(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
紙おむつ、生理用ナプキン、失禁者用パッドなどの吸収性物品は、身体から排泄される尿や経血などの体液を吸収・保持する吸収体と、身体に接する側に配された柔軟な液透過性の表面シートと、身体と接する側と反対側に配された液不透過性の裏面シートとを有している。前記吸収体は、一般に、木材パルプ等の親水性繊維状基材と吸水性樹脂粉末とから構成されている。体液は、不織布等からなる表面シートを通過して吸収体に吸収される。吸収された体液は、吸収体内部において木材パルプ等の繊維状基材により拡散されて、吸水性樹脂粉末に吸収されて保持される。
【0003】
特許文献1〜4は、吸収体に使用され得る吸水性樹脂粉末を提案している。特許文献1には、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A1)を含み、吸収性樹脂粒子の内部に疎水性物質(C)が架橋重合体(A1)の重量に対して0.01〜10.0重量%存在し、吸収性樹脂粒子の表面に疎水性物質(D)が架橋重合体(A1)の重量に対して0.001〜1.0重量%存在してなる吸収性樹脂粒子が開示されている。
【0004】
特許文献2には、架橋剤を含む水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液を、分散剤存在下、疎水性有機溶媒中で逆相懸濁重合して含水吸水性樹脂粒子(a)を含む反応混合物(A)を得る第1工程;該(A)に、さらに架橋剤を含む水溶性エチレン性不飽和モノマー水溶液を添加し逆相懸濁重合させて含水吸水性樹脂粒子(b)を含む反応混合物(B)を得る第2工程;該(B)を脱水及び脱溶媒して吸水性樹脂ケーキ(C)を得る第3工程;および該吸水性樹脂ケーキを乾燥する第4工程を含む吸水性樹脂粒子(D)の製造方法であって、含水吸水性樹脂粒子(b)の嵩密度が0.25〜0.35g/mlであり、乾燥後の吸水性樹脂粒子(D)の嵩密度が0.45〜0.55g/mlである吸水性樹脂粒子の製造方法が開示されている。
【0005】
特許文献3には、ゲル通液速度(ml/min)が0.01以上3以下である吸水性樹脂(ア)とゲル通液速度(ml/min)が5以上200以下である吸水性樹脂(イ)とを含んでなることを特徴とする吸収性物品が開示されている。
【0006】
特許文献4には、吸水性樹脂(A)と、表面張力が10〜30ダイン/cmであり且つ(A)と化学結合し得る結合基を有する改質剤(B)とを含有してなることを特徴とする吸水性樹脂組成物が開示されている。
【0007】
ところで、吸収性物品を薄型にするために、吸収体中の繊維状基材の使用量を低減させ、且つ、吸水性樹脂粉末の使用量を増加させることが検討されている。斯かる薄型の吸収体には、所謂、ゲルブロッキングという問題がある。すなわち、繊維状基材の使用量を低減させ、吸水性樹脂粉末の使用量を増加させた吸収体が、体液を吸収すると、まず肌面当接側の吸水性樹脂粉末が体液を吸収して膨潤する。しかし、吸収体中の吸水性樹脂粉末の含有率が高いために、膨潤した吸水性樹脂粉末同士が、相互に接触しやすくなる。その結果、体液の通路としての空隙が閉塞し、吸収体が所定の吸水能力を発揮できなくなる現象である。ゲルブロッキング現象を改良する技術として、例えば、特許文献5〜8がある。
【0008】
特許文献5は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら両シート間に介在する液保持性の吸収体とを有する吸収性物品において、上記吸収体が下記1)及び1’)の条件を満たし、且つ該吸収体に含まれる高吸水性ポリマーが下記2)及び3)の条件を満たすことを特徴とする吸収性物品が開示されている。
1)上記吸収体が、繊維状基材と高吸水性ポリマーを主な構成要素としてなり、該吸収体の総重量の45〜90重量%が上記高吸水性ポリマーである。
1’)上記吸収体が2つ以上の層からなり、少なくとも1つの層が、上記繊維状基材からなる層であり、少なくとも他の1つの層が上記高吸水性ポリマーからなる層又は上記高吸水性ポリマーと上記繊維状基材との混合物からなる層であり、且つ上記繊維状基材からなる層は、解繊、積層されたパルプ繊維をバインダーで接着したシート状の層である。
2)上記高吸水性ポリマーは、表面部分の架橋密度が高い架橋体粒子からなり、その遠心脱水法による生理食塩水の吸水量が25g/g以上である。
3)上記高吸水性ポリマー0.5gを断面積4.91cm
2(内径25mmφ)の円筒に生理食塩水と共に充填し、該生理食塩水により該高吸水性ポリマーを飽和状態に達するまで膨潤させ、膨潤した該高吸水性ポリマーが沈降した後に生理食塩水50mlを通過させた際の液通過時間が20秒以下である。
【0009】
特許文献6には、表面シート、裏面シート、及び両シート間に介在配置され且つ吸水性ポリマー及び繊維を含む吸収体を具備する吸収性物品であって、前記吸水性ポリマーとして、膨潤ゲルの安息角が45°以下の吸水性ポリマーを含んでおり、前記吸収体は、前記吸水性ポリマーの含有率が下記式によって算出される吸水性ポリマー平均含有率を超える、吸水性ポリマー高濃度領域を有している吸収性物品が開示されている。
吸水性ポリマー平均含有率(質量%)=(吸収体に含まれる全ての吸水性ポリマーの総質量/吸収体の総質量)×100
【0010】
特許文献7には、裏面シートと、液透過性表面シートと、これら両シートの内部にパルプおよび高吸収性ポリマーからなる吸収体を介在させてなる体液吸収物品において、前記吸収体は、パルプおよび高吸収性ポリマーの合計重量に対する高吸収性ポリマーの比率が30〜60重量%であり、かつ前記高吸収性ポリマーは、ポリマー粒度分布が500μm以上が10重量%、250〜500μmが70重量%、250μm以下が20重量%とされるとともに、ポリマー粒子形状の不定形度が嵩密度評価で0.3〜0.5g/mlであり、かつパルプ繊維空隙に保水されている体液を高吸収性ポリマー側に移行させる体液吸引吸収性能が、吸収開始から15秒間で5g/g以上であることを特徴とする体液吸収物品が開示されている。
【0011】
特許文献8には、液体透過性の表面シートと液体不透過性の裏面シートとの間に、吸収マットを具備する使い捨て吸収性物品であって、前記吸収マットは、吸水性樹脂粉末を含み、パルプ繊維を含まないシート状吸水層と、吸水性樹脂粉末とパルプ繊維とを含む繊維集合層とを、表面シート側から順に有しており、かつ、前記シート状吸水層は、吸水性樹脂粉末を内包した複数の吸水性樹脂粉末存在領域と、隣接する吸水性樹脂粉末存在領域の間に形成される吸水性樹脂粉末非存在領域とを有することを特徴とする使い捨て吸収性物品が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の吸収性物品は、少なくとも1層の吸収層から構成された吸収体を備える吸収性物品であって、前記吸収体の最上層には、下記(a)〜(d)の要件を満足する吸水性樹脂粉末が配置されていることを特徴とする。
(a)嵩密度:0.45g/ml〜0.62g/ml
(b)ボルテックス法による吸収速度:20秒〜50秒
(c)荷重下通液速度:10秒以下
(d)吸湿ブロッキング率:5%以下
【0021】
まず、本発明で使用する吸水性樹脂粉末について説明する。前記吸水性樹脂粉末は、(a)嵩密度が0.45g/ml〜0.62g/mlである。前記吸水性樹脂粉末の嵩密度は、0.50g/ml以上であることが好ましく、0.52g/ml以上であることがより好ましく、0.61g/ml以下であることが好ましく、0.60g/ml以下であることがより好ましい。前記嵩密度は、吸水性樹脂粉末の形状の指標となる。嵩密度が前記範囲内であれば、吸水性樹脂粉末の間に体液の通路としての空隙ができやすくなる。その結果、吸収速度、繰り返し吸収速度が良好になる。嵩密度の測定方法については、後述する。
【0022】
前記吸水性樹脂粉末は、(b)ボルテックス法による吸収速度が20秒〜50秒である。前記吸水性樹脂粉末のボルテックス法による吸収速度は、22秒以上であることが好ましく、25秒以上であることがより好ましく、48秒以下であることが好ましく、45秒以下であることがより好ましい。前記吸収速度が50秒を超える場合、体液の排泄速度が高く、一度に多量の体液が排泄されたときには、体液の吸収を十分に行うことができない。その結果、液漏れが起こりやすくなる。前記吸収速度は、小さければ小さいほど好ましいが、20秒未満であれば、吸水性樹脂粉末の尿に対する安定性、特に、荷重下安定性が低下する場合がある。ボルテックス法による吸収速度は、体液を吸収する時間(秒)を測定することで評価している。そのため、測定時間(秒)が短いほど、吸収速度が大きい。
【0023】
前記吸水性樹脂粉末は、(c)荷重下通液速度が10秒以下である。前記荷重下通液速度は、8秒以下が好ましく、5秒以下がより好ましい。前記荷重下通液速度が10秒を超える場合、吸収体内部で、体液の拡散障害が起こりやすくなる。そのため、液漏れが起こりやすくなる場合がある。前記荷重下通液速度は、予め吸水させて膨潤した吸水性樹脂粉末に荷重を架けた状態で、一定量の液体が通過する時間(秒)を測定することで評価している。そのため、測定時間(秒)が短いほど、吸収速度が大きい。
【0024】
前記吸水性樹脂粉末は、(d)吸湿ブロッキング率が5%以下である。前記吸湿ブロッキング率は、4%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。前記吸湿ブロッキング率が5%を超えると、吸水性樹脂粉末が凝集しやすくなる。そのため、吸収体を製造する際、製造マシーンや製造ラインにおける搬送パイプ内で、吸水性樹脂粉末が詰まりやすくなったり、あるいは、吸水性樹脂粉末を不織布に均一に塗布できないなどの問題が生じる。また、排泄された体液の逆戻りが起こりやすくなる場合がある。
【0025】
前記吸水性樹脂粉末は、吸収倍率が、40g/g以上であることが好ましく、42g/g以上であることがより好ましく、44g/g以上であることがさらに好ましく、55g/g以下であることが好ましく、53g/g以下であることがより好ましく、51g/g以下であることがさらに好ましい。前記吸収倍率は、吸水性樹脂粉末がどの程度の量を吸水できるかを示す尺度である。前記吸収倍率が40g/g未満であると、吸収容量を所定のレベルに保つために多量の吸水性樹脂粉末を用いなければならず、薄型の吸収体を製造するのが困難になる。前記吸収倍率は、液漏れを防止する観点から、大きければ大きいほど好ましいが、55g/g以下であることがより好ましい。前記吸収倍率が55g/gを超えると、吸水性樹脂粉末の尿に対する安定性が低下する傾向があるからである。
【0026】
前記吸水性樹脂粉末は、保水量が、20g/g以上が好ましく、22g/g以上がより好ましく、24g/g以上がさらに好ましく、45g/g以下が好ましく、43g/g以下がより好ましく、40g/g以下がさらに好ましい。保水量は、吸水性樹脂粉末が吸収した液をどの程度保持できるかを示す尺度である。前記保水量が20g/g未満であると、体液の保持容量を所定のレベルに保つために、多量の吸水性樹脂粉末を用いなければならず、薄型の吸収体を作製することが困難になる場合がある。前記保水量は、液漏れを防止する観点から大きければ大きいほど好ましいが、45g/g以下であることがより好ましい。前記保水量が45g/gを超えると、吸水性樹脂粉末の尿に対する安定性が低下する傾向があるからである。
