特許第6013600号(P6013600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6013600封止液及び蒸気抽出システムを利用する蒸気タービンのためのシール構造体を具備する当該蒸気タービンを備えている蒸気発電所
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013600
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】封止液及び蒸気抽出システムを利用する蒸気タービンのためのシール構造体を具備する当該蒸気タービンを備えている蒸気発電所
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/22 20060101AFI20161011BHJP
   F01D 11/12 20060101ALI20161011BHJP
   F01D 11/10 20060101ALI20161011BHJP
   F01D 11/02 20060101ALI20161011BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20161011BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20161011BHJP
   F01D 25/24 20060101ALI20161011BHJP
   F16J 15/40 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   F16J15/22
   F01D11/12
   F01D11/10
   F01D11/02
   F01D25/00 M
   F01D25/16 J
   F01D25/24 P
   F16J15/40 Z
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-523469(P2015-523469)
(86)(22)【出願日】2013年6月17日
(65)【公表番号】特表2015-524543(P2015-524543A)
(43)【公表日】2015年8月24日
(86)【国際出願番号】EP2013062464
(87)【国際公開番号】WO2014016048
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2015年5月26日
(31)【優先権主張番号】12177570.4
(32)【優先日】2012年7月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・フレグラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ヘルミス
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト・シュルケン
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭36−008301(JP,Y1)
【文献】 特開平03−028579(JP,A)
【文献】 特開2000−120877(JP,A)
【文献】 特表2003−507672(JP,A)
【文献】 特開2008−286216(JP,A)
【文献】 特開昭61−226506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/22
F01D 11/02
F01D 11/10
F01D 11/12
F01D 25/00
F01D 25/16
F01D 25/24
F16J 15/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置式ハウジングを貫通している軸線の周りに回転するシャフト(16)のダクトためのシール構造体(22)であって、
前記定置式ハウジングが、流体の作用を受ける内部空間であって、前記シャフト(16)が前記内部空間から露呈している、前記内部空間を包囲しており、
前記シール構造体が、蒸気抽出システム(8)を備えているシール(9)を有しており
供給管路が、前記内部空間と前記蒸気抽出システム(8)との間に配置されていると共に、封止液を供給するように構成されており、
ラビリンスシール、金属製の剛毛を有するブラシシール、天然繊維から成る剛毛を有するブラシシール、及び合成繊維から成るブラシシールのうち少なくとも1つが、前記内部空間及び前記蒸気抽出システム(8)に対して封止を行うために設けられている、前記シール構造体(22)を具備する蒸気タービン(4)を備えている蒸気発電所において、
前記蒸気発電所が、凝縮器(5)を有しており、
前記供給管路が、前記凝縮器(5)に接続されており、
前記封止液及び前記シャフト(16)の温度が、前記封止液が前記シャフト(16)に衝突した場合に前記封止液が蒸発する温度とされることを特徴とする蒸気発電所。
【請求項2】
前記合成繊維が、アラミドとされることを特徴とする請求項1に記載の蒸気発電所
【請求項3】
前記供給管路が、前記封止液として水を供給するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気発電所
【請求項4】
前記シール(9)が、スタッフィングボックスとして形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の蒸気発電所
