(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ルーメンと前記シースの外部とを連通し、前記シースの周方向における開口幅が前記ルーメンの内径よりも小さく、且つ前記シースの長手軸に沿って前記開口部から前記シースの前記先端部まで形成されたスリット部が形成されている
請求項1に記載の処置具。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る処置具について、
図1から
図14を参照して説明する。
処置具10は、
図1に示すように、挿入部20と、連結部30と、操作部40とを有する。以下の説明において、処置具10の挿入部20側を先端側と称し、操作部40側を基端側と称する。
挿入部20は、シース21とナイフワイヤ22とを有し、後述する内視鏡装置の処置具チャンネルに挿入される。シース21は、長手軸Lを有する細長い部材である。また、シース21は、例えば、樹脂製であり、可撓性を有する。
【0014】
シース21は、
図2に示すように、シース21の先端21aを含む領域にプリカーブ部23を有する。プリカーブ部23は、所定の方向へ湾曲された形状に曲げ癖が付与されており、予め付与された湾曲形状に復元する復元力を有する。
プリカーブ部23の先端部は処置対象に挿入される。プリカーブ部23には、先端側連通孔26a及び基端側連通孔26b(後述)が形成されている。
【0015】
次に、シース21について
図2を用いて説明する。
図2に示すシース21は、後述する保持部32に保持されていない状態を示している。
シース21の内部には、第一ルーメン24と、第二ルーメン25と、第三ルーメン26とが形成されている。第一ルーメン24と、第二ルーメン25と、第三ルーメン26とは、シース21の長手軸Lに沿って互いに平行に延びて形成されている。
第一ルーメン24は、ガイドワイヤWが進退可能な内径を有する通路部分を有する。すなわち、第一ルーメン24は、内部にガイドワイヤWを保持するルーメンを有する。また、第一ルーメン24は、出口部(第一の開口部)24aと、入口部(第二の開口部、開口部)24bと、ガイドワイヤ収容部24cと、スリット部24dとを有している。第一ルーメン24の出口部24aは、第一ルーメン24の先端、すなわち、シース21の先端21aに開口されている。入口部24bは、第一ルーメン24の基端、すなわち、シース21の基端21b側の外周面に開口されている。
【0016】
スリット部24dは、シース21を構成する樹脂部材の一部がシース21の長手方向に沿って切り取られた形状を有しており、シース21の長手軸L方向に沿って入口部24bからシース21の先端側まで形成されている。具体的には、スリット部24dの先端24gの位置は、基端側連通孔26bよりも基端側に位置している。
スリット部24dは、
図3に示すように、第一ルーメン24のガイドワイヤ収容部24cとシース21の外部とを連通するようにシース21の外周面に形成されている。さらに、スリット部24dは、一対の第一フラップ部24eと第二フラップ部24fとを有しており、第一フラップ部24eと第二フラップ部24fとは、互いに離間して配置されている。具体的には、スリット部24dは、シース21の周方向における第一フラップ部24eと第二フラップ部24fとの間隔である開口幅tが、第一ルーメン24の内径D1よりも小さくなるように形成されている。第一フラップ部24e及び第二フラップ部24fは、シース21を構成する樹脂部材によりガイドワイヤ収容部24cを覆う弾性部である。
第一フラップ部24e及び第二フラップ部24fは、スリット部24dを通じてガイドワイヤWをガイドワイヤ収容部24cから取り外す際の操作者の力によって、ガイドワイヤWが通過可能な大きさの隙間が生じるまで変形可能である。
【0017】
ガイドワイヤ収容部24cは、シース21の長手軸Lに対して直交する断面においてスリット部との境界を除き円形の輪郭を有している。すなわち、ガイドワイヤ収容部24cの周囲は、シース21の長手軸Lに対して直交する断面において略C字状の輪郭形状を有する。
ガイドワイヤ収容部24cの内径は、ガイドワイヤWがガイドワイヤ収容部24c内を進退可能となり、かつ、ガイドワイヤWが挿通された状態でクリアランスを有するように設定されている。すなわち、ガイドワイヤ収容部24cの内径は、クリアランスの寸法の分だけガイドワイヤWの直径より大きい。
【0018】
ガイドワイヤ収容部24cの周囲は、スリット部24dの先端24gとシース21の先端21aとの間において、
