(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013618
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】液体の液面高さ及び比重を同時に測定する装置
(51)【国際特許分類】
G01F 23/72 20060101AFI20161011BHJP
G01N 9/18 20060101ALI20161011BHJP
G01N 9/36 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
G01F23/72
G01N9/18 A
G01N9/36 B
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-543948(P2015-543948)
(86)(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公表番号】特表2016-503505(P2016-503505A)
(43)【公表日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】KR2013002457
(87)【国際公開番号】WO2014081087
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2015年5月21日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0132895
(32)【優先日】2012年11月22日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515137255
【氏名又は名称】ダイン レベル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ペク,ヨン−ジュ
(72)【発明者】
【氏名】タク,ナム−ギュ
【審査官】
谷山 稔男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−004434(JP,A)
【文献】
特表2009−525484(JP,A)
【文献】
特開2012−002621(JP,A)
【文献】
特開2012−002618(JP,A)
【文献】
特開昭61−029914(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0170338(US,A1)
【文献】
米国特許第04939457(US,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2008−0090539(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/62、23/72、23/76
G01N 9/18、9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面高さ測定用浮標と比重測定用浮標を貫通するプローブシャフトにパルスを印加した後、磁歪を用いて液面高さと比重を測定するようにした液面高さ及び比重測定装置において、
前記液面高さ測定用浮標は、
中央に貫通ホールが形成されて上部の内側に枠が形成された円筒状胴体と、前記円筒状胴体の上部に固定されて前記液面高さ測定用浮標と前記プローブシャフトとの間に表面張力が発生することを防止するための上部ガイドと、
前記液面高さ測定用浮標に固定されて液面高さを知らせるための液面高さ測定用永久磁石と、
前記円筒状胴体の下部に固定されて前記液面高さ測定用浮標と前記比重測定用浮標との間に表面張力が発生することを防止するための下部ガイドとを含み、
前記比重測定用浮標は、
上部円筒と下部円筒が一体とされ、中央に貫通ホールが形成された円柱状胴体であって、前記下部円筒の外径は前記上部円筒の外径より大きく、前記上部円筒の長さは前記下部円筒の長さより長い円柱状胴体と、
前記円柱状胴体の上部に固定されて前記比重測定用浮標と前記プローブシャフトとの間に表面張力が発生することを防止するための上部ガイドと、
前記円柱状胴体の下部に固定されて前記比重測定用浮標と前記プローブシャフトとの間に表面張力が発生することを防止するための下部ガイドと、
前記比重測定用浮標に固定されて位置を知らせるための比重測定用磁石と、
