特許第6013602号(P6013602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013602
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】静電容量型センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20161011BHJP
   G01D 5/241 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   G01L5/00 101Z
   G01D5/241 C
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-523946(P2015-523946)
(86)(22)【出願日】2014年6月3日
(86)【国際出願番号】JP2014064751
(87)【国際公開番号】WO2014208294
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2015年8月21日
(31)【優先権主張番号】特願2013-132925(P2013-132925)
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(72)【発明者】
【氏名】日置 康祐
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 陽
(72)【発明者】
【氏名】磯部 宏
(72)【発明者】
【氏名】清水 厚輝
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−78925(JP,A)
【文献】 特開2012−13458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00− 5/28
G01G19/44−19/50
G01D 5/24− 5/241
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側電極部と、該表側電極部の裏側に配置される裏側電極部と、該表側電極部と該裏側電極部との間に配置される誘電層と、を有するセンサ部と、
該センサ部の表側および裏側のうち少なくとも一方に配置され、表裏方向に積層された複数の絶縁フィルムからなる絶縁スペーサと、
複数の該絶縁フィルムを、部分的に、互いに連結するフィルム連結部と、
該絶縁スペーサの表裏方向外側に配置され、接地されるアース電極と、
該センサ部に電気的に接続され、該センサ部に電圧を印加すると共に、該センサ部の静電容量に関する電気量が伝送される制御装置と、
を備え
該絶縁スペーサは、該フィルム連結部により複数の該絶縁フィルムが互いに拘束されている拘束部と、複数の該絶縁フィルムが互いに拘束されていない非拘束部と、を有している静電容量型センサ。
【請求項2】
前記フィルム連結部は、表側または裏側から見て前記絶縁スペーサの角部に配置される角部連結部と、表側または裏側から見て該角部連結部の内側に配置される中央連結部と、を有している請求項1に記載の静電容量型センサ。
【請求項3】
前記センサ部は、寝具の表面の裏側に配置されており、
前記中央連結部は、該寝具における就寝状態の人の身長方向に沿って、延在している請求項2に記載の静電容量型センサ。
【請求項4】
前記フィルム連結部は、表側または裏側から見て縞状に配置される複数の帯状連結部を有している請求項に記載の静電容量型センサ。
【請求項5】
前記センサ部は、寝具の表面の裏側に配置されており、
前記帯状連結部は、該寝具における就寝状態の人の身長方向に沿って、延在している請求項4に記載の静電容量型センサ。
【請求項6】
前記絶縁フィルムは、ポリエチレン製である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の静電容量型センサ。
【請求項7】
表側電極部と、該表側電極部の裏側に配置される裏側電極部と、該表側電極部と該裏側電極部との間に配置される誘電層と、を有するセンサ部と、
該センサ部の表側および裏側のうち少なくとも一方に配置される絶縁スペーサと、
該絶縁スペーサの表裏方向外側に配置され、接地されるアース電極と、
該センサ部に電気的に接続され、該センサ部に電圧を印加すると共に、該センサ部の静電容量に関する電気量が伝送される制御装置と、
を備え、
該表側電極部および該裏側電極部のうち、一方は該制御装置から該電圧が印加される入力側電極部であり、他方は該制御装置に該電気量を伝送する出力側電極部であり、
該アース電極に対して、該出力側電極部は、該入力側電極部よりも、近接して配置されている静電容量型センサ。
【請求項8】
表側電極部と、該表側電極部の裏側に配置される裏側電極部と、該表側電極部と該裏側電極部との間に配置される誘電層と、を有するセンサ部と、
該センサ部の表側および裏側のうち少なくとも一方に配置される絶縁スペーサと、
該絶縁スペーサの表裏方向外側に配置され、接地されるアース電極と、
該センサ部に電気的に接続され、該センサ部に電圧を印加すると共に、該センサ部の静電容量に関する電気量が伝送される制御装置と、
を備え、
該センサ部、該絶縁スペーサ、該アース電極を表裏方向に貫通する位置決め孔と、
該センサ部、該絶縁スペーサ、該アース電極を収容する袋状のカバーと、
を備え、
該カバーの表裏両層は、該位置決め孔の径方向内側において、接合されている静電容量型センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、荷重センサやタッチセンサなどとして用いられる静電容量型センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示すように、静電容量型センサは、複数の表側電極と、複数の裏側電極と、誘電層と、を備えている。複数の表側電極は、誘電層の表側に配置されている。複数の裏側電極は、誘電層の裏側に配置されている。表側または裏側から見て、複数の表側電極と、複数の裏側電極と、は互いに直交している。複数の表側電極と、複数の裏側電極と、が重複する部分には、複数の検出部が設定されている。検出部に表側から荷重が加わると、誘電層が表裏方向に圧縮される。このため、当該検出部を構成する表側電極と裏側電極との間の電極間距離が小さくなる。したがって、当該検出部の静電容量が大きくなる。