【請求項5】
繊維が、前記スタッフィングボックスとして利用されていることを特徴とする請求項4に記載の蒸気発電所
【請求項6】
前記繊維が、前記合成繊維とされることを特徴とする請求項5に記載の蒸気発電所
【請求項7】
前記供給管路が、前記凝縮器(5)の温水溜めに接続されていることを特徴とする請求項に記載の蒸気発電所。
【請求項8】
前記蒸気発電所が、前記供給管路と前記蒸気抽出システム(8)との間に、スタッフィングボックスの形態とされる前記シール(9)を有していることを特徴とする請求項1又は7のいずれか一項に記載の蒸気発電所。
【請求項9】
前記スタッフィングボックスが合成繊維を含んでいることを特徴とする請求項に記載の蒸気発電所。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定置式ハウジングを貫通している軸線の周りに回転するシャフトのダクトためのシール構造体であって、定置式ハウジングが、流体の作用を受ける内部空間であって、シャフトが内部空間から露呈している、内部空間を包囲しており、シール構造体が、蒸気抽出システムを備えているシールを有している、シール構造体に関する。
【0002】
さらに、本発明は、蒸気タービンのシャフト及びハウジングを封止するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ターボ機械工学、特に蒸気タービン工学において当該機械は以下のように実施される。すなわち、外部環境空気が蒸気タービンに侵入できないように封止が実現される。このために多様な種類のシールが用いられる。例えば空気がタービンに進入するのを防止するためにシール蒸気が用いられる。しかしながらこのために用いられるシール蒸気は蒸気回路から取り出され、それによりエネルギー変換に寄与せず、これによりタービン列全体の効率が低下させられる。
【0004】
図1は既知の従来技術を示している。低圧に対して形成されている蒸気タービン4には、流入開口部10を介して生蒸気が供給される。図1において生蒸気の発生は、より詳細には表示されていない。生蒸気の一部は分岐点11においてブリード管路7aを介してシール9へとガイドされる。ブリード管路7aは従ってシール蒸気管路12として形成されており、それによりシール蒸気をシール蒸気領域13内にガイドする。シール蒸気領域13においてシール蒸気はシールを介して左及び右に向かって移動し、左に向かうシール蒸気の流れは蒸気室14内にガイドされる。当該蒸気室14においては外部環境よりもわずかに低い圧力が支配的であり、それにより蒸気抽出システム8では外部環境から吸引された空気とシール蒸気領域13からガイドされた蒸気とから成る混合物が抽出される。これにより蒸気タービン4においてガイドされる蒸気は外部環境に流出し得ない。
【0005】
蒸気であって、蒸気タービン4において当該蒸気の熱エネルギーが機械エネルギーに変換される蒸気は、流出開口部15を介して凝縮器5へと流れる。凝縮器5において蒸気は凝縮して水となり、ポンプ6を介して再び水蒸気回路に供給される。シール蒸気の圧力は環境空気の圧力を上回っている。シール蒸気に対する必要性と、それに伴う損失とを最小限に保つために、可能な限り効率的であるシールが取り付けられている。当該シールの取り付けは構成上の長さが大きなシールによって、あるいは例えばブラシシールのような高効率のシールシステムによって行われる。特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4には様々なシールの可能性が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6918252号明細書
【特許文献2】独国特許第4313805号明細書
【特許文献3】米国特許第4191021号明細書
【特許文献4】独国特許第102007037311号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて本発明により新しい方法が採られ、当該方法は必要なシール蒸気の放棄を可能にすべきものである。本発明の課題はこのように蒸気タービンの効率を高めることである。
【0008】
上記の課題は、定置式ハウジングを貫通する、軸線の周りに回転するシャフトのダクトためのシール構造体によって解決され、当該定置式ハウジングは流体を供給可能である内部空間であって、当該内部空間からシャフトが外に出ている内部空間を包囲しており、前記シール構造体は蒸気抽出システムを含むシールを有しており、前記内部空間と蒸気抽出システムとの間に設けられているとともに、封止液の供給のために形成されている供給管路が設けられており、前記封止液は供給後に相転移する。
【0009】
上記の課題はさらに、本発明に係るシール構造体を有する蒸気タービンを含む蒸気発電所によって解決される。
【0010】
上記の課題はさらに、蒸気タービンのシャフトとハウジングを封止するための方法であって、蒸気抽出システムが設けられ、封止液が用いられる方法によって解決される。
【0011】
これにより本発明は、シール蒸気の使用が完全に放棄されることにより、損失を最小限にすることを提案する。本発明はむしろ、シール蒸気に替えて封止液を使用することを提案する。封止液として例えば水が用いられる。従って、かつては必要とされた蒸気タービン列のシール蒸気システムが完全に省略され得る点が有利である。これにより、シール蒸気システムの配管工事から必然的に生じるコストが節約される。これにより、以前はエネルギー変換に関与しなかったシール蒸気が今や、エネルギー変換に関与し、それにより効率が高められる。
