(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6013668
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】基礎体温測定システムおよび基礎体温測定装置
(51)【国際特許分類】
G01K 7/00 20060101AFI20161011BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
G01K7/00 361F
A61B5/10 310A
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-544636(P2016-544636)
(86)(22)【出願日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】JP2016058925
【審査請求日】2016年7月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514266851
【氏名又は名称】株式会社E3
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】姚 秉偉
【審査官】
藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−233585(JP,A)
【文献】
特開平05−228116(JP,A)
【文献】
特開昭63−260542(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/098022(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/00
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠の期間中に使用者の身体に装着して基礎体温を測定するための装置を備えた基礎体温測定システムであって、
上記身体の温度を測定する温度センサと、
上記身体の動きを検出する動き検出センサと、
上記温度センサにより測定される体温情報を、上記動き検出センサにより検出される動き情報に関連付けて記憶媒体に記録する情報記録部と、
上記記憶媒体に記録された動き情報を分析して使用者の起床タイミングを検出し、当該起床タイミングの直前に測定された体温情報を上記基礎体温として特定する基礎体温特定部とを備えたことを特徴とする基礎体温測定システム。
【請求項2】
上記基礎体温特定部により特定された上記基礎体温を記憶媒体に記録する第2の情報記録部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の基礎体温測定システム。
【請求項3】
上記温度センサにより測定される上記体温情報または上記動き検出センサにより検出される上記動き情報の少なくとも一方に基づいて、上記使用者がレム睡眠状態にあるかノンレム睡眠状態にあるかを判定する睡眠状態判定部を更に備え、
上記情報記録部は、上記睡眠状態判定部により上記ノンレム睡眠状態から上記レム睡眠状態へ移行したと判定されたときに、上記体温情報および上記動き情報の上記記憶媒体への記録を開始することを特徴とする請求項1に記載の基礎体温測定システム。
【請求項4】
上記記憶媒体に記録された上記体温情報または上記動き情報の少なくとも一方に基づいて、上記基礎体温特定部により特定された上記基礎体温の測定タイミングにおいて、上記使用者がレム睡眠状態であったかノンレム睡眠状態であったかを判定する第2の睡眠状態判定部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の基礎体温測定システム。
【請求項5】
上記基礎体温特定部により特定された上記基礎体温を、上記第2の睡眠状態判定部により判定された睡眠状態を表す情報と共に記憶媒体に記録する第2の情報記録部を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の基礎体温測定システム。
【請求項6】
上記温度センサ、上記動き検出センサ、上記記憶媒体および上記情報記録部が携帯型の基礎体温測定装置に備えられ、上記基礎体温特定部が上記基礎体温測定装置に対して無線または有線で接続される外部コンピュータに備えられることを特徴とする請求項1に記載の基礎体温測定システム。
【請求項7】
睡眠の期間中に使用者の身体に装着して基礎体温を測定するための基礎体温測定装置であって、
上記身体の温度を測定する温度センサと、
上記身体の動きを検出する動き検出センサと、
上記温度センサにより測定される体温情報を、上記動き検出センサにより検出される動き情報に関連付けて記憶媒体に記録する情報記録部と、