を含み、
前記液面高さ測定用浮標の円筒状胴体に前記比重測定用浮標の円柱状胴体の上部円筒が嵌入される結合構造を有することを特徴とする、液体の液面高さ及び比重を同時に測定する装置。
【請求項2】
前記比重測定用浮標は、前記比重測定用浮標の円柱状胴体に取り付けられて前記比重測定用浮標の浮力を調整するためのウエートをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の液体の液面高さ及び比重を同時に測定する装置。
【請求項3】
前記液面高さ測定用浮標や前記比重測定用浮標の上部ガイドと下部ガイドは、アルミニウム材質の円板の中央に円形貫通孔が形成されたものであり、円形貫通孔の内周には、複数の凹部が形成され、これにより当該ガイドがプローブシャフトと触れる面積を最小化したことを特徴とする、請求項2に記載の液体の液面高さ及び比重を同時に測定する装置。
【請求項4】
前記液面高さ測定用浮標や前記比重測定用浮標の上部ガイドと下部ガイドは、アルミニウム材質の円板の中央に円形貫通孔が形成されたものであり、円形貫通孔の内周には、複数の凹部が形成され、これにより当該ガイドがプローブシャフトと触れる面積を最小化したことを特徴とする、請求項1に記載の液体の液面高さ及び比重を同時に測定する装置。
【請求項5】
液面高さ測定用浮標と比重測定用浮標を貫通するプローブシャフトにパルスを印加した後、磁歪を用いて液面高さと比重を測定するようにした液面高さ及び比重測定装置において、
前記液面高さ測定用浮標は、
中央に貫通ホールが形成されて上部の内側に枠が形成された円筒状胴体と、
前記円筒状胴体の上部に固定されて前記液面高さ測定用浮標と前記プローブシャフトとの間に表面張力が発生することを防止するための上部ガイドと、
前記液面高さ測定用浮標に固定されて液面高さを知らせるための液面高さ測定用永久磁石と、
前記円筒状胴体の下部に固定されて前記液面高さ測定用浮標と前記比重測定用浮標との間に表面張力が発生されることを防止するための下部ガイドを含み、
前記比重測定用浮標は、
上部円筒と下部円筒が一体とされ、中央に貫通ホールが形成された円柱状胴体であって、前記下部円筒の外径は前記上部円筒の外径より大きく、前記上部円筒の長さは前記下部円筒の長さより長い円柱状胴体と、
前記円柱状胴体の上部に固定されて前記比重測定用浮標と前記プローブシャフトとの間に表面張力が発生することを防止するための上部ガイドと、
前記円柱状胴体の下部に固定されて前記比重測定用浮標と前記プローブシャフトとの間に表面張力が発生することを防止するための下部ガイドと、
前記比重測定用浮標に固定されて位置を知らせるための比重測定用磁石と、
を含み、
前記液面高さ測定用浮標の円筒状胴体の厚さ(T1)は、前記比重測定用浮標の上部円筒の厚さ(T2)より3倍以上厚いことを特徴とする、液体の液面高さ及び比重を同時に測定する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁歪方式により液体の液面高さ及び比重を同時に測定する装置に関し、特に外径の大きさを50mm以内に形成し、開口部の小さな油類タンクにも適用できると共に、浮標とプローブシャフトとの間の表面張力を最小化して精密度を向上させた、液体の液面高さ及び比重を同時に測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油量を求めるために油類タンクのようなタンク内部の液面高さを測定する装置をタンクレベルゲージ(Tank Level Gauge)と言う。タンクレベルゲージ(TLG)が液面高さを測定する方式は多様だが、磁歪(Magnetostriction)現象を用いた磁歪方式が最も広く使われている。磁歪(Magnetostriction)現象とは、磁性体物質に磁界を加えたとき、分子構造が整列されて材料の長さが変化し弾性変形が起きる現象である。
【0003】
磁場変形(Magnetostriction)を用いた液面高さ測定装置は、通常、磁歪線上に水の上に浮かぶフロート(Floater)の内部に永久磁石を配置して軸方向の磁場を発生させて、磁歪線にパルス(Pulse)を印加して円周方向の磁場を発生させる。すると、軸方向磁場と円周方向の磁場との合成によって磁場歪み(Distortion)現象が発生し、これは一種の機械的振動であるため磁歪線に沿って弾性波(超音波)が伝播される。そして、タンクレベルゲージは磁歪線にパルス(Pulse)を印加した後、超音波の受信されるまでの時間を測定して永久磁石の位置(即ち、液面高さ)を計算する。
