特許第6013665号(P6013665)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6013665
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】診断支援装置及び診断支援情報表示方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20161011BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20161011BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20161011BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A61B1/00 300D
   A61B1/04 370
   G02B23/24 B
   H04N7/18 M
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-538152(P2016-538152)
(86)(22)【出願日】2015年10月14日
(86)【国際出願番号】JP2015078992
【審査請求日】2016年6月9日
(31)【優先権主張番号】特願2014-239157(P2014-239157)
(32)【優先日】2014年11月26日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】内山 博樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊明
(72)【発明者】
【氏名】竹内 佑一
【審査官】 増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−154846(JP,A)
【文献】 特開2011−194164(JP,A)
【文献】 特表平6−503979(JP,A)
【文献】 特開2005−40181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内の所望の被写体に励起光を照射した際に発生する蛍光を撮像して得た蛍光画像の中から、前記蛍光の発生状態の基準として扱う基準領域と、前記蛍光の発生状態の比較対象として扱う注目領域と、をそれぞれ抽出するための処理を行うように構成された領域抽出部と、
前記基準領域に含まれる各画素の輝度値の平均値または最大値を代表値として取得し、前記注目領域の輝度値を前記代表値で除して得られる比の値を演算値として前記注目領域の画素毎に算出するための演算処理を行うように構成された演算処理部と、
前記演算処理部により算出された前記演算値を格納するように構成された記憶部と、
前記記憶部に格納された前記演算値の経時変化を示す情報を表示装置に表示させるための処理を行うように構成された画像処理部と、
を有することを特徴とする診断支援装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記演算処理部により算出された前記演算値の大きさに応じた色情報を前記表示装置に表示させるための処理をさらに行う
ことを特徴とする請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項3】
被検体内の所望の被写体に励起光を照射した際に発生する蛍光を撮像して得た蛍光画像の中から、前記励起光に対して既知の蛍光特性を有する基準蛍光体が存在する基準領域と、前記蛍光の発生状態の比較対象として扱う注目領域と、をそれぞれ抽出するための処理を行うように構成された領域抽出部と、
前記基準領域に含まれる各画素の輝度値と、前記注目領域に含まれる各画素の輝度値と、に基づき、前記基準領域に対する前記注目領域の前記蛍光の強度比を示す演算値を算出するための演算処理を行うように構成された演算処理部と、
前記演算処理部により算出された前記演算値を格納するように構成された記憶部と、
前記記憶部に格納された前記演算値の経時変化を示す情報を表示装置に表示させるための処理を行うように構成された画像処理部と、
を有することを特徴とする診断支援装置。
【請求項4】
前記領域抽出部は、前記励起光に応じた前記蛍光を発生しない非蛍光性部材を用いて形成された枠部材が前記基準蛍光体の外縁部に設けられている場合において、前記蛍光画像に基づき、前記枠部材に囲まれた内部領域を前記基準蛍光体が存在する領域として特定するとともに、当該特定した領域を前記基準領域として抽出する処理を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の診断支援装置。
【請求項5】
領域抽出部が、被検体内の所望の被写体に励起光を照射した際に発生する蛍光を撮像して得た蛍光画像の中から、前記蛍光の発生状態の基準として扱う基準領域と、前記蛍光の発生状態の比較対象として扱う注目領域と、をそれぞれ抽出するための処理を行う領域抽出ステップと、
演算処理部が、前記基準領域に含まれる各画素の輝度値の平均値または最大値を代表値として取得し、前記注目領域の輝度値を前記代表値で除して得られる比の値を演算値として前記注目領域の画素毎に算出するための演算処理を行うとともに前記演算値を記憶部に格納させる演算処理ステップと、
画像処理部が、前記記憶部に格納された前記演算値の経時変化を示す情報を表示装置に表示させるための処理を行う画像処理ステップと、
を有することを特徴とする診断支援情報表示方法。
【請求項6】
前記画像処理ステップは、前記演算処理ステップにより算出された前記演算値の大きさに応じた色情報を前記表示装置に表示させるための処理をさらに行う
ことを特徴とする請求項5に記載の診断支援情報表示方法。
【請求項7】
領域抽出部が、被検体内の所望の被写体に励起光を照射した際に発生する蛍光を撮像して得た蛍光画像の中から、前記励起光に対して既知の蛍光特性を有する基準蛍光体が存在する基準領域と、前記蛍光の発生状態の比較対象として扱う注目領域と、をそれぞれ抽出するための処理を行う領域抽出ステップと、
