(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013622
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ガイドウェイネットワーク内の車両のための制御システム
(51)【国際特許分類】
B61L 27/00 20060101AFI20161011BHJP
B60L 15/40 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
B61L27/00 K
B60L15/40 J
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-552181(P2015-552181)
(86)(22)【出願日】2014年1月10日
(65)【公表番号】特表2016-511721(P2016-511721A)
(43)【公表日】2016年4月21日
(86)【国際出願番号】IB2014058181
(87)【国際公開番号】WO2014108861
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2015年9月1日
(31)【優先権主張番号】13/740,586
(32)【優先日】2013年1月14日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512319830
【氏名又は名称】タレス・カナダ・インク
【氏名又は名称原語表記】THALES CANADA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アベ カンナー
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン チョン
【審査官】
岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−259167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 27/00
B60L 15/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドウェイネットワーク内の車両のための制御システムであって、
第1の命令セットを生成するように構成されている集中制御システムと、
第2の命令セットを生成するように構成されており且つ動かない少なくとも1つの分散制御システムと、
前記車両上のオンボードコントローラであって、前記第1の命令セットおよび前記第2の命令セットを同一の時間期間中に受信するように構成されているオンボードコントローラと
を備えており、
前記集中制御システムは、前記第1の命令セットを前記オンボードコントローラに、第1の通信技法を使用して送信するように構成されており、前記少なくとも1つの分散制御システムは、前記第2の命令セットを前記オンボードコントローラに、前記第1の通信技法とは異なる第2の通信技法を介して送信するように構成されており、
前記オンボードコントローラは、前記第1の命令セットまたは前記第2の命令セットのうち、制約が最小のものを実施するように構成されている。
【請求項2】
請求項1に記載の制御システムであって、前記集中制御システムは、前記第1の命令セットを前記オンボードコントローラに、誘導ループ通信システムを使用して送信するように構成されており、前記少なくとも1つの分散制御システムは、前記第2の命令セットを前記オンボードコントローラに、無線通信システムを介して送信するように構成されている。
【請求項3】
請求項1に記載の制御システムであって、前記集中制御システムは、前記第1の命令セットを第1のアルゴリズムを使用して生成するように構成されており、前記少なくとも1つの分散制御システムは、前記第2の命令セットを第2のアルゴリズムを使用して生成するように構成されており、前記第1のアルゴリズムは、前記第2のアルゴリズムとは独立した別種である。
【請求項4】
請求項1に記載の制御システムであって、経路情報を前記集中制御システムおよび前記少なくとも1つの分散制御システムに提供するように構成されている、自動監視システムを更に備える。
【請求項5】
請求項4に記載の制御システムであって、前記自動監視システムは、前記少なくとも1つの分散制御システムにネットワークを介して接続されており、前記自動監視システムは、前記集中制御システムに有線接続を介して接続されている。
【請求項6】
請求項1に記載の制御システムであって、前記少なくとも1つの分散制御システムは、
第1の制御範囲を有する第1の分散制御システムと、
第2の制御範囲を有する第2の分散制御システムと
を備え、
前記第1の制御範囲および前記第2の制御範囲はオーバーラップしている。
【請求項7】
請求項1に記載の制御システムであって、前記集中制御システムは、前記第1の命令セットを、第1のアルゴリズムを使用して生成するように構成されており、前記少なくとも1つの分散制御システムは、前記第2の命令セットを、前記第1のアルゴリズムとは独立した別種の第2のアルゴリズムを使用して生成するように構成されている。
【請求項8】
請求項1に記載の制御システムであって、前記オンボードコントローラは、同時に、前記第1の命令セットおよび前記第2の命令セットを、同時に受信するように構成されている。
【請求項9】
請求項1に記載の制御システムであって、前記オンボードコントローラは、車両位置および車両速度を、前記集中制御システムおよび前記少なくとも1つの分散制御システムに送信するように構成されている。
【請求項10】
請求項1に記載の制御システムであって、前記オンボードコントローラは、前記集中制御システムまたは前記少なくとも1つの分散制御システムのうちの1つとの通信が妨害されているかどうかを決定するように構成されている。
【請求項11】
請求項1に記載の制御システムであって、少なくとも1組のフィールド要素を更に備えており、前記少なくとも1組のフィールド要素は、前記ガイドウェイに関するデータを収集し、前記収集したデータを前記少なくとも1つの分散制御システムに送信するように構成されており、前記少なくとも1組のフィールド要素のそれぞれは、それぞれの少なくとも1つの分散制御システムと関連付けられている。
【請求項12】
ガイドウェイネットワーク内の車両を動作させる方法であって、
第1の命令セットを集中制御システムから受信するステップと、
第2の命令セットを動かない少なくとも1つの分散制御システムから受信するステップと、
前記第1の命令セットと前記第2の命令セットとの間に相違点が存在するかどうかを、オンボードコントローラを使用して決定するステップと、