【0004】
一方、液体貯蔵タンクで液体水位と比重を同時に測定する技術としては、韓国公開特許第10−2008−0090539号に公開された“液体水位及び密度測定装置”が知られている。前記液体水位及び密度測定装置は、
図1に図示されたように、液体密度測定用浮標10が中空(Cavity)を有するシリンダー形状に製造されて、中空の中に水位測定用浮標20が挿入されてプローブシャフト30が貫通される構造からなっている。
【0005】
しかし、このような構造の密度測定用浮標は、
図2の(a)に図示されたように、液面用浮標と比重用浮標が互いに近接したり接触したりする時発生する液体の表面張力及び摩擦係数を無くすために、液面用浮標と比重用浮標が互いに接触しない程度に“d1”の間隔を十分に保持しなければならず、比重用浮標の下端部でプローブシャフト30と接触する領域“d2”を十分に長くしなければならない。もし、d1の間隔が狭かったりd2の長さが短かったりすると、流動的に動く液体の中で液面高さ測定用浮標20と比重用浮標10が
図2の(b)のように互いに接触して液体の表面張力及び摩擦係数の影響を受けて測定誤りが発生する。
【0006】
したがって、液面高さ測定用浮標20と比重測定用浮標10が互いに近接したり接触したりするとき発生する液体の表面張力及び摩擦係数を無くすために、液面高さ測定用浮標20と比重測定用浮標10が互いに接触しない程度に十分に距離を浮かべなければならないため、韓国公開特許第10−2008−0090539号に公開された装置の外径を50mm以内に形成することができないという問題点がある。すなわち、給油所などで使用される液体貯蔵タンクの上部に位置するマンホールに開設された開口部のパイプ規格は、慣習的にアメリカ及びヨーロッパ圏はパイプ規格100A(内径105mm)に開設されているが、韓国を含む東洋圏はパイプ規格50A(内径54mm)またはパイプ規格40A(内径42mm)に開設されており、韓国や東洋圏の油類タンクに使用するためには開口部を確張する工事が必要だという問題点がある。
【0007】
また、プローブシャフト30が貫通する測定用浮標40は、
図3に図示されたように、プローブシャフト30と浮標40は近接または接触していて表面張力が作用する場合に、液体表面の上に浮かんでいる浮標は、水位が下がっても水位の下がった分だけ浮標が下がらずに測定に誤りが発生する問題点がある。
図3を参照すると、水位がh1であり液体の上に浮かんでいる浮標40の高さがd1の場合、水位がh2に下がっても浮標40は水位の下がった分だけ下がらずd1よりd2が大きい場合を示すが、“d2−d1”だけ表面張力が作用したことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような問題点を解決するために提案されたものであり、本発明の目的は外径の大きさを50mm以内に形成し、開口部が小さい油類タンクに別途の工事なしに適用することができると共に、浮標とプローブシャフトとの間の表面張力を最小化することができる液体の液面高さ及び比重を同時に測定する装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、コア形状に製作された比重測定用浮標は外径−内径の厚さを薄くして液体の比重変化に敏感に反応するようにして、液面高さ測定用浮標は比重測定用浮標より厚くして液体の比重変化に鈍感にすることによって、相対的に敏感度で3倍以上の差を有するようにして精密度を向上させた液体の液面高さ及び比重を同時に測定する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記のような目的を達成するために、本発明の装置は、液面高さ測定用浮標と比重測定用浮標とを貫通するプローブシャフトにパルスを印加した後、磁歪を用いて液面高さと比重を測定できるようになっている液面高さ及び比重測定装置である。
【0011】
前記液面高さ測定用浮標は、中央に貫通ホールが形成されて上部の内側に枠が形成された円筒状胴体と、前記円筒状胴体の上部に固定されて前記液面高さ測定用浮標と前記プローブシャフトとの間に表面張力が発生することを防止するための上部ガイドと、前記液面高さ測定用浮標に固定されて液面高さを知らせるための液面高さ測定用永久磁石及び前記円筒状胴体の下部に固定されて前記液面高さ測定用浮標と前記比重測定用浮標との間に表面張力が発生することを防止するための下部ガイドとを含む。