演算処理部が、前記基準領域に含まれる各画素の輝度値と、前記注目領域に含まれる各画素の輝度値と、に基づき、前記基準領域に対する前記注目領域の前記蛍光の強度比を示す演算値を算出するための演算処理を行うとともに前記演算値を記憶部に格納させる演算処理ステップと、
画像処理部が、前記記憶部に格納された前記演算値の経時変化を示す情報を表示装置に表示させるための処理を行う画像処理ステップと、
を有することを特徴とする診断支援情報表示方法。
【請求項8】
前記領域抽出ステップは、前記励起光に応じた前記蛍光を発生しない非蛍光性部材を用いて形成された枠部材が前記基準蛍光体の外縁部に設けられている場合において、前記蛍光画像に基づき、前記枠部材に囲まれた内部領域を前記基準蛍光体が存在する領域として特定するとともに、当該特定した領域を前記基準領域として抽出する処理を行う
ことを特徴とする請求項7に記載の診断支援情報表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断支援装置及び診断支援情報表示方法に関し、特に、蛍光観察に用いられる診断支援装置及び診断支援情報表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野の内視鏡観察においては、例えば、生体内に投与された蛍光薬剤を励起するための励起光を所望の被写体に照射した際の蛍光の発生状態に基づき、当該所望の被写体に病変部位が含まれているか否か等を診断するような観察手法である、蛍光観察が従来行われている。そして、例えば、日本国特開2008−154846号公報には、蛍光観察に利用可能な蛍光内視鏡が開示されている。
【0003】
ここで、内視鏡観察においては、一般的に、被写体と内視鏡との間の距離を一定に保ちながら当該被写体の観察を行うことが困難であるとされている。そのため、内視鏡を用いた蛍光観察において、被写体から発せられる蛍光を撮像して得られる画像には、当該被写体と当該内視鏡との間の距離の変化に応じた蛍光強度の変化が潜在的に含まれ得る。従って、内視鏡を用いた蛍光観察においては、被写体からの蛍光の発生状態の経時変化を、当該被写体と当該内視鏡との間の距離の変化に応じた蛍光強度の変化による影響を排除しつつ、適切に評価することが困難である、という問題点が生じている。
【0004】
一方、日本国特開2008−154846号には、前述の問題点を解消可能な手法等について特に言及されていない。そのため、日本国特開2008−154846号に開示された構成によれば、被写体からの蛍光の発生状態の経時変化を適切に評価することが困難であることに起因し、内視鏡を用いた蛍光観察により当該被写体の診断を行う術者に過度な負担を強いてしまう場合がある、という前述の問題点に応じた課題が生じている。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、内視鏡を用いた蛍光観察により診断を行う術者の負担を軽減することが可能な診断支援装置及び診断支援情報表示方法を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の診断支援装置は、被検体内の所望の被写体に励起光を照射した際に発生する蛍光を撮像して得た蛍光画像の中から、前記蛍光の発生状態の基準として扱う基準領域と、前記蛍光の発生状態の比較対象として扱う注目領域と、をそれぞれ抽出するための処理を行うように構成された領域抽出部と、前記基準領域に含まれる各画素の輝度値の平均値または最大値を代表値として取得し、前記注目領域の輝度値を前記代表値で除して得られる比の値を演算値として前記注目領域の画素毎に算出するための演算処理を行うように構成された演算処理部と、前記演算処理部により算出された前記演算値を格納するように構成された記憶部と、前記記憶部に格納された前記演算値の経時変化を示す情報を表示装置に表示させるための処理を行うように構成された画像処理部と、を有する。
本発明の一態様の診断支援装置は、被検体内の所望の被写体に励起光を照射した際に発生する蛍光を撮像して得た蛍光画像の中から、前記励起光に対して既知の蛍光特性を有する基準蛍光体が存在する基準領域と、前記蛍光の発生状態の比較対象として扱う注目領域と、をそれぞれ抽出するための処理を行うように構成された領域抽出部と、前記基準領域に含まれる各画素の輝度値と、前記注目領域に含まれる各画素の輝度値と、に基づき、前記基準領域に対する前記注目領域の前記蛍光の強度比を示す演算値を算出するための演算処理を行うように構成された演算処理部と、前記演算処理部により算出された前記演算値を格納するように構成された記憶部と、前記記憶部に格納された前記演算値の経時変化を示す情報を表示装置に表示させるための処理を行うように構成された画像処理部と、を有する。
【0007】
本発明の一態様の診断支援情報表示方法は、領域抽出部が、被検体内の所望の被写体に励起光を照射した際に発生する蛍光を撮像して得た蛍光画像の中から、前記蛍光の発生状態の基準として扱う基準領域と、前記蛍光の発生状態の比較対象として扱う注目領域と、をそれぞれ抽出するための処理を行う領域抽出ステップと、演算処理部が、前記基準領域に含まれる各画素の輝度値の平均値または最大値を代表値として取得し、前記注目領域の輝度値を前記代表値で除して得られる比の値を演算値として前記注目領域の画素毎に算出するための演算処理を行うとともに前記演算値を記憶部に格納させる演算処理ステップと、画像処理部が、前記記憶部に格納された前記演算値の経時変化を示す情報を表示装置に表示させるための処理を行う画像処理ステップと、を有する。
