(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1のように床下に配置される防振装置の場合、床上で人が飛び跳ねた際に生じる低い振動数の振動を低減しようとすると、防振装置の弾性部材を、容易に変形可能な構成にする必要がある。しかしながら、前記特許文献1のようなゴムの塊を防振装置に用いた場合、上床などの軽い荷重が付加された状態では低い振動数の振動に対して十分なゴムの変形が得られず、低い振動数の振動を低減できない可能性がある。
【0006】
そのため、前記特許文献2のように、防振装置上に重量ボードまたはコンクリート等の重量の大きい下地を形成して、防振装置に所定の初期荷重を付加するようにしている。
【0007】
このように、低い振動数の振動を吸収可能な防振装置を床下に設置しようとすると、防振装置上に重量の大きい下地を形成する必要があるため、防振装置の設置工事が複雑になるとともに、大規模な工事が必要になる。
【0008】
そのため、本発明の目的は、低い振動数の振動を低減することができ且つ簡単な工事によって設置可能な防振装置の構成を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る防振装置は、柱状の積層体を備え、前記積層体は、平板状に形成された複数の弾性部材と、前記複数の弾性部材よりも大きい縦弾性係数を有する平板部材とを有し、前記平板部材は、前記複数の弾性部材に対し、弾性部材と弾性部材との間に挟み込まれるように配置され、前記複数の弾性部材のうち少なくとも一つの弾性部材は、その厚み方向の少なくとも一面に凹部を有する(第1の構成)。
【0010】
以上の構成では、平板状に形成された弾性部材と該弾性部材よりも縦弾性係数が大きい平板部材とが厚み方向に交互に積層されるため、積層体に対して積層方向に力が入力された際に弾性部材が変形を生じやすくなる。これにより、防振装置によって、低い振動数の振動を低減することが可能となる。しかも、複数の弾性部材のうち少なくとも一つの弾性部材は、厚み方向の少なくとも一面に凹部を有するため、該弾性部材の表面積を増大させることができる。よって、弾性部材がより変形を生じやすくなり、より低い振動数の振動を低減可能な防振装置が得られる。
【0011】
前記第1の構成において、前記凹部は、前記積層体における積層方向の剛性が、前記積層体の積層方向から見て該積層体の全周で同等になるように、前記少なくとも一つの弾性部材に形成されているのが好ましい(第2の構成)。
【0012】
これにより、防振装置の積層体に対し、該積層体の積層方向に力が加わった場合に、積層体はその全周で均一に積層方向の変形を生じる。したがって、安定して所定の振動低減特性が得られる防振装置を実現できる。
【0013】
ここで、積層体における積層方向の剛性が該積層体の全周で同等とは、剛性が等しい場合だけでなく、積層体が全周で積層方向に均一な変形が生じるような剛性の範囲を意味する。
【0014】
前記第1または第2の構成において、前記凹部は、前記少なくとも一つの弾性部材の厚み方向の両面に形成されているのが好ましい(第3の構成)。
【0015】
こうすることで、弾性部材を厚み方向により容易に変形させることができる。したがって、より低い振動数の振動を低減可能な防振装置が得られる。
【0016】
前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、前記凹部は、溝部を含むのが好ましい(第4の構成)。これにより、弾性部材に、該弾性部材の変形を容易にする凹部を連続して形成することができる。よって、弾性部材を容易に変形させることが可能になる。
【0017】
前記第4の構成において、前記凹部は、互いに平行に形成された複数の直線状の溝部を含むのが好ましい(第5の構成)。こうすることで、弾性部材全体を厚み方向により容易に変形させることができる。
【0018】
前記第4または第5の構成において、前記積層体は、複数の平板部材を有し、前記複数の弾性部材は、それぞれ、前記溝部を有し、前記複数の弾性部材は、前記積層体の積層方向から見て、前記複数の平板部材のうち一つの平板部材を挟んで配置される一対の弾性部材にそれぞれ形成された溝部同士がなす角度と、前記複数の平板部材のうち他の平板部材を挟んで配置される一対の弾性部材にそれぞれ形成された溝部同士がなす角度とが、同等になるように配置されているのが好ましい(第6の構成)。