【0027】
吸水性樹脂粉末の嵩密度、ボルテックス法による吸収速度、荷重下通液速度、吸収倍率、保水量は、例えば、架橋重合体の組成、表面改質剤の種類、吸水性樹脂粉末の粒度、乾燥条件などを適宜選択することにより調節することができる。
【0028】
前記吸水性樹脂粉末としては、(A)架橋重合体の表面を(B)表面改質剤で処理してなるものが好ましい。(A)前記架橋重合体としては、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび/または加水分解により(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーを生成する(a2)加水分解性モノマーと、(b)内部架橋剤とを必須成分として含有する単量体組成物を重合することにより得られるものが好ましい。
【0029】
(A)架橋重合体について説明する。(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては特に限定はないが、少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するモノマー等が使用できる。水溶性モノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つモノマーを意味する。また、(a2)加水分解性モノマーとは、50℃の水、必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により、加水分解されて、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーを生成する。(a2)加水分解性モノマーの加水分解は、(A)架橋重合体の重合中、重合後、および、これらの両方のいずれでもよいが、得られる吸水性樹脂粉末の分子量の観点等から重合後が好ましい。
【0030】
水溶性置換基としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基、スルホオキシ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基、または、これらの塩、並びに、アンモニウム塩が挙げられ、カルボキシル基の塩(カルボキシレート)、スルホ基の塩(スルホネート)、アンモニウム塩が好ましい。また、塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。アンモニウム塩は、第1級〜第3級アミンの塩または第4級アンモニウム塩のいずれであってもよい。これらの塩のうち、吸収特性の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
【0031】
前記カルボキシル基および/またはその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、炭素数3〜30の不飽和カルボン酸および/またはその塩が好ましい。前記カルボキシル基および/またはその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、クロトン酸および桂皮酸などの不飽和モノカルボン酸および/またはその塩;マレイン酸、マレイン酸塩、フマル酸、シトラコン酸およびイタコン酸などの不飽和ジカルボン酸および/またはその塩;マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル及びイタコン酸グリコールモノエステルなどの不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステルおよび/またはその塩などが挙げられる。なお、本発明の説明において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および/または「メタクリル」を意味する。
【0032】
スルホ基および/またはその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、炭素数2〜30のスルホン酸および/またはその塩が好ましい。スルホ基および/またはその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、および、α−メチルスチレンスルホン酸などの脂肪族又は芳香族ビニルスルホン酸;(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、および、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などの(メタ)アクリロイル含有アルキルスルホン酸;及びアルキル(メタ)アリルスルホコハク酸エステルなどが挙げられる。
【0033】
スルホオキシ基および/またはその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの硫酸エステル;ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートの硫酸エステルなどが挙げられる。
【0034】
ホスホノ基および/またはその塩を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルのリン酸モノエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルのリン酸ジエステル、および、(メタ)アクリル酸アルキルホスホン酸などが挙げられる。
【0035】
水酸基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アリルアルコール、および、(メタ)プロペニルアルコールなどの炭素数3〜15のモノエチレン性不飽和アルコール;炭素数2〜20のアルキレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ポリアルキレン(炭素数2〜4)グリコール(重量平均分子量100〜2000)などの2〜6価のポリオールのモノエチレン性不飽和カルボン酸エステル又はモノエチレン性不飽和エーテル等が含まれる。これらの具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ−オキシエチレン−オキシプロピレンモノ(メタ)アリルエーテルなどが挙げられる。
【0036】
カルバモイル基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド;N−メチルアクリルアミドなどのN−アルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−又はi−プロピルアクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(アルキルの炭素数1〜8)アクリルアミド;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのN−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド;N,N−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミドが挙げられる。アミドからなる基を有する不飽和モノマーとしては、これらの他に、炭素数5〜10のビニルラクタム(N−ビニルピロリドン等)等も使用できる。
【0037】
アミノ基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、モノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基含有エステルおよびモノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基含有アミドなどが挙げられる。モノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基含有エステルとしては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジ(ヒドロキシアルキル)アミノアルキルエステル及びモルホリノアルキルエステル等が使用でき、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、 ジメチルアミノエチルフマレートおよびジメチルアミノエチルマレート等が挙げられる。モノエチレン性不飽和モノ−又はジ−カルボン酸のアミノ基含有アミドとしては、モノアルキル(メタ)アクリルアミドが好ましく、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドおよびジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。アミノ基を有する水溶性エチレン性不飽和モノマーとしては、これらの他に、4−ビニルピリジンおよび2−ビニルピリジンなどのビニルピリジンも使用できる。
【0038】
加水分解により(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーを生成する(a2)加水分解性モノマーとしては、特に限定されないが、加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するエチレン性不飽和モノマーが好ましい。加水分解性置換基としては、酸無水物を含む基、エステル結合を含む基およびシアノ基などが挙げられる。
【0039】
酸無水物を含む基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、炭素数4〜20の不飽和ジカルボン酸無水物等が用いられ、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。エステル結合を含む基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルなどのモノエチレン性不飽和カルボン酸の低級アルキルエステル;および、酢酸ビニル、酢酸(メタ)アリルなどのモノエチレン性不飽和アルコールのエステルが挙げられる。シアノ基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、および、5−ヘキセンニトリルなどの炭素数3〜6のビニル基含有のニトリル化合物が挙げられる。
【0040】
(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび(a2)加水分解性モノマーとしては、さらに、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、および、特開2005−975759号公報に記載のものを用いることができる。
【0041】