【0012】
前記比重測定用浮標は、上部円筒と下部円筒が一体とされ前記下部円筒の外径は前記上部円筒の外径より大きく、前記上部円筒の長さは前記下部円筒の長さより長い円柱状胴体と、前記円柱状胴体の上部に固定されて前記比重測定用浮標と前記プローブシャフトとの間に表面張力が発生することを防止するための上部ガイドと、前記円柱状胴体の下部に固定されて前記比重測定用浮標と前記プローブシャフトとの間に表面張力が発生することを防止するための下部ガイド及び前記比重測定用浮標に固定されて位置を知らせるための比重測定用磁石とを含む。
【0013】
前記液面高さ測定用浮標の円筒状胴体に前記比重測定用浮標の円柱状胴体の上部円筒が挿入される結合構造を有することを特徴とする。
【0014】
前記比重測定用浮標は、前記円柱状胴体に付着され前記比重測定用浮標の浮力を調整するためのウエートをさらに含むことができ、前記液面高さ測定用浮標や前記比重測定用浮標の上部ガイドと下部ガイドはアルミニウム材質のヨプジョン(韓国の古銭)形状であり、ヨプジョンの形状のガイド内部を格子形に形成し当該ガイドがプローブシャフトと触れる面積を最小化したものである。
【0015】
前記のような目的を達成するために、本発明の他の側面による装置は、液面高さ測定用浮標と比重測定用浮標とを貫通するプローブシャフトにパルスを印加した後、磁歪を用いて液面高さと比重を測定できるようになっている液面高さ及び比重測定装置である。
【0016】
前記液面高さ測定用浮標は、中央に貫通ホールが形成されて上部の内側に枠が形成された円筒状胴体と、前記円筒状胴体の上部に固定されて前記液面高さ測定用浮標と前記プローブシャフトとの間に表面張力が発生することを防止するための上部ガイドと、前記液面高さ測定用浮標に固定されて液面高さを知らせるための液面高さ測定用永久磁石及び前記円筒状胴体の下部に固定されて前記液面高さ測定用浮標と前記比重測定用浮標との間に表面張力が発生することを防止するための下部ガイドとを含む。
【0017】
前記比重測定用浮標は、上部円筒と下部円筒が一体とされ前記下部円筒の外径は前記上部円筒の外径より大きく、前記上部円筒の長さは前記下部円筒の長さより長い円柱状胴体と、前記円柱状胴体の上部に固定されて前記比重測定用浮標と前記プローブシャフトとの間に表面張力が発生することを防止するための上部ガイドと、前記円柱状胴体の下部に固定されて前記比重測定用浮標と前記プローブシャフトとの間に表面張力が発生することを防止するための下部ガイド及び前記比重測定用浮標に固定されて位置を知らせるための比重測定用磁石とを含む。
【0018】
前記液面高さ測定用浮標の厚さは、前記比重測定用浮標の厚さより3倍以上厚いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
通常液面高さ及び比重測定装置は、液体貯蔵タンクの上部に位置するマンホールに開設された開口部に挿入させてタンクの内部に貫通するように装着するが、本発明による装置は、固有の構造により外径を50mm以下に設計することができ、現在広く使用されている開口部のパイプ規格50A(内径54mm)に設置する場合には、別途の開口部拡張工事なしに容易に装着することができ、設置費用を節減できる效果がある。
【0020】
また、通常の比重測定装置は、物理的現象として現われる精密度が低いと精密度を高めるための電子装置の高度化が必要になり、製作原価の上昇する問題点があるが、本発明においては、液体の比重変化に鈍感な液面高さ測定用浮標と比重変化に敏感な比重測定用浮標を用いて、比重変化による相対的な距離差を大きくすることによって物理的現象として現われる精密度を高めて製作原価を下げ、低費用で精密度を向上させることができる。例えば、従来の比重測定用浮標は外径は95mm、内径は82mm、外径−内径の厚さは6.5mmとなっているが、本発明の比重測定用浮標は外径は29mm、内径は23mm、外径−内径の厚さは3mmとなっている。したがって、従来の比重測定用浮標の断面積は約1806m
2であるが、本発明の比重測定用浮標の断面積は245m
2であるので、物理的現象として現われる精密度を約730%向上させることができる。
【0021】
