特許第6013790号(P6013790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013790
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】無線基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/16 20090101AFI20161011BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20161011BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20161011BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20161011BHJP
【FI】
   H04W28/16
   H04W16/32
   H04W72/04 111
   H04W92/20
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-132348(P2012-132348)
(22)【出願日】2012年6月11日
(65)【公開番号】特開2013-258498(P2013-258498A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100117064
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 市太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100169797
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】寒河江 佑太
(72)【発明者】
【氏名】石井 啓之
【審査官】 伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−005084(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/099634(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局との間で、第1周波数キャリア及び第2周波数キャリアを用いてキャリアアグリゲーション通信を行うことができるように構成されている無線基地局であって、
前記移動局から、前記第2周波数キャリアについての測定報告を受信するように構成されている受信部と、
前記測定報告において、前記第2周波数キャリアのベストセルとして通知されているセルが、前記無線基地局に属していないと判定された場合、該通知されているセルが属している隣接する無線基地局に対して、該通知されているセルを特定する情報を含む所定通知を行うように構成されている送信部とを具備することを特徴とする無線基地局。
【請求項2】
移動局との間で、第1周波数キャリア及び第2周波数キャリアを用いてキャリアアグリゲーション通信を行うことができるように構成されている無線基地局であって、
前記移動局から、前記第2周波数キャリアについての測定報告を受信するように構成されている受信部と、
前記第2周波数キャリアのセルにおいて、前記移動局に対して、無線リソースを割り当てるように構成されている無線リソース割り当て部とを具備しており、
前記無線リソース割り当て部は、前記測定報告において、前記第2周波数キャリアのベストセルとして通知されているセルが、前記無線基地局に属していないと判定された場合、該通知されているセルに隣接する該第2周波数キャリアのセルにおいて、干渉回避処理を施した上で、前記移動局に対して、無線リソースを割り当てるように構成されていることを特徴とする無線基地局。
【請求項3】
前記無線リソース割り当て部は、前記干渉回避処理として、時間方向の無線リソースの割り当てを減らすように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記無線リソース割り当て部は、前記干渉回避処理として、周波数方向の無線リソースの割り当てを減らすように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の無線基地局。
【請求項5】
前記無線リソース割り当て部は、前記無線基地局の識別情報或いは前記第1周波数キャリアのセルの識別情報に基づいて、前記無線リソースを割り当てるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の無線基地局。
【請求項6】
前記移動局に対するハンドオーバ処理を行うように構成されているハンドオーバ制御部を具備しており、
前記ハンドオーバ制御部は、前記第2周波数キャリアにおける測定報告に基づくことなく、前記第1周波数キャリアにおける測定報告に基づいて、前記移動局に対するハンドオーバ処理を行うように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の無線基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、LTE(Long Term Evolution)方式の移動通信システムでは、周波数キャリアF1のセル(例えば、マクロセル)内に周波数キャリアF2のセル(例えば、ピコセル)が地理的に重複するように配置することが検討されている。
【0003】
かかる移動通信システムにおいて、無線基地局eNB#aは、移動局UEとの間で、周波数キャリアF1及びF2を用いて、CA(Carrier Aggregation)通信を行い、無線基地局eNB#bは、移動局UEとの間で、周波数キャリアF1及びF2を用いて、CA通信を行うことができるように構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP 36.300 Annex J1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のLTE方式の移動通信システムでは、周波数キャリアF1におけるマクロセルの境界(図7におけるCell Border#1)と周波数キャリアF2におけるピコセルの境界(図7におけるCell Border#2)は一致しない。