本発明の一態様の診断支援情報表示方法は、領域抽出部が、被検体内の所望の被写体に励起光を照射した際に発生する蛍光を撮像して得た蛍光画像の中から、前記励起光に対して既知の蛍光特性を有する基準蛍光体が存在する基準領域と、前記蛍光の発生状態の比較対象として扱う注目領域と、をそれぞれ抽出するための処理を行う領域抽出ステップと、演算処理部が、前記基準領域に含まれる各画素の輝度値と、前記注目領域に含まれる各画素の輝度値と、に基づき、前記基準領域に対する前記注目領域の前記蛍光の強度比を示す演算値を算出するための演算処理を行うとともに前記演算値を記憶部に格納させる演算処理ステップと、画像処理部が、前記記憶部に格納された前記演算値の経時変化を示す情報を表示装置に表示させるための処理を行う画像処理ステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る診断支援装置を含む内視鏡システムの要部の構成を示す図。
図2図1の内視鏡システムの内部構成の一例を説明するための図。
図3】実施例に係る診断支援装置の処理に用いられる蛍光画像の一例を示す図。
図4図3の蛍光画像から基準領域Ar、注目領域Ai1及び注目領域Ai2が抽出された場合の例を示す図。
図5】実施例に係る診断支援装置により生成される診断支援画像の一例を示す図。
図6】実施例に係る診断支援装置により生成される診断支援情報の一例を示す図。
図7】実施例に係る診断支援装置と併用される蛍光部材の構成の一例を示す図。
図8図7の蛍光部材を配置した状態で撮像された蛍光画像の一例を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0010】
図1から図8は、本発明の実施例に係るものである。
【0011】
内視鏡システム1は、図1に示すように、被検体内に挿入されるとともに、当該被検体内における生体組織等の被写体を撮像して撮像信号として出力するように構成された内視鏡2と、当該被写体を照明するための照明光を内視鏡2に供給するように構成された光源装置3と、内視鏡2から出力される撮像信号に対して信号処理を施すことにより観察画像等を生成して出力するように構成されたビデオプロセッサ4と、ビデオプロセッサ4から出力される観察画像等を画面上に表示するように構成されたモニタ5と、を有している。図1は、実施例に係る診断支援装置を含む内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0012】
内視鏡2は、細長の挿入部6を備えた光学視管2Aと、光学視管2Aの接眼部7に対して着脱可能なカメラユニット2Bと、を有して構成されている。
【0013】
光学視管2Aは、被検体内に挿入される細長の挿入部6と、挿入部6の基端部に設けられた把持部8と、把持部8の基端部に設けられた接眼部7と、を有して構成されている。
【0014】
挿入部6の内部には、図2に示すように、ケーブル13aを介して供給される照明光を伝送するためのライトガイド11が挿通されている。図2は、図1の内視鏡システムの内部構成の一例を説明するための図である。
【0015】
ライトガイド11の出射端部は、図2に示すように、挿入部6の先端部における照明レンズ15の近傍に配置されている。また、ライトガイド11の入射端部は、把持部8に設けられたライトガイド口金12に配置されている。
【0016】
ケーブル13aの内部には、図2に示すように、光源装置3から供給される照明光を伝送するためのライトガイド13が挿通されている。また、ケーブル13aの一方の端部には、ライトガイド口金12に対して着脱可能な接続部材(不図示)が設けられている。また、ケーブル13aの他方の端部には、光源装置3に対して着脱可能なライトガイドコネクタ14が設けられている。
【0017】
挿入部6の先端面には、ライトガイド11により伝送された照明光を外部へ出射するための照明レンズ15が配置された照明窓(不図示)と、外部から入射される光に応じた光学像を得るための対物レンズ17が配置された対物窓(不図示)と、が相互に隣接して設けられている。
【0018】
挿入部6の内部には、図2に示すように、対物レンズ17により得られた光学像を接眼部7へ伝送するためのリレーレンズ18が設けられている。
【0019】
接眼部7の内部には、図2に示すように、リレーレンズ18により伝送された光学像を肉眼で観察可能とするための接眼レンズ19が設けられている。
【0020】
カメラユニット2Bは、蛍光観察モード時に接眼レンズ19を経て入射される戻り光としての蛍光を撮像して蛍光画像を生成する蛍光撮像系と、白色光観察モード時に接眼レンズ19を経て入射される戻り光としての白色光の反射光を撮像して白色光画像を生成する白色光撮像系と、を具備している。そして、蛍光撮像系及び白色光撮像系は、白色光を反射しかつ蛍光を透過させるような分光特性を有するダイクロイックプリズム21により、互いに直交する2つの光軸に分けられている。また、カメラユニット2Bは、ビデオプロセッサ4に対して着脱可能な信号コネクタ29を端部に設けた信号ケーブル28を有して構成されている。
【0021】
カメラユニット2Bの蛍光撮像系は、光源装置3から発せられる励起光の波長帯域EWをカットするような分光特性を備えた励起光カットフィルタ22と、ダイクロイックプリズム21および励起光カットフィルタ22を透過した蛍光を結像する結像光学系23と、結像光学系23により結像された蛍光を撮像する撮像素子24と、を備えている。
【0022】
撮像素子24は、例えば、高感度なモノクロCCDにより構成されている。また、撮像素子24は、ビデオプロセッサ4から出力される撮像素子駆動信号に応じた撮像動作を行うように構成されている。また、撮像素子24は、結像光学系23により結像された蛍光を撮像し、当該撮像した蛍光に応じた蛍光画像を生成して出力するように構成されている。
【0023】
カメラユニット2Bの白色光撮像系は、ダイクロイックプリズム21により反射された白色光を結像する結像光学系25と、結像光学系25により結像された白色光を撮像する撮像素子26と、を備えている。
【0024】
撮像素子26は、例えば、原色系または補色系のカラーフィルタを撮像面に設けたカラーCCDにより構成されている。また、撮像素子26は、ビデオプロセッサ4から出力される撮像素子駆動信号に応じた撮像動作を行うように構成されている。また、撮像素子26は、結像光学系25により結像された白色光を撮像し、当該撮像した白色光に応じた白色光画像を生成して出力するように構成されている。
