(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013727
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】膨張可能密閉部材を含むアクセスアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/02 20060101AFI20161011BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
A61B17/02
A61B17/34
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-266953(P2011-266953)
(22)【出願日】2011年12月6日
(65)【公開番号】特開2012-130673(P2012-130673A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】61/425,331
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/223,613
(32)【優先日】2011年9月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501289751
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ フィッシュボート
【審査官】
西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−083605(JP,A)
【文献】
特開2012−110673(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0221966(US,A1)
【文献】
米国特許第05997515(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0312065(US,A1)
【文献】
米国特許第06033428(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0091080(US,A1)
【文献】
特開2012−110683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00−18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を介した挿入のためのアクセスアセンブリであって、
該アクセスアセンブリは、
可撓性外側スリーブであって、該可撓性外側スリーブは、近位端部に形成された上部リムと、遠位端部に形成された下部リムとを有し、該上部リムと該下部リムとの間に延在する長手方向開口部を規定し、該下部リムは膨張可能空間を規定し、該膨張可能空間は、収縮された状態において、組織を介した該下部リムの挿入を容易にし、膨張された状態において、該アクセスアセンブリを該組織に対して適切な位置に保持することを助ける、可撓性外側スリーブと、
該外側スリーブの該長手方向開口部内に固定された膨張可能部材であって、該膨張可能部材は、少なくとも3つの膨張可能ローブを含み、該少なくとも3つの膨張可能ローブは、該膨張可能ローブの膨張前に共通の点において互いに固定され、隣接する膨張可能ローブは、側壁を有し、共有の長手方向スロットを規定し、該共有の長手方向スロットは、密閉する態様で、少なくとも1つの外科手術装置を選択的に受け取るように構成され、該隣接する膨張可能ローブは、該側壁が互いに係合可能であるように互いの方へ拡張可能である、膨張可能部材と
を含む、アクセスアセンブリ。
【請求項2】
前記上部リムは、選択的に膨張されるように構成されている、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項3】
前記上部リムおよび前記下部リムのうちの少なくとも1つは、圧縮されるように構成されている、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項4】
前記上部リムは、中央部分の直径よりも大きい直径を有している、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項5】
前記外側スリーブは、前記膨張可能部材と一体的に形成される、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項6】
