(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6013662
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】接眼部連結装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/04 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
A61B1/04 360E
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-535254(P2016-535254)
(86)(22)【出願日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】JP2015076518
【審査請求日】2016年5月31日
(31)【優先権主張番号】特願2014-265541(P2014-265541)
(32)【優先日】2014年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】藤本 祐士
【審査官】
小田倉 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−337846(JP,A)
【文献】
特開2006−223477(JP,A)
【文献】
特開平10−295638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察装置の接眼部に設けられたテーパ面に押し当てられる押し当て部を一端部に有する係止体と、
前記係止体が中心軸に対して直交する方向に対して摺動自在に配置される摺動孔を太径部に有する固定部品と、
前記固定部品の太径部の外周面側に設けられたリング載置面に回動自在に載置され、一方向に回転されて前記摺動孔内に配置された前記係止体の他端部を徐々に押圧して該係止体の押し当て部を前記太径部の内周面から予め定めた量突出させて保持固定状態を得る一方、他方向に回転されて前記係止体を前記摺動孔内において摺動自在にして取り付け取り外し状態を得るカム面を有する回転リングと、を備え、
前記固定部品は、該固定部品の太径部の外周面から外方に突出しで、前記回転リングを前記リング載置面とで挟持する一平面を備えた凸片を有し、
前記回転リングは、前記凸片が通過可能な軸方向溝、該軸方向溝から導出された凸片の一平面が摺動自在に配置される摺動平面、及び、該摺動平面に配置された前記凸片が前記軸方向溝を介して脱落することを防止する規制部、を有する
ことを特徴とする接眼部連結装置。
【請求項2】
前記摺動平面の予め定めた位置に前記軸方向溝の溝開口を形成したことを特徴とする請求項1に記載の接眼部連結装置。
【請求項3】
前記規制部は、
前記固定部品の予め定めた位置に形成された規制ネジ穴に螺合固定される規制用ネジ部材と、
前記回転リングの内周面の予め定めた位置に設けられて中心軸方向に向かって突出した突起部と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の接眼部連結装置。
【請求項4】
前記規制用ネジ部材は、前記軸方向溝の前記摺動平面に形成された溝開口の少なくとも一部を塞ぐことを特徴とする請求項3に記載の接眼部連結装置。
【請求項5】
前記規制用ネジ部材と前記突起部とは、前記摺動孔内において前記係止体を摺動自在にした取り付け取り外し状態において、当接することを特徴とする請求項3に記載の接眼部連結装置。
【請求項6】
前記規制部は、
前記回転リングに設けられたスプリング固定用ねじ穴に螺合されて、先端部が該スプリング固定用ねじ穴から予め定めた寸法突出する長さに設定された規制用雄ネジと、 前記固定部品に設けられ、前記スプリング固定用ねじ穴から突出した前記規制用雄ネジ
の先端部が当接する終端部を備える逃げ溝と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の接眼部連結装置。
【請求項7】
前記規制用雄ネジの先端部と、前記逃げ溝の終端部とは、前記摺動孔内において前記係止体を摺動自在にした取り付け取り外し状態において、当接することを特徴とする請求項6に記載の接眼部連結装置。
【請求項8】
