特許第6013794号(P6013794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6013794-植物誘引用の自着性粘着テープ 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013794
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】植物誘引用の自着性粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20161011BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20161011BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20161011BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J153/02
   C09J11/06
   C09J11/04
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-137176(P2012-137176)
(22)【出願日】2012年6月18日
(65)【公開番号】特開2014-1312(P2014-1312A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】森 裕子
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 智行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正則
【審査官】 ▲吉▼澤 英一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05358783(US,A)
【文献】 特開2001−040302(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0168165(US,A1)
【文献】 米国特許第04698242(US,A)
【文献】 特開2004−010760(JP,A)
【文献】 特開昭56−026968(JP,A)
【文献】 米国特許第06025071(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/02
C09J 11/04
C09J 11/06
C09J 153/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状の基材の一面に粘着剤を塗布した自着性粘着テープにおいて、該粘着剤のエラストマーが、スチレン含有量が14重量%以上19重量%以下のスチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーを10重量%〜80重量%と、スチレン含有量が25重量%以上50重量%以下のスチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーを20重量%〜90重量%で混合した混合物を含み、該粘着剤は上記エラストマー100重量部に対し、粘着付与樹脂を4〜150重量部、充填剤を1〜230重量部含み、かつ軟化剤を配合せず、上記の充填剤は50重量%以上の炭酸カルシウムを含むものであり、下記(a)と(b)を満たすことを特徴とする植物誘引用の自着性粘着テープ。
(a):幅10mm、長さ100mmの自着性粘着テープの両端部の長さ20mmを残し、中央部の60mmの粘着剤部分に長さ60mmの前記自着性粘着テープと同じ自着性粘着テープを貼付して非粘着化したものを試験片とし、この試験片の両端部の長さ20mmの粘着剤の部分同士を合掌貼りにして形成したループに金属製の直径15mmの支持棒を挿通して支持し、重さ1000gの錘を吊下げ、温度23℃、相対湿度50%の条件下に24時間保持した後に錘が落下しなかったものが1/2以上である。
(b):上記(a)に記載したループに、重さ500gの錘を吊下げ、温度40℃、相対湿度75%の条件下に24時間保持した後に錘が落下しなかったものが1/2以上である。
【請求項2】
上記充填剤を75〜215重量部含むことを特徴とする請求項に記載の植物誘引用の自着性粘着テープ。
【請求項3】
上記自着性粘着テープは、対SUS粘着力が2.0N/10mm未満、プローブタックが2.0N/5mmφ未満、自着粘着力が10.0N/10mm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の植物誘引用の自着性粘着テープ。
【請求項4】