【0006】
すなわち、上述のマクロセルの境界及び上述のピコセルの境界を一致させようとする場合、厳密な送信電力調整や無線基地局の設置場所の選定を行う必要があり、運用の煩雑さやコストが増大するため、現実的には、上述マクロセルの境界及び上述のピコセルの境界は一致しない。
【0007】
ここで、上述のセルの境界は、一般的に、無線基地局eNBの送信電力が同じである場合には、2つの無線基地局eNB間のちょうど真ん中辺りとなる。より具体的には、1つの無線基地局eNBと移動局UEとの間のパスロスが、もう1つの無線基地局eNBと移動局UEとの間のパスロスと同じになる場所が、上述のセルの境界となる。
【0008】
図7の例において、セルA及びセルBが地理的に重複していて、かつ、セルAのエリア内である領域1は、無線基地局eNB#aによって管理されている領域ではなく、無線基地局eNB#bによって管理されている領域であるため、無線基地局eNB#aは、かかる領域1を、CA通信におけるScellとして使用することができない。
【0009】
ここで、セルAのエリア内であるとは、上述のピコセルの境界よりもセルA側の領域である。
【0010】
また、無線基地局eNB#bも、セルAからの干渉を考慮すると、かかる領域1を、CA通信におけるScellとして使用することができない。
【0011】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、複数の周波数キャリアのセルが地理的に重畳して配置されている移動通信システムにおいて、高いモビリティ性能を維持しつつ、高速化に対応するためのCA通信を行うことができる無線基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の特徴は、移動局との間で、第1周波数キャリア及び第2周波数キャリアを用いてキャリアアグリゲーション通信を行うことができるように構成されている無線基地局であって、前記移動局から、前記第2周波数キャリアについての測定報告を受信するように構成されている受信部と、前記測定報告において、前記第2周波数キャリアのベストセルとして通知されているセルが、前記無線基地局に属していないと判定された場合、隣接する無線基地局に対して、所定通知を行うように構成されている送信部とを具備することを要旨とする。
【0013】
本発明の第2の特徴は、移動局との間で、第1周波数キャリア及び第2周波数キャリアを用いてキャリアアグリゲーション通信を行うことができるように構成されている無線基地局であって、前記移動局から、前記第2周波数キャリアについての測定報告を受信するように構成されている受信部と、前記第2周波数キャリアのセルにおいて、前記移動局に対して、無線リソースを割り当てるように構成されている無線リソース割り当て部とを具備しており、前記無線リソース割り当て部は、前記測定報告において、前記第2周波数キャリアのベストセルとして通知されているセルが、前記無線基地局に属していないと判定された場合、該通知されているセルに隣接する該第2周波数キャリアのセルにおいて、干渉回避処理を施した上で、前記移動局に対して、無線リソースを割り当てるように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、数の周波数キャリアのセルが地理的に重畳して配置されている移動通信システムにおいて、高いモビリティ性能を維持しつつ、高速化に対応するためのCA通信を行うことができる無線基地局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局によって用いられる干渉回避処理の一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局によって用いられる干渉回避処理の一例を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すフォローチャートである。
図7】従来の移動通信システムの問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。本実施形態では、本実施形態に係る移動通信システムとして、LTE方式の移動通信システムを例示して説明するが、本発明は、LTE方式以外の移動通信システムにも適用可能である。
【0017】
また、本実施形態に係る移動通信システムは、「eICIC(Enhanced Inter Cell Interference Coordination)」を適用することができるように構成されている。
【0018】
ここで、「eICIC」は、セル間の干渉を低減する制御である。以下、セル間の干渉を低減するための処理を「eICIC処理」と記載する。或いは、「eICIC」の代わりに、別のセル間の干渉コーディネーションが行われてもよい。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムでは、周波数キャリアF1のセルとして、セルa1、セルa2、セルa3及びセルb1が配置されており、周波数キャリアF2のセルとして、セルA1、セルA2、セルA3、セルA4、セルA5、セルB1及びセルB2が配置されている。
【0020】
ここで、セルa1、セルa2、セルa3、セルA1、セルA2、セルA3、セルA4及びセルA5は、無線基地局eNB#aに属しており、セルb1、セルB1及びセルB2は、無線基地局eNBに属しているものとする。
【0021】
