(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013624
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】耐久性の向上のための燃料電池電力設備の電力オン停止
(51)【国際特許分類】
B60L 11/18 20060101AFI20161011BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20161011BHJP
H01M 8/04228 20160101ALI20161011BHJP
H01M 8/04303 20160101ALI20161011BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20161011BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20161011BHJP
【FI】
B60L11/18 G
H01M8/00 Z
H01M8/04 Y
H01M8/04 J
B60L11/18 A
H01M8/10
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-552612(P2015-552612)
(86)(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公表番号】特表2016-508364(P2016-508364A)
(43)【公表日】2016年3月17日
(86)【国際出願番号】US2013021240
(87)【国際公開番号】WO2014109761
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2016年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】591006586
【氏名又は名称】アウディ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ラマスワミー,シタラム
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,マイケル,エル.
【審査官】
久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−181509(JP,A)
【文献】
特開2005−102458(JP,A)
【文献】
特表2007−534108(JP,A)
【文献】
特表2005−531123(JP,A)
【文献】
特表2005−532241(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0200901(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
H01M 8/00− 8/2485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動用車両(12)に含まれ、移動用車両(12)に電力を供給する燃料電池電力設備(24)用の修正された停止作動の方法であって、車両(12)は、ステーション(10)において少なくとも電気エネルギー(20A)を含む1つまたは複数の資源(20)の再供給を受けるためにステーション(10)に時々向かい、燃料電池電力設備(24)は、燃料電池電力設備のH2オン不動態化を含む停止手順の実行を含め、燃料電池電力設備の作動を調整する制御装置(36)を備え、方法は、
a)ステーション(10)において車両(12)を少なくとも電気エネルギー資源(20A)に作動的に接続し、
b)車両(12)が電気エネルギー資源(20A)に接続されるのに応答して、延長された期間、燃料電池電力設備のH2オン不動態化を維持するのに十分な水素の流れを燃料電池電力設備内に維持することを含む電力オンモード(120、122)を備えるように停止手順の制御を修正する、
各ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
車両の燃料電池電力設備は、電力設備の作動を実行および調整するための電気駆動装置(36、64、58、62、48、56、71、その他)を備え、電力オンモードにおいて燃料電池電力設備内の水素の流れを維持するステップは、電気駆動装置のうちの少なくとも一部(36、58、48、その他)を作動させることを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
