(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電磁石と、電磁石の極性変化に伴い振動する振動子と、振動子の端部に配置されたダイヤフラムと、ダイヤフラムの周縁部を押圧して固定するダイヤフラム保持部とを有する電磁式ダイヤフラムポンプであって、
前記ダイヤフラム保持部は、仕切り壁と、その仕切り壁を介してその内側に位置するダイヤフラム室を構成するダイヤフラム室形成凹部と、仕切り壁を介してその外方に位置する吸気室および吐出室とを構成する吸気室形成凹部および吐出室形成凹部をそれぞれ有し、
前記吸気室形成凹部が位置する仕切り壁の内側には吸入弁が存在し、吐出室形成凹部が位置する仕切り壁の外側には吐出弁が存在し、
前記吸気室形成凹部および吐出室形成凹部には、それぞれ、個別に消音用の金属製弁カバーを載置するための突出リブが存在しており、当該突出リブには、前記吸気室形成凹部および吐出室形成凹部の底部から所定の高さに持ち上げられた状態で、それぞれ個別の消音用の金属製弁カバーが位置し、前記突出リブと消音用の金属製弁カバーとの間にはパッキンが介在しないことを特徴とする電磁式ダイヤフラムポンプ。
前記消音用の金属製弁カバーの背面(外側面)は、ケーシングカバーを固着することによって、当該ケーシングカバーにより直接ないし間接的に内側に押圧される請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の電磁式ダイヤフラムポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。
【0022】
なお、本発明は以下に説明する形態に限定されることはなく、技術思想を逸脱しない範囲において種々変形を行なって実施することが可能である。また、添付の図面においては、説明のために上下、左右の縮尺を誇張して図示することがあり、実際のものとは縮尺が異なる場合がある。
【0023】
図1は、本発明の電磁式ダイヤフラムポンプ1を、個々の主要パーツに分解した状態を概略的に示す斜視図である。
図2は、本発明の電磁式ダイヤフラムポンプの主要部分の必要箇所を断面で示した平面図、
図3は、本発明の電磁式ダイヤフラムポンプの主要部分の必要箇所を断面で示した側面図である。
図4は、本発明の要部を説明するための斜視図であって、主として、ダイヤフラム保持部を中心として、それに組み付けられる要部の部品を示した斜視図である。
図5(A)は、
図4に示される要部の部品を組み付けた後の部分正面図に相当し、吸気室形成凹部および吐出室形成凹部に、吸入弁および吐出弁の実質的な設置位置および大きさに対応して、それぞれ形成された突出リブに、消音用の金属製弁カバーが係止するように設置された状態を示す正面図であり、
図5(B)は、
図5(A)の(V)−(V)線矢視断面図である。
【0024】
図1〜
図3に示されるように、本発明の電磁式ダイヤフラムポンプ1は、本体フレーム10内に配置された一対の電磁石20と、該一対の電磁石20の対向面の間に介在された振動子30と、この振動子30の両端部に配置された一対のダイヤフラム40と、ダイヤフラムの(外周)周縁部を挟持して固定するダイヤフラム台50およびダイヤフラム保持部60とを有して構成されている。
【0025】
本体フレーム10は、図示される本実施の形態に限定されるものではないが、本実施形態では、
図1に示されるように、一対の電磁石20等を上部から挿入するための上部開口部13と、振動子30等が挿入できかつダイヤフラム台50およびダイヤフラム保持部60を内側に装着することのできる1対の側面開口部15とを有している。また、本体フレーム10の内部には、ポンプが運ぶ流動対象である流体を吸入するインプット連結口18(
図2参照)に連通している連通路(図示していない)および流体を吐出するアウトプット連結口19(
図2参照)に連通する連通路(図示していない)がそれぞれ別形態で形成されている。
【0026】
本発明の構成を、さらに詳細に説明する。
本発明の電磁式ダイヤフラムポンプ1は、本体フレーム10の内側に配置された一対の電磁石20の極性変化に伴い、電磁石20の対向する方向に対して振動子30が略直角方向に往復運動できるように構成されている。振動子30は、その両端部に連結用シャフト31が固定配置されており、前述のごとく振動子30の両端部には、対向する一対のダイヤフラム40が配置・固定されている。
【0027】