前記規制部は、一端部が前記段付きパイプに固定されて他端部が前記回転リングに固定される弾性部材であるスプリングであって、該スプリングの張力によって前記回転リングのカム面によって前記摺動孔内に配置された前記係止体の先端部を前記太径部の内周面から予め定めた量突出させた保持固定状態おいて密着して、前記凸片が前記軸方向溝の前記摺動平面に形成された溝開口を介して脱落することを防止することを特徴とする請求項2に記載の接眼部連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置を観察装置の接眼部にワンタッチで着脱自在な接眼部連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、光学視管部および接眼部(アイピースとも記載する)を有する観察装置の一つであるスコープにおいては、撮像装置であるカメラヘッドを接眼部に取り付けて使用することがある。この場合、カメラヘッドは、接眼部連結装置(アイピースマウント、スコープマウントとも記載する)を介してアイピースに連結される。
【0003】
日本国特開2004−147981号公報には、アイピースに着脱自在なアイピースマウントが示されている。アイピースマウントには、アイピースのテーパ部に押し当てられる押し当て部が設けられている。
【0004】
日本国特公平7−86590号公報には、スコープマウント本体と、スコープロック及び締付け環とで構成されているスコープマウントが開示されている。スコープマウント本体の内周にはアイピースが嵌入装着される凹部が形成され、前端部にはアイピースの傾斜部(日本国特開2004−147981号公報のテーパ部に対応)を係止する係止体が設けられている。係止体は、締付け環を予め定めた方向に回転させることによって、該締付け環の内周面に設けられた肉厚部により中心軸方向に押圧されるようになっている。
【0005】
日本国特開平10−295638号公報にはワンタッチ感覚で着脱が可能で確実な接続機構を備えた内視鏡用接続装置が開示されている。内視鏡用接続装置は、スコープの接眼部に接続されるスコープマウントと、該スコープマウントに着脱自在に接続される接続装置本体となるカメラアダプタ本体とで構成されている。そして、カメラヘッド本体は、内視鏡用接続装置を介して内視鏡の接眼部に接続されるようになっている。そして、スコープマウントは、日本国特開平10−295638号公報の
図4(a)、(b)に示すように大径部であるマウント部と、このマウント部の後方側に突出する凸部とで構成されている。
【0006】
日本国特開平10−295638号公報の
図4(a)、(b)に開示されているスコープマウントは、
図1A,B及び
図2に示す環状プレート1と、日本国特開平10−295638号公報のマウント部に対応する回転リング2と、日本国特開平10−295638号公報の凸部を有する固定部品3と、スプリング4と、スプリング固定ネジ5と、係止体6と、で主に構成されている。
なお、
図1Aにおいて()で囲んだ符号、名称は、日本国特開平10−295638号公報の
図4(a)、(b)に記載されていた符号、名称である。
【0007】
図2において、符号1rは環部である。符号1cは一対の凸部であって、環部1rの外周から外方に向かって突出している。符号2aは、プレート載置面であり、凸部1c1、1c2がそれぞれ配置される。符号2fは回転リング2に設けられたネジ穴であり、符号3aは回転リング載置面であって、回転リング2基端面(不図示)が配置される。符号3f1は固定部品3に設けられた第1のネジ穴であり、符号3f2は固定部品3に設けられた第2のネジ穴である。符号3hは、ピン孔であって、係止体6が配置される。
【0008】
スコープマウントは、
図3A−
図3Cに示すように組み付けられていく。
まず、固定部品3に形成されている各ピン孔3hに係止体6をそれぞれ配置する。
次に、係止体6がピン孔3h内に配置された固定部品3に対して回転リング2を
図3Aの矢印Y3Aに示すように被せていく。すると、回転リング2が固定部品3に設けられている回転リング載置面3a上に配置される。
【0009】
この配置状態において、スプリング固定ネジ5を
図3Bの矢印Y3B1に示すようにスプリング4の一方に設けられているフック孔4hを介して固定部品3の第1のネジ穴3f1に螺合して、スプリング4の一端部を固定部品3に固定する。また、スプリング固定ネジ5を
図3Bの矢印Y3B2に示すようにスプリング4の他方に設けられているフック孔4hを介して回転リング2のネジ穴2fに螺合して、スプリング4の他端部を回転リング2に固定する。
【0010】
その後、
図3Cに示すように環状プレート1の環部1rを回転リング2と固定部品3との隙間に配置し、一方の凸部1c1及び他方の凸部1c2を回転リング2のプレート載置面2a上に配置する。
