【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)本発明に係る車椅子は、着座する使用者を担持する座部用フレーム部材(4)と、該座部用フレーム部材(4)の両側にそれぞれ配され、長尺のフレーム部材(51,52)にて構成された一対の側部支持手段(5)と、前輪たるキャスタ(7)と、後輪たる主輪(8)とを備え、両側部支持手段(5)の長手方向の中途位置にて前記座部用フレーム部材(4)を支持してあり、移動可能になした車椅子において、
車椅子の幅方向へ適距離を隔てて配した一対の縦フレーム部材(31)と、
車椅子の幅方向と平行をなし、両縦フレーム部材(31)の間を連結する一又は複数の横フレーム部材(32)とを具備するシャシ(3)を備え、該シャシ(3)の縦フレーム部材(31)の両端部に前記キャスタ(7)及び主輪(8)が回転自在に取り付けてあり、
前記座部用フレーム部材(4)は、前記両側部支持手段(5)にそれぞれ対向して、両側部支持手段(5)の長手方向と交わる方向へ延設されたフレーム部分を有しており、両フレーム部分の長手方向の中途位置で前記両側部支持手段(5)に取り付けてあり、両側部支持手段(5)の座部用フレーム部材(4)
を支持する位置からシャシ(3)に連結される位置までの部分である脚部(52)はそれぞれ、前記シャシ(3)側の第1部材(521)と、前記座部用フレーム部材(4)側の第2部材(522)とを具備しており、両第1部材(521)の一端側それぞれは、前記シャシ(3)のキャスタ(7)側の端近傍の位置に、
前記横フレーム部材(32)と平行をなす軸周りに回動可能に連結させてあり、前記シャシ(3)
の縦フレーム部材(31)又は横フレーム部材(32)であって、前記両第1部材(521)の一端側が連結された位置より主輪(8)側
の部分の位置と、両第2部材(522)の長手方向の中途位置
との間、又は前記座部用フレーム部材(4)
であって両側部支持手段(5)に取り付けられた位置より車椅子の主輪(8)側の部分の位置との間にはそれぞれ、両側部支持手段(5)に印加される荷重を受けるための突っ張り用フレーム部材(6)が、その両端部が
前記横フレーム部材(32)と平行をなす軸周りに回動可能に架設してあり、対をなす第1部材(521)と第2部材(522)との
互いに対向する端部間にはそれぞれ、第2部材(522)を
前記横フレーム部材(32)と平行をなす軸周りにシャシ(3)側へ屈折可能になした屈折手段(9)が介装してあり、両屈折手段(9)にて
、両第1部材(521)及び両第2部材(522)を前記横フレーム部材(32)と平行をなす軸周りに回動させる際に、両第1部材(521)をそのシャシ(3)に回動可能に連結された一端側を軸に、両第1部材(521)の他端側が車椅子の主輪(8)側とは反対側へ回動させ、また、両第1部材(521)と両第2部材(522)とが互いに近づくとともに、両第2部材(522)が前記縦フレーム部材(31)側へ倒れるように、折り畳み可能に構成してあることを特徴とする。
【0018】
本発明の車椅子にあっては、着座する使用者を担持する座部用フレーム部材(4)と、該座部用フレーム部材(4)の両側にそれぞれ配され、長尺のフレーム部材(51,52)にて構成された一対の側部支持手段(5)と、前輪たるキャスタ(7)と、後輪たる主輪(8)とを備えており、これらキャスタ及び主輪はシャシに支持されている。また、両側部支持手段(5)の長手方向の中途位置にて前記座部用フレーム部材(4)を支持してある。
この前記座部用フレーム部材(4)は、前記両側部支持手段(5)にそれぞれ対向して、両側部支持手段(5)の長手方向と交わる方向へ延設されたフレーム部分を有しており、両フレーム部分の長手方向の中途位置で前記両側部支持手段(5)に取り付けてある。
【0019】
シャシは、車椅子の幅方向へ適距離を隔てて配した一対の縦フレーム部材の間を