【0003】
このように、静電容量型センサを用いると、電極間距離の変化に伴う静電容量の変化を基に、検出部に加わる荷重を検出することができる。また、複数の検出部において荷重を検出することにより、静電容量型センサの面方向の荷重分布を検出することができる。このため、静電容量型センサは、例えばベッド、布団などの寝具において、寝ている人の体圧分布を測定する際に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−173100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、静電容量型センサを寝具に配置する場合、周辺機器(例えば電気毛布など)からのノイズの影響により、静電容量型センサの検出精度が低下してしまう。この点、静電容量型センサにアース電極を配置すると、ノイズを抑制することができる。ところが、アース電極を配置すると、静電容量型センサの検出部から電流が、アース電極を介して、グランドに逃げてしまうおそれがある。すなわち、本来、静電容量の計測に用いられる検出部からの電流が、グランドに逃げてしまうおそれがある。このため、静電容量型センサの検出精度が低下してしまう。そこで、本発明は、周辺からのノイズを抑制可能であって、検出精度が低下しにくい静電容量型センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するため、本発明の静電容量型センサは、表側電極部と、該表側電極部の裏側に配置される裏側電極部と、該表側電極部と該裏側電極部との間に配置される誘電層と、を有するセンサ部と、該センサ部の表側および裏側のうち少なくとも一方に配置される絶縁スペーサと、該絶縁スペーサの表裏方向外側に配置され、接地されるアース電極と、該センサ部に電気的に接続され、該センサ部に電圧を印加すると共に、該センサ部の静電容量に関する電気量が伝送される制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の静電容量型センサは、アース電極を備えている。このため、周辺機器からのノイズを抑制することができる。また、アース電極とセンサ部との間には、絶縁スペーサが介在している。このため、静電容量型センサの検出精度が低下しにくい。
【0008】
(1−1)好ましくは、上記(1)の構成において、前記表側電極部は、互いに平行に並ぶ複数の表側電極からなり、前記裏側電極部は、互いに平行に並ぶ複数の裏側電極からなり、表側または裏側から見て、複数の該表側電極と複数の該裏側電極とは、互いに交差する方向に延在しており、表側または裏側から見て、複数の該表側電極と複数の該裏側電極とが重複する部分には、複数の検出部が設定されている構成とする方がよい。
【0009】
本構成によると、複数の検出部において、荷重を検出することができる。このため、静電容量型センサの面方向(表裏方向に対して直交する方向)の荷重分布を検出することができる。
【0010】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記絶縁スペーサは、表裏方向に積層された複数の絶縁フィルムからなる構成とする方がよい。本構成によると、絶縁フィルムの積層数を変更することにより、絶縁スペーサの表裏方向の厚さ(つまりアース電極とセンサ部との間の距離)を、簡単に調整することができる。
【0011】
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、複数の前記絶縁フィルムを、部分的に、互いに連結するフィルム連結部を備え、前記絶縁スペーサは、該フィルム連結部により複数の該絶縁フィルムが互いに拘束されている拘束部と、複数の該絶縁フィルムが互いに拘束されていない非拘束部と、を有している構成とする方がよい。
【0012】
本構成の静電容量型センサの絶縁スペーサは、拘束部を備えている。このため、複数の絶縁フィルムが互いにずれるのを抑制することができる。また、本構成の静電容量型センサの絶縁スペーサは、非拘束部を備えている。このため、複数の絶縁フィルムの変形(例えば曲げ変形)が、互いに拘束されるのを抑制することができる。また、隣り合う任意の一つの絶縁フィルムの非拘束部同士が、互いに摺動するのを許容することができる。
【0013】
また、絶縁フィルムを曲げ変形させる場合、曲率半径方向内側の面に対する曲率半径方向外側の面の伸張量は、絶縁フィルムの表裏方向厚さが小さいほど、小さくて済む。例えば、絶縁フィルムに表側から荷重を加える場合、絶縁フィルムの表面に対する裏面の伸張量は、絶縁フィルムの表裏方向厚さが小さいほど、小さくて済む。このように、絶縁フィルムの表裏方向厚さが小さいほど、絶縁フィルムは曲がりやすい。
【0014】
この点、本構成によると、絶縁スペーサが、単一の絶縁フィルムではなく、複数の絶縁フィルムから構成されている。また、絶縁スペーサは、非拘束部を備えている。このため、単一の絶縁フィルム(当該絶縁フィルムの表裏方向厚さは、複数の絶縁フィルムの表裏方向厚さの総和)からなる絶縁スペーサと比較して、本構成の絶縁スペーサの複数の絶縁フィルムは、各々、曲がりやすい。したがって、本構成の絶縁スペーサは曲がりやすい。
【0015】
このように、本構成によると、絶縁スペーサの表裏方向の厚さ(つまりアース電極とセンサ部との間の距離)を充分に確保しながら、絶縁スペーサの曲げ変形を容易にすることができる。
【0016】
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記フィルム連結部は、表側または裏側から見て前記絶縁スペーサの角部に配置される角部連結部と、表側または裏側から見て該角部連結部の内側に配置される中央連結部と、を有している構成とする方がよい。本構成によると、角部連結部および中央連結部により、絶縁スペーサに、局所的に拘束部を設定することができる。
【0017】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、前記センサ部は、寝具の表面の裏側に配置されており、前記中央連結部は、該寝具における就寝状態の人の身長方向に沿って、延在している構成とする方がよい。
【0018】