相違点が存在しない場合に、前記第1または第2の命令セットを実施するステップと、
相違点が存在する場合に、前記第1の命令セットまたは前記第2の命令セットのうち、制約が最小のものを実施するステップと
を含む。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記第1の命令セットを受信するステップは、前記第1の命令セットを、第1の通信技法を介して受信するステップを含み、前記第2の命令セットを受信するステップは、前記第2の命令セットを、前記第1の通信技法とは異なる、独立した別種の第2の通信技法を介して受信するステップを含む。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、車両の位置および速度の情報を、前記オンボードコントローラを使用して、前記集中制御システムおよび前記少なくとも1つの分散制御システムに送信するステップを更に含む。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、前記第1の命令セットを受信するステップは、前記第2の命令セットを受信するステップと同時に行われる。
【請求項16】
ガイドウェイネットワーク内の車両を動作させる方法であって、
オンボードコントローラを使用して、第1の制御システムと第2の制御システムとの通信を確立するステップと、
前記第1の制御システムまたは前記第2の制御システムのいずれかとの通信が妨害されているかどうかを決定するステップと、
前記第1の制御システムまたは前記第2の制御システムのどちらとの通信も妨害されていない場合に、
第1の命令セットを前記第1の制御システムから受信するステップと、
第2の命令セットを前記第2の制御システムから受信するステップと、
前記第1の命令セットまたは第2の命令セットのうちの少なくとも一方を実施するステップと、
前記第1の制御システムまたは前記第2の制御システムのいずれかとの通信が妨害されている場合に、
前記第1の制御システムまたは前記第2の制御システムのいずれかから命令を受信するステップと、
相違点が存在する場合に前記受信した命令のうち制約が最小のものを実施するステップと、
前記第1の制御システムまたは前記第2の制御システムのいずれかとの通信を再確立しようと試みるステップと
を含む。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記第1の命令セットまたは第2の命令セットのうちの少なくとも一方を実施するステップは、
前記第1の命令セットと前記第2の命令セットとの間に相違点が存在するかどうかを、前記オンボードコントローラを使用して決定するステップと、
相違点が存在しない場合に、前記第1または第2の命令セットを実施するステップと、
相違点が存在する場合に、前記第1の命令セットまたは前記第2の命令セットのうち、制約が最小のものを実施するステップと
を含む。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、通信を確立するステップは、
前記第1の制御システムと、第1の通信技法を使用して通信を確立するステップと、
前記第2の制御システムと、前記第1の通信技法とは異なる第2の通信技法を使用して通信を確立するステップと
を含む。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、前記第1の制御システムまたは前記第2の制御システムのいずれかとの通信が妨害されている場合、前記第1の制御システムまたは前記第2の制御システムのいずれかから命令を受信するステップは、物理的なスイッチングオーバーなしに、前記オンボードコントローラで前記命令をシームレスに受信するステップを含む。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ガイドウェイネットワークの中を走行する車両は、移動命令を車両に提供するように構成された1次制御システムに接続されている。車両は、また、1次制御システムが機能しなかったり、または1次制御システムとの通信が妨害されたりする場合に備えて、移動命令を車両に提供するように構成された冗長制御システムを含む。1次制御システムに関して問題が発生するまで、冗長制御システムはアクティブ化されない。場合によっては、冗長制御システムは、車両に乗車している運転者による手動操作である。場合によっては、1次制御システムに問題が発生した場合、車両は、運転者が車両へと移されて手動操作を開始できるまで、ブレーキがかかって停止する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
1つまたは複数の実施形態が、限定によってではなく、例として、添付の図面に示されている。これらの図面全体を通じて、同じ参照番号を有する要素は、同じ要素を表す。産業における標準的な慣例に従い、様々な特徴は原寸に比例して示されておらず、例示のためだけに用いられることを強調する。事実上、各図面の様々な特徴の寸法は、説明を明確にするために、任意に増減可能である。
【0003】
図1は、1つまたは複数の実施形態によるガイドウェイネットワークのための制御システムのハイレベルブロック図である。
図2は、1つまたは複数の実施形態によるガイドウェイネットワーク内の車両のオンボードコントローラを動作させる方法の流れ図である。
図3は、1つまたは複数の実施形態によるガイドウェイネットワーク内の車両のオンボードコントローラを動作させる方法の流れ図である。
図4は、1つまたは複数の実施形態による車両に接続されたオンボードコントローラのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の開示は、本発明の異なる複数の特徴を実装するための、多数の異なる実施形態または実施例を提供する。コンポーネントおよび構成の特定の例が、本開示を単純化するために、以下に記載されている。これらは例であり、限定を意図したものではない。
【0005】