【0019】
これにより、各弾性部材の厚み方向の少なくとも一面に直線状の溝部を設けた場合でも、積層体における積層方向の剛性を、該積層体の積層方向から見て該積層体の全周でほぼ等しくすることが可能となる。よって、上述の構成により、直線状の溝部を設けた場合でも、安定して所定の振動低減特性が得られる防振装置を実現できる。
【0020】
前記第4または第5の構成において、前記溝部は、前記少なくとも一つの弾性部材の厚み方向の両面に形成されていて、前記弾性部材の厚み方向の一側の面に形成された溝部は、前記積層体の積層方向から見て、前記弾性部材の厚み方向の他側の面に形成された溝部に対して交差しているのが好ましい(第7の構成)。
【0021】
これにより、弾性部材の一側の面のみに溝を設ける構成に比べて、弾性部材の厚み方向の剛性のばらつきを低減できる。したがって、積層体の積層方向の剛性のばらつきを低減することができ、より安定して所定の振動低減特性が得られる防振装置を実現できる。
【0022】
前記第1から第7の構成のうちいずれか一つの構成において、前記積層体は、前記複数の弾性部材及び前記平板部材を貫通する貫通孔を有するのが好ましい(第8の構成)。
【0023】
これにより、積層体が力を受ける受圧面積を増大させることなく、積層体が座屈を生じないように該積層体の外径を大きくすることができる。すなわち、積層体の外径が小さいと、座屈を生じやすい。一方、座屈防止のために積層体の外径を大きくすると、積層体の受圧面積が大きくなって積層体が変形しにくくなる。これに対し、上述の構成のように、積層体を、貫通穴を有する形状とすることで、座屈しないような外径にしつつ、積層体の弾性部材を容易に変形させることが可能となる。よって、上述の構成により、積層体の座屈防止と、低い振動数の振動低減とを両立させることができる。
【0024】
前記第8の構成において、前記積層体の積層方向の両端に位置する一対の支持板と、前記支持板同士を前記積層体の前記貫通孔内で接続する接続部材と、前記接続部材と前記一対の支持板の少なくとも一方との間に配置され、前記一対の支持板間での振動の伝達を抑制する振動抑制部材とをさらに備えるのが好ましい(第9の構成)。
【0025】
弾性部材を含む積層体に対して圧縮方向に大きな衝撃力を加えると、その反動で積層体を構成する弾性部材及び平板部材が積層方向に分離する可能性がある。これに対し、上述の構成のように、積層体の積層方向の両端に位置する一対の支持板同士を接続部材によって接続することにより、積層体の弾性部材及び平板部材が互いに積層方向に分離するのを防止できる。よって、積層体に圧縮方向に加わった衝撃の反動で、積層体の弾性部材及び平板部材が積層方向に分離するのを防止できる。
【0026】
しかも、接続部材と一対の支持板の少なくとも一方との間には、振動抑制部材が配置されているため、接続部材を介して一対の支持板間で振動が伝わるのを防止できる。
【0027】
前記第9の構成において、前記一対の支持板のうち少なくとも一方の支持板は、前記積層体の貫通孔の内方に向かって延びる支持部を有し、前記接続部材は、前記支持部と他方の支持板とを接続するのが好ましい(第10の構成)。
【0028】
これにより、積層体の弾性部材及び平板部材が該積層体の積層方向と交差する方向に移動するのを、支持部によって防止できる。したがって、積層体が積層方向と交差する方向に崩れるのを、支持部によって防止できる。
【0029】
しかも、上述の構成により、支持部と他方の支持板とを、支持部を設けない場合に用いる接続部材よりも短い接続部材によって接続することができる。
【0030】
前記第9の構成において、前記一対の支持板は、それぞれ、前記積層体の前記貫通孔の内方に向かって延びる支持部を有し、前記一対の支持板のうち一方の支持板に設けられた支持部は、他方の支持板に設けられた支持部との干渉を防止するための凹部を有するのが好ましい(第11の構成)。
【0031】