前記複数の膨張可能ローブの完全な収縮は、上部リムおよび下部リムのうちの少なくとも1つの内側方向の凹みの原因となる、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項7】
前記複数の膨張可能ローブは、それぞれ、膨張流体の供給源に動作可能に接続される、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項8】
前記複数の膨張可能ローブは、それぞれ、膨張流体の供給源に独立して接続される、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項9】
前記膨張可能ローブのうちの少なくとも1つは、くさび形状である、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項10】
前記複数の膨張可能ローブは、該ローブが一緒に付着することを妨げることと、該ローブの間の密閉を容易にすることと、該ローブを介した外科手術装置の受け取りを容易にすることとのうちの少なくとも1つを提供するコーティング層を備える、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項11】
膨張可能部材は、該膨張可能部材を介して2つ以上の外科手術装置を同時に受け取るように構成されている、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項12】
前記長手方向スロットは、実質的に線形であり、該長手方向スロット内での外科手術装置の横方向並進を可能にするように構成されている、請求項1に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項13】
組織を介した挿入のためのアクセスアセンブリであって、該アクセスアセンブリは、
可撓性外側スリーブであって、該可撓性外側スリーブは、該可撓性外側スリーブを通って延在する長手方向開口部を規定する、可撓性外側スリーブと、
該外側スリーブの該長手方向開口部内に固定された膨張可能部材と
を含み、該膨張可能部材は、
少なくとも3つの膨張可能ローブであって、該少なくとも3つの膨張可能ローブは、該膨張可能ローブの膨張前に共通の点において互いに固定されている、少なくとも3つの膨張可能ローブと、
隣接する膨張可能ローブの側壁によって規定された複数の長手方向スロットであって、該複数の長手方向スロットは、少なくとも1つの外科手術装置を受け取るように構成されている、複数の長手方向スロットと
を含み、該膨張可能ローブおよび該長手方向スロットは、共通の交点を共有し、該膨張可能ローブは、該側壁が互いに係合可能であるように互いの方へ拡張可能である、
アクセスアセンブリ。
【請求項14】
前記長手方向スロットは、前記共通の交点から半径方向外向きに延在する、請求項13に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項15】
前記膨張可能ローブは、前記長手方向スロットが、該長手方向スロットを通って延在する開口部を規定する膨張されていない状態と、該長手方向スロットが密閉される膨張された状態との間で再位置決め可能である、請求項13に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項16】
組織を介した挿入のためのアクセスアセンブリであって、該アクセスアセンブリは、
可撓性外側スリーブであって、該可撓性外側スリーブは、該可撓性外側スリーブを通って延在する長手方向開口部を規定する、可撓性外側スリーブと、
該外側スリーブの該長手方向開口部内に固定された膨張可能部材と
を含み、該膨張可能部材は、
少なくとも3つの膨張可能ローブであって、該少なくとも3つの膨張可能ローブは、該膨張可能ローブの膨張前に共通の点において互いに固定されている、少なくとも3つの膨張可能ローブと、
隣接する膨張可能ローブの側壁によって規定された長手方向スロットと
を含み、隣接する膨張可能ローブは、共通の長手方向スロットを共有し、隣接する膨張可能ローブは、拡張されたときに該側壁が互いに係合可能であるように互いの方へ拡張可能である、
アクセスアセンブリ。
【請求項17】
前記膨張可能ローブは、前記長手方向スロットが、該長手方向スロットを通って延在する開口部を規定する膨張されていない状態と、該長手方向スロットが密閉される膨張された状態との間で再位置決め可能である、請求項16に記載のアクセスアセンブリ。
【請求項18】