図1は、1つまたは複数の実施形態によるガイドウェイネットワークのための制御システム100のハイレベルブロック図である。制御システム100は、ユーザから命令を受け取り、制御システムに関する情報をユーザに表示するように構成された、マンマシンインターフェース(MMI:man−machine interface)102を含む。制御システム100は、経路情報(routing information)を提供し、MMIへのインターフェースを備えるように構成された、自動監視システム104を、更に含む。制御システム100は、経路情報を自動監視システム104から受信するように構成された集中制御システム106を、更に含む。集中制御システム106(集中制御装置106とも称される)は、経路情報に基づいて第1の命令セットを算出し、それらの命令をガイドウェイネットワーク内の車両のオンボードコントローラへ送信するように構成されている。制御システム100は、経路情報を自動監視システム104から受信するように構成された、いくつかの分散制御システム108(分散制御装置108とも称される)を、更に含む。それぞれの分散制御装置108は、経路情報に基づいて第2の命令セットを算出し、それらの命令をガイドウェイネットワーク内の車両のオンボードコントローラへ送信するように構成されている。制御システム100は、ガイドウェイネットワークに関する情報(例えば、転轍機の位置や、プラットフォームのドアの状態など)を検出するように構成された、数組のフィールド要素110を、更に含む。フィールド要素110のそれぞれの組は、それぞれの分散制御装置108と関連付けられている。それぞれの分散制御装置108は、関連付けられているフィールド要素110から受信した情報に基づいて、第2の命令セットを算出するように構成されている。分散制御装置108は、データ交換を可能にするために、集中制御装置106と継続的に通信している。制御システム100は、自動監視システム104とそれぞれの分散制御装置108との間に、通信リンクを提供するように構成されたネットワーク120を、更に含む。制御システム100は、また、車両に接続されたオンボードコントローラ130を含む。オンボードコントローラ130は、集中制御装置106から第1の命令セットを、分散制御装置108から第2の命令セットを、同時に受信するように構成されている。オンボードコントローラ130は、また、受信した命令に応答して車両を制御するように構成されている。オンボードコントローラ130は、また、ガイドウェイ上の車両の動きに関係する位置情報および速度情報を、集中制御装置106および分散制御装置108の両方に提供するように構成されている。
【0006】
MMI102は、ユーザが、命令を提供し制御システムに関する情報を確認することにより、制御システム100と交信することが可能になるように構成されている。いくつかの実施形態では、MMI102は、制御システム100の状態に関する情報、および他の関連する情報を、ユーザに表示するように構成されたディスプレイモジュールを含む。いくつかの実施形態では、MMI102は、命令をユーザから受信するために、キーボード、タッチスクリーン、カーソルツール、または他の適切な要素を含む。
【0007】
自動監視システム104は、集中制御装置106と分散制御装置108との間に、データリンクを提供するように構成されている。自動監視システム104は、集中制御装置106および分散制御装置108から、情報を受信するように構成されている。いくつかの実施形態では、受信される情報は、第1の命令セットおよび第2の命令セット、フィールド要素110からのデータ、オンボードコントローラ130からの車両の速度および位置の情報、または他の適切な情報を含む。いくつかの実施形態では、自動監視システム104は、また、ユーザの命令をMMI102から受信する。受信した情報に基づいて、自動監視システム104は、ガイドウェイネットワーク内のそれぞれの車両のために、経路情報を生成する。経路情報は、走行方向、走行速度、車両の目的地、目的地への車両の到着時刻、ガイドウェイネットワーク内での転轍機の位置、またはガイドウェイネットワーク内の車両へ命令を提供するために使用される他の適切な情報を含む。いくつかの実施形態では、自動監視システム104は、また、ディスプレイ、音響式アナウンス、または他の適切な伝達手段を介して、乗客に情報を提供する。自動監視システム104は、集中制御装置106および分散制御装置108へ、経路情報を同時に送信するように構成されている。いくつかの実施形態では、経路情報は、無線で送信される。いくつかの実施形態では、経路情報は、有線接続またはネットワークを介して送信される。
【0008】
集中制御装置106は、自動監視システム104から経路情報を、分散制御装置108からデータを、受信するように構成されている。集中制御装置106は、また、オンボードコントローラ130から車両の位置および速度の情報を、受信するように構成されている。いくつかの実施形態では、集中制御装置106とオンボードコントローラ130との間の通信パスは、分散制御装置108とオンボードコントローラとの間の通信パスから独立している。集中制御装置106は、第1のアルゴリズムを使用して第1の命令セットを生成するように構成されている。第1のアルゴリズムは、経路情報、フィールド要素に関する分散制御装置108からの情報、およびオンボードコントローラ130からの情報を組み合わせて、第1の命令セットを決定するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1の命令セットは、走行許可限度(LMA:limit of movement authority)、車両速度命令、スイッチクロスオーバー命令、または他の適切な情報を含む。LMAは、車両が安全に走行できる最大距離である。第1のアルゴリズムは、ガイドウェイネットワークの、個々の分散制御装置108よりも広い部分を考慮に入れて第1の命令セットを生成する。いくつかの実施形態では、単一の集中制御装置106が、ガイドウェイネットワーク全体のために使用される。いくつかの実施形態では、集中制御装置106は、ガイドウェイネットワークの、1つよりも多くの分散制御装置108をカバーする部分に命令を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、集中制御装置106は、ガイドウェイネットワークに沿って配置された誘導ループを用いる誘導ループ通信を使用して、第1の命令セットをオンボードコントローラ130へ送信するように構成されている。いくつかの実施形態では、集中制御装置106は、無線通信、マイクロ波通信、光通信、または他の適切な通信技法を使用して、第1の命令セットをオンボードコントローラ130へ送信するように構成されている。
【0009】