これにより、一対の支持板にそれぞれ設けられた支持部によって、積層体の弾性部材及び平板部材が該積層体の積層方向と交差する方向に移動するのを防止できる。よって、一つの支持部で積層体の内面を支える構成に比べて、支持部の長さを短くすることができる。
【0032】
また、一方の支持板に設けられた支持部に凹部を設けることで、一対の支持板にそれぞれ設けられた支持部同士が干渉するのを防止できる。
【0033】
前記第1から第11の構成のうちいずれか一つの構成において、防振装置は、乾式二重床の上床と下床との間に配置されるのが好ましい(第12の構成)。
【0034】
上床の重量が比較的軽い乾式二重床の場合でも、第1から第11の構成を有する防振装置によって、低い振動数の振動を除去することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の一実施形態に係る防振装置によれば、平板状に形成された弾性部材と平板部材とを交互に積層することにより積層体を構成するとともに、少なくとも一つの弾性部材は厚み方向の少なくとも一面に凹部を有する。これにより、弾性部材を容易に変形させることができ、積層体の圧縮荷重が小さい場合でも、低い振動数の振動を効率良く低減することができる。したがって、低い振動数の振動を低減可能で且つ簡単な工事で設置可能な防振装置が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0038】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る防振装置1の概略構成示す図である。この防振装置1は、
図2に示すように、例えば乾式二重床2に用いられる。具体的には、防振装置1は、乾式二重床2の下床3と上床4との間に配置され、上床4を下床3に対して弾性支持する。なお、防振装置1は、例えばコンクリート製の下床3上に接着材等によって固定されるとともに、上床4を下方から支える例えば梁状の構造部材5に、ボルト等によって連結されている。
【0039】
本実施形態では、防振装置1を乾式二重床に適用しているが、この限りではなく、防振装置1を、他の構造体を支持するために用いてもよい。
【0040】
図1に示すように、防振装置1は、全体として概略円柱状に形成されている。詳しくは、防振装置1は、略円柱状の積層体10と、積層体10の積層方向の両端に位置する上部支持体20及び下部支持体25とを有する。すなわち、上部支持体20及び下部支持体25は、それぞれ、積層体10の積層方向の端面を覆うように配置されている。
【0041】
図1及び
図3に示すように、積層体10は、それぞれリング状に形成されたゴム板11(弾性部材)と硬質板12(平板部材)とをそれらの厚み方向に交互に積層することにより構成される。すなわち、硬質板12は、複数のゴム板11に対し、ゴム板11とゴム板11との間に配置される。ゴム板11と硬質板12とは、接着材によって接着されていてもよいし、単に接触している状態であってもよい。
【0042】
ゴム板11及び硬質板12は、それぞれ、中央部分に貫通穴11a,12aを有する円形状の平板である。これらの貫通穴11a,12aは、それぞれ、ゴム板11及び硬質板12に、積層体10の積層方向に対応する位置(積層体10を積層方向から見て中央部分)に形成されている。これにより、ゴム板11及び硬質板12を積層することによって構成された積層体10は、積層方向に延びる貫通孔10aを有する。すなわち、積層体10の貫通孔10aは、ゴム板11及び硬質板12を貫通している。
【0043】
このような貫通孔10aを有する積層体10では、積層方向に力を受けた場合に、受圧面積が小さくなる一方、積層体10の表面積が増大するため、容易に変形を生じる。よって、上述の構成により、人が床上で跳ねた場合などに生じる低い振動数(例えば10Hz以下)の振動を低減可能な防振装置1が得られる。
【0044】
ゴム板11は、例えばゴム硬度が50度の天然ゴムによって構成されるリング状の平板部材である。
図4に示すように、ゴム板11の厚み方向の一方の面には、複数の溝部11b(凹部)が形成されているとともに、該ゴム板11の厚み方向の他方の面には、複数の溝部11c(凹部)が形成されている。すなわち、ゴム板11の厚み方向の両面には、それぞれ複数の溝部11b,11cが形成されている。このように、ゴム板11の厚み方向の両面に溝部11b,11cを設けることで、ゴム板11の表面積を拡大させることができ、ゴム板11を容易に変形させることができる。