前記長手方向スロットは、前記膨張可能ローブの外側境界を規定する、請求項16に記載のアクセスアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2010年12月21日に出願された米国仮出願第61/425,331号の利益および優先権を主張する。その出願の全内容は、本明細書において参照することによって援用される。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、外科手術処置における使用のためのアクセスアセンブリに関する。より具体的には、本開示は、膨張可能密閉部材を含むアクセスアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
切開を介して腹腔の中へ受け取られるために構成されているアクセスアセンブリは公知であり、切開を介してアクセスアセンブリを挿入する方法も同様に公知である。伝統的なアクセスアセンブリは、体壁の組織を介して体腔の中へ受け取られる硬質なカニューレを含む。次いで、内視鏡器具、腹腔鏡器具および他の適切な器具がカニューレの近位端部におけるハウジングを介して方向付けられ得ることによって、体腔に密閉する態様でアクセスアセンブリを介してアクセスする。
【0004】
体腔にアクセスし、密閉する態様で圧縮性可能アセンブリを介した器具の受け取りを可能にするために構成されている圧縮性可能アセンブリも公知である。そのような圧縮性可能アセンブリは、シリコーン、熱可塑性エラストマー(TPE)、ゴム、発泡体、ゲルおよび他の圧縮性可能材料から成り、圧縮されるように構成され得ることによって、切開の中への挿入を容易にする。一般的に、そのようなアセンブリは、外科医が自身の指を用いるか、または把持デバイス(例えば、鉗子)の補助によって変形される。アセンブリの圧縮は、アセンブリのプロファイルを減少させ、それによって、アセンブリを切開の中へ受け取ることを容易にする。圧縮力が解放されると、圧縮されたアセンブリは、圧縮されていない構成に戻る。圧縮されていない構成において、アクセスアセンブリは、体腔の中への切開を密閉する。アセンブリは、1つ以上の密閉された経路を有し得、経路を介して器具を受け取る。アセンブリは、任意で吹き込みガスの供給源と接続するために構成され得る。
【0005】
圧縮性可能アセンブリの圧縮は、挿入中にアセンブリへ損傷を与える原因となり得、それによって、アセンブリの有効性を減少させるか、またはなくす。切開において受け取られた圧縮性可能アセンブリの圧縮された構成から圧縮されていない構成への拡張は、アセンブリが適切なサイズにされない場合、組織損傷の原因となり得る。あるいは、アセンブリは、密閉を作るのに十分に圧縮解除しない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、膨張可能密閉部材を含むアクセスアセンブリを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(概要)
組織における開口部を介した挿入のためのアクセスアセンブリが提供される。アクセスアセンブリは、近位端部において形成された上部リムと、遠位端部において形成された下部リムとを有し、その間に延在する長手方向開口部を規定する可撓性外側スリーブを含む。下部リムは、収縮された状態において、組織を介して下部リムを挿入することを容易にし、膨張された状態において、アクセスアセンブリを組織に対する場所において保持する助けをする膨張可能空間を規定し得る。アクセスアセンブリは、外側スリーブの長手方向開口部内に固定された膨張可能部材をさらに含む。膨張可能部材は、複数の膨張可能ローブを含み、複数の膨張可能ローブは、密閉する態様で、複数の膨張可能ローブの間の少なくとも1つの外科手術装置を選択的に受け取るように構成されている。上部リムは、選択的に膨張されるように構成され得る。上部リムおよび下部リムのうちの少なくとも1つは、圧縮されるように構成され得る。上部リムは、中央部分の直径よりも大きい直径を有し得る。
【0008】
実施形態において、アクセスアセンブリは、1つ、2つ、3つまたはより多くの膨張可能ローブを含み得る。外側スリーブは、一体的に膨張可能部材と形成され得る。複数の膨張可能ローブの完全な収縮は、上部リムおよび下部リムのうちの少なくとも1つの内側方向への凹みの原因となり得る。複数の膨張可能ローブの各々は、動作可能に膨張流体の供給源に接続され得る。複数の膨張可能ローブの各々は、独立に膨張流体の供給源に接続され得る。膨張可能ローブのうちの少なくとも1つは、くさび形状であり得る。複数の膨張可能ローブは、ローブが一緒に付着することを妨げることと、ローブの間の密閉を容易にすることと、ローブを介して外科手術装置を受け取ることを容易にすることとのうちの少なくとも1つを提供する材料によってコーティングされ得る。膨張可能部材は、膨張可能部材を介して2つ以上の外科手術装置を同時に受け取るように構成され得る。