そして、本発明による液面高さ及び比重測定装置は、液面高さ測定用浮標と比重測定用浮標が内部貫通ホールにおけるプローブシャフトとの接触面積を最小化するためのアルミニウム材質のガイドを付加し、表面張力による測定誤りを防止できる效果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1は、従来の液面高さ及び比重を同時に測定する装置を図示した概略図である。
図2は、
図1に図示された液面高さ及び比重を同時に測定する装置の問題点を図示した概略図である。
図3は、プローブシャフトと測定用浮標が近接または接触する場合、表面張力が作用する問題点を説明するための図である。
図4は、本発明による液面高さ及び比重を同時に測定する装置を図示した側断面図である。
図5は、
図4に図示された液面高さ測定用浮標の図である。
図6は、
図4に図示された比重測定用浮標の図である。
図7は、本発明による液面高さ及び比重測定装置の比重変化がない場合の動作例である。
図8は、本発明による液面高さ及び比重測定装置の比重が上昇した場合の動作例である。
図9は、本発明による液面高さ及び比重測定装置の比重が下降した場合の動作例である。
図10は、本発明によるガイドの役割を説明するために図示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明と本発明の実施により達成される技術的課題は、以下に説明する本発明の好適な実施例によってより明確にされる。以下の実施例は、単に本発明を説明するために例示されたものに過ぎず、本発明の範囲を制限するためのものではない。
【0024】
まず、本発明によれば、液面高さと比重を同時に測定するために、液面高さ測定用浮標は比重変化に鈍感に反応し、比重測定用浮標は比重変化に敏感に反応して、液面高さ測定用浮標の敏感度と比重測定用浮標の敏感度との差が大きいほど精密度が高くなる。また、韓国や東洋圏に設置されている油類タンクの開口部は大部分内径が54mmである点を勘案してこのような油類タンクに別途の拡張工事なしに適用できるように測定装置の外径を50mm以内に制限する必要がある。
【0025】
本発明においては、このような要求条件を満たすために
図4に図示されたように、内径の相対的に大きい液面高さ測定用浮標110の下側に比重測定用浮標120が嵌入される結合構造を有するようにして、液面高さ測定用浮標110の厚さ(T1)と比重測定用浮標120の厚さ(T2)を異なるようにして敏感度に差が出るようにした。すなわち、本発明による装置の構造は、円筒状の液面高さ測定用浮標110が上部に位置し、内部に貫通ホールが形成された円柱状の比重測定用浮標120が下部に位置する。円柱状の比重測定用浮標120の内径はプローブシャフト104の外径より大きく、プローブシャフト104を貫通させる構造であり、円筒状の液面高さ測定用浮標110の内径は比重測定用浮標120の上側外径より大きく、上部はプローブシャフト104を貫通させて、下部は比重測定用浮標120の上部を包む構造である。
【0026】
本発明の実施例において測定しようとする液体の比重値は、主に0.65〜1.0であり、通常水は1.0、軽油0.82、ガソリン0.72、核酸0.66に規定され、測定用浮標の比重値は0.55である。したがって、液面高さ測定用浮標110と比重測定用浮標120は、どちらも測定しようとする液体の上によく浮かぶようになっている。
【0027】
比重計の感度は、比重測定用浮標の厚さT((外径−内径)/2)が狭いほど敏感であり、厚さTが広いほど鈍感である。本発明の実施例において、比重計の精密度を向上させるためには、液面高さ測定用浮標110の厚さT1((外径−内径)/2)を比重測定用浮標120の上側厚さT2より厚くして、比重測定用浮標120は液体比重の変化に敏感に動作するようにし、液面高さ測定用浮標110は液体比重の変化に鈍感に動作するようにする。
【0028】
より具体的には、本発明の実施例においては液面高さ測定用浮標110の厚さT1は8mmになり、比重測定用浮標120の上側厚さT2は3mmになるように設計したものである。液面高さ測定用浮標110と比重測定用浮標120の比重値が同じ値(例えば0.55)の場合、液面高さ測定用浮標110の単位面積は比重測定用浮標120の体積より約3倍大きく、液面高さ測定用浮標110の感度は比重測定用浮標120より約3倍鈍感である。例えば、正常状態で液体の比重が0.1下がると、液面高さ測定用浮標110は約7mm下がるが、比重測定用浮標120は約21mm下がる。
