【課題を解決するための手段】
【0011】
(要旨)
半二重シリアル1ワイヤデータバスとしてワイヤペアを使用する、イーサネット(登録商標)PoDLの検出および分類スキームが開示されている。これは、任意の量の情報が低電流ハンドシェイク段階中に通信され得るので、現在使用されているイーサネット(登録商標)PoEスキームを超える有意な利点を提示する。例えば、PSE/PDシリアルリンクは、スレーブPHYの最大データ速度能力および他のパラメータを決定するために、通常のイーサネット(登録商標)動作の前に、2つのPHYから分離して、補助通信チャンネルとしても使用され得る。
【0012】
PoDLシステムにおいて、PSEがワイヤペアを介して十分なDC電圧を供給することを可能にされる前に、PDは、PDの検出および分類情報(または任意の他の情報)を送信するために電源を要求する。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、PSEは、ワイヤペア内の第1のペアに結合される小規模引上げ電流源および引下げMOSFETを含む。ワイヤペア内の他のワイヤは、共通基準として作用する。引下げMOSFETを制御する論理が第1のワイヤを介してPDにデータを送信するために使用される。
【0014】
最初にPSEのDC電圧源をPDから絶縁するために、電圧源とワイヤペアとの間のPSE内の第1のスイッチが開かれている。引上げ電流は、第1のインダクタ(ローパスフィルタ)を介して第1のワイヤに常に結合されるように第1のスイッチを迂回する。
【0015】
引上げ電流は、PD内の整流器を通してコンデンサを充電し、コンデンサの両端の電圧は、シャントレギュレータによって(例えば4.5ボルトに)制限される。この電圧は、検出および分類ルーチンを実行するPD論理電気回路を駆動するために使用される。PD論理およびPSE論理は、各引下げMOSFETの制御を介して通信して、PSEマスターPHYまたはPDスレーブPHYを必要とすることなく検出および分類ルーチンを完了する(PHYは、結局は、ワイヤペアを介して通常のイーサネット(登録商標)通信のために使用される)。ハンドシェイク段階中の通信は、引下げMOSFETの制御を介するものであり、結合/減結合ネットワークのローパスインダクタを通過するのに十分低い周波数を有する。対照的に、PHYを介する通常のイーサネット(登録商標)通信は、高周波数であり、結合/減結合ネットワークのハイパスコンデンサを通過する。それゆえ、本システムは、周波数分割多重を使用してPSEとPDとの間に追加の通信チャンネルを作成する。
【0016】
見られるように、ワイヤペアは、検出および分類段階(およびハンドシェイク段階の任意の追加の部分)中に半二重1ワイヤシリアルリンクとして使用され、PD論理のための全ての電力は、データの送信のために使用される、PSE内の同一の引下げ電力源から引き出される。
【0017】
検出および分類ルーチンが成功した後に、PSE電圧源をワイヤペアに結合している第1のスイッチは、システムの通常の動作のために、閉じられて、それにより、PD側を十分に駆動する。
【0018】
低電圧ハンドシェイク段階中、PSEは、ワイヤペアの往復抵抗を決定するために、低電力引上げ電流を制御し得、電圧内の対応する変化を測定し得る。この抵抗は、通常の動作中にワイヤペアに印加されるPoDL電圧を調節するために使用されることにより、ワイヤペアの抵抗を補償し得る。
【0019】
他の実施形態が開示されている。
【0020】
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
ワイヤペアを介して電力およびデータを供給するためのパワーオーバーデータライン(PoDL)システムであって、該ワイヤペアは、受電デバイスに結合される第1のワイヤおよび第2のワイヤであり、該システムは、
該ワイヤペアの給電装置(PSE)側と、
該ワイヤペアの受電デバイス(PD)側と
を備え、
該PSE側は、
DC電圧を供給するDC電圧源と、
該第1のワイヤに結合される第1のローパスフィルタと、
該DC電圧を該第1のワイヤに選択的に結合するための、該DC電圧源と該第1のローパスフィルタとの間に結合される第1のスイッチと、
第1のノードにおいて該第1のローパスフィルタに結合される第1の引上げ電流源と、
該第1のノードに結合される第1の引下げデバイスと、
該第1のスイッチと該第1の引下げデバイスとを制御する第1の制御回路と、
第1のハイパスフィルタを介して該ワイヤペアに結合される第1の差動データトランシーバと
を備え、
該PD側は、
該第1のワイヤに結合される第2のローパスフィルタと、
該第2のローパスフィルタに結合される第1のコンデンサと、
該第2のローパスフィルタに結合される第2の引下げデバイスと、
第2のハイパスフィルタを介して該ワイヤペアに結合される第2の差動データトランシーバと、
該第2の引下げデバイスを制御する第2の制御回路であって、該第1のコンデンサは、該第2の制御回路の電圧入力端子に結合される、第2の制御回路と
を備え、
該DC電圧源を該第1のワイヤに結合するために該第1のスイッチが閉じられる前に、該第1の引き上げ電流源は、該第2の制御回路を駆動するために該第1のコンデンサを該第2の制御回路の動作電圧まで充電し、
該第1の制御回路および該第2の制御回路は、該DC電圧源が該第1のワイヤに印加される前に該第1の引下げデバイスおよび該第2の引下げデバイスを制御することによって該第1のワイヤを介して第1のシリアルデータを送受信するように構成され、その結果、該第1の引き上げ電流源は、該第2の制御回路を動作させるために電力を提供すると同時に、該第1のワイヤを介してシリアルデータを送信するために該第1のワイヤを引上げるようにも使用される、システム。
(項目2)
前記第2のローパスフィルタとPD負荷との間に結合される第2のスイッチをさらに備え、少なくとも該PD負荷に関する動作特性を通信するために前記第1の制御回路および前記第2の制御回路が前記シリアルデータを送受信した後に該PD負荷に前記DC電圧源を結合するために、該第2の制御回路は該第2のスイッチを閉じ、該第1の制御回路は前記第1のスイッチを閉じる、上記項目に記載のシステム。
(項目3)
前記第2の差動トランシーバは、前記第1のスイッチがオフであるとき、前記第1のコンデンサによって提供される前記動作電圧によって駆動されない、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目4)
前記第1のコンデンサによって提供される前記動作電圧を目標電圧に制限するために、該第1のコンデンサに結合されるシャント回路をさらに備える、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目5)