【0009】
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
組織を介した挿入のためのアクセスアセンブリであって、
該アクセスアセンブリは、
可撓性外側スリーブであって、該可撓性外側スリーブは、近位端部に形成された上部リムと、遠位端部に形成された下部リムとを有し、該上部リムと該下部リムとの間に延在する長手方向開口部を規定し、該下部リムは膨張可能空間を規定し、該膨張可能空間は、収縮された状態において、組織を介した該下部リムの挿入を容易にし、膨張された状態において、該アクセスアセンブリを該組織に対して適切な位置に保持することを助ける、可撓性外側スリーブと、
該外側スリーブの長手方向開口部内に固定された膨張可能部材であって、該膨張可能部材は、複数の膨張可能ローブを含み、該複数の膨張可能ローブは、密閉する態様で、該複数の膨張可能ローブの間で少なくとも1つの外科手術装置を選択的に受け取るように構成されている、膨張可能部材と
を含む、アクセスアセンブリ。
(項目2)
上記上部リムは、選択的に膨張されるように構成されている、上記項目に記載のアクセスアセンブリ。
(項目3)
上記上部リムおよび上記下部リムのうちの少なくとも1つは、圧縮されるように構成されている、上記項目のいずれかに記載のアクセスアセンブリ。
(項目4)
上記上部リムは、中央部分の直径よりも大きい直径を有している、上記項目のいずれかに記載のアクセスアセンブリ。
(項目5)
3つの膨張可能ローブを含む、上記項目のいずれかに記載のアクセスアセンブリ。
(項目6)
上記外側スリーブは、上記膨張可能部材と一体的に形成される、上記項目のいずれかに記載のアクセスアセンブリ。
(項目7)
上記複数の膨張可能ローブの完全な収縮は、上部リムおよび下部リムのうちの少なくとも1つの内側方向の凹みの原因となる、上記項目のいずれかに記載のアクセスアセンブリ。
(項目8)
上記複数の膨張可能ローブは、それぞれ、膨張流体の供給源に動作可能に接続される、上記項目のいずれかに記載のアクセスアセンブリ。
(項目9)
上記複数の膨張可能ローブは、それぞれ、膨張流体の供給源に独立して接続される、上記項目のいずれかに記載のアクセスアセンブリ。
(項目10)
上記膨張可能ローブのうちの少なくとも1つは、くさび形状である、上記項目のいずれかに記載のアクセスアセンブリ。
(項目11)
上記複数の膨張可能ローブは、該ローブが一緒に付着することを妨げることと、該ローブの間の密閉を容易にすることと、該ローブを介した外科手術装置の受け取りを容易にすることとのうちの少なくとも1つを提供する材料によってコーティングされる、上記項目のいずれかに記載のアクセスアセンブリ。
(項目12)
膨張可能部材は、該膨張可能部材を介して2つ以上の外科手術装置を同時に受け取るように構成されている、上記項目のいずれかに記載のアクセスアセンブリ。
【0010】
(摘要)
組織における開口部を介した挿入のためのアクセスアセンブリが提供される。アクセスアセンブリは、近位端部において形成された上部リムと、遠位端部において形成された下部リムとを有し、その間に延在する長手方向開口部を規定する可撓性外側スリーブを含む。下部リムは、収縮された状態において、組織を介して下部リムを挿入することを容易にし、膨張された状態において、アクセスアセンブリを組織に対する場所において保持する助けをする膨張可能空間を規定し得る。アクセスアセンブリは、外側スリーブの長手方向開口部内に固定された膨張可能部材をさらに含む。膨張可能部材は、複数の膨張可能ローブを含み、複数の膨張可能ローブは、密閉する態様で、複数の膨張可能ローブの間の少なくとも1つの外科手術装置を選択的に受け取るように構成されている。
【0011】
可撓性アクセスアセンブリの実施形態が本明細書において図面を参照して開示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示に従ったアクセスアセンブリの実施形態の透視図である。
【
図2】
図2は、
図1のアクセスアセンブリの上面図であり、部分的に収縮された状態の膨張可能密閉部材を含む。
【
図3】
図3は、
図1および
図2のアクセスアセンブリの上面図であり、膨張された状態の膨張可能密閉部材を含む。
【
図4】
図4は、
図3のアクセスアセンブリの断面側面図である。
【
図5A】
図5Aは、
図1〜
図4のアクセスアセンブリの透視図であり、収縮された状態の膨張可能上部リムおよび膨張可能下部リムを含む。
【
図5B】
図5Bは、
図1のアクセスアセンブリの透視図であり、完全に収縮された状態の膨張可能密閉部材を含む。
【
