(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水量調節バルブと前記混合部との間、及び前記湯量調節バルブと前記混合部との間は、共に可撓性のあるホースで接続することを特徴とする請求項1又は2に記載の湯水混合水栓。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る湯水混合水栓の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る湯水混合水栓の構成例を示す摸式図である。
図2は、
図1に示す湯水混合水栓の斜視図である。同図に示す湯水混合水栓10は、洗面台(図示省略)等に設けられる水栓設置部材であるカウンタ1に設置されている。詳しくは、カウンタ1の上側の面であり、カウンタ1の外面である設置面2に吐水管11が設置されている。この吐水管11は、グースネック状に湾曲した略筒状の形状で形成されており、その先端には、吐水ヘッド14を保持することが可能になっている。この吐水ヘッド14は、先端に水や湯を吐水する吐水口15が形成されており、吐水ヘッド14は、吐水口15を有する吐水部として設けられている。吐水管11は、このように吐水口15が形成される吐水ヘッド14を保持する吐水部保持部として設けられており、吐水ヘッド14は、吐水管11を介してカウンタ1に設置される。
【0018】
また、カウンタ1の下方側には、給水管からの水の流量を電気信号に基づいて調節する水量調節バルブである水側バルブ31と、給湯管からの湯の流量を電気信号に基づいて調節する湯量調節バルブである湯側バルブ32とが配設されている。このうち、水側バルブ31は、給水管を流れる水の流出や止水を切り替える水止水栓41を介して給水管に接続されている。また、湯側バルブ32は、給湯器(図示省略)で温度を上昇させた湯が流れる給湯管からの湯の流出や止水を切り替える湯止水栓42を介して給湯管に接続されている。
【0019】
また、カウンタ1の下方側には、これらのバルブを制御する制御部50が配設されている。この制御部50は、電子制御装置として構成されており、ハード構成は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部や、RAM(Random Access Memory)等の記憶部等を備えた公知の構成であるため、説明は省略する。
【0020】
この制御部50には、カウンタ1の設置面2に設置される操作部55が電気的に接続されており、操作部55に対して入力した際には、入力した情報は制御部50に伝達される。操作部55に対しては、例えば、吐水ヘッド14から吐水する水と湯との混合水の温度や吐水時の流量等が入力可能になっており、これらの情報は制御部50に伝達される。制御部50は、これらの情報に基づいた制御信号を電気信号として水側バルブ31と湯側バルブ32とに送信する。水側バルブ31と湯側バルブ32とは、この制御部50から送信される電気信号に基づいて作動し、水や湯の流量を調節する。
【0021】
なお、操作部55は、カウンタ1の設置面2以外に設置されていてもよく、例えば、吐水管11に設置されていてもよい。また、このカウンタ1の下方側の部分は、湯水混合水栓10の通常の使用時は扉等によって遮蔽され、外部からは視認できないようになっている。
【0022】
水側バルブ31と湯側バルブ32とには、それぞれ水や湯の流出側にホースが接続されている。具体的には、水側バルブ31には水側ホース35が接続され、湯側バルブ32には湯側ホース36が接続されている。これらの水側ホース35と湯側ホース36とは、共に可撓性のあるホースが用いられている。
【0023】
また、水側ホース35と湯側ホース36との他端側は、水側バルブ31で流量が調節された水と湯側バルブ32で流量が調節された湯とを混合して混合水を流出する混合部25に接続されている。即ち、水側バルブ31と混合部25との間は水側ホース35によって接続されており、湯側バルブ32と混合部25との間は湯側ホース36によって接続されている。
【0024】