【0025】
一方、カメラユニット2Bは、撮像素子24から出力される蛍光画像及び撮像素子26から出力される白色光画像に対して所定の信号処理(相関二重サンプリング処理、ゲイン調整処理、及び、A/D変換処理等)を施すとともに、当該所定の信号処理を施した蛍光画像及び白色光画像を、信号ケーブル28が接続されたビデオプロセッサ4へ出力するように構成された信号処理回路27を具備している。
【0026】
光源装置3は、白色光発生部31と、励起光発生部32と、ダイクロイックミラー33及び34と、集光レンズ35と、光源制御部36と、を有して構成されている。
【0027】
白色光発生部31は、例えば、広帯域な白色光を発するランプまたはLED等を具備して構成されている。また、白色光発生部31は、光源制御部36の制御に応じて点灯状態または消灯状態に切り替わるように構成されている。また、白色光発生部31は、光源制御部36の制御に応じた光量を具備する白色光を発生するように構成されている。
【0028】
励起光発生部32は、例えば、被検体内に投与される蛍光薬剤の励起波長を含む所定の波長帯域の光(励起光)を発するLED等を具備して構成されている。また、励起光発生部32は、光源制御部36の制御に応じて点灯状態または消灯状態に切り替わるように構成されている。また、励起光発生部32は、光源制御部36の制御に応じた光量を具備する励起光を発生するように構成されている。
【0029】
ダイクロイックミラー33は、例えば、白色光発生部31から発せられる白色光を集光レンズ35側へ透過させるとともに、励起光発生部32から発せられる励起光を集光レンズ35側へ反射するような光学特性を具備して形成されている。
【0030】
ダイクロイックミラー34は、例えば、励起光発生部32から発せられる励起光をダイクロイックミラー33側へ反射するような光学特性を具備して形成されている。
【0031】
集光レンズ35は、ダイクロイックミラー33を経て入射される光を集光してライトガイド13へ出射するように構成されている。
【0032】
光源制御部36は、ビデオプロセッサ4から出力される照明制御信号に応じて白色光発生部31及び励起光発生部32に対する制御を行うように構成されている。
【0033】
ビデオプロセッサ4は、撮像素子駆動部41と、画像入力部42と、領域識別処理部43と、演算処理部44と、記憶部45と、画像処理部46と、入力I/F(インターフェース)52と、制御部53と、を有して構成されている。
【0034】
撮像素子駆動部41は、例えば、ドライバ回路等を具備して構成されている。また、撮像素子駆動部41は、制御部53の制御に応じた撮像素子駆動信号を生成して出力するように構成されている。
【0035】
画像入力部42は、例えば、バッファメモリ等を具備し、カメラユニット2Bの信号処理回路27から順次出力される画像を1フレーム分蓄積するとともに、当該蓄積した画像を1フレーム分ずつ制御部53へ出力するように構成されている。また、画像入力部42は、制御部53の制御に応じ、白色光観察モード時に蓄積した白色光画像を1フレーム分ずつ画像処理部46へ出力するように構成されている。また、画像入力部42は、制御部53の制御に応じ、蛍光観察モード時に蓄積した蛍光画像を1フレーム分ずつ領域識別処理部43及び画像処理部46へ出力するように構成されている。
【0036】
領域識別処理部43は、制御部53の制御に応じ、例えば、画像入力部42から1フレーム分ずつ順次出力される蛍光画像に対してラベリング処理を施すことにより、当該蛍光画像に含まれる基準領域Ar(後述)及び注目領域Ai(後述)をそれぞれ識別可能な状態にするとともに、当該ラベリング処理を施した蛍光画像を演算処理部44へ出力するように構成されている。
【0037】
演算処理部44は、例えば、演算処理回路を具備して構成されている。また、演算処理部44は、制御部53の制御に応じ、領域識別処理部43から1フレーム分ずつ順次出力される蛍光画像の基準領域Arに含まれる各画素の輝度値と、当該蛍光画像の注目領域Aiに含まれる各画素の輝度値と、に基づき、基準領域Arに対する注目領域Aiの蛍光の強度比を示す演算値を算出するための演算処理を行うように構成されている。また、演算処理部44は、制御部53の制御に応じ、前述の演算処理の処理結果として得られた演算値を記憶部45及び/または画像処理部46へ出力するように構成されている。
【0038】
記憶部45は、例えば、メモリ等を具備し、演算処理部44から出力される演算値にタイムスタンプを付与して格納するように構成されている。
【0039】
画像処理部46は、例えば、所定の画像処理を行うための画像処理回路等を具備して構成されている。また、画像処理部46は、制御部53の制御に応じ、白色光観察モード時に画像入力部42から1フレーム分ずつ順次出力される白色光画像に対して所定の画像処理を施すことにより白色光観察画像を生成し、当該生成した白色光観察画像をモニタ5へ出力するように構成されている。また、画像処理部46は、制御部53の制御に応じ、蛍光観察モード時に画像入力部42から1フレーム分ずつ順次出力される蛍光画像に対して所定の画像処理を施すことにより蛍光観察画像を生成し、当該生成した蛍光観察画像をモニタ5へ出力するように構成されている。
【0040】
一方、画像処理部46は、制御部53の制御に応じ、蛍光観察モード時において、領域識別処理部43から出力される蛍光画像と、演算処理部44から出力される演算値と、記憶部45から読み込んだ演算値と、に基づいて診断支援情報(後述)をモニタ5に表示させるための処理を行うように構成されている。
【0041】
