(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0017】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
[第1の実施の形態]
(LEDドライバ回路の構成例)
図1のブロック図および
図2の回路図を参照して、第1の実施の形態に係るLEDドライバ回路1の構成例について説明する。
【0019】
図1のブロック図に示すように、本実施の形態に係るLEDドライバ回路1は、直流電源10と、複数のLEDが直列に接続されたLEDアレイ14を着脱可能に保持する正負一対の端子15a・15bと、直流電源10を用いてLEDアレイ14を点灯させるLED駆動回路16と、LED駆動回路16に一定電圧を供給するように制御する電圧制御回路11と、LEDアレイ14を端子15a・15bから取り外した場合に、一対の端子15a・15b間の開放電圧を所定の電圧以下にする過電圧防止手段30とを備える。
【0020】
より具体的には、過電圧防止手段30は、一対の端子15a・15bの端子間の電圧を監視する監視手段と、LEDアレイ14に対する供給電圧の一部をオン・オフするスイッチング手段と、監視手段による検出電圧が予め設定される閾値を超えた場合に、スイッチング手段をオフさせる過電圧保護回路13とを備える。
【0021】
図2の回路図に示すように、監視手段は、電圧検出用の抵抗素子R1・R2で構成され、スイッチング手段は、監視手段(抵抗素子R1・R2)による検出電圧に基づいてオン・オフされるトランジスタQ2・Q4を備え、さらに、定電圧を確保する定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)ZD4を備える。
【0022】
また、
図2において、電圧検出用の抵抗素子は、抵抗値R
1・R
2の2つの抵抗素子R1・R2を直列接続して構成され、トランジスタQ4は、動作電圧V
BEが電圧V
1であるバイポーラトランジスタで構成され、定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)ZD4によって供給される定電圧が電圧V
Zである場合に、LEDアレイ14を端子15a・15bから取り外した際に、過電圧保護回路13によって低減される一対の端子間の開放電圧V
OPENは、(1)式で表される。すなわち、
V
OPEN=((R
1+R
2)/R
1)×(V
Z+V
10) (1)
また、
図1および
図2に示すように、過電圧防止手段30は、一対の端子15a・15bの端子間の電流を低減させる過電流保護回路12を備えていても良い。
【0023】
過電流保護回路12は、例えば、監視手段による検出電圧に基づいてオン・オフされるバイポーラトランジスタQ3と、バイポーラトランジスタQ3のエミッタ端子側に接続される電流調節用の抵抗素子R3とから構成されていても良い。
【0024】
また、電流調節用の抵抗素子R3の抵抗値がR
3であり、バイポーラトランジスタQ3の動作電圧V
BEが電圧V
10である場合に、過電流保護回路12によって低減された電流値V
shortは、(2)式で表される。すなわち、
V
short=V
10/R
3 (2)
なお、LEDアレイ14は、例えば、直管型のLEDランプとすることができる。直管型のLEDランプの具体例については後述する。
【0025】
(回路構成)
ここで、
図2の回路図を参照して、第1の実施の形態に係るLEDドライバ回路1の回路構成について説明する。
【0026】
LEDドライバ回路1における直流電源10は、例えば100Vの交流電源41と、交流電源41に接続され交流電流を整流するブリッジ形全波整流回路42とから構成される。
【0027】
ブリッジ形全波整流回路42の一端子は接地電位になされ、例えば64Vの直流が出力される出力端側にはノードN1を介して、例えば約330μFのコンデンサC20が接続される。
【0028】
また、ブリッジ形全波整流回路42の出力端側のノードN2を介してダイオードD7(D8)のカソード端子が接続される。なお、ダイオードD7(D8)は、後述するパターンレイアウト(
図12・
図13)において、2個のダイオードが設けられる場合に対応する。
【0029】