【0011】
この配置状態において、固定ネジ7を凸部1c1、1c2にそれぞれ設けられている逃がし孔1hを介して固定部品3の第2のネジ穴3f2に螺合して環状プレート1を固定部品3に一体固定する。
【0012】
この結果、回転リング2が固定部品3から脱落することが防止される。また、回転リング2は、固定部品3に固定された環状プレート1の凸部1c1、1c2と固定部品3の回転リング載置面3aとの間に回動自在に配置される。
【0013】
この構成によれば、スコープマウントの回転リング2は、スプリング4の張力によって
図4(a)に示す位置に回転移動されて、ピン孔3hに配置されている係止体6の基端面が回転リング2に設けられているカム面2cによって押圧されて係止体6が中心軸方向に対して予め定めた量、押し出された状態になる。この状態において、スコープマウントは、接眼部に保持固定される。
【0014】
これに対して、スプリング4の張力に抗して
図3(B)に示すように回転リング2を反時計方向である矢印Y3B方向に回転操作すると、この回転操作に伴って、徐々にカム面3cが係止体6の基端面から離間して押圧力が解除される。
【0015】
この結果、係止体6は、ピン孔3h内において摺動自在な状態になり、実線に示すように後退可能になる。この後退可能な状態において、スコープマウントを接眼部に取り付けること、および、接眼部に取り付けられたスコープマウントを取り外すことが可能となる。
しかしながら、前述した組み立てにおいて回転リング2は、固定ネジ7によって環状プレート1が固定部品3に固定されるまでの間、常に、固定部品3から脱落するおそれがある。このため、スプリング4をスプリング固定ネジ5で回転リング2に固定する際等において、回転リング2と固定部品3の位置関係にずれが生じて、或いは、回転リング2が固定部品3に対して浮いて、螺合に手間取る虞あった。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、組付け作業性の向上および部品点数の削減を実現した接眼部連結装置を提供することを目的にしている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様の接眼部連結装置は、観察装置の接眼部に設けられたテーパ面に押し当てられる押し当て部を一端部に有する係止体と、前記係止体が中心軸に対して直交する方向に対して摺動自在に配置される摺動孔を太径部に有する固定部品と、前記固定部品の大径部の外周面側に設けられたリング載置面に回動自在に載置され、一方向に回転されて前記摺動孔内に配置された前記係止体の他端部を徐々に押圧して該係止体の押し当て部を前記太径部の内周面から予め定めた量突出させて保持固定状態を得る一方、他方向に回転されて前記係止体を前記摺動孔内において摺動自在にして取り付け取り外し状態を得るカム面を有する回転リングと、を備え、前記固定部品は、該固定部品の大径部の外周面から外方に突出しで、前記回転リングを前記リング載置面とで挟持する一平面を有する凸片を有し、前記回転リングは、前記凸片が通過可能な軸方向溝、該軸方向溝から導出された凸片の一平面が摺動自在に配置される摺動平面、及び、該摺動平面に配置された前記凸片が前記軸方向溝を介して脱落することを防止する規制部、を有する。
【0018】
以上に記載の本発明によれば、部品点数を削減すると共に、組付け作業性に優れた接眼部連結装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】文献3のスコープマウントの構成を説明する図
【
図1B】文献3のスコープマウントの構成を説明する図
【
図2】文献3のスコープマウントを構成する部品を説明する図
【
図3A】回転リングを固定部品に被せる工程を説明する図
【
図3B】回転リングを固定部品に被せた状態でスプリングを固定部品と回転リングとに配設する工程を説明する図
【
図3C】環状プレートを固定部品に固定し、環状プレートの凸部と回転リンク載置面との間に回動自在に回転リングが配置させた状態を説明する図
【
図4A】スコープマウントが接眼部に保持固定可能な状態、および、スコープマウントを接眼部に取り付けることと、接眼部に取り付けられたスコープマウントを取り外すこととが可能な状態を示す図
【
図4B】スコープマウントが接眼部に保持固定可能な状態、および、スコープマウントを接眼部に取り付けることと、接眼部に取り付けられたスコープマウントを取り外すこととが可能な状態を示す図
【
