(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013769
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】排気処理装置
(51)【国際特許分類】
F01N 1/02 20060101AFI20161011BHJP
F01N 1/08 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
F01N1/02 E
F01N1/08 G
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-100086(P2012-100086)
(22)【出願日】2012年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-227908(P2013-227908A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】永田 好伸
(72)【発明者】
【氏名】大嵜 辰俊
【審査官】
石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−047909(JP,A)
【文献】
特開昭59−113231(JP,A)
【文献】
実開昭59−126118(JP,U)
【文献】
特表2011−518282(JP,A)
【文献】
特開2008−267225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/02
F01N 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気が通る筒状シェルに出口管を径方向に配置し、通過する前記排気を処理する排気処理装置において、
前記筒状シェルの内周に沿って流路部材を取り付け、少なくとも前記筒状シェルと前記流路部材との間に前記出口管と前記筒状シェル内とを連通する排気流路を形成し、
前記流路部材はC字状に形成され、
前記流路部材の両端に、前記排気流路の両端と前記筒状シェル内とを連通する2つの開口が形成されていることを特徴とする排気処理装置。
【請求項2】
前記筒状シェルの出口側端を塞ぐ蓋部材を備え、前記流路部材は前記筒状シェルの内周と前記蓋部材とに沿って設けられ、前記筒状シェルと前記蓋部材と前記流路部材との間に前記排気流路を形成したことを特徴とする請求項1に記載の排気処理装置。
【請求項3】
前記流路部材は断面U字状に形成されると共に、前記筒状シェルの内周に沿って取り付けられ、前記筒状シェルと前記流路部材との間に前記排気流路を形成したことを特徴とする請求項1に記載の排気処理装置。
【請求項4】
前記流路部材はプレス成形されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の排気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関からの排気を浄化、あるいは消音等して排気を処理する排気処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両には、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関の排気流路に介装される触媒により排気を浄化する排気浄化装置や、排気騒音を低減する排気消音装置等の排気処理装置が搭載されている。例えば、特許文献1にあるように、排気騒音を低減する排気消音装置の内部を隔壁により共鳴室と拡張室とに仕切って消音を図ると共に、低周波数の騒音を有効に消音するために、排出流路側に大気中までの長さを長くしたロングテールパイプを用いる場合もある。
【0003】
また、特許文献2に示すように、内燃機関の排気流路に介装される触媒により浄化、あるいは、排気流路中に尿素を噴射して浄化する排気処理装置では、筒状シェル内にフィルタや触媒等を収納し、筒状シェルの径方向から筒状シェル内に出口管を挿入し、出口管から排気を排出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−47909号公報
【特許文献2】特開2008−267225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、こうした従来のものでは、特許文献1のように、ロングテールパイプを用いることができる場合はよいが、搭載上の問題から、ロングテールパイプを用いることができない場合もあり、有効な低周波数の騒音の低減を図れず、消音性能上の問題がある。
【0006】
また、特許文献2のように(