【0029】
そして、本発明においては、比重測定範囲をウェート129で調節することができるが、本発明の実施例において比重測定用浮標120の種類としては0.7,0.8,0.9を中心値にして区分する。好適な測定下限値は“中心値−0.05”であり、上限値は“中心値+0.1”に設定する。例えば、ガソリン比重値は0.72であるため、ガソリンの比重を測定する場合には比重測定用浮標120は中心値を0.7に適用して測定することができる。
【0030】
一方、本発明においては、従来の表面張力による問題点を解消するために、比重測定用浮標120と液面高さ測定用浮標110の表面張力を以下のような方法で最小化する。
【0031】
比重測定用浮標120は下部円筒(
図6の122a)と上部円筒(
図6の122b)が一体とされ内部に貫通ホールを有する円柱状に構成されて円柱状の中央にプローブシャフト104が貫通する構造であり、円柱状胴体の上部と下部にヨプジョン形状のガイド126、128が付着する。ガイド126、128の材質はアルミニウムであり、ガイドの内径はプローブシャフト104の外径より大きくて比重測定用浮標120の内径より小さく製作され、厚さは1mmである。また、ヨプジョン形状のガイド126、128内部を格子形に形成しガイド126、128がプローブシャフト104と触れる面積を最小化する。本発明により、ガイド126、128を付着した比重測定用浮標120は、プローブシャフト104を自由に上下に移動しながら比重測定用浮標120とプローブシャフト104との間に作用する表面張力の影響をほぼ受けない。すなわち、内部に貫通ホールを有する円柱状の比重測定用浮標120は、円柱の長さが最小100mmにはならなければならないが、ガイドがない形態では
図10(a)に図示されたように円柱状胴体122の長さ100mm全体がプローブシャフト104と触れる長さとなって表面張力及び摩擦係数の影響を大きく受けるが、本発明によりガイド126、128を付着した形態では、
図10の(b)に図示されたようにヨプジョン形状の厚さ1mmであるアルミニウムガイド126、128、2個のみがプローブシャフト104に触れるので、表面張力の影響をほぼ受けない。また、比重測定用浮標120の材質はNBRであって製造特性上比重測定用浮標の表面は摩擦係数がアルミニウムより大きい。しかし、本発明による装置は比重測定用浮標120の材質はNBR(Nitrile Butadiene Rubber)で製作されるが、プローブシャフト104と触れる部分はアルミニウム材質のガイド126、128であるため、摩擦係数による影響も最小化することができる。
【0032】
液面高さ測定用浮標110の場合も、円筒状に構成されて円筒状の上部中央にプローブシャフト104が貫通し、下部中央には比重測定用浮標120が貫通する構造であるが、液面高さ測定用浮標110の上部には本発明によりヨプジョン形状のガイド116が付着されて液面高さ測定用浮標110の上部とプローブシャフト104との間に作用する表面張力の問題を解決するようになっている。
【0033】
図4は、本発明による液面高さ及び比重を同時に測定する装置を図示した側断面図であり、
図5は
図4に図示された液面高さ測定用浮標の図であり、
図6は
図4に図示された比重測定用浮標の図である。
【0034】
本発明による液面高さ及び比重測定装置100は
図4乃至
図6に図示されたように、測定対象液体の液面に沿ってフローティングされる液面高さ測定用浮標110と、測定対象液体の比重によって液面からのフローティングされる深さが可変する比重測定用浮標120と、液面高さ測定用浮標110と比重測定用浮標120とを貫通して測定本体からパルスが印加されると、磁歪(Magnetostriction)を用いて液面高さ測定用浮標110のフローティング位置と比重測定用浮標120のフローティング位置とを検出できるようにするプローブシャフト104とで構成される。
【0035】
図4を参照すると、プローブシャフト104は液面高さ測定用浮標110と比重測定用浮標120とを貫通しつつヘッドハウジング102内、あるいは別途の測定本体から印加されたパルスを伝播させて、液面高さ測定用永久磁石114や比重測定用永久磁石124により歪曲された弾性波が生成されると、測定本体の超音波受信部がプローブシャフト104から弾性波(超音波)を受信して液面高さ測定用永久磁石114と比重測定用永久磁石124との位置を把握して液面高さと比重を算出するようにする。そのため、プローブシャフト104には電気的装置であるMagnetostrictive Wireが内蔵されている。
