(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基部と、本体部と、前記本体部に回転可能に連結された取付部材とを備え、前記基部が、第1面を有する基材と、前記第1面上に前記基材に対して前記第1面に沿う第1方向へ移動可能に設けられた第1可動部材と、前記第1可動部材の前記基材に対する前記第1方向の位置を調節する第1位置調節機構とを有し、前記第1可動部材と前記本体部とが間接又は直接に着脱可能に連結されたヒンジ装置であって、
前記基材の前記第1面には、軸案内凹部と嵌合凹部とが形成されており、
前記第1位置調節機構として、前記軸案内凹部に基材側案内部が設けられるとともに、前記基材と前記第1可動部材との間には第1調節軸が設けられ、前記第1調節軸が、前記第1可動部材に前記第1面と直交する第1回転軸線のまわりに回転可能に係合されるとともに前記軸案内凹部に前記第1方向へ案内可能に嵌められた第1軸部と、前記基材側案内部と係合する第1軸側案内部とを一体に有し、
前記第1可動部材には嵌合部が設けられ、この嵌合部が、前記嵌合凹部に前記第1方向へ摺動可能に嵌め込まれており、
前記嵌合凹部が、前記軸案内凹部の前記第1方向の両側方に一対設けられ、前記嵌合部が、前記第1可動部材の前記第1方向の両側部に一対設けられ、各嵌合部が、対応する嵌合凹部に前記第1方向へ摺動可能に嵌め込まれていることを特徴とするヒンジ装置。
前記第1可動部材が、前記第1面に沿うとともに前記第1方向と直交する第2方向に延び、かつ前記第1可動部材の前記第2方向の一端部には係止凸部が形成され、前記係止凸部が前記基材の前記第2方向の縁に前記第1方向へ摺動可能に引っ掛けられており、
さらに前記基材には連結突起が設けられ、前記第1可動部材の前記第2方向の他端部が、前記第1方向に延びる連結ピンによって前記連結突起に前記第1方向へ移動可能に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒンジ装置。
前記基部が、前記第1可動部材に対して前記第1面に沿うとともに前記第1方向と直交する第2方向へ移動可能な第2可動部材と、前記第2可動部材の前記第1可動部材に対する前記第2方向の位置を調節する第2位置調節機構とを更に有し、前記第2可動部材が、前記本体部と着脱可能に連結される連結部を有して前記第1可動部材を挟んで前記基材とは反対側に設けられており、
前記第2位置調節機構として、前記第1可動部材に第1可動側案内部が設けられるとともに、前記第1可動部材と前記第2可動部材との間には第2調節軸が設けられ、前記第2調節軸が、前記第2可動部材に前記第1回転軸線と平行な第2回転軸線のまわりに回転可能に係合された第2軸部と、前記第1可動側案内部と係合する第2軸側案内部とを一体に有していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のヒンジ装置。
第1面を有する基材と、前記第1面上に前記基材に対して前記第1面に沿う第1方向へ移動可能に設けられた第1可動部材と、前記第1可動部材の前記基材に対する前記第1方向の位置を調節する第1位置調節機構とを有し、前記第1可動部材が、取付部材と回転可能に連結された本体部と間接又は直接に着脱可能に連結されるヒンジ装置基部であって、
前記基材の前記第1面には、軸案内凹部と嵌合凹部とが形成されており、
前記第1位置調節機構として、前記軸案内凹部に基材側案内部が設けられるとともに、前記基材と前記第1可動部材との間には第1調節軸が設けられ、前記第1調節軸が、前記第1可動部材に前記第1面と直交する第1回転軸線のまわりに回転可能に係合されるとともに前記軸案内凹部に前記第1方向へ案内可能に嵌められた第1軸部と、前記基材側案内部と係合する第1軸側案内部と、を一体に有し、
前記第1可動部材には嵌合部が設けられ、この嵌合部が、前記嵌合凹部に前記第1方向へ摺動可能に嵌め込まれており、
前記嵌合凹部が、前記軸案内凹部の前記第1方向の両側方に一対設けられ、前記嵌合部が、前記第1可動部材の前記第1方向の両側部に一対設けられ、各嵌合部が、対応する嵌合凹部に前記第1方向へ摺動可能に嵌め込まれていることを特徴とするヒンジ装置基部。
前記第1可動部材が、前記第1面に沿うとともに前記第1方向と直交する第2方向に延び、かつ前記第1可動部材の前記第2方向の一端部には係止凸部が形成され、前記係止凸部が前記基材の前記第2方向の縁に前記第1方向へ摺動可能に引っ掛けられており、
さらに前記基材には連結突起が設けられ、前記第1可動部材の前記第2方向の他端部が、前記第1方向に延びる連結ピンによって前記連結突起に前記第1方向へ移動可能に連結されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のヒンジ装置基部。
前記基部が、前記第1可動部材に対して前記第1面に沿うとともに前記第1方向と直交する第2方向へ移動可能な第2可動部材と、前記第2可動部材の前記第1可動部材に対する前記第2方向の位置を調節する第2位置調節機構とを更に有し、前記第2可動部材が、前記本体部と着脱可能に連結される連結部を有して前記第1可動部材を挟んで前記基材とは反対側に設けられており、