分散制御装置108は、自動監視システム104から経路情報を、フィールド要素110から車両データを、受信するように構成されている。それぞれの分散制御装置108は、また、車両の位置および速度の情報を、オンボードコントローラ130から受信するように構成されている。それぞれの分散制御装置108は、第2の別種のアルゴリズムを使用して、第2の命令セットを独立して生成するように構成されている。第2の別種のアルゴリズムは、経路情報、フィールド要素110からの情報、およびオンボードコントローラ130からの情報を組み合わせて、第2の命令セットを決定するように構成されている。いくつかの実施形態では、第2のアルゴリズムは、第1のアルゴリズムから独立している。いくつかの実施形態では、第2の命令セットは、LMA、車両速度命令、スイッチクロスオーバー命令、または他の適切な情報を含む。第2の別種のアルゴリズムは、ガイドウェイネットワークの、集中制御装置106よりも小さい部分を考慮して、第2の命令セットを生成する。いくつかの実施形態では、分散制御装置108からのLMAは、その分散制御装置の制御範囲に限定される。いくつかの実施形態では、第1の分散制御装置108にとっての制御範囲は、隣接する第2の分散制御装置108にとっての制御範囲にオーバーラップする。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラ130が、第1の分散制御装置にとっての制御範囲から出るより前に第2の分散制御装置との通信を確立できるように、そのオーバーラップは十分に大きい。いくつかの実施形態では、分散制御装置108は、無線通信を使用して、第2の命令セットをオンボードコントローラ130へ送信するように構成されている。いくつかの実施形態では、分散制御装置108は、誘導ループ通信、マイクロ波通信、光通信、または他の適切な通信技法を使用して、第2の命令セットをオンボードコントローラ130へ送信するように構成されている。いくつかの実施形態では、分散制御装置108が使用する通信技法は、集中制御装置106が使用する通信技法とは独立であり異なる。
【0010】
フィールド要素110は、ガイドウェイの状態についてのデータを収集し、そのデータをそれぞれの分散制御装置108へ送信するように構成されている。いくつかの実施形態では、フィールド要素110は、収集されたデータを分散制御装置108との無線接続を介して送信する。いくつかの実施形態では、フィールド要素110は、収集されたデータを分散制御装置108との有線接続を介して送信する。いくつかの実施形態では、フィールド要素110は、車軸計数器、無線周波数識別(RFID:radio frequency identification)タグ読取装置、位置検出器、転轍機、プラットフォームのドア、または他の適切な要素を含む。いくつかの実施形態では、フィールド要素110は、ガイドウェイネットワークのガイドウェイ上に配置される。いくつかの実施形態では、フィールド要素110は、ガイドウェイネットワークのガイドウェイの間に配置される。いくつかの実施形態では、フィールド要素110は、ガイドウェイの路傍に配置される。
【0011】
ネットワーク120は、それぞれの分散制御装置108と自動監視システム104との間に、通信リンクを提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、ネットワーク120は、無線ネットワークである。いくつかの実施形態では、ネットワーク120は、光ファイバネットワーク、導電性ネットワーク、または他の適切な有線ネットワークなどの、有線ネットワークである。いくつかの実施形態では、ガイドウェイネットワーク内のすべての分散制御装置108を自動監視システム104に接続するために、単一のネットワーク120が使用される。いくつかの実施形態では、分散制御装置108の互いに異なる組を自動監視システム104に接続するために、複数のネットワーク120が使用される。いくつかの実施形態では、ネットワーク120の数は、集中制御装置106の数と等しい。
【0012】
オンボードコントローラ130は、第1の命令セットおよび第2の命令セットを、同時に受信するように構成されている。オンボードコントローラ130は、また、車両の位置情報および速度情報を、集中制御装置106および分散制御装置108の両方へ送信するように構成されている。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラ130は、ガイドウェイネットワーク内に配置されたRFIDタグ、全地球測位システム(GPS:global positioning system)、光センサ、ガイドウェイネットワークの地図、または他の適切な位置決定デバイスを使用して、車両の位置を決定するように構成されている。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラ130は、加速度計、回転速度計、ガイドウェイネットワークの地図、ガイドウェイネットワーク内に配置されたRFIDタグ、または他の適切な速度決定デバイスを使用して、車両の速度を決定するように構成されている。
【0013】
オンボードコントローラ130は、制御信号を自動制動加速システム(automatic braking and acceleration system)へ送ることにより、第1の命令セットまたは第2の命令セットを実施するように構成されている。信号を自動制動加速システムに送ることにより、オンボードコントローラ130は、車両の速度を増減したり、車両を完全停止させたりする。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラ130は、車両の速度を、ガイドウェイによって持続可能な最大速度よりも低く維持し、車両がLMAで完全停止することが可能となるように制御する。いくつかの実施形態では、車両は、オンボードコントローラのうちの1つが機能しない場合に備えて、冗長性のために複数のオンボードコントローラ130を含む。
【0014】
集中制御装置106および分散制御装置108の両方が、共に信頼されるソースなので、制御システム100は、他の制御システムを越える利点をもたらす。少なくとも一実施形態において、信頼されるソースとは、集中制御装置106および分散制御装置108が、国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)の標準規格IEC61508に基づいて、安全度水準(SIL:safety integrity level)のレベル4であることを意味する。SILレベル4とは、1時間当たりの機能停止の確率が、10
−8から10