また、混合部25には、可撓性を有する可撓性ホース20が、さらに接続されている。この可撓性ホース20は、混合部25における混合水の流出部分に接続されている。このため、可撓性ホース20には、混合部25から流出した混合水が流れるようになっている。詳しくは、水側ホース35と湯側ホース36は、混合部25における側面に、互いに反対方向側から混合部25に接続されている。即ち、水側ホース35と湯側ホース36は、混合部25に対して水平方向における互い反対方向側から混合部25に接続されている。また、可撓性ホース20は、混合部25の下方側から混合部25の底面に接続されている。
【0025】
また、可撓性ホース20の他端側は、吐水ヘッド14に接続されている。このため、吐水ヘッド14は、可撓性ホース20における混合水の流入側の端部の反対側の端部に接続され、可撓性ホース20を流れる混合水を吐水することが可能になっている。即ち、可撓性ホース20は、混合部25から下方に垂らされた先の部分が上方に折り返され、カウンタ1の方向に向かっている。さらに、可撓性ホース20は、カウンタ1に設置されている吐水管11の内側に入り込む。
【0026】
つまり、吐水管11は、カウンタ1の設置面2に設置されているが、この吐水管11は略筒状の形状で形成されており、その端部は、カウンタ1における水側バルブ31と湯側バルブ32と混合部25とが配設される側の面である機器側面3側に開口している。可撓性ホース20は、この吐水管11の端部から吐水管11内に入り込み、吐水管11の内側を通って吐水ヘッド14に接続されている。
【0027】
図3は、
図1のA部詳細図である。
図4は、
図3のB−B矢視図である。
図5は、
図3の斜視図である。ここで、吐水管11におけるカウンタ1への設置部分について説明すると、カウンタ1には、設置面2から機器側面3にかけて貫通した貫通孔5が形成されている。また、吐水管11におけるカウンタ1に設置する側の端部付近には、外径が貫通孔5の内径よりも大きくなっており、カウンタ1の設置面に接触する部分である台座部12が形成されている。さらに、台座部12からは、外径が貫通孔5の内径よりも小さく、長さがカウンタ1の厚さよりも長くなって形成されるネジ部13が延在している。このネジ部13は、外周面にネジ山が形成された雄ネジになっている。略筒状の形状で形成される吐水管11は、このネジ部13も含めて筒状に形成されており、このため、ネジ部13の先端は開口している。
【0028】
吐水管11をカウンタ1に設置する際には、カウンタ1における設置面2側から貫通孔5にネジ部13を通し、台座部12を設置面2に接触させる。ネジ部13の長さはカウンタ1の厚さよりも長いため、台座部12が設置面2に接触した状態では、ネジ部13の先端は、貫通孔5から機器側面3側に突出する。ネジ部13における貫通孔5から突出している部分には、座金状の部材である馬蹄部材16が通される。この馬蹄部材16は、外径がカウンタ1の貫通孔5の径よりも大きい略円板状に形成され、且つ、外周面の一部が切り欠かれた形状になっており、さらに、板厚方向に、ネジ部13の外径よりも若干大きい径の貫通孔が形成されている。この馬蹄部材16の貫通孔に、ネジ部13を先端側から通すことにより、ネジ部13における貫通孔5から突出している部分に馬蹄部材16を配設する。
【0029】
さらに、ネジ部13には、当該ネジ部13と螺合する雌ネジが形成された締付ナット17を螺合させる。この締付ナット17は、当該締付ナット17に形成される雌ネジの中心軸を中心とする外周面を有する軸部18と、締付ナット17を締め付ける際に用いる工具を掛ける部分である締付部19と、を有しており、内側は中心軸の方向に貫通して内周面に雌ネジが形成されている。また、締付部19は、軸部18よりも径が大きい円筒状の形状で形成されており、外周面の一部に、工具を掛ける切欠き部が形成されている。
【0030】
この締付部19と軸部18とは、雌ネジの中心軸に方向に並んで形成されており、締付ナット17をネジ部13に螺合させる場合は、ネジ部13の先端側に対して締付ナット17の軸部18側から螺合させる。この向きで締付ナット17をネジ部13に対してねじ込むと、締付ナット17における軸部18側の端部が馬蹄部材16に当接する。さらに、締付ナット17をねじ込むと、馬蹄部材16はカウンタ1の機器側面3に接触し、締付ナット17とカウンタ1との間に馬蹄部材16が介在する状態で締付ナット17とネジ部13とは螺合する。これにより、吐水管11は台座部12と馬蹄部材16とでカウンタ1を挟んだ状態になるため、吐水管11はカウンタ1に固定される。