【0045】
溝部11b,11cは、それぞれ、ゴム板11の厚み方向から見て、直線状に形成されているとともに、隣りの溝部11b,11cに対して略平行に形成されている。このような溝部11b,11cをゴム板11に設けることにより、溝部11b同士の間及び溝部11c同士の間には、それぞれ、略平行に延びる直線状の凸部11d,11eが複数、形成される(
図4(b)参照)。
【0046】
図4(a)に示すように、溝部11bは、ゴム板11の厚み方向から見て、該ゴム板11の他方の面に形成された溝部11cに対して直交するように、ゴム板11に形成されている。すなわち、ゴム板11の厚み方向から見て、該ゴム板11の両面にそれぞれ形成される溝部11b,11cは互いに直行している。これにより、ゴム板11の片面のみに溝部を設ける構成に比べて、ゴム板11の厚み方向の剛性のばらつきを低減することができる。なお、本実施形態では、溝部11bと溝部11cとは、ゴム板11の厚み方向から見て直交しているが、この限りではなく、ゴム板11の厚み方向から見て溝部11bと溝部11cとが交差していれば、どのような角度で交わっていてもよい。
【0047】
硬質板12は、例えばステンレス鋼などの金属製の平板であり、ゴム板11と同等の内外径を有するリング状に形成されている。硬質板12は、ゴム板11に比べて大きい縦弾性係数を有する材料によって構成される。
【0048】
上述の構成を有するゴム板11同士の間に硬質板12を挟み込むように、複数のゴム板11及び硬質板12を厚み方向に交互に積層することにより、積層体10を形成する。
【0049】
このとき、
図5に示すように、複数のゴム板11は、積層体10の積層方向から見て、各ゴム板11の溝部11bがそれぞれ異なる方向(
図5の各矢印方向)に延びるように、配置されている。詳しくは、複数のゴム板11は、積層方向から見て、硬質板12を挟んで配置される一対のゴム板11の一方の面に形成された溝部11b同士のなす角度(
図5の実線矢印と破線矢印とのなす角度)と、別の硬質板12を挟んで配置される一対のゴム板11の一方の面に形成された溝部11b同士のなす角度(
図5の破線矢印と一点鎖線矢印とのなす角度)とが、同等になるように、互いに積層される。本実施形態の場合、ゴム板11は3層、積層されているため、積層体10の積層方向から見て、硬質板12を挟んで配置される一対のゴム板11の溝部11b同士のなす角度は120度である。なお、
図1から
図3及び
図7では、ゴム板11の表面に形成された溝部11b,11cの図示を省略している。
【0050】
上述のように、複数のゴム板11を配置することで、積層体10の積層方向の剛性を、該積層体10の積層方向から見て積層体10の全周で同等にすることができる。これにより、積層体10に対し、該積層体10の積層方向に力が加わっても、積層体10を全周で均一に積層方向に変形させることができる。したがって、防振装置1によって、該防振装置1に入力される低い振動数の振動を、より確実に低減することができる。
【0051】
図3に示すように、上部支持体20及び下部支持体25は、略円筒状の積層体10の端部に配置される。上部支持体20と下部支持体25とをボルト30によって接続することにより、積層体10は、上部支持体20と下部支持体25との間に挟み込まれる。
【0052】
上部支持体20は、例えばステンレスなどの金属材料によって構成されている。上部支持体20は、円盤状の天板21(支持板)と、該天板21の一面側に設けられた上側支持部22(支持部)とを備える。上部支持体20は、天板21が積層体10の上面に接触する一方、上側支持部22が該積層体10の内方に位置付けられるように、積層体10に対して配置されている。
【0053】
天板21は、積層体10の外径よりも大きな外径を有する円盤状の部材である。天板21の中央部分には、防振装置1を組み立てる際にボルト30が通過する貫通穴21aが形成されている。また、