ダイヤフラム40の内周部に位置する略中央部には、第1のセンタープレート71と、第2のセンタープレート75とが挟持された状態で固定されており、これらの結合されたセンタープレート71,75に実質的に振動子30(連結用シャフト31,31)が固定されている。
【0028】
前述したようにダイヤフラム40の周縁部は、ダイヤフラム台50およびダイヤフラム保持部60によって挟持され固定される。さらに、ダイヤフラム台50およびダイヤフラム保持部60は、本体フレーム10の側面開口部15内に装着され固定されるように構成されている。
【0029】
図1〜3に示される実施形態においてその構成をより具体的に説明すると、ダイヤフラム40は、その周縁部において、内側に突出したリング状のビード部45を備え、ダイヤフラム台50は、ダイヤフラム40の内側に位置し、ダイヤフラム保持部60は、ダイヤフラム40の外側に位置するように配置されている。
【0030】
ダイヤフラム40の外側に位置するダイヤフラム保持部60は、弁を備える弁ケース本体として機能を有するとともに、ダイヤフラム40の周縁部を押し付けるようにしてケーシングパッキン80およびケーシングカバー85とともに本体フレーム10の側面に固着される。
【0031】
弁ケース本体として機能を有するダイヤフラム保持部60には、吸入弁120および吐出弁130がそれぞれ各所定の機能(吸入および吐出)を果たすように所定の向きに取り付けられている。これについては後に詳述する。
【0032】
図2および
図3を参照しつつ、本発明の電磁式ダイヤフラムポンプ1の基本的構造についてさらに詳細に説明する。
【0033】
図2に示されるように、対向して配置される一対の電磁石20は、それぞれ、E型の電磁石コア22と、このコア22に電磁石用のコイル23が巻かれた電磁石ボビン24を有して構成される。電磁石20の電磁石用のコイル23には図示していない交流電源が接続され、交流電源の周波数と同一回数の磁極の変化(極性変化)が生じるようになっている。
前述したように一対の電磁石20の対向面の間隙には、電磁石20の極性変化に伴い往復運動する振動子30が電磁石20と接触しないように装入されている。振動子30は、本実施の形態の場合、
図3に示されるようにプレート本体部35と、その両端に形成される連結用シャフト31を有し、プレート本体部35には、例えば四角状の極性の異なる永久磁石36(例えばN極),37(例えばS極)が取り付けられている。
【0034】
吸気室150を区画するダイヤフラム保持部60の仕切り壁61には、
図2に示されるごとく吸入弁120が内側から装着されている。吸入弁120は、シール弁として機能する肉薄円形状の弁傘部121と、この弁傘部121の中央部から突出する弁固定軸125を備えて構成される。弁固定軸125は仕切り壁61に形成された固定孔に装着・固定される(
図2)。図示していないが、弁固定軸125の先端部には、通常、固定後の抜け防止のための突起状の係止部を形成しておくことが望ましい。なお、弁傘部121の弁固定軸125が位置する側の平面が、いわゆる(弁)シール平面を構成する。
【0035】
このような吸入弁120の弁作用により、
図2に示されるように仕切り壁61に形成された弁通気孔62を通して、インプット連結口18から流入される流体がダイヤフラム室160に吸入される。ダイヤフラム室160は、実質的にダイヤフラム40と、ダイヤフラム保持部60の内部の面(特に仕切り壁61)とによって区画されている。そして、ダイヤフラム室160に吸入された流体は、ダイヤフラム保持部60の仕切り壁61に外側から装着された吐出弁130の弁作用によって、仕切り壁61に形成された弁通気孔63を通して、吐出室170に入り、図示しない連通路を経由してアウトプット連結口19から吐出されるようになっている。
【0036】
吐出弁130の形態そのものは、前述した吸入弁120と基本的に同じであり、その構成は
図2に示されるごとく、シール弁として機能する肉薄円形状の弁傘部131と、この弁傘部131の中央部から突出する弁固定軸135とを備えて構成される。弁固定軸135は仕切り壁61に形成された固定孔に装着・固定される(
図2)。弁固定軸135の先端部には、通常、固定後の抜け防止のための突起状の係止部を形成しておことが望ましい。なお、弁傘部131の弁固定軸135が位置する側の平面が、いわゆる(弁)シール平面を構成する。
【0037】