図4に示すように、シース21の長手軸Lに直交する断面で見ると一続きの円周状の輪郭を有している。この構成により、ガイドワイヤWがシース21の先端21aから突出可能となるようにガイドワイヤWを保持可能としている。
【0019】
図2に示す第二ルーメン25は、シース21の基端21bから先端21aまで設けられており、例えば造影剤等の液体を送液する送液ルーメンとして使用してもよい。なお、第二ルーメン25は、体内の液体を除去するための排液ルーメンとしても利用可能である。
図2に示すように、第三ルーメン26は、ナイフワイヤ22が挿通されたルーメンである。第三ルーメン26の内径は、ナイフワイヤ22が進退可能となり、かつ、ナイフワイヤ22が挿通された状態でクリアランスを有するように設定されている。すなわち、第三ルーメン26の内径は、クリアランスの寸法の分だけナイフワイヤ22の直径より大きい。
【0020】
図2に示す第三ルーメン(ナイフワイヤ用ルーメン)26は、先端側連通孔26aと、基端側連通孔26bと、ナイフワイヤ22を収容するナイフワイヤ収容部26cとを有する。
ナイフワイヤ22は、
図1及び
図2に示すように、操作部40に接続された動力伝達部27と、動力伝達部27の先端側に設けられ、先端側連通孔26a及び基端側連通孔26bによって第二ルーメン25の外部に配された切開部28とを備えている。
【0021】
操作部40は、
図1に示すように、棒状部41と、棒状部41に連結されたスライダ部42とを備えている。スライダ部42には、動力伝達部27の基端が接続されており、棒状部41に対してスライダ部42をスライドさせることにより、切開部28が操作される。
【0022】
連結部30は、挿入部20の基端と操作部40の先端の間に設けられている。
連結部30は、
図5に示すように、保持部32と、フック部33とを備えている。
保持部32は、
図6Aに示すように、略円筒形状に形成された筒形状部34を有している。また、保持部32は、筒形状部34の内周面と外周面とを連通して形成されたポート開口部31を有する。さらに、ポート開口部31の先端から保持部32の最先端まで溝32dが延びている。溝32dは、筒形状部34の先端開口34aに連通されている。
シース21の基端部は、前述の先端開口34aを介して筒形状部34の内部に挿入されている。シース21の基端部は、ポート開口部31の開口方向と、入口部24bの開口方向が一致するように(長手軸L周りにおけるポート開口部31の位相と入口部24bの位相とが一致するように)、保持部32の筒形状部34に挿入されて固定されている。具体的には、例えば、
図6Aに示すように、筒形状部34の基端部には、ポート開口部31の開口方向と、入口部24bの開口方向とを一致させた状態で、筒形状部34に対してシース21が回転しないように、シース21が筒形状部34に係止されていてもよい。
図6AのX−X断面図である
図6Bに示すように、筒形状部34の係止溝34bと第一ルーメン24の被係止部24hとの両方に対して係止部材35が係止されている。長手軸Lに対して垂直な方向において、この係止部材35の一端35aは、第一ルーメン24の被係止部24hに入り込み、係止部材35の他端35bは、筒形状部34の係止溝34bに入り込んでいる。これにより、シース21が筒形状部34に係止されている。
また、ポート開口部31の開口と入口部24bの開口の少なくとも一部が重なり合っている状態で、シース21の基端部における基端21bは、端面32eに当接されて位置決めされている。これにより、ポート開口部31の開口方向と、入口部24bの開口方向が一致し、且つポート開口部31の開口と入口部24bの開口が重なり合っているため、ポート開口部31から入口部24bにガイドワイヤWを挿入可能である。
なお、本実施形態では、シース21と筒形状部34との相対的な位置関係が所定の位置からずれないように、係止部材35を用いてシース21を筒形状部34に係止させているが、シース21を筒形状部34に係止させる構成はこれに限らず、シース21と筒形状部34とが位置ずれしないように係止されていればよい。
【0023】
筒形状部34は、
図5に示すように、先端保持部32aと、基端保持部32bとを備える。
図6Aに示すように、基端保持部32bに対して先端保持部32aが偏向(傾斜)している。これにより、筒形状部34にシース21の基端部が保持された状態では、入口部24bの開口は、先端保持部32aによって保持されたシース21の被保持部(シースの基端部の先端領域)21fのガイドワイヤ収容部24cの中心軸O1の延長線上で、ポート開口部31の開口に重なって連通する。また、基端保持部32bは、シースの基端部の基端領域を保持する。言い換えると、先端保持部32aの長手軸(シース21の長手軸)P1が、基端保持部32bの長手軸(シース21の長手軸)P2と鈍角をなすように交差する。すなわち、長手軸P1と長手軸P2とのなす角αが鈍角となるように、基端保持部32bに対して先端保持部32aが傾斜している。