上記記憶媒体に記録された動き情報を分析して使用者の起床タイミングを検出し、当該起床タイミングの直前に測定された体温情報を上記基礎体温として特定する基礎体温特定部とを備えたことを特徴とする基礎体温測定装置。
【請求項8】
上記基礎体温特定部により特定された上記基礎体温を記憶媒体に記録する第2の情報記録部を更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の基礎体温測定装置。
【請求項9】
上記温度センサにより測定される上記体温情報または上記動き検出センサに検出される上記動き情報の少なくとも一方に基づいて、上記使用者がレム睡眠状態にあるかノンレム睡眠状態にあるかを判定する睡眠状態判定部を更に備え、
上記情報記録部は、上記睡眠状態判定部により上記ノンレム睡眠状態から上記レム睡眠状態へ移行したと判定されたときに、上記体温情報および上記動き情報の上記記憶媒体への記録を開始することを特徴とする請求項7に記載の基礎体温測定装置。
【請求項10】
上記記憶媒体に記録された上記体温情報または上記動き情報の少なくとも一方に基づいて、上記基礎体温特定部により特定された上記基礎体温の測定タイミングにおいて、上記使用者がレム睡眠状態であったかノンレム睡眠状態であったかを判定する第2の睡眠状態判定部を更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の基礎体温測定装置。
【請求項11】
上記基礎体温特定部により特定された上記基礎体温を、上記第2の睡眠状態判定部により判定された睡眠状態を表す情報と共に記憶媒体に記録する第2の情報記録部を更に備えたことを特徴とする請求項10に記載の基礎体温測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎体温測定システムおよび基礎体温測定装置に関し、特に、睡眠の期間中に使用者の身体に装着して基礎体温を測定するための装置およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間の基礎体温は、活動による体温変化などの要因を排除し、生命維持に必要な最小限のエネルギーしか消費していない安静状態で測定した体温のことをいう。女性の場合、基礎体温は排卵サイクルとの関連が深い。そのため、妊娠または非妊娠を希望している女性の参考用、月経不順の原因分析や経過観察など、基礎体温は様々な目的で利用される。最近では、美容や健康状態の調整用にも基礎体温が利用されることがある。
【0003】
通常、女性の基礎体温は、病気や重いストレスがあるときなどを除けば、ほぼ0.3〜0.5度の間で周期的に変化している。この基礎体温を毎日測定してリズム(体温の変化)を知ることにより、排卵の有無や月経の時期、妊娠しやすい時期など、身体の状態を把握することが可能となる。
【0004】
このように細かい値の変化を正確に捉える必要があるため、基礎体温は、身体を安静にした状態で測るのが通常である。具体的な測定方法としては、十分な睡眠をとった起床直後、まだ身体を動かす前で身体の内部が休んでいる状態のとき、布団に寝たままの状態で測定することが推奨されている。
【0005】
従来、目覚まし時計の設定時刻の5分前(温度センサが体温を測定するために要する標準的な時間)になったタイミングで各種センサを起動し、使用者が基礎体温を測定しようとしているか否かをこれらのセンサによって判定し、測定を忘れている可能性がある場合に警告を行うようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に記載の技術によれば、起床直後に、使用者が忘れることなく基礎体温を測定するよう促すことができる。しかしながら、この特許文献1に記載の技術では、目覚まし時計によって無理に起こされた後、または、装置から警告を受けた後に基礎体温を測定することになるため、安静状態下での測定ということはできない。
【0007】
これに対し、下着内部の収納ポケットに体温測定装置を装着して就寝し、睡眠中に基礎体温を測定してメモリに記録するようにした技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2には、加速度センサにより使用者の入眠を確認した後に、測温素子により体温の測定を開始することも記載されている。この特許文献2に記載の技術によれば、睡眠中の安静状態下で基礎体温を測定することができる。
【0008】
【特許文献1】特開2012−220287号公報
【特許文献2】特開2005−164405号公報
【発明の開示】
【0009】