(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび(a2)加水分解性モノマーはそれぞれ、単独で、または、2種以上の混合物として使用してもよい。(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーと(a2)加水分解性モノマーとを併用する場合も同様である。また、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーと(a2)加水分解性モノマーを併用する場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、より好ましくは85/15〜95/5、さらに好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。前記含有モル比が、前記範囲内であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0042】
(A)架橋重合体を構成するモノマーとしては、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび(a2)加水分解性モノマーの他に、これらと共重合可能な(a3)その他のビニルモノマーを用いることができる。共重合可能な(a3)その他のビニルモノマーとしては、疎水性ビニルモノマー等が使用できるが、これらに限定されるわけではない。(a3)その他のビニルモノマーとしては下記の(i)〜(iii)のビニルモノマー等が用いられる。
【0043】
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレンモノマー;
エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンおよびオクタデセンなどのアルケン;並びに、ブタジエンおよびイソプレンなどのアルカジエン。
【0044】
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレンモノマー;
ピネン、リモネン及びインデンなどのモノエチレン性不飽和モノマー;並びに、シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネンなどのポリエチレン性ビニル重合性モノマー。
【0045】
(a3)その他のビニルモノマーとしては、さらに、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、および、特開2005−975759号公報に記載のものを用いることができる。
【0046】
(a3)その他のビニルモノマーを用いる場合、(a3)その他のビニルモノマーの含有量(モル%)は、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび(a2)加水分解性モノマーの合計量(100モル%)に対して、0.01モル%〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.05モル%〜3モル%、さらに好ましくは0.08モル%〜2モル%、最も好ましくは0.1モル%〜1.5モル%である。なお、吸収特性の観点から、(a3)その他のビニルモノマーの含有量は、0モル%であることが最も好ましい。
【0047】
(b)内部架橋剤としては、(b1)エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤、(b2)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有し、且つ、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する内部架橋剤、および、(b3)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する内部架橋剤などを挙げることができる。
【0048】
(b1)エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤としては、炭素数8〜12のビス(メタ)アクリルアミド、炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アクリレート、炭素数2〜10のポリアリルアミン及び炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテルなどが挙げられる。これらの具体例としては、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(重合度2〜5)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ又はトリ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル及びジグリセリンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0049】
(b2)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有し、且つ、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する内部架橋剤としては、炭素数6〜8のエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物、炭素数4〜8の水酸基を有するエチレン性不飽和化合物及び炭素数4〜8のイソシアナト基を有するエチレン性不飽和化合物などが挙げられる。これらの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びイソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0050】
(b3)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する内部架橋剤としては、多価アルコール、多価グリシジル、多価アミン、多価アジリジン及び多価イソシアネートなどを挙げることができる。多価グリシジル化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリンジグリシジルエーテルなどが挙げられる。多価アミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンおよびポリエチレンイミンなどが挙げられる。多価アジリジン化合物としては、日本触媒化学工業社製のケミタイトPZ−33{2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス(3−(1−アジリジニル)プロピネート)}、ケミタイトHZ−22{1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア}およびケミタイトDZ−22{ジフェニルメタン−ビス−4、4’−N、N’−ジエチレンウレア}などが挙げられる。多価イソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの内部架橋剤は単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
【0051】
(b)内部架橋剤としては、吸収性能(特に吸収量及び吸収速度等)等の観点から、(b1)エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤が好ましく、炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテルがより好ましく、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタンまたはペンタエリスリトールトリアリルエーテルがさらに好ましく、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルが最も好ましい。
【0052】
(b)内部架橋剤としては、さらに、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、および、特開2005−975759号公報に記載のものを用いることができる。
【0053】
(b)内部架橋剤の含有量(モル%)は、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび(a2)加水分解性モノマーの合計量(100モル%)に対して、0.001モル%〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.005モル%〜3モル%であり、さらに好ましくは0.01モル%〜1モル%である。この範囲であると、吸収性能(特に吸収量及び吸収速度等)がさらに良好となる。
【0054】
(A)架橋重合体の重合形態としては、従来から知られている方法等が使用でき、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法が適応できる。また、重合時の重合液の形状として、薄膜状及び噴霧状等であってもよい。重合制御の方法としては、断熱重合法、温度制御重合法及び等温重合法などが適用できる。
【0055】
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法を適用する場合、必要に応じて、ショ糖エステル、リン酸エステル及びソルビタンエステルなどの従来公知の分散剤、および、ポバール、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体及び酸化ポリエチレンなどの保護コロイド等を使用できる。また、逆相懸濁重合法の場合、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、トルエン及びキシレンなどの溶媒を使用して重合を行うことができる。重合方法としては、溶液重合法が好ましく、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、水溶液重合法がより好ましい。
【0056】
重合によって得られる含水ゲル{架橋重合体と水とからなる}は、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は、50μm〜10cmが好ましく、100μm〜2cmがより好ましく、1mm〜1cmがさらに好ましい。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性がさらに良好となる。
【0057】
細断は、公知の方法で行うことができ、例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機およびロール式粉砕機などの従来の細断装置を使用して細断できる。
【0058】
重合に溶媒(有機溶媒、水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有率(質量%)は、架橋重合体の質量(100質量%)に対して、0質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは0質量%〜5質量%、さらに好ましくは0質量%〜3質量%、最も好ましくは0質量%〜1質量%である。有機溶媒の含有率が、前記範囲内であると、吸水性樹脂粉末の吸収性能(特に保水量)がさらに良好となる。