前記第2位置調節機構として、前記第1可動部材に第1可動側案内部が設けられるとともに、前記第1可動部材と前記第2可動部材との間には第2調節軸が設けられ、前記第2調節軸が、前記第2可動部材に前記第1回転軸線と平行な第2回転軸線のまわりに回転可能に係合された第2軸部と、前記第1可動側案内部と係合する第2軸側案内部とを一体に有していることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載のヒンジ装置基部。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1〜
図11は、本発明の第1実施形態を示したものである。
図1及び
図2に示すように、例えば家具等の躯体9の鉛直な側壁9a(躯体本体)に、ヒンジ装置1を介して、扉9bが鉛直な軸まわりに回転可能に連結されている。ヒンジ装置1は、表側部を右方へ向け、裏側部を左方へ向け、先端部を前方へ向け、後端部を奥方向へ向け、更に幅方向を上下方向(第1方向)へ向けて、側壁9aから扉9bに跨っている。さらに、ヒンジ装置1には、扉9bを側壁9aに対して上下、前後(第1方向と直交する第2方向)、左右(第1方向とも第2方向とも直交する第3方向)の三方向に位置調節する機能が設けられている。
【0015】
詳述すると、
図2及び
図3に示すように、ヒンジ装置1は、基部2(ヒンジ装置基部)と、本体部3とを備えている。基部2が側壁9aに固定される。基部2の表側(
図2において下、
図3において上)に本体部3が着脱可能に被さっている。本体部3は、内部空間が裏側(
図2において上、
図3において下)に向かって開口する概略U字状の断面を有して、前後方向(第1方向と直交する第2方向)に延びている。本体部3の前端部(
図2において左)には、連結機構5を介して取付部材4が回転可能に連結されている。この取付部材4に扉9bが固定されている。
図2及び
図4に示すように、連結機構5は、2つのリンク5a,5bを含む。これらリンク5a,5bの基端部がそれぞれ連結ピン5c,5dを介して本体部3の前端部に連結されるとともに、リンク5a,5bの先端部がそれぞれ取付部材4に連結され、これによって、四節リンク機構が構成されている。この四節リンク機構によって、開状態(
図2において実線)のときは側壁9aの前端面と扉9bの端面どうしが対向し、閉状態(
図2において二点鎖線)のときは側壁9aの前端面に扉9bの内側面の端部が被さるようにして、扉9bが開閉可能になっている。さらに、本体部3の前端部には、支持ピン5e及び支持筒5fを介して捩りコイルばね5Sが設けられている。この捩りコイルばね5Sによって、扉9bが開状態のときは開方向(
図2において時計まわり)に付勢され、扉9bが半開〜閉状態のときは閉方向(
図2において反時計まわり)に付勢される。
【0016】
ヒンジ装置基部2は、次のように構成されている。
図5に示すように、基部2は、基材10と、第1可動部材11と、第2可動部材12とを有している。
図6及び
図7(b)に示すように、基材10は、表側(
図6において紙面手前)を向く表側面10aと、裏側(
図7(b)において紙面手前)を向く裏面10bとを有する概略四角形の板状になっている。
図1及び
図2に示すように、この基材10が、四隅のネジ挿通孔10cを通して側壁9aにネジ止めされている。基材10の表側面10aは、第1方向及び第2方向に沿うとともに第3方向と直交することで、特許請求の範囲の「第1面」を構成している。裏面10bは、側壁9aに宛がわれている。
【0017】
図8及び
図9に示すように、基材10の表側に第1可動部材11が設けられ、更に第1可動部材11の表側に第2可動部材12が設けられている。第1可動部材11は、基材10に対して第1方向(上下)へ移動可能かつ第2方向(前後)へ移動不能かつ第3方向(左右)へ移動不能に係合されている。第2可動部材12は、第1可動部材11に対して第1方向(上下)へ移動不能かつ第2方向(前後)へ移動可能かつ第3方向(左右)へ移動可能に係合されている。この第2可動部材12に本体部3が着脱可能に取り付けられている。言い換えると、第1可動部材11に本体部3が間接的に着脱可能に取り付けられている。
【0018】
図2及び
図5に示すように、基材10と第1可動部材11との間には、第1位置調節機構30が介在されている。第1位置調節機構30によって、第1可動部材11の基材10に対する第1方向(上下)の位置が調節される。第1可動部材11と第2可動部材12との間には、第2位置調節機構40が介在されている。第2位置調節機構40によって、第2可動部材12の第1可動部材11に対する第2方向(前後)の位置が調節される。さらに、第1可動部材11と第2可動部材12との間には、第3位置調節機構50が介在されている。第3位置調節機構50によって、第2可動部材12の第1可動部材11に対する第3方向(左右)の位置が調節される。したがって、これら3つの位置調節機構30,40,50を含む基部2によって、本体部3を第1方向(上下)、第2方向(前後)、第3方向(左右)の三方向に位置調節することができる。ひいては、扉9bを側壁9aに対して三方向に位置調節することができる。
【0019】
ヒンジ装置基部2の構造をさらに詳述する。
図6に示すように、基材10の表側面10aには、軸案内凹部10dと嵌合凹部10e,10eとが形成されている。軸案内凹部10dは、表側面10aの中央部に配置されており、第1方向(上下)の寸法が第2方向(前後)の寸法よりも大きい長方形状ないしは長円形状になっている。
【0020】