入力I/F52は、ユーザの操作に応じた指示を行うことが可能な1以上の入力装置を具備して構成されている。具体的には、入力I/F52は、例えば、ユーザの操作に応じ、内視鏡システム1の観察モードを白色光観察モードまたは蛍光観察モードのいずれかに設定する(切り替える)ための指示を行うことが可能な観察モード切替スイッチ(不図示)を具備して構成されている。また、入力I/F52は、例えば、ユーザの操作に応じ、蛍光観察モード時における診断支援情報の表示をオンまたはオフのいずれかに設定する(切り替える)ことが可能な診断支援情報表示スイッチ(不図示)を具備して構成されている。また、入力I/F52は、例えば、ユーザの操作に応じ、蛍光観察モード時にモニタ5に表示される蛍光観察画像内において基準領域Ar及び注目領域Aiをそれぞれ設定するための指示を行うことが可能なポインティングデバイス(不図示)を具備して構成されている。
【0042】
制御部53は、例えば、CPU等を具備し、入力I/F52の観察モード切替スイッチにおいてなされた指示に基づき、内視鏡システム1の観察モードに応じた照明光を出射させるための照明制御信号を生成して光源制御部36へ出力するように構成されている。また、制御部53は、入力I/F52の観察モード切替スイッチにおいてなされた指示に基づき、内視鏡システム1の観察モードに応じた動作を行わせるための制御を撮像素子駆動部41、画像入力部42及び画像処理部46の各部に対して行うように構成されている。
【0043】
一方、制御部53は、内視鏡システム1の観察モードが蛍光観察モードに設定され、かつ、診断支援情報の表示がオンに設定されている際に、入力I/F52のポインティングデバイスにおいてなされた指示に基づき、画像入力部42から出力される蛍光画像の中から基準領域Ar及び注目領域Aiをそれぞれ抽出するとともに、当該抽出した基準領域Arに対する注目領域Aiの蛍光の発生状態を可視化した情報である診断支援情報をモニタ5に表示させるための制御を領域識別処理部43、演算処理部44及び画像処理部46に対して行うように構成されている。
【0044】
次に、本実施例の内視鏡システム1の動作等について説明する。
【0045】
まず、術者等のユーザは、内視鏡システム1の各部を接続して電源を投入した後、入力I/F52を操作することにより、内視鏡システム1の観察モードを白色光観察モードに設定するための指示を行う。
【0046】
制御部53は、白色光観察モードに設定されたことを検出すると、光源装置3から白色光を出射させるための照明制御信号を生成して光源制御部36へ出力する。また、制御部53は、白色光観察モードに設定されたことを検出すると、カメラユニット2Bの撮像素子26を駆動させるとともに、カメラユニット2Bの撮像素子24を駆動停止させるような制御を撮像素子駆動部41に対して行う。
【0047】
光源制御部36は、制御部53から出力される照明制御信号に応じ、白色光発生部31を点灯状態にするための制御を行うとともに、励起光発生部32を消灯状態にするための制御を行う。
【0048】
撮像素子駆動部41は、制御部53の制御に応じ、撮像動作を停止させるための撮像素子駆動信号を生成して撮像素子24へ出力するとともに、所定の露光期間EA及び所定の読出期間RAで撮像動作を行わせるための撮像素子駆動信号を生成して撮像素子26へ出力する。
【0049】
そして、以上に述べたような動作が光源制御部36及び撮像素子駆動部41において行われることにより、白色光が照明光として被写体に照射され、当該白色光の反射光が撮像素子26により撮像されるとともに、当該白色光の反射光を撮像して得られた白色光画像が信号処理回路27を経て画像入力部42へ出力される。
【0050】
制御部53は、白色光観察モードに設定されたことを検出すると、カメラユニット2Bから順次出力される白色光画像を1フレーム分ずつ画像処理部46へ出力させるための制御を画像入力部42に対して行う。また、制御部53は、白色光観察モードに設定されたことを検出すると、画像入力部42から1フレーム分ずつ順次出力される白色光画像に対して所定の画像処理を施させるための制御を画像処理部46に対して行う。
【0051】
そして、以上に述べたような制御が制御部53において行われることにより、白色光観察画像がモニタ5に表示される。
【0052】
一方、ユーザは、モニタ5に表示される白色光観察画像を確認しながら、挿入部6を被検体の内部に挿入してゆくことにより、挿入部6の先端部を所望の被写体の近傍に配置する。そして、ユーザは、挿入部6の先端部を所望の被写体の近傍に配置した後、入力I/F52を操作することにより、内視鏡システム1の観察モードを蛍光観察モードに設定するための指示を行う。
【0053】
ここで、内視鏡システム1の観察モードが蛍光観察モードに設定された際に行われる具体的な動作等について説明する。なお、以降においては、診断支援情報の表示の設定がオフからオンへ切り替えられる場合を例に挙げて説明する。また、以降においては、内視鏡システム1の観察モードが蛍光観察モードに設定される前に、励起光発生部32から発せられる励起光に応じた蛍光を発する蛍光薬剤が被検体内に予め投与されているものとして説明を行う。
【0054】
制御部53は、蛍光観察モードに設定されたことを検出すると、光源装置3から励起光を出射させるための照明制御信号を生成して光源制御部36へ出力する。また、制御部53は、蛍光観察モードに設定されたことを検出すると、カメラユニット2Bの撮像素子24を駆動させるとともに、カメラユニット2Bの撮像素子26を駆動停止させるような制御を撮像素子駆動部41に対して行う。
【0055】
光源制御部36は、制御部53から出力される照明制御信号に応じ、白色光発生部31を消灯状態にするための制御を行うとともに、励起光発生部32を点灯状態にするための制御を行う。
【0056】
撮像素子駆動部41は、制御部53の制御に応じ、撮像動作を停止させるための撮像素子駆動信号を生成して撮像素子26へ出力するとともに、所定の露光期間EB及び所定の読出期間RBで撮像動作を行わせるための撮像素子駆動信号を生成して撮像素子24へ出力する。
【0057】
そして、以上に述べたような動作が光源制御部36及び撮像素子駆動部41において行われることにより、励起光が照明光として所望の被写体に照射され、当該励起光により励起された蛍光薬剤から発せられた蛍光が撮像素子24により撮像され、当該蛍光を撮像して得られた蛍光画像が信号処理回路27を経て画像入力部42へ出力される。