【0024】
また、基端保持部32bに対して先端保持部32aが偏向する構成としては、
図6Aに示すように、例えば、基端保持部32bと先端保持部32aの繋ぎ目が折れ曲がった屈曲形状部(境界部)32cであってもよい。このとき、ポート開口部31は、屈曲形状部32cよりもシース21の基端側に設けられている。また、好ましくは、保持部32と第一ルーメン24の被係止部24hの両方に対して係止部材35が係止された状態では、第二ルーメン25及び第三ルーメン26は、屈曲形状部32c側に位置する。
【0025】
なお、
図6Cに示すように、筒形状部34は、先端保持部32aと基端保持部32bとの繋ぎ目が緩やかに湾曲された湾曲形状部32fを有してもよい。このとき、ポート開口部31は、湾曲形状部32f上に設けられてもよいし、湾曲形状部32fの基端よりもシース21の基端側に設けられてもよい。また、好ましくは、保持部32と第一ルーメン24の被係止部24hの両方に対して係止部材35が係止された状態では、第二ルーメン25及び第三ルーメン26は、シース21の湾曲部分21cの内側21e側に位置する。
このように、筒形状部34にシース21の基端部が保持された状態では、基端保持部32bと先端保持部32aの繋ぎ目の内部で、シース21が湾曲した湾曲部分21cが形成されている。先端保持部32aは、シース21が湾曲した湾曲部分21cよりも先端側のシース21(シースの基端部の先端領域、被保持部21f)を保持し、基端保持部32bは、湾曲部分21cよりも基端側のシース21(シースの基端部の基端領域)を保持する。また、先端保持部32aは、基端保持部32bと連なって設けられている。
先端保持部32aの、長手軸P1方向の長さは特に限定しないが、ガイドワイヤ収容部24cが先端保持部32aの延びる軸(P1)方向に充分に偏向する程度の長さが必要である。
【0026】
図6Aに示すように、基端保持部32bの長手軸P2における入口部24bの長さは、好ましくは、第一ルーメン24におけるガイドワイヤ収容部24cの内径よりも大きい。例えば、入口部24bは、シース21の長手軸Lに沿った長孔形状であっても良い。また、入口部24bの先端の位置は、先端保持部32aと基端保持部32bとの屈曲形状部32cと一致していても良い。さらに、入口部24bの形状は矩形状に限らず、楕円状や円形状であってもよい。
【0027】
また、
図5および
図7に示すように、処置具10の連結部30は、内視鏡装置50の被把持部52に係止可能なフック部33を有しても良い。フック部33は、内視鏡装置50の被把持部52に係止可能な係止部であり、ポート開口部31の開口方向と略平行に貫通する貫通孔を形成する内周面を有するC字形状である。フック部33は、内視鏡装置50に設けられた被把持部52の外周面の一部をその内周面が囲むようにC字状に形成される弾性部材である。フック部33は、フック部33自身がC字状に復元する復元力により、内視鏡装置50の被把持部52の外面をフック部33の内周面が押圧している。そのため、フック部33を介して、処置具10の操作部40を内視鏡装置50の被把持部52に取り付けることができる。処置具10の操作部40を内視鏡装置の被把持部52に取り付けた状態では、被把持部52の長手軸と略平行な方向において、入口部24bとポート開口部31が連通している。さらに、ポート開口部31の開口方向は、内視鏡装置の操作部(アングルノブ)側に開口している。
【0028】
次に、本実施形態に係る処置具10の作用について説明する。
まず、公知の方法を用いて、十二指腸乳頭から胆管内にガイドワイヤWを留置する。このとき、ガイドワイヤWの先端は胆管内に留置され、
図7に示すように、ガイドワイヤWの基端は内視鏡装置50の処置具チャンネル51から外部に出ている。
次に、フック部33を内視鏡装置50の被把持部52に把持させた状態、あるいは、術者が操作部40を把持した状態で、
図8に示すように、処置具チャンネル51から外部に出ているガイドワイヤWを、処置具10のシース21の先端21aに設けられた出口部24aから挿入する。術者は、シース21の基端21bに向かってガイドワイヤ収容部24cに沿ってガイドワイヤWを後退させる(バックロード)。
ガイドワイヤWは、