、車椅子の幅方向と平行をなす一又は複数の横フレーム部材で連結して構成してあり、短寸梯子状の部材を横臥させた様態をなしている。このシャシの縦フレーム部材の両端部にキャスタ及び主輪が回転自在に取り付けてあり、これによってシャシが移動可能になっている。
【0020】
両側部支持手段(5)の座部用フレーム部材(4)
を支持する位置からシャシ(3)に連結される位置までの部分である脚部(52)はそれぞれ、前記シャシ(3)側の第1部材(521)と、前記座部用フレーム部材(4)側の第2部材(522)とを具備しており、両第1部材(521)の一端側は、前記シャシ(3)のキャスタ(7)側の端近傍の位置に、
前記横フレーム部材(32)と平行をなす軸周りに回動可能に連結させてある。また、シャシ(3)
の縦フレーム部材(31)又は横フレーム部材(32)であって、前記両第1部材(521)の一端側が連結された位置より主輪(8)側
の部分の位置と、両第2部材(522)の長手方向の中途位置
との間、又は前記座部用フレーム部材(4)
であって両側部支持手段(5)に取り付けられた位置より車椅子の主輪(8)側の部分の位置との間にはそれぞれ、両側部支持手段(5)に印加される荷重を受けるための突っ張り用フレーム部材(6)が、その両端部が
前記横フレーム部材(32)と平行をなす軸周りに回動可能に架設してあり、両脚部及び突っ張り用フレーム部材によって、座部用フレーム部材及び両側部支持手段に印加される荷重を受けている。
【0021】
そして、前記第1部材(521)と第2部材(522)との
互いに対向する端部間にはそれぞれ、第2部材(522)を
前記横フレーム部材(32)と平行をなす軸周りにシャシ(3)側へ屈折可能になした屈折手段(9)が介装してあり、両屈折手段(9)にて
、両第1部材(521)及び両第2部材(522)を前記横フレーム部材(32)と平行をなす軸周りに回動させる際に、両第1部材(521)をそのシャシ(3)に回動可能に連結された一端側を軸に、両第1部材(521)の他端側が車椅子の主輪(8)側とは反対側へ回動させ、また、両第1部材(521)と両第2部材(522)とが互いに近づくとともに、両第2部材(522)が前記縦フレーム部材(31)側へ倒れるように、折り畳み可能に構成してある。
【0022】
このような車椅子にあっては、前記屈折手段で両脚部の第1部材(521)と第2部材(522)とを屈折させることによって、両側部支持手段がシャシと対向するように折り畳まれるのに伴って、両脚部の第1部材(521)がシャシの幅方向と平行をなす軸周りにシャシから離隔する方向へ回動すると共に、突っ張り用フレーム部材の両端連結部がそれぞれシャシの幅方向と平行をなす軸周りに回動しつつ傾頭して、座部用フレームがシャシに接近するように折り畳まれる。
つまり、両第1部材(521)及び両第2部材(522)を前記横フレーム部材(32)と平行をなす軸周りに回動させる際に、両第1部材(521)をそのシャシ(3)に回動可能に連結された一端側を軸に、両第1部材(521)の他端側が車椅子の主輪(8)側とは反対側へ回動させ、また、両第1部材(521)と両第2部材(522)とが互いに近づくとともに、両第2部材(522)が前記縦フレーム部材(31)側へ倒れるように折り畳まれる。これによって、車椅子をワンタッチでコンパクトに折り畳むことができる。
【0023】
このとき、両脚部の中途
位置に配設された屈折手段(9)を支点にして折り畳む構成になしてあるため、折り畳み動作中に座部用フレーム部材に取り付けられるシート等に何らの影響も及ぼさない。
【0024】
一方、前述したようにキャスタ及び主輪はシャシに取り付けてあるため、キャスタ及び主輪に荷重及び衝撃が与えられても耐久性が高く、従って直進性に影響が及ぼされない。また、両脚部はシャシに立設してあるため、キャスタ及び主輪に衝撃が与えられた場合であっても、当該衝撃はシャシに伝えられて、両脚部に屈折する方向の力として殆ど作用しない。従って、走行中の衝撃によって両脚部が屈折することが回避され安全性も高い。
【0025】