【0058】
制御部53は、蛍光観察モードに設定され、かつ、診断支援情報の表示がオフに設定されたことを検出すると、カメラユニット2Bから順次出力される蛍光画像を1フレーム分ずつ画像処理部46へ出力させるための制御を画像入力部42に対して行う。また、制御部53は、蛍光観察モードに設定され、かつ、診断支援情報の表示がオフに設定されたことを検出すると、画像入力部42から1フレーム分ずつ順次出力される蛍光画像に対して所定の画像処理を施させるための制御を画像処理部46に対して行う。
【0059】
そして、以上に述べたような制御が制御部53において行われることにより、蛍光観察画像がモニタ5に表示される。
【0060】
一方、ユーザは、モニタ5に表示される蛍光観察画像を確認しながら、入力I/F52を操作することにより、診断支援情報の表示の設定をオフからオンへ切り替えるための指示を行う。
【0061】
制御部53は、診断支援情報の表示がオンに設定されたことを検出すると、蛍光観察画像内における基準領域Ar及び注目領域Aiの設定を促す文字列等を蛍光観察画像に併せて表示させるための制御を画像処理部46に対して行う。
【0062】
ユーザは、蛍光観察画像に併せてモニタ5に表示される文字列を確認しながら、入力I/F52を操作することにより、当該蛍光観察画像に含まれる蛍光発生領域の中から、蛍光の発生状態の基準として扱う1つの基準領域Arと、蛍光の発生状態の比較対象として扱う1つ以上の注目領域Aiと、をそれぞれ設定するための指示を行う。なお、本実施例の基準領域Ar及び注目領域Aiは、1画素以上の画素数を具備する画素領域としてそれぞれ設定されるものとする。
【0063】
領域抽出部としての機能を具備する制御部53は、入力I/F52においてなされた指示に基づき、画像入力部42から出力される蛍光画像の中から、基準領域Ar及び注目領域Aiをそれぞれ抽出するための処理を行う。
【0064】
ここで、以降においては、例えば、図3の斜線で示すような蛍光発生領域を具備する蛍光画像の中から、図4の一点鎖線で示すような1つの基準領域Arと、図4の破線で示すような2つの注目領域Ai1及びAi2と、がそれぞれ抽出された場合の具体的な処理等について説明する。図3は、実施例に係る診断支援装置の処理に用いられる蛍光画像の一例を示す図である。図4は、図3の蛍光画像から基準領域Ar、注目領域Ai1及び注目領域Ai2が抽出された場合の例を示す図である。
【0065】
制御部53は、画像入力部42から出力される蛍光画像の中から基準領域Ar、注目領域Ai1及び注目領域Ai2を抽出した後、基準領域Arに対する注目領域Ai1の現在の蛍光の強度比を示す情報と、基準領域Arに対する注目領域Ai2の現在の蛍光の強度比を示す情報と、を診断支援情報としてモニタ5に表示させるための制御を領域識別処理部43、演算処理部44及び画像処理部46に対して行う。
【0066】
領域識別処理部43は、制御部53の制御に応じ、画像入力部42から1フレーム分ずつ順次出力される蛍光画像に対してラベリング処理を施すことにより、当該蛍光画像に含まれる基準領域Ar、注目領域Ai1及びAi2をそれぞれ識別可能な状態にするとともに、当該ラベリング処理を施した蛍光画像を演算処理部44へ出力する。
【0067】
演算処理部44は、制御部53の制御に応じ、領域識別処理部43から1フレーム分ずつ順次出力される蛍光画像に含まれる基準領域Arの各画素の輝度値の平均値または最大値を代表値RVとして取得し、当該蛍光画像に含まれる注目領域Ai1の輝度値を当該代表値RVで除して得られる比の値である演算値AV1を注目領域Ai1の画素毎に算出し、当該蛍光画像に含まれる注目領域Ai2の輝度値を当該代表値RVで除して得られる比の値である演算値AV2を注目領域Ai2の画素毎に算出するための演算処理を行う。そして、演算処理部44は、制御部53の制御に応じ、前述の演算処理の処理結果として得られた各画素の演算値AV1及びAV2を記憶部45及び画像処理部46へそれぞれ出力する。
【0068】
画像処理部46は、制御部53の制御に応じ、演算処理部44から出力される演算値AV1及びAV2の大きさに基づいて予め決められた複数の色情報の中から、領域識別処理部43から1フレーム分ずつ順次出力される蛍光画像に含まれる注目領域Ai1及びAi2の各画素に対応する色情報を取得するための処理を行うとともに、当該取得した色情報を用いて当該蛍光画像の注目領域Ai1及びAi2を着色した診断支援画像をモニタ5へ出力するための処理を行う。
【0069】
そして、前述のような画像処理部46の処理によれば、例えば、図4の注目領域Ai1の各画素において算出された演算値AV1が相互に同一の値であり、図4の注目領域Ai2の各画素において算出された演算値AV2が相互に同一の値であり、かつ、演算値AV1及び当該演算値AV2が相互に異なる値である場合に、図5に示すような診断支援画像をモニタ5に表示させることができる。図5は、実施例に係る診断支援装置により生成される診断支援画像の一例を示す図である。
【0070】
図5の診断支援画像によれば、例えば、基準領域Arに対する注目領域Ai1の現在の蛍光の強度比を示す情報が色C1でモニタ5に表示されるとともに、基準領域Arに対する注目領域Ai2の現在の蛍光の強度比を示す情報が色C2でモニタ5に表示される。すなわち、図5の診断支援画像には、診断支援情報として、基準領域Arに対する注目領域Ai1の現在の蛍光の強度比を可視化した色情報である色C1と、基準領域Arに対する注目領域Ai2の現在の蛍光の強度比を可視化した色情報である色C2と、が含まれている。
【0071】
なお、本実施例によれば、以上に述べたような処理が行われるものに限らず、例えば、以降に述べるような、蛍光の強度比の経時変化を示す情報を診断支援情報として表示するための処理が行われるものであってもよい。なお、以降においては、簡単のため、既述の動作等を適用可能な部分に関する具体的な説明を適宜省略するものとする。
【0072】