図6】
図6は、組織における切開を介して位置決めされた
図1の可撓性アセンブリの透視図である。
【
図7】
図7は、部分的に断面において示された、
図1のアクセスアセンブリの側面図であり、アクセスアセンブリを介して受け取られた外科手術装置を含む。
【
図8】
図8は、
図1のアクセスアセンブリの上面図であり、アクセスアセンブリを介して挿入された複数の外科手術装置を含む。
【
図9】
図9は、本開示の代替の実施形態に従ったアクセスアセンブリの上面図である。
【
図10】
図10は、本開示の別の実施形態に従ったアクセスアセンブリの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
本開示のアクセスアセンブリの実施形態がここで図面を参照して詳細に説明される。類似の数字は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を指す。当分野において共通であるが、用語「近位」は、ユーザまたはオペレータ(例えば、外科医または内科医)に、より近いその部分または構成要素を指し、用語「遠位」は、ユーザからより遠く離れたその部分または構成要素を指す。本開示のアクセスアセンブリは、腹壁における切開を介して腹腔にアクセスすることに関するとして説明されるが、本開示のアクセスアセンブリは、他の閉じられた処置(例えば、腹腔鏡、関節鏡、内視鏡)における使用に対して改変され得る。さらに、本開示のアクセスアセンブリは、自然な開口(例えば、肛門、膣)を介して内部腔にアクセスする際の使用に対して改変され得る。
【0014】
まず、
図1を参照すると、本開示の実施形態に従ったアクセスアセンブリが全体的にアクセスアセンブリ100として示される。アクセスアセンブリ100は、選択的に膨張可能であることによって、挿入および膨張後にアクセスアセンブリ100が切開内に密閉を作るように、アクセスアセンブリ100を患者の身体における開口部を介して挿入することを可能にする。切開を介して、外科医は、1つ以上の外科手術器具を挿入および操作し得、処置を完了させる。
【0015】
図1〜
図4を参照すると、アクセスアセンブリ100は、可撓性外側スリーブ110および膨張可能密閉部材120を含む。外側スリーブ110は、実質的環状本体112を規定する。環状本体112は、環状本体112の近位端部に配置された上部リム114および環状本体112の遠位端部配置された下部リム116を有する。スリーブ110の本体112は、本体112を介して長手方向開口部113を規定し、長手方向開口部113は、長手方向開口部113の中に膨張可能密閉部材120を受け取るように構成されている。環状本体112は、組織「T」(
図6)の厚さに及ぶように構成されている。上部リム114および下部リム116は、アクセスアセンブリ100が長手方向に切開「I」(
図6)を介し動くことを妨げる助けをする。組織「T」の厚さは、患者の身体構図と、下にある腔がアクセスされる位置に依るので、アクセスアセンブリ100の長さおよびサイズは、所与の処置に適するように改変され得る。
【0016】
さらに
図1〜
図4を参照すると、アクセスアセンブリ100の外側スリーブ110は、例えば、シリコーン、熱可塑性エラストマー(TPE)、ゴム、気泡体、ゲルなどのようなさまざまな材料から形成され得る。一実施形態において、環状本体112は、不活性ガス(例えば、CO
2または窒素)によって注入されるTPE材料を含み、気泡体構造を形成する。本体112は、潤滑な表面を作るために潤滑剤(例えば、パリレンNまたはC)によってコーティングされ得る。さまざまな他のコーティング(例えば、親水性、疎水性、生体物質、抗感染、鎮痛剤)も採用され得ることによって、アクセスアセンブリを改善するか、またはアクセスアセンブリ100を特定の処置に適合させる。スリーブ110の上部リム114および下部リム116は、本体112と同じまたは異なる材料から形成され得る。上部リム114および下部リム116は、本体112と一体的に形成され得るか、または、その代わりに、本体112に粘着的方法、溶接方法、接着方法またはいずれか他の適切な方法によってしっかり取り付けられ得る。示されるように、上部および下部リム114、116の各々は、それぞれ膨張可能空間または腔114a、116aを規定する。示されていないが、環状本体112も、アクセスアセンブリ100を切開「I」に固定することを助けるために、選択的に膨張するように構成される腔(示されていない)を規定し得ることが予測される。
【0017】
特にここで
図4を参照すると、上部リム114の腔114aおよび下部リム116の腔116aが膨張可能流体50の供給源(