軸案内凹部10dの第1方向の両側方に一対の嵌合凹部10e,10eが設けられている。これら嵌合凹部10e,10eは、軸案内凹部10dに連なるとともに軸案内凹部10dから第1方向の両側へ溝状に延び、基材10の第1方向(上下)の両縁に達している。嵌合凹部10eの深さと軸案内凹部10dの深さは互いに同一であり、嵌合凹部10eの底面と軸案内凹部10dの底面とは互いに面一になっている。嵌合凹部10eの第2方向(前後)に沿う幅寸法は、軸案内凹部10dの同方向の寸法よりも小さく、軸案内凹部10dが嵌合凹部10eにおける前側(
図6において左)の縁よりも前方へ突出している。軸案内凹部10dの前側の縁と嵌合凹部10eの前側の縁との間には段差が形成されている。嵌合凹部10eにおける後側(
図6において右)の縁は、軸案内凹部10dの後側の縁と一直線に連なっている。
なお、軸案内凹部10dが嵌合凹部10eから後側(
図6において右)へも突出していてもよい。
【0021】
図5及び
図9に示すように、第1可動部材11は、表板部11aと一対の側板部11b,11bとを有して一方向に延び、その長手方向と直交する断面が概略U字状になっている。この第1可動部材11が、長手方向を第2方向(前後)へ向けて、基材10の表側面10a上に第1方向(上下)へ移動可能に配置されている。第1可動部材11の長手方向の中間部が軸案内凹部10d上に被さっている。表板部11aは、表側(
図9において右)へ向けられ、一対の側板部11b,11bは、互いに第1方向(上下)に対向している。3つの板部11a,11b,11bによって内部空間11cが画成されている。内部空間11cは、裏側すなわち基材10の表側面10aへ向かって開口されるとともに第2方向(前後)の両端へも開口されている。
【0022】
第1可動部材11の長手方向の中央部には、嵌合部11d,11dが一体に設けられている。嵌合部11d,11dは、一対をなし、第1可動部材11における第1方向の両側部すなわち側板部11b,11bに一体形成されている。これら嵌合部11d,11dは、それぞれ対応する側板部11bにおける表板部11とは反対側(基材10側)の縁から第1方向(上下)に沿って外方へ突出している。各嵌合部11dの中間部は段差状に折り曲げられており、該折曲部より先端側の先端部11eが、該折曲部より基端側(側板部11b側)の部分に対して裏側(
図9において左)へ突出している。
図7(a)及び
図9に示すように、上側の嵌合部11dの先端部11eは、軸案内凹部10dよりも上側の嵌合凹部10eに第1方向(上下)へ摺動可能に嵌っている。下側の嵌合部11dの先端部11eは、軸案内凹部10dよりも下側の嵌合凹部10eに第1方向(上下)へ摺動可能に嵌っている。これら嵌合部11dと嵌合凹部10eとの嵌合によって、第1可動部材11が基材10に対して第1方向(上下)へ移動可能になるとともに第2方向(前後)への移動が阻止されている。
【0023】
図5及び
図6に示すように、基材10の前端縁の中央部には、係止凹部10fが形成されている。一方、
図5及び
図7(b)に示すように、第1可動部材11の一対の側板部11b,11bの前端部(第2方向の一端部)には、それぞれL字状の係止凸部11fが形成されている。係止凸部11fが係止凹部10fの縁(基材10の第2方向の縁)に第1方向(上下)へ摺動可能に引っ掛けられている。この引っ掛けによって、第1可動部材11の基材10に対する後方(
図7において右)への移動及び第3方向(
図7において紙面と直交する方向)への移動が阻止されている。
【0024】
さらに、
図5及び
図6に示すように、基材10における凹部10d,10eよりも後端側(
図6において右)には、切り起こし状の連結突起10gが表側(
図6において紙面手前)へ突出するように形成されている。連結突起10gは、第1方向と直交する小片の板状になっている。この連結突起10gに円形の連結穴10hが形成されている。
図5に示すように、第1可動部材11の一対の側板部11b,11bの後端部(第2方向の他端部)にはそれぞれ円形の連結穴11hが形成されている。これら連結穴10h及び連結穴11h,11hに、連結ピン14が軸線を第1方向(上下)へ向けて挿通されている。言い換えると、連結ピン14が第1可動部材11及び連結突起10gを第1方向に貫通している。この連結ピン14によって、第1可動部材11が基材10に対して第2方向(前後)及び第3方向(左右)へ移動するのが阻止されている。また、連結ピン14は、連結突起10gに対して当該連結ピン14の軸線に沿う第1方向(上下)へスライド可能であり、これによって、第1可動部材11が基材10に対して第1方向(上下)へ移動するのを許容している。この連結ピン14の頭部14aが、第1可動部材11の一方の側板部11bの外側面に引っ掛かっている。また、連結ピン14の脚部先端14cが、カシメにて拡径されて第1可動部材11の他方の側板部11bの外面に引っ掛かっている。したがって、第1可動部材11が基材10に対して第1方向(上下)へ移動されるとき、連結ピン14が第1可動部材11と一体になって第1方向(上下)へ移動される。
【0025】
図5に示すように、第1可動部材11を挟んで基材10とは反対側(つまり第1可動部材11の表側)に第2可動部材12が配置されている。
図8及び
図9に示すように、第2可動部材12は、表板部12aと一対の側板部12b,12bとを有して第1可動部材11と同方向(前後)に延び、その長手方向と直交する断面が概略U字状になっている。表板部12aは、表側(