【0012】
従属請求項には有利な発展的構成が記載されている。
【0013】
第1の有利な発展的構成において、封止液の損失を最小限にするためにラビリンスシールが用いられる。
【0014】
さらなる有利な発展的構成において、蒸気タービンは凝縮器と接続され、封止液のために必要とされる水は当該凝縮器から取り出され得る。従って水は水蒸気回路から直接的に取り出され得る。供給管路は好適に凝縮器の温水溜めと接続される。
【0015】
特に有利な発展的構成において、蒸気発電所は以下のように発展的に構成されている。すなわち、水とシャフトは、水がシャフトに衝突する際に、もしくはシールを通過する際に蒸発するような温度を有している。これにより非常に良好な冷却及び封止の可能性が得られる。
【0016】
本発明の実施の形態を以下に、図2及び図3に基づいて表示する。図に示すのは以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来技術を示す図である。
図2】概略的に表示された蒸気タービンの断面を示す図である。
図3】本発明に係るシールを概略的に表示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図2は、蒸気タービン4のシャフト16の概略図である。複数のロータブレード17が、シャフト16に配置されており、複数の案内ベーン18が、ロータブレード17同士の間において、ハウジング19に固定状態で配置されている。第1のシール3は、流れチャネル20内のプロセス蒸気が外部環境21に流入しないように設けられている。第2のシール2と第3のシール1とが、外部環境21に面した状態で離隔配置されている。
【0019】
プロセス蒸気は、第1のシール3とシャフト16との間から流出する場合がある。このために、封止液が、ブリード管路7から第2のシール2と第1のシール3との間に流れるようになっている。当該封止液は、外部環境21に至るまで、及び流れチャネル20に至るまで広がる。蒸気抽出システム8が、第3のシール1と第2のシール2との間に配置されている。その結果として、プロセス蒸気は、流れチャネル20から外部環境21に流入しなくなる。
【0020】
図3に表わすように、本発明では、ブリード管路7がポンプ6の出口に接続されており、これにより封止液が、シール蒸気の代わりにシャフト16に対して封止効果を発揮させることができる。
【0021】
従って、第1のシール3と第2のシール2と第3のシール1とがシール構造体22を形成している。シール構造体22は、定置式ハウジング(詳細には図示しない)を貫通した状態において軸線の周りに回転するシャフト16のダクト23を実現するために利用される。流体の作用を受ける内部空間であって、当該内部空間の外側にシャフト16が突出している内部空間が、定置式ハウジングに囲まれている。利用されるシールとしては、従来技術に基づくラビリンスシール、金属製の剛毛を有するブラシシール、天然繊維から成る剛毛を有するブラシシール、及び/又は合成繊維(アラミド)から成る剛毛を有するブラシシールが挙げられる。さらに、単なるリングギャップや円錐状のリングギャップがシールとして利用可能とされる。
【0022】
脱イオン水又は供給用水が、封止液として利用される。いずれの場合であっても、封止液が蒸気発電所内に存在しているので、封止液源を別途用意する必要はない。
【0023】
供給用水は、例えば凝縮器5の温水溜めのような蒸気タービン4の空間的な近傍において利用可能とされるので、供給用水を近場で利用することが優位である。補助的ユニットによって、又は凝縮器5に供給用水を送るための既存のポンプによって、シール領域に供給するために圧力水準を上昇させることができる。単純な制御機構によって、環境空気と封止液との圧力差を極僅かにすることができる。これにより、封止のために利用される流体の量を少なく維持することができる。例えば蒸気タービン4を封止するための領域のスタッフィングボックス内に合成繊維を利用する場合に、特別な優位点が実現される。この場合には、導入される水は、沸点近傍の所定の温度を有しており、封止液の圧力と真空下における封止すべき蒸気室の圧力との間の圧力で、温められたシャフトにおける圧力差によって蒸発される。これに付随する容積の増大は、繊維束全体に亘って均一であると共に、約1000倍に達するので、スタッフィングボックスのシール効果が最適化され、封止液はあまり必要でなくなる。
【0024】
この点において、合成繊維束の特性は、特に他の実施可能な解決策と比較して効果的とされる。合成繊維は、繊維直径が小さいことに起因して非常に大きい蒸発表面を有しており、毛管作用を介した良好な輸送特性を有しているからである。他の繊維と比較して小さい粘着性は、繊維のための適切なコーティングシステムを介してさらに改善可能とされる。
【符号の説明】
【0025】
1 第3のシール
2 第2のシール
3 第1のシール
4 蒸気タービン
5 凝縮器
6 ポンプ
7,7a ブリード管路
8 蒸気抽出システム
9 シール
10 流入開口部
11 分岐点
12 蒸気管路
13 シール蒸気領域
14 蒸気室
15 流出開口部
16 シャフト
17 ロータブレード
18 案内ベーン
19 ハウジング
20 流れチャネル
21 外部環境
22 シール構造体
23 ダクト
図1
図2
図3