図9に示すように、先端保持部32aに保持されたシース21に沿って基端保持部32bに向かって進むが、その剛性により基端保持部32bに保持されたシース21には沿わず、入口部24bから外部へ好適に突出する。これにより、
図10に示すように、内視鏡装置50の処置具チャンネル51内に処置具10のシース21が挿通され、内視鏡装置50の挿入部53の先端から切開部28が突出する。
【0029】
本実施形態の処置具10によれば、先端保持部32aによって保持されたシース21の被保持部21f内のガイドワイヤ収容部24cの中心軸の延長直線上で、入口部24bの開口とポート開口部31の開口とに重なって連通するように、基端保持部32bに対して先端保持部32aが偏向しているため、ガイドワイヤWをバックロードさせた際、入口部24bからガイドワイヤWが容易に突出可能となる。すなわち、
図11に示すように、保持部60が先端保持部32aと基端保持部32bとを有していない直線形状である場合、特にシース61が入口部62側に曲がる、すなわち、入口部62が湾曲形状の内側になるようにシースが曲がると、バックロードしたガイドワイヤWが、入口部62から突出することなく、端面63aに向かって進み、入口部62から出にくくなる。
したがって、本実施形態の処置具10によれば、先端保持部32aが基端保持部32bに対して傾斜(偏向)しているため、シース21が入口部24b側に曲がることを抑えることができる。また、たとえ、シース21が入口部24b側に負荷が加わったとしても、保持部32により、先端保持部32aの長手軸P1が、基端保持部32bの長手軸P2と鈍角をなすように交差しているため、入口部24bからガイドワイヤWがスムーズに突出可能となる。
【0030】
さらに、第一ルーメン24は、スリット部24dを有している。そのスリット部24dは、ポート開口部31の先端から保持部32の最先端まで延びた溝32dを介してポート開口部31に連通されている。そのため、入口部24bから突出されたガイドワイヤWをスリット部24dに入り込ませ、さらに、ガイドワイヤWをスリット部24dの先端側に移動させることで、シース21からガイドワイヤWを剥き出していくことができる。シース21から剥き出されたガイドワイヤWを、シース21の長手軸方向における任意の位置でユーザーが把持して操作することができる。
第二ルーメン25及び第三ルーメン26は、湾曲部分21cの内側21eに配置されているため、ガイドワイヤWの入口部24bからの突出を妨げることがない。これにより、ガイドワイヤWはスムーズに入口部24bから突出することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、
図12に示すように、入口部24bの先端の位置が、先端保持部32a側に位置していてもよい。
また、第一ルーメン24は、スリット部24dを有する構成としたが、スリット部24dを設けず、
図4に示すように、ガイドワイヤ収容部24cの周囲は、シース21の先端から基端までシース21の長手軸Lに直交する断面で見ると一続きの円周状の輪郭を有していてもよい。すなわち、シース21の先端及び基端のみに開口する形状であってもよい。
【0032】
[変形例]
本発明の変形例の処置具について、
図13及び
図14を用いて説明する。
本変形例の処置具は、保持部の構成が第1実施形態の保持部と異なるため、この点について説明する。
処置具では、保持部71は、
図13に示すように、先端保持部71aと、基端保持部71bとを備えている。先端保持部71aと基端保持部71bとは別体であり、基端保持部71bの先端側に先端保持部71aの基端側が連結されている。
先端保持部71aは、シース21の湾曲部分21cより先端側を保持し、基端保持部71bは、シース21の湾曲部分21cより基端側を保持する。
【0033】
また、
図14に示すように、シース21の長手軸Lに垂直な一方向から保持部71を見たとき、先端保持部71aの長手軸(シース21の長手軸)P1が、基端保持部71bの長手軸(シース21の長手軸)P2と鈍角をなすように交差する。すなわち、長手軸P1と長手軸P2とのなす角αが鈍角となるように、基端保持部71bに対して先端保持部71aが傾斜している。この点は第1実施形態と同様である。
【0034】
本変形例によれば、保持部71は、シース21の湾曲した湾曲部分21cの湾曲形状の外側21dに入口部24bが位置するように、シース21を保持している。このとき、入口部24bの開口は、先端保持部32aによって保持されたシース21の被保持部21f内のガイドワイヤ収容部24cの中心軸の延長直線上で、ポート開口部31の開口に重なって連通するように、基端保持部32bに対して先端保持部32aが偏向(傾斜)している。そのため、ガイドワイヤWをバックロードさせた際、入口部24bからガイドワイヤWがスムーズに突出可能となる。