図5】内視鏡と、接眼部連結装置によってアイピースに着脱自在なカメラヘッドと、を備える内視鏡システムを示す図
【
図6】スコープマウントを構成する部品を説明する図
【
図9A】回転リングを段付きパイプの外周側に被せる工程を説明する図
【
図9B】軸方向溝の溝開口から導出された凸片を摺動平面上に配置させる工程を説明する図
【
図9C】凸片を摺動平面上に配置させた状態を説明する図
【
図9D】凸片が摺動平面上に配置されている状態を説明する断面図
【
図9E】規制用雄ネジを規制ネジ穴取り付ける工程を説明する図
【
図9F】規制用雄ネジと規制突起部とが当接した状態における作用を説明する図
【
図9G】スプリングを回転リング及び段付きパイプに取り付ける工程を説明する図
【
図9H】スプリングを回転リング及び段付きパイプに取り付けた状態を説明する図
【
図10A】スコープマウントがアイピースに保持固定可能な状態と、スコープマウントをアイピースに取り付け可能な状態及びアイピースからスコープマウントを取り外すことが可能な状態とを説明する図
【
図10B】スコープマウントがアイピースに保持固定可能な状態と、スコープマウントをアイピースに取り付け可能な状態及びアイピースからスコープマウントを取り外すことが可能な状態とを説明する図
【
図11A】規制部の他の構成例であって、規制部を構成する規制用雄ネジと規制用溝とを説明する図
【
図11B】規制用溝及び規制用溝に設けた終端部を説明する図
【
図11C】スコープマウントをアイピースに取り付け可能な状態及びアイピースからスコープマウントを取り外すことが可能な状態を説明する図
【
図12A】規制部の別の構成であって、規制部としてのスプリングを説明する図
【
図12B】スプリングと、スプリングの一端部と他端部とがそれぞれ固定される段付きパイプの螺合部及び回転リングの螺合部を説明する図
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面は、模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識可能な程度に示すために、各部材の寸法関係や縮尺等は、各構成要素に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0021】
図5に示す内視鏡システム10は、観察装置である内視鏡11と、撮像装置であるカメラヘッド12と、照明光を供給する光源装置13と、信号処理等を行うカメラコントロールユニット14と、モニタ15と、を有して主要部が構成されている。符号20は、接眼部連結装置(以下、スコープマウントと記載する)である。
【0022】
カメラヘッド12は、後述するように内視鏡11に接続自在である。光源装置13の照明光は、内視鏡11に供給される。カメラコントロールユニット14は、カメラヘッド12から伝送された撮像信号を信号処理し、信号処理した映像信号をモニタ15に出力する。
【0023】
内視鏡11は、細長な挿入部16と、接眼部(以下、アイピースと記載する)17と、を有している。アイピース17は、挿入部16より太径であり、基端側にはテーパ面部17tが設けられている。
【0024】
そして、カメラヘッド12は、スコープマウント20を介してアイピース17に接続自在である。スコープマウント20は、
図6に示すマウント部である回転リング30と、固定部品である段付きパイプ40と、を有して構成されている。
なお、段付きパイプ40の細径部である基端側部は、カメラヘッド12に着脱自在に構成されている。
【0025】
図5の符号18はライトガイドケーブルである。ライトガイドケーブル18は、光源装置13から出射される照明光を内視鏡11に設けられたライドガイドファイバ束に伝送する。伝送された照明光は、挿入部16の先端面に設けられた照明窓(不図示)から被検体に向かって照射される。
【0026】
照明光によって照らされた被検体内の像は、挿入部16内に設けられた例えばリレーレンズ(不図示)によってアイピース17に伝達される。この結果、アイピース17を通して被検体像を観察することができる。
符号19はカメラケーブルであり、カメラケーブル19は、カメラヘッド12から延出されてカメラコントロールユニット14に着脱自在に接続されるようになっている。
【0027】
図6−
図8を参照してスコープマウント20の構成を説明する。
スコープマウント20は、
図6に示すマウント部である回転リング30と、段付きパイプ40と、で主に構成され、さらに、一対の弾性部材であるスプリング21と、複数のスプリング固定ネジ22と、規制部を構成する規制用ネジ部材である一対の規制用雄ネジ23と、係止体である例えば4つのロックボール24と、を有している。