また、ノードN3とノードN4間には電流調節用の抵抗素子R3が接続される。またノードN3・ノードN4には、トランジスタQ3のエミッタ端子・ベース端子が接続されている。なお、電流調節用の抵抗素子R3の抵抗値は、例えば、約0.33Ωである。
【0030】
ノードN4に隣接するノードN5にはツェナーダイオードZD4のカソード端子が接続される。
【0031】
ツェナーダイオードZD4のアノード端子にはトランジスタQ4のエミッタ端子が接続される。
【0032】
ノードN5に隣接するノードN6には、例えば、約39kΩの抵抗素子R1と、例えば、約83.5kΩの抵抗素子R2が直列に接続される。
【0033】
この抵抗素子R1・R2によって、一対の端子15a・15b間の電圧が監視される。
【0034】
抵抗素子R1・R2間の接続ノードN7には、トランジスタQ4のベース端子が接続される。
【0035】
また、ノードN8を介して、トランジスタQ4のコレクタ端子と、トランジスタQ3のコレクタ端子とが接続される。
【0036】
ノードN9を介して、例えば、約200μHのインダクタンスL1(L2)が接続されている。なお、インダクタンスL1(L2)は、後述するパターンレイアウト(
図12・
図13)において、2個のインダクタンスが設けられる場合に対応する。
【0037】
また、インダクタンスL1(L2)の他端は、ノードN10を介してダイオードD7(D8)のアノード端子に接続される。
【0038】
前記ノードN6には、LEDアレイ14用の端子15aが接続され、ノードN9には端子15bが接続される。
【0039】
一対の端子15a・15bの端子間には、例えばLEDアレイ14を備えた直管型のLEDランプが着脱可能に装着される。
【0040】
また、ノードN10には、スイッチング用のトランジスタ(MOSFET)Q2のドレイン端子が接続される。
【0041】
トランジスタ(MOSFET)Q2のソース端子には、トランジスタ(MOSFET)Q5のゲート端子と抵抗素子R11が接続されている。なお、抵抗素子R11は、例えば、約1.8Ω、約1.8Ω、約1.6Ωの3個の抵抗素子を並列接続して構成される。
【0042】
トランジスタ(MOSFET)Q5のソース端子は接地電位になされ、ドレイン端子はノードN12を介してトランジスタ(MOSFET)Q2のゲート端子に接続される。
【0043】
また、ノードN12は、抵抗値、例えば、約51Ωの抵抗素子R10を介して電圧制御回路11に接続される。なお、電圧制御回路11は、例えば、ラッチ回路を備えた電源ICなどで構成される。
【0044】
また、ノードN8には、抵抗値、例えば、約10kΩの抵抗素子R31が接続され、ノードN13を介して抵抗値、例えば、約2kΩの抵抗素子R28に接続される。なお、抵抗素子R28の他端は接地電位になされる。
【0045】
過電圧保護回路13および過電流保護回路12は、
図2中に、破線および一点鎖線で表される。
【0046】
(過電圧保護回路の動作)
まず、LEDアレイ14が、端子15a・15bに接続されている状態において、トランジスタQ4がオンすると、インダクタンスL1(L2)およびLEDアレイ14を介して電流が流れる。これにより、LEDアレイ14には、電圧制御回路11で制御された所定電圧(例えば、35V)が供給され、LEDアレイ14が点灯される。
【0047】
一方、LEDアレイ14が、端子15a・15bから外されると、端子15a・15bの端子間の電圧を監視する抵抗素子R1・R2における分圧電圧の変化に伴って、トランジスタQ4がオフする。この結果、インダクタンスコイルL1(L2)に逆起電力が発生し、ダイオードD7(D8)・インダクタンスコイルL1(L2)・抵抗素子R1・R2・R3を通って電流が流れる。
【0048】
過電圧保護回路13の動作により、ツェナーダイオードZD4のツェナー電圧V
Zが決まると、抵抗素子R1・R2の抵抗値の比で出力電圧が決定される。このため、予め設定された出力電圧になると、トランジスタQ4がオンしてMOSFETQ5がオンする。これにより、MOSFETQ2のゲート電位が低下することになり、MOSFETQ2がオフになる。これにより、端子15a・15bの端子間に設定電圧以上の開放電圧V
Oが出ないようにされる。
【0049】
ここで、
図3および
図4のグラフを参照して、過電圧保護回路13による効果について説明する。
【0050】
図3は、過電圧保護回路13を設けない場合の開放電圧V
Oを示すグラフ、
図4(a)および
