特許第6013783号(P6013783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013783
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】調整具
(51)【国際特許分類】
   A44B 99/00 20100101AFI20161011BHJP
【FI】
   A44B99/00 611N
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-123069(P2012-123069)
(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2013-248003(P2013-248003A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】石井 大陽
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−247111(JP,A)
【文献】 実開平01−099759(JP,U)
【文献】 特開平10−057121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐状体の調整具であって、
軸孔を有するフレームと、
1組の紐状体が掛け回され、前記軸孔に往復動可能に支持された第1クロスバーと、
帯状体が掛け回される第2クロスバーとを備え、
前記第1クロスバーは、
前記紐状体が折り返される端面であって中心軸に対して対称な位置に凹部を備えることを特徴とする調整具。
【請求項2】
前記第1クロスバーの中央にリブを設け、該リブの両側に前記凹部を備える請求項に記載の調整具。
【請求項3】
前記リブの一端は、前記凹部が形成された前記第1クロスバーの端面から前記フレームへ向かって突出している請求項に記載の調整具。
【請求項4】
紐状体の調整具であって、
1組の紐状体が掛け回される第1クロスバーと、
帯状体が掛け回される第2クロスバーとを備え、
前記第1クロスバーは、
中央にリブを備え、前記紐状体が折り返される端面であって、前記リブの両側且つ中心軸に対して対称な位置に凹部を備えることを特徴とする調整具。
【請求項5】
前記リブは、前記第1クロスバーの表面から裏面に亘って設けられている請求項2〜4のいずれか1項に記載の調整具。
【請求項6】
前記第1クロスバーの前記凹部は、前記中心軸に近づくにつれて前記凹部の深さが大きくなるように傾斜する傾斜面を備えている請求項1〜5のいずれか1項に記載の調整具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紐状体の長さ又は張力を調整可能な調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
アウトドア用品、衣服や靴等に適用される調整具としては、帯状体の長さや張力を調整するもの、紐状体の長さや張力を調整するものがあるが、帯状体及び紐状体の両方を適用可能な調整具は殆ど開発されていない。
【0003】
例えば特許文献1に記載された紐状体の調整具は、1本の帯状体を掛け回す第1バーと、1本のコード部材を掛け回す第2バーとを備えている。この調整具を介して、帯状体とコード部材とを間接的に連結させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7150079号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、調整具の使用方法は多岐化する傾向にあり、装着されるコード部材の本数が複数になる場合もある。例えば1本のコード部材の両端と、1本の帯状体とを連結させるために、上述した調整具の第2バーにコード部材の両端を掛け回すと、第2バーに掛け回されたコード両端は、張力のかかり方によっては、第2バーの上でばらついたり、交差したりすることが想定される。コード両端の位置が第2バーの上でばらついたり交差すると、例えば一方の端部が緩んだり、コード両端に不均等に張力がかかり、コード両端による締め付けも不均等になる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、1組の紐状体をばらつきを抑制しつつ掛け回すことができる調整具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決する紐状体の調整具軸孔を有するフレームと、1組の紐状体が掛け回され、前記軸孔に往復動可能に支持された第1クロスバーと、帯状体が掛け回される第2クロスバーとを備え、前記第1クロスバーは、前記紐状体が折り返される端面であって中心軸に対して対称な位置に凹部を備えることを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、調整具は、1組の紐状体が掛け回される第1クロスバーと、帯状体が掛け回される第2クロスバーとを備える。