前記第1のコンデンサの両端の電圧を制限するために、該第1のコンデンサに結合される電圧制限デバイスをさらに備え、それにより、該電圧制限デバイスが前記第2の制御回路に前記動作電圧を提供する、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目6)
前記第1の制御回路および前記第1の差動データトランシーバは、前記DC電圧源から駆動される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目7)
前記第2の差動データトランシーバは、前記第1のスイッチが閉じているとき、前記DC電圧源から駆動される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目8)
前記第2の差動データトランシーバは、前記第1のスイッチが閉じているとき、該第2の差動トランシーバが前記DC電圧源から電圧を受けるまで、不能である、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目9)
前記第1のシリアルデータは、前記第1のスイッチが閉じる前に検出および分類段階のためのデータを含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目10)
前記第1の差動データトランシーバおよび前記第2の差動データトランシーバが使用可能にされるとき、該第1の差動データトランシーバおよび該第2の差動データトランシーバは、前記ワイヤペア、前記第1のハイパスフィルタおよび前記第2のハイパスフィルタを介して双方向に差動データを通信する、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目11)
前記第1のシリアルデータは、前記第1のローパスフィルタおよび前記第2のローパスフィルタを介して前記第1の制御回路と前記第2の制御回路との間で通信される一方で、前記第1の差動データトランシーバおよび前記第2の差動データトランシーバは、前記ワイヤペア、前記第1のハイパスフィルタおよび前記第2のハイパスフィルタを介して双方向に差動データを通信する、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目12)
少なくとも2つの周波数分割多重化チャンネルが、前記第1のローパスフィルタおよび前記第2のローパスフィルタによって伝導される前記第1のシリアルデータと、前記第1のハイパスフィルタおよび前記第2のハイパスフィルタを介して前記第1の差動データトランシーバおよび前記第2の差動データトランシーバによって送信されるより高いデータ速度のイーサネット(登録商標)差動データ信号とを使用して前記ワイヤペアを介して提供される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目13)
第1のダイオードが前記第1のコンデンサと前記第2のローパスフィルタとの間に結合される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目14)
ワイヤペアを介して電力およびデータを供給するためのパワーオーバーデータライン(PoDL)システムによって行われる方法であって、該ワイヤペアは、受電デバイスに結合される第1のワイヤおよび第2のワイヤであり、該方法は、
給電装置(PSE)が第1のローパスフィルタを介して引上げ電流を該ワイヤペア内の該第1のワイヤに提供することと、
該引上げ電流によって該受電デバイス(PD)内の第1のコンデンサを充電することにより、該第1のコンデンサの両端の所望の動作電圧を達成することと、
該第1のコンデンサを該PD内の第1の制御回路の入力電圧端子に結合することにより、該第1の制御回路を動作させることと、
該第1の制御回路と該PSE内の第2の制御回路との間で第1のシリアルデータを送信するために、該PDおよびPSE内の引下げデバイスを制御することにより、該第1のワイヤを選択的に引下げることであって、該第1のシリアルデータは、少なくとも該PDの動作特性を伝達する、ことと、
該第1のシリアルデータが該PSEによって処理された後にのみ、該第1のローパスフィルタを介して、動作電圧を該PDに供給するために、DC電圧源を該第1のワイヤに結合することと、
該ワイヤペアを介してかつハイパスフィルタを介して、該PSE内の第1の差動データトランシーバと該PD内の第2の差動データトランシーバとを使用して、該PSEと該PDとの間で通信することであって、その結果、該第1のシリアルデータが該第1のローパスフィルタを介して該PSEと該PDとの間で通信され、該第1の差動データトランシーバおよび該第2の差動データトランシーバが該ワイヤペアおよび該ハイパスフィルタを介して双方向に差動データを通信する、ことと
を含む、方法。
(項目15)
電圧制限回路を使用して前記第1のコンデンサの両端の電圧を制限することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
前記第1のシリアルデータは、前記第1のワイヤおよび第2のワイヤの向こう側へ前記DC電圧源を結合するべきかどうかを決定するために、少なくとも検出および分類データを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
前記引上げ電流によって前記PD内の前記第1のコンデンサを充電するステップは、前記第1のワイヤと該第1のコンデンサとの間に結合される、該PD内の第2のローパスフィルタを介して、該引上げ電流によって該第1のコンデンサを充電することを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0021】
(開示の要約)
PoDLシステムは、単一のねじれワイヤペアを介してDC電力およびイーサネット(登録商標)データをPDに供給するPSEを含む。DC電圧源をワイヤペアに結合する前に、PDは、PSEを用いて検出および分類ルーチンを行ってPDがPoDL対応かどうかを決定するのに十分な電力を受ける必要がある。PSEは、第1のインダクタを介してワイヤペア内の第1のワイヤに結合された低電流引上げ電流源を有する。この引上げ電流は、PD内のコンデンサを所望の動作電圧まで充電し、動作電圧は、PD論理回路を駆動するために使用される。次いで、PD論理回路およびPSE論理回路は、引下げトランジスタを制御することにより、第1のワイヤを介して検出および分類データを通信する。