また、先端保持部71aと、基端保持部71bとが別体であるため、ガイドワイヤWをバックロードさせるときだけ先端保持部71aを基端保持部71bに接続することも可能である。
【0035】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について、
図15から
図17を用いて説明する。
本実施形態の処置具は、保持部の構成において第1実施形態と異なる。
以降の説明において、上述したものと共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0036】
保持部81の先端側には、
図15に示すように、シース21と係合可能な開口部(切り欠き)81aが形成されている。開口部81aは、保持部81の、入口部24bと対向する側に形成されている。
図16に示すように、保持部81の長手軸P3と直交する方向の開口部81aの寸法(幅)t1が、
図15に示すシース21の外径D2より小さくなるように設定されている。この構成により、保持部81の長手軸P3と開口部81aより基端側のシース21の長手軸Lとのなす角αが所望の角度(90度以上180度未満)をなすように、シース21は開口部81aに係合可能である。すなわち、保持部81の長手軸P3とシース21の長手軸Lとのなす角度αが所望の角度をなすように調整可能に、シース21が開口部81aに保持される。
また、保持部81は、シース21の湾曲した湾曲部分21cの湾曲形状の外側21dに入口部24bが位置するように、シース21を保持する。このとき、入口部24bの開口は、先端保持部32aによって保持されたシース21の被保持部21f内のガイドワイヤ収容部24cの中心軸の延長直線上で、ポート開口部31の開口に重なって連通するように、基端保持部32bに対して先端保持部32aが偏向(傾斜)している。
【0037】
次に、本実施形態に係る処置具の作用について説明する。
第1実施形態と同様に、公知の方法を用いて十二指腸乳頭から胆管内にガイドワイヤWを留置する。
次に、保持部81の開口部81aに所望の角度でシース21を係合する。そして、第1実施形態と同様に、内視鏡装置50の処置具チャンネル51から外部に出ているガイドワイヤWを処置具のシース21の先端21aに設けられた出口部24aから挿入する。術者は、シース21の基端21bに向かってガイドワイヤWを後退させる(バックロード)。
ガイドワイヤWは、
図17に示すように、開口部81aに係合されたシース21に沿って進み、入口部24bから外部へ突出する。
【0038】
本実施形態の処置具によれば、第1実施形態と同様に、入口部24bの開口が、先端保持部32aによって保持されたシース21の被保持部21f内のガイドワイヤ収容部24cの中心軸の延長直線上で、ポート開口部31の開口に重なって連通するように、基端保持部32bに対して先端保持部32aが偏向している。そのため、ガイドワイヤWをバックロードさせた際、入口部24bからガイドワイヤWが容易に突出可能となる。
また、保持部81の長手軸P3とシース21の長手軸Lとのなす角度αが可変であるため、ガイドワイヤWが入口部24bから出にくいときにのみ、開口部81aにシース21を係合させて、保持部81の長手軸P3に対してシース21を傾斜させることも可能である。
さらに、ガイドワイヤWの特性に応じて角度αを微調整することも可能である。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
例えば、切開部を有する処置具を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、バルーンカテーテルを備えた処置具であってもよい。また、第一ルーメン,第二ルーメン及び第三ルーメンを備えた処置具を例に挙げて説明したが、少なくとも、ガイドワイヤが挿通可能なルーメンを備えていればよい。
処置具は、長手軸を有し、長手軸に沿ってガイドワイヤを挿通可能なルーメンが形成されるとともに、ルーメンの先端側で連通して開口された第一の開口部と、ルーメンの基端側で連通して外周面に開口された第二の開口部とを有するシースと、シースの基端部における基端領域を保持する基端保持部と、シースの基端部の先端領域を曲げて保持し、先端領域におけるルーメンの中心軸の延長上に第二の開口部が位置する角度で基端保持部の先端と連なって基端保持部に対して偏向して設けられた先端保持部と、を備える。