【0031】
吐水管11が有するネジ部13の先端は、吐水管11をこのようにカウンタ1に固定した状態でも、締付ナット17の内側が貫通しているため、ネジ部13の先端の開口部分は締付ナット17によって閉塞されておらず、下方側に向かって開口している。可撓性ホース20は、カウンタ1の下方側から、このネジ部13の先端の開口部分、即ち、吐水管11の開口部分に入り込み、吐水管11の内側を通って吐水ヘッド14に接続されている。
【0032】
また、カウンタ1への吐水管11の固定に用いる締付ナット17には、可撓性ホース20が接続される混合部25の位置決めを行う位置決め部材26が取り付けられている。この位置決め部材26は、締付ナット17の軸部18の外径よりも若干大きい内径の貫通孔が形成される略直方体の部材によって形成されており、この貫通孔には、締付ナット17の軸部18が通されている。締付ナット17を吐水管11のネジ部13に螺合させた状態における軸部18の下方側には締付部19が位置しているため、軸部18が通された位置決め部材26は、この締付部19に引っ掛かった状態になり、締付ナット17に取り付けられる。
【0033】
位置決め部材26には、さらに、ビス27によって混合部25が取り付けられる。位置決め部材26は、このように混合部25を締付ナット17に取り付ける部材として設けられており、混合部25を締付ナット17に取り付けることにより、可撓性ホース20における混合水の流入側の端部を、吐水管11に対して位置決めする。その際に、位置決め部材26は、吐水管11のネジ部13に螺合する締付ナット17に対して混合部25を取り付けることにより、カウンタ1に対して混合部25が位置する側に配設された状態で、同じ側に位置する可撓性ホース20の端部を吐水管11に対して位置決めする。
【0034】
可撓性ホース20は、混合部25が位置決め部材26によって位置決めされることにより、混合部25に接続されている状態で混合部25から下方に垂らされ、さらに、上方に折り返されて吐水管11の内側に通されている。
【0035】
次に、水側バルブ31と湯側バルブ32とについて説明する。なお、水側バルブ31と湯側バルブ32とは、基本的には同じ構成であるため、代表して水側バルブ31を用いて構造の説明を行う。
図6は、水側バルブの断面図である。
図7は、
図6に示す主弁周りの詳細図である。
図8は、
図7の保持溝周りの詳細図である。水側バルブ31は、ボデー60の内部に水の主流路63が形成されており、主流路63上には主弁80が配設されている。この主流路63は、水止水栓41側から流入した水が流れる一次側流路64と、当該水側バルブ31で流量し、水側ホース35に流入する水が流れる二次側流路65と、を有している。
【0036】
主弁80はダイヤフラム式の弁になっており、硬質の主弁本体81と、主弁本体81に保持されると共にシール部材を兼ねたゴム製のダイヤフラム膜85と、を有しており、さらに、パイロット弁ケース90を有している。この主弁80は、ボデー60の形成される円筒部67の図中上端に位置する主弁座66に向けて進退移動することにより主流路63を開閉したり、開度を変化させたりすることが可能になっている。
【0037】
詳しくは、主弁80は、主弁座66に着座することによって主流路63を遮断したり、主弁座66から離間することによって主流路63を開放したりすることができる。また、主流路63の開放時は、主弁座66からの主弁80の離間量に応じて主流路63の開度を大小変化させ、主流路63を流れる水の流量を調節可能になっている。
【0038】
また、主弁80における主弁座66が位置する側の反対側には、背圧室75が形成されている。この背圧室75は、内部の圧力を主弁80に対して主弁座66の方向、即ち閉弁方向への押圧力として作用させる。また、主弁80には、当該主弁80を貫通し、この背圧室75と一次側流路64とを連通させる導入小孔82が形成されている。この導入小孔82は、一次側流路64からの水を背圧室75に導いて背圧室75の圧力を増大させることができるように形成されている。