図4(b)は、過電圧保護回路13を設けた場合の開放電圧V
Oおよびゲート電圧を示すグラフである。
【0051】
図3を見ると分かるように、過電圧保護回路13を設けない場合には、LEDアレイ14が外された出力オープン時(時刻t
O)から開放電圧V
Oが上昇し、最大電圧V1に達する。
【0052】
この場合には、直管型のLEDランプの効果作業中に感電したり、回路を構成する素子の耐圧をオーバーして破壊される虞ある。
【0053】
一方、過電圧保護回路13を設けた場合には、
図4(b)に示すように、LEDアレイ14が外された出力オープン時からMOSFETQ2のゲート電圧は、ハイ状態→ロー状態を繰り返し、MOSFETQ2がオン・オフを繰り返す状態となる。より具体的には、出力オープン時(時刻t
O)から所定時間が経過するまでは、例えば、約100kHz程度の細かいスイッチングが連なった状態となり、その後、例えば、約10Hz〜約1000Hz程度のパルス波となる。
【0054】
これにより、
図4(a)に示すように、開放電圧V
Oはノコギリ波状となり、所定の開放電圧V
OPENに留まり、
図3に示すような高電圧となることが防止される。
【0055】
ここで、開放電圧V
OPENは、上述のように(1)式で表され、数値例として、R
1=39kΩ、R
2=83.5Ω、V
Z=10V、V
10=0.7Vを代入すると、開放電圧V
OPENは、約33.6Vとなる。
【0056】
(過電流保護回路の動作)
過電流保護回路12が有する抵抗素子R3に電流が流れると電圧差が生じ、トランジスタQ3のベース−エミッタ間の電圧V
BEが例えば、約0.7Vになると、トランジスタQ3がオンする。これにより、過電圧保護回路13の場合と同様に、MOSFETQ2がオフになり、端子15a・15bの端子間に設定電圧以上の開放電圧V
Oが出ないようにされる。
【0057】
ここで、
図5および
図6のグラフを参照して、過電流保護回路12による効果について説明する。
【0058】
図5は、過電流保護回路12を設けない場合の短絡電流I
LEDを示すグラフ、
図6は、過電流保護回路12を設けた場合の短絡電流I
LEDを示すグラフである。t
sは、ショートが発生する時刻を示す。
【0059】
図5を見ると分かるように、過電流保護回路12を設けない場合には、回路中でショート(時刻t
s)が発生した場合に短絡電流I
LEDが急上昇し、感電や素子が破壊される等の虞がある。
【0060】
一方、過電流保護回路12を設けた場合には、
図6に示すように、回路中でショート(時刻t
s)が発生した場合であっても短絡電流I
LEDはノコギリ波状となり、所定の短絡電流I
shortに留まり、
図5のような急激な電流増加となる事態が防止される。
【0061】
ここで、短絡電流I
shortは、上述のように、(2)式で表され、数値例として、V
10=0.7V、R
3=0.33Ωを代入すると、短絡電流I
shortは、約2.12Aとなる。
【0062】
第1の実施の形態によれば、LEDランプの交換作業等における感電事故や回路素子の破壊を未然に防止することのできるLEDドライバ回路および照明装置が提供することができる。
【0063】
[第2の実施の形態]
(LEDドライバ回路の構成例)
図7のブロック図および
図8の回路図を参照して、第2の実施の形態に係るLEDドライバ回路2の構成例について説明する。
【0064】
図7のブロック図に示すように、第2の実施の形態に係るLEDドライバ回路2は、直流電源10と、複数のLEDが直列に接続されたLEDアレイ14を着脱可能に保持する正負一対の端子15a・15bと、直流電源10を用いてLEDアレイ14を点灯させるLED駆動回路16と、LED駆動回路16への電流を制御する電流制御回路23と、LEDアレイ14に対する出力負荷が低下した際に、電流制御回路23に供給される電力を確保するブリーダ回路22と、LED駆動回路16、電流制御回路23およびブリーダ回路22への電圧を制御する電圧制御回路21とを備える。
【0065】
ブリーダ回路22は、一対の端子15a・15b間に供給される電圧を監視する抵抗素子R46と、抵抗素子R46の監視結果に応じて、電流制御回路23に供給する電力を調整するスイッチング手段としてのトランジスタQ6と、オペアンプ130と、コンデンサC7とを備える。
【0066】
また、第2の実施の形態に係るLEDドライバ回路2は、