−9までの範囲内にあることを意味する。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラ130も、信頼されるソースである。オンボードコントローラ130は、集中制御装置106または分散制御装置108から受信した情報を頼りにすることができる。いくつかの実施形態では、集中制御装置106および分散制御装置108の両方が信頼されるソースなので、オンボードコントローラ130は、第1の命令セットまたは第2の命令セットのうち、制約が最小のものを実施する。制約が最小の命令セットを実施することにより、ガイドウェイネットワークを通じた車両の移動の、より効率的な制御を促進する。古くなった情報、ユーザの命令、異なる情報の考慮、第1および第2のアルゴリズムの差異、またはそのような他の事情の結果として、第1の命令セットと第2の命令セットとの相違点が発生する。いくつかの実施形態では、古くなった情報は、フィールド要素110から集中制御装置106への情報伝送での遅延、または自動監視システム104からの経路情報の受信遅延の差異に起因する。いくつかの実施形態では、ユーザの命令が集中制御装置106および分散制御装置108で異なるタイミングで実施可能であるので、ユーザの命令は、受信される命令に差異をもたらす。いくつかの実施形態では、集中制御装置106が、車両が位置する分散制御装置108の制御範囲の外側の情報、例えば、別の車両の移動を知っているので、異なる情報の考慮により、受信された命令に差異が生じる。
【0015】
制御システム100のさらなる利点は、オンボードコントローラ130が、第1の命令セットおよび第2の命令セットを、継続的に受信することである。両方の命令セットを継続的に受信することにより、集中制御装置106または分散制御装置108の機能停止は、シームレスに克服される。本説明において、シームレスに、とは、集中制御装置106または分散制御装置108のいずれかからの命令を、スイッチオーバー遅延なしに、または物理的なスイッチオーバー動作なしに、オンボードコントローラ130で継続的に受信することを意味する。例えば、集中制御装置106との通信が、例えば集中制御装置の、または第1の命令セットをオンボードコントローラ130へ送信する要素の、機能停止のために妨害される場合、オンボードコントローラは、分散制御装置108から妨害なしに第2の命令セットを引き続き受信する。対照的に他の制御システムは、運転者が車両へ派遣されて動作を再開できるか、または2次通信システムとの通信が確立するまで、車両にブレーキをかけて停止させる。
【0016】
制御システム100の別の利点は、オンボードコントローラ130が、2つの別個の通信パスを使用して命令を受信できることである。2つの通信パスを使用して命令を受信することにより、1つの通信システムが機能しない場合でも、車両は通常のように動作し続けることができる。例えば、オンボードコントローラ130の無線トランシーバが機能しなくて分散制御装置108との通信を妨害する場合、オンボードコントローラ130は、誘導ループ通信システムを介して受信した第1の命令セットを使用して、通常の動作を継続する。単一の通信チャネルを使用する他の制御システムでは、通信が妨害された場合、車両は、運転者がその車両へ派遣されて動作を再開できるか、または通信が再確立されるまで、ブレーキをかけられて停止する。
【0017】
図2は、ガイドウェイネットワーク内の車両のオンボードコントローラを動作させる方法200の流れ図である。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、オンボードコントローラ130(
図1)である。方法200は、動作202で開始し、ここで、オンボードコントローラは、位置および速度の情報を、集中制御装置および分散制御装置へ同時に送信する。いくつかの実施形態では、位置および速度の情報は、無線通信、誘導ループ通信、マイクロ波通信、光通信、または他の適切な通信技法によって送信される。位置および速度の情報は、集中制御装置へ第1の通信技法を使用して送信される。いくつかの実施形態では、位置および速度の情報は、分散制御装置へ、第1の通信技法とは異なる別種の、第2の通信技法を使用して送信される。
【0018】
動作204では、オンボードコントローラは、第1の命令セットを集中制御装置から受信する。いくつかの実施形態では、オンボード制御装置は、無線通信、誘導ループ通信、マイクロ波通信、光通信、または他の適切な通信技法により、第1の命令セットを受信する。
【0019】
動作206では、オンボードコントローラは、第2の命令セットを分散制御装置から受信する。いくつかの実施形態では、オンボード制御装置は、無線通信、誘導ループ通信、マイクロ波通信、光通信、または他の適切な通信技法により、第2の命令セットを受信する。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、第2の命令セットを、第1の命令セットとは異なる通信技法により受信する。通常動作中、オンボードコントローラは、同時に第1の命令セットおよび第2の命令セットの両方を、継続的に受信する。いくつかの実施形態では、動作204および206は、同時に実行される。いくつかの実施形態では、動作204および206は、交互に実行される。いくつかの実施形態では、動作204および206は、周期的に実行される。
【0020】
動作208では、オンボードコントローラは、第1の命令セットと第2の命令セットとの間に相違点があるかどうかを決定する。いくつかの実施形態では、第1の命令セットと第2の命令セットとの間の相違点は、LMAの差異、または車両速度コマンドの差異を含む。
【0021】
オンボードコントローラが、第1の命令セットと第2の命令セットとの間に相違点がないと決定した場合、方法200は動作210で継続し、ここで、オンボードコントローラは、第1または第2の命令を実施する。第1の命令セットと第2の命令セットが同じであるので、一方の命令セットを実施することにより、オンボードコントローラはもう一方の命令セットも実施する。いくつかの実施形態では、コントローラは、第1の命令セットを実施するためのデフォルトを、動作210に含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、第2の命令セットを実施するためのデフォルトを、動作210に含む。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、信号を自動制動加速システムへ送ることにより第1および第2の命令セットを実施して、ガイドウェイに沿った車両の速度を制御する。
【0022】