図1に示すように、天板21には、平面視で貫通穴21aを挟んだ位置に2つの貫通穴21bが形成されている。特に図示しないが、天板21は、貫通穴21bに挿入されるボルト等によって、上床2を支える構造部材5等に固定される。
【0054】
上側支持部22は、
図3及び
図7に示すように、矩形状の底部22aと、該底部22aを天板21に対して支持する一対の矩形状の側壁22bとを有する。一対の側壁22bは、底部22aの対向する辺から該底部22aと直交する方向にそれぞれ延びている。また、各側壁22bは、底部22aとは反対側が天板21の下面に溶接等によって接続されている。これにより、上側支持部22は、積層体10の側面から見て、底部22aが下側に位置する略U字状に形成されている。上側支持部22は、積層体10の内方に配置可能なように、底部22aの外形が積層体10の貫通孔10aよりも小さい。
【0055】
上側支持部22の底部22aには、その中央部分に、貫通穴22cが形成されている。この貫通穴22c内には、ボルト30が挿入されたゴムブッシュ31の一部が配置される。
【0056】
ゴムブッシュ31(振動抑制部材)は、円柱状の大径部31aと、該大径部31aよりも外径が小さい円柱状の小径部31bとを有し、大径部31aの一方の端面上に小径部31bが一体で形成されている。ゴムブッシュ31の小径部31bは、上側支持部22の底部22aに設けられた貫通穴22cに挿入される。また、ゴムブッシュ31には、大径部31a及び小径部31bのそれぞれ中央部分を貫通するように、貫通孔31cが形成されている。この貫通孔31c内に、ボルト30の軸部が挿入される。なお、ゴムブッシュ31も、上述のゴム板11と同様、例えばゴム硬度が50度の天然ゴムによって構成される。
【0057】
これにより、上側支持部22の底部22aに、ボルト30が直接、接触するのを防止できる。したがって、上床3から構造部材5を介して上側支持部22に伝わった振動が、ボルト30を介して下側支持部25に伝わるのを、ゴムブッシュ31によって防止できる。すなわち、ゴムブッシュ31は、ボルト30を介して上側支持部22から下部支持体25に振動が伝わるのを防止する振動抑制部材として機能する。
【0058】
ゴムブッシュ31は、防振装置1に荷重が作用していない状態では、後述するナット28に締結されたボルト30の頭部が接触する一方、防振装置1に所定の荷重が作用している状態で、ボルト30の頭部が離間するような厚みを有する。これにより、防振装置1によって上床4等を支持していて該防振装置1に所定の荷重が作用している状態では、ボルト30を介して上側支持部22から下側支持部25に振動が伝わるのをより確実に防止できる。なお、
図3が、防振装置1に所定の荷重が作用した状態を示す。
【0059】
下部支持体25は、上部支持体20と同様、例えばステンレスなどの金属材料によって構成されている。
図7に示すように、下部支持体25は、円盤状の底板26(支持板)と、該底板26上に設けられた一対の下側支持部27(支持部)とを備える。下部支持体25は、底板26が積層体10の下面に接触する一方、下側支持部27が該積層体10の内方に位置付けられるように、積層体10に対して配置されている。
【0060】
底板26には、
図3及び
図7に示すように、上面の中央部分に、ボルト30のネジ部が締結されるナット28が設けられている。ナット28は、ボルト30のネジ部が締結可能なように、開口部分が上側を向いた状態で底板26に取り付けられている。なお、ナット28とボルト30との締結が緩まないように、ナット28とボルト30との間に接着剤を入れてもよいし、ナット28をダブルナットにしてもよい。
【0061】
図7に示すように、一対の下側支持部27は、底板26の上面に、ナット28を挟むように配置されている。各下側支持部27は、角柱状の底部27aと、該底部27aの長手方向両端から該底部27aに直交するようにそれぞれ延びる一対の角柱状の突出部27bとを有する。これにより、下側支持部27は、全体として略U字状に形成されている。
【0062】