ロックボール24は、段付きパイプ40のロックボール孔41に配置される。
図7Aに示すようにロックボール24は、細径部24aと太径部24bとを有する段付き形状である。細径部24aは、テーパ面部17tに押し当てられる押し当て部であって先端部は半球形状である。
【0028】
図7A、Bに示すように太径部24bの外周面には、複数の突起部24cが周方向に予め定めた間隔で複数配列されている。突起部24cの断面形状は、例えば半円形状であって、軸方向に細長である。突起部24cの断面形状は、半円形状に限定されるものでは無く、溝を半円形に構成して突起部を設けるようにしてもよい。
太径部24bの基端面は、回転リング30の後述するカム面36が当接する当接面である。
【0029】
本実施形態において、ロックボール孔41は中心軸40aに対して直交する軸を有する貫通孔であって、
図7Cに示すように小径孔41aと大径孔41bとを有する段付き孔である。
【0030】
太径部24bは、摺動孔である大径孔41b内に配置されて突起部24cの頂部24dが大径孔41bの内周面に線接触する。太径部24bの突起部24cが線接触することによって、摺動抵抗が低減されてよりスムーズな摺動状態を得られる。
【0031】
符号24eは、細径部24aと太径部24bとの段差面であり、符号36は太径部24bの基端面に当接する回転リング30に設けられたカム面36である。ロックボール孔41内に配置されるロックボール24は、段差面24eと、カム面36とによって孔内から脱落することが防止される。
【0032】
図6、
図8に示すようにスコープマウント20の回転リング30は、中心軸30aを挟んで外周面側に一対の切欠面31を有している。切欠面31は、ユーザーの手指が配置される面であり、回転リング30を回転操作する際に保持される。
回転リング30の内周面側には一対のスプリング固定用ネジ穴32と、摺動平面33と、一対の軸方向溝34と、一対の規制突起部35と、カム面36等と、を有している。
【0033】
摺動平面33は、段付きパイプ40に設けられた後述する凸片42の一平面42aが摺動配置される凸片載置面である。軸方向溝34は、回転リング30の中心軸30aに沿って形成された溝であり、凸片42が通過可能な溝である。軸方向溝34は、摺動平面33の予め定めた位置に溝開口を有するように形成されている。規制突起部35は、中心軸方向に向かって突出しており、軸方向溝34の溝開口に隣接して予め定めた位置に設けられ、ている。規制突起部35は、回転リング30の段付きパイプ40に対する回転操作位置を規制する規制部である。カム面36は、ロックボール24の基端面に当接するカム面36であって肉厚を変化させて形成してある。
【0034】
図6に示すようにスコープマウント20の段付きパイプ40の太径部40bにはロックボール孔41が形成された凸部40cが設けられている。また、太径部40bには外周面から外方に突出する凸片42が設けられている。
【0035】
凸片42は、予め定めた厚み寸法であって、一平面42aを有している。一平面42aは、回転リング30が載置される回転リング載置面43に対して平行な平面である。一平面42aから回転リング載置面43までの距離は予め定めた寸法に設定されている。
具体的に、回転リング30の一面である基端側面37が回転リング載置面43に配置された状態において、軸方向溝34を通過した凸片42の一平面42aが基端側面の反対面である回転リング30の摺動平面33上に配置されて摺動自在になる。
【0036】
凸片42の側方の予め定めた位置には規制ネジ穴44が形成されている。規制ネジ穴44は、規制用雄ネジ23を螺合される雌ネジ穴である。規制ネジ穴44に螺合固定された規制用雄ネジ23は、規制突起部35に当接するとともに、当接した状態において軸方向溝34の摺動平面33に形成された溝開口の少なくとも一部を塞いで、凸片42が再び軸方向溝34を通過して回転リング30から脱落することを防止する。
なお、符号40dは小径凸部である。符号45はスプリング押さえである。
【0037】
スコープマウント20は、
図9A−
図9Gに示すように組み付けられて構成される。
作業者は、段付きパイプ40に設けられている各ロックボール孔41にロックボール24をそれぞれ所定の状態に配置する。
【0038】