オンボードコントローラが、第1の命令セットと第2の命令セットとの間に相違点があると決定した場合、方法200は動作212で継続し、ここで、オンボードコントローラは、第1の命令セットまたは第2の命令セットのうち、制約が最小のものを実施する。第1および第2の命令セットの両方が信頼されるソースから受信されるので、オンボードコントローラは、制約が最小の命令セットに従う。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、制約が最小の命令セットは最大のLMA距離を含む命令であると決定する。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、制約が最小の命令セットは最高の車両速度を含む命令であると決定する。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、制約が最小の命令セットは車両をガイドウェイ上で継続して移動させることが可能であると決定する。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、信号を自動制動加速システムへ送ることにより第1および第2の命令セットを実施して、ガイドウェイに沿った車両の速度を制御する。オンボードコントローラが、単一の制御システム、すなわち、集中制御装置または分散制御装置のうちの一方のみから命令を受信した場合、オンボードコントローラは、受信した命令を制約が最小の命令として扱い、その受信した命令を実施する。
【0023】
当業者は、いくつかの実施形態では、方法200の動作の順序が変更されることを理解するであろう。当業者は、また、いくつかの実施形態では、追加的な動作が加えられたり、または動作が取り除かれたり組み合わされたりすることを理解するであろう。
【0024】
図3は、1つまたは複数の実施形態によるガイドウェイネットワーク内の車両のオンボードコントローラを動作させる方法300である。動作302では、オンボードコントローラは、第1の制御装置および第2の制御装置との通信を確立する。いくつかの実施形態では、第1の制御装置が集中制御装置であり、第2の制御装置が分散制御装置である。いくつかの実施形態では、第1の制御装置が分散制御装置であり、第2の制御装置が集中制御装置である。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、第2の制御装置との通信とは異なる通信技法を介して、第1の制御装置との通信を確立する。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、例えば、互いに隣接する2つの分散制御装置の制御範囲のオーバーラップにおいて、1つよりも多くの第1または第2の制御装置と、同時に通信を確立する。いくつかの実施形態では、通信は、ガイドウェイネットワークに沿った車両の移動より前に、確立される。いくつかの実施形態では、通信は、ガイドウェイネットワーク内で車両が移動している間に、確立される。いったん第1の制御装置および第2の制御装置との通信が確立されると、オンボードコントローラは、第1の制御装置および第2の制御装置の両方から、継続的に命令を受信する。
【0025】
動作304では、オンボードコントローラは、第1の制御装置との通信に妨害があるかどうかを決定する。当業者は、第1の制御装置との通信での妨害が単に例であり、方法300が第2の制御装置との通信での妨害を含むように修正できることを理解するであろう。オンボードコントローラは、第1のコントローラからの命令の受信の停止によって、通信の妨害を決定する。いくつかの実施形態では、この停止は、所定の時間期間にわたって命令が受信されなかった場合に決定される。いくつかの実施形態では、この停止は、所定数の周期サイクルにわたって命令が受信されなかった場合に決定される。
【0026】
オンボードコントローラが、第1の制御装置との通信に妨害がないと決定した場合、方法300は動作306で継続し、ここで、オンボードコントローラは、第1の制御装置から命令を受信する。いくつかの実施形態では、オンボード制御装置は、無線通信、誘導ループ通信、マイクロ波通信、光通信、または他の適切な通信技法により、第1の制御装置から命令を受信する。
【0027】
動作308では、オンボードコントローラは、第2の制御装置から命令を受信する。いくつかの実施形態では、オンボード制御装置は、無線通信、誘導ループ通信、マイクロ波通信、光通信、または他の適切な通信技法により、第2の制御装置から命令を受信する。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、第1の制御装置からの命令とは異なる別種の通信技法により、第2の制御装置から命令を受信する。通常動作中、オンボードコントローラは、第1の制御装置および第2の制御装置の両方から、継続的に命令を受信する。いくつかの実施形態では、動作306および308は、同時に実行される。いくつかの実施形態では、動作306および308は、交互に実行される。いくつかの実施形態では、動作306および308は、周期的に実行される。
【0028】
動作310では、オンボードコントローラは、第1の制御装置からの命令、または第2の制御装置からの命令を実施する。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、信号を自動制動加速システムへ送ることにより第1の制御装置または第2の制御装置からの命令を実施して、ガイドウェイに沿った車両の速度を制御する。いくつかの実施形態では、第1の制御装置または第2の制御装置からの命令は、方法200を使用して実施される。
【0029】
オンボードコントローラが、第1の制御装置との通信に妨害が存在すると決定した場合、方法300は動作312で継続し、ここで、オンボードコントローラは、第2の制御装置から命令を受信する。いくつかの実施形態では、オンボード制御装置は、無線通信、誘導ループ通信、マイクロ波通信、光通信、または他の適切な通信技法により、第2の制御装置から命令を受信する。
【0030】
動作314では、オンボードコントローラは、第2の制御装置からの命令を実施する。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、信号を自動制動加速システムへ送ることにより第2の制御装置からの命令を実施して、ガイドウェイに沿った車両の速度を制御する。
【0031】
動作316では、オンボードコントローラは、第1の制御装置との通信を再確立しようと試みる。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、機能停止がそのオンボードコントローラで発生したかどうかを決定するために、車両の制御をバックアップ用オンボードコントローラに委譲することにより、第1の制御装置との通信を再確立しようと試みる。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、第1の制御装置からの信号を探索することにより、第1の制御装置との通信を再確立しようと試みる。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラは、第1の制御装置へ信号を送ることにより、第1の制御装置との通信を再確立しようと試みる。いくつかの実施形態では、動作316は、第1の制御装置との通信が再確立されるまで継続的に実行される。
