12を設けていたが、電磁波シールドは撮影用窓部11以外に設けられていればよいため、防磁層12はハウジング10の外側面、またはハウジング10の内部に設けられていてもよい。
また、防磁層12の代わりに金属メッシュをハウジング10に設けるようにしてもよい。更に、ハウジング10を金屬箱により形成しても、ハウジング10は電磁波シールドとして機能する。
【0061】
なお、
図5に示すハウジング10に電磁波シールドを設けるときには、接続用部材300のハウジング10側の側面312と撮影用窓部11とを除いて、カメラ20および電線200の芯線211を囲うように電磁波シールドを設ける。
また、
図9に示すハウジング10に電磁波シールドを設けるときには、ハウジング10の内側面であって、電線200の芯線211の側方に位置するカメラ方向部分13と、撮影用窓部11とを除いて、カメラ20および電線200の芯線211を囲うように電磁波シールドを設ける。
そうすることにより、カメラ20とスマートフォン30との間の無線通信を、他の無線信号に妨害されずに通信させることができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態1〜7を説明したが、本発明は上記実施の形態1〜7に限定されるものではない。
実施の形態1では、
図1に示すように、第1の無線通信装置をカメラ20、第2の無線通信装置をスマートフォン30として説明したが、第1の無線通信装置をプリンタやビデオカメラ、その他の無線通信装置とすることができる。また、第2の無線通信装置をタブレット型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータとすることができる。更に、無線通信用補助具は、第1の無線通信装置および第2の無線通信装置同士が遠く離れた位置にあっても良好な無線環境を提供できるので、工事現場に設置され、業務に適した専用の無線通信装置とすることもできる。
【0063】
また、実施の形態2〜7においては、ハウジング10は水密性を有していたが、陸上または空中のみで使用するときには、ハウジング10に水密性が無くてもよい。カメラ20がハウジング10に収納されていることで、カメラ20をハウジング10により、塵や埃、他の物の衝突による傷から保護することができる。また、ハウジング10に収納した状態のカメラ20をロッド400の先端に取り付けることができる。
一方、本発明の無線通信用補助具を陸上または空中のみで使用するときには、ハウジング10を使用せず、カメラ20を、棒状支持用部材であるロッド400に直接取り付けるようにしてもよい。
【0064】
更に、実施の形態2〜7においては、無線信号は、スマートフォン30とカメラ20との間の通信に使用されていた。しかし、ハウジング内に設置された雲台にカメラ20を取り付けた場合、雲台にカメラ20の撮影方向の俯仰角を変更するモーターを設ければ、水中撮影用器具100の電線200は、このモーターを駆動するための無線信号を伝送する通信路としても機能させることができる。
このとき、雲台の俯仰角の変更は、モーターが無線操作可能なものであれば、カメラ20と同様に、電線を介して操作装置から無線信号により操作することができる。また、モーターが無線操作できないものであれば、カメラ20を操作する無線信号を伝搬させる電線と、モーターを操作する有線信号を伝搬させる電線とが1本に構成された電線を使用するのが望ましい。
【0065】
また、実施の形態5では、スマートフォン30のイヤホンジャックを第1コネクタとし、第2コネクタとしてイヤホンプラグ500を電線200の他端部202に設けていたが、スマートフォン30が備えるコネクタであれば、第1コネクタは、あらゆるコネクタが利用できる。例えば、第1コネクタは、USBコネクタであってもよい。また、操作装置がタブレット型端末装置やノートブック型パーソナルコンピュータなどの携帯用端末装置であれば、電源プラグやモニタ接続用コネクタ、LAN用コネクタを利用してもよい。つまり、操作装置が有する第1コネクタが利用でき、第2コネクタはこれらのコネクタに嵌合できるものであればよい。
更に、電線200は同軸ケーブルであったが、単線や撚線、平行線などあらゆる電線が使用できる。
【0066】
この水中撮影用器具は、水中では使用できない無線操作のカメラを水中で使用することができるので、個人が行う趣味の魚の撮影や海底の撮影だけでなく、企業が行う営業的な調査・探索などにも使用することができる。