図8に示すように、直流電源10に一次側50aが接続されるトランス50を備え、電圧制御回路21は、トランス50の一次側50aの出力をオン・オフ制御する。
【0067】
電圧制御回路21は、フォトカプラ150を介して定電圧回路40に接続され、定電圧回路40は、トランス50の2次側の第1巻線50bおよび第2巻線50bに接続される。
【0068】
さらに、ブリーダ回路22は、トランス50の2次側の第1巻線50aおよび第2巻線50bに接続されている。
【0069】
なお、LEDアレイ14に対する出力負荷の低下は、LEDアレイ14の調光に基づく出力負荷の低下を含む。また、LEDアレイ14に対する出力負荷の低下は、LEDアレイ14を端子15a・15bから取り外した場合を含むようにしても良い。
【0070】
また、LEDアレイ14は、例えば、直管型のLEDランプとすることができる。直管型のLEDランプの具体例については後述する。
【0071】
(回路構成)
ここで、
図8の回路図を参照して、第2の実施の形態に係るLEDドライバ回路2の回路構成について説明する。
【0072】
LEDドライバ回路2における直流電源10は、例えば100Vの交流電源41と、この交流電源41に接続され交流電流を整流するブリッジ形全波整流回路42とを備える。
【0073】
ブリッジ形全波整流回路42の一端子は接地電位になされる。例えば、約64Vの直流が出力される出力端側にはノードN1を介して例えば、約330μFのコンデンサC20が接続されている。
【0074】
また、ノードN1を介してトランス50の1次側50aの正極が接続される。
【0075】
なお、トランス50は、例えば、1次側50aが52ターン、2次側の第1巻線50bが15ターン、第2巻線50bが4ターンとされ、2次側の第1巻線50aおよび第2巻線50bの端子には、巻線数に応じた電圧V1・V2が誘起される。
【0076】
トランス50の1次側50aの他端(負極)にはMOSFETQ1のドレイン端子が接続される。
【0077】
また、MOSFETQ1のソース端子は接地電位になされ、ゲート端子は電圧制御回路21に接続される。
【0078】
電圧制御回路21の他端は、フォトカプラ150を介して定電圧回路40と結合される。
【0079】
トランス50の2次側の第1巻線50bの負極にはダイオードD10が接続され、ノードN20を介してコンデンサC10に接続される。コンデンサC10の他端は、ノードN21を介してトランス50の2次側の第1巻線50bの正極に接続される。
【0080】
トランス50の2次側の第1巻線50cの負極にはダイオードD11が接続され、ノードN23を介してコンデンサC11に接続される。コンデンサC11の他端は、ノードN24を介してトランス50の2次側の第2巻線50cの正極に接続される。
【0081】
また、トランス50の2次側の第1巻線50bの負極側は、ノードN22を介して定電圧回路40に接続され、トランス50の2次側の第2巻線50cの負極側は電流制御回路23に接続される。
【0082】
また、トランス50の2次側の第1巻線50bの負極側は、ノードN22・N29を介して、ブリーダ回路22の抵抗素子R52に接続される。抵抗素子R52は、抵抗値、例えば、約3kΩを有する。
【0083】
一方、トランス50の2次側の第2巻線50cの正極側は、ノードN26を介してブリーダ回路22の抵抗素子R46に接続される。抵抗素子R46は、抵抗値、例えば、約0.5Ωを有する。抵抗素子R46は他端がアースされ、入力電圧V
bの検出抵抗として機能する。
【0084】
また、ブリーダ回路22において、ノードN28と接地電位間にてコンデンサC7が接続される。ノードN28は、コンパレータとしてのオペアンプ130の正極側の入力端子に接続される。
【0085】
オペアンプ130の負極側の入力端子には、参照電圧V
refとして、例えば、約−100mVが供給されている。
【0086】
オペアンプ130の出力端子は、抵抗値、例えば、約2.4kΩの抵抗素子R43を介してトランジスタQ6のベース端子に接続される。
【0087】
トランジスタQ6のエミッタ端子は接地電位になされ、コレクタ端子は抵抗素子R52に接続される。
【0088】
また、ノードN29・ノードN2には、ダイオードD7(D8)のカソード端子が接続される。なお、ダイオードD7(D8)は、後述するパターンレイアウト(
図12・