【0059】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(質量%)は、架橋重合体の質量(100質量%)に対して、0質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは1質量%〜10質量%、さらに好ましくは2質量%〜9質量%、最も好ましくは3質量%〜8質量%である。水分(質量%)が、前記範囲内であると、吸収性能及び乾燥後の吸水性樹脂粉末の壊れ性がさらに良好となる。
【0060】
なお、有機溶媒の含有率及び水分は、赤外水分測定器{(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W}により加熱したときの加熱前後の測定試料の質量減量から求められる。
【0061】
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80℃〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100℃〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0062】
(A)架橋重合体は、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定されず、例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機などの通常の粉砕装置が使用できる。粉砕された(A)架橋重合体は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0063】
必要によりふるい分けした場合の(A)架橋重合体の重量平均粒子径(μm)は、100μm〜800μmが好ましく、より好ましくは200μm〜700μm、さらに好ましくは250μm〜600μm、特に好ましくは300μm〜500μm、最も好ましくは350μm〜450μmである。(A)架橋重合体の重量平均粒子径(μm)が、前記範囲内であれば、吸収性能がさらに良好となる。
【0064】
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0065】
また、微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、全粒子に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有量は3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
【0066】
(A)架橋重合体は、1種でもよく、2種以上の混合物であってもよい。
【0067】
(B)表面改質剤としては、硫酸アルミニウム、カリウム明礬、アンモニウム明礬、ナトリウム明礬、(ポリ)塩化アルミニウム、これらの水和物などの多価金属化合物;ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどのポリカチオン化合物;無機微粒子;(B1)炭化水素基を含有する表面改質剤;(B2)フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する表面改質剤;及び、(B3)ポリシロキサン構造をもつ表面改質剤などが挙げられる。
【0068】
前記無機微粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、および、酸化ジルコニウムなどの酸化物、炭化珪素および炭化アルミニウムなどの炭化物、窒化チタンのような窒化物、および、これらの複合体(例えば、ゼオライトおよびタルクなど)などが挙げられる。これらのうち、酸化物が好ましく、さらに好ましくは酸化ケイ素である。無機微粒子の体積平均粒子径は、1μm〜500μmが好ましく、より好ましくは3μm〜100μm、さらに好ましくは5μm〜75μm、最も好ましくは9μm〜50μmである。なお、体積平均粒子経は、動的光散乱法により、溶媒中で測定される。具体的には、日機装株式会社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(光源:He-Neレーザー)を用いて、溶媒シクロヘキサン中で、25℃の温度で測定される。
【0069】
前記無機微粒子の比表面積は、20m
2/g〜400m
2/gが好ましく、より好ましくは30m
2/g〜350m
2/g、さらに好ましくは40m
2/g〜300m
2/gである。比表面積がこの範囲内であると、吸収性能がさらに良好となる。なお、比表面積は、JIS Z8830:2001(窒素、容量法、多点法)に準拠して測定される。
【0070】
無機微粒子は、市場から容易に入手できる。例えば、{以下、商品名(化学組成、体積平均粒子径μm、比表面積m
2/g)}、アエロジル130(二酸化ケイ素、16、130)、アエロジル200(二酸化ケイ素、12、200)、アエロジル300(二酸化ケイ素、7、300)、アエロジルMOX80(二酸化ケイ素、30、80)、アエロジルCOK84(二酸化ケイ素、12、170)、アエロジルOX50T(二酸化ケイ素、7、40)、酸化チタンP25(酸化チタン、20、30)及びアルミニウムオキサイドC(酸化アルミニウム、13、100){日本アエロジル株式会社};デンカ溶融シリカF−300(二酸化ケイ素、11、160){電気化学工業株式会社};マイクロイド850(二酸化ケイ素、13、150){株式会社東海化学工業};非晶質シリカSP−1(二酸化ケイ素、14、45){株式会社ノザワ};サイロイド622(二酸化ケイ素、17、350);サイロイドED50(二酸化ケイ素、8、400){グレースジャパン株式会社};アドマフィンSO−C1(複合酸化物、0.1、20){アドマッテクス株式会社};アエロジル200(二酸化ケイ素、100、12){デグサAG:ドイツ};トクシール(二酸化ケイ素、2.5、120)及びレオロシール(二酸化ケイ素、2.5、110){株式会社トクヤマ};ニップシールE220A(二酸化ケイ素、2.5、130){日本シリカ工業株式会社};及びクレボゾール30CAL25(酸化ケイ素、12、200){クラリアントジャパン株式会社}など挙げられる。
【0071】
(B1)炭化水素基を含有する表面改質剤としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂誘導体、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂誘導体、ワックス、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸およびその塩、長鎖脂肪族アルコール、並びにこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0072】
ポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、イソブチレンおよびイソプレン等の炭素数2〜4のオレフィンを重合してなる重量平均分子量1000〜100万の重合体が挙げられる。重合体中のオレフィン成分の含有率は、ポリオレフィン樹脂100質量%中、少なくとも50質量%以上であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン−イソブチレン)およびイソプレン等が挙げられる。
【0073】
ポリオレフィン樹脂誘導体としては、ポリオレフィン樹脂にカルボキシ基(−COOH)や1,3−オキソ−2−オキサプロピレン(−COOCO−)などを導入した重量平均分子量1000〜100万の重合体が好ましい。具体例としては、例えば、ポリエチレン熱減成体、ポリプロピレン熱減成体、マレイン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、マレイン化ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体のマレイン化物などが挙げられる。
【0074】
ポリスチレン樹脂としては、重量平均分子量1000〜100万の重合体等が使用できる。
【0075】
ポリスチレン樹脂誘導体としては、スチレンを必須構成単量体としてなる重量平均分子量1000〜100万の重合体が好ましい。スチレンの含有率は、ポリスチレン誘導体100質量%中、少なくとも50質量%であることが好ましい。ポリスチレン樹脂誘導体の具体例としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、および、スチレン−イソブチレン共重合体などが挙げられる。
【0076】
ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、ミツロウ、カルバナワックスおよび牛脂などの融点50℃〜200℃のワックスが挙げられる。
【0077】
長鎖脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステルが好ましい。長鎖脂肪酸エステルの具体例としては、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリットラウリン酸モノエステル、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリットオレイン酸モノエステル、ソルビットラウリン酸モノエステル、ソルビットステアリン酸モノエステル、ソルビットオレイン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル及び牛脂などが挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐漏れ性の観点から、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステルが好ましく、さらに好ましくはショ糖ステアリン酸モノエステル及びショ糖ステアリン酸ジエステルである。
【0078】
長鎖脂肪酸およびその塩としては、炭素数8〜30の脂肪酸およびその塩が好ましい。炭素数8〜30の脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ダイマー酸およびベヘニン酸などが挙げられる。炭素数8〜30の脂肪酸塩の金属成分としては、例えば、亜鉛、カルシウム、マグネシウム又はアルミニウム(以下、Zn、Ca、Mg、Alと略す)が好ましい。炭素数8〜30の脂肪酸塩の具体例としては、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Al、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Alなどが挙げられる。吸収性物品の耐漏れ性の観点から、長鎖脂肪酸およびその塩としては、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Alが好ましく、ステアリン酸Mgがより好ましい。