制御部53は、画像入力部42から出力される蛍光画像の中から基準領域Ar、注目領域Ai1及び注目領域Ai2を抽出した後、基準領域Arに対する注目領域Ai1の蛍光の強度比の経時変化と、基準領域Arに対する注目領域Ai2の蛍光の強度比の経時変化と、を診断支援情報としてモニタ5に表示させるための制御を領域識別処理部43、演算処理部44及び画像処理部46に対して行う。
【0073】
領域識別処理部43は、制御部53の制御に応じ、画像入力部42から1フレーム分ずつ順次出力される蛍光画像に対してラベリング処理を施すことにより、当該蛍光画像に含まれる基準領域Ar、注目領域Ai1及びAi2をそれぞれ識別可能な状態にするとともに、当該ラベリング処理を施した蛍光画像を演算処理部44へ出力する。
【0074】
演算処理部44は、制御部53の制御に応じ、領域識別処理部43から1フレーム分ずつ順次出力される蛍光画像に含まれる基準領域Arの各画素の輝度値の平均値または最大値を代表値RVとして取得し、当該蛍光画像に含まれる注目領域Ai1の各画素の輝度値の平均値または最大値を代表値RV1として取得し、当該蛍光画像に含まれる注目領域Ai2の各画素の輝度値の平均値または最大値を代表値RV2として取得し、さらに、当該代表値RV1を当該代表値RVで除して得られる比の値(=RV1/RV)である演算値AV3と、当該代表値RV2を当該代表値RVで除して得られる比の値(=RV2/RV)である演算値AV4と、を算出するための演算処理を行う。そして、演算処理部44は、制御部53の制御に応じ、前述の演算処理の処理結果として得られた演算値AV3及びAV4を記憶部45へ同時に出力する。
【0075】
記憶部45は、演算処理部44から同時に入力される演算値AV3及びAV4に対し、同じ時刻を示すタイムスタンプを付与して格納するための処理を行う。
【0076】
すなわち、以上に述べたような処理によれば、例えば、演算処理部44の処理結果として得られた演算値AV3及びAV4が、基準領域Ar、注目領域Ai1及び注目領域Ai2が設定された直後の時刻に相当する時刻Tfを起点として1フレーム分ずつ記憶部45に格納される。
【0077】
画像処理部46は、制御部53の制御に応じ、記憶部45に時系列に格納された演算値AV3を読み込むとともに、当該読み込んだ演算値AV3を時系列に並べてプロットしたグラフを診断支援情報としてモニタ5へ出力するための処理を行う。また、画像処理部46は、制御部53の制御に応じ、記憶部45に時系列に格納された演算値AV4を読み込むとともに、当該読み込んだ演算値AV4を時系列に並べてプロットしたグラフを診断支援情報としてモニタ5へ出力するための処理を行う。
【0078】
そして、前述のような画像処理部46の処理によれば、例えば、図6に示すような診断支援情報をモニタ5に表示させることができる。図6は、実施例に係る診断支援装置により生成される診断支援情報の一例を示す図である。
【0079】
図6の診断支援情報によれば、時刻Tfを起点とした演算値AV3の経時変化が複数の黒塗りの点としてモニタ5に表示されるとともに、時刻Tfを起点とした演算値AV4の経時変化が複数の白抜きの点としてモニタ5に表示される。
【0080】
なお、本実施例によれば、演算値AV3及びAV4の経時変化が診断支援情報として表示されるものに限らず、例えば、演算値AV3及びAV4の経時変化率が診断支援情報として表示されるようにしてもよい。
【0081】
また、本実施例によれば、以上に述べたような処理が行われるものに限らず、例えば、以降に述べるような、注目領域内の所望の画素位置における蛍光の強度比の値を診断支援情報として表示するための処理が行われるものであってもよい。
【0082】
制御部53は、画像入力部42から出力される蛍光画像の中から基準領域Ar、注目領域Ai1及び注目領域Ai2を抽出した後、当該抽出した注目領域Ai1または注目領域Ai2のいずれかにおける1つの画素位置の選択を促す文字列等を蛍光観察画像に併せて表示させるための制御を画像処理部46に対して行う。
【0083】
ユーザは、蛍光観察画像に併せてモニタ5に表示される文字列を確認しながら、入力I/F52を操作することにより、基準領域Ar、注目領域Ai1及び注目領域Ai2の中から1つの注目画素PTを選択するための指示を行う。
【0084】
制御部53は、入力I/F52においてなされた指示に基づき、画像入力部42から出力される蛍光画像の中から注目画素PTを特定するとともに、基準領域Arに対する注目画素PTの現在の蛍光の強度比の値をモニタ5に表示させるための制御を領域識別処理部43、演算処理部44及び画像処理部46に対して行う。
【0085】
領域識別処理部43は、制御部53の制御に応じ、画像入力部42から1フレーム分ずつ順次出力される蛍光画像に対してラベリング処理を施すことにより、当該蛍光画像に含まれる基準領域Ar、注目領域Ai1及びAi2をそれぞれ識別可能な状態にするとともに、当該ラベリング処理を施した蛍光画像を演算処理部44へ出力する。
【0086】
演算処理部44は、制御部53の制御に応じ、領域識別処理部43から1フレーム分ずつ順次出力される蛍光画像に含まれる基準領域Arの各画素の輝度値の平均値または最大値を代表値RVとして取得し、さらに、注目画素PTの輝度値PTBを当該代表値RVで除して得られる比の値(=PTB/RV)である演算値AV5を算出するための演算処理を行う。
【0087】
画像処理部46は、制御部53の制御に応じ、演算処理部44から出力される演算値AV5を診断支援情報としてモニタ5へ出力するための処理を行う。
【0088】
すなわち、以上に述べたような画像処理部46の処理によれば、注目領域Ai1及びAi2の中から選択された注目画素PTにおける現在の演算値AV5が診断支援情報としてモニタ5に表示される。
【0089】
また、本実施例によれば、以上に述べたような処理が行われるものに限らず、例えば、演算値AV3及び/または演算値AV4が経時的に変化して所定値TH1に達した旨を報知するための所定の文字列等をモニタ5に表示させるための処理が行われるものであってもよい。
【0090】