本発明に係る車椅子は、両脚部はそれぞれ、前記シャシ側の第1部材と、前記座部用フレーム部材側の第2部材とを具備しており、対をなす第1部材と第2部材との間にはそれぞれ、第2部材をシャシ側へ屈折可能になした屈折手段が介装してあることを特徴とする。
【0026】
ここで、前述したように両脚部
(52)はそれぞれ、シャシ
(3)側の第1部材
(521)と、座部用フレーム部材
(4)側の第2部材
(522)とを具備している。そして、対をなす第1部材
(521)と第2部材
(522)であって、互いに対応する端部間にはそれぞれ屈折手段
(9)が介装してあり、該屈折手段
(9)は第2部材
(522)をシャシ
(3)側へ屈折させるようになっている。これによって、車椅子の折り畳み操作及び展開操作を誤りなくスムーズに行うことができる。
【0027】
(2)本発明に係る車椅子は、前記屈折手段(9)は、第1部材(521)又は第2部材(522)
であって、互いに対向する端部に設けてあり、第2部材(522)又は第1部材(521)の
互いに対向する端部周面が当接して第2部材(522)がシャシ(3)とは反対側へ屈折することを禁止するホルダ部(91)と、該ホルダ部(91)と第2部材(522)又は第1部材(521)の
互いに対向する端部とを前記
横フレーム部材(32)と平行をなす軸周りに回動可能に連結する連結部(91,93,94)と、当該屈折手段(9)の屈折動作を止めるストッパ(95)とを具備することを特徴とする。
【0028】
本発明の車椅子にあっては、前述した屈折手段は、第1部材の
第2部材に対向する端部に設けてあり、第2部材の
第1部材に対向する端部周面が当接して第2部材がシャシとは反対側へ屈折することを禁止するホルダ部を具備している。該ホルダ部は第2部材の
第1部材に対向する端部に設けて、第1部材の
第2部材に対向する端部周面が当接して第2部材がシャシとは反対側へ屈折することを禁止する構成にしてもよい。このホルダ部と第2部材又は第1部材の
互いに対抗する端部とは連結部にて、シャシの
横フレーム部材と平行をなす軸周りに回動可能に連結してある。更に、屈折手段には、該屈折手段の屈折動作を止めるストッパが設けてある。
【0029】
かかる屈折手段によって、第2部材がシャシとは反対側へ屈折することが禁止されているため、折り畳んだ車椅子を展開する場合、所要の展開状態を超えて展開することが禁止される。従って、車椅子を展開する際もワンタッチでこれを実施することができる。また、屈折手段が比較的簡単な構成であるので耐久性が高い一方、部品コストが廉価である。
【0030】
(3)本発明に係る車椅子は、前記ストッパ(92,95)を解除する解除手段を備え、該解除手段はレバー(10)
と、該レバー(10)と前記ストッパ(92,95)との間に架設されたワイヤ(11)とを具備することを特徴とする。
【0031】
本発明の車椅子にあっては、ストッパを解除する解除手段を備えている。かかる解除
手段はレバー及び該レバーに連結したワイヤによって構成することができる。このような解除手段によって、ストッパを遠隔解除することができるので、車椅子に設けられた押し手部というように、車椅子を操作する第三者が操作し易い位置に解除手段を配設することによって、当該第三者は楽な姿勢で車椅子を折り畳むことができる。
【0032】
(4)本発明に係る車椅子は、前記屈折手段(9)は、第2部材(522)が前記
横フレーム部材(32)と平行をなす軸周りにシャシ(3)側へ屈折可能な回動角度で回動可能な関節継手(19)を設けて構成してあることを特徴とする。
【0033】
本発明の車椅子にあっては、前述した屈折手段は、
第2部材(522)が前記横フレーム部材(32)と平行をなす軸周りにシャシ(3)側へ屈折可能な回動角度で回動可能な関節継手(19)を設けて構成してある。かかる関節継手としてはダイヤルロックを適用することができる。これによって、前同様、車椅子をワンタッチでコンパクトに折り畳むことができる。一方、関節継手を操作することによって、適宜のリクライニング姿勢になすことができる。