図9において右)へ向けられ、一対の側板部12b,12bは、互いに第1方向(上下)に対向している。3つの板部12a,12b,12bによって内部空間12cが画成されている。内部空間12cは、裏側すなわち基材10側(
図9において左)へ開口されるとともに第2方向(前後)の両端へも開口されている。この第2可動部材12が第1可動部材11に被さり、内部空間12cに第1可動部材11が収容されている。
【0026】
図9に示すように、一対の側板部12b,12bの内側面どうし間の距離は、第1可動部材11の側板部11b,11bの外側面どうし間の距離と略等しい。上側の側板部12bは、上側の側板部11bの外側面に当たっている。下側の側板部12bは、下側の側板部11bの外側面に当たっている。これによって、第2可動部材12の第1可動部材11に対する第1方向(上下)への移動が阻止されている。したがって、第1可動部材11が基材10に対して第1方向(上下)へ移動されるとき、第2可動部材12が、第1可動部材11と共に基材10に対して第1方向(上下)へ移動される。一方、第2方向(前後)及び第3方向(左右)へは、側板部12bが側板部11bに沿って摺動することによって、第2可動部材12の第1可動部材11に対する移動が許容されている。
【0027】
第2可動部材12の一対の側板部12b,12bの後端部にはそれぞれ長穴状の連結穴12hが形成されている。連結穴12hの長軸は第2方向(前後)へ向けられ、短軸は第1方向(上下)へ向けられている。連結穴12hの短軸に沿う幅寸法は、第1可動部材11の連結穴11hの直径より大きく、かつ連結ピン14の頭部14aの直径と略等しい。この連結ピン頭部14aが、第2可動部材12の一方の側板部12bの連結穴12h内に、該連結穴12hの長軸に沿って摺動可能に収容されている。また、連結ピン14におけるカシメにて拡径された脚部先端14cは、第2可動部材12の他方の側板部12bの連結穴11h内に、該連結穴12hの長軸に沿って摺動可能に収容されている。この連結ピン14によって、基材10と第1可動部材11と第2可動部材12とが互いに分離不能に連繋されている。第2可動部材12は、基材10及び第1可動部材11に対して第2方向(前後)へ、連結穴12hの後端縁が連結ピン14に突き当たる位置と、連結穴12hの前端縁が連結ピン14に突き当たる位置との間で移動可能になっている。
【0028】
ヒンジ装置基部2と本体部3との連結構造は次のように構成されている。
図3に示すように、第2可動部材12における一対の側板部12b,12bの前端部にはそれぞれ連結凹部12d(連結部)が形成されている。これら連結凹部12d,12dに、本体部3の前端部の嵌合ピン3dが嵌め込まれている。また、一対の側板部12b,12bの後端部にはそれぞれ連結凹部12e(連結部)が形成されている。一方、
図2及び
図4に示すように、本体部3の後端部には、支持ピン3eを介して操作部材6が回転可能に設けられている。この操作部材6が捩りコイルばね6Sによって
図2において反時計まわりに付勢されるとともに、操作部材6の嵌合軸6cが連結凹部12eに嵌め込まれている。これによって、本体部3が第2可動部材12ひいてはヒンジ装置基部2に安定的に装着されている。操作部材6を捩りコイルばね6Sの付勢に抗して
図2において時計まわりに回すと、嵌合軸6cが連結凹部12eから外れ、本体部3を第2可動部材12ひいてはヒンジ装置基部2から分離することができる。
【0029】
ヒンジ装置1における第1方向(上下)への位置調節機構30は次のように構成されている。
図5に示すように、第1位置調節機構30は、第1調節軸31と、一対の基材側案内部32,32とを備えている。
図10に示すように、第1調節軸31は、第1軸部31aと、第1軸側案内部31cとを一体に有している。第1軸部31aは、円柱部31a’と、円盤部31bと、凸軸部31dとを含む。円柱部31a’の裏側(
図10(a)において左)に、円柱部31a’より大径の円盤部31bが一体に設けられ、円柱部31a’の表側(同図において右)に、円柱部31a’より小径の円形状の凸軸部31dが一体に設けられている。これら円柱部31a’と円盤部31bと凸軸部31dとは、互いに同一の中心軸線(第1回転軸線L
31)上に配置されている。
【0030】
図9に示すように、円柱部31a’の直径は、第1可動部材11の一対の側板部11b,11bの内側面どうし間の距離と略等しい。また、
図8に示すように、円盤部31bの直径は、軸案内凹部10dの第2方向(前後)に沿う幅寸法と略等しい。
図10(b)に示すように、この円盤部31bの裏側面(
図10(b)において左側面)に第1軸側案内部31cが一体に設けられている。第1軸側案内部31cは、円盤部31bから突出するとともに渦巻き状になっている。
図10(a)に示すように、凸軸部31dの表側(右側)を向く頂面には十字溝31eが形成されている。
【0031】
図8及び
図9に示すように、この第1調節軸31が、その中心軸線L
31を第3方向(左右方向)に向けて、第1可動部材11と基材10との間に介在されている。この第1調節軸31の円柱部31a’が、第1可動部材11の内部空間11cに収容されている。この円柱部31a’に、第1可動部材11の一対の側板11b,11bが第1方向(上下)の両側から略当接している。円盤部31b及び第1軸側案内部31cは、軸案内凹部10dに収容されている。そして、軸案内凹部10dの前側の縁及び後側の縁が、第2方向の両側から円盤部31bに略当接している。したがって、第1調節軸31は、基材10に対して軸案内凹部10dの前後の縁に沿って案内されるように第1方向(上下)へ移動可能、かつ第2方向(前後)へ移動不能になっている。