このため、1組の紐状体と帯状体とを調整具を介して連結させることができる。また、第1クロスバーの端面には、凹部が設けられ、しかもその凹部は中心軸に対し対称である。このため、紐状体を凹部に収束させることで、1組の紐状体を、中心軸に対して対称な位置に配置させることができる。また、第1クロスバーはフレームに対し往復動可能であるため、張力の一部を吸収することができる。また、一方の紐状体に張力が加わっても、他方の紐状体も第1クロスバーに従動させることにより、各紐状体にかかる張力の均等化を図ることができる。
【0009】
上記調整具について、前記第1クロスバーの中央にリブを設け、該リブの両側に前記凹部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、第1クロスバーのリブの両側に凹部が設けられているので、リブの両側に1組の紐状体を収束することができる。このため、第1クロスバーの中央に紐状体を収束させても、第1クロスバー上で紐状体が交差したり、絡まったりすることを防ぐことができる。
【0010】
上記調整具について、前記リブの一端は、前記凹部が形成された前記第1クロスバーの端面から前記フレームへ向かって突出していることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、リブの一端は、第1クロスバーの端面から突出しているため、第1クロスバーが移動した際に、リブの一端が先にフレームに当接し、第1クロスバーの端面とフレームとの間に隙間が形成される。このため、第1クロスバーがフレーム側へ移動し
たときには、その隙間に紐状体を収容することができる。従って、紐状体が第1クロスバー及びフレームの間へ挟まることにより、第1クロスバーの移動が妨げられることを抑制することができる。
【0012】
上記問題点を解決する紐状体の調整具は、紐状体の調整具であって、1組の紐状体が掛け回される第1クロスバーと、帯状体が掛け回される第2クロスバーとを備え、前記第1クロスバーは、中央にリブを備え、前記紐状体が折り返される端面であって、前記リブの両側且つ中心軸に対して対称な位置に凹部を備えることを要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、調整具は、1組の紐状体が掛け回される第1クロスバーと、帯状体が掛け回される第2クロスバーとを備える。このため、1組の紐状体と帯状体とを調整具を介して連結させることができる。また、第1クロスバーの端面には、凹部が設けられ、しかもその凹部は中心軸に対し対称である。このため、紐状体を凹部に収束させることで、1組の紐状体を、中心軸に対して対称な位置に配置させることができる。第1クロスバーのリブの両側に凹部が設けられているので、リブの両側に1組の紐状体を収束することができる。このため、第1クロスバーの中央に紐状体を収束させても、第1クロスバー上で紐状体が交差したり、絡まったりすることを防ぐことができる。
【0014】
上記調整具について、前記リブは、前記第1クロスバーの表面から裏面に亘って設けられていることが好ましい。
上記構成によれば、リブは、第1クロスバーの表面から裏面にかけて設けられているので、第1のクロスバーの表裏において紐状体の混線を防ぐことができる。
【0015】
上記調整具について、前記第1クロスバーの前記凹部は、前記中心軸に近づくにつれて前記凹部の深さが大きくなるように傾斜する傾斜面を備えていることが好ましい。
上記構成によれば、紐状体に張力が加えられたとき、紐状体の折り返し部が凹部の傾斜面を摺動するので、各紐状体を中心軸側に誘導することができる。このため、1組の紐状体を中心軸側に収束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の調整具が適用されたバックパックの斜視図。
図2】本発明の調整具を具体化した第1実施形態であって、その斜視図を示す。
図3】同調整具の側面図。
図4】同調整具の平面図。
図5】同調整具を底面側からみた斜視図。
図6】同調整具に紐状体及び帯状体が掛け回されたときの平面図であって、紐状体に対し張力が加えられていない状態を示す。
図7】同調整具に紐状体及び帯状体が掛け回されたときの側面図。
図8】同調整具に紐状体及び帯状体が掛け回されたときの平面図であって、紐状体に対し張力が加えられた状態を示す。
図9】本発明の調整具を具体化した第2実施形態であって、その斜視図を示す。
図10】同調整具を分解した平面図。