【0032】
当業者は、いくつかの実施形態では、方法300の動作の順序が変更されることを理解するであろう。当業者は、また、いくつかの実施形態では、追加的な動作が加えられたり、または動作が取り除かれたり組み合わされたりすることを理解するであろう。
【0033】
図4は、1つまたは複数の実施形態によるオンボードコントローラ400のブロック図である。いくつかの実施形態では、オンボードコントローラ400は、オンボードコントローラ130(
図1)である。オンボードコントローラ400は、ハードウェアプロセッサ402と、コンピュータプログラムコード406すなわち実行可能な命令セットで符号化されている、つまりそれらを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体404とを含む。コンピュータ可読記憶媒体404は、また、制御システム100(
図1)の諸要素とインターフェース接続するために、命令407で符号化されている。プロセッサ402は、バス408を介してコンピュータ可読記憶媒体404に電気的に結合されている。プロセッサ402は、また、バス408によって入出力インターフェース410と電気的に結合されている。ネットワークインターフェース412も、バス408を介してプロセッサ402と電気的に接続されている。プロセッサ402およびコンピュータ可読記憶媒体404が、ネットワーク414を介して外部の要素と接続かつ通信できるように、ネットワークインターフェース412はネットワーク414に接続されている。誘導ループインターフェース415も、バス408を介してプロセッサ402と電気的に接続されている。誘導ループインターフェース415は、ネットワークインターフェースとは別種の通信パスを提供する。いくつかの実施形態では、誘導ループインターフェース415またはネットワークインターフェース412は、光通信、マイクロ波通信、または他の適切な通信パスなどの異なる通信パスに置換される。プロセッサ402は、制御システム100、方法200(
図2)、または方法300(
図3)に関して説明されたような動作の一部または全部に対してオンボードコントローラ400を使用可能にするために、コンピュータ可読記憶媒体404において符号化されているコンピュータプログラムコード406を実行するように、構成されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、プロセッサ402は、中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサ、分散処理システム、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または適切な処理ユニットである。
【0035】
いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体404は、電気、磁気、光、電磁、赤外線、および/もしくは半導体システム(または装置もしくはデバイス)である。例えば、コンピュータ可読記憶媒体404は、半導体もしくはソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、および/または光ディスクを含む。光ディスクを用いるいくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体404は、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、コンパクトディスクリード/ライト(CD−R/W)、および/またはデジタルビデオディスク(DVD)を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、記憶媒体404は、制御システム100(
図1)、方法200(
図2)、または方法300(
図3)に関して説明されたような動作を、オンボードコントローラ400に実行させるように構成されたコンピュータプログラムコード406を記憶する。いくつかの実施形態では、記憶媒体404は、また、制御システム100、方法200、または方法300に関して説明されたような動作を実行するために必要な情報を、記憶する。なお、この情報は、第1の命令セットパラメータ418、第2の命令セットパラメータ420、集中制御通信パラメータ422、分散制御通信パラメータ424、車両位置パラメータ426、車両速度パラメータ428、および/または制御システム100、方法200、もしくは方法300に関して説明されたような動作を実行するための、実行可能な命令セットなどである。
【0037】
いくつかの実施形態では、記憶媒体404は、外部の要素とインターフェース接続するための命令407を記憶する。命令407により、制御システム100、方法200、または方法300に関して説明されたような動作を効果的に実施するために外部の要素によって読み出し可能な動作命令を、プロセッサ402が生成することが可能になる。
【0038】
オンボードコントローラ400は、入出力インターフェース410を含む。入出力インターフェース410は、外部の回路に結合されている。いくつかの実施形態では、入出力インターフェース410は、情報およびコマンドをプロセッサ402に伝達するための、キーボード、キーパッド、マウス、トラックボール、トラックパッド、および/またはカーソル方向キーを含む。
【0039】
オンボードコントローラ400は、また、プロセッサ402に結合されたネットワークインターフェース412を含む。ネットワークインターフェース412により、オンボードコントローラ400がネットワーク414と通信することが可能になる。なお、ネットワーク414には、1つまたは複数の他のコンピュータシステムが接続されている。ネットワークインターフェース412は、BLUETOOTH、WIFI、WIMAX、GPRS、もしくはWCDMAなどの無線ネットワークインターフェース、またはイーサネット、USB、もしくはIEEE−1394などの有線ネットワークインターフェースを含む。いくつかの実施形態では、制御システム100、方法200、または方法300に関して説明されたような動作は、2つ以上のオンボードコントローラ400で実施され、第1の命令セット、第2の命令セット、集中制御通信、分散制御通信、車両位置、および車両速度などの情報は、互いに異なるオンボードコントローラ400の間で、ネットワーク414を介して交換される。