吸入弁120および吐出弁130の弁作用についてさらに説明する。交流電源に接続された電磁石20の極性変化に伴い振動子30は、交流電源と同じ周波数で
図2や
図3に示される矢印(α)および矢印(β)方向に往復運動する。この振動子30の動きに同期して振動子30の両端部に配置されたダイヤフラム40は、そのダイヤフラム40の中央部を中心にして振動子30のストロークと同じ変位量で変形する。これにより、ダイヤフラム室160の容量の変化が生じ、
図2の(β)方向側のダイヤフラム室160に注目すると、ダイヤフラム40が矢印(α )方向に変形した場合、ダイヤフラム室160は膨張して負圧になり、吸入弁120は開いて、流体がダイヤフラム室160内に吸入される。逆に、ダイヤフラム40が矢印(β)方向に変形した場合、(β)方向側のダイヤフラム室160は圧縮され正圧になり、吐出弁130は開いて、流体がダイヤフラム室160内から吐出室170に吐出される。これらの動作が交互に連続的に行われ、流体が連続的に吐出される。
【0038】
なお、本発明で用いられる吸入弁120および吐出弁130の具体的形態、例えば、弁傘部121(131)の外径の大きさや厚さ等は、電磁式ダイヤフラムポンプの仕様に応じて適宜設定するようにすればよい。また、用いる吸入弁120および吐出弁130の数についても同様である。吸入弁120および吐出弁130を構成するゴム材質に特に制限はない。例えば、EPDMやシリコーンゴムが好適な例として挙げられる。
【0039】
また、ダイヤフラム40を構成するゴム材質に特に制限はないが、耐熱性や耐蝕性に優れ、可撓性にも優れる、フッ素ゴム、NBRが好適例として挙げられる。
【0040】
(本発明の要部の説明)
上述してきた構成をさらに詳細に説明するとともに、本発明の要部の説明を行う。
【0041】
図2に示されるようにダイヤフラム保持部60は、ダイヤフラム40の平面と略平行に形成されている仕切り壁61と、その仕切り壁61を介してその内側にダイヤフラム室160を形成するためのダイヤフラム室形成凹部160´と、仕切り壁61を介してその外方に吸気室150および吐出室170とを形成するための吸気室形成凹部150´および吐出室形成凹部170´をそれぞれ有している。そして、好適な態様として、ケーシングパッキン80を介してケーシングカバー85によって、吸気室形成凹部150´および吐出室形成凹部170´を覆うことによって、区画された吸気室150および吐出室170が形成される。ダイヤフラム保持部60の略中央部において吸気室150と吐出室170とを区画するために、隔壁69が形成されている。
【0042】
前述したように吸気室150は、図示しない連通路を経由してインプット連結口18(
図2参照)に連通している。同様に吐出室170は、図示しない連通路を経由してアウトプット連結口19(
図2参照)に連通している。
【0043】
図2、
図4および
図5(B)に示されるように吸気室形成凹部150´が形成されている仕切り壁61の内側(
図4の右方)には前述したように吸入弁120が装着され、この一方で、吐出室形成凹部170´が形成されている仕切り壁61の外側(
図4の左方)には前述したように吐出弁130が装着される。
【0044】
吸気室形成凹部150´および吐出室形成凹部170´には、吸入弁120および吐出弁130の実質的な設置位置および大きさに対応して、それぞれ個別の、消音用の金属製弁カバー91,95が設置されている。
【0045】
ここで、「吸入弁120および吐出弁130の実質的な設置位置および大きさに対応して」とは、「吸入弁120および吐出弁130がそれぞれ仕切り壁61を占有するエリア(通常、吸入弁120および吐出弁130の円形の弁傘部121,131が占めるエリア)に対応して、これらのエリアをそれぞれ位置的かつ大きさ的に包含するように」という意味である。「位置的かつ大きさ的に包含する」とは、弁傘部121,131が占めるエリア以上の大きさを有し、かつ、設置位置が包含関係を維持している箇所に設けられていることをいう。特に、上記のような要件を考慮する必要性があるのは、仕切り壁61の一方の面に吸入弁120を設け、仕切り壁61の反対である他方の面に消音用の金属製弁カバー95を設置する場合があり(例えば、
図5(B)参照)、この場合には互いの位置関係が適切でなく
図9(B)に示されるように位置がずれて包含関係が維持できないことがありうるからである。仕切り壁61の同じ面に吐出弁130および消音用の金属製弁カバー95を設置する場合(例えば、