【0032】
第1可動部材11の表板部11aの長手方向(第2方向)の中央部には、軸支穴11kが形成されている。この軸支穴11kに凸軸部31dが回転可能に嵌め込まれている。凸軸部31dの周側面と円柱部31a’との間の段差が、表板部11aの軸支穴11kの周縁に引っ掛かっている。これによって、第1軸部31aひいては第1調節軸31が、第1可動部材11に対して第1回転軸線L
31のまわりに回転可能、かつ第1方向(上下)及び第2方向(前後)に移動不能に係合されている。したがって、第1回転軸線L
31は、基材10に対して第1方向へのみ移動可能になっている。
【0033】
図5に示すように、第1調節軸31と基材10との間に上記一対の基材側案内部32,32が介在されている。これら基材側案内部32,32は、基材10とは別部材にて構成されるとともに、基材10と一体化されている。すなわち、各基材側案内部32は、案内部分32aと、脚部32bを含む。案内部分32aは、小さい円柱形状になっており、その裏側端部には鍔部32cが径方向外側に突出するように設けられている。案内部分32aの裏面から脚部32bが突出されている。一対の基材側案内部32,32の案内部分32a,32aは、互いに第1方向(上下)に少し離れて対峙するようにして、軸案内凹部10d内に配置されている。
【0034】
一方、基材10の軸案内凹部10dの底面には、第1方向(上下)に長い長円形状の装着凹部10jが形成されている。この装着凹部10jの底面に一対の小円形状の装着穴10k,10kが形成されている。これら装着穴10k,10kは、互いに第1方向(上下)に少し離れて配置されるとともに、それぞれ基材10を厚み方向(第3方向)に貫通している。
図9に示すように、2つの基材側案内部32の鍔部32cが装着凹部10jに収容されるとともに、脚部32bがそれぞれ対応する装着穴10kに差し入れられている。この脚部32bがカシメ等にて基材10と固定されている。
【0035】
そして、第1調節軸31の第1軸側案内部31cが、一対の基材側案内部32,32の案内部分32a,32aどうしの間に差し入れられている。これによって、第1軸側案内部31cと基材側案内部32,32とが係合している。第1軸側案内部31cにおける基材側案内部32,32との係合部31c’は、第1回転軸線L
31に対して偏心している。第1軸側案内部31cと基材側案内部32,32とは、互いに係合して案内し合うことによって、第1調節軸31の回転を第1調節軸31の第1面10aに沿う平行移動に変換する。
【0036】
図3に示すように、第2可動部材12の表板部12aには窓穴12kが形成されている。窓穴12kは、第2方向(前後)に延びる長穴になっている。さらに、本体部3には窓穴3kが形成されている。窓穴3kは、第2方向(前後)に延びる長穴になっている。
図1及び
図2に示すように、窓穴3k及び窓穴12kは、軸支穴11kと第3方向(左右方向)に重なっている。これによって、凸軸部31dが、窓穴3k,12kを通して表側(
図1において紙面手前)へ露出されている。十字ドライバーなどのねじ回し工具を窓穴3k,12kに挿し入れるとともに十字溝31eに嵌め込んで回すことで、第1調節軸31を第1回転軸線L
31まわりに回転させることができる。すると、係合部31c’が渦巻状の第1軸側案内部31cの周方向に変位することで、係合部31c’と第1回転軸線L
31との距離が変わる。つまり、第1回転軸線L
31が基材側案内部32に対して変位する。一方、第1回転軸線L
31の可動方向は第1方向のみに制限されているため、第1軸側案内部31cと基材側案内部32との上記運動方向変換作用によって第1調節軸31が基材10に対して第1方向(上下)に移動される。この第1調節軸31と共に第1可動部材11及び第2可動部材12、並びに本体部3が第1方向(上下)に移動される。これに伴って、一対の嵌合部11d,11dがそれぞれ嵌合凹部10eに沿って第1方向(上下)へ案内される。本体部3が基材10に対して第1方向(上下)へ位置調節されることによって、扉9bを側壁9aに対して第1方向(上下)に位置調節できる。
なお、第1調節軸31が、ドライバーに代えて六角レンチ等の他のねじ回し工具にて回転できるようになっていてもよい。
【0037】
ヒンジ装置1における第2方向(前後)への位置調節機構40は次のように構成されている。
図5に示すように、第2位置調節機構40は、第2調節軸41と、一対の第1可動側案内部42,42とを備えている。
図11に示すように、第2調節軸41は、第2軸部41aと、第2軸側案内部41cとを一体に有している。第2軸部41aは、円柱部41a’と、円盤部41bとを含む。これら円柱部41a’と円盤部41bとは、互いに同一の中心軸線(第2回転軸線L
41)上に配置されている。円柱部41a’の軸長は、第1調節軸31の円柱部31a’の軸長よりも短い。
図11(a)に示すように、円柱部41a’の表側面には十字溝41eが形成されている。円柱部41a’の裏側(同図において左)に、円柱部41a’より大径の円盤部41bが一体に設けられている。
図9に示すように、円盤部41bの直径は、第1調節軸31の円盤部31bの直径よりも大きく、第2可動部材12の一対の側板部12b,12bの内側面どうし間の距離と略等しい。