上記エラストマーが、スチレン含有量が14重量%以上19重量%以下のスチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーを20重量%〜70重量%と、スチレン含有量が30重量%以上50重量%以下のスチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーを30重量%〜80重量%で混合した混合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の植物誘引用の自着性粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自着性粘着テープに関し、特に野菜等の植物や生物、さらに詳しくは、栽培中の葡萄やトマト等の植物の蔓を支柱や棚等に誘引結束するための粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、りんご、梨、葡萄等の果実や、きゅうり、トマト、茄子等の野菜、花等の鑑賞用植物といった植物を栽培する場合、栽培中に風や自重によって枝や蔓が折れたり傷つくことを防ぐ必要がある。また、植物が成長する方向を調節してバランスよく成長させることによって植物の健全化を図り、収穫し易くすること等も必要である。そのために、植物の蔓や茎や枝などを支柱や棚にプラスチック等で被覆した針金で括り付けて固定することが行われている。
この結束作業自体は単純なものであるが、生育中の短期間のうちに、膨大な量の結束を行う必要があり、非常に労力を伴う仕事であった。
【0003】
そうしたことから、出願人らは粘着テープを使用した結束方法を提案してきたが、これは粘着テープの粘着剤面同士を合掌貼りにして結束する方法であり、上記のように針金を使用しないため、安全性が高いという特徴がある(特許文献1)。
また、上記のように粘着テープの粘着剤面同士を合掌貼りにするところから、その粘着剤は、その粘着力よりも粘着剤面同士が貼り付く自着力を大きくするように構成されている(特許文献2)
【0004】
上記した各種の栽培は、通常は露地で行われるので平均的な温度として常温の23℃程度を基準にして接着性を問題にすればよいが、上記の栽培がビニールハウスなどのハウス内で行われることも多くなっている。ハウス内においては高温になることも多く、こうした高温領域においては平均的な温度として40℃程度を基準にする必要があるが、上記した常温程度で有効なものでも高温領域では満足な結束状態を得ることが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−3571号公報
【特許文献2】特開2004−161962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、植物の茎、蔓、枝、新梢などを支柱などに結束することができる粘着テープであるが、これによる結束状態を上記した常温(温度:23℃)においても高温(温度:40℃)においても保持することができるものを得ようとするものである。
更には、結束によって植物の成長に悪影響を与えることがなく、確実に結束できると共に、結束作業性にも優れたものを得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、テープ状の基材の一面に粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した自着性粘着テープにおいて、上記粘着剤のエラストマーが、スチレン含有量が14重量%以上であって19重量%以下のスチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーを10重量%〜80重量%と、スチレン含有量が25重量%以上であって50重量%以下のスチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマーを20重量%〜90重量%で混合した混合物を含むものである。この粘着剤は上記エラストマー100重量部に対し、粘着付与樹脂を4〜150重量部、充填剤を1〜230重量部含み、かつ軟化剤を配合しておらず、上記の充填剤は50重量%以上の炭酸カルシウムを含むものであり、下記(a)及び(b)を同時に満足するように形成した植物誘引用の自着性粘着テープである。
(a):幅10mm、長さ100mmの自着性粘着テープの両端部の長さ20mmを残し、中央部の60mmの粘着剤部分に長さ60mmの前記自着性粘着テープと同じ自着性粘着テープを貼付して非粘着化したものを試験片とし、この試験片の両端部の長さ20mmの粘着剤の部分同士を合掌貼りにして形成したループに金属製の直径15mmの支持棒を挿通して支持し、重さ1000gの錘を吊下げ、温度23℃、相対湿度50%の条件下に24時間保持した後に錘が落下しなかったものが1/2以上である。
(b):上記(a)に記載したループに、重さ500gの錘を吊下げ、温度40℃、相対湿度75%の条件下に24時間保持した後に錘が落下しなかったものが1/2以上である。
【0008】