図5(B)参照)には、容易に
図9(A)の包含関係が得られるので問題は生じないものと考えられる。ちなみに、
図9(A)は、金属製弁カバーが占めるエリアと弁傘部が占めるエリアとの関係を模式的に示した平面図であって、
図9(A)は本発明に該当する関係を示している。
図9(B)は、金属製弁カバーが占めるエリアと弁傘部が占めるエリアとの関係を模式的に示した平面図であって、
図9(B)は本発明に該当しない場合の関係を示している。
【0046】
消音用の金属製弁カバー91,95は、そのもの自体を、吸入弁120および吐出弁130の所定の設置位置に載置できるように、例えば、蓋体となる金属製板状部の周縁から立設可能な足部を垂下させた形状に一体成形して、仕切り壁61の上に直接載置するようにしてもよいが、金属部分が増えるとともに複雑な構造となるために、金属製弁カバーそのもののコスト増や、重量アップの可能性が生じ得る。これらを抑制するために、
図4〜
図6に示されるように吸気室形成凹部150´および吐出室形成凹部170´の底部に、消音用の金属製弁カバー91,95を載置するための突出リブ101,105をそれぞれ形成するように構成することが望ましい。
【0047】
このような突出リブ101,105は、通常、仕切り壁61の上に形成することができ、ダイヤフラム保持部60を成形する際に、一体的に成形すること(いわゆる一体成形)が望ましい。ダイヤフラム保持部60は、例えば、アルミ等のダイカストから成形することができるが、必ずしもこの形態に限定されるわけではなく、射出樹脂成形としてもよい。
【0048】
このような突出リブ101,105によって、吸気室形成凹部150´および吐出室形成凹部170´の底部から所定の高さに消音用の金属製弁カバー91,95が持ち上げられた状態で載置される(例えば
図5(B)参照)。金属製弁カバーそのものの形態も特に複雑な形態とする必要もなく、シンプルかつ低コスト化が実現できる。必要体積も少なくてすみ重量アップの要因ともなりにくい。
【0049】
突出リブ101,105の形態およびこれらに被着される消音用の金属製弁カバー91,95について、
図5(A)、(B)を参照しつつ、さらに詳細に説明する。
【0050】
最初に、吸気室形成凹部150´における突出リブ101とこれに被着される消音用の金属製弁カバー91の組み合わせについて説明する。吸気室形成凹部150´の底部に位置する仕切り壁61の上に、突出リブ101として、例えば、2つに分割された突出リブ101aと突出リブ101bが形成される。ただし、分割数は2つに限定されることはなく、3つ以上に分割することもできる。
【0051】
これらの突出リブ101aと突出リブ101bは、仕切り壁61の一方の面に形成されており、これらは、仕切り壁61の反対側の他方の面に位置する吸入弁120の弁傘部121が占めるエリアを、仕切り壁61を介して包囲するように形成される。図示の例では、曲率半径の大きな湾曲部を有する突出リブ101aと、曲率半径の小さい湾曲部を有する突出リブ101bとが、隙間E(
図4、
図5(A)を参照)を空けた状態で配置されている。隙間Eが複数個存在する場合には、これらは同じ間隔でもよいし異なった間隔でもよい。
【0052】
このような突出リブ101aおよび突出リブ101bのそれぞれの上端面の内側には内周に沿って、切り欠きされた段差部102a,102bが形成されており(
図5参照)、この段差部102a,102bに金属製弁カバー91の板状部92の外周部が係止された状態で載置されるようになっている。このような段差部は突出リブ側に設けるのではなく、金属製弁カバー側に設けるようにしてもよい。ただし、段差部は必須のものではなく、これに代わる係止構造を採択するようにしてもよい。
【0053】
本実施の形態において、金属製弁カバー91は、実質的に消音機能を発揮する板状部92と、板状部92の端部から板状部平面に対して略垂直方向に突出する突出片93を有しており(
図4参照)、突出片93は、突出リブ101aと突出リブ101bとの隙間Eに介在することができるように構成されることが望ましい。突出片93はなくてもよいが、突出片93を設けることによって、金属製弁カバー91を再現性良く所定位置に載置できる等の機能を発揮させることができる。
【0054】
図7に示されるように、突出片93の幅をW1、突出リブ101aおよび突出リブ101bの隙間Eの幅をW2とした場合、W1/W2=0.5〜0.9、より好ましくは、0.8〜0.9とされる。