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術では、使用者が入眠してから起床するまでの間ずっと体温を測定しており、その間のどの時間帯の体温を基礎体温として把握するかを特定できない。体温は寝返り等のほんの微妙な動きでも変わってしまうため、入眠から起床までの間に測定される体温には変動がある。特許文献2の場合は、この変動している体温のどれを基礎体温するかを特定できないという問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、基礎体温を安静状態下で正確に測定することができるようにすることを目的とする。
【0011】
上記した課題を解決するために、本発明では、睡眠の期間中に温度センサにより測定される体温情報を、同じく睡眠の期間中に動き検出センサにより検出される動き情報に関連付けて記憶媒体に記録した後、当該記憶媒体に記録された動き情報を分析して使用者の起床タイミングを検出し、当該起床タイミングの直前に測定された体温情報を基礎体温として特定するようにしている。
【0012】
上記のように構成した本発明によれば、使用者の体温を睡眠中の安静状態下で測定して記憶媒体に記録することができ、しかも、起床直前に記録された体温を基礎体温として特定することができる。このため、起床直前の安静状態の下で測定した正しい基礎体温を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態による基礎体温測定装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1〜第3の実施形態による基礎体温測定装置の外観構成例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態による基礎体温測定システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5】第2の実施形態による基礎体温測定装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図6】第3の実施形態による基礎体温測定装置の機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態による基礎体温測定装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2は、第1の実施形態による基礎体温測定装置の外観構成例を示す図である。
【0015】
第1の実施形態による基礎体温測定装置10は、睡眠の期間中に使用者の身体に装着して基礎体温を測定するためのものである。
図2に示すように、筐体の表面には温度センサ11が設けられており、この温度センサ11が使用者の身体に触れるように基礎体温測定装置10を装着する。例えば、使用者の胸部または腹部に温度センサ11が触れるように基礎体温測定装置10を装着して体温を測定する。
【0016】
なお、睡眠中に基礎体温測定装置10が身体からずれ落ちないように、基礎体温測定装置10を身体に固定するためのベルト21が備えられている。ここではベルト21を用いているが、固定方法はこれに限定されない。例えば、テープ等を使って基礎体温測定装置10を身体に固定するようにしてもよい。
【0017】
図1に示すように、第1の実施形態による基礎体温測定装置10は、その機能構成として、温度センサ11、動き検出センサ12、情報記録部13、記憶媒体14、基礎体温特定部15および第2の情報記録部16を備えている。このうち、情報記録部13、基礎体温特定部15および第2の情報記録部16の機能ブロックは、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。
【0018】
例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック13,15,16は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。このプログラムが記憶される記憶媒体は、記憶媒体14と同じものであってもよいし、別のものであってもよい。
【0019】
温度センサ11は、睡眠中に使用者の身体の温度を測定する。動き検出センサ12は、睡眠中における使用者の身体の動きを検出する。この動き検出センサ12は、一例として、加速度センサにより構成することが可能である。使用者の身体が動くと、加速度センサは、動いたときに生じる加速度を検出し、加速度情報を出力する。
【0020】
情報記録部13は、温度センサ11により測定される体温情報を、動き検出センサ12に検出される動き情報(加速度情報)に関連付けて記憶媒体14に記録する。記憶媒体14は、ハードディスクまたは半導体メモリ等の不揮発性の記憶媒体である。
【0021】
体温情報と動き情報との関連付けは、例えば、測定時刻を介して行うことが可能である。具体的には、情報記録部13は、温度センサ11および動き検出センサ12からそれぞれ入力される体温情報および動き情報を、所定の時間間隔(例えば、30秒間隔)でタイムスタンプと共に記憶媒体14に記録する。