図11】(a)〜(d)は、本発明の調整具を具体化した変形例であって、その平面図をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の調整具を具体化した一実施形態を図1図8にしたがって説明する。本実施形態では、本発明の調整具を、バックパックに適用される調整具として説明する。
【0018】
図1に示すように、調整具10は、バックパックPに掛けられた紐状体Sと、バックパックPの側面に設けられた帯状体Bとを間接的に連結し、紐状体Sの長さ又は張力を調整するために設けられている。
【0019】
紐状体Sは、バックパックPが使用者に背負われたときに外側となる正面に掛けられている。紐状体Sの始端部は、任意の長さが引き出された状態で調整具10に挿通されている。そして、紐状体Sは、バックパックPの側面に設けられたループ状の複数の帯状体Bにそれぞれ挿通されながら、バックパックPの正面をジグザグ状に横切りつつ張設される。また、紐状体Sの終端部は、任意の長さが引き出された状態で調整具10に挿通されている。そしてこの紐状体Sの調整具10からの引き出し量を長くすることにより、紐状体SによるバックパックPに対する締め付け力を増大することができる。また、紐状体Sの引き出し量を短くすることにより、紐状体Sによる締め付けを緩めることができる。
【0020】
図2に示すように、調整具10は、平面視において長方形状をなす扁平形状のフレーム11を備えている。フレーム11の長手方向に延びる1対のサイドフレーム12には、軸孔としての長孔13が貫通形成されている。長孔13の長手方向は、サイドフレーム12の長手方向と平行である。
【0021】
サイドフレーム12の各長孔13には、第1クロスバー15の両端がそれぞれ挿入されている。この第1クロスバー15には、紐状体Sの始端部S1と終端部S2とが、任意の長さだけ調整具10から引き出された状態で掛け回されている。始端部S1は、フレーム11の短手方向の第3クロスバー17の下方から、第1クロスバー15の上面及び下面に掛け回され、再び第3クロスバー17の下方から引き出される。終端部S2もまた、始端部S1と同様に掛け回される。
【0022】
図3に示すように、第1クロスバー15の両端の軸部22は、各長孔13に遊びをもった状態で挿入されている。このため、第1クロスバー15に掛け回された始端部S1及び終端部S2のうち少なくとも一方に張力が加わると、第1クロスバー15は、長孔13に沿ってスライドし、長孔13の図3中左端に当接するまで移動する。
【0023】
また、図4に示すように、第1クロスバー15は、平面視において略長方形状のスライド部20と、スライド部20の上面に対して垂直に立設されたリブ21とを備えている。リブ21は、スライド部20の長手方向における中央に設けられ、スライド部20の短手方向と平行に延びている。またリブ21の先端は、スライド部20の端面から突出している。リブ21の突出量は、紐状体Sの直径程度である。さらに、図5に示すように、リブ21は、スライド部20の上面から、第1クロスバー15の端面を介してスライド部20の裏面の途中までに亘って設けられている。
【0024】
このリブ21の両側には、紐状体Sの始端部S1と終端部S2とが掛け回される。始端部S1と終端部S2とをリブ21で隔てることによって、第1クロスバー15上での紐状体Sが交差したり、絡まったりすることを防ぐことができる。
【0025】
また、図4に示すように、スライド部20のうち、紐状体Sの始端部S1と終端部S2とが折り返される端面には、凹部23がそれぞれ設けられている。平面視において、凹部23は、リブ21の基端部の両側に設けられ、それぞれ略U字状又は略V字状をなしている。また、これらの各凹部23は、第1クロスバー15の移動方向と平行な中心軸X1に対して、左右対称の位置及び形状に形成されている。
【0026】
各凹部23は、最も窪んだ位置となる底部23aからリブ21側に向かって小さな傾斜面を有している。この傾斜面とリブ側面とが接続する位置は、スライド部20の端面よりも奥側に位置している。また、各凹部23は、底部23aからリブ21と反対側に向かって、スライド部20の端面に続く緩やかで長い傾斜面23bを有している。即ち、凹部23は、底部23aに対して左右非対称の形状を有し、底部23aはリブ21側に偏倚している。
【0027】
これらの凹部23は、第1クロスバー15の端面に、スライド部20の上面から下面に向かって溝状に延びている。これらの凹部23が設けられることによって、第1クロスバー15に掛け回された紐状体Sに張力が加えられると、その始端部S1及び終端部S2がリブ21側へ誘導される。
【0028】