【0039】
また、主弁80には、当該主弁80を貫通して背圧室75と二次側流路65とを連通させる水路であるパイロット流路83が形成されている。このパイロット流路83は、背圧室75内の水を二次側流路65に抜くことにより、背圧室75の圧力を減少させることができるように形成されている。
【0040】
また、主弁80には、パイロット弁ケース90が備えられており、このパイロット弁ケース90は、ボデー60に形成されたガイド孔62に摺動可能に嵌合されている。このパイロット弁ケース90は、中心部にパイロット弁100のためのガイド孔91を有しており、パイロット弁100は、このガイド孔91に摺動可能に嵌合されている。これにより、パイロット弁100は、ガイド孔91によってガイドされながら、後述する操作軸110の軸方向に移動可能になっている。なお、パイロット弁ケース90には切欠部(図示省略)が形成されており、この切欠部によって、背圧室75と、ボデー60に形成されたガイド孔62及びパイロット弁ケース90に形成されたガイド孔91とが、互いに連通状態になっている。
【0041】
また、パイロット弁ケース90は、主弁本体81が位置する側の端部に、L字状に折れ曲がった形態の係合突部92を有しており、この係合突部92を主弁本体81の係合孔86に係合させることにより、主弁本体81と一体移動する状態に主弁本体81に固定されている。主弁本体81は、パイロット弁ケース90と、ボデー60のガイド孔62とによるガイド作用によって案内されながら移動するように配設されている。
【0042】
また、パイロット弁100は、当該パイロット弁100を移動操作する操作軸110を有している。この操作軸110は、くびれ部111を除いてその全体が断面円形、且つ、外径が軸方向の一端から他端に到るまで一様な棒状をなしている。パイロット弁100は、操作軸110におけるくびれ部111よりも、図中上端側の一部にて構成されている。また、操作軸110には、くびれ部111の両端に、断面円形の直径が徐々に変化する傾斜面112が形成されている。
【0043】
ここで、操作軸110とボデー60との間は、Oリング等のリング状のシール部材120によって水密にシールされており、シール部材120は、支持部材115によって図中上向きに押さえられた状態で支持されている。また、この支持部材115は、中心部に挿通孔を有しており、操作軸110は、この挿通孔を挿通して、図中の下端側がボデー60の凹所70内に突き出している。
【0044】
また、主弁80には、その中心部に貫通孔が形成されており、この貫通孔の内周面と、操作軸110のくびれ部111との間に、パイロット流路83が狭小幅で環状に形成されている。即ち、主弁80には、中心の貫通孔の内周面に沿って軸心周りに環状をなすパイロット弁座84が設けられている。このパイロット弁座84には、円形の環状の保持溝103の内部に、弾性を有するOリング等のリング状のシール部材121が保持されている。
【0045】
このシール部材121は、保持溝103の溝底面105と、互いに対向する一対の溝側面104とによって保持されている。このうち、溝底面105と、図中下側の溝側面104とは、主弁本体81に形成されており、図中上側の溝側面104は、パイロット弁ケース90に形成されている。即ち、パイロット弁ケース90は、主弁80の移動案内をなす主弁ガイドとしての働きに加え、シール部材121に対するキャップとしての機能を有している。パイロット弁100は、閉弁状態で、このシール部材121を介してパイロット弁座84に水密に弾性嵌合し、パイロット流路83を閉塞する。
【0046】
また、保持溝103の内側には、パイロット弁ケース90によって形成されている側の溝側面104からシール部材121に向けて突出しり凸形状のシール押え106が設けられている。このシール押え106は、パイロット弁100における径方向に放射状に延びる形態で設けられている。例えば、シール押え106は、全体として十字状をなすように周方向に90°ごとに隔たった4箇所に設けられている。即ち、シール押え106は、保持溝103の周方向に沿って90°ごとに部分的に設けられている。これらのシール押え106は、保持溝103の全深さに亘って、つまり、上側の溝側面104の全幅に亘って設けられている。また、シール押え106は、下側の溝側面104との間でシール部材121を僅かに圧縮弾性変形させる状態に、即ち、溝側面104との間にシール部材121を挟み込み、溝側面104の方向に押圧可能に設けられている。