本構成によると、人が、臥位(寝ている状態)から座位(座っている状態)、または座位から臥位に移行する際に、複数の絶縁フィルムが互いにずれにくい。このため、人が違和感を感じにくい。
【0019】
(6)好ましくは、上記(3)の構成において、前記フィルム連結部は、表側または裏側から見て縞状に配置される複数の帯状連結部を有している構成とする方がよい。本構成によると、帯状連結部により、絶縁スペーサに、縞状に拘束部を設定することができる。
【0020】
(7)好ましくは、上記(6)の構成において、前記センサ部は、寝具の表面の裏側に配置されており、前記帯状連結部は、該寝具における就寝状態の人の身長方向に沿って、延在している構成とする方がよい。
【0021】
本構成によると、人が、臥位(寝ている状態)から座位(座っている状態)、または座位から臥位に移行する際に、複数の絶縁フィルムが互いにずれにくい。このため、人が違和感を感じにくい。
【0022】
(8)好ましくは、上記(2)ないし(7)のいずれかの構成において、前記絶縁フィルムは、ポリエチレン製である構成とする方がよい。ポリエチレンは、安価で、ヤング率が低く、誘電率が低い。このため、本構成の絶縁フィルムは、製造コストが低く、曲がりやすく、絶縁性が高い。
【0023】
(9)好ましくは、上記(1)ないし(8)のいずれかの構成において、前記表側電極部および前記裏側電極部のうち、一方は前記制御装置から前記電圧が印加される入力側電極部であり、他方は該制御装置に前記電気量を伝送する出力側電極部であり、前記アース電極に対して、該出力側電極部は、該入力側電極部よりも、近接して配置されている構成とする方がよい。
【0024】
本構成によると、センサ部の静電容量に関する電気量に、周辺機器からのノイズが混入するのを、抑制することができる。また、アース電極が、センサ部の静電容量に関する電気量に、影響を及ぼしにくい。
【0025】
(10)好ましくは、上記(1)ないし(9)のいずれかの構成において、前記センサ部、前記絶縁スペーサ、前記アース電極を表裏方向に貫通する位置決め孔と、該センサ部、該絶縁スペーサ、該アース電極を収容する袋状のカバーと、を備え、該カバーの表裏両層は、該位置決め孔の径方向内側において、接合されている構成とする方がよい。本構成によると、位置決め孔の径方向内側において、カバーの表裏両層を接合することにより、カバーに対する、カバー内部のセンサ部、絶縁スペーサ、アース電極の固定、位置決めを、簡単に行うことができる。
【0026】
(10−1)好ましくは、上記(10)の構成において、前記カバーの表裏両層は、溶着されている構成とする方がよい。本構成によると、カバーの表裏両層を、簡単、強固に接合することができる。また、本構成によると、カバーを接合する際に、例えばクリップなどの別部材が不要である。このため、カバーの上面に人が乗った場合、乗り心地(例えば、座り心地、寝心地など)が良好である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、周辺からのノイズを抑制可能であって、検出精度が低下しにくい静電容量型センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、第一実施形態の静電容量型センサの透過上面図である。
図2図2は、図1のII−II方向断面図である。
図3図3は、同静電容量型センサの分解斜視図である。
図4図4は、同静電容量型センサのブロック図である。
図5図5は、第二実施形態の静電容量型センサの透過上面図である。
図6図6は、同静電容量型センサの分解斜視図である。
図7図7は、図5の枠VII内の拡大図である。
図8図8は、図7のVIII−VIII方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の静電容量型センサの実施の形態について説明する。以下の図においては、上側が本発明の「表側」に、下側が本発明の「裏側」に、各々対応している。また、前後方向が本発明の「寝具における就寝状態の人の身長方向」に対応している。
【0030】
<<第一実施形態>>
<静電容量型センサの構成>
まず、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。図1に、本実施形態の静電容量型センサの透過上面図を示す。図2に、図1のII−II方向断面図を示す。図3に、同静電容量型センサの分解斜視図を示す。図4に、同静電容量型センサのブロック図を示す。
【0031】
図1に示すように、静電容量型センサ1は、ベッドのシーツ9の下側に敷設されている。静電容量型センサ1は、寝ている人Mの体重により、後述する検出部CFの電極間距離(表側電極部FXと裏側電極部FYとの間の距離)が変化することを基に、人Mの上半身の体圧分布を計測している。なお、シーツ9の下側には、静電容量型センサ1と同じ種類の静電容量型センサ(図略)が、もう一つ配置されている。当該静電容量型センサは、寝ている人Mの下半身の体圧分布を計測している。
【0032】
図1図4に示すように、静電容量型センサ1は、センサ部Fと、コネクタ20Fと、ハーネス21Fと、制御装置22Fと、カバー23と、表側アース電極240と、裏側アース電極241と、表側絶縁スペーサ250と、裏側絶縁スペーサ251と、裏端基材262と、4つの角部連結部290と、3つの前側中央連結部291と、3つの後側中央連結部292と、4つの全体連結部293と、を備えている。
【0033】
表側アース電極240、裏側アース電極241は、各々、本発明の「アース電極」の概念に含まれる。表側絶縁スペーサ250、裏側絶縁スペーサ251は、各々、本発明の「絶縁スペーサ」の概念に含まれる。前側中央連結部291、後側中央連結部292は、各々、本発明の「中央連結部」の概念に含まれる。
【0034】
[カバー23]
カバー23は、柔軟な軟質ウレタンフォーム製であって、袋状を呈している。カバー23は、絶縁性を有している。カバー23の内部には、静電容量型センサ1を構成する各部材のうち、コネクタ20F、ハーネス21F、制御装置22F以外の部材が、収容されている。
【0035】
[センサ部F]
センサ部Fは、表側電極部FXと、9本の表側配線Fxと、裏側電極部FYと、9本の裏側配線Fyと、表側基材260と、裏側基材261と、表側カバーコート270と、裏側カバーコート271と、誘電層280と、補強層281と、検出部CFと、を備えている。表側電極部FXは、本発明の「入力側電極部」に対応する。裏側電極部FYは、本発明の「出力側電極部」に対応する。