【0022】
なお、体温情報と動き情報とを関連付けるために用いる情報は、上述のタイムスタンプに限定されない。例えば、タイムスタンプに代えて、測定の開始から所定の時間間隔ごとに順次発行する連番のような単純な識別子を用いるようにしてもよい。
【0023】
基礎体温特定部15は、記憶媒体14に記録された動き情報を分析して使用者の起床タイミングを検出し、当該起床タイミングの直前に測定された体温情報を基礎体温として特定する。
【0024】
図3は、この基礎体温特定部15の処理例を示す図である。
図3は、動き検出センサ12として加速度センサを用いた場合に得られる加速度情報を示している。なお、ここではイメージとして分かりやすいように、動き検出センサ12により得られる時系列の加速度情報を連続的な波形として図示しているが、実際には30秒ごとの離散的なデータとして記憶媒体14に記録されている。
【0025】
例えば、基礎体温測定装置10を使用者の胸部に装着した場合、使用者の呼吸に伴う胸部の動きにより、呼吸の周期に合わせて比較的小さい振幅の加速度情報が動き検出センサ12により検出され、情報記録部13によって記憶媒体14に記録される(期間T1,T3)。期間T1,T3は、使用者が身体を動かすことなく安静して睡眠している期間である。
【0026】
また、睡眠中に使用者が寝返りをすると、その瞬間は比較的大きな振幅の加速度情報が動き検出センサ12により検出され、情報記録部13によって記憶媒体14に記録される(期間T2)。さらに、使用者が起床をすると、比較的大きな振幅の加速度情報が長い時間にわたって動き検出センサ12により検出され、情報記録部13によって記憶媒体14に記録される(期間T4)。
【0027】
基礎体温特定部15は、記憶媒体14に記録された
図3に示すような加速度情報に基づいて、比較的大きな振幅の加速度情報が長い時間続いている期間T4の開始タイミングを使用者の起床タイミングとして検出し、その起床タイミングの直前のタイミングtに測定された体温情報を基礎体温として特定する。すなわち、タイミングtのタイムスタンプに関連付けて記憶媒体14に記録された体温情報を、使用者の基礎体温として特定する。
【0028】
タイミングtは、使用者が安静状態にある期間T3に含まれるタイミングである。よって、このタイミングtに記録された体温を基礎体温として特定することにより、使用者が睡眠中の安静状態下で測定した正しい基礎体温を得ることができる。
【0029】
基礎体温特定部15は、特定した使用者の基礎体温を第2の情報記録部16に通知する。第2の情報記録部16は、基礎体温特定部15から通知された基礎体温を、測定日を表すカレンダ情報に関連付けて記憶媒体14に記録する。この基礎体温を毎日測定して記録することにより、基礎体温の変化のリズムを把握することが可能となる。
【0030】
なお、記憶媒体14に記録された情報(体温情報および動き情報、特定された基礎体温情報)は、図示しない外部コンピュータに出力して利用することが可能である。あるいは、基礎体温測定装置10自体にディスプレイを設け、記憶媒体14に記録された情報をグラフィック的に可視化して表示できるようにしてもよい。
【0031】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、睡眠の期間中に温度センサ11により測定される体温情報を、同じく睡眠の期間中に動き検出センサ12に検出される動き情報に関連付けて記憶媒体14に記録した後、当該記憶媒体14に記録された動き情報を分析して使用者の起床タイミングを検出し、当該起床タイミングの直前に測定された体温情報を基礎体温として特定するようにしている。
【0032】
このように構成した第1の実施形態によれば、使用者の体温を睡眠中の安静状態下で測定して記憶媒体14に記録することができ、しかも、起床直前に記録された体温を基礎体温として特定することができる。このため、起床直前の安静状態の下で測定した正しい基礎体温を得ることができる。
【0033】
上述したように、基礎体温は、少しの体動があっても変わってしまう可能性がある。そのため、基礎体温としては、使用者が眠っていて身体が動いていないときの体温を取得するのが望ましい。しかし、従来は起床した後に基礎体温を測定していたため、本当の意味での基礎体温を測定することはできなかった。これに対し、第1の実施形態によれば、真の基礎体温を測定することが可能である。
【0034】