各下側支持部27は、底部27aが底板26の上面に溶接等によって接続されている。よって、各下側支持部27の突出部27bは、底板26から上方に向かって突出している。下側支持部27の突出部27bの長さは、防振装置1に積層体10の積層方向に力が加わって該積層体10が圧縮された場合でも、天板21と接触しないような長さである。なお、一対の下側支持部27は、積層体10の内方に配置可能なように、所定の間隔で底板26上に配置されている。
【0063】
上述のように構成された上部支持体20及び下部支持体25は、
図3に示すように、積層体10の積層方向両端に配置された状態で、上側支持部22及び下側支持部27が積層体10の内方に位置付けられる。しかも、上側支持部22及び下側支持部27は、積層体10の内方で該積層体10の積層方向に重なるように設けられている。すなわち、
図3の状態で、上側支持部22の側壁22bと、下側支持部27の突出部27bとが、積層体10の積層方向に重なっている。
【0064】
図6に示すように、上側支持部22及び下側支持部27は、上側支持部22の角部分(底部22a及び側壁22bの角部同士を合わせた部分)が下側支持部27の突出部27bと干渉しないように、積層体10内に配置されている。詳しくは、下側支持部27の突出部27bを互いに離間して設けることにより、下側支持部27には、上側支持部22との干渉を防止するための凹部29が形成される。そして、上部支持体20及び下部支持体25は、凹部29(下側支持部27の突出部27b同士の間)に上側支持部22の角部分が位置付けられるように、積層体10に対して組み合わされる。本実施形態の場合、上側支持部22及び下側支持部27は、積層体10の積層方向から見て、上側支持部22の側壁22bと下側支持部27の底部27aとのなす角度が略45度になるように、配置されている(
図6参照)。
【0065】
これにより、上述のように、積層体10の内部で、上側支持部22の側壁22bと下側支持部27の突出部27bとを、積層体10の積層方向に重なるように配置することができる。したがって、積層体10に対して上部支持体20及び下部支持体25を積層方向によりコンパクトに配置することができ、コンパクトな防振装置1が得られる。
【0066】
(実施形態の効果)
複数のリング状のゴム板11と複数のリング状の硬質板12とをそれらの厚み方向に交互に積層することにより積層体10を形成する。これにより、積層体10の受圧面積を小さくしつつ、ゴム板11が変形可能な表面積を増大させることができる。したがって、積層体10は、積層方向に容易に変形可能である。
【0067】
また、ゴム板11の厚み方向の両面に溝部11b,11cを設けることにより、ゴム板11を厚み方向により容易に変形させることができる。したがって、積層体10は、積層方向により容易に変形するため、防振装置1によって、低い振動数の振動をより効果的に低減することができる。
【0068】
しかも、複数のゴム板11は、積層体10の積層方向から見て、硬質板12を挟んで配置される一対のゴム板11の溝部11b同士のなす角度と、別の硬質板12を挟んで配置される一対のゴム板11の溝部11b同士のなす角度とが同等になるように配置される。これにより、防振装置1に対し、積層体10の積層方向に振動が入力された場合に、積層体10を全周で均一に積層方向に変形させることができるため、低い振動数の振動をより確実に低減することができる。
【0069】
さらに、積層体10の積層方向の両端に位置する上部支持体20と下部支持体25とは、ボルト30によって接続されている。これにより、積層体10のゴム板11及び硬質板12が積層方向に分離するのを防止できる。すなわち、防振装置1に強い衝撃が加わると、その反動で積層体10のゴム板11が硬質板12から離間するが、そのようなゴム板11の挙動を、ボルト30によって抑えることができる。
【0070】
また、上部支持体20及び下部支持体25は、それぞれ、積層体10の内方に位置する上側支持部22及び下側支持部27を有するため、該上側支持部22及び下側支持部27によって、積層体10の横ズレを防止することができる。しかも、上側支持部22と下部支持体25の底板26とをボルト30によって接続することにより、ボルト30の長さを短くすることができ、該ボルト30に作用する曲げ応力やせん断力等を低減することができる。
【0071】