【0047】
また、ボデー60の外面における図中下方側には、水側バルブ31の駆動部であるモータ130が取り付けられている。また、ボデー60の内部の収容室68には、雌ネジ部材135と、雄ネジ部材137と、雌ネジ部材135の回転角度位置を検出するセンサ140とが収容されている。このうち、センサ140は、雌ネジ部材135の外周面に形成されるリブ状の検知部136を検知することにより、雌ネジ部材135の回転角度位置を検出する。これにより、パイロット弁100の軸方向位置を検出する。
【0048】
雌ネジ部材135は、有底円筒状をなしていて、その内周面に雌ネジ部が形成されている。また、雌ネジ部材135の底部には、モータ130からの出力軸である回転軸131が結合されており、雌ネジ部材135がモータ130によって回転軸131と一体に回転するようになっている。
【0049】
一方、雄ネジ部材137は、外周面に雄ネジ部が形成されており、この雄ネジ部が雌ネジ部材135の雌ネジ部に螺合している。また、雄ネジ部材137には、中心部には挿込孔138が形成されており、この挿込孔138には、操作軸110の図中の下端部が圧入状態に差し込まれている。これにより、雄ネジ部材137は、操作軸110と結合している。
【0050】
このように構成される水側バルブ31は、モータ130の駆動力によって回転軸131が回転すると、これと一体に雌ネジ部材135が回転運動し、この回転運動が雌ネジ部と雄ネジ部との螺合に基づいて雄ネジ部材137及び操作軸110の直線運動に変化される。これにより、雄ネジ部材137と操作軸110とは、操作軸110の軸方向にネジ送りによって進退移動する。操作軸110がこのように進退移動した場合、パイロット弁100も一体に移動するため、これにより、主弁80も開閉方向に動作する。
【0051】
なお、雄ネジ部材137は、図中の上端部にフランジ部を有しており、フランジ部には、一対の切欠部が、周方向に180°隔たった2箇所に形成されている。このように設けられる切欠部は、ボデー60の係合突起69に係合しており、この係合作用により、雄ネジ部材137は回転阻止されている。
【0052】
また、雄ネジ部材137には、挿込孔138の周りに円環状の溝139が形成されており、この溝139には、スプリング145の図中下方側の部分が挿入されている。このスプリング145は、雄ネジ部材137と支持部材115との間に介在し、軸方向の各端を雄ネジ部材137の溝139の底面と、支持部材115の下面とに当接させ、双方に対して互いに離れる方向の付勢力を付与している。
【0053】
この実施形態1に係る湯水混合水栓10は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。この湯水混合水栓10で吐水を行う場合には、吐水ヘッド14の吐水口15から吐水する混合水の温度や流量を操作部55に入力する。この入力した情報は制御部50に伝達され、この情報に基づいて制御部50で水側バルブ31と湯側バルブ32とを制御する。これにより、水側バルブ31は、水止水栓41を介して接続される給水管から流入する水を、制御部50からの信号に基づいた流量に調節して、水側ホース35の方向に流出する。同様に、湯側バルブ32は、湯止水栓42を介して接続される給湯管から流入する湯を、制御部50からの信号に基づいた流量に調節して、湯側ホース36の方向に流出する。
【0054】
これらの水側ホース35を流れる水と湯側ホース36とを流れる湯とは、混合部25で合流し、混合水となって可撓性ホース20に流れる。可撓性ホース20を流れる混合水は、当該可撓性ホース20の端部に接続される吐水ヘッド14から吐水される。これにより、操作部55で入力した温度と流量の混合水が、吐水ヘッド14の吐水口15から吐水される。
【0055】