【0040】
オンボードコントローラ400は、また、プロセッサ402に結合された誘導ループインターフェース415を含む。誘導ループインターフェース415により、オンボードコントローラ400が外部デバイスと通信することが可能になる。なお、外部デバイスには、1つまたは複数の他のコンピュータシステムが接続されている。いくつかの実施形態では、制御システム100、方法200、または方法300に関して説明されたような動作は、2つ以上のオンボードコントローラ400で実施され、第1の命令セット、第2の命令セット、集中制御通信、分散制御通信、車両位置、および車両速度などの情報は、互いに異なるオンボードコントローラ400の間で、誘導ループインターフェース415を介して交換される。
【0042】
オンボードコントローラ400は、第1の命令セットに関係する情報を、入出力インターフェース410を通じて受信するように構成されている。この情報は、車両速度にとって必要な調整を決定するために、バス408を介してプロセッサ402に転送される。第1の命令セットは、次に、第1の命令セットパラメータ418として、コンピュータ可読媒体404に記憶される。オンボードコントローラ400は、第2の命令セットに関係する情報を、入出力インターフェース410を通じて受信するように構成されている。この情報は、車両速度にとって必要な調整を決定するために、バス408を介してプロセッサ402に転送される。第2の命令セットは、次に、第2の命令セットパラメータ420として、コンピュータ可読媒体404に記憶される。オンボードコントローラ400は、集中制御通信に関係する情報を、入出力インターフェース410を通じて受信するように構成されている。この情報は、集中制御通信パラメータ422として、コンピュータ可読媒体404に記憶される。オンボードコントローラ400は、分散制御通信に関係する情報を、入出力インターフェース410を通じて受信するように構成されている。この情報は、分散制御通信パラメータ424として、コンピュータ可読媒体404に記憶される。オンボードコントローラ400は、車両位置に関係する情報を、入出力インターフェース410を通じて受信するように構成されている。いくつかの実施形態では、車両位置は、ガイドウェイ上のRFIDタグ、コンピュータ可読媒体404に記憶されている地図、全地球測位システム、または他の適切な位置決めデバイスにより、決定される。この情報は、車両位置パラメータ426として、コンピュータ可読媒体404に記憶される。オンボードコントローラ400は、車両速度に関係する情報を、入出力インターフェース410を通じて受信するように構成されている。いくつかの実施形態では、車両位置は、加速度計、回転速度計、または他の適切な速度検出デバイスにより、決定される。この情報は、車両速度パラメータ428として、コンピュータ可読媒体404に記憶される。
【0043】
動作中、プロセッサ402は、第1の命令セットパラメータ418および第2の命令セットパラメータ420に基づいて、車両速度を調整するかどうかを決定するための命令セットを実行する。動作中、プロセッサ402は、オンボードコントローラ400が、集中制御装置または分散制御装置のいずれかとの通信で妨害に遭遇しているかどうかを決定するための命令セットを実行する。
【0044】
本説明の一態様は、ガイドウェイネットワーク内の車両のための制御システムに関する。制御システムは、第1の命令セットを生成するように構成された集中制御システムを含む。制御システムは、第2の命令セットを生成するように構成された、少なくとも1つの分散制御システムを、更に含む。制御システムは、車両上のオンボードコントローラを更に含み、そのオンボードコントローラは、第1の命令セットおよび第2の命令セットを、同一の時間期間中に受信するように構成されている。集中制御システムは、第1の命令セットをオンボードコントローラへ、第1の通信技法を使用して送信するように構成されている。少なくとも1つの分散制御システムは、第2の命令セットをオンボードコントローラへ、第1の通信技法とは異なる第2の通信技法を介して送信するように構成されている。
【0045】
本説明の別の態様は、ガイドウェイネットワーク内の車両を動作させる方法に関する。この方法は、第1の命令セットを集中制御システムから受信するステップと、第2の命令セットを少なくとも1つの分散制御システムから受信するステップとを含む。この方法は、オンボードコントローラを使用して、第1の命令セットと第2の命令セットとの間に相違点が存在するかどうかを決定するステップを、更に含む。この方法は、相違点が存在しない場合には第1および第2の命令セットを実施するステップと、相違点が存在する場合には第1の命令セットまたは第2の命令セットのうち、制約が最小のものを実施するステップとを、更に含む。
【0046】
本説明の更に別の態様は、ガイドウェイネットワーク内の車両を動作させる方法に関する。この方法は、オンボードコントローラを使用して、集中制御システムおよび少なくとも1つの分散制御システムとの通信を確立するステップと、集中制御システムまたは少なくとも1つの分散制御システムのいずれかとの通信が妨害されているかどうかを決定するステップとを含む。集中制御システムまたは少なくとも1つの分散制御システムのどちらとの通信も妨害されていない場合、この方法は、
第1の命令セットを集中制御システムから受信するステップと、
第2の命令セットを少なくとも1つの分散制御システムから受信するステップと、
第1の命令セットまたは第2の命令セットのうち少なくとも一方を実施するステップと
を含む。集中制御システムまたは少なくとも1つの分散制御システムのいずれかとの通信が妨害されている場合、この方法は、
集中制御システムまたは少なくとも1つの分散制御システムのいずれかから命令を受信するステップと、
受信した命令を実施するステップと、
集中制御システムまたは少なくとも1つの分散制御システムのいずれかとの通信を再確立しようと試みるステップと
を含む。
【0047】
開示された諸実施形態が上述した利点の1つまたは複数を実現することが、当業者に容易に理解されるであろう。前述の詳細な説明を読めば、当業者は、様々な変更、等価な置換、および本明細書で広く開示される様々な他の実施形態を実現することができるであろう。従って、本明細書で許可される保護は、添付の特許請求の範囲に含まれる定義、およびそれと同等のものによってのみ制限されることが意図される。