電力オンモードの際に燃料電池電力設備のH2オン不動態化が維持され得る延長された期間は、16時間より長いことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
電力オンモードの際に燃料電池電力設備のH2オン不動態化が維持され得る延長された期間は、30時間より長いことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
車両はさらに、搭載型水素反応物供給源(16)を備え、ステーション(10)における資源(20)の1つは、水素(20B)であり、方法は、車両(12)をステーションにおける水素資源に作動的に接続し、電力オンモードの際に搭載型水素反応物供給源(16)に再供給するように水素資源を制御する、各ステップを含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項6】
燃料電池電力設備(24)は、冷却材循環システム(32)を備えており、ステーション(10)における資源(20)は、冷却材(20C)も含み、方法は、車両(12)をステーションにおける冷却材資源(20C)に作動的に接続し、電力オンモードの際にステーション資源の冷却材から冷却材を循環させるように冷却材循環システム(32)を制御する、各ステップを含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項7】
延長された期間、燃料電池電力設備のH2オン不動態化を維持するのに十分な水素の流れを燃料電池電力設備内に維持するステップは、燃料電池電力設備内のある位置における水素の圧力を検出し、検出された圧力がある閾値より低いのに応答してその位置における水素の圧力を増大させる、ステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
燃料電池電力設備(24)は、アノード入口(50)を有する電池スタックアッセンブリ(26)を備え、アノード入口(50)近くで圧力を検出し、閾値は約2kPaであることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
燃料電池電力設備(24)は、水素反応物供給源(16)を備え、弁(48)が水素反応物供給源(16)とアノード入口(50)との間の水素の流れを制御し、水素圧力を増大させるステップは、弁(48)を調整することによることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
車両はさらに、制限された電気エネルギーを車両に供給する制限された容量の搭載型電気エネルギー貯蔵システム(25)を備えることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
燃料電池電力設備(24)は、電位を供給する電池スタックアッセンブリ(26)と、電池スタックアッセンブリの電位を制御する電圧制限装置(34)とを備えることを特徴とする請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に燃料電池電力システムに関し、より詳細には輸送用車両などの移動用途に適合した燃料電池電力設備に関する。さらにより詳細には本開示は、耐久性、経済性および/または同様のものなどを向上させるための、通常作動モード以外のモードへのおよび/またはモードにおける、このような燃料電池電力システムおよびその1つまたは複数の燃料電池電力設備の作動に関する。
【背景技術】
【0002】
移動/輸送用途の燃料電池電力設備は、自動車や、バスなどの大型の運搬車においてますます使用されている。これらの電力設備では一般に、モータに電力供給して直接車両を推進するように、また、バッテリまたは一揃いのバッテリなどのエネルギー貯蔵システムでの貯蔵用にエネルギーを供給するように、電力を生成するために、1つまたは複数のスタックまたはスタックアッセンブリ(CSA)内に配置された多数のPEM型燃料電池が使用される。
【0003】
PEM型燃料電池では、膜型電解質が使用されており、この膜型電解質の膜は、プロトン交換膜または高分子電解質膜(polymer electrolyte membrane)(PEM)である。この膜は、アノード電極とカソード電極の間にそれぞれ配置される。触媒化されたカソードおよびアノードは、所望の電気化学反応を誘起するのに役立つ。必要な電気化学反応を達成するように、膜の対向するそれぞれの面に亘るカソード流れ場およびアノード流れ場それぞれを通して、反応物すなわち一般に酸素または空気などの酸化剤および水素などの燃料を流す。