更には、この自着性粘着テープを、対SUS粘着力が2.0N/10mm未満、プローブタックが2.0N/5mmφ未満、自着粘着力が10.0N/10mm以上に形成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の自着性粘着テープは、この粘着テープの粘着剤面同士を合掌貼りすることにより、植物の枝、茎、蔓、新梢などを支柱、棚などに容易に固定することができ、露地などにおける栽培のように常温環境における場合は勿論のこと、ビニールハウスにおける栽培のように高温環境下においても、結束状態を維持することができるものである。
更には、粘着テープの粘着力は他の被着体に対して低いため、植物の枝、茎、蔓、新梢などを傷めることなく、植物の成長に対して悪影響を与えることが少ない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の自着性粘着テープの自着保持性を測定する方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における自着性粘着テープの基材には、クラフト紙、クレープ紙、和紙などの繊維状物質で形成された多孔性材料や、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂などで形成したプラスチックフイルムを適宜に使用することができる。
【0012】
上記多孔性材料を使用する場合、強度、耐候性、剛性などの特性を調整するために、含浸剤、背面処理剤などによって適宜処理を施すようにすることができる。この多孔性材料の坪量、厚みは用途によって適宜に選択されて特に限定されない。
【0013】
プラスチックフイルムは、上記したもののほか、生分解性や光分解性のプラスチックフイルムを使用すると環境面から好ましいものとすることができる。また、上記したものを複数組み合わせて使用することもでき、上記プラスチックフイルム同志を、またはプラスチックフイルムと多孔性材料などを積層して使用することもできる。また、必要に応じて、多孔性のプラスチックフイルムを用いることもできる。
【0014】
上記プラスチックフイルムには、下記する粘着剤層を形成する粘着剤との密着性を向上させるために、片面又は両面にコロナ処理やプラズマ処理、プライマー処理などの表面処理を施すようにすることもできる。このプラスチックフイルムを使用した基材の坪量は、特に限定されることなく使用することができる。
【0015】
上記基材の一面には粘着剤を塗布して粘着剤層を形成する。この粘着剤層を形成する粘着剤のエラストマーとして、次のようなものが使用される。
このエラストマーは、スチレン含有量が14重量%以上であって19重量%以下のスチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(SIS)である低スチレンポリマー(低スチレンSIS)と、スチレン含有量が25重量%以上であって50重量%以下のスチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(SIS)である高スチレンポリマー(高スチレンSIS)の混合物からなる。高スチレンポリマーのスチレン含有量は、30重量%以上であって50重量%以下がより好ましい。
【0016】
上記低スチレンポリマーと高スチレンポリマーの混合割合は、低スチレンポリマーを10重量%〜80重量%とし、高スチレンポリマーを20重量%〜90重量%の割合とする。
好ましくは、低スチレンポリマーを20重量%〜70重量%の割合とし、高スチレンポリマーを30重量%〜80重量%の割合とする。
低スチレンポリマーが10重量%以下になると後記する自着保持性が低下するようになり、80重量%を超えた場合にも自着保持性が低下するようになる。
【0017】
粘着剤としては、上記エラストマーと粘着付与樹脂、充填剤を含有し、必要に応じて、軟化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、老化防止剤などの各種添加剤を配合したものが好ましい。
上記粘着付与樹脂としては、ロジン系樹脂,テルペン系樹脂などの天然物及びその誘導体、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂,スチレン系樹脂,フェノール系樹脂,キシレン樹脂などの合成樹脂を挙げることができる。
この粘着付与樹脂は、エラストマー100重量部に対して、通常、4〜150重量部、好ましくは10〜100重量部、より好ましくは15〜70重量部で使用される。粘着付与樹脂を配合することにより、粘着剤成分に常温での自着力を付与することができ、常温及び高温の自着保持性を得ることに寄与できる。
【0018】