図9参照)、搭載上の関係等から、筒状シェル50の径方向に一対の貫通孔52,54を同芯上に形成し、両貫通孔52,54に出口管56を挿入する。筒状シェル50内の出口管56には多数の小孔58を形成して、排気を小孔58、出口管56を介して外部に排出するようにする。出口管56を筒状シェル50内に挿入することにより、出口管56によるテールパイプとしての有効長が長くなるが、出口管56に多数の小孔58を形成しているので、有効長を十分に得ることはできず、有効な低周波数の騒音の低減を図れず、消音性能上の問題がある。
【0007】
本発明の課題は、テールパイプとしての有効長を長くできる排気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、
排気が通る筒状シェルに出口管を径方向に配置し、通過する前記排気を浄化する排気処理装置において、
前記筒状シェルの内周に沿って流路部材を取り付け、少なくとも前記筒状シェルと前記流路部材との間に前記出口管と前記筒状シェル内とを連通する排気流路を形成したことを特徴とする排気処理装置がそれである。
【0009】
前記筒状シェルの出口側端を塞ぐ蓋部材を備え、前記流路部材は前記筒状シェルの内周と前記蓋部材とに沿って設けられ、前記筒状シェルと前記蓋部材と前記流路部材との間に前記排気流路を形成した構成としてもよい。あるいは、前記流路部材は断面U字状に形成されると共に、前記筒状シェルの内周に沿って取り付けられ、前記筒状シェルと前記流路部材との間に前記排気流路を形成した構成としてもよい。また、前記流路部材はプレス成形された構成でもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の排気処理装置は、流路部材を設けたことにより、筒状シェルの内部にテールパイプとして有効な排気流路を形成することができ、テールパイプとしての有効長が出口管と排気流路との合計長さとなるので、有効に低周波数の騒音の低減を図ることができ、消音性能を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態としての排気処理装置の要部正面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態としての排気処理装置の要部正面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態としての排気処理装置の要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1、
図2に示すように、1は排気処理装置で、排気処理装置1は図示しない排気流路に設けられており、例えば、排気処理装置1は酸化触媒やディーゼル・パティキュレート・フィルタ等の図示しない処理部材を備えた排気浄化装置である。本実施形態では、排気の浄化処理を行う排気処理装置1に本発明を適用した例であるが、これに限らず、例えば排気の消音処理を行う排気処理装置に本発明を適用してもよい。
【0013】
2は排気処理装置1の筒状シェルで、筒状シェル2の出口側端は蓋部材4により閉塞されており、筒状シェル2と蓋部材4との接続箇所に、貫通孔6が形成されている。貫通孔6にはテールパイプとしての出口管8の一端が挿入されて溶接等により固定されている。本実施形態では、上流側の排気流路から排気処理装置に流入した排気は、処理部材を通ってから、出口管8を介して、大気中等に排出される。
【0014】
筒状シェル2内には流路部材10が取り付けられおり、流路部材10は筒状シェル2の内周と蓋部材4とに沿って設けられている。
図3に示すように、流路部材10は、排気流れ上流側から見て、外周側端10a及び内周側端10bが円弧状となるようにプレス成形されたものである。なお、外周側端10aは、内周側端10bより排気流れ上流側に位置する。
【0015】
流路部材10の外周側端10aは筒状シェル2の内周に密着して溶接等により固定されると共に、流路部材10の内周側端10bは蓋部材4の内側側面に密着して溶接等により固定される。
【0016】
また、流路部材10は出口管8と反対側の筒状シェル2の内周下側から、筒状シェル2の内周に沿って出口管8を通り過ぎた位置まで形成されており、筒状シェル2の内周と蓋部材4と流路部材10との間に排気流路12が形成されている。
【0017】
また、
図2に示すように、流路部材10のうち出口管8と反対側の部位、つまり外周側端10aと内周側端10bとを繋ぐ部位10c全体が、筒状シェル2の中心軸線L1側に向けて折り曲げられている。このため、流路部材10と筒状シェル2との間には、排気流路12に連通する開口14が形成され、開口14を通じて排気流路12が筒状シェル2の内部と連通する。流路部材10の出口管8側の端は、排気流路12が閉塞されるように、蓋部材4の内側側面に密着するように湾曲して形成されている。
【0018】