【0036】
液面高さ測定用浮標110は
図5に図示されたように、中央に貫通ホールが形成されて上部に内側に枠112aが形成された円筒状胴体112と、枠112aに装着され、プローブシャフト104が密着して表面張力が発生することを防止するための上部ガイド116と、上部ガイド116の上に密着固定されて液面高さを知らせるための弾性波を生成する液面高さ測定用磁石114と、胴体の下部に取り付けられて比重測定用浮標120の間に表面張力が発生することを防止するための下部ガイド118で構成される。
【0037】
図5を参照すると、(a)は液面高さ測定用浮標の斜視図であり、(b)は側断面図であり、(c)は上部ガイド図、(d)は下部ガイド図である。
【0038】
本発明の実試例において円筒状胴体112は、浮力が0.55であるNBR材質となっており、内径が34Φ、外径が50Φで、厚さTは8mmである。胴体の高さは110mmであり、この中で磁石領域が12mmである。上部ガイド116は、アルミニウム材質であって厚さが1mmであり内径が20Φであるヨプジョンの形状で、内部にプローブシャフト104が貫通されるホールが形成されていて4個の溝が内側に十字に配置されている。下部ガイド118は厚さが1mmであり、内径が30Φのヨプジョン形状で、内部に比重測定用浮標120の貫通されるホールが形成されていて、内側に多数個の溝が形成されている。
【0039】
比重測定用浮標120は
図6に図示されたように、外径が大きくて長さが小さい下部円筒122aと内径が小さくて長さが長い上部円筒122bとを一体に合わせた円柱状胴体122と、上部円筒122bの上部に取り付けられて、プローブシャフト104が密着して表面張力が発生することを防止するための上部ガイド126と、下部円筒122aの内側に取り付けられて、プローブシャフト104が密着して表面張力が発生することを防止するための下部ガイド128と、下部ガイド128に密着しながら下部円筒122aの内部に固定されて位置を知らせるための弾性波を生成する比重測定用磁石124と、下部円筒122aと上部円筒122bとの境界面に挟まれて浮力を調整するためのウェート129とで構成される。
【0040】
図6を参照すると、(a)は比重測定用浮標の斜視図であり、(b)は側断面図であり、(c)は上部ガイド図、(d)は下部ガイド図である。
【0041】
本発明の実試例において、胴体122は下部円筒122aと上部円筒122bからなり、浮力が0.55であるNBR材質からなっていて、下部円筒122aの内側には下部ガイド128を支持するための掛枠が形成されていて、下部円筒122aの内径は31Φ、28Φであり、外径が48Φであり、長さが25mmである。上部円筒122bは内径が23Φであり、外径が29Φであり、厚さが3mm、長さが95mmである。上部ガイド126は内径が20Φであるワッシャー形状で上に突起が形成されると共に内部にプローブシャフト104が貫通されるホールが形成されていて、4個の溝が内側に十字に配置されている。下部ガイド128は厚さが1mmであり内径が20Φであるワッシャー形状で内部にプローブシャフト104が貫通されるホールが形成されていて、4個の溝が内側に十字に配置されている。
【0042】
続いて、上記のように構成される本発明による液面高さ及び比重測定装置の動作を説明すると以下のようになる。
【0043】
まず、本発明による液面高さ及び比重測定装置は磁歪方法で液体の液面高さ及び比重高さを測定するが、液面高さをタンク容積に対する体積計算でタンク内部の在庫量を算出し、比重高さを換算表に代入させて液体の比重値で算出する。
【0044】
図7は、本発明による液面高さ及び比重測定装置の比重変化がない場合の動作例である。
【0045】
図7を参照すると、普段は液体の比重が一定であれば液体の液面高さが変更されても液面高さ測定用浮標110及び比重測定用浮標120は液面の上に一定に浮かぶ。すなわち、比重の変動がなければヘッド102から液面高さ測定用浮標110に付着された永久磁石114までの距離“a1”が変動しても液面高さ測定用浮標の永久磁石114と比重測定用浮標の永久磁石124との間の間隔“d=a2−a1”は変動しない。
【0046】