図11(b)に示すように、この円盤部41bの裏側面(同図において左側面)に第2軸側案内部41cが一体に設けられている。第2軸側案内部41cは、円盤部41bから突出するとともに渦巻き状になっている。
【0038】
図5及び
図8に示すように、この第2調節軸41が、その中心軸線(第2回転軸線L
41)を第1回転軸線L
31と平行(第3方向)に向けて、第1、第2可動部材11,12どうし間に介在されている。
図7(a)に示すように、表側(同図において紙面手前)から見て、第2位置調節機構40は第1位置調節機構30に対して第2方向の後端側(同図において右)にずれて配置されている。
図8及び
図9に示すように、第2調節軸41の円盤部41b及び第2軸側案内部41cは、第2可動部材12の表板部12aと第1可動部材11の表板部11aとの間に挟まれるようにして、第2可動部材12の内部空間12cに収容されている。さらに、第2可動部材12の一対の側板部12b,12bが、第2方向の両側から円盤部41bに略当接している。
【0039】
一方、第2可動部材12の表板部12aの後端部には、軸支穴12mが形成されている。この軸支穴12mに円柱部41a’が嵌め込まれている。円柱部41a’の周側面と円盤部41bとの間の段差が、表板部12aにおける軸支穴12mの周縁に引っ掛かっている。これによって、第2軸部41aひいては第2調節軸41が、第2可動部材12に対して第2回転軸線L
41の周りに回転可能、かつ第1方向(上下)及び第2方向(前後)に移動不能に係合されている。更に、第2調節軸41は、第2可動部材12と共に第1可動部材11に対して第2方向(前後)へ移動可能になっている。したがって、第2回転軸線L
41は、第1可動部材11に対して第3方向を除いて第2方向(前後)へのみ移動可能である。
【0040】
図5に示すように、第2調節軸41と第1可動部材11との間に上記一対の第1可動側案内部42,42が介在されている。これら第1可動側案内部42,42は、第1可動部材11とは別部材にて構成されるとともに、第1可動部材11と一体化されている。すなわち、各第1可動側案内部42は、案内部分42aと、脚部42bを含む。案内部分42aは、小さい円柱形状になっており、その裏側端部には鍔部42cが径方向外側に突出するように設けられている。案内部分42aの裏面から脚部42bが突出されている。一対の第1可動側案内部42,42の案内部分42a,42aは、互いに第2方向(前後)に少し離れて対峙するとともに、それぞれ第1可動部材11の表側に突出されている。
【0041】
一方、第1可動部材11の表板部11aの表側面には、長円形状の装着凹部11mが、軸支穴11kから後端側へ延びるようにして形成されている。この装着凹部11mの底面に、一対の小円形状の装着穴11n,11nが形成されている。これら装着穴11n,11nは、互いに第2方向(前後)に少し離れて配置されるとともに、それぞれ表板部11aを厚み方向に貫通している。
図8に示すように、2つの第1可動側案内部42の鍔部42cが装着凹部11mに収容されるとともに、脚部42bがそれぞれ対応する装着穴11nに差し入れられている。脚部42bは、カシメ等にて第1可動部材11と固定されている。
【0042】
そして、第2調節軸41の第2軸側案内部41cが、一対の第1可動側案内部42,42の案内部分42a,42aどうしの間に差し入れられている。これによって、第2軸側案内部41cと第1可動側案内部42,42とが係合している。第2軸側案内部41cにおける第1可動側案内部42,42との係合部41c’は、第2回転軸線L
41に対して偏心している。第2軸側案内部と41cと第1可動側案内部42,42とは、互いに係合して案内し合うことによって、第2調節軸41の回転を第2調節軸41の表板部11aに沿う平行移動に変換し、ひいては第2調節軸41の回転を第2調節軸41の第1面10aに沿う平行移動に変換する。
【0043】
図1及び
図2に示すように、本体部3における窓穴3kよりも後端側には、窓穴3mが形成されている。窓穴3mは、軸支穴12mと第3方向(左右)に重なっている。窓穴3mを通して、第2軸部41aが露出されている。十字ドライバー等のねじ回し工具を窓穴3mに挿し入れるとともに十字溝41eに嵌め込んで回すことで、第2調節軸41を第2回転軸線L
41まわりに回転させることができる。すると、係合部41c’が渦巻状の第2軸側案内部41cの周方向に変位することで、係合部41c’と第2回転軸線L
41との距離が変わる。つまり、第2回転軸線L
41が第1可動側案内部42に対して変位する。一方、第2回転軸線L
41の第1可動部材11に対する第3方向を除く可動方向は第2方向(前後)のみに制限されているため、第2軸側案内部41cと第1可動側案内部42との上記運動方向変換作用によって第2調節軸41が第1可動部材11に対して第2方向(前後)に移動される。この第2調節軸41と共に、第2可動部材12及び本体部3が第1可動部材11に対して第2方向(前後)に移動される。これによって、扉9bを側壁9aに対して第2方向(前後)に位置調節できる。
なお、第2調節軸41が、ドライバーに代えて六角レンチ等の他のねじ回し工具にて回転できるようになっていてもよい。
【0044】
ヒンジ装置1における第3方向(左右)への位置調節機構50は次のように構成されている。
図5に示すように、第3位置調節機構50は、第3調節ネジ51を備えている。第3調節ネジ51は、第1可動部材11と第2可動部材12との間に介在されている。