次に、作業者は、ロックボール24がロックボール孔41内に配置された段付きパイプ40に回転リング30を被せる。この際、作業者は、回転リング30の軸方向溝34に対して段付きパイプ40の凸片42を対向させる。そして、作業者は、軸方向溝34内に凸片42を配置し、その後、
図9Aの矢印Y9Aに示すように回転リング30を段付きパイプ40に被せていく。
【0039】
すると、回転リング30の基端側面37が段付きパイプ40に設けられている回転リング載置面43上に配置される。このとき、
図9Bに示すように軸方向溝34の溝開口から凸片42が導出されて規制突起部35に隣接して配置される。
【0040】
ここで、作業者は、回転リング30を図中の矢印Y9Bに示すように段付きパイプ40に対して反時計回りに回転させていく。
すると、
図9C、9Dに示すように凸片42の一平面42aが摺動平面33上に配置され、該平面33上を移動していく。この結果、回転リング30は、段付きパイプ40の回転リング載置面43と、凸片42の一平面42aと、によって挟持された状態になる。
上述した凸片42の移動に伴って、軸方向溝34が現れると共に、規制突起部35に隠れていた規制ネジ穴44が現れる。
【0041】
次に、作業者は、
図9Eの矢印Y9Eに示すように規制用雄ネジ23を規制ネジ穴44に螺合固定する。
このことによって、
図9Fに示すように規制用雄ネジ23が規制突起部35に当接した状態において、凸片42の更なる軸方向溝34側への移動が規制されて、再び軸方向溝34の溝開口上に凸片42が配置されることが無くなる。
【0042】
すなわち、凸片42が軸方向溝34内を中心軸30a方向に再通過して回転リング30が段付きパイプ40から脱落する不具合が解消されて、該回転リング30が段付きパイプ40に対して回動自在に配置される。つまり、規制用雄ネジ23及び規制突起部35は、回転リング30の回転を規制する規制部と、凸片が軸方向溝34を介して脱落することを防止する規制部とを兼用している。
【0043】
この状態において、作業者は、
図9G、9Hに示すスプリング21をスプリング押さえ45の下側に潜り込ませて配置し、スプリング固定ネジ22をスプリング21の一方に設けられているフック孔21hを介して段付きパイプ40のスプリングネジ穴46に螺合し、スプリング21の一端部を段付きパイプ40に固定する。
また、スプリング固定ネジ22をスプリング21の他方に設けられているフック孔21hを介して回転リング30のスプリング固定用ネジ穴32に螺合し、スプリング21の他端部を回転リング30に固定する。
この結果、スコープマウント20が構成される。
【0044】
このように構成されたマウント20は、
図10Aに示すように回転リング30がスプリング21の張力によって移動されて、ロックボール孔41に配置されているロックボール24の基端面が回転リング30のカム面36によって押圧されてロックボール24の細径部24aが中心軸方向に予め定めた量、押し出された状態になる。この状態においてスコープマウント20は、アイピース17に保持固定される。
【0045】
これに対して、
図10Bに示すようにスプリング21の張力に抗して回転リング30を回転操作することによって、カム面36がロックボール24の太径部24bの基端面を押圧する押圧力が解除されていく。そして、規制用雄ネジ23が規制突起部35に当接することによって回転リング30の回転操作終点位置に到達する。
【0046】
このとき、ロックボール24は、ロックボール孔41に対して摺動自在な状態であり、実線に示すように細径部24aを露出させること無く後退することが可能になる。そして、この後退状態においてスコープマウント20は、アイピース17に取り付け可能である一方、アイピース17から取り外し可能である。
【0047】
このように、段付きパイプ40に凸片42を設け、回転リング30に軸方向溝34を設けると共に、凸片42の一平面42aが摺動自在に配置される摺動平面33を設ける。
このことによって、一平面42aを摺動平面33に配置した状態において、回転リング30が段付きパイプ40に対して回動自在に配置される。
【0048】
加えて、段付きパイプ40に規制ねじ穴44を設け、回転リング30に規制突起部35を設ける。そして、規制ねじ穴44に規制用雄ネジ23を螺合固定する。このことによって、規制用雄ネジ23が規制突起部35に当接した状態において、規制用雄ネジ23が軸方向溝34の溝開口を塞いで回転リング30が段付きパイプ40から脱落する不具合が確実に解消される。
【0049】
そして、回転リング30を段付きパイプ40から脱落する不具合を解消した状態において、スプリング21の固定を容易に行える。