【0079】
長鎖脂肪族アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの炭素数8〜30の脂肪族アルコールが挙げられる。吸収性物品の耐漏れ性の観点から、長鎖脂肪族アルコールとしては、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、さらに好ましくはステアリルアルコールである。
【0080】
(B2)フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する表面改質剤としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン、パーフルオロアリール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸またはその塩、パーフルオロアルキルアルコール、および、これらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0081】
パーフルオロアルカンとしては、フッ素原子数4〜42、炭素数1〜20のアルカンが好ましい。パーフルオロアルカンとしては、例えば、トリフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ヘプタフルオロブタン、ノナフルオロヘキサン、トリデカフルオロオクタン、および、ヘプタデカフルオロドデカンなどが挙げられる。
【0082】
パーフルオロアルケンとしては、フッ素原子数4〜42、炭素数2〜20のアルケンが好ましい。パーフルオロアルケンとしては、例えば、トリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロペン、トリフルオロプロペン、ヘプタフルオロブテン、ノナフルオロヘキセン、トリデカフルオロオクテン、および、ヘプタデカフルオロドデセンなどが挙げられる。
【0083】
パーフルオロアリールとしては、フッ素原子数4〜42、炭素数6〜20のアリールが好ましい。パーフルオロアリールとしては、例えば、トリフルオロベンゼン、ペンタフルオロトルエン、トリフルオロナフタレン、ヘプタフルオロベンゼン、ノナフルオロキシレン、トリデカフルオロオクチルベンゼン、および、ヘプタデカフルオロドデシルベンゼンなどが挙げられる。
【0084】
パーフルオロアルキルエーテルとしては、フッ素原子数2〜82、炭素数2〜40のエーテルが好ましい。パーフルオロアルキルエーテルとしては、例えば、ジトリフルオロメチルエーテル、ジペンタフルオロエチルエーテル、ジペンタフルオロプロピルエーテル、ジヘプタフルオロプロピルエーテル、ジヘプタフルオロブチルエーテル、ジノナフルオロヘキシルエーテル、ジトリデカフルオロオクチルエーテル、および、ジヘプタデカフルオロドデシルエーテルなどが挙げられる。
【0085】
パーフルオロアルキルカルボン酸またはその塩としては、フッ素原子数3〜41 、炭素数1〜21のカルボン酸またはその塩が好ましい。パーフルオロアルキルカルボン酸またはその塩としては、例えば、ペンタフルオロエタン酸、ペンタフルオロプロパン酸、ヘプタフルオロプロパン酸、ヘプタフルオロブタン酸、ノナフルオロヘキサン酸、トリデカフルオロオクタン酸、ヘプタデカフルオロドデカン酸、または、これらの金属塩が挙げられる。金属塩としては、アルカリ金属塩、または、アルカリ土類金属塩が好ましい。
【0086】
パーフルオロアルキルアルコールとしては、フッ素原子数3〜41、炭素数1〜20のアルコールが好ましい。パーフルオロアルキルアルコールとしては、例えば、ペンタフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘプタフルオロプロパノール、ヘプタフルオロブタノール、ノナフルオロヘキサノール、トリデカフルオロオクタノール、および、ヘプタデカフルオロドデカノールなど、並びに、これらのアルコールのエチレンオキサイド(アルコール1モルに対して1〜20モル)付加体などが挙げられる。
【0087】
これらの2種以上の混合物としては、パーフルオロアルキルカルボン酸とパーフルオロアルキルアルコールとの混合物が挙げられ、例えば、ペンタフルオロエタン酸とペンタフルオロエタノールとの混合物が好ましい。
【0088】
(B3)ポリシロキサン構造をもつ表面改質剤としては、ポリジメチルシロキサン;ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサンなどのポリエーテル変性ポリシロキサン;カルボキシ変性ポリシロキサン;エポキシ変性ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン;アルコキシ変性ポリシロキサン、および、これらの混合物などが挙げられる。
【0089】
ポリエーテル変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサンおよびアミノ変性ポリシロキサンなどの変性シリコーンの有機基(変性基)の位置は、特に限定されないが、ポリシロキサンの側鎖、ポリシロキサンの両末端、ポリシロキサンの片末端、ポリシロキサンの側鎖と両末端との両方のいずれでもよい。これらのうち、吸収特性の観点から、ポリシロキサンの側鎖およびポリシロキサンの側鎖と両末端との両方が好ましく、さらに好ましくはポリシロキサンの側鎖と両末端との両方である。
【0090】
ポリエーテル変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としては、ポリオキシエチレン鎖又はポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)鎖を含有する基が含まれる。ポリエーテル変性ポリシロキサンに含まれるオキシエチレン単位および/またはオキシプロピレン単位の個数は、ポリエーテル変性ポリシロキサン1分子あたり、2個〜40個が好ましく、5個〜30個がより好ましく、7個〜20個がさらに好ましく、10個〜15個が最も好ましい。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。また、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む場合、オキシエチレン基およびオキシプロキレン基の含有率(質量%)は、ポリエーテル変性ポリシロキサン100質量%中、1質量%〜30質量%が好ましく、3質量%〜25質量%がより好ましく、5質量%〜20質量%がさらに好ましい。オキシエチレン基およびオキシプロキレン基の含有率が前記範囲内であれば、吸収特性がさらに良好となる。
【0091】
ポリエーテル変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、オキシアルキレンの種類}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF−945{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、KF−6020{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−6191{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−4952{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−4272{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X−22−6266{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0092】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−2110{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2122{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−7006{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2166{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2164{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2154{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ−2203{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}及びFZ−2207{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0093】
カルボキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはカルボキシ基を含有する基等が含まれ、エポキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはエポキシ基を含有する基等が含まれ、アミノ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはアミノ基(1、2,3級アミノ基)を含有する基等が含まれる。これらの変性シリコーン の有機基(変性基)の含有量(g/mol)は、カルボキシ当量、エポキシ当量又はアミノ当量として、200〜11000が好ましく、より好ましくは600〜8000、さらに好ましくは1000〜4000である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、カルボキシ当量は、JIS C2101:1999の「16.全酸価試験」に準拠して測定される。また、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準拠して求められる。また、アミノ当量は、JIS K2501:2003の「8.電位差滴定法(塩基価・塩酸法)」に準拠して測定される。
【0094】
カルボキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、カルボキシ当量(g/mol)}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X−22−3701E{側鎖、4000}、X−22−162C{両末端、2300}、X−22−3710{片末端、1450}
【0095】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
BY 16−880{側鎖、3500}、BY 16−750{両末端、750}、BY 16−840{側鎖、3500}、SF8418{側鎖、3500}
【0096】
エポキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、エポキシ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X−22−343{側鎖、525}、KF−101{側鎖、350}、KF−1001{側鎖、3500}、X−22−2000{側鎖、620}、X−22−2046{側鎖、600}、KF−102{側鎖、3600}、X−22−4741{側鎖、2500}、KF−1002{側鎖、4300}、X−22−3000T{側鎖、250}、X−22−163{両末端、200}、KF−105{両末端、490}、X−22−163A{両末端、1000}、X−22−163B{両末端、1750}、X−22−163C{両末端、2700}、X−22−169AS{両末端、500}、X−22−169B{両末端、1700}、X−22−173DX{片末端、4500}、X−22−9002{側鎖・両末端、5000}
【0097】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−3720{側鎖、1200}、BY 16−839{側鎖、3700}、SF 8411{側鎖、3200}、SF 8413{側鎖、3800}、SF 8421{側鎖、11000}、BY 16−876{側鎖、2800}、FZ−3736{側鎖、5000}、BY 16−855D{側鎖、180}、BY 16−8{側鎖、3700}
【0098】
アミノ変性シリコーンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、アミノ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF−865{側鎖、5000}、KF−864{側鎖、3800}、KF−859{側鎖、6000}、KF−393{側鎖、350}、KF−860{側鎖、7600}、KF−880{側鎖、1800}、KF−8004{側鎖、1500}、KF−8002{側鎖、1700}、KF−8005{側鎖、11000}、KF−867{側鎖、1700}、X−22−3820W{側鎖、55000}、KF−869{側鎖、8800}、KF−861{側鎖、2000}、X−22−3939A{側鎖、1500}、KF−877{側鎖、5200}、PAM−E{両末端、130}、KF−8010{両末端、430}、X−22−161A{両末端、800}、X−22−161B{両末端、1500}、KF−8012{両末端、2200}、KF−8008{両末端、5700}、X−22−1660B−3{両末端、2200}、KF−857{側鎖、2200}、KF−8001{側鎖、1900}、KF−862{側鎖、1900}、X−22−9192{側鎖、6500}
【0099】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ−3707{側鎖、1500}、FZ−3504{側鎖、1000}、BY 16−205{側鎖、4000}、FZ−3760{側鎖、1500}、FZ−3705{側鎖、4000}、BY 16−209{側鎖、1800}、FZ−3710{側鎖、1800}、SF 8417{側鎖、1800}、BY 16−849{側鎖、600}、BY 16−850{側鎖、3300}、BY 16−879B{側鎖、8000}、BY 16−892{側鎖、2000}、FZ−3501{側鎖、3000}、FZ−3785{側鎖、6000}、BY 16−872{側鎖、1800}、BY 16−213{側鎖、2700}、BY 16−203{側鎖、1900}、BY 16−898{側鎖、2900}、BY 16−890{側鎖、1900}、BY 16−893{側鎖、4000}、FZ−3789{側鎖、1900}、BY 16−871{両末端、130}、BY 16−853C{両末端、360}、BY 16−853U{両末端、450}
【0100】
これらの混合物としては、ポリジメチルシロキサンとカルボキシル変性ポリシロキサンとの混合物、及びポリエーテル変性ポリシロキサンとアミノ変性ポリシロキサンとの混合物等が挙げられる。
【0101】
(B)表面改質剤としては、吸収特性の観点から、(B3)ポリシロキサン構造をもつ表面改質剤、および、無機微粒子が好ましく、アミノ変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、および、シリカがより好ましい。
【0102】
(A)架橋重合体を(B)表面改質剤で処理する方法としては、(B)表面改質剤が(A)架橋重合体の表面に存在するように処理する方法であれば、特に限定されない。しかし、(B)表面改質剤は、(A)架橋重合体の含水ゲル又は(A)架橋重合体を重合する前の重合液ではなく、(A)架橋重合体の乾燥体と混合されることが表面の(B)表面改質剤の量をコントロールする観点から好ましい。なお、混合は、均一に行うことが好ましい。
【0103】
吸水性樹脂粉末の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0104】
吸水性樹脂粉末は必要に応じて表面架橋を行うことができる。表面架橋を行うための架橋剤(表面架橋剤)としては、(b)内部架橋剤と同じものが使用できる。表面架橋剤としては、吸水性樹脂粉末の吸収性能等の観点から、(b3)(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーの水溶性置換基及び/又は(a2)加水分解性モノマーの加水分解によって生成する水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する架橋剤が好ましく、より好ましくは多価グリシジル、さらに好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルおよびグリセリンジグリシジルエーテル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0105】
表面架橋する場合、表面架橋剤の含有率(質量%)は、(a1)水溶性エチレン性不飽和モノマーおよび/または(a2)加水分解性モノマー、(b)内部架橋剤、並びに必要により使用する(a3)その他のビニルモノマーの合計質量(100質量%)に対して、0.001質量%〜7質量%が好ましく、より好ましくは0.002質量%〜5質量%、さらに好ましくは0.003質量%〜4質量%である。すなわち、この場合、表面架橋剤の含有率(質量%)の上限は、(a1)及び/又は(a2)、(b)並びに(a3)の合計質量に基づいて、7質量%が好ましく、より好ましくは5質量%、さらに好ましくは4質量%であり、同様に、下限は0.001質量%が好ましく、より好ましくは0.002質量%、さらに好ましくは0.003質量%である。表面架橋剤の含有率が、前記範囲内であれば、さらに吸収性能が良好となる。表面架橋は表面架橋剤を含む水溶液を吸水性樹脂粉末に噴霧又は含浸させた後、加熱処理(100〜200℃)する方法等により達成できる。
【0106】
前記吸水性樹脂粉末には、防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末及び有機質繊維状物などの添加剤を含むことができる。添加剤としては、特開2003−225565号、特開2006−131767号等に例示されているものを挙げることができる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有率(質量%)は、(A)架橋重合体(100質量%)に対して、0.001質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.01質量%〜5質量%、さらに好ましくは0.05質量%〜1質量%、最も好ましくは0.1質量%〜0.5質量%である。
【0107】
本発明の吸収性物品は、少なくとも1層の吸収層から構成された吸収体を備える吸収性物品であって、前記吸収体の最上層には、上述した吸水性樹脂粉末が配置されていることを特徴とする。吸収体の最上層に上述した吸水性樹脂粉末を配置することにより、本発明の吸収性物品は、吸収速度が大きく、肌当接面における液残りが生じにくくドライ感に優れており、さらに、排泄された体液の逆戻りが生じにくい。また、後述するように、吸収体の最上層として、吸水性樹脂粉末の含有率が高い吸水層を採用すれば、繊維の含有率が高い吸水層に比べて、型崩れがしにくい吸収性物品が得られる。
【0108】
前記吸水性樹脂粉末を含有する吸収層は、薄型化を図るために、前記吸水性樹脂粉末の含有率が高く、繊維状基材の含有率が低い。この観点から、吸収層に含まれる前記吸水性樹脂粉末の含有率は、60質量%以上が好ましく、62質量%以上がより好ましく、65質量%以上がさらに好ましい。前記吸水性樹脂粉末を含有する吸収層は、繊維状基材を含有してもよいが、薄型化を図るために、繊維状基材の含有率は、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、16質量%以下がさらに好ましい。また、薄型である観点から、前記吸水性樹脂粉末が配置された吸収層の厚みは、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましい。
【0109】
以下、本発明の吸収性物品について図面を参照しながら説明するが、本発明は、図面に示された態様に限定されるものではない。
【0110】
図1および
図2は、本発明で使用する吸収体の好ましい態様を示す模式的断面図である。
図1および
図2の吸収体は、上述した吸水性樹脂粉末が配置されている吸収層1のみからなる。
図1に示すように、上述した吸水性樹脂粉末が配置されている吸収層1は、透液性の第1シート2と、第2シート3とを有し、第1シート2と第2シート3の間には、吸水性樹脂粉末4が配置されている。吸水性樹脂粉末4は、例えば、ホットメルト接着剤(図示せず)により第1シート2および第2シート3に固着されている。
図2は、吸水性樹脂粉末が配置されている吸収層1の別の好ましい態様の模式的断面図である。この態様では、第1シート2と第2シート3とを所定の間隔で貼り合わせることにより、吸水性樹脂粉末4が存在しない吸水性樹脂粉末非存在領域5aと吸水性樹脂粉末4が第1シートと第2シートとにより内包された吸水性樹脂粉末存在領域5bが設けられている。
図2のような吸収層は、例えば、第2シート3上に吸水性樹脂粉末4を筋状に塗布することにより得られる。
【0111】
本発明の吸収性物品の吸収体の構造としては、例えば、
図1および
図2に示したように、前記吸水性樹脂粉末4を含有する吸収層1のみからなる1層構造の吸収体;肌面側から順に、前記吸水性樹脂粉末4を含有する吸収層1と他の吸収層6とが積層された2層構造の吸収体(
図3,4);肌面側から順に、前記吸水性樹脂粉末4を含有する吸収層1と2層の他の吸収層6とが積層された3層構造の吸収体(
図5);および、2層の吸水性樹脂粉末4を含有する吸収層1の間に他の吸収層6が介在する3層構造の吸収体(
図6)などを挙げることができる。なお、
図3〜6において、紙面上側が、肌面側に相当する。
図3〜