図13)において、2個のダイオードが設けられる場合に対応する。
【0089】
ノードN3・ノードN4間には、電流調節用の抵抗素子R3が接続される。また、ノードN3・ノードN4間には、トランジスタQ3のエミッタ端子・ゲート端子が接続される。なお、電流調節用の抵抗素子R3の抵抗値は、例えば、約0.33Ωである。
【0090】
ノードN5にはツェナーダイオードZD4のカソード端子が接続される。
【0091】
ツェナーダイオードZD4のアノード端子にはトランジスタQ4のエミッタ端子が接続される。
【0092】
ノードN6には、例えば、約39kΩの抵抗素子R1と、例えば、約83.5kΩの抵抗素子R2が直列に接続される。
【0093】
抵抗素子R1・R2によって、後述する一対の端子15a・15bの端子間の電圧が監視される。
【0094】
抵抗素子R1・R2間の接続ノードN7には、トランジスタQ4のベース端子が接続される。
【0095】
また、ノードN8を介して、トランジスタQ4のコレクタ端子と、トランジスタQ3のコレクタ端子とが接続される。
【0096】
ノードN9・ノードN10間には、例えば、約200μHのインダクタンスL1(L2)が接続される。なお、インダクタンスL1(L2)は、後述するパターンレイアウト(
図12・
図13)において、2個のインダクタンスが設けられる場合に対応する。
【0097】
また、インダクタンスL1(L2)の他端は、ノードN10を介してダイオードD7(D8)のアノード端子に接続される。
【0098】
ノードN6には、LEDアレイ14用の端子15aが接続され、ノードN9には端子15bが接続される。
【0099】
一対の端子15a・15bの端子間には、例えば、LEDアレイ14を備えた直管型のLEDランプが着脱可能に装着される。
【0100】
また、ノードN10には、スイッチング用のトランジスタ(MOSFET)Q2のドレイン端子が接続される。
【0101】
トランジスタ(MOSFET)Q2のソース端子と接地電位間には抵抗R11が接続される。なお、抵抗素子R11は、例えば、約1.8Ω、約1.8Ω、約1.6Ωの3個の抵抗素子を並列接続して構成される。
【0102】
トランジスタ(MOSFET)Q2のゲート端子と接地電位間には、トランジスタ(MOSFET)Q5が接続される。すなわち、トランジスタ(MOSFET)Q5のソース端子は接地電位になされ、ドレイン端子はノードN12を介してトランジスタ(MOSFET)Q2のゲート端子に接続される。
【0103】
また、ノードN12は、抵抗値、例えば、約51Ωの抵抗素子R10を介して、電流制御回路23に接続される。なお、電流制御回路23は、例えば、ラッチ回路を備えた電源ICなどで構成される。
【0104】
また、ノードN8には、抵抗値、例えば、約10kΩの抵抗素子R31が接続され、ノードN13を介して抵抗値、例えば、約2kΩの抵抗素子R28に接続される。なお、抵抗素子R28の他端は接地電位になされる。
【0105】
(ブリーダ回路の動作)
第2の実施の形態に係るLEDドライバ回路2において、トランス50の2次側の第1巻線50bに誘起される電圧によって、LEDアレイ14が発光される。
【0106】
また、図示しない外部からの信号によりLEDアレイ14の調光等を行なっている。
【0107】
トランス50の2次側の負荷が小さくなった状態になると、電圧制御回路21に間欠動作が発生する。間欠動作が発生した状態において、トランス50の2次側の第2巻線50cに誘起される電圧によって、電流制御回路23の電源を確保している。
【0108】
ここで、第2巻線50cでは、1次側50aが間欠動作することによって、電圧が上がったり下がったりする現象が発生する。
【0109】
第2巻線50cの電圧が下がった場合には、2次側の電流制御回路23の電源電圧が不足し、2次側の回路が停止するため、LEDアレイ14が点滅し、チラツキが発生してしまう。
【0110】
そこで、第2の実施の形態に係るLEDドライバ回路2においては、ブリーダ回路22を追加している。
【0111】
ブリーダ回路22により、擬似的に負荷を与えて間欠動作を解消することができる。これにより、調光で出力負荷が低下した場合にもLEDアレイ14が点滅することがなく、チラツキが生じない。
【0112】
ブリーダ回路22は、抵抗素子R46で2次側の負荷(電流)を検出し、オペアンプ(コンパレータ)130でリファレンス電圧(負の電圧)V