図1)に膨張管51によって動作可能に接続され、上部リム114および下部リム116を選択的に膨張させる。上部および下部リム114、116の各々は、リム114、リム116の両方が同時に膨張するように、膨張流体50の供給源に連続的に連結され得る。あるいは、上部および下部リム114、116の各々は、リム114、リム116が独立に膨張され得るように、膨張流体50の供給源に独立に連結される。このようにして、リム114、リム116のうちの1つの偶発的収縮または意図的収縮は、リム114、リム116のうちの他方の収縮の原因とならない。これは、別個の膨張ポートを用いるか、またはバルブアセンブリ(示されていない)の使用によって達成され得る。上部リム114は、切開「I」内で受け取られることがなく、そのため、収縮を要求しないので、上部リム114が臨床医に完全に膨張されて提供され得ることが予測される。腔114a、116aは、空気および水を含む(しかし、それらに限定されない)いずれか適切な流体を用いて膨張され得る。膨張流体50の供給源は、手動ポンプ、使い捨てガスカートリッジ、空気圧縮機、水栓またはいずれか他の適切な手段を含み得る。あるいは、上部リム114および下部リム116は、自己膨張的である。このようにして、上部リム114の腔114aおよび下部リム116の腔116aは、負圧または吸引力を提供される。バルブアセンブリ(示されていない)を開けると、周囲空気が腔114a、116aの各々の中へ引かれ、それによって、上部リム114および下部リム116の膨張の原因となる。別の実施形態において、上部リム114および下部リム116は膨張可能ではないが、その代わりに、リム114、116の圧縮を可能にする圧縮性可能材料から成り、それによって、アクセスアセンブリ100を切開「I」の中へ挿入することを容易にする。
【0018】
さらに
図1〜
図4を参照すると、膨張可能密閉部材120は、スリーブ110の環状本体112において形成された長手方向腔113内にしっかり受け取られる。膨張可能密閉部材120は、複数の膨張可能ローブ122を含む。示されるように、膨張可能密閉部材120は、3つの膨張可能ローブ122a、122b,122cを含む。あるいは、膨張可能密閉部材120は、2つ(
図9)またはそれより多く(
図10)の膨張可能ローブを含み得る。膨張可能ローブ122は、長手方向開口部113の長さを延在し、くさび形状の部材を規定する。示されるように、膨張可能ローブ122a、122b、122cの各々は、実質的に類似している。ローブ122a、122b、122cのうちの1つ以上は、異なる構成を有し得ることが予測される。例えば、ローブ122a、122b、122cのうちの1つは、長手方向開口部113の全長さを延在しない場合がある。あるいは、ローブ122a、122b、122cのうちの1つは、それらから外側方向に延在する近位フランジまたは遠位フランジを有し得ることによって、膨張可能部材120が密閉を作ることをさらに確実にする。膨張可能ローブ122a、122b、122cは、ローブ122a、122b、122cのうちの少なくとも1つの他のローブをスリーブ110における長手方向開口部113の全長さに沿って係合するように構成されている。あるいは、ローブ122a、122b、122cの各々は、ローブ122a、122b、122cのうちの他方を開口部113の一部だけに沿って係合するように構成されている。長手方向スロット123a、123b、123cは、膨張可能ローブ122a、122b、122cの間に形成されることによって、1つ以上の外科手術装置「D1」、「D2」(
図8)が環状本体112の長手方向開口部113を介し密閉されて通過することを可能にする。
【0019】
膨張可能ローブ122a、122b、122cのうちのいずれか、または全ては、膨張可能ローブ122a、122b、122cのうちの他方へローブ122a、122b、122cのうちの2つ以上に共通の点において固定され得る。示されるように、膨張可能ローブ122a、122b、122cは、膨張可能密閉部材120の近位端部における点「P」において互いに固定される。代替の実施形態において、ローブ122a、122b、122cのうちの1つ以上は、ローブ122a、122b、122cのうちの他方へ膨張可能密閉部材120の遠位端部および/または膨張可能部材120の近位端部と遠位端部との間のいずれかの点において固定され得る。ローブ122a、122b、122cを1つ以上の位置において互いに固定することは、ローブ122a、122b、122cの間の接触を確実にし、それによって、密閉が膨張可能部材120を介して維持されることを確実にする。ローブ122a、122b、122cは、ローブ122a、122b、122cのうちの他方へ粘着的手段、溶接手段、接着手段、機械ファスナー手段またはいずれか他の適切な手段を用いて固定され得る。ローブ122a、122b、122cは、ローブ122a、122b、122cの外面において裏張り(示されていない)をさらに含み得、1つ以上の外科手術装置「D1」、「D2」(