ここで、この水側バルブ31と湯側バルブ32との動作について説明する。なお、水側バルブ31と湯側バルブ32とは、基本的には同じ構成であるため、代表して水側バルブ31を用いて動作の説明を行う。
図9〜
図11は、水側バルブのパイロット弁周りの詳細図であり、
図9は、パイロット弁の閉弁時の状態、
図10は、ブリード流から本流に切り替わる状態、
図11は、パイロット弁の開弁時の状態を、それぞれ示している。パイロット弁100の閉弁時は、パイロット弁100はシール部材121を介してパイロット弁座84に全周に亘り弾性嵌合しており、パイロット流路83は閉塞している(
図9)。
【0056】
この状態から、操作軸110が図中上方向に移動した場合、シール部材121にも上方向の力が加わるが、シール部材121はシール押え106によって移動が阻止されている。このため、パイロット弁100だけが単独で上向きに移動し、パイロット弁座84との間に、詳しくはシール部材121との間に、一定の追従間隙dが生じる(
図10)。このように、追従間隙dが生じた場合、それまで生じていたブリード流から本流に切り替わり始める。
【0057】
ブリード流から本流に切り替わり始めた状態から、操作軸110が図中上方向に移動すると、主弁80はパイロット弁100との間に一定の微小な追従間隙dを維持しつつ、パイロット弁100に追従して図中上向きに移動して開弁する。これにより、主流路63が開かれて、そこに水の流れが生じ、本流が生じる(
図11)。これにより、一次側流路64側の水が二次側流路65に流れる。
【0058】
主弁80が開弁している状態で、パイロット弁100をさらに上向きに移動させた場合、主弁80も同方向に移動するため、弁開度が大きくなり、主流路63を流れる水の流路が増大する。反対に、パイロット弁100を図中下向きに移動させると、主弁80はパイロット弁100に追従して下向きに移動するため、弁開度は小さくなり、主流路63を流れる水の流路は減少する。このように、パイロット弁100を下方に移動させて閉弁させると、主弁80も閉弁状態になるため、主流路63を閉鎖され、主流路63の水の流れは停止する。
【0059】
水側バルブ31や湯側バルブ32で水や湯の流量を調節する場合には、モータ130を駆動させて、これらのように操作軸110を介してパイロット弁100を開閉させることにより行う。
【0060】
これらのように、水側バルブ31や湯側バルブ32を作動させることにより吐水ヘッド14の吐水口15から吐水する混合水を所望の位置に吐水させる場合には、吐水ヘッド14を吐水管11から外すと共に可撓性ホース20を吐水管11から引き出し、吐水ヘッド14を所望の位置に移動させる。吐水ヘッド14は、このように、他端側が混合部25に接続されている可撓性ホース20に接続されているため、水側バルブ31や湯側バルブ32側からの混合水の流路を確保しつつ、可撓性ホース20による撓みによって、所望の位置に移動させることができる。
【0061】
ここで、このように吐水ヘッド14を吐水管11から外して所望の位置に移動させる場合には、その位置に応じて、カウンタ1の下方に位置する可撓性ホース20が引き出される。即ち、吐水ヘッド14の移動に伴ってカウンタ1下の可撓性ホース20の長さが変化するが、カウンタ1下に位置する可撓性ホース20の端部は、混合部25が位置決め部材26によって吐水管11に対して位置決めされることにより、この端部も吐水管11に対して位置決めされている。このため、カウンタ1下に位置する可撓性ホース20は、端部の位置は変化せず、この端部と、吐水管11に入り込んでいる部分の間の可撓性ホース20の長さのみが変化する。
【0062】
吐水ヘッド14を移動させる場合には、このように、カウンタ1の下に位置する可撓性ホース20は、位置決めされた端部と、吐水管11に入り込んでいる部分との間の長さが変化することにより、カウンタ1の上に位置する部分の可撓性ホース20の長さが変化し、吐水ヘッド14までの混合水の流路を維持する。これにより、吐水ヘッド14は、混合水を吐水しつつ、可撓性ホース20が届く範囲内で自由に移動させることができる。
【0063】