しかも、上側支持部22とボルト30との間にはゴムブッシュ31が配置されているため、上部支持体20に加わった振動がボルト30を介して下部支持体25に伝わるのを防止できる。
【0072】
上部支持体20及び下部支持体25は、上側支持部22の角部分が、下側支持部27の突出部27b同士の間に位置するように、積層体10に対して取り付けられる。これにより、上側支持部22と下側支持部27とが干渉するのを防止できる。したがって、上側支持部22と下側支持部27とを積層体10の積層方向に重なるように配置できるため、防振装置1において積層体10の積層方向のコンパクト化を図れる。
【0073】
また、上側支持部22が積層体10の上側部分の横ずれを防止するとともに、下側支持部27が積層体10の下側部分の横ずれを防止する。すなわち、積層体10に横ずれが発生した場合、上側支持部22は積層体10の複数の硬質板12のうち上側に位置する硬質板12に接触し、下側支持部27は積層体10の下側に位置する硬質板12に接触する。これにより、積層体10の硬質板12が上側支持部22及び下側支持部27の両方に接触するのを防止できる。したがって、上側支持部22と下側支持部27との間で振動が伝わるのをより確実に防止できる。
【0074】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0075】
前記実施形態では、積層体10を、3層のゴム板11と2層の硬質板12とを有する構成としている。しかしながら、積層体10に用いるゴム板11は2層であってもよいし、4層以上であってもよい。また、硬質板12は1層または3層以上であってもよい。
【0076】
前記実施形態では、各ゴム板11の厚み方向の両面に溝部11b,11cを設けている。しかしながら、各ゴム板11の厚み方向の片面のみに溝部を設けてもよい。また、各ゴム板11の厚み方向の面の一部に溝部を設けてもよいし、各ゴム板11の側面の少なくとも一部に溝部を設けてもよい。さらに、複数のゴム板11のうち一部のゴム板11のみに溝部を設けてもよい。
【0077】
前記実施形態では、ゴム板11の厚み方向の面に互いに平行な直線状の溝部11b、11cを設けているが、どのような形状の溝部であってもよいし、溝部以外の凹部であってもよい。例えば、ゴム板11の中央部分から径方向に放射線状に延びるように溝部を設けたり、ディンプルなどのような凹凸を設けたりしてもよい。また、ゴム板11に設ける溝部または凹部は、一つであってもよい。
【0078】
前記実施形態では、ボルト30によって上部支持体20と下部支持体25とを接続している。しかしながら、上部支持体20と下部支持体25とを接続せずに、ゴム板11と、硬質板12、上部支持体20及び下部支持体25とをそれぞれ接着材等によって接着してもよい。また、ボルト以外の接続部材によって上部支持体20と下部支持体25とを接続してもよい。さらに、ボルト30などの接続部材を設けなくてもよいし、ゴム板11と、硬質板12、上部支持体20及び下部支持体25とを接着しなくてもよい。この場合にゴム板11及び硬質板12が積層方向に分離するのを防止するためには、例えば防振装置を挟み込む部材同士を連結すればよい。
【0079】
前記実施形態では、ゴム板11及びゴムブッシュ31に、ゴム硬度が50度の天然ゴムを用いているが、この限りではなく、他の弾性材料を用いたり、ゴム硬度が異なるゴム材料を用いたりしてもよい。
【0080】
前記実施形態では、硬質板12をステンレス鋼板としているが、この限りではなく、積層体10に用いられるゴム板11等の弾性部材よりも縦弾性係数が大きい材料であれば、硬質板12にどのような材料を用いてもよい。
【0081】
前記実施形態では、下側支持部27を、角柱状の部材によって、全体として略U字状に形成している。しかしながら、下側支持部は、積層体10の下側を支持可能な構成であれば、どのような構成であってもよい。また、前記実施形態では、上側支持部22も全体として略U字状に形成している。しかしながら、上側支持部は、積層体10の上側を支持可能な構成であれば、どのような構成であってもよい。防振装置には、上側支持部22及び下側支持部27のうち一方のみを設けてもよいし、積層体10全体を支持可能な支持部を設けてもよい。また、防振装置に支持部を設けなくてもよい。