これにより、出口管8と筒状シェル2の内部とが、排気流路12を介して連通されている。本実施形態では、排気流路12は筒状シェル2の内周に沿ってほぼ180度の範囲に形成されているが、これに限らず、流路部材10を円弧状により長く形成して、筒状シェル2の内周に沿って270度等の範囲となるように形成してもよい。
【0019】
次に、本実施形態の排気処理装置の作動について説明する。上流側の排気流路から流入した排気は、筒状シェル2の内部を通って開口14から排気流路12に流入し、排気流路12から出口管8を介して、大気中等に排出される。その際、出口管8と排気流路12とがテールパイプとして作用し、テールパイプの有効長は出口管8と排気流路12との合計長さとなる。
【0020】
流路部材10を設けたことにより、筒状シェル2の内部にテールパイプとして有効な排気流路12を形成することができ、テールパイプとしての有効長が出口管8と排気流路12との合計長さとなるので、有効に低周波数の騒音の低減を図ることができ、消音性能を向上させることができる。
【0021】
次に、前述した第1実施形態と異なる第2実施形態について、
図4〜
図6によって説明する。
図4、
図5に示すように、21は第1実施形態と同様の排気処理装置で、筒状シェル22の出口側端は蓋部材24により閉塞されており、筒状シェル22の外周には、バーリング加工等により貫通孔26が形成されている。貫通孔26にはテールパイプとしての出口管28の一端が挿入されて溶接等により固定されている。
【0022】
筒状シェル22内には流路部材30が取り付けられおり、流路部材30は筒状シェル22の内周に沿って設けられている。
図6に示すように、流路部材30は円弧状にプレス成形されており、また、断面形状が筒状シェル22の内部に突き出た「U」字状に形成されている。流路部材30の外周側両端30a,30bは筒状シェル22の内周に密着して溶接等により固定されている。
【0023】
また、流路部材30は出口管28と反対側の筒状シェル22の内周下側から、筒状シェル22の内周に沿って出口管28を通り過ぎた位置まで形成されており、筒状シェル22の内周と流路部材30との間に排気流路32が形成されている。
【0024】
流路部材30は排気流路32が筒状シェル22の内部と連通するように、流路部材30は出口管28と反対側に開口34が形成されている。流路部材30の出口管28側の端は、排気流路32が閉塞されるように湾曲されて、筒状シェル22の内周に密着するように形成されている。
【0025】
これにより、出口管28と筒状シェル22の内部とが、排気流路32を介して連通されている。本実施形態では、排気流路32は筒状シェル22の内周に沿ってほぼ180度の範囲に形成されているが、これに限らず、流路部材30を円弧状により長く形成して、筒状シェル22の内周に沿って270度等の範囲となるように形成してもよい。
【0026】
第2実施形態の場合でも、第1実施形態と同様に、上流側の排気流路から流入した排気は、筒状シェル22の内部を通って開口24から排気流路32に流入し、排気流路32から出口管28を介して、大気中等に排出される。その際、出口管28と排気流路32とがテールパイプとして作用し、テールパイプの有効長は出口管28と排気流路32との合計長さとなる。
【0027】
流路部材30を設けたことにより、筒状シェル22の内部にテールパイプとして有効な排気流路32を形成することができ、テールパイプとしての有効長が出口管28と排気流路32との合計長さとなるので、有効に低周波数の騒音の低減を図ることができ、消音性能を向上させることができる。
【0028】
更に、第3実施形態について、
図7、
図8によって説明する。尚、第1実施形態と同じ部材については、同一番号を付して詳細な説明を省略する。第3実施形態では、第1実施形態の流路部材10を筒状シェル2の内周に沿って長くプレス成形した「C」字状の流路部材40を備えている。流路部材40はその両端に開口42,44が形成されて、排気流路12の両端が開口42,44を介して筒状シェル2の内部に連通している。これにより、排気流路12の流路面積を大きくすることができ、排気抵抗を減少できる。
【0029】
流路部材40は、「C」字状に限らず、リング状に形成してもよい。その場合には、流路部材40に図示しない貫通孔を形成して、貫通孔を介して排気流路12と筒状シェル2の内部とを連通するようにしてもよい。第2実施形態の流路部材30についても同様である。
【0030】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0031】
1…排気処理装置 2,22,50…筒状シェル
4,24…蓋部材 6,26,52,54…貫通孔
8,28,56…出口管 10,30,40…流路部材
12,32…排気流路 14,34,42,44…開口