【0004】
燃料電池スタックの作動に関連する始動機構および停止機構がスタックの耐久性および寿命に重大で一般には不利な影響を及ぼすことが知られている。燃料電池スタックの劣化は、触媒支持材料の酸化や、高い温度、および高い(電気的)電位に起因する。この影響は、定置用途での一般に長期間の作動に比較して始動および停止の回数/頻度が多いため、輸送目的の燃料電池電力設備の用途でより顕著であり、バスなどの大型の輸送用車両におけるそのような電力設備に関して特に影響がある。
【0005】
始動/停止サイクルに関連する劣化機構を緩和するのを助ける多くのさまざまな技術が提案または使用されており、好ましい方法は、時に「水素オン」(または「H
2オン」)方法と呼ばれる、水素安定化の方法である。「水素オン」方法では、燃料電池スタック(電池内の酸化剤流れ場、入口マニホールド、出口マニホールド、配管、その他を含む)の空気側体積から酸素を除去し、カソード流れ場およびアノード流れ場両方で水素レベルを安定させ、それによって、電池内で少なくとも高電圧を防止しまたは最小限に抑える。通常の水素安定化は、停止手順で達成され、この停止手順には、(a)スタックへの新鮮な空気の入力を阻止し、(b)サービス負荷を除去し、スタックを抵抗補助負荷に接続し、(c)燃料再循環を継続したまま、燃料パージ(排気)を阻止したまま、新鮮な水素を電池に供給するのを継続し、これを、空気側体積内の全ての残留酸素と反応するのに十分な水素を供給するまで継続しながら、オンのままのカソード送風機の入口にカソード排気を導くことで、カソード再循環を実行し、(d)停止が完了するまでカソードおよび燃料再循環(循環)の実行を継続しながら燃料電池への新鮮な水素の入口を封鎖することが含まれる。このようなシステムの代表例の1つが、本願の出願人に譲渡され、2012年3月27日に発行され、ライザー(Reiser)らに付与された米国特許第8,142,950号に開示されている。同様の別の代表例の1つが、本発明の出願人に譲渡され、2011年9月15日に発行された、M.L.ペリー(Perry)による米国特許出願公開第2011/0223495A1号に開示されている。
【0006】
水素オン安定化方法は停止過程で使用され、スタックへの空気供給を比較的迅速に終了させ得るが、限られた期間、スタックへの水素の供給および/または再循環への依拠を継続し得ることに留意されるであろう。水素オン状態の不動態化(passivation)の利益は、実際の停止状態の間の多少の期間、継続し得るとはいえ、この期間は一般に、数時間、例えば16時間より短い時間に限られる。繰り返し再始動し、短時間作動し、再び停止し、H
2オン不動態化の利益の継続時間を延長する目的で燃料電池電力設備をH
2不動態化させることは、計算上および耐久性の観点から実際的でないと見なされてきた。水素オン状態の継続時間に対するこのような制限は、それに対応して、特に電力設備が通常停止される延長された期間、このような作動モードに由来する利益を制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
さまざまな輸送用車両は、さまざまな種類の保管および/または保守のためステーション、駐車場、「物置」、またはターミナルへと本当に向かうこともあるし、または、時々向かう必要もある。そのようなステーションにいる間に、車両は、水素燃料などのさまざまな資源の再充填を受けることができ、その燃料電池電力設備はこれまでは一般に、数時間から数日間に延長し得る期間、停止状態にあった。しかしながら、本明細書では、少なくとも電力を含む、ステーションの比較的制限のない資源のうちの1つまたは複数を利用することで、かつ、いわゆる電力オン(Power On)モードを含むように通常の停止過程を修正することで、大幅に延長された期間、保護水素オン(Hydrogen On)状態を活動状態のまま存続させ得ることが認められた。
【0008】
移動用車両に含まれ、移動用車両に電力を供給する燃料電池電力設備の、または燃料電池電力設備用の、修正された停止の方法または技術が開示される。車両は特徴的には、燃料電池電力設備によって利用される1つまたは複数の資源を再供給するために、その資源を備えるステーションに時々向かう。このステーションにおいて/によって供給されるそのような資源の1つは電気エネルギーであり、燃料電池電力設備の作動は、いわゆる電力オン作動モードを介して、例えば数日間のまたはより長い期間の大幅に延長された期間、活動状態の保護水素オン状態を維持するようその電気エネルギーの利用可能性を利用するように修正される。
【0009】