例えば、セルa1、セルa2、セルa3及びセルb1は、マクロセルであり、セルA1、セルA2、セルA3、セルA4、セルA5、セルB1及びセルB2は、ピコセルやフェムトセルやCSG(Closed Subscriber Group)セルやその他の小セル等であってもよい。
【0022】
なお、図1の例において、周波数キャリアF1のセルa1、セルa2及びセルa3が属する無線基地局と、周波数キャリアF2のセルA1、セルA2、セルA3、セルA4及びセルA5が属する無線基地局が異なっていてもよい。
【0023】
また、図1の例において、周波数キャリアF1のセルb1が属する無線基地局と、周波数キャリアF2のセルB1及びセルB2が属する無線基地局が異なっていてもよい。
【0024】
かかる場合、本実施形態に係る移動通信システムは、異なる無線基地局eNBを跨ぐCA通信(すなわち、Inter-eNB CA通信)を行うことができるように構成されているものとする。
【0025】
この場合、例えば、図2に示すように、周波数キャリアF2のセルA1、セルA2、セルA3、セルA4及びセルA5が属する無線基地局eNBを介して伝送されるユーザデータは、周波数キャリアF1のセルa1、セルa2及びセルa3が属する無線基地局eNB#aを経由する構成が取られてもよい。
【0026】
すなわち、図2に示すように、コアネットワークから見た場合に、周波数キャリアF1のセルa1、セルa2及びセルa3が属する無線基地局eNB#aが、ユーザデータを終端し、一部のユーザデータが、周波数キャリアF1を用いて直接移動局UEに伝送され、残りのユーザデータが、周波数キャリアF2のセルA1、セルA2、セルA3、セルA4及びセルA5が属する無線基地局eNBを介して周波数キャリアF2を用いて移動局UEに伝送されるという構成が取られてもよい。
【0027】
無線基地局eNB#a及び無線基地局eNB#bの構成は、基本的に同一であるため、以下、無線基地局eNBの構成として、両者の構成について説明する。
【0028】
図2に示すように、無線基地局eNBは、受信部11と、無線リソース割り当て部12と、CA制御部13と、ハンドオーバ制御部14と、送信部15とを具備している。
【0029】
受信部11は、移動局UEや隣接する無線基地局eNBから各種信号を受信するように構成されている。
【0030】
例えば、受信部11は、移動局UEから、周波数キャリアF1や周波数キャリアF2についての「Measurement report」を受信するように構成されている。
【0031】
無線リソース割り当て部12は、無線基地局eNB配下の周波数キャリアF1のセルや周波数キャリアF2のセルにおいて、移動局UEに対して、無線リソースを割り当てるように構成されている。
【0032】
CA制御部13は、移動局UEとの間で、CA通信を行うための制御を行うように構成されている。
【0033】
ここで、CA制御部13は、無線基地局eNB配下の周波数キャリアF1や周波数キャリアF2を用いて、移動局UEとの間で、CA通信を行うための制御を行うように構成されている。
【0034】
なお、Inter-eNB CA通信が可能である場合、CA制御部13は、周波数キャリアF1が無線基地局eNBにおいて用いられており、周波数キャリアF2が無線基地局eNBとは異なる無線基地局eNBにおいて用いられている場合であっても、周波数キャリアF1や周波数キャリアF2を用いて、移動局UEとの間で、CA通信を行うための制御を行うことができるように構成されている。
【0035】
ハンドオーバ制御部14は、移動局UEに対するハンドオーバ処理を行うように構成されている。
【0036】
例えば、ハンドオーバ制御部14は、受信部11によって受信された「Measurement report」において、周波数キャリアF2の「Best cell」として通知されているセルに基づいて、移動局UEのハンドオーバ先セルを決定するように構成されていてもよい。
【0037】
或いは、ハンドオーバ制御部14は、受信部11によって受信された「Measurement report」において、周波数キャリアF1の「Best cell」として通知されているセルに基づいて、移動局UEのハンドオーバ先セルを決定するように構成されていてもよい。
【0038】
なお、ハンドオーバ制御部14は、移動局UEのハンドオーバ先セルを決定する際に、TTT(Time To Trigger)やヒステリシス(Hysteresis)等を用いるように構成されていてもよい。
【0039】
送信部15は、移動局UEや隣接する無線基地局eNBに対して、各種信号を送信するように構成されている。
【0040】
例えば、送信部15は、移動局UEに対して、無線リソース割り当て部12による割り当て結果を通知するためのスケジューリング信号を送信するように構成されている。
【0041】
また、無線基地局eNB#aの送信部15は、周波数キャリアF2についての「Measurement report」において周波数キャリアF2において「Best cell」として通知されているセル(例えば、セルB1)が、無線基地局eNB#aに属していないと判定された場合、隣接する無線基地局eNB#bに対して、所定通知を行うように構成されていてもよい。
【0042】
また、無線基地局eNB#aの無線リソース割り当て部12は、周波数キャリアF2についての「Measurement report」において周波数キャリアF2において「Best cell」として通知されているセル(例えば、セルB1)が、無線基地局eNB#aに属していないと判定された場合、周波数キャリアF2において「Best cell」として通知されているセルに隣接する周波数キャリアF2のセル(例えば、セルA5)において、eICIC処理を施した上で、移動局UEに対して、無線リソースを割り当てるように構成されていてもよい。
【0043】