図6に示すように、本発明の吸収性物品の吸収体は、最上層に隣接する下層として、吸水性樹脂粉末7と繊維基材(図示せず)とを有する吸収層6を備えることが好ましい。吸水性樹脂粉末7と繊維基材とを含有する吸収層6を下層に配置することにより、体液を下層に保持することができ、肌面側への逆戻りがさらに少なくなり、ドライ感を保つことができる。他の吸収層6に使用される吸水性樹脂粉末7としては、本発明で使用する吸水性樹脂粉末4を用いてもよいし、市販の吸水性樹脂粉末を用いてもよい。
図4〜
図6で示した吸収体では、最上層の吸収層の吸水性樹脂粉末非存在領域5aが体液の通路となり、体液が下層に透過しやすくなる。その結果、吸収速度がより大きくなり、ドライ感も優れる。
【0112】
図7は、本発明の吸収性物品の好ましい態様を例示する模式的断面図である。吸収性物品9は、透液性のトップシート10と、不透液性のバックシート11と、前記トップシート10とバックシート11との間に吸収体を備える。トップシートの両側縁部の上部には、不透液性のサイドシート12が、接合されている。接合点13より内方のサイドシート12は、着用者の肌に向かって起立する立ち上がりフラップを形成する。吸収体は、2層の吸収層1,6からなる。最上層の吸収層は、透液性の第1シート2と、透液性の第2シート3とを有し、第1シート2と第2シート3の間には、上述した吸水性樹脂粉末4が配置されている吸収層1である。吸収体の下層は、吸水性樹脂粉末7と繊維基材とを含有する吸収層6である。
【0113】
図8は、
図7の吸収性物品の変形例を示す模式的断面図である。
図7の態様における最上層の吸収体は、第1シートを使用せずに、第2シート3が吸収層1の両端部の上方まで折り返されるように構成されている。この態様では、吸収性物品のトップシート10が、吸収体の第1シートを兼ねる。
【0114】
吸収性物品のトップシート、吸収体の第1および第2シートは、透液性のシート材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布であることが好ましい。透液性シートとして利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布であり、これらの不織布を形成する親水性繊維としては、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。なお、第1シートとして、表面を界面活性剤により親水化処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布が用いられてもよい。
【0115】
吸収性物品のバックシートとしては、不透液性シートが好ましい。また、吸収体の第2シートとして、吸収体の構造に応じて、不透液性シートを用いる場合がある。不透液性シートとしては、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用され、不透液性シートに到達した排泄物の水分等が、吸収性物品の外側にしみ出すのを防止する。不透液性シートにプラスチックフィルムが利用される場合、ムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0116】
本発明の吸収性物品の具体例としては、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、母乳パッドなどを挙げることができる。
【実施例】
【0117】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0118】
[評価方法]
(嵩密度の測定方法)
JIS K6219−2 2005に準じて嵩密度の測定を行なう。試料である吸水性樹脂粉末を、質量及び体積既知の円筒容器(直径100mmのステンレス製容器、容量1000ml)の中心部へ該容器の下端から50mm以下の高さから注ぎ込む。このとき、注ぎ込まれた試料が円筒容器の上端よりも上方で三角錐を形成するように、十分な量の試料を円筒容器内に注ぎ込む。そして、へらを用いて円筒容器の上端よりも上方にある余剰の試料を払い落とし、この状態で該容器の質量を測定し、その測定値から容器の質量を差し引くことで、試料の質量を求め、これを容器の体積で除して、目的とする嵩密度を算出する。測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。尚、これらの測定は23±2℃、相対湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した後に測定する。
【0119】
(ボルテックス法による吸水速度の測定方法)
100mLのガラスビーカーに、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)50mLとマグネチックスターラーチップ(中央部直径8mm、両端部直径7mm、長さ30mmで、表面がフッ素樹脂コーティングされているもの)を入れ、ビーカーをマグネチックスターラー(アズワン製HPS−100)に載せる。マグネチックスターラーの回転数を600±60rpmに調整し、生理食塩水を撹拌させる。試料2.0gを、撹拌中の食塩水の渦の中心部で液中に投入し、JIS
K 7224(1996)に準拠して該吸水性樹脂粉末の吸水速度(秒)を測定する。具体的には、試料である吸水性樹脂粉末のビーカーへの投入が完了した時点でストップウォッチをスタートさせ、スターラーチップが試験液に覆われた時点(渦が消え、液表面が平らになった時点)でストップウォッチを止め、その時間(秒)を吸水速度として記録する。測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。尚、これらの測定は23±2℃、相対湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した後に測定する。
【0120】
(荷重下通液速度の測定方法)
100mLのガラスビーカーに、試料である吸水性樹脂粉末0.32±0.005gを生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)100mLに浸して60分間放置することで膨潤させた。別途、垂直に立てた円筒(内径25.4mm)の開口部の下端に、金網(目開き150μm、株式会社三商販売のバイオカラム焼結ステンレスフィルター30SUS)と、コック(内径2mm)付き細管(内径4mm、長さ8cm)とが備えられた濾過円筒管を用意し、コックを閉鎖した状態で円筒管内に、膨潤した測定試料を含む前記ビーカーの内容物全てを投入する。次いで、目開きが150μmで直径が25mmである金網を先端に備えた直径2mmの円柱棒を濾過円筒管内に挿入して、金網と測定試料とが接するようにし、更に測定試料に2.0kPaの荷重が加わるようおもりを載せる。この状態で1分間放置した後、コックを開いて液を流し、濾過円筒管内の液面が60mLの目盛り線から40mLの目盛り線に達する(つまり20mLの液が通過する)までの時間(T
1)(秒)を計測する。計測された時間T
1(秒)を用い、次式から2.0kPaでの荷重下通液速度を算出する。尚、式中、T
0(秒)は、濾過円筒管内に測定試料を入れないで、生理食塩水20mlが金網を通過するのに要する時間を計測した値である。
荷重下通液速度(秒)=(T
1−T
0)
測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。尚、これらの測定は23±2℃、相対湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した後で測定する。
【0121】
(吸湿ブロッキング率)
試料10.0gを底面の直径52mm、高さ22mmのアルミニウムカップ(東洋エコー株式会社、ホイルコンテナー、品番107)に均一に入れ、40℃、相対湿度80%RHの恒温恒湿槽中で3時間静置する。その後12メッシュの金網で軽く篩い、吸湿によりブロッキングして12メッシュをパスしない測定サンプルの粉末状物の質量、および12メッシュをパスした試料の重量測定を測定し、次式に従って目的とする吸湿ブロッキング率を算出する。
吸湿ブロッキング率(%)=(放置後の12メッシュをパスしない試料の重量)/(放置後の12メッシュをパスしない試料の重量+放置後の12メッシュをパスした試料の重量)×100
測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。尚、測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した後で測定する。
【0122】
(吸収倍率の測定方法)
吸収倍率の測定は、JIS K 7223(1996)に準拠して行う。目開き63μmのナイロン網(JIS Z8801−1:2000)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。測定試料1.00gを精秤し、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。試料の入ったナイロン袋を、生理食塩水に浸漬させる。浸漬開始から60分後にナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、試料の質量(F1)を測定する。また、試料を用いないで同様の操作を行い、そのときの質量F0(g)を測定する。そして、これら質量F1、F0および試料の質量から、次式に従って、目的とする吸収倍率を算出する。
吸収倍率(g/g)=(F1−F0)/試料の質量
【0123】
(保水量の測定方法)
保水量の測定は、JIS K 7223(1996)に準拠して行う。目開き63μmのナイロン網(JIS Z8801−1:2000)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。測定試料1.00gを精秤し、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。試料の入ったナイロン袋を、生理食塩水に浸漬させる。浸漬開始から60分後にナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、遠心脱水器(コクサン(株)製、型式H−130C特型)を用いて脱水する。脱水条件は、143G(800rpm)で2分間とする。脱水後の質量(R1)を測定する。また、試料を用いないで同様の操作を行い、そのときの質量R0(g)を測定する。そして、これら質量R1、R0および試料の質量から、次式に従って、目的とする保水量を算出する。
保水量(g/g)=(R1−R0−試料の質量)/試料の質量
【0124】
(吸収速度、ウェットバック法による逆戻り量)
測定する吸収性物品の中央に吸収速度測定用リング(内径50mm、長さ100mm、重量1250g)をセットし、人工尿150mlを注入し、注入開始から人工尿を吸収し終えるまでの時間を測定し吸収速度を求めた。30分放置後2回目の人工尿を注入、さらに30分放置後3回目、加えて30分放置後4回目の人工尿注入の操作を行い、4回目の吸収速度を求めた。さらに4回目注入後、吸収速度測定用リングを外し30分の時点で直径110mmのろ紙(東洋濾紙(株)製)を吸収性物品中央に置き、ろ紙の上に3.5kgのおもりを30秒のせて試験前と試験後のろ紙の重さの差よりウェットバックを測定した。なお、人工尿、測定雰囲気及び放置雰囲気は、25±5℃、65±10%RHで行った。