そして,液面高さはヘッド102から液面高さ測定用浮標110に付着された永久磁石114までの距離“a1”を測定して液体の液面高さを測定することができ、比重高さ測定は液面高さ測定値“a1”及びヘッド102から比重測定用浮標120に付着された永久磁石124までの距離“a2”を測定して液体の比重高さ“d=a2−a1”を算出することができる。すなわち、液体の比重高さ“d”は液面高さ測定用浮標110の永久磁石114と比重測定用浮標120の永久磁石124との間の間隔である。
【0047】
図8は、本発明による液面高さ及び比重測定装置の比重が上昇した場合の動作例であって、(a)は比重が上昇する前の普段の状態であり、(b)は比重が上昇した状態である。
【0048】
図8を参照すると、液体の比重が普段より上がると(例えば、0.7から0.8に変更になる場合)、液面高さ測定用浮標110及び比重測定用浮標120は普段より上に上がる。例えば、液面高さ測定用浮標110の厚さTを8mm、比重用浮標の厚さTを3mmとする場合に、液面高さ測定用浮標110及び比重測定用浮標120の比重値を同じ値に設定すれば(例えば0.55)、比重測定用浮標120の単位面積は液面高さ測定用浮標110の体積より約1/3倍少ないため、比重測定用浮標120は液面高さ測定用浮標110より約3倍更に上に上がる。したがって、液面高さ測定用浮標の永久磁石114と比重測定用浮標の永久磁石124との間の距離は“a3”から“b3”に狭まり、変動幅“d=a3−b3”分だけ狭まる。
【0049】
液面高さはヘッド102から液面高さ測定用浮標に付着した永久磁石114までの距離を測定して液体の液面高さを測定することができるが、液体の比重が変動する前の液面の高さは“a1”であり、液体の比重が変動した後の液面の高さは“b1”である。
【0050】
比重高さは液面高さ測定値及びヘッド102から比重測定用浮標に付着された永久磁石124までの距離を測定して液体の比重高さを測定することができるが、液体の比重が変動する前の比重の高さは“a3=a2−a1”、変動した後の比重の高さは“b3=b2−b1”である。比重の高さは“a3”から“b3”に狭まり、変動幅“d=a3−b3”分だけ狭まる。
【0051】
図9は、本発明による液面高さ及び比重測定装置の比重が下降した場合の動作例であって、(a)は比重が上昇する前の普段の状態で、(b)は比重が下降した状態である。
【0052】
図9を参照すると、液体の比重が普段より下がると(例えば、0.8から0.7に変更される場合)、液面高さ測定用浮標110及び比重測定用浮標120は普段より下に下がる。液面高さ測定用浮標110の厚さTを8mm、比重測定用浮標120の厚さTを3mmにして、液面高さ測定用浮標110及び比重測定用浮標120の比重値を同じ値に設定すれば(例えば0.55)、比重測定用浮標120の単位面積は液面高さ測定用浮標110の体積より約1/3倍少ないため、比重測定用浮標120は液面高さ測定用浮標110より約3倍更に下に下がる。したがって、液面高さ測定用浮標110の永久磁石114と比重測定用浮標120の永久磁石124との間の距離は“a3”から“b3”に長くなって、変動幅“d=b3−a3”分だけ長くなる。
【0053】
液面高さは測定ヘッド102から液面高さ測定用浮標110に付着された永久磁石114までの距離を測定して液体の液面高さを測定することができるが、液体の比重が変動する前の液面の高さは“a1”であり、液体の比重が変動した後の液面の高さは“b1”である。
【0054】
比重高さは液面高さ測定値及びヘッド102から比重測定用浮標120に付着された永久磁石124までの距離を測定して液体の比重高さを測定することができるが、液体の比重が変動する前の比重の高さは“a3=a2−a1”であり、変動した後の比重の高さは“b3=b2−b1”である。比重の高さは“a3”から“b3”に長くなって、変動幅“d=b3−a3"分だけ長くなる。
【0055】
以上で、本発明を図に示した一実試例を参照に説明したが、本技術分野の通常の知識を有した者であるなら、これより多様な変形及び均等な他の実試例が可能である点を理解するものとする。
【符号の説明】
【0056】
102 ヘッド
104 プローブシャフト
110 液面高さ測定用浮標
112 円筒状胴体
114 永久磁石
116 上部ガイド
118 下部ガイド
120 比重測定用浮標
122 円柱状胴体
124 永久磁石
126 上部ガイド
128 下部ガイド
129 ウエート