【0036】
(誘電層280、補強層281)
誘電層280は、柔軟な軟質ウレタンフォーム(具体的には、PORON(株式会社ロジャースイノアックの登録商標))製であって、四角形膜状を呈している。誘電層280は、絶縁性を有している。
【0037】
補強層281は、誘電層280の下側に配置されている。補強層281は、PET(ポリエチレンテレフタレート)製であって、四角形膜状を呈している。補強層281は、誘電層280よりも、硬質である(ヤング率が高い)。補強層281は、絶縁性を有している。
【0038】
(表側基材260、表側電極部FX、表側配線Fx、表側カバーコート270)
表側基材260は、誘電層280の上側に配置されている。表側基材260は、PET製であって、四角形膜状を呈している。表側基材260は、絶縁性を有している。
【0039】
9本の表側配線Fxは、表側基材260の下面に、スクリーン印刷されている。表側配線Fxは、銀ペースト製であって、導電性を有している。表側配線Fxは、後述する表側電極FXaと、後述するコネクタ20Fと、を電気的に接続している。
【0040】
表側電極部FXは、9本の表側電極FXaを備えている。表側電極FXaは、直線状であって、表側基材260の下面に、スクリーン印刷されている。表側電極FXaは、前後方向(Y方向)に延在している。9本の表側電極FXaは、左右方向(X方向)に並んでいる。表側電極FXaは、カーボンペースト製であって、導電性を有している。表側電極FXaは、表側配線Fxを、部分的に下側から覆っている。表側配線Fxは、表側電極FXaの長手方向全長に亘って、配置されている。
【0041】
表側カバーコート270は、ポリエステル製であって、四角形膜状を呈している。表側カバーコート270は、絶縁性を有している。表側カバーコート270は、表側基材260の下面に、スクリーン印刷されている。表側カバーコート270は、9本の表側配線Fx、9本の表側電極FXaを、下側から覆っている。
【0042】
(裏側基材261、裏側電極部FY、裏側配線Fy、裏側カバーコート271)
裏側基材261は、補強層281の下側に配置されている。裏側基材261は、PET製であって、四角形膜状を呈している。裏側基材261は、絶縁性を有している。
【0043】
9本の裏側配線Fyは、裏側基材261の上面に、スクリーン印刷されている。裏側配線Fyは、銀ペースト製であって、導電性を有している。裏側配線Fyは、後述する裏側電極FYaと、後述するコネクタ20Fと、を電気的に接続している。
【0044】
裏側電極部FYは、9本の裏側電極FYaを備えている。裏側電極FYaは、直線状であって、裏側基材261の上面に、スクリーン印刷されている。裏側電極FYaは、左右方向に延在している。9本の裏側電極FYaは、前後方向に並んでいる。裏側電極FYaは、カーボンペースト製であって、導電性を有している。裏側電極FYaは、裏側配線Fyを、部分的に上側から覆っている。裏側配線Fyは、裏側電極FYaの長手方向全長に亘って、配置されている。
【0045】
裏側カバーコート271は、ポリエステル製であって、四角形膜状を呈している。裏側カバーコート271は、絶縁性を有している。裏側カバーコート271は、裏側基材261の上面に、スクリーン印刷されている。裏側カバーコート271は、9本の裏側配線Fy、9本の裏側電極FYaを、上側から覆っている。
【0046】
(検出部CF)
上側から見て、9本の表側電極FXaと、9本の裏側電極FYaと、は格子状に並んでいる。表側電極FXaと、裏側電極FYaと、が重複する部分には、検出部CFが設定されている。検出部CFは、合計81個配置されている。
【0047】
[表側絶縁スペーサ250、表側アース電極240]
表側絶縁スペーサ250は、表側基材260の上側に配置されている。表側絶縁スペーサ250は、PE(ポリエチレン)製であって、四角形膜状を呈している。表側絶縁スペーサ250は、絶縁性を有している。
【0048】
表側絶縁スペーサ250の上面(表裏方向外側の面)には、銀ペースト製の表側アース配線(図略)が、全面的にスクリーン印刷されている。表側アース電極240は、カーボンペースト製であって、四角形膜状を呈している。表側アース電極240は、導電性を有している。表側アース電極240は、表側アース配線の上面に、全面的にスクリーン印刷されている。表側アース電極240は、表側アース配線を介して、電気的に接地されている。
【0049】
[裏側絶縁スペーサ251、裏側アース電極241、裏端基材262]
裏側絶縁スペーサ251は、裏側基材261の下側に配置されている。図3に示すように、裏側絶縁スペーサ251は、5枚の絶縁フィルム251aからなる。絶縁フィルム251aは、PE製であって、四角形膜状を呈している。絶縁フィルム251aは、絶縁性を有している。
【0050】
裏端基材262は、裏側絶縁スペーサ251の下側に配置されている。裏端基材262は、PET製であって、四角形膜状を呈している。裏端基材262は、絶縁性を有している。
【0051】
裏端基材262の上面には、銀ペースト製の裏側アース配線(図略)が、全面的にスクリーン印刷されている。裏側アース電極241は、カーボンペースト製であって、四角形膜状を呈している。裏側アース電極241は、導電性を有している。裏側アース電極241は、裏側アース配線の上面に、全面的にスクリーン印刷されている。裏側アース電極241は、裏側絶縁スペーサ251の下側(表裏方向外側)に配置されている。裏側アース電極241は、裏側アース配線を介して、電気的に接地されている。
【0052】
[角部連結部290、前側中央連結部291、後側中央連結部292、全体連結部293]
図3にハッチングで示すように、4つの角部連結部290は、上側から見て、裏側絶縁スペーサ251の四隅に配置されている。角部連結部290は、裏側絶縁スペーサ251の対角線に対して、直交する方向に延在している。角部連結部290は、上下方向に隣り合う一対の絶縁フィルム251a同士を溶着することにより、形成されている。
【0053】
図3にハッチングで示すように、3つの前側中央連結部291は、上側から見て、左前隅の角部連結部290と、右前隅の角部連結部290と、の間に配置されている。前側中央連結部291は、前後方向(図1に示す人Mの身長方向)に延在している。