【0125】
[吸水性樹脂粉末の合成]
<合成例1>
水溶性エチレン性不飽和モノマー(a1−1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}155質量部(2.15モル部)、内部架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ−株式会社製}0.6225質量部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27質量部を撹拌・混合しながら1℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を0.1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.31質量部、1%アスコルビン酸水溶液1.1625質量部及び0.5%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.325質量部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が85℃に達した後、85±2℃で約10時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。次に、この含水ゲル(1)502.27質量部をミンチ機(ROYAL社製12VR−400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42質量部を添加して混合し、さらにエチレングリコールジグリシジルエーテルの1%水溶液3質量部を添加して混合して細断ゲル(2)を得た。さらに細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{200℃、風速5m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150μm及び710μmのふるいを用いて150μm〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100質量部を高速撹拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5質量部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋することにより、(A)架橋重合体を得た。この(A)架橋重合体100質量部に対し、(B)表面改質剤としてシリカ(東新化成株式会社製アエロジル 380)0.5質量部、及び、カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製X−22−3701E)0.02質量部を用いて85℃で60分撹拌させた。得られた樹脂粉末の重量平均粒子径を400μmに調整して、吸水性樹脂粉末1を得た。
【0126】
<合成例2>
「細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{200℃、風速5m/秒}で乾燥」を「細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{150℃、風速5m/秒}で乾燥」に変更したこと以外、合成例1と同様にして、吸水性樹脂粉末2を得た。
【0127】
<合成例3>
「細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{200℃、風速5m/秒}で乾燥」を「細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥」に変更したこと以外、合成例1と同様にして、吸水性樹脂粉末3を得た。
【0128】
<合成例4>
「重量平均粒子径を400μmに調整」を「重量平均粒子径を530μmに調整」に変更したこと以外、合成例3と同様にして、吸水性樹脂粉末4を得た。
【0129】
<合成例5>
「重量平均粒子径を400μmに調整」を「重量平均粒子径を320μmに調整」に変更したこと以外、合成例2と同様にして、吸水性樹脂粉末5を得た。
【0130】
<合成例6>
「重量平均粒子径を400μmに調整」を「重量平均粒子径を280μmに調整」に変更したこと以外、合成例1と同様にして、吸水性樹脂粉末6を得た。
【0131】
<合成例7>
「(B)表面改質剤としてシリカ(東新化成株式会社製アエロジル 380)0.5質量部、及び、カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製X−22−3701E)0.02質量部」を「(B)表面改質剤としてシリカ(東新化成株式会社製アエロジル 380)0.5質量部」に変更したこと以外、合成例2と同様にして、吸水性樹脂粉末7を得た。
【0132】
<合成例8>
「(B)表面改質剤としてシリカ(東新化成株式会社製アエロジル 380)0.5質量部、及び、カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製X−22−3701E)0.02質量部」を「(B)表面改質剤としてシリカ(東新化成株式会社製アエロジル 200)0.5質量部」に変更したこと以外、合成例2と同様にして、吸水性樹脂粉末8を得た。
【0133】
<合成例9>
「(B)表面改質剤としてシリカ(東新化成株式会社製アエロジル 380)0.5質量部、及び、カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製X−22−3701E)0.02質量部」を「(B)表面改質剤としてカルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製X−22−3701E)0.02質量部」に変更したこと以外、合成例2と同様にして、吸水性樹脂粉末9を得た。
【0134】
<合成例10>
「(B)表面改質剤としてシリカ(東新化成株式会社製アエロジル 380)0.5質量部、及び、カルボキシ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製X−22−3701E)0.02質量部」を「(B)表面改質剤としてアミノ変性ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製KF−880)0.02質量部」に変更したこと以外、合成例2と同様にして、吸水性樹脂粉末10を得た。
【0135】
<比較合成例1>
「細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{200℃、風速5m/秒}で乾燥」を「細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{120℃、風速2m/秒}で乾燥」に変更したこと以外、合成例1と同様にして、比較吸水性樹脂粉末1を得た。
【0136】
<比較合成例2>
「重量平均粒子径を400μmに調整」を「重量平均粒子径を600μmに調整」に変更したこと以外、合成例1と同様にして、比較吸水性樹脂粉末2を得た。
【0137】
<比較合成例3>
「重量平均粒子径を400μmに調整」を「重量平均粒子径を280μmに調整」に変更したこと以外、合成例2と同様にして、比較吸水性樹脂粉末3を得た。
【0138】
<比較合成例4>
100重量部の吸水性樹脂粉末7に対し、ポリエチレングリコール(三洋化成工業製PEG200)2部を加えて、85℃で60分撹拌させた。得られた樹脂粉末の重量平均粒子径を400μmに調整して、比較吸水性樹脂粉末4を得た。
【0139】
合成例1〜10及び比較合成例1〜4で得た吸水性樹脂粉末について、測定した物理的性質を表1示す。
【0140】
【表1】
【0141】
[吸収層の作製]
<吸収層1>
不織布として、エアスルー不職布の上に合成ゴム系ホットメルト接着剤を塗布した後、吸水性樹脂粉末1を筋状に散布し、前記樹脂粉末を散布したエアスルー不織布に、スパンレース不職布を積層し、得られた積層体をプレスして、吸収層1を作製した。
【0142】
<吸収層2〜10>
「吸水性樹脂粉末1」を「吸水性樹脂粉末2〜10」に変更したこと以外、吸収層1と同様にして、吸収層2〜10を作製した。
【0143】
<比較吸収層1>
「吸水性樹脂粉末1」を「比較吸水性樹脂粉末1」に変更したこと以外、吸収層1と同様にして、超薄型比較吸収層1を作製した。
【0144】
<比較吸収層2〜4>
「比較吸水性樹脂粉末1」を「比較吸水性樹脂粉末2〜4」に変更したこと以外、比較吸収層1と同様にして、比較吸収層2〜4を作製した。
【0145】
[吸収性物品の作製]
<吸収性物品1>
上から順に、透液性のエアスルー不織布、吸収層1、ティッシュ、吸水性樹脂とパルプを混合してなる吸収層を積層して吸収性物品1を作製した。
【0146】
<吸収性物品2〜10>
「吸収層1」を「吸収層2〜10」に変更したこと以外は、吸収性物品1と同様にして吸収性物品2〜10を作製した。
【0147】
<比較吸収性物品1>
「吸収層1」を「比較吸収層1」に変更したこと以外は、吸収性物品1と同様にして、比較吸収性物品1を作製した。
【0148】
<比較吸収性物品2〜4>
「比較吸収層1」を「比較吸収層2〜4」に変更したこと以外は、比較吸収性物品1と同様にして比較吸収性物品2〜4を作製した。
【0149】
得られた吸収性物品への浸透性を評価するため、人工尿を吸収し終えるまでの時間(吸収速度)を測定した。又、吸収体の逆戻り性を評価するため、ウェットバック法による逆戻り量を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0150】
【表2】
【0151】
表2から分かるように、本発明の吸収性物品1〜10は、比較吸収性物品1〜4と比べて優れた吸収速度および耐逆戻り性を示している。これは、特定の物性を有する吸水性樹脂粉末を含有することにより、吸収体への浸透性、及び、吸収性が改善することによるものであると考えられる。一方、比較吸収性物品1〜4は、本発明の吸収性物品と比べて劣る結果を示している。
【0152】
比較吸収性物品1は、最上層の吸収層が含有する吸水性樹脂粉末の嵩密度が大きいため、吸収体への浸透性が改善されにくい。そのため、1回目の吸収速度、4回目の吸収速度のいずれも劣る結果になったと推定される。比較吸収性物品2は、最上層の吸収層が含有する吸水性樹脂粉末の吸収速度が遅いため、吸収体への浸透性や、逆戻り性が改善されにくい。そのため、1回目の吸収速度、4回目の吸収速度、及び逆戻り性が劣る結果になったと推定される。比較吸収性物品3は、最上層の吸収層が含有する吸水性樹脂粉末の荷重下吸収速度が遅いため、吸収体への浸透性や、逆戻り性が改善されにくい。そのため、4回目の吸収速度、及び逆戻り性が劣る結果になったと推定される。比較吸収性物品4は、最上層の吸収層が含有する吸水性樹脂粉末の吸湿ブロッキング率が高いため、逆戻り性が改善されにくい。そのため、逆戻り性が劣る結果になったと推定される。