図7)がローブ122a、122b、122cを介して挿入された場合、ローブ122a、122b、122cが裂けることか、または穴が開けられることから保護する。
【0020】
さらに
図1〜
図4を参照すると、上で論じたように、膨張可能ローブ122は、1つ以上の外科手術装置「D1」、「D2」が長手方向スロット123a、123b、123cのうちの1つ以上を介して密閉する態様で挿入され得るように構成されている。膨張可能ローブ122は、1つ以上の潤滑物質(示されていない)によってコーティングされ得ることによって、外科手術装置「D1」、「D2」の膨張可能ローブ122を介した挿入を容易にする。あるいは、または加えて、膨張可能ローブ122は、ローブ122a、122b、122cの各々の間に密閉を作ることを助けるために1つ以上の物質によってコーティングされ得る。さらに、膨張可能ローブ122は、ローブ122a、122b、122cが互いに付着することを妨げるためにコーティングを提供され得る。
【0021】
特にここで
図2を参照すると、アクセスアセンブリ100の膨張可能部材120が半収縮された状態のローブ122a、122b、122cと共に示される。半収縮された状態において、ローブ122a、122b、122cの間に作られた空間は、アクセスアセンブリ100が、アクセスアセンブリ100を切開「I」(
図6)を介して挿入することを容易にするために圧縮されることを可能にする。膨張可能部材120は、膨張可能部材120にローブ122a、122b、122cをさらに収縮させる吸引力を提供することによって、さらに収縮され得ることがさらに予測される。ローブ122a、122b、122cのさらなる収縮は、上部リム114および下部リム116の内側方向の凹みの原因となり得、それによって、アクセスアセンブリ100のプロファイルを減少させ、アクセスアセンブリ100を切開「I」を介して挿入することを容易にする。アクセスアセンブリ100は、外科医に収縮された状態または半収縮された状態のどちらかで提供され得る。
【0022】
特にここで
図3を参照すると、アクセスアセンブリ100の膨張可能部材120が完全に膨張された状態のローブ122a、122b、122cと共に示される。アクセスアセンブリ100は、外科医に完全に膨張された状態で提供され得るか、または上で論じたように、収縮された構成または半収縮された構成で提供され得る。膨張可能部材120は、動作可能に膨張流体50の供給源に接続される。あるいは、膨張可能部材120は、自己膨張するように構成され得る。示されるように、膨張流体供給源は、上部リム114および下部リム116を膨張させるために用いられるものと同じである。あるいは、膨張可能部材120は、独立または別個の膨張流体の供給源(示されていない)によって膨張され得る。ローブ122a、122b、122cは、個別または同時に膨張され得る。ローブ122a、122b、122cは、部分的に膨張され得るか、または部分的に収縮され得ることによって、1つ以上の大きな装置「D3」(
図10)がローブ122a、122b、122cを介して通過することを可能にする。膨張可能部材120は、ローブ122a、122b、122cのうちの1つ以上が偶発的に収縮すると、ローブ122a、122b、122cのうちの他方がさらに膨張され得ることによって、収縮されたローブの損失を補うように構成され得ることが予想される。
【0023】
アクセスアセンブリ100の使用が、ここで
図5A〜
図8を参照して説明される。以下の議論は、体腔「C」に切開「I」を介してアクセスするアクセスアセンブリ100を用いることを含む。上で論じたように、アクセスアセンブリ100は、他の腔または管腔に身体における他の開口部(例えば、肛門といった自然に生じた開口を含む)を介してアクセスするために用いられ得る。まず、切開「I」が組織「T」において従来の方法(例えば、外科用メス、組織パンチ)を用いて作られることによって、体腔「C」へのアクセスを提供する。
【0024】
まず、
図5Aを参照すると、一実施形態において、スリーブ110の少なくとも下部リム116が収縮されて、アクセスアセンブリを切開「I」を介して挿入することを容易にする。