【0054】
図3にハッチングで示すように、3つの後側中央連結部292は、上側から見て、左後隅の角部連結部290と、右後隅の角部連結部290と、の間に配置されている。後側中央連結部292は、前後方向に延在している。
【0055】
このように、5枚の絶縁フィルム251aは、4つの角部連結部290、3つの前側中央連結部291、3つの後側中央連結部292により、互いに面方向(水平方向)にずれないように、一体化されている。
【0056】
4つの全体連結部293は、上側から見て、表側アース電極240の四隅に配置されている。全体連結部293は、上下両端に抜け止め部を有する、樹脂製の結束具である。全体連結部293は、上側から下側に向かって、表側アース電極240、表側絶縁スペーサ250、センサ部F、裏側絶縁スペーサ251、裏側アース電極241、裏端基材262を貫通している。このように、これらの部材は、4つの全体連結部293により、互いに面方向にずれないように、一体化されている。
【0057】
裏側絶縁スペーサ251において、4つの角部連結部290、3つの前側中央連結部291、3つの後側中央連結部292、4つの全体連結部293が配置されている部分が、拘束部251bである。拘束部251bにおいては、5枚の絶縁フィルム251aが互いに拘束されている。このため、各絶縁フィルム251aは、他の絶縁フィルム251aに対して、面方向にずれることができない。
【0058】
一方、裏側絶縁スペーサ251において、4つの角部連結部290、3つの前側中央連結部291、3つの後側中央連結部292、4つの全体連結部293が配置されていない部分が、非拘束部251cである。非拘束部251cにおいては、5枚の絶縁フィルム251aが互いに拘束されていない。このため、各絶縁フィルム251aは、他の絶縁フィルム251aに対して、面方向にずれることができる。
【0059】
[コネクタ20F、ハーネス21F、制御装置22F]
コネクタ20Fは、静電容量型センサ1の左前隅に配置されている。コネクタ20Fには、9本の表側配線Fx、9本の裏側配線Fyが、互いに絶縁を確保された状態で、電気的に接続されている。ハーネス21Fは、コネクタ20Fと、後述する制御装置22Fと、を電気的に接続している。
【0060】
制御装置22Fは、電源220と、入力側切替回路221と、出力側切替回路222と、静電容量検出部223と、を備えている。電源220は、9本の表側配線Fxを介して、9本の表側電極FXaに、交流電圧(具体的には矩形波電圧)を印加する。
【0061】
入力側切替回路221は、9個のスイッチ(図略)を備えている。入力側切替回路221の一端は、電源220に接続されている。入力側切替回路221の他端は、9本の表側配線Fxに接続されている。入力側切替回路221は、電源220に対して、9本の表側配線Fxを、順番に切り替えて接続する。
【0062】
出力側切替回路222は、9個のスイッチ(図略)を備えている。出力側切替回路222の一端は、9本の裏側配線Fyに接続されている。出力側切替回路222の他端は、静電容量検出部223に接続されている。出力側切替回路222は、静電容量検出部223に対して、9本の裏側配線Fyを、順番に切り替えて接続する。
【0063】
静電容量検出部223は、合計81個の検出部CFのうち、電圧が印加されている表側電極FXaと、静電容量検出部223に接続されている裏側電極FYaと、に関する検出部CFの静電容量を計測する。具体的には、静電容量検出部223は、検出部CFの充電電流を静電容量に変換している。そして、当該静電容量を計測している。充電電流は、本発明の「静電容量に関する電気量」の概念に含まれる。合計81個の検出部CFには、走査的に、順番に電圧が印加される。このため、寝ている人Mの上半身の体圧分布を計測することができる。
【0064】
[静電容量型センサの作用効果]
次に、本実施形態の静電容量型センサの作用効果について説明する。本実施形態の静電容量型センサ1によると、センサ部Fが面方向に合計81個の検出部CFを備えている。このため、人Mの上半身の体圧分布を検出することができる。
【0065】
また、本実施形態の静電容量型センサ1は、表側絶縁スペーサ250、表側アース電極240を備えている。このため、人Mに掛けられている寝具(例えば電気毛布など)に起因する環境ノイズを抑制することができる。したがって、検出精度を高くすることができる。
【0066】
また、本実施形態の静電容量型センサ1は、裏側絶縁スペーサ251、裏側アース電極241を備えている。このため、人Mが敷いている寝具やフロアに起因する環境ノイズを抑制することができる。したがって、検出精度を高くすることができる。
【0067】
また、検出部CFの静電容量Caに対して、裏側電極FYaと裏側アース電極241との電極間距離が、一定未満の場合は、静電容量Caに起因する電流は、裏側アース電極241を介してグランドに逃げてしまう。この点、本実施形態の静電容量型センサ1は、裏側絶縁スペーサ251を備えている。このため、静電容量Caに起因する電流を、裏側電極FYa、裏側配線Fyを介して、制御装置22Fの静電容量検出部223に流すことができる。
【0068】
同様に、検出部CFの静電容量Caに対して、表側電極FXaと表側アース電極240との間の電極間距離が、一定未満の場合は、静電容量Caに起因する電流は、表側アース電極240を介してグランドに逃げてしまう。この点、本実施形態の静電容量型センサ1は、表側絶縁スペーサ250を備えている。このため、静電容量Caに起因する電流を、裏側電極FYa、裏側配線Fyを介して、制御装置22Fの静電容量検出部223に流すことができる。
【0069】
また、本実施形態の静電容量型センサ1によると、表側基材260の下面に、9本の表側配線Fx、9本の表側電極FXa、表側カバーコート270が、スクリーン印刷されている。このため、これらの部材の形状精度、位置精度が高くなる。
【0070】
同様に、本実施形態の静電容量型センサ1によると、裏側基材261の上面に、9本の裏側配線Fy、9本の裏側電極FYa、裏側カバーコート271が、スクリーン印刷されている。このため、これらの部材の形状精度、位置精度が高くなる。
【0071】