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、亜鉛華(酸化亜鉛)、けい酸アルミニウム、シリカ、タルク、けい藻土、けい砂、軽石粉、スレート粉、雲母粉、アルミニウムゾル、アルミナホワイト、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、リトポン、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、単結晶チタン酸カリ、カーボン繊維、活性亜鉛華、炭酸亜鉛、酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、リサージ、鉛丹、鉛白、水酸化カルシウム、活性化水酸化カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。
これらの充填剤の中でも、炭酸カルシウム、亜鉛華、シリカ、酸化チタンなどが好ましい。これらの充填剤を配合すると、粘着剤に適度の凝集性を付与することができる。
【0019】
充填剤の粒子径の平均値は5μm以下であることが好ましい。この場合、平均粒子径が5μmより小さい小粒子径の微粒子に、平均粒子径が7〜125μmの大粒子径の微粒子の若干量を併用したものにすると、凝集力と粘着力を適度な範囲内に調整することが容易になる。なお、自着粘着力と被着体に対する粘着力等のバランスを考慮して、大粒子径の微粒子は上記基材に塗布した粘着剤の厚さの70%から250%の粒径のものが混在しているものを選ぶことが望ましい。
【0020】
上記大粒子径の微粒子としては、有機微粒子、無機微粒子、及びこれらの混合物を使用することができる。有機微粒子としては塩化ビニリデン系,フェノール樹脂系,尿素樹脂系,エポキシ樹脂系などの有機質系マイクロバルーン、ポリスチレン,ポリメチルメタクリレートなどの合成樹脂微粒子、などが代表的なものである。無機微粒子としては、硼ケイ酸ガラス系などの無機質系マイクロバルーン、炭酸カルシウム、シリカなどの無機充填剤などが挙げられる。
【0021】
充填剤は、上記エラストマー100重量部に対して、1〜230重量部であり、好ましくは75〜215重量部である。75〜215重量部にすると、後記する対SUS粘着力、プローブタックの粘着力、及び自着力が適当な値を取るようになって、誘引結束作業の妨げや植物の成長に悪影響を与えることが一層少なくなる。また、230重量部以上では自着保持性を得難い傾向となる。
大粒子径の微粒子を配合する場合には、粘着剤全量基準で、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜3重量%、特に好ましくは0.3〜2重量%の範囲にするとよい。
【0022】
軟化剤としては、石油系軟化剤、植物系軟化剤、液状ゴム、液状粘着付与樹脂、合成可塑剤などが挙げられる。軟化剤を配合することにより、凝集性と自着性を調整することができる。
【0023】
これらの軟化剤は、エラストマー成分などとの相溶性を考慮した上で選択使用される。必要に応じて軟化剤を用いる場合には、自着保持性を損なわない範囲内で使用するとよく、エラストマー成分100重量部に対して、通常、0〜200重量部の割合で使用される。栽培時の植物を結束し、誘引するための植物誘引用の自着性粘着テープのように、自着粘着力を高く、結束対象物への粘着力、タックを低くした方が好ましい場合には、軟化剤は使用しないほうが望ましいことも多い。
【0024】
紫外線吸収剤としては、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物等がある。紫外線吸収剤を使用する場合には、エラストマー成分100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部の割合で添加される。
【0025】
老化防止剤としては、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、その他のアミン系化合物、アミン化合物混合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、チオビスフェノール系化合物等が挙げられる。老化防止剤の配合割合は、特に限定されないが、エラストマー成分100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
【0026】
この自着性粘着テープは、対SUS粘着力が2.0N/10mm未満であり、プローブタックが2.0N/5mmφ未満となるように形成すると好ましい。対SUS粘着力が2.0N/10mm以上、プローブタックが2.0N/5mmφ以上であると、結束の対象物によっては粘着テープが付着する傾向が大きくなって、好ましくないことがある。
また、この自着性粘着テープの自着粘着力(自着力)は7.0N/10mm以上にするとよく、好ましくは10.0N/10mm以上にするとよい。10.0N/10mm以上にすると、良好な自着粘着力が得られるようになる。
【実施例】
【0027】
〔実施例1〕