図7(a)に示すように、表側(同図において紙面手前)から見て、第3位置調節機構50は第1位置調節機構30に対して第2方向の前端側(同図において左)にずれて配置されている。
【0045】
一方、第1可動部材11の表板部11aの前端部には、開放スリット11qが形成されている。開放スリット11qは、表板部11aの前縁に達して開放されている。また、第2可動部材12の表板部12aの前端部には、ネジ穴12qが形成されている。そして、第3調節ネジ51が、第1可動部材11の開放スリット11qに回転可能、かつ第1方向(上下)へ移動不能、かつ第2方向(前後)へ移動可能、かつ第3方向(左右)へ移動不能に係止されるとともに、第2可動部材12のネジ穴12qに螺合されている。
図1及び
図2に示すように、本体部3における窓穴3kよりも前端側には、窓穴3qが形成されている。窓穴3qは、ネジ穴12qと第3方向(左右)に重なっている。窓穴3qを通して、第3調節ネジ51の頭部が露出されている。十字ドライバー等のねじ回し工具を窓穴3qに挿し入れて第3調節ネジ51を回すと、第2可動部材12が連結ピン14を中心に搖動するようにして第3方向(左右)に変位される。これによって、第2可動部材12の第1可動部材11及び基材10に対する第3方向(左右)の位置を調節できる。
【0046】
本発明装置1によれば、基材10の軸案内凹部10dと一対の嵌合凹部10e,10eとが共に表側面10a上に形成されるとともに互いに連なって一体になっているため、基材10を簡易に加工できる。つまり、基材10をプレス加工にて製造する場合、軸案内凹部10dに対応する型部分と各嵌合凹部10eに対応する型部分とを1つの凸部にて構成でき、プレス金型を容易に作製できる。また、基材10を切削加工にて製造する場合でも、軸案内凹部10dと一対の嵌合凹部10e,10eとを一体に、かつ1回〜少数回の切削工程で簡易に形成することができる。
しかも、軸案内凹部10dと嵌合凹部10eとの底部が面一になっているため、加工を一層容易化できる。つまり、基材10をプレス加工にて製造する場合、軸案内凹部10dに対応する型部分と嵌合凹部10eに対応する型部分とを全体的に高さが一様の1つの凸部にて構成でき、プレス金型を一層容易に作製できる。また、基材10を切削加工にて製造する場合でも、軸案内凹部10dと嵌合凹部10eとを同じ切削深さで一体に形成できる。
【0047】
上記のようにして作製した基材10に基材側案内部32を取り付けた後、この基材10の表側に、第1調節軸31と、第1可動側案内部42を設置済の第1可動部材11と、第2調節軸41と、第2可動部材12とを第3方向に積み重ねるように順次載せていき、その後、第3調節ネジ51で第1、第2可動部材11,12どうしを連結するとともに、連結ピン14で基材10及び可動部材11,12を連結することで、基部2を簡易に組み立てることができる。また、予め、上記第1可動部材11と第2可動部材12とをこれらの間に第2調節軸41を挟むとともに第3調節ネジ51で連結したうえで、基材10の表側面10aに設置し、その後、連結ピン14で基材10及び可動部材11,12を連結することもできる。
さらに、第1位置調節機構30が基材10と第1可動部材11との間に介在され、かつ第2位置調節機構40が第1可動部材11と第2可動部材12との間に介在されているために、ヒンジ装置基部2の組み立てを一層簡易化できる。
ここで、第1可動部材11を基材10に取り付ける際は、係止凸部11fを基材10の係止凹部10fに引っ掛けるとともに、予め軸案内凹部10d上に配置した第1調節軸31に第1可動部材11を表側から被せ、さらに一対の嵌合部11d,11dを表側から嵌合凹部10e,10eに収容すればよいから、第1可動部材11を基材10に対して第1方向へスライドさせる必要はない。したがって、第1調節軸31が予め軸案内凹部10d上に設置されていても、この第1調節軸31が第1可動部材11の基材10への取り付け作業の妨げになることはない。
【0048】
このようにして組み立てられたヒンジ装置基部2においては、一対の嵌合部11d,11dがそれぞれ対応する嵌合凹部10eに第1方向(上下)に摺動可能に嵌合されているために、第1可動部材11を第1方向(上下)に安定的に平行移動させることができる。したがって、本体部3ひいては扉9bを第1方向(上下)に安定的に位置調節することができる。
第1位置調節機構30が基材10と第1可動部材11との間に介在され、かつ第2位置調節機構40が第1可動部材11と第2可動部材12との間に介在されているために、第1方向への位置調節と第2方向への位置調節を互いに独立して行うことができる。
第1〜第3位置調節機構30,40,50がヒンジ装置基部2と本体部3とに跨るのではなくヒンジ装置基部2だけに構築されているため、本体部3ひいては扉9bの第1〜第3の三方向への位置調節をヒンジ装置基部2だけで行なうことができる。
【0049】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を簡略化する。
図12〜
図14は、本発明の第2実施形態を示したものである。第2実施形態は、第1位置調節機構30及び第2位置調節機構40の変形例に係る。
図12に示すように、第2実施形態の基材10の軸案内凹部10dには、凸状の基材側案内部32に代えて、凹状の基材側案内部10pが設けられている。基材側案内部10pは、第2方向(前後)に真っ直ぐ延びるとともに基材10を厚み方向(第3方向)に貫通するスリットになっている。また、