また、上記「表側基材260、9本の表側配線Fx、9本の表側電極FXa、表側カバーコート270」からなる表側積層体と、上記「裏側基材261、9本の裏側配線Fy、9本の裏側電極FYa、裏側カバーコート271」からなる裏側積層体と、は構成が同じである。すなわち、表側積層体を、上下反転させ、水平面内において適宜回転させると、裏側積層体になる。同様に、裏側積層体を、上下反転させ、水平面内において適宜回転させると、表側積層体になる。このため、同じ構成の積層体を、表側積層体、裏側積層体として、用いることができる。
【0072】
また、本実施形態の静電容量型センサ1によると、誘電層280の下側に補強層281が配置されている。このため、誘電層280の耐久性が高くなる。また、誘電層280の上側に補強層281を配置する場合と比較して、誘電層280を、荷重が加わった部分だけ、局所的に圧縮させることができる。このため、体圧分布の検出精度を高くすることができる。
【0073】
また、本実施形態の静電容量型センサ1によると、表側または裏側から見て、電極(表側電極FXa、裏側電極FYa、表側アース電極240、裏側アース電極241)の全体に亘って、配線(表側配線Fx、裏側配線Fy、表側アース配線、裏側アース配線)が配置されている。配線は、電極よりも、電気抵抗が小さい。このため、電極全体に配線を行き渡らせることにより、電極全体の電気抵抗を小さくすることができる。また、電極全体の電気抵抗のばらつきを小さくすることができる。また、複数の検出部CF間(例えば、前端の検出部CFと後端の検出部CFとの間)における検出値のばらつきを小さくすることができる。したがって、体圧分布の検出精度を高くすることができる。
【0074】
また、本実施形態の静電容量型センサ1によると、裏側絶縁スペーサ251は、上下方向に積層された5枚の絶縁フィルム251aにより、構成されている。このため、絶縁フィルム251aの積層数を変更することにより、裏側絶縁スペーサ251の上下方向の厚さ(つまり裏側アース電極241と裏側電極FYaとの間の距離)を、簡単に調整することができる。
【0075】
また、図3に示すように、本実施形態の静電容量型センサ1の裏側絶縁スペーサ251は、拘束部251bを備えている。このため、5枚の絶縁フィルム251aが互いにずれるのを抑制することができる。また、裏側絶縁スペーサ251は、非拘束部251cを備えている。このため、5枚の絶縁フィルム251aの変形(例えば曲げ変形)が、互いに拘束されるのを抑制することができる。また、隣り合う任意の一つの絶縁フィルム251aの非拘束部251c同士が、互いに摺動するのを許容することができる。
【0076】
また、絶縁フィルム251aを曲げ変形させる場合、曲率半径方向内側の面に対する曲率半径方向外側の面の伸張量は、絶縁フィルム251aの上下方向厚さが小さいほど、小さくて済む。例えば、絶縁フィルム251aに上側から荷重を加える場合、絶縁フィルム251aの上面に対する下面の伸張量は、絶縁フィルム251aの上下方向厚さが小さいほど、小さくて済む。このように、絶縁フィルム251aの上下方向厚さが小さいほど、絶縁フィルム251aは曲がりやすい。
【0077】
この点、本実施形態の静電容量型センサ1によると、裏側絶縁スペーサ251が、単一の絶縁フィルムではなく、5枚の絶縁フィルム251aから構成されている。また、裏側絶縁スペーサ251は、非拘束部251cを備えている。このため、単一の絶縁フィルム(当該絶縁フィルムの上下方向厚さは、5枚の絶縁フィルム251aの上下方向厚さの総和)からなる裏側絶縁スペーサと比較して、本実施形態の裏側絶縁スペーサ251の5枚の絶縁フィルム251aは、各々、曲がりやすい。したがって、本実施形態の裏側絶縁スペーサ251は曲がりやすい。よって、寝心地が良好である。
【0078】
このように、本実施形態の静電容量型センサ1によると、裏側絶縁スペーサ251の上下方向の厚さ(つまり裏側アース電極241と裏側電極FYaとの間の距離)を充分に確保しながら、裏側絶縁スペーサ251の曲げ変形を容易にすることができる。
【0079】
また、図3に示すように、3つの前側中央連結部291、3つの後側中央連結部292は、就寝状態の人Mの身長方向(前後方向)に沿って、延在している。このため、人Mが、臥位(寝ている状態)から座位(座っている状態)、または座位から臥位に移行する際に、5枚の絶縁フィルム251aが互いにずれにくい。したがって、人Mが違和感を感じにくい。
【0080】
また、絶縁フィルム251aは、ポリエチレン製である。ポリエチレンは、安価で、ヤング率が低く、誘電率が低い。このため、絶縁フィルム251aは、製造コストが低く、曲がりやすく、絶縁性が高い。
【0081】
<<第二実施形態>>
本実施形態の静電容量型センサと第一実施形態の静電容量型センサとの相違点は、カバーの表裏両層が溶着されることにより、全体連結部が形成されている点である。また、5枚の絶縁フィルムが縞状に溶着されることにより、絶縁スペーサが形成されている点である。ここでは、主に相違点について説明する。
【0082】
図5に、本実施形態の静電容量型センサの透過上面図を示す。図6に、同静電容量型センサの分解斜視図を示す。図7に、図5の枠VII内の拡大図を示す。図8に、図7のVIII−VIII方向断面図を示す。
【0083】
なお、図5において、図1と対応する部材については、同じ符号で示す。図6において、図3と対応する部材については、同じ符号で示す。図8において、図2と対応する部材については、同じ符号で示す。図5においては、図1に示すシーツ9、人Mを省略する。
【0084】
図5図7に示すように、静電容量型センサ1のカバー23には、4つのカバー孔230が穿設されている。図8に示すように、カバー孔230は、カバー23の表裏両層を、上下方向(表裏方向)に貫通している。
【0085】
図6図8に示すように、カバー23に収容されている部材(具体的には、センサ部F、裏側アース電極241、裏側絶縁スペーサ251)には、4つの位置決め孔8が穿設されている。図8に示すように、位置決め孔8は、カバー23に収容されている部材を、上下方向(表裏方向)に貫通している。位置決め孔8の孔径(直径)D1は、カバー孔230の孔径(直径)D2よりも、大きい。位置決め孔8の径方向内側かつカバー孔230の径方向外側には、全体連結部293が配置されている。全体連結部293は、カバー23の表裏両層が溶着されることにより、形成されている。図7にハッチングで示すように、上側から見て、全体連結部293は、カバー孔230を中心とする環状を呈している。全体連結部293は、カバー23と、カバー23に収容されている部材と、を位置決めしている。また、全体連結部293は、カバー23に収容されている部材同士を、互いに位置決めしている。