また、本実施例によれば、以上に述べたような処理が行われるものに限らず、例えば、注目領域Ai1及びAi2に含まれる各画素のうち、演算値AV1が経時的に変化して所定値TH2に達した画素群と、演算値AV2が経時的に変化して所定値TH2に達した画素群と、をそれぞれモニタ5に点滅表示させるための処理が行われるものであってもよい。
【0091】
また、本実施例によれば、以上に述べたような処理が行われるものに限らず、例えば、演算値AV3及び/または演算値AV4が経時的に変化して時刻Tgに所定値TH3に達した場合において、時刻TfからTgまでに要した時間をモニタ5に表示させるための処理が行われるものであってもよい。
【0092】
一方、本実施例によれば、例えば、蛍光観察モード時に、ユーザが、入力I/F52を操作することにより、光源装置3から出射される励起光に対して既知の蛍光特性を有する基準蛍光体を配置した領域を基準領域Arとして設定するための指示を行うものであってもよい。なお、このような方法で基準領域Arを設定する場合においては、例えば、日本国特開2005−300540号公報に開示された蛍光観察用の較正補助手段等を基準蛍光体として用いればよい。
【0093】
また、本実施例によれば、例えば、蛍光観察モード時に、光源装置3から出射される励起光に対して既知の蛍光特性を有する基準蛍光体を撮像して得られた蛍光画像に基づき、当該基準蛍光体が配置された領域を基準領域Arとして抽出するような処理が行われるようにしてもよい。ここで、このような処理が行われる場合の内視鏡システム1の動作等について、以下に説明する。
【0094】
ユーザは、モニタ5に表示される蛍光観察画像を確認しながら、図7に例示するような蛍光部材101を所望の被写体の表面に配置する。また、ユーザは、所望の被写体の表面に蛍光部材101を配置した後、入力I/F52を操作することにより、診断支援情報の表示の設定をオフからオンへ切り替えるための指示を行う。図7は、実施例に係る診断支援装置と併用される蛍光部材の構成の一例を示す図である。
【0095】
蛍光部材101は、例えば、図7に示すように、平面視矩形形状をなす平板部材として形成されている。なお、蛍光部材101は、生体内に存在し得ない形状である直線を含む限りにおいては、例えば、星形形状等の他の平面視形状を具備して形成されていてもよい。
【0096】
一方、蛍光部材101は、図7に示すように、光源装置3から出射される励起光に対して既知の蛍光特性を有する基準蛍光体102と、基準蛍光体102の外縁部を囲むように設けられた枠部材103と、を有して構成されている。
【0097】
基準蛍光体102は、例えば、量子ドット等の蛍光体の表面をガラスで覆うことにより形成されている。
【0098】
枠部材103は、例えば、黒色のPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等のような、光源装置3から出射される励起光に応じた蛍光を発生しない非蛍光性部材を用いて形成されている。
【0099】
すなわち、蛍光観察モード時に、所望の被写体の表面に蛍光部材101が配置された状態においては、例えば、図8に示すような、基準蛍光体102と、基準蛍光体102以外の蛍光発生領域と、の境界部分が枠部材103により強調された蛍光画像が撮像素子24により撮像されるとともに画像入力部42から出力される。図8は、図7の蛍光部材を配置した状態で撮像された蛍光画像の一例を示す図である。
【0100】
制御部53は、診断支援情報の表示がオンに設定されたことを検出すると、画像入力部42から出力される蛍光画像に基づき、枠部材103に囲まれた内部領域を基準蛍光体102が存在する領域として特定するとともに、当該特定した領域を基準領域Arとして抽出する処理を行う。
【0101】
具体的には、制御部53は、例えば、画像入力部42から出力される蛍光画像に対してエッジ抽出処理を施すことによりエッジ画像を生成し、当該生成したエッジ画像に対してハフ変換を施すことにより直線形状を抽出し、当該抽出した直線形状に囲まれた内部領域を基準蛍光体102が存在する領域として特定し、当該特定した領域を基準領域Arとして抽出するような処理を行う。
【0102】
以上に述べたように、本実施例によれば、1つの基準領域Arに対する1つ以上の注目領域Aiの蛍光の発生状態を可視化した診断支援情報をモニタ5に表示させることができる。その結果、本実施例によれば、内視鏡を用いた蛍光観察により診断を行う術者の負担を軽減することができる。
【0103】
なお、本実施例によれば、例えば、1つの診断支援情報のみをモニタ5に表示させるようにしてもよく、複数の診断支援情報を同時にモニタ5に表示させるようにしてもよい。また、本実施例によれば、例えば、蛍光観察画像内に診断支援情報を重畳してモニタ5に表示させるようにしてもよく、モニタ5における蛍光観察画像の表示領域とは別の表示領域に診断支援情報または診断支援画像を表示させるようにしてもよい。
【0104】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【0105】
本出願は、2014年11月26日に日本国に出願された特願2014−239157号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
【要約】
診断支援装置は、被検体内の所望の被写体に励起光を照射した際に発生する蛍光を撮像して得た蛍光画像の中から、蛍光の発生状態の基準として扱う基準領域と、蛍光の発生状態の比較対象として扱う注目領域と、をそれぞれ抽出するための処理を行う領域抽出部と、基準領域に含まれる各画素の輝度値と、注目領域に含まれる各画素の輝度値と、に基づき、基準領域に対する注目領域の蛍光の強度比を示す演算値を算出するための演算処理を行う演算処理部と、演算処理部により算出された演算値を格納する記憶部と、記憶部に格納された演算値の経時変化を示す情報を表示装置に表示させるための処理を行う画像処理部と、を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8