【0055】
また、突出片93の板状部92の下面からの突出高さをh1、突出リブ101aおよび突出リブ101bの突出高さをh2とした場合、h1/h2=0.3〜0.8、より好ましくは、0.3〜0.5とされる。
【0056】
なお、W1/W2の値、およびh1/h2の値は、突出リブ101aおよび突出リブ101bの内側と外側との流通が確実に図れるように開口部を形成することができるように設定される。ポンプが搬送する流体が突出リブ101a、101bの内側と外側とを流通できることが必要だからである。
【0057】
次ぎに、
図5(A)、(B)を参照しつつ、吐出室形成凹部170´における突出リブ105とこれに被着される消音用の金属製弁カバー95の組み合わせについて説明する。吐出室形成凹部170´の底部に位置する仕切り壁61の上に、突出リブ105として、例えば、2つに分割された突出リブ105aと突出リブ105bが形成される。ただし、分割数は2つに限定されることはなく、3つ以上に分割することもできる。
【0058】
突出リブ105aと突出リブ105bは、仕切り壁61の一方の面に形成されており、これらは、仕切り壁61の同じ面に位置する吐出弁130の弁傘部131が占めるエリアを包囲するように形成される。図示の例では、曲率半径の大きな湾曲部を有する突出リブ105aと、曲率半径の小さい湾曲部を有する突出リブ105bとが、隙間Eを空けた状態で配置されている(
図4、
図5(A)を参照)。
【0059】
突出リブ105aおよび突出リブ105bのそれぞれの上端面の内側には内周に沿って、切り欠きされた段差部106a,106bが形成されており(
図5参照)、この段差部106a,106bに金属製弁カバー95の板状部96の外周部が係止された状態で載置されるようになっている。本実施の形態において、金属製弁カバー95は、前述した金属製弁カバー91と同様に、実質的に消音機能を発揮する板状部96と、板状部96の端部から板状部平面に対して略垂直方向に突出する突出片97を有しており(
図4参照)、突出片97は、突出リブ105aと突出リブ105bとの隙間Eに介在することができるように構成されることが望ましい。突出片97はなくてもよいが、突出片97を設けることによって、金属製弁カバー95を再現性良く所定位置に載置できる等の機能を発揮させることができる。
【0060】
図7に示されるように、突出片97の幅をW1、突出リブ105aおよび突出リブ105bの隙間Eの幅をW2とした場合、W1/W2の関係は前述したとおりとすればよい。また、突出片97の板状部96の下面からの突出高さをh1、突出リブ105aおよび突出リブ105bの突出高さをh2とした場合、h1/h2の関係は前述したとおりとすればよい。
【0061】
上述してきた金属製弁カバー91、95の材質としては、金属であれば特に制限されるものではないが、好適には、鉄等の金属を用いるのがよい。
【0062】
また、板状部92、96の板厚は、消音効果を高めるためには厚ければ厚いほど良いが、重量ならびにコストとの兼ね合いもあり、通常、0.5〜2.0mm程度、好ましくは、1.0〜2.0mm程度とされる。
【0063】
次いで、
図6を参照しつつ本発明の他の実施形態の要部を説明する。
図6(A)は、本発明の他の実施形態の要部を説明するための正面図であって、吸気室形成凹部150´および吐出室形成凹部170´に、吸入弁および吐出弁の実質的な設置位置および大きさに対応して、それぞれ形成された突出リブに、消音用の金属製弁カバーが係止するように設置された状態を示す平面図であり、
図6(B)は、
図6(A)の(VI)−(VI)線矢視断面図である。
【0064】
図6(A)、(B)に示される実施形態が、前述した
図5(A)、(B)に示される実施形態と異なるのは、突出リブ101として、例えば、2つに分割された突出リブ101aと突出リブ101bが曲率が同じ湾曲部を備え、これらは、組み合わせによって1つの円をトレースするように配置されており、これらの突出リブに被着される金属製弁カバー91の板状部92が円形状をなしている点にある。突出リブ105aと突出リブ105bを備える突出リブ105と、これらに被着される金属製弁カバー95についても同様の構成とされている。
図6(A)、(B)に示される実施形態の金属製弁カバー91,95に、