【0086】
図6にハッチングで示すように、複数の帯状連結部294は、上側から見て、縞状に配置されている。帯状連結部294は、前後方向(図1に示す人Mの身長方向)に延在している。複数の帯状連結部294は、互いに平行に配置されている。帯状連結部294は、上下方向に隣り合う一対の絶縁フィルム251a同士を溶着することにより、形成されている。このように、5枚の絶縁フィルム251aは、複数の帯状連結部294により、互いに面方向(水平方向)にずれないように、一体化されている。
【0087】
裏側絶縁スペーサ251において、帯状連結部294が配置されている部分が、拘束部251bである。拘束部251bにおいては、5枚の絶縁フィルム251aが互いに拘束されている。このため、各絶縁フィルム251aは、他の絶縁フィルム251aに対して、面方向にずれることができない。
【0088】
一方、裏側絶縁スペーサ251において、帯状連結部294が配置されていない部分が、非拘束部251cである。非拘束部251cにおいては、5枚の絶縁フィルム251aが互いに拘束されていない。このため、各絶縁フィルム251aは、他の絶縁フィルム251aに対して、面方向にずれることができる。
【0089】
なお、裏側絶縁スペーサ251は、まず絶縁フィルム251aを切出し可能な大きさの原反を5枚積層させ、次に積層させた5枚の原反を縞状に溶着し、最後に溶着済みの5枚の原反を所定の大きさに裁断することにより、作製される。こうすると、簡単に裏側絶縁スペーサ251を作製することができる。
【0090】
本実施形態の静電容量型センサは、構成が共通する部分に関しては、第一実施形態の静電容量型センサと、同様の作用効果を有する。また、本実施形態の静電容量型センサ1によると、図6に示すように、帯状連結部294により、裏側絶縁スペーサ251に、縞状に拘束部251bを設定することができる。
【0091】
また、図6に示すように、帯状連結部294は、就寝状態の人Mの身長方向に沿って、延在している。このため、人Mが、臥位(寝ている状態)から座位(座っている状態)、または座位から臥位に移行する際に、複数の絶縁フィルム251aが互いにずれにくい。このため、人Mが違和感を感じにくい。
【0092】
また、図8に示すように、カバー23の表裏両層は、位置決め孔8の径方向内側において、溶接されている。このため、カバー23に対する、カバー23内部のセンサ部F、裏側絶縁スペーサ251、裏側アース電極241の固定、位置決めを、簡単に行うことができる。また、カバー23を接合する際に、例えばクリップなどの別部材が不要である。このため、カバー23の上面に人Mが乗った場合、乗り心地(例えば、座り心地、寝心地など)が良好である。
【0093】
また、図8に示すように、カバー23の表裏両層は、カバー孔230の径方向外側において、溶接、封止されている。このため、カバー23の内部に、異物(固体、液体など)が進入するのを抑制することができる。
【0094】
また、カバー孔230は、カバー23を上下方向に貫通している。このため、カバー孔230により、カバー23上下方向の通気性や透湿性を確保することができる。したがって、例えば、カバー23を敷設する際、カバー23下側の空気を抜きやすい。このため、静電容量型センサ1の敷設が容易である。また、カバー23の上側から下側に、湿気を逃がしやすい。このため、静電容量型センサ1上の人Mが不快になりにくい。
【0095】
また、図5図7に示すように、カバー孔230、位置決め孔8、全体連結部293は、表側電極FXa、裏側電極FYaを避けて、配置されている。このため、静電容量型センサ1の検出精度が低下しにくい。
【0096】
<<その他>>
以上、本発明の静電容量型センサの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0097】
絶縁フィルム251aの構成は特に限定しない。上面および下面のうち、少なくとも一方に、凹凸形状を付与してもよい。また、上面および下面のうち、少なくとも一方に、スリットを入れてもよい。また、凹凸形状を有するシボシートを、絶縁フィルム251aとして用いてもよい。
【0098】
上記実施形態においては、裏側絶縁スペーサ251を複数の絶縁フィルム251aにより構成したが、表側絶縁スペーサ250を複数の絶縁フィルム251aにより構成してもよい。
【0099】
絶縁スペーサ250、251の配置数は特に限定しない。センサ部Fの表側だけ、または裏側だけに、絶縁スペーサ250、251を配置してもよい。すなわち、センサ部Fの表裏両側のうち少なくとも一方に、絶縁スペーサ250、251を配置すればよい。同様に、アース電極240、241の配置数は特に限定しない。センサ部Fの表側だけ、または裏側だけに、アース電極240、241を配置してもよい。すなわち、センサ部Fの表裏両側のうち少なくとも一方に、アース電極240、241を配置すればよい。
【0100】
また、表側絶縁スペーサ250、裏側絶縁スペーサ251における絶縁フィルム251aの積層数は特に限定しない。単一でも複数でもよい。複数の場合、各絶縁フィルム251aの上下方向厚さは、一定であっても、一定でなくてもよい。
【0101】
角部連結部290、前側中央連結部291、後側中央連結部292、全体連結部293の構成は特に限定しない。接着、面ファスナー、粘着テープ(例えば両面テープなど)、ステープラー、クリップなどにより、各部材を固定してもよい。フィルム連結部の配置数、形状、配置パターンは特に限定しない。例えば、絶縁フィルム251aの四辺に沿って、四角形枠状にフィルム連結部を配置してもよい。
【0102】
また、図8に示すカバー23の表裏両層の接合方法は特に限定しない。例えば、接着、面ファスナー、粘着テープ(例えば両面テープなど)、ステープラー、クリップなどを用いて表裏両層を接合してもよい。また、図8に示すカバー孔230は、配置しなくてもよい。また、全体連結部293の位置、配置数は特に限定しない。
【0103】