なお、上記実施形態では、温度センサ11、動き検出センサ12、情報記録部13、記憶媒体14、基礎体温特定部15および第2の情報記録部16の全てを基礎体温測定装置10が備える構成を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図4に示すように、温度センサ11、動き検出センサ12、情報記録部13および記憶媒体14を携帯型の基礎体温測定装置10’が備え、当該基礎体温測定装置10’に対して無線または有線で接続される外部コンピュータ20が基礎体温特定部15、第2の情報記録部16および記憶媒体41を備えるシステム構成としてもよい。
【0035】
この場合、基礎体温測定装置10’と外部コンピュータ20との間は、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのケーブルを介して接続することが可能である。または、基礎体温測定装置10’と外部コンピュータ20との双方にBluetooth(登録商標)や無線LAN等の無線通信手段を備え、基礎体温測定装置10’から外部コンピュータ20に対して、記憶媒体14に記録された情報を無線で送信できるようにしてもよい。あるいは、基礎体温測定装置10’と外部コンピュータ20との双方にインターネット接続手段を備え、記憶媒体14に記録された情報を基礎体温測定装置10’からインターネット上のサーバ装置(図示せず)にアップロードし、これを外部コンピュータ20がサーバ装置からダウンロードできるようにしてもよい。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。
図5は、第2の実施形態による基礎体温測定装置10Aの機能構成例を示すブロック図である。なお、この
図5において、
図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。基礎体温測定装置10Aの外観構成は、
図2と同様である。
【0037】
図5に示すように、第2の実施形態による基礎体温測定装置10Aは、その機能構成として、睡眠状態判定部51を更に備えている。また、情報記録部13に代えて情報記録部13Aを備えている。
【0038】
睡眠状態判定部51は、温度センサ11により測定される体温情報に基づいて、使用者がレム睡眠状態にあるかノンレム睡眠状態にあるかを判定する。レム睡眠とは、身体は眠っているのに脳は起きている状態であり、眠りが浅い状態をいう。ノンレム睡眠とは、脳が眠っている状態であり、眠りが深い状態をいう。
【0039】
このレム睡眠およびノンレム睡眠と体温との間には相関があることが知られている。すなわち、人はまず眠りに入ると、体温が急激に1度くらい下がり、深い眠りであるノンレム睡眠に入っていく。その後、90分くらい経過すると、浅い眠りであるレム睡眠に移行する。このノンレム睡眠とレム睡眠とのリズムを1つの睡眠周期として、これが一晩のうちに4〜5回くり返される。レム睡眠の期間は、最初の睡眠周期では2〜3分程度と短く、睡眠周期が繰り返されるごとに長くなる。
【0040】
入眠した直後に体温が急激に1度くらい下がった後も、体温は微妙に上下する。ノンレム睡眠に入っていくときには、発汗作用が活発になり、体温は下がる。一方、ノンレム睡眠からレム睡眠になっていくときに、体温は上昇する。したがって、睡眠状態判定部51は、温度センサ11により測定される体温が低下状態にあるか、上昇状態にあるかを監視することによって、使用者がレム睡眠状態にあるかノンレム睡眠状態にあるかを判定することが可能である。
【0041】
情報記録部13Aは、睡眠状態判定部51によりノンレム睡眠状態からレム睡眠状態へ移行したと判定されたときに、体温情報および動き情報の記憶媒体14への記録を開始する。使用者が目覚まし時計等を使わずに自然に起きる場合、眠りの浅いレム睡眠の期間中に起きる可能性が高い。そこで、ノンレム睡眠状態からレム睡眠状態への移行を検知したときに記憶媒体14への記録を開始すれば、無駄な記録を極力せずに、起床直前の安静状態における基礎体温を測定および記録することができる。
【0042】
なお、一晩の睡眠中にレム睡眠は4〜5回生じるので、例えば4回目のレム睡眠への移行を検知したときに記憶媒体14への記録を開始するようにしてもよい。あるいは、使用者が予定している睡眠時間から何回の睡眠周期があるかを考慮して、n回目(nは1〜5の所望の値)のレム睡眠から記録を開始することを使用者が基礎体温測定装置10Aに対して指定できるようにしてもよい。また、別の例として、各レム睡眠期間中は記憶媒体14への記録動作を行い、各ノンレム睡眠期間中は記録動作を行わないようにしてもよい。
【0043】
上記第2の実施形態では、温度センサ11により測定される体温情報に基づいてレム睡眠状態/ノンレム睡眠状態を判定する例について説明したが、体温情報に代えてまたは加えて、動き検出センサ12により検出される動き情報に基づいて、レム睡眠状態/ノンレム睡眠状態を判定するようにしてもよい。
【0044】