エラストマーとして「低スチレンSIS(スチレン含有量:16重量%、日本ゼオン社製クインタック3433)」80重量部及び「高スチレンSIS−3(スチレン含有量:48重量%、日本ゼオン社製・クインタック3390)」20重量部に、充填剤として「炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製・スーパー#1500)」115重量部、粘着付与樹脂として「脂肪族石油樹脂(日本ゼオン社製・クイントンA−100)」40重量部、「テルペン系樹脂(ヤスハラケミカル社製・YSレジンPX−1150)」10重量部、老化防止剤として「BASF社製・イルガノックス1010」0.65重量部をトルエン/n−ヘキサンの50:50混合溶剤中で溶解混合することによりゴム系粘着剤を得た。
【0028】
厚さ43μmのポリプロピレンフィルムにコロナ処理後、プライマー効果を有する印刷処理を行い、その上に粘着剤層の厚みが20μmになるよう塗布して、幅10mmの粘着テープを調製した。
【0029】
〔実施例2〜8、比較例1〜2〕
表1に示す配合処方に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着テープを作製した。
【0030】
〔実施例9〜16、比較例3〜4〕
「高スチレンSIS−3(スチレン含有量:48重量%)」を「高スチレンSIS−2(スチレン含有量:30重量%、日本ゼオン社製・クインタックSL−165)」に替え、各成分の配合割合を表2に示す配合処方に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着テープを作製した。
【0031】
〔実施例17〜23、比較例5〕
「低スチレンSIS(スチレン含有量:16重量%)」を80重量部から50重量部に、「高スチレンSIS−3(スチレン含有量:48重量%)」20重量部から50重量部に変更し、炭酸カルシウムの配合割合を表3に示す配合処方に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着テープを作製した。
【0032】
〔実施例24〜31、比較例6〕
「低スチレンSIS(スチレン含有量:16重量%)」を80重量部から50重量部に、「高スチレンSIS−3(スチレン含有量:48重量%)」を「高スチレンSIS−2(スチレン含有量:30重量%)」に替えて20重量部から50重量部に変更し、炭酸カルシウムの配合割合を表4に示す配合処方に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着テープを作製した。
【0033】
〔実施例32、33〕
「高スチレンSIS−3(スチレン含有量:48重量%)」を「高スチレンSIS−1(スチレン含有量:25重量%、日本ゼオン社製・クインタック3460)」に変更し、各成分の配合割合を表5に示す配合処方に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着テープを作製した。
【0034】
〔比較例7,1,3、8〕
エラストマーを「低スチレンSIS(スチレン含有量:16重量%)」100重量部に変更し、炭酸カルシウムの配合割合を表5に示す配合処方に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着テープを作製した。
【0035】
(試験)
上記実施例及び比較例の特性、性能を調べるために、以下に示す自着力試験、対SUS粘着力試験、プローブタック試験、自着保持特性の試験(23℃・1000g)、自着保持特性の試験(40℃・500g)を行った。
【0036】
〔自着力試験〕
23℃・50%RHの条件下、実施例及び比較例のテープ(幅10mm)を試験片とし、試験片の粘着面を内側として、貼り合わせ長さが100mm以上になるように重ね、幅50mmの2kgのローラーにより、300mm/minの速度で1往復圧着し、30分間放置した。その後、上記試験片をインストロン型引張り試験機に固定し、剥離速度300mm/minでT型剥離し、そのとき得られた剥離力(N/10mm)を測定した。
【0037】
〔対SUS粘着力試験〕
23℃・50%RHの条件下、実施例及び比較例のテープ(幅10mm)を試験片とし、JIS Z0237に準じて、鏡面仕上げのSUS304鋼板の表面に、試験片を貼付し、幅50mmの1kgのローラーで圧着した後、1分以内に試験板に対して180°の方向に300mm/minで試験片を剥離し、そのとき得られた剥離力(N/10mm)を測定した。
なお、対SUS粘着力において「<0.1」の表記は、測定器の検出限界値以下であったことを示す。
【0038】
〔プローブタック試験〕
23℃・50%RHの条件下、実施例及び比較例のテープ(幅10mm)を試験片とし、ASTM D2979に準じて、試験片をウエイトリングにたるみの無いようにはり付け、直径5mmの円柱プローブを試験片の粘着面に0.98±0.001N/cmの荷重を接触速さ10±0.1mm/秒で、1.0±0.01秒間接触させた後、接触速さと同じ速度でプローブを粘着面から垂直方向に引き剥がすのに要する力(N/5mmφ)を測定した。