表側電極FXa、裏側電極FYaの本数、形状、配置パターンは特に限定しない。少なくとも一つの検出部CFを設定できればよい。複数の検出部CFを配置する場合、検出部CFの配置密度は、検出エリア(体圧分布を検出可能なエリア)全面に亘って、一定でなくてもよい。例えば、体圧が集中しやすい部分に密に、体圧が集中しにくい部分に疎に、検出部CFを配置してもよい。また、表側電極FXa、裏側電極FYaのうち、一方を、同心円状に配置してもよい。並びに、他方を、一方と同心の放射状に配置してもよい。
【0104】
上記実施形態においては、表側基材260の下面に、9本の表側配線Fx、9本の表側電極FXa、表側カバーコート270を、スクリーン印刷した。並びに、裏側基材261の上面に、9本の裏側配線Fy、9本の裏側電極FYa、裏側カバーコート271を、スクリーン印刷した。しかしながら、インクジェット印刷方法、フレキソ印刷方法、グラビア印刷方法、パッド印刷方法、リソグラフィー、ディスペンサー印刷方法など、他の印刷方法により、上記各部材を印刷してもよい。また、接着、貼着、成形など、他の配置方法により、上記各部材を配置してもよい。
【0105】
また、誘電層280の上面に、9本の表側配線Fx、9本の表側電極FXa、表側カバーコート270を、印刷してもよい。同様に、誘電層280の下面に、9本の裏側配線Fy、9本の裏側電極FYa、裏側カバーコート271を、印刷してもよい。こうすると、検出部CFの位置精度が高くなる。
【0106】
また、本発明の静電容量型センサの表裏方向は、上下方向でなくてもよい。例えば、表裏方向が前後方向、左右方向(例えば、静電容量型センサを壁面に配置する場合)であってもよい。また、本発明の静電容量型センサは、平面は勿論、曲面に配置してもよい。曲面に配置する場合、静電容量型センサは曲面の形状に沿って湾曲する。
【0107】
また、上記実施形態においては、表側電極部FXを入力側切替回路221に、裏側電極部FYを出力側切替回路222に、各々接続したが、表側電極部FX、裏側電極部FYの接続先は特に限定しない。例えば、表側電極部FXを出力側切替回路222に、裏側電極部FYを入力側切替回路221に、各々接続してもよい。
【0108】
絶縁性を有する部材(例えば、カバー23、表側絶縁スペーサ250、裏側絶縁スペーサ251、表側基材260、裏側基材261、裏端基材262、表側カバーコート270、裏側カバーコート271、誘電層280、補強層281など)の材質は特に限定しない。人Mの体重により湾曲する程度の柔軟性を有していればよい。例えば、樹脂、エラストマーを用いることができる。樹脂としては、PET、PE、PI(ポリイミド)、PEN(ポリエチレンナフタレート)などを用いることができる。エラストマーとしては、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレン共重合体ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどを用いることができる。また、絶縁性を有する部材の材料として、樹脂、エラストマーのフォーム(例えば、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォームなど)を用いてもよい。また、絶縁性を有する部材の材料として、樹脂繊維(例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維など)の織布、不織布などを用いてもよい。
【0109】
導電性を有する部材(例えば、表側電極FXa、裏側電極FYa、表側配線Fx、裏側配線Fy、表側アース電極240、裏側アース電極241など)の材質は特に限定しない。人Mの体重により湾曲する程度の柔軟性を有していればよい。例えば、母材であるエラストマーに導電性フィラーを含有させた電極材料を用いてもよい。この場合、エラストマーとしては、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムなどを用いることができる。また、導電性フィラーとしては、炭素材料および金属から選ばれる一種以上からなるものを用いることができる。金属としては、導電性の高い銀、銅等が好適である。例えば、導電性フィラーとして、銀、銅等の微粒子、あるいは表面に銀等のめっきを施した微粒子を使用することができる。また、炭素材料は、導電性が良好で、比較的安価である。このため、炭素材料製の導電性フィラーを用いると、静電容量型センサ1の製造コストを低減することができる。炭素材料としては、例えば、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの誘導体、グラファイト、導電性炭素繊維などを用いることができる。特に、導電性カーボンブラック、グラファイト、導電性炭素繊維は、導電性が良好で、比較的安価である。このため、これらの材料を用いると、静電容量型センサ1の製造コストを削減することができる。また、導電性を有する部材の材料として、導電性繊維の織布、不織布などを用いてもよい。
【0110】
本発明の静電容量型センサは、相互容量式のタッチセンサとして具現化してもよい。この場合、表側電極部FX、裏側電極部FYのうち、一方を受信電極に、他方を送信電極に、設定すればよい。
【符号の説明】
【0111】
1:静電容量型センサ。
20F:コネクタ、21F:ハーネス、22F:制御装置、23:カバー、220:電源、221:入力側切替回路、222:出力側切替回路、223:静電容量検出部、230:カバー孔、240:表側アース電極(アース電極)、241:裏側アース電極(アース電極)、250:表側絶縁スペーサ(絶縁スペーサ)、251:裏側絶縁スペーサ(絶縁スペーサ)、251a:絶縁フィルム、251b:拘束部、251c:非拘束部、260:表側基材、261:裏側基材、262:裏端基材、270:表側カバーコート、271:裏側カバーコート、280:誘電層、281:補強層、290:角部連結部、291:前側中央連結部(中央連結部)、292:後側中央連結部(中央連結部)、293:全体連結部、294:帯状連結部。
8:位置決め孔。
9:シーツ。
CF:検出部、D1:孔径、D2:孔径、F:センサ部、FX:表側電極部(入力側電極部)、FXa:表側電極、FY:裏側電極部(出力側電極部)、FYa:裏側電極、Fx:表側配線、Fy:裏側配線、M:人。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8