上述したように、レム睡眠は、身体は眠っているのに脳は起きている状態である。そのため、レム睡眠中は、身体は殆ど動かない。これに対し、ノンレム睡眠は、脳が眠っている状態であり、身体を支える筋肉は働いており、寝返りを打つことができる。したがって、睡眠状態判定部51は、動き検出センサ12により身体の動きが検出されるか否かを監視することによって、使用者がレム睡眠状態にあるかノンレム睡眠状態にあるかを判定することが可能である。
【0045】
また、上記第2の実施形態においても
図4と同様に、温度センサ11、動き検出センサ12、情報記録部13A、記憶媒体14および睡眠状態判定部51を含む基礎体温測定装置10A’と、基礎体温特定部15、第2の情報記録部16および記憶媒体41を含む外部コンピュータ20とを備えたシステム構成としてもよい。
【0046】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。
図6は、第3の実施形態による基礎体温測定装置10Bの機能構成例を示すブロック図である。なお、この
図6において、
図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。基礎体温測定装置10Bの外観構成は、
図2と同様である。
【0047】
図6に示すように、第3の実施形態による基礎体温測定装置10Bは、その機能構成として、第2の睡眠状態判定部61を更に備えている。また、第2の情報記録部16に代えて第2の情報記録部16Bを備えている。
【0048】
第2の睡眠状態判定部61は、記憶媒体14に記録された体温情報または動き情報の少なくとも一方に基づいて、基礎体温特定部15により特定された基礎体温の測定タイミング(
図3のタイミングt)において、使用者がレム睡眠状態であったかノンレム睡眠状態であったかを判定する。その判定方法は、第2の実施形態で説明した通りである。第2の睡眠状態判定部61は、判定した睡眠状態を第2の情報記録部16Bに通知する。
【0049】
第2の情報記録部16Bは、基礎体温特定部15により特定された基礎体温を、第2の睡眠状態判定部61により判定された睡眠状態(レム睡眠状態またはノンレム睡眠状態の何れか)を表す情報と共に記憶媒体14に記録する。
【0050】
上述のように、使用者が目覚まし時計を使わずに自然に起きる場合、眠りの浅いレム睡眠の期間中に起きる可能性が高い。しかし、常にそうであるとは限らない。そこで、タイミングtで測定した基礎体温がレム睡眠中のものであるかノンレム睡眠中のものであるかを記録として残すことにより、記録された基礎体温がノンレム睡眠中の低めの体温なのか、レム睡眠中の高めの体温なのかを把握することができる。
【0051】
また、上記第3の実施形態においても
図4と同様に、温度センサ11、動き検出センサ12、情報記録部13および記憶媒体14を含む基礎体温測定装置10B’と、基礎体温特定部15、第2の情報記録部16B、記憶媒体41および第2の睡眠状態判定部61を含む外部コンピュータ20とを備えたシステム構成としてもよい。
【0052】
なお、上記第1〜第3の実施形態では、動き検出センサ12の一例として加速度センサを用い、
図3に示すような加速度情報に基づいて使用者の起床タイミングを検出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、加速度センサに代えてまたは加えて、角速度センサ(ジャイロセンサ)を用いてもよい。
【0053】
例えば、ジャイロセンサによって使用者の姿勢を検出する場合、横になって眠っているときと、起床して起立したときでは姿勢に大きな変化が生じる。このため、基礎体温特定部15は、この姿勢の大きな変化が生じたときを起床タイミングとして検出し、当該起床タイミングの直前に測定された体温情報を基礎体温として特定することが可能である。
【0054】
その他、上記第1〜第3の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
10,10’,10A,10B 基礎体温測定装置
11 温度センサ
12 動き検出センサ
13,13A 情報記録部
14 記憶媒体
15 基礎体温特定部
16,16B 第2の情報記録部
20 外部コンピュータ
51 睡眠状態判定部
61 第2の睡眠状態判定部
【要約】
睡眠の期間中に温度センサ11により測定される体温情報を、同じく睡眠の期間中に動き検出センサ12により検出される動き情報に関連付けて記憶媒体14に記録する情報記録部13と、当該記憶媒体14に記録された動き情報を分析して使用者の起床タイミングを検出し、当該起床タイミングの直前に測定された体温情報を基礎体温として特定する基礎体温特定部15とを備え、使用者の体温を睡眠中の安静状態下で測定して記憶媒体14に記録することができるようにし、しかも、起床直前に記録された体温を基礎体温として特定することができるようにする。