以上の湯水混合水栓10は、混合水の流量や温度を調節する水側バルブ31や湯側バルブ32、さらに混合部25を、カウンタ1における吐水管11を設置する設置面2側の反対側に配設しているため、吐水管11の周囲をすっきりさせることができる。また、吐水ヘッド14に接続される可撓性ホース20におけるカウンタ1下側の端部を、吐水管11に対して位置決めしているため、吐水ヘッド14の移動時にカウンタ1の可撓性ホース20の長さが変化する際に、可撓性ホース20がカウンタ1の下方に位置する他の機器類に干渉し難くすることができる。この結果、美観を向上させると共に、可撓性ホース20の干渉を抑制することができる。
【0064】
また、可撓性ホース20は混合部25に接続されており、位置決め部材26は混合部25の位置決めを行うため、可撓性ホース20の端部の位置決めを容易に行うことができる。この結果、可撓性ホース20の端部の位置決めを行う際の部品の点数を抑えることができ、製造コストを抑えることができる。
【0065】
また、水側バルブ31と混合部25との間は、可撓性のある水側ホース35で接続し、湯側バルブ32と混合部25との間は、可撓性のある湯側ホース36で接続しているので、水側バルブ31や湯側バルブ32の配置を容易に行うことができる。この結果、湯水混合水栓10の設置時の作業性を向上させることができる。
【0066】
また、可撓性ホース20の端部が接続される混合部25は、吐水管11の設置に用いる締付ナット17に対して、位置決め部材26によって取り付けられているため、可撓性ホース20の端部の位置決めを、より確実に行うことが出来る。この結果、可撓性ホース20の干渉を、より確実に抑制することができる。
【0067】
[実施形態2]
実施形態2に係る湯水混合水栓200は、実施形態1に係る湯水混合水栓10と略同様の構成であるが、混合部25と可撓性ホース接続部210とが別々になっている点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0068】
図12は、実施形態2に係る湯水混合水栓の概略図である。実施形態2に係る湯水混合水栓200は、実施形態1に係る湯水混合水栓10と同様に、水側バルブ31と湯側バルブ32とは、水側ホース35と湯側ホース36とによって混合部25に接続されている。また、この混合部25には、可撓性ホース20ではなく、可撓性を有するホースである混合部ホース215が接続されている。この混合部ホース215の他端側は、可撓性ホース接続部210に接続されており、一端が吐水ヘッド14に接続される可撓性ホース20の他端側は、この可撓性ホース接続部210に接続されている。
【0069】
本実施形態2に係る湯水混合水栓200は、混合部25は位置決め部材26(
図4等参照)によって締付ナット17に取り付けられておらず、代わりに可撓性ホース接続部210が位置決め部材26によって締付ナット17に取り付けられている。可撓性ホース接続部210に接続される可撓性ホース20は、この可撓性ホース接続部210の下方に垂らされ、さらに、上方に折り返されて吐水管11の内側に通されている。このため、本実施形態2に係る湯水混合水栓200では、カウンタ1の下方に位置する可撓性ホース20の端部は、可撓性ホース接続部210を介して吐水管11に対して位置決めされている。
【0070】
この実施形態2に係る湯水混合水栓200は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。湯水混合水栓200で吐水を行う場合には、制御部50からの電気信号に基づいて作動する水側バルブ31と湯側バルブ32とから、水側ホース35と湯側ホース36に水と湯とが流れ、混合部25で混合する。混合部25で混合した混合水は、混合部ホース215を伝わって可撓性ホース接続部210に流れ、可撓性ホース接続部210から可撓性ホース20に流れる。さらに、可撓性ホース20から吐水ヘッド14に流れることにより、混合水は、吐水ヘッド14から吐水される。
【0071】
また、吐水ヘッド14を吐水管11から外して所望の位置に動かす場合には、カウンタ1下では、可撓性ホース20における可撓性ホース接続部210に接続されている端部、即ち、可撓性ホース20における位置決めされた端部と、吐水管11に入り込んでいる部分との間の長さが変化する。これにより、カウンタ1の上に位置する部分の可撓性ホース20の長さが変化し、吐水ヘッド14は、混合水を吐水しつつ、可撓性ホース20が届く範囲内で自由に移動させることができる。