refと比較する。
【0113】
そして、2次側の電流が少なくなった場合にのみ、トランジスタQ6がオンされ、ブリーダ回路22に電流が流れる。
【0114】
これにより、1次側50aの間欠動作が解消されるので、トランス50の2次側の第2巻線50cの電圧降下を防ぐことができ、電流制御回路23の電源電圧が低下しないようにできる。
【0115】
なお、上述の間欠動作とは、スイッチングが断続的に停止する現象をいう。
【0116】
このような間欠動作は、負荷(電流)が少ないときは連続的にスイッチングしなくても足りるため、省エネのためには有効である。しかしながら、2次側の電流制御回路23の電源には常に同じ電流を流しているので、間欠動作が発生すると、オンされているときは2次側に電圧が供給されているが、スイッチングが一定期間停止したときには2次側の電圧が落ちてしまう。
【0117】
第2の実施の形態に係るLEDドライバ回路2においては、上述のような不具合が解消される。
【0118】
ここで、
図9〜11のグラフを参照して、ブリーダ回路22による効果について説明する。
【0119】
図9は、ブリーダ回路22を設けない場合における調光時の波形を示し、
図9(a)はトランジスタQ1のゲート波形、
図9(b)は電流制御回路23に供給される電圧VCCの波形、
図9(c)はLEDアレイ14の電流I
LEDの波形を示すグラフである。
【0120】
図9(a)において、パルス波P1〜P3は、例えば、約50kHz〜約500kHz程度の細かいスイッチングが連なった状態となっている。また、P1〜P3の周期は、例えば、約10Hz〜約1000Hz程度となっている。
【0121】
また、
図9(b)において、T1の区間は、例えば、約10Hz程度となっており、
図9(a)のパルス波P1〜P3の方がオン時間が極めて短い状態となっている。
【0122】
図9を見ると分かるように、ブリーダ回路を設けない場合には、トランジスタQ1のゲート入力が無い状態が発生するとトランジスタQ1がオフされ、この間において電流制御回路23に供給される電圧VCC(即ち、トランス50の2次側の第2巻線50cの出力波形V
2)が低下する(
図9(a)および
図9(b)参照)。
【0123】
この結果、LEDアレイ14に供給される電流I
LEDもハイ状態とロー状態を繰り返す状態となり(
図9(c)参照)、LEDアレイ14の発光のチラツキとなって現れる。
【0124】
一方、
図10は、ブリーダ回路22を設けた場合における調光時の波形を示し、
図10(a)はトランジスタQ1のゲート波形、
図10(b)は電流制御回路23に供給される電圧VCCの波形、
図10(c)はLEDアレイ14の電流I
LEDの波形を示すグラフである。
【0125】
図10を見ると分かるように、ブリーダ回路22を設けた場合には、トランジスタQ1のゲート入力が無い状態は発生せず、電流制御回路23に供給される電圧VCC(即ち、トランス50の2次側の第2巻線50cの出力波形V
2)が低下する状態も発生しない(
図10(a)および
図10(b)参照)。
【0126】
この結果、LEDアレイ14に供給される電流I
LEDも安定して供給され(
図10(c)参照)、LEDアレイ14の発光のチラツキの発生が防止される。
【0127】
また、
図11(a)はブリーダ回路22を設けない場合における全灯時の参照電圧V
refと入力電圧V
bの波形、
図11(b)はブリーダ回路22を設けた場合における全灯時の参照電圧V
refと入力電圧V
bの波形を示すグラフである。
【0128】
図11(a)に示すように、ブリーダ回路を設けない場合には、オペアンプ130に入力される全灯時の参照電圧V
refは、脈流となり、抵抗素子R46に現れる入力電圧V
bを下回り、LEDアレイ14の発光のチラツキの原因となる。
【0129】
これに対して、
図11(b)に示すように、ブリーダ回路22を設けた場合には、抵抗素子R46に現れる電圧Vbが三角波となり、オペアンプ130に入力される全灯時の参照電圧V
refは安定するので、LEDアレイ14の発光のチラツキの発生が防止される。
【0130】
(LEDドライバ回路のレイアウトパターン)
図12および
図13を参照して、第2の実施の形態に係るLEDドライバ回路2のレイアウトパターンの例について説明する。
【0131】
図12はLEDドライバ回路2のレイアウトパターン例の表面側を示す平面図、