電力オンモードは、燃料電池電力設備にまたは燃料電池電力設備内で、直接におよび/または再循環によって、水素の不動態化流れを維持し、他の点では従来の停止手順の修正を介して通常は入る。従来の停止手順の初期の態様は、大部分のH
2不動態化が達成されるであろうこの手順におけるある予め選択された局面または状態において、保持される、または保持され得るとはいえ、手順は、少なくとも外部電力の存在に応答して修正され得る。手順は、直接におよび/または再循環によって、水素の流れを維持するように修正され、それによって、16時間より長い期間、または30時間より長い期間まで、または実に何日間もの期間まで、水素不動態化の継続時間を維持または延長する。水素の流れの調整は、例えば、燃料電池電力設備の燃料電池への水素の入口においてまたは入口近くにおいて、検出された水素の圧力に応答し、検出された水素の圧力がある閾値、例えば2kPaまで低下した場合、水素を供給することを含むことができる。
【0010】
電力オン作動モードの提供は、そうでなければ制限されるH
2オン不動態化の継続時間を延長するためのステーションにおける電力の利用可能性に初期には依存するとはいえ、ステーションから補助的なH
2および/または補助的な冷却材および/または冷却能力などの他の資源を車両および/または燃料電池電力設備に供給することで、電力オンモードの間に付加的な利益を引き出すこともできる。
【0011】
本開示の上述した特徴および利点は、添付の図面に例示される本開示の例示的な実施例の以下の詳細な説明に照らしてより明らかとなるであろう。
【0012】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照してより良く理解できる。図面の中の構成要素は、必ずしも共通の尺度を持っていない。さらに図面において、同様の参照符号は、いくつかの図面を通して対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】燃料電池電力設備を有する1つまたは複数の車両が、本開示に従って外部資源に接続される、または接続され得る、ステーションまたはターミナルの一部を示す簡略図。
【
図2】ブロック形態で燃料電池電力設備のさまざまな概略構成要素を示す、
図1の車両の概略図。
【
図3】いくつかの構成要素とそれらの相互接続をより詳細に示す、
図2の燃料電池電力設備の関連部分の概略図。
【
図4A】電力オンイネーブル状態の決定前の水素オン停止過程の初期の部分の概略機能流れ図。
【
図4B】
図4Aにおいて開始された概略機能流れ図の継続であって、代替として、停止過程の完了または電力オン過程への進入およびその維持を示す図。
【
図5】電力オンイネーブル状態の決定の簡略機能図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照してより良く理解できる。図面の中の構成要素は、必ずしも共通の尺度を持っていない。さらに図面において、同様の参照符号は、いくつかの図面を通して対応する部分を示す。
【0015】
図1を参照すると、ターミナル、物置、駐車場、その他ともさまざまに呼ばれるステーション10の一部が示されており、そこには、1つまたは複数の燃料電池駆動車両12が、定期的な保管、保守、および/または必要な資源の補給のために、一時的に配置され得る。車両12は、特徴的には、燃料電池電力システム(fuel cell power system)(FCPS)14と、制限された搭載型水素供給源16と、モータ駆動装置18と、さまざまな車両補助負荷19と、を備える。車両12は、限定される訳ではないが、自動車、トラック、およびバスを含む、任意のさまざまな種類の燃料電池駆動車両とすることができるとはいえ、本開示は、夜の間、週末、またはより長い間の保管または収容のために日常的にステーション10に向かい、ターミナル10において1つまたは複数の「外部」資源20の補給を受け得るバスなどの車両に特に向けられる。これらの資源20は、少なくとも電力20Aを含み、任意選択的に、水素20B、冷却材および冷却材処理20C、および/または他の資源も含み得る。このような資源20は、それぞれの車両12上に収容されているそれらの制限された量に対して通常制限のない量で、ステーション10において都合よく利用可能でありまたは利用可能であり得る。
図1の図示の目的のために、資源20のそれぞれおよび全ては、実際は、運ばれる物質、実体、特性、および機能用のさまざまな独立した導管となるであろう、一まとめの導管22を介して、それぞれの車両12に接続されるものとして示される。別々に示されていないが、電力の伝達のために、適切な電気ケーブル/コネクター/接触器、その他などがあることは理解されるであろう。同じことが、水素および/または冷却材および冷却材の処理の任意選択的供給についてあてはまるであろう。また重要なことには、一まとまりの導管22は、資源20に関する車両12とステーション10の間の信号情報の伝達を包含するものと想定される。