図13に示すように、第1調節軸31Xの円盤部31bには、上記渦巻状の第1軸側案内部31cに代えて、小円柱状の第1軸側案内部31pが形成されている。第1軸側案内部31pは、第1調節軸31Xの軸線(第1回転軸線L
31)に対して偏心している。円盤部31bが軸案内凹部10dに収容されるとともに、第1軸側案内部31pが基材側案内部10pに挿し入れられている。したがって、第1調節軸31Xは、基材10に対して軸案内凹部10dに沿って第1方向(上下)へ移動可能かつ第2方向(前後)へ移動不能である。また、第1軸側案内部31pは、基材10に対して第1方向(上下)へ移動不能かつ第2方向(前後)に移動可能である。さらに、第1調節軸31Xの凸軸部31dが、第1可動部材11の軸支穴11kに回転可能に嵌め込まれている。これによって、第1調節軸31Xを第1回転軸線L
31まわりに回転させることで、第1軸側案内部31pと基材側案内部10pとの運動方向変換作用が発現して、第1可動部材11が基材10に対して第1方向(上下)に位置調節される。
【0050】
また、
図12に示すように、第2実施形態の第1可動部材11の表板部11aには、第1可動側案内部42に代えて、第1可動側案内部11pが設けられている。第1可動側案内部11pは、第1方向(上下)に延びるスリット状になっている。
図14に示すように、第2調節軸41Xの円盤部41bには、上記渦巻状の第2軸側案内部41cに代えて、小円柱状の第2軸側案内部41pが形成されている。第2軸側案内部41pは、第2調節軸41Xの軸線(第2回転軸線L
41)に対して偏心している。この第2調節軸41Xの第2軸部41aが、第2可動部材12の軸支穴12mに回転可能に嵌め込まれている。また、円盤部41bが、表板部11a,12aどうし間及び一対の側板部12b,12bどうし間に挟まれるようにして、第2可動部材12の内部空間12cに収容されている。したがって、第2調節軸41Xは、第1可動部材11に対して第2回転軸線L
41まわりに回転可能かつ第1方向(上下)へ移動不能かつ第2方向(前後)へ移動可能である。さらに、第2軸側案内部41pが、第1可動側案内部11pに挿し入れられることによって、第1可動部材11に対して第1方向(上下)へ移動可能かつ第2方向(前後)へ移動不能になっている。これによって、第2調節軸41Xを第2回転軸線L
41まわりに回転させることで、第2軸側案内部41pと第1可動側案内部11pとの運動方向変換作用が発現して、第2可動部材12が第1可動部材11に対して第2方向(前後)に位置調節される。
【0051】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
例えば、第2可動部材12を省略してもよく、第1可動部材11に本体部3を直接的に着脱可能に取り付けてもよい。さらに、第2位置調節機構40又は第3位置調節機構50を省略してもよい。或いは、第2位置調節機構40又は第3位置調節機構50を第1可動部材11に本体部3との間に設けてもよい。
軸案内凹部10dの深さと嵌合凹部10eの深さが互いに異なっていて、これら凹部10d,10e間に段差が形成されていてもよい。
軸案内凹部10d及び嵌合凹部10eの第2方向(前後)に沿う幅寸法が、互いに等しくてもよい。基材10の表側面10a(第1面)に、全体的に一定幅の溝が第1方向に延びるように形成されており、上記溝の一部分(例えば中央部)が軸案内凹部10dを構成し、上記溝の他の部分(例えば両側部)が嵌合凹部10eを構成していてもよい。この場合、第1調節軸31の円盤部31bの直径は、軸案内凹部10dの第2方向(前後)に沿う幅寸法と略等しいだけでなく、嵌合凹部10eの第2方向(前後)に沿う幅寸法とも略等しい。
軸案内凹部10d及び嵌合凹部10eは、必ずしも連なっていなくてもよく、互いに離れていてもよい。
嵌合凹部10eは、基材10の表側面10a(第1面)に少なくとも1つ形成されていればよい。同様に、嵌合部11dは、第1可動部材11に少なくとも1つ設けられていればよい。
嵌合部11dは、嵌合凹部10eに第1方向へ摺動可能に嵌るようになっていればよく、必ずしも第1可動部材11の側板部11bから第1方向に突出している必要は無く、例えば側板部11bからまっすぐ第3方向の裏側へ突出していてもよい。
基材側案内部32が、基材10に一体成形されていてもよい。第1可動側案内部42が、第1可動部材11に一体成形されていてもよい。
基材側案内部と第1軸側案内部とは、互いに係合して案内し合うことによって、第1調節軸31の回転を第1調節軸31の第1面10aに沿う平行移動に変換するものであれば、その具体的態様は上記第1、第2実施形態に限られない。例えば、基材側案内部として、軸案内凹部10dに渦巻状の凸部を設け、これと係合する第1軸側案内部として、第1調節軸31の裏面に小円柱状の凸部を偏芯させて設けてもよい。
第1可動側案内部と第2軸側案内部とは、互いに係合して案内し合うことによって、第2調節軸41の回転を第2調節軸41の第1面10aに沿う平行移動に変換するものであれば、その具体的態様は上記第1、第2実施形態に限られない。例えば、第1可動側案内部として、第1可動部材11に渦巻状の凸部を設け、これと係合する第2軸側案内部として、第2調節軸41の裏面に小円柱状の凸部を偏芯させて設けてもよい。
上記実施形態では、第1方向を上下、第2方向を前後、第3方向を左右として説明したが、本発明の第1〜第3方向は上記に限定されるものではない。