【0072】
以上の湯水混合水栓200は、可撓性ホース20の端部を接続する可撓性ホース接続部210を混合部25とは別体で設け、この可撓性ホース接続部210の位置決めを行っているため、水側バルブ31や湯側バルブ32、混合部25の配置位置に関わらず、可撓性ホース20の端部の位置決めを行うことができる。この結果、可撓性ホース20の干渉を、より確実に抑制することができる。
【0073】
また、可撓性ホース接続部210の位置決めを行うことを介して可撓性ホース20の端部の位置決めを行っているため、可撓性ホース20の端部付近に位置するホースの数を減らすことができる。つまり、混合部25には、可撓性ホース20の他に水側ホース35と湯側ホース36との2本のホースが接続されるのに対し、可撓性ホース接続部210には、混合部ホース215の1本が接続されるのみになっている。従って、可撓性ホース20の端部付近に位置するホースの本数を減らすことができ、可撓性ホース20の干渉を、より確実に抑制することができる。
【0074】
なお、上述した湯水混合水栓10、200では、水側バルブ31と湯側バルブ32とは、吐水管11から見て同一方向に配置しているが、これ以外の形態で配置してもよい。
図13は、実施形態1に係る湯水混合水栓の変形例を示す説明図である。
図14は、実施形態2に係る湯水混合水栓の変形例を示す説明図である。例えば、実施形態1に係る湯水混合水栓10では、水側バルブ31と湯側バルブ32とは、
図13に示すように、吐水管11の両側に位置するように配置してもよく、同様に、実施形態2に係る湯水混合水栓200でも、水側バルブ31と湯側バルブ32とは、
図14に示すように、吐水管11の両側に位置するように配置してもよい。水側ホース35と湯側ホース36とを、共に可撓性を有するホースにすることにより、これらのように自在に配置することができ、湯水混合水栓10、200の設置場所に合わせて、容易に設置することができる。この結果、設置性がよく、使い易い湯水混合水栓10、200を得ることができる。
【0075】
また、上述した湯水混合水栓10、200では、位置決め部材26は、締付ナット17の軸部18が入り込む貫通孔を有し、この貫通孔に軸部18を通して当該位置決め部材26を締付ナット17取り付けることにより、混合部25や可撓性ホース接続部210を締付ナット17に取り付けているが、位置決め部材26は、これ以外の形態であってもよい。位置決め部材26は、例えば、締付ナット17の軸部18に対する嵌め込み式のクリップ状に形成されていてもよい。これにより、混合部25や可撓性ホース接続部210をビス27等で取り付けたクリップを、締付ナット17に嵌め込むことにより、可撓性ホース20の位置決めを、容易に行うことができる。また、位置決め部材26を嵌め込み式にすることにより、湯水混合水栓10、200の設置後に、必要に応じて混合部25や可撓性ホース接続部210を締付ナット17から取り外すことができ、メンテナンス等を行う場合の作業性を向上させることができる。
【0076】
また、位置決め部材26は、締付ナット17以外に対して取り付けてもよい。位置決め部材26は、締付ナット17以外の部材でも、吐水管11に対して位置決めを行うことのできるように設けられていれば、位置決めの手法は問わない。
【0077】
また、上述した湯水混合水栓10、200では、吐水部保持部である吐水管11は、水栓設置部材であるカウンタ1の上面に設置されているが、吐水部保持部は、水栓設置部材の上面以外に設置されていてもよい。吐水部保持部は、例えば水栓設置部材の下面側に設置されていてもよく、また、水栓設置部材の設置面が水平方向に面している場合には、吐水部保持部は、この水平方向の面に設置されていてもよい。水栓設置部材に対する吐水部保持部に設置状態に関わらず、水側バルブ31や湯側バルブ32、混合部25、さらに、可撓性ホース20の端部の位置決めをする位置決め部材26が、水栓設置部材における吐水部保持部が設置される側の面の反対側の面に設置されていれば、その形態は問わない。