【0016】
図2を参照すると、車両12、および特に燃料電池電力システム14がいくぶんより詳細に示される。FCPS14は重要なことには、燃料電池電力設備(fuel cell power plant)(FCPP)24を備える。それは、電気エネルギー貯蔵システム(electrical energy storage system)(ESS)25を備えることもできる。FCPP24は、既知の仕方で電気エネルギーを電気化学的に供給することができる。ESS25は、再充電可能バッテリ、またはバッテリシステムとすることができる。FCPP24およびESS25のうちの一方または両方が、車両12を推進するように車両モータ駆動装置に電気エネルギーを供給することができる。ESS25は、車両の発電制動によっておよび/またはFCPP24の作動によって、さまざまな程度に都合よく再充電可能である。さらに、ESS25は
図2では、FCPP24に電気エネルギーを供給もするように接続されるものとして示される。この能力は、FCPP24が通常、電気エネルギーを供給していない場合の停止などの時や、再始動の目的の際でさえも、FCPP24の一部を構成するさまざまな電気駆動装置の制限された継続時間の、ある制限された作動を可能とする。
【0017】
FCPP24をより詳細に考慮すると、それは概略、燃料電池スタックアッセンブリ
(cell stack assembly)(CSA)26と、搭載型供給源16から供給されるとともに、CSA26へと供給されかつ/またはCSA26からおよび/またはCSA26へと再循環される水素燃料を処理する燃料処理システム(fuel processing system)(FPS)28と、CSA26へと供給されかつ/またはCSA26からおよび/またはCSA26へと再循環される、30で示される供給源からの空気などの酸化剤を受け取る空気処理システム(air processing system)(APS)29と、CSA26の熱要求を管理する熱管理システム(thermal management system)(TMS)32と、CSA26の出力電圧を調整および/または制限する電圧制限装置(voltage limiting device)(VLD)34と、少なくともFCPP24の多数の処理および機能、および通常はESS25、車両補助負荷19、およびステーション資源と車両12、特にFCPP24との間のインターフェースの多数の処理および機能を調整する制御装置36と、を備える。
【0018】
ここで
図3を参照すると、
図3は、FCPP24の関連構成要素をより詳細に示す。燃料電池スタックアッセンブリ26は、複数の燃料電池、ここでは一まとめにして単一の電池として示されたものを備えており、各電池は、カソード38と、アノード40とを備えており、電解質42がそれらの間にある。図示の実施例では、電解質は、プロトン交換膜(proton exchange membrane)(PEM)である。例示的な実施例では、反応物気体流れ場(よく知られており、図示せず)がバイポーラプレート内に配置されており、そのうちの少なくとも1つが、反応物気体流れ場チャネルを有する面とは反対のプレートの面に冷却材流路44を有する。これらのバイポーラプレートは、中実とすることも、ミクロ孔親水性水輸送プレートとすることもでき、両方ともよく知られている。冷却器プレートがバイポーラプレートの間にところどころに入れられることも、置かれることもできる。
【0019】
燃料は、搭載型水素供給源16から、圧力制御弁46、燃料流量制御弁48を通して、アノードの入口50へと供給される。流れ場の出口52は、水素枯渇排気を導管54を通して伝達し、導管54は、遠隔制御可能アノード排気弁56に繋がり、遠隔制御可能アノード排気弁56は次いで混合箱73に作動的に接続される。アノード排気弁56は、不純物および窒素などの不活性物を排除するのに必要なだけ、および/または、可能な再循環用の排気空気と混合するために、絶えずわずかに開とするか、パルス幅変調に基づいて周期的に作動することができる。導管57も導管54に接続されており、アノード排気をアノード再循環ポンプ58に接続し、アノード再循環ポンプ58はエゼクタとすることができ、その出力は、導管59にあり、アノード燃料再循環用にアノードの入口50と接続される。アノード再循環ポンプは電気化学水素ポンプとすることもでき、電気化学水素ポンプは、既知の仕方で燃料電池に直流を流すことに依拠しており、出口水素の再循環および精製の両方を行う。