図5に示されるような突出片93,97を設け、金属製弁カバー91,95の回り止めとして機能させるようにしてもよい。
【0065】
他の実施形態として、
図8に示されるように突出リブ101(105)を分けることなく実質的に連続に形成し、その突出リブ101(105)の上端部から切り欠き部109を設け、その切り欠き部109を搬送流体を流通させるための開口部として用いることもできる。
【0066】
ちなみに、補足説明となるが、
図1において、符号201はフレームパッキン、符号202はフレームカバー、符号211はタンクパッキン、符号212はタンクカバー、符号220は防振ゴム、符号230はブラケット、符号241,245はダイヤフラム保護シートを示す。
【実施例】
【0067】
以下、具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
図1〜
図5に示されるように、本発明の要部構成である消音用の金属製弁カバー91,95がそれぞれ吸気室形成凹部150´および吐出室形成凹部170´に設置された電磁式ダイヤフラムポンプを作製した(実施例1サンプル)。
【0068】
金属製弁カバー91,95は、それぞれ、鉄製からなる金属とし、板状部92、96の板厚は、それぞれ、2.0mmとした。金属製弁カバー91,95の重量は、14gであった。
【0069】
(比較例1)
上記の実施例1サンプルにおいて、消音用の金属製弁カバー91,95を外して、用いなかった(装着しなかった)。
【0070】
それ以外は、上記の実施例1サンプルと同様にして、比較例1の電磁式ダイヤフラムポンプを作製した(比較例1サンプル)。
【0071】
(比較例2)
上記の実施例1サンプルにおいて、消音用の金属製弁カバー91,95を外して、用いなかった(装着しなかった)。
【0072】
その代わりに、消音用の金属製弁カバー91,95の総和重量に相当する分の重量をケーシングカバー85(鉄製からなる金属から構成)に加えてその厚さを厚くした。ケーシングカバー85の厚さの増分は約10%であった。
【0073】
それ以外は、上記の実施例1サンプルと同様にして、比較例2の電磁式ダイヤフラムポンプを作製した(比較例2サンプル)。
【0074】
(比較例3)
特許文献1(特開2002−371968号公報)に類似する構造の磁式ダイヤフラムポンプを作製した。すなわち、電磁石部の両側部に固定されるポンプケーシング部に遮音のためのガラス繊維入熱可塑性樹脂からなる側面蓋部を設け、この側面蓋部を内側蓋と外側蓋とからなる空洞を有する二重構造に構成した。
【0075】
それ以外は、上記の実施例1サンプルと実質的に同様にして、比較例3の電磁式ダイヤフラムポンプを作製した(比較例3サンプル)。
【0076】
<静音性試験>
上記の実施例1サンプル、比較例1〜3サンプルにおける静音性試験を以下の要領で実施した。すなわち、静音室に、実施例1サンプル、比較例1〜3サンプルの4種のサンプルを持ち込み、(1)実施例1と比較例1、(2)実施例1と比較例2、(3)実施例1と比較例3、(4)比較例1と比較例2、(5)比較例1と比較例3、(6)および比較例2と比較例3の6通りの2組のサンプル同士の静音性を比較する試験を実施した。静音性は、3人の判定人の官能試験とした。
【0077】
その結果、静音性は、実施例1が格段と優れていた。次いで静音性がよかったのは、比較例2、比較例1、比較例3の順であった。
【0078】
上記の結果より、本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明の電磁式ダイヤフラムポンプは、電磁石と、電磁石の極性変化に伴い振動する振動子と、振動子の端部に配置されたダイヤフラムと、ダイヤフラムの周縁部を押圧して固定するダイヤフラム保持部とを有し、前記ダイヤフラム保持部は、仕切り壁と、その仕切り壁を介してその内側にダイヤフラム室を形成するためのダイヤフラム室形成凹部と、仕切り壁を介してその外方に吸気室および吐出室とを形成するための吸気室形成凹部および吐出室形成凹部をそれぞれ有し、前記吸気室形成凹部が形成されている仕切り壁の内側には吸入弁が装着され、吐出室形成凹部が形成されている仕切り壁の外側には吐出弁が装着され、前記吸気室形成凹部および吐出室形成凹部には、それぞれ個別の、消音用の金属製弁カバーが設置されるように構成されているので、装置の重量およびコストの増加を極力抑えつつ、静音性を高めることができるという極めて優れた効果が発現する。