ここで、無線基地局eNB#aの無線リソース割り当て部12は、SON(Self-Organizing Network)機能を用いて、周波数キャリアF2についての「Measurement report」において周波数キャリアF2において「Best cell」として通知されているセル(例えば、セルB1)に基づいて、移動局UEが周波数キャリアF1のセル群からなるエリアの端に位置することを自動的に認識して、eICIC処理を実行するように構成されていてもよい。
【0044】
例えば、無線基地局eNB#aの無線リソース割り当て部12は、周波数キャリアF2において「Best cell」として通知されているセルに隣接する周波数キャリアF2のセル(例えば、セルA5)において、eICIC処理として、図4に示すように、周波数方向の無線リソースの割り当てを減らすように構成されていてもよい。
【0045】
ここで、「周波数方向の無線リソースの割り当てを減らす」とは、「割り当て可能な周波数方向の無線リソースを複数のグループに分割し、セル毎に割り当てる無線リソースを前記複数のグループの中から選択する」という動作であってもよい。
【0046】
隣接セル間で、異なるグループを選択することにより、お互いの干渉が回避されるため、図7に示す領域1のような場所においても、CA通信を行うことが可能となる。
【0047】
より具体的には、図7に示す領域1においては、移動局UEは、周波数キャリアF2においてセル#Aからの干渉を受けることなく、周波数キャリアF1において無線基地局eNB#bと通信を行い、周波数キャリアF2においてセル#Bと通信を行うCA通信が可能となる。
【0048】
或いは、無線基地局eNB#aの無線リソース割り当て部12は、周波数キャリアF2において「Best cell」として通知されているセルに隣接する周波数キャリアF2のセル(例えば、セルA5)において、eICIC処理として、図5に示すように、時間方向の無線リソースの割り当てを減らすように構成されていてもよい。
【0049】
ここで、「時間方向の無線リソースの割り当てを減らす」とは、「割り当て可能な時間方向の無線リソースを複数のグループに分割し、セル毎に割り当てる無線リソースを前記複数のグループの中から選択する」という動作であってもよい。
【0050】
隣接セル間で、異なるグループを選択することにより、お互いの干渉が回避されるため、図7に示す領域1のような場所においても、CA通信を行うことが可能となる。より具体的には、図7に示す領域1においては、移動局UEは、周波数キャリアF2においてセル#Aからの干渉を受けることなく、周波数キャリアF1において無線基地局eNB#bと通信を行い、周波数キャリアF2においてセル#Bと通信を行うCA通信が可能となる。
【0051】
また、無線基地局eNB#bの無線リソース割り当て部12は、無線基地局eNB#から、上述の所定通知を受信した場合、上述の周波数キャリアF2において「Best cell」として通知されているセル(例えば、セルB1)において、eICIC処理を施した上で、移動局UEに対して、無線リソースを割り当てるように構成されていてもよい。
【0052】
なお、かかる所定通知には、上述の周波数キャリアF2の「Best cell」として通知されているセル(例えば、セルB1)のIDが含まれてもよい。
【0053】
ここで、無線基地局eNB#a或いは無線基地局eNB#bの無線リソース割り当て部12は、無線基地局eNB#aの識別情報或いは周波数キャリアF1のセルの識別情報(例えば、セルa3)に基づいて、上述の無線リソースを割り当てるように構成されていてもよい。
【0054】
より具体的には、無線基地局eNB#aの識別情報が偶数である場合に、図4におけるF2Aの無線リソースが割り当てられ、無線基地局eNB#bの識別情報が奇数である場合に、図4におけるF2Bの無線リソースが割り当てられるといった制御が行われてもよい。
【0055】
また、ハンドオーバ制御部14は、周波数キャリアF2における「Measurement report」に基づくことなく、周波数キャリアF2における「Measurement report」に基づいて、移動局UEに対するハンドオーバ処理を行うように構成されていてもよい。
【0056】
すなわち、周波数キャリアF1において、移動局UEに対するハンドオーバ処理が行われない場合には、移動局UEが、周波数キャリアF2における「Best cell」に在圏していない場合であっても、周波数キャリアF2において、移動局UEに対するハンドオーバ処理が行われないように構成されている。
【0057】
以下、図6を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作、具体的には、本実施形態に係る無線基地局eNB#aの動作について説明する。
【0058】
図6に示すように、ステップS101において、初期状態では、無線基地局eNB#aは、周波数キャリアF2のセル(例えば、セルA1〜セルA5)において、eICIC処理を施すことなく、移動局UEに対して、無線リソースを割り当てる。
【0059】
無線基地局eNB#aは、ステップ102において、移動局UEから、周波数キャリアF2における「Measurement report」を受信すると、ステップS103において、かかる「Measurement report」において周波数キャリアF2において「Best cell」として通知されているセルが、無線基地局eNB#aに属しているか否かについて判定する。
【0060】
「YES」の場合、本動作は、終了し、「NO」の場合、本動作は、ステップS104に進む。
【0061】
ステップS104において、無線基地局eNB#aは、上述の「Measurement report」において周波数キャリアF2において「Best cell」として通知されているセル(例えば、セルB1)が、無線基地局eNB#aに属していないが、隣接する無線基地局eNB#bに属していると自動的に認識し、かかるセルに隣接する無線基地局eNB#a配下の周波数キャリアF2のセル(例えば、セルA5)において、eICIC処理を施した上で、移動局UEに対して、無線リソースを割り当てる。
【0062】