【0020】
空気は、導管60内から空気入口弁62を通して、送風機64へと供給され、送風機64は、空気を空気制御弁65を通して、カソード38の入口66に供給する。カソード出口67は、導管68、排気弁69を通して、排気へと接続され、混合箱73を備えており、そこで、排気プロセス空気は、大気へと排出する前に可燃性を低下させるように、またカソード38への可能な再循環のために、排気燃料と混合される。排気弁69は、カソード再循環流れを促進するための部分的閉状態および完全閉状態を含め、カソード38ばかりでなくアノード40の排気流れを可変制御するように遠隔作動可能である。
【0021】
停止においてアノードおよびカソード内の水素安定化を実行するために、この実施例では、遠隔作動可能フィードバック弁71および導管72を通して空気送風機64の入口に接続される導管70によって、カソード再循環が提供される。なおさらに、アノード40の流れ経路とカソード38の流れ経路との間で連通する水素伝達手段が、停止時にこれらの流れ場の間で水素燃料の伝達を選択的に可能とする。この実施例では、水素伝達手段は、カソード38から排気される空気と混合するために導管54、アノード排気弁56を介して混合箱73に接続され、次いで導管70、72を介して再循環されるアノード40からの水素含有排気を備える。代替としてまたは付加的に、他の水素伝達手段は、ここでは破線の形態で図示され、アノード入口50と、カソード入口66へと繋がる空気送風機64への入口などにおけるカソード再循環経路の低圧点との間で流体連通するように固定された水素伝達弁74を備えることができる。このような水素伝達のための他の代替の手段は、電気化学水素ポンプの形態を取ることができ、電気化学水素ポンプは、既知の仕方で燃料電池に直流を流すことに依拠するか、または、単に、PEM電解質42を横断する比較的遅い水素の拡散に単に依拠することによる。
【0022】
熱管理システム32は、概略形態でのみ図示されているが、電池スタックアッセンブリ26から排出される水分または液体冷却材を凝縮させまたはそうでなければ冷却し、いくらかの部分を冷却材通路44に選択的に戻すためのいくつかのよく知られた形態のいずれかを取ることができることは理解されるであろう。電池スタックアッセンブリ26が、循環冷却材への顕熱の伝導および対流によって冷却される場合、熱管理システムは、ファン冷却熱交換器および液体循環ポンプ、それにアキュムレータを備えるであろう。電池スタックアッセンブリ26が、蒸発冷却を用いる場合、カソード排気は、凝縮器によって凝縮され、結果として得られる液体は、スタック内での選択的使用のためにアキュムレータ内に貯蔵できる。
【0023】
圧力変換器76が、以下により詳細に説明する電力オンルーチンまたは手順の態様として、水素流れ経路内の水素の圧力を検出しかつ表示するために、水素流れ経路と作動的に接続される。水素圧力変換器76は、実質的にアノード入口50においてまたはアノード入口50近くにおいて、水素入口流れに都合よく接続され、以下に説明する圧力を包含するのに十分な圧力測定範囲を有する。
【0024】
VLD34で示される
図2、
図3の部分を簡単に参照すると、
図3には、外部回路78が示されており、外部回路78は、主スイッチ82が閉にされ(ここでは開で図示される)、CSAが通常作動にある場合に、80で示される主負荷に供給するために、CSA26によって生成される電流を受け取る。80で示されるこの主負荷は通常、少なくとも車両モータ駆動装置18を含むであろうし、付加的に、車両補助負荷19の全てまたは一部を含むことができるが、FCPP自体を作動させるのに必要とされるさまざまな負荷を、含むことができるとしても、通常は含まないであろう。VLD34は付加的に、ここでは可変または遠隔調整可能抵抗であるとして図示される補助負荷84を備えており、補助負荷84は、CSA26の通常作動時は電流を受け取らず、補助負荷スイッチ85は開である。補助負荷84は、既知のようにかつ以下に説明するように、停止手順時にCSA26の出力電圧を低下させおよび/または制限するのを意図している。電池出力電圧が予め選択された値より低下した場合に、補助負荷84を通る電流の流れを停止させるように、補助負荷84と直列にダイオード86が接続可能である。電圧計87または同様の電圧検出装置が、制御または調整の目的で電圧の示度を提供するように、CSA26の電気出力端子間に亘って接続される。電圧制限機能が、例えば、本発明の出願人に譲渡された、S.J.フレデット(Fredette)による米国特許第7,790,303号に開示されているように、代替としてまたは付加的に、ESS25によって提供される。