図2に示すように、フレーム11の短手方向のうち、紐状体Sが引き出される方向に対して反対側となる辺は、帯状体Bが掛け回される第2クロスバー16を構成している。フレーム11の第2クロスバー16側には、帯状体Bが掛け回される開口部(図示略)が形成され、第2クロスバー16に掛けられた帯状体Bがその開口部から引き出されることによって、帯状体Bが調整具10に装着される。即ち、紐状体Sの始端部S1及び終端部S2と、帯状体Bとは、その長手方向を平行にした状態で、調整具10を介して互いに連結される。このため、調整具10の厚さ(高さ)を小さくすることができる。また、紐状体Sは、第1クロスバー15に対し、折り返して掛け回されるので、紐状体Sを、ケーシングの孔に貫挿してバネで固定する調整具に比べ、部品点数も少なくすることができる。
【0029】
次に、調整具10の作用について説明する。
まず、紐状体Sの装着作業時や、バックパックPに荷物が入っていない場合等、紐状体Sに張力が加えられていない場合について説明する。図6に示すように、第1クロスバー15には、上述したように紐状体Sの始端部S1及び終端部S2が、第3クロスバー17の下方から引き出された状態で掛け回される。このとき、紐状体Sは、第1クロスバー15の凹部23が形成された端部で折り返される。紐状体Sに対し張力が加えられていない場合には、始端部S1及び終端部S2の第1クロスバー15上での位置は、必ずしもリブ21を介して左右対称になるとは限らない。また、第2クロスバー16には、ループ状の帯状体Bが掛け回される。
【0030】
このように調整具10に紐状体S及び帯状体Bを装着した後、バックパックPに荷物が詰め込まれる等の要因により、紐状体Sに張力が加わると、図7に示すように、第1クロスバー15が移動する。第1クロスバー15は、軸部22が長孔13の端部13Aに当接するまで移動可能である。このとき例えば、始端部S1のみに張力が加わった場合でも、第1クロスバー15が移動し、終端部S2のみに張力が加わった場合でも、第1クロスバー15が移動する。このため、始端部S1及び終端部S2のいずれか一方に張力が加えられても、他方が緩むことを抑制することができる。また、引き出し量を一定にしたまま第1クロスバー15が移動することによって、張力の一部を吸収することができる。
【0031】
一方帯状体Bに張力が加えられる等により、第1クロスバー15が第2クロスバー16側に移動し、リブ21の先端が第2クロスバー16に当接すると、リブ21の先端はスライド部20の端面よりも突出しているので、凹部23と第2クロスバー16との間には隙間が生じる。この隙間に紐状体Sが収容されるので、紐状体Sが、第1クロスバー15と第2クロスバー16との間に挟まらない。
【0032】
紐状体Sに張力が加えられて緊張状態となると、紐状体Sに張力が加わる前の状態で、紐状体Sの始端部S1及び終端部S2が第1クロスバー15上で左右対称の位置に配置されていなくても、図8に示すように折り返し部S3,S4が、凹部23の傾斜面23bを滑りながら、底部23aに収容される。即ち、傾斜面23bにより、始端部S1及び終端部S2を凹部23の底部23aに誘導される。その結果、始端部S1及び終端部S2は、第1クロスバー15の中央部であって、リブ21に対し左右対称となる位置にそれぞれ配置される。このため、始端部S1及び終端部S2の一方が緩んだり、第1クロスバー15の端に偏ってしまう等のばらつきが抑制され、始端部S1及び終端部S2に張力を均等に加えることができる。従って、例えば始端部S1に比べ終端部S2に加わる張力が極端に大きくなることが抑制されるので、バックパックPに対する締め付け力を正面において均等にすることができる。このため荷物を受け入れつつバックパックPを均等に締め付けて、バックパックPの下部に荷物が偏ってしまう等といった事態を抑制することができる。
【0033】
第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態では、調整具10は、紐状体Sの始端部S1及び終端部S2が掛け回される第1クロスバー15と、バックパックP側の帯状体Bに取り付けられる第2クロスバー16とを備えた。このため、紐状体Sの始端部S1及び終端部S2と、帯状体Bとを調整具10を介して連結させることができる。また、第1クロスバー15は、始端部S1及び終端部S2が折り返される端面であって中心軸X1に対して対称な位置に凹部23を備えた。このため、凹部23に収容された始端部S1及び終端部S2は、中心軸X1に対して左右対称な位置に配置されるため、始端部S1及び終端部S2が、第1クロスバー15上でのばらつきを抑制することができる。即ち、バックパックPに荷物が詰め込まれ、バックパックPの膨らみにより紐状体Sに張力が加わった際に、始端部S1及び終端部S2に均等に張力を加えることができる。このため、バックパックPに対し均等に締め付け力を加えることができる。