ここで、無線基地局eNB#aは、SON機能を用いて、上述の認識を行うように構成されていてもよい。
【0063】
ステップS105において、無線基地局eNB#aは、上述の「Measurement report」において周波数キャリアF2において「Best cell」として通知されているセル(例えば、セルB1)に対して、移動局UEをハンドオーバさせない。
【0064】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、無線基地局eNB#aが、移動局UEとの間で、周波数キャリアF1及び周波数キャリアF2を用いてCA通信を行っている際に、移動局UEから受信した「Measurement report」において周波数キャリアF2において「Best cell」として通知されているセルが、無線基地局eNB#aに属していないと判断した場合には、移動局UEが周波数キャリアF1のセル群からなるエリアの端に位置にいると判断し、eICIC処理を施した上で、移動局UEに対して、無線リソースを割り当てることができる。
【0065】
その結果、周波数キャリアF2のセルA5及びセルB1が地理的に重複していて、かつ、周波数キャリアF2の「Best cell」であるセルが、周波数キャリアF1の「Serving cell」が属する無線基地局eNBに属していない場合でも、CA通信におけるScellとして使用することができるため、高いモビリティ性能を維持しつつ、高速化に対応するためのCA通信を行うことができる。
【0066】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0067】
本実施形態の第1の特徴は、移動局UEとの間で、周波数キャリアF1(第1周波数キャリア)及び周波数キャリアF2(第2周波数キャリア)を用いてCA通信(キャリアアグリゲーション通信)を行うことができるように構成されている無線基地局eNB#aであって、移動局UEから、周波数キャリアF2についての「Measurement report(測定報告)」を受信するように構成されている受信部11と、周波数キャリアF2についての「Measurement report」において、周波数キャリアF2の「Best cell(ベストセル)」として通知されているセル(例えば、セルB1)が、無線基地局eNB#aに属していないと判定された場合、隣接する無線基地局eNB#bに対して、所定通知を行うように構成されている送信部15とを具備することを要旨とする。
【0068】
本実施形態の第2の特徴は、移動局UEとの間で、周波数キャリアF1及び周波数キャリアF2を用いてCA通信を行うことができるように構成されている無線基地局eNB#aであって、移動局UEから、周波数キャリアF2についての「Measurement report」を受信するように構成されている受信部11と、周波数キャリアF2のセル(例えば、セルA5)において、移動局UEに対して、無線リソースを割り当てるように構成されている無線リソース割り当て部12とを具備しており、無線リソース割り当て部12は、周波数キャリアF2についての「Measurement report」において、周波数キャリアF2の「Best cell」として通知されているセル(例えば、セルB1)が、無線基地局eNB#aに属していないと判定された場合、周波数キャリアF2において「Best cell」として通知されているセルに隣接する周波数キャリアF2のセル(例えば、セルA5)において、eICIC処理(干渉回避処理)を施した上で、移動局UEに対して、無線リソースを割り当てるように構成されていることを要旨とする。
【0069】
本実施形態の第2の特徴において、無線リソース割り当て部12は、上述のeICIC処理として、時間方向の無線リソースの割り当てを減らすように構成されていてもよい。
【0070】
本実施形態の第2の特徴において、無線リソース割り当て部12は、上述のeICIC処理として、周波数方向の無線リソースの割り当てを減らすように構成されていてもよい。
【0071】
本実施形態の第2の特徴において、無線リソース割り当て部12は、無線基地局eNB#aの識別情報或いは周波数キャリアF1のセルの識別情報(例えば、セルa3)に基づいて、上述の無線リソースを割り当てるように構成されていてもよい。
【0072】
本実施形態の第2の特徴において、移動局UEに対するハンドオーバ処理を行うように構成されているハンドオーバ制御部14を具備しており、ハンドオーバ制御部14は、周波数キャリアF2における「Measurement report」に基づくことなく、周波数キャリアF1における「Measurement report」に基づいて、移動局UEに対するハンドオーバ処理を行うように構成されていてもよい。
【0073】
本実施形態の第2の特徴において、周波数キャリアF2のセルA1〜A5は、無線基地局eNB#aとは異なる無線基地局eNB#A1〜A5に属していてもよい。
【0074】
なお、上述の無線基地局eNBの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0075】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0076】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局eNB内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局eNB内に設けられていてもよい。
【0077】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0078】
eNB#a、eNB#b…無線基地局
11…受信部
12…無線リソース割り当て部
13…CA制御部
14…ハンドオーバ制御部
15…送信部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7