【0025】
別々の接続は図示されていないとはいえ、FCPP24の制御装置36は、その制御下にあり、以下の作動の説明の一部を構成するさまざまな要素と作動的に接続されるものと理解される。制御装置36は、以下に説明する機能を実行することができるさまざまなよく知られた形態のいずれかを取ることができ、実施例は、弁、接続、その他などの一部または全ての簡単な手動作動から、配線および/または遠隔無線接続を介するプログラムされた電子デジタルプロセッサ制御にまで及ぶ。1つまたは複数の資源20との実際の接続性を検出する能力は、図示されていないとはいえ、既知でありかつ理解されているものとして想定されており、物理的接触や、電流、水素、および/または冷却材の流れの検出、その他に関連するセンサを含むことができる。
【0026】
初期の停止過程、および完全停止状態に到達する前のその過程から、延長された期間、活動状態の水素オン状態を維持する電力オンの分岐過程への分岐を含め、電力オンモードにおける作動過程の理解のために、ここで注意をさらに
図4A、
図4B、
図5に向ける。これらの図は、その過程のより高度のレベルを機能的に図示し、付随する説明は、
図1〜
図3のハードウェアと
図4A、
図4B、
図5の1つまたは複数の流れ図との相互関係を示す。
【0027】
FCPP24の通常作動時、主スイッチ82を閉にし、電気を少なくとも主負荷80に供給し、主負荷80は、車両駆動モータ18を含み得る。酸化剤送風機30およびアノード再循環ポンプ58をオンにする。水素入口弁48およびアノード排気弁56と同様に、空気入口弁62およびカソード排気弁69を開にする。通常、空気は、カソード場を通って流れ、排気され、水素は、アノード場を通って流れ、一部がアノード排気弁56、混合箱73、およびカソード排気弁69を介して排気され、一部がアノード場へと再循環(循環)される。
【0028】
FCPP24の停止は通常、車両12が静止している時、本例ではステーション10に配置され得る時に生じる。FCPP24が完全に停止しているか、または代替として電力オンモードに入っているかは、車両12がステーション10の1つまたは複数の資源20に作動的に接続されているか、いないかによって決定される。
【0029】
図4Aのステップ100は、停止過程の開始を示し、スイッチまたは点火信号「オフ」によって、または他の方法(図示せず)によって達成される。これには次いでステップ102において、主負荷80の解除、および電圧制限装置34のイネーブルが続く。より詳細には、ステップ102は、スイッチ82の開、および補助負荷84を接続するスイッチ85の閉を含み、補助負荷84は次いで可変負荷装置とすることができる。
【0030】
次に、ステップ104において、空気入口弁62およびカソード排気弁69を閉にし、ある予め選択された期間、例えば、3〜300秒間の範囲で、最大速度で空気送風機64を作動させ、電圧計87などを介してCSA26の電圧出力を監視することで、カソード酸素を枯渇させ、電圧が例えば約0.1〜0.7ボルトの間の予め選択されたレベルに十分に低下した場合、ステップ106に進む。
【0031】
ステップ106において、空気送風機64の最大速度の20%〜70%の範囲のある点に空気送風機64の速度を低減し、空気入口弁62およびカソード排気弁69を閉状態に維持することで、CSA26内に水素を蓄積する。この態様の間、水素は、アノード40からカソード38に移動しおよび/または輸送されることになり、カソード38において酸素と反応し、それによって、酸素をさらに枯渇させるのに役立つ。水素の直接輸送は、例示の実施例では、少なくとも部分的には、混合箱73においてカソード排気空気と混合されたアノード排気水素のカソード38への再循環から生じ、これは、アノード排気弁56が少なくとも部分的に開のままであることを想定している。
【0032】
ステップ106について説明した過程の付属または延長として、次のステップ108は恐らく、ステップ106に関して示された範囲内でさらにより低く空気送風機の速度を低減し、空気入口弁62およびカソード排気弁69を閉状態に維持し、電流引き込みを増大するようにVLD34の補助負荷84の抵抗をより低い値に変化させ/変更することで、カソード酸素濃度をなおさらに低減するように実行される。ステップ106でのように、水素は、アノード40からカソード38に移動しおよび/または輸送されることが継続することになり、カソード38において酸素と反応し、それによって、酸素をさらに枯渇させるのに役立つ。次いで、停止手順のステップ108に入ったすぐ(例えば、0.1s〜10s)後に、プログラムシーケンスは、電力オンモードに入る必要があるか、否かを問い合わせる。これは、判断ステップ100において、Power_On信号チェックを実行することで行われる。