図13はその裏面側を示す平面図である。
【0132】
図12および
図13において、領域Aは1次側を、領域Bは2次側を示す。
【0133】
領域Aと領域Bの境界上には、
図12に示すように、表面側にトランス回路部103が配設されている。また、裏面側には、フォトカプラ150が配設され、このフォトカプラ150を介して接続することにより1次側の領域Aと2次側の領域Bとが電気的に絶縁されている。
【0134】
1次側の領域Aの表面側には、
図12に示すように、例えば、電圧制御回路21等を構成する制御回路IC201、制御回路IC201のスイッチングを行うMOSFETQ1、
図8におけるトランス50を構成するフィルタトランスFL1、ヒューズF1、交流電源に接続される入力端子100、GND端子101等が配設される。
【0135】
また、1次側の領域Aの裏面側には、
図13に示すように、例えば、ブリッジ形全波整流回路42を構成するダイオードブリッジDBなどが配設される。
【0136】
一方、2次側の領域Bの表面側には、
図12に示すように、例えば、電流制御回路23を構成する制御回路IC200、インダクタンスとしてのコイルL1・L2、抵抗素子R52、57、59〜66及びスイッチング用のトランジスタQ6等を備えるブリーダ回路22、出力端子104、LEDアレイ14の調光を行う調光端子105などが配置される。
【0137】
また、2次側の領域Bの裏面側には、
図13に示すように、例えば、過電流保護回路12、過電圧保護回路13およびブリーダ回路22の抵抗素子R43などが配置される。
【0138】
(直管型のLEDランプ)
図14および
図15を参照して、第1の実施の形態および第2の実施の形態に係るLEDドライバ回路1、2を適用可能なLEDアレイ14を用いた直管型のLEDランプ500の構成例について説明する。
【0139】
図14は直管型のLEDランプの模式的断面図、
図15はその一部透視斜視図である。
【0140】
本構成例に係るLEDランプ500は、LEDアレイ14と、電源モジュール520と、放熱板530と、直管状のケース540とを有する。
【0141】
放熱板530は、LEDアレイ14から発生する熱の放熱を行う金属部材である。
【0142】
LEDアレイ14と電源モジュール520は、放熱板530の異なる面に各々設置されている。
【0143】
LEDアレイ14と電源モジュール520との間は、放熱板530の端部において図示しないケーブルにより電気的に接続されている。
【0144】
なお、放熱板530には、LEDアレイ14及び電源モジュール520をケース540内に固定する支持部としての機能を併せ持たせてもよい。
【0145】
ケース540は、LEDアレイ14、電源モジュール520及び放熱板530を収納し、LEDアレイ14からの出射光を拡散しつつ透過する直管蛍光灯型(円筒状)の中空部材である。
【0146】
ケース540の色味としては、柔らかくより広がりのある光が得られる乳白色ケースや、より照度の高い光が得られる半透明ケースを用いることができる。なお、LEDランプ1の屋外使用を想定して、ケース540を防水型とすることも可能である。
【0147】
図14で示すように、放熱板530からケース540の下端部までの高さH1が大きければ大きいほど、LEDアレイ14からの光がケース540によって散乱されるので、広い配光性を備えたLEDランプ500とすることができる。
【0148】
また、直管蛍光灯型のLEDランプ500は、
図15に示すように、直管蛍光灯と同形状の端子533を備えている。従って、このような構成の直管蛍光灯型のLEDランプ500は、直管蛍光灯管に代えて既存の照明装置に取り付けることができる。
【0149】
そして、照明装置に第1の実施の形態および第2の実施の形態に係るLEDドライバ回路1、2を搭載することにより、直管蛍光灯型のLEDランプ500の交換作業等における感電事故や回路素子の破壊を未然に防止することのできる照明装置を提供することができる。
【0150】
また、第2の実施の形態で示したようにブリーダ回路22を設けたLEDドライバ回路2を搭載する場合には、直管蛍光灯型のLEDランプ500の調光時におけるチラツキを防止することができる。
【0151】
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。