【0034】
(2)第1実施形態では、第1クロスバー15の凹部23は、中心軸X1に向かって傾斜する傾斜面を備えている。従って、紐状体Sに張力が加えられたとき、始端部S1及び終端部S2の折り返し部が凹部23の傾斜面を下降する方向に摺動するため、各紐状体Sを中心軸側に誘導することができる。このため、第1クロスバー15に掛け回された各紐状体Sのばらつきを抑制することができる。
【0035】
(3)第1実施形態では、第1クロスバー15の中央にリブ21を設け、該リブ21の両側に凹部23を備えた。このため、第1クロスバー15上で紐状体Sの始端部S1及び終端部S2が交差したり、絡まることを防ぐことができる。
【0036】
(4)第1実施形態では、第1クロスバー15を、フレーム11の長孔13に往復動可能に軸支した。このため、第1クロスバー15の往復動によって、紐状体Sに加わる張力の一部を吸収することができる。また、例えば始端部S1のみに張力が加わっても、終端部S2も第1クロスバー15に従動させることにより、始端部S1及び終端部S2にかかる張力の均等化を図ることができる。
【0037】
(5)第1実施形態では、リブ21の先端は、第1クロスバー15の端面から第2クロスバー16側へ突出している。このため、第1クロスバー15が移動した際に、リブ21の一端が先に第2クロスバー16に当接し、第1クロスバー15の端面と第2クロスバー16との間に隙間が形成される。このため、第1クロスバー15が第2クロスバー16側へ移動したときには、その隙間に紐状体Sを収容することができる。従って、紐状体Sが第1クロスバー15及び第2クロスバー16の間へ挟まることにより、第1クロスバー15の移動が妨げられることを抑制することができる。
【0038】
(6)第1実施形態では、リブ21は、第1クロスバー15の表面から、凹部23が形成された端面を介して、裏面に亘って設けられている。このため、第1クロスバー15の表裏において紐状体の混線を防ぐことができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した調整具の第2実施形態を図9図10にしたがって説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態の調整具を、いわゆるサイドリリースバックルに適用したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0040】
図9に示すように、バックル50は、ソケット51と、ソケット51に挿入されるプラグ55とを備える。
ソケット51は、正面に形成されプラグ55を挿入する挿入口52と、側面に貫通形成された開口部53と、帯状体Bを掛け回す帯状体用クロスバー54とを備える。帯状体用クロスバー54は、挿入口52に対して反対側の背面に設けられている。
【0041】
図10に示すように、プラグ55は、枠状のフレーム部61と、フレーム部61の先端に設けられた回動片60とを備えている。フレーム部61は、略長手方向に延びるサイドフレーム62を備えている。このサイドフレーム62には、長孔(図示略)が形成され、該長孔には、第1クロスバー15の軸部が遊挿されている。第1クロスバー15は、第1実施形態と同様の構成であって、スライド部20、リブ21及び凹部23を備えている。
【0042】
回動片60は、平面視において基端部から先端にむかうにつれて幅が拡大するような形状を有している。また、各回動片60は、伸縮部63によって連結されている。伸縮部63は、平面視略U字状をなしている。プラグ55が、ソケット51の挿入口52に挿入されて、回動片60が互いに近接する方向に回動する場合には、伸縮部63は縮む。
【0043】
本実施形態のバックル50の作用について説明する。図9に示すように、紐状体Sの始端部S1及び終端部S2は、第1クロスバー15に対し、凹部23で折り返されて掛け回される。また、始端部S1及び終端部S2は、リブ21の両側に掛け回されるので、混線することがない。プラグ55からの紐状体Sの引き出し量を調整することにより、紐状体Sの張力を調節することができる。また、帯状体Bは、ソケット51の帯状体用クロスバー54に掛け回される。
【0044】
プラグ55をソケット51に締結させる際には、回動片60の先端をソケット51の挿入口52から挿入する。すると、回動片60の側面とソケット51の内側面とが当接することにより、回動片60は互いに近接する方向に回動する。さらにプラグ55を、回動片60がソケット51の開口部53に対向する位置まで挿入すると、回動片60は、自身の弾性力により外側に回動し、開口部53を介してソケット51の外側にその一部を突出させる。その結果、プラグ55はソケット51に対して締結される。
【0045】