【0033】
一時的に
図5を参照すると、ステップ112において、電力オンフラグを「1」(True)状態にまたは「0」(False)状態に設定する記号的な電力オンスイッチ111、ここでは閉状態で示されているもの、の機能表示が示される。True状態は、電力オンモードがイネーブルにされること、またはイネーブルにされる必要があることを反映し、作業者によって手動で、および/またはステーション10における少なくとも電力20AへのFCPP24の実際の作動的接続の際に自動的に、スイッチ111の閉によって象徴的に達成され得る。水素20Bおよび/または冷却材資源20Cなど、他の外部資源20が電力のほかに利用される必要のあるかぎり、それらの各接続を示す適切な信号も、電力オンのイネーブルまたはTrue状態を確立するのに使用されまたは必要とされ得る。
【0034】
流れ図に戻ると、ここで
図4Bにおいて、判断ステップ110の電力オン信号チェックが、
図5のステップ112においてどちらのフラグが設定されたかに応じて、TrueまたはFalseの応答選択肢を提示することに留意されるであろう。典型的には車両12およびそのFCPP24が電力資源20Aに実際には接続されていないため、ブロック114において、電力オンモードフラグが「0」に設定され、Falseを示している場合、ステップ116において、燃料および空気の供給を停止することで、停止ルーチンを継続する。これは、空気送風機64を停止し、水素入口弁48、空気入口弁62、空気再循環弁71、およびカソード排気弁69を閉にすること、または閉を維持することで行われる。これらのステップの完了後、燃料電池電力設備24、そして特にCSA24は、機能ブロック118において反映されるように、停止と見なされることになる。
【0035】
しかしながら、典型的には車両12およびそのFCPP24が電力資源20Aに実際には接続されているため、ブロック120において、電力オンモードフラグが「1」に設定され、Trueを示している場合、空気および水素燃料の再循環が継続される機能ステップ122において反映されるように、電力オンモードに入る。電力オンモードをより詳細に見ると、水素などの他の資源の利用可能性に対する制限のみによって制限される、多くの時間、例えば16または30時間、または数日、または数週間からなる、延長された、無限の可能性のある期間、さまざまなポンプ、送風機、弁アクチュエータ、その他のための適切な電力を確保するように、ここで電力がステーション10の主電力バス資源20AからFCPP24に供給される。この電力オンモードにおいて、空気送風機のスピードは、アノード排気弁56が部分的に開のままを継続する間にアノード排気と混合されるカソード排気の再循環を継続しながら、先の最大から典型的には最大速度の30%未満まで低減される。圧力センサ46は、アノード入口50の圧力を監視し、制御装置36の作動を介して、圧力を、ある最小閾値、例えば2kPaより上で、クロスオーバ感度およびシーリング特性を含むスタックおよびセルの材料の特性によって決定されるような、約10kPaより下に維持する仕方で、水素入口弁48を作動させるのに役立つ。同様に、アノード40からアノード入口50へと戻る水素排気の再循環は、再循環ポンプまたはエゼクタ58を介して継続される。
【0036】
留意されるように、電力オンモードは、長期間継続され得るが、さまざまな理由で、それを終了させるのが望ましくまたは必要となり得る。主要な実施例の1つは、通常の作動のためFCPP24を再始動する必要であり、別の実施例は、供給される外部資源の利用可能性または接続の中止である。従って、電力オンモードを定義しかつ制御するプログラムルーチンは、電力オン状態をイネーブルのままにする必要があること、または本当にイネーブルのままにすることをチェックするように、電力オン判断ブロック110に周期的に戻る用意を備える。いつでも、電力オン状態のチェックがFalseすなわち「0」状態を表す場合、機能ブロック122のプログラムルーチンは、停止作動を完了するように、ステップ116に関して図示および説明される停止ルーチンに、破線125で示されるようにすぐに切り換わる。
【0037】
本開示の例示的な実施例に関して本開示を説明および図示したとはいえ、本開示の精神および範囲から逸脱せずに、上述のさまざまな他の変更、削除、および付加を行い得ることは当業者には理解されるはずである。