図5Bを参照すると、上で論じたように、膨張可能部材120も(または代わりに)、完全に収縮され得るか、または半収縮され得、アクセスアセンブリ100を切開「I」を介して挿入することを容易にする。少なくとも半収縮されると、アクセスアセンブリ100は、圧縮され得、切開「I」を介した挿入を容易にする。膨張可能部材120のうちのローブ122a、122b、122cの完全な収縮は、上部リム114および下部リム116が急速に内側方向に凹む原因となり得、それによって、アクセスアセンブリ100を切開「I」を介して挿入することをさらに容易にする。あるいは、上で論じたように、スリーブ110の上部リム114および下部リム116は、代わりに、ユーザがリム114、116を圧縮することを可能にし、アクセスアセンブリ100を切開「I」を介して挿入することを容易にする圧縮性可能材料から形成され得る。
【0025】
図6を一時参照すると、切開「I」を介して受け取られると、上部リム114および下部リム116のどちらか、または両方と、膨張可能部材120とは膨張されることによってアクセスアセンブリ100を切開「I」内に固定し、それによって、体腔「C」を密閉する。上で論じたように、上部リム114および下部リム116は、独立または同時に膨張され得る。ローブ122a、122b、122cも独立または同時に膨張され得る。
【0026】
ここで
図8を参照すると、アクセスアセンブリ100が伝統的な態様で動作され得る。上で論じたように、各長手方向スロット123a、123b、123cは、1つ以上の外科手術装置「D1」、「D2」を各長手方向スロット123a、123b、123cを介して受け取るように構成されている。
図7において示されるように、長手方向スロット123a、123b、123cのうちのいずれかを介して受け取られた外科手術装置「D1」は、矢印「A」によって示されるように膨張可能部材120を介して引き出され得、および引っ込められ得、矢印「B」によって示されるように膨張可能部材120の長手方向軸の周りを回転させられ得、矢印「C」によって示されるように軸の周りを旋回させられ得るか、および/または矢印「D」によって示されるように長手方向開口部113内を横方向に並進させられ得、膨張可能部材120は、長手方向開口部113の周りの密閉を維持する。1つ以上の外科手術装置「D1」、「D2」は、このように操作され得る。上で論じたように、ローブ122a、122b、122cのうちのいずれかまたは全ては、部分的に収縮され得ることによって、増えた直径を有する外科手術装置「D3」の受け取りを可能にする。取り除かれると、ローブ122a、122b、122cのうちのいずれかまたは全ては、再膨張され得ることによって長手方向開口部113を密閉する。
【0027】
アクセスアセンブリ100を切開「I」内から取り除くことは、挿入の逆の順序で生じる。膨張可能スリーブ110のどちらか、または両方と、膨張可能部材120とは、少なくとも部分的に収縮されることによってアクセスアセンブリ100を切開「I」から取り除くことを容易にする。アクセスアセンブリ100は、さらに圧縮され得ることによって切開「I」からの引き出しを容易にする。アクセスアセンブリ100が切開「I」から取り除かれると、切開「I」は従来の態様で閉じられる。
【0028】
図9および
図10を一時参照すると、本開示に従ったアクセスアセンブリの代替の実施形態が全体的にアクセスアセンブリ200、300として示される。アクセスアセンブリ200、300は、上で説明されたアクセスアセンブリ100に実質的に類似し、それらの間の差異に関して説明されるのみである。まず、
図9を参照すると、アクセスアセンブリ200は、第一の膨張可能ローブ222aおよび第二の膨張可能ローブ222bを有する膨張可能部材220を含む。膨張可能ローブ222a、222bは、1つ以上の外科手術装置「D1」、「D2」、「D3」(
図8)を受け取るように構成されている長手方向スロット223を膨張可能ローブ222aと222bとの間に規定する。
図10を参照すると、別の実施形態において、アクセスアセンブリ300は、4つの膨張可能ローブ322a、322b、322c、322dを有する膨張可能部材320を含む。
【0029】
さまざまな改変が本明細書において開示された実施形態になされ得ることが理解される。例えば、上で注意したように、開示されたアクセスアセンブリは、開示された4つのローブを超える複数の膨張可能ローブと共に提供され得る。さらに、開示された膨張可能ローブのサイズおよび構成は同一でない場合があり、膨張可能ローブを介して使用されることが予期される外科手術装置に依って変わり得る。そのため、上の説明は限定的と解釈されるべきではなく、特定の実施形態の例示に過ぎないと解釈されるべきである。当業者は、他の改変が本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲および精神内であることを予測する。