第1実施形態と同様に、紐状体Sに張力を加えると、第1クロスバー15に掛け回された始端部S1及び終端部S2は、凹部23へ向かって摺動し、リブ21に対し左右対称の位置に配置される。このため、紐状体Sに張力が加えられたときには、始端部S1及び終端部S2に均等に張力を加えることができる。
【0046】
このように紐状体S及び帯状体Bは、その長手方向を平行にした状態で調整具10を介して連結されるので、調整具10の厚さ(高さ)を小さくすることができる。
ソケット51及びプラグ55の締結を解除するときは、ソケット51から突出したプラグ55の回動片60を、ソケット51の内側へ向かって押圧する。その結果、回動片60及び伸縮部63の弾性力により、プラグ55がソケット51から抜け出す方向に付勢され、ソケット51とプラグ55との締結が解除される。
【0047】
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態に記載の(2)〜(6)の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(7)第2実施形態では、サイドリリースバックルを構成する調整具10は、紐状体Sの始端部S1及び終端部S2が掛け回される第1クロスバー15と、帯状体用クロスバー54とを備え、第1クロスバー15は、始端部S1及び終端部S2が折り返される端面であって中心軸に対して対称な位置に凹部23を備えた。このため、凹部23に収容された始端部S1及び終端部S2は、中心軸に対して左右対称な位置に配置されるため、始端部S1及び終端部S2が、第1クロスバー15上でのばらつきを抑制することができる。即ち、バックパックPに荷物が詰め込まれ、バックパックPの膨らみにより紐状体Sに張力が加わった際に、始端部S1及び終端部S2に均等に張力を加えることができる。このため、バックパックPに対し均等に締め付け力を加えることができる。
【0048】
尚、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1クロスバー15に形成される凹部23は、中心軸を介して対称な位置に形成されていれば、上記以外の形状を有していてもよい。例えば、図11(a)に示すように、中心軸に向かって下降する傾斜面のみからなる凹部23Aであってもよい。また、図11(b)に示すように、最も窪んだ底部が、リブ21側に偏倚していない凹部23Bであってもよい。さらに、凹部23Bのリブ21側の端部が、サイドフレーム12側の端部よりも突出する(高い)形状であってもよい。さらに、図11(c)に示すように、第1クロスバー15のリブ21を省略した形状であってもよい。この際、凹部23Cの間に、各凹部23Cの底部よりも高い突部23Dを設けると、紐状体の混線を抑制することができる。また、図11(d)に示すように、第1クロスバー15をフレーム11に一体に設け、スライド移動不能に構成してもよい。この場合でも、第1クロスバー15及びフレームとを用いて、紐状体Sの長さや張力を調整することができる。
【0049】
・上記各実施形態では、第1クロスバー15に掛け回される1組の紐状体Sを、1本の紐状体Sの始端部S1及び終端部S2から構成したが、2本の紐の一端部から構成してもよい。要は、第1クロスバー15に掛け回される紐状体が1組であれば、その紐状体がループ状であってもよく、ループ状でなくてもよい。
【0050】
・帯状体Bが掛け回される第2クロスバー16は、帯状体Bのアジャスター機能を備えていてもよい。即ち、第2クロスバー16に帯状体Bの幅よりも若干広いスリットを形成し、該スリットに、引き出された帯状体Bを蛇行するように掛け回すことにより、帯状体Bの長さ、及び締め付け状態を変更するようにしてもよい。
【0051】
・上記各実施形態では、本発明の調整具を、バックパックPに適用したが、それ以外のものに適用してもよく、紐状体の締め付け状態を調整するだけでなく長さを調整するものとして使用してもよい。例えば、靴紐の締め付け状態を調整する調整具として靴に適用してもよいし、衣服に装着された紐の長さや締め付け状態を調整する調整具として適用してもよい。又は、テント等のアウトドア用品に設けられた紐の締め付け状態を調整する調整具として適用してもよい。又は、電化製品に接続したコードの長さ等を調整する調整具として適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
10…調整具、11…フレーム、13…軸孔としての長孔、15…第1クロスバー、16…第2クロスバー、21…リブ、23,23A,23B,23C,23E…凹部、23b…傾斜面、B…帯状体、S…紐状体、X1…中心軸。
図1
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図11