これらの結果、回転リング30が段付きパイプ40から脱落することを防止する環状プレート1を不要にして部品点数の削減を実現できると共に、組付け作業性の向上を図ることができる。
【0050】
なお、上述した実施形態においては、規制用雄ネジ23が規制突起部35に当接した状態において、凸片42が軸方向溝34の摺動平面33に設けられた溝開口に到達することを防止しつつ、溝開口を33の少なくとも一部を塞いで回転リング30が段付きパイプ40から脱落することを防止している。
【0051】
しかし、凸片42が再び軸方向溝34の摺動平面33に設けられた溝開口に到達することを防止する構成は、上述した規制用雄ネジ23を規制突起部35に当接させる構成に限定されるものでは無く、以下に示す構成であってもよい。
【0052】
図11A−
図11Cを参照して規制部の他の構成を説明する。
図11A、
図11Bに示すように規制部は、規制用雄ネジ22Aと規制用溝47の終端部47eとで構成される。規制用雄ネジ22Aは、スプリング固定用ネジ穴32から予め定めた寸法突出するように長さが設定されている。そして、段付きパイプ40の予め定めた位置には、スプリング固定用ネジ穴32から突出した規制用雄ネジ22Aの先端部が配置される逃げ溝である規制用溝47が形成されている。
【0053】
図11Bに示すように規制用溝47の終端部47eは規制部であって、その形成位置は、上述したように規制用雄ネジ22Aの先端部が終端部47eに当接したとき、凸片42が軸方向溝34の摺動平面33に設けられた溝開口に到達することを防止する位置である。
【0054】
この構成によれば、規制用溝47に配置された規制用雄ネジ22Aの先端部が終端部47eに当接することによって凸片42が溝開口に到達することが規制されて、回転リング30が段付きパイプ40から脱落する不具合が確実に解消される。
その他の作用及び効果は上述した実施形態と同様である。
【0055】
上述した実施形態においては、回転リング30をスプリング21の張力に抗して回転操作した際に、回転操作終点位置を規制すると共に、凸片42が摺動平面33に設けられた軸方向溝34の溝開口に到達することを規制していた。
【0056】
しかし、回転リング30がスプリング21の張力によって移動されてロックボール24の細径部24aを中心軸方向に予め定めた量押し出した状態において、凸片42が軸方向溝34の摺動平面33に設けられた溝開口に到達することを規制する構成であってもよい。
【0057】
図12A及び
図12Bを参照して規制部の別の構成を説明する。
図12Aに示すよう規制部は、スプリング21である、スプリング21は、密着状態において、凸片42が軸方向溝34の摺動平面33に設けられた溝開口に到達することを規制する。
【0058】
なお、符号35Aは規制突起部であって、回転リング30が回転操作終点位置に到達したときに凸片42に当接する。
スプリング21の張力に抗して回転リング30を回転操作しているとき、規制突起部35Aが凸片42に当接して回転リング30が回転操作終点位置に到達する。このとき、上述したように、ロックボール24の基端面がカム面36によって押圧されてロックボール24の細径部24aが中心軸方向に予め定めた量、押し出された状態になる。
その他の作用及び効果は上述した実施形態と同様である。
【0059】
以上の各実施の形態に記載した発明は、その実施の形態、及び変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。
【0060】
本出願は、2014年12月26日に日本国に出願された特願2014−265541号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、および図面に引用されたものである。
【要約】
接眼部連結装置20は、アイピース17に押し当てられるロックボール24と、ロックボール24が摺動自在に配置されるロックボール孔41有する段付パイプ40と、段付パイプ40の太径部40bの外周面側に設けられたリング載置面43に回動自在に載置され、一方向に回転されて保持固定状態を得る一方、他方向に回転されて取り付け取り外し状態を得るカム面36を有する回転リング30と、を備え、段付パイプ40は、太径部40bの外周面から外方に突出しで、回転リング30をリング載置面43とで挟持する一平面42aを備えた凸片42を有し、回転リング30は、凸片42が通過可能な軸方向溝34、一平面42aが摺動自在に配置される摺動平面33、及び、凸片42が記軸方向溝34を介して脱落することを防止する規制部23、35、を有する。