なお、後記の実施例8及び比較例2において「−」と表示してあるのは、プローブを試験片に接触させた時に、試験片がウエイトリングから剥離したために測定できなかったことを示す。
【0039】
〔自着保持特性の試験(23℃・1000g)〕
幅10mm、長さ100mmの自着性粘着テープの両端部の長さ20mmの粘着剤の部分(2)を残して、中央部の60mmの粘着剤部分に長さ60mmの前記自着性粘着テープと同じ自着性粘着テープを貼付して非粘着化し、自着性粘着テープの試験片(1)とした。図1に示すように、この試験片(1)の両端部の長さ20mmの粘着剤の部分同士を合掌貼りにし、できたループ(3)に直径15mmの金属製の支持棒(5)を挿通して支持し、重さ1000g(1kg)の錘(5)を吊下げ、温度を23℃、相対湿度(RH)を50%とした状態に24時間保持した後に錘の落下状態を観察した。試験片のサンプル数は4個とした。
評価基準 ○ : 錘の落下が見られない。
△ : 落下しなかった錘が4個中2個以上である。
× : 全ての錘が落下した。
【0040】
〔自着保持特性の試験(40℃・500g)〕
上記自着保持特性の試験(23℃・1000g)と同様にした試験片に、重さ500gの錘を吊下げ、温度を40℃、相対湿度(RH)を75%とした状態に24時間保持した後の状態を観察した。試験片のサンプル数は4個とした。
自着保持特性の試験(40℃・500g)の試験条件は、上記した自着保持特性の試験(23℃・1000g)よりも厳しい条件となっている。
評価基準は、上記自着保持特性の試験(23℃・1000g)の場合と同様である。
【0041】
〔総合評価〕
上記各種の試験に基づいて総合評価を行った。
総合評価の評価基準は次のとおりである。
○(良) : 自着保持特性の試験(23℃・1000g)及び自着保持特性の試験(40℃・500g)においていずれも「○」の評価を得たもので、更に、粘着特性として対SUS粘着力が2.0N/10mm未満、プローブタックが2.0N/5mmφ未満、自着粘着が10.0N/10mm以上の条件を満たすもの。
△(可) : 自着保持特性の試験(23℃・1000g)及び自着保持特性の試験(40℃・500g)においていずれも「○」の評価を得たものであるが、粘着特性として対SUS粘着力が2.0N/10mm未満、プローブタックが2.0N/5mmφ未満、自着粘着が10.0N/10mm以上の条件を満たさないもの。
又は、自着保持特性の試験(23℃・1000g)において「○」の評価を得、自着保持特性の試験(40℃・500g)においては「△」の評価を得たものであって、粘着特性として対SUS粘着力が2.0N/10mm未満、プローブタックが2.0N/5mmφ未満、自着粘着が10.0N/10mm以上の条件を満たしているもの。
×(不可) : 自着保持特性の試験(40℃・500g)において「×」の評価となったもの。
【0042】
(結果)
上記各試験の結果及びこれらの試験の結果に基づく総合評価を表1〜表5に記載した。
【0043】
(考察)
表1に示されているように、実施例1〜8は、比較例1、2に比較して自着保持特性(23℃・1000g)と自着保持特性(40℃・500g)において好成績が得られており、特に実施例1〜7のものが一層好ましい。
表2に示す実施例9〜16は、比較例3、4に比較して自着保持特性(23℃・1000g)において好成績が得られている。自着保持特性(40℃・500g)において実施例9の成績が若干劣るが実施例10〜16は好成績が得られている。
【0044】
表3に示す実施例17〜23は、比較例5に比べて自着保持特性(40℃・500g)において好成績が得られている。更に、実施例19〜23は、粘着特性(対SUS粘着力が2.0N/10mm未満、プローブタックが2.0N/5mmφ未満、自着粘着が10.0N/10mm以上)においても優良な評価が得られている。
表4に示す実施例24〜31は、比較例6に比べて、自着保持特性(23℃・1000g)及び自着保持特性(40℃・500g)において好成績が得られている。中でも、実施例26〜31は、上記粘着特性においても好ましい結果が得られている。
【0045】
表5の実施例32、33は自着保持特性(40℃・500g)がやや劣っているものの、自着保持特性(23℃・1000g)で良好な結果が得られ、総合評価は「可」の評価が得られている。これに対して、比較例7、1、3、8は、自着保持特性(23℃・1000g)及び自着保持特性(40℃・500g)のいずれにおいても満足な結果が得られていない。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【符号の説明】
【0051】
1 試験片(自着性粘着テープ)
2 試験片の合掌張り部分
3 試験片のループ部分
4 支持棒
5 錘
図1