特許第6013839号(P6013839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013839
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】グリル扉の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/02 20060101AFI20161011BHJP
   F24C 15/06 20060101ALI20161011BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   F24C15/02 F
   F24C15/06 B
   A47J37/06 361
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-193111(P2012-193111)
(22)【出願日】2012年9月3日
(65)【公開番号】特開2014-48007(P2014-48007A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】林 秀明
(72)【発明者】
【氏名】作田 寛和
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−084123(JP,A)
【文献】 特開2009−257597(JP,A)
【文献】 特開平08−215065(JP,A)
【文献】 特開平05−113225(JP,A)
【文献】 特開平06−272870(JP,A)
【文献】 特開2011−075110(JP,A)
【文献】 特開2006−192836(JP,A)
【文献】 特開2006−3017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/02
A47J 37/06
F24C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの内部にグリル部が設けられ、
このグリル部は、前方に開口したグリル庫と、このグリル庫の上面と前記ケーシングとの間に設けられ前方に開口する断熱用間隙とを備えており、
このグリル部に開閉自在に設けられるグリル扉を製造する製造方法であって、
前記グリル扉は、
前記グリル庫の前方開口を開閉自在に閉塞する扉本体と、
前記グリル庫の前方開口を閉じた状態において前記扉本体の上端から後方に向かって突出し前記断熱用間隙内に挿通される金属製の庇部と、
前記庇部の上面に隙間を介した状態で当該庇部に覆設された樹脂断熱部と、
前記扉本体の前面上縁に設けられると共に前記樹脂断熱部に一体成形された化粧部と
を備え、
前記化粧部が一体成形される前の前記樹脂断熱部は、前記化粧部との接続部分に表面から凹没した保持凹所が設けられており、
出成形のための金型内に予め成形された前記樹脂断熱部をインサートし、この金型と前記樹脂断熱部とで形成されるキャビティ内に、前記樹脂断熱部よりも耐熱温度が低い溶融した状態の樹脂を充填し、この溶融樹脂を前記保持凹所内に入り込ませた状態で硬化させて前記化粧部を前記樹脂断熱部に一体成形する
ことを特徴とするグリル扉の製造方法
【請求項2】
前記樹脂断熱部の上面には左右方向に沿って凹溝部が設けられ、
前記化粧部は、
前記扉本体の前面の上端縁に沿って設けられた化粧部本体と、
この化粧部本体から後方に向かって突出し前記樹脂断熱部の一部または略全部を覆う覆い片と、
この覆い片の後端に設けられ前記凹溝部に入り込む係合片と
を備えている
ことを特徴とする請求項1記載のグリル扉の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル部の前方開口を開閉するグリル扉の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のグリル扉が開示されている。特許文献1記載の調理器は、被加熱物を内部に収容して加熱するためのグリル庫と、このグリル庫の前方開口を開閉するグリル扉とを備えている。このグリル扉の上端部には、後方に向かって突出するシール部が設けられている。また、グリル扉の上端部において、シール部よりも上方の箇所には、断熱材が取り付けられている。
【0003】
この断熱材は、グリル扉の上端面を上方から覆うよう、グリル扉の上端に嵌め込むようにして固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−93242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1記載の調理器は、グリル扉の上端に断熱材が取り付けられているため、ユーザーがグリル扉の上端部に触れたときの熱さを緩和することができる。
【0006】
しかし、このグリル扉の上端部には、断熱材に覆われていないシール部が設けられている。このシール部は、グリル庫からの排気の漏れを防ぐものであるため、使用中には高熱になってしまう。ところが、このシール部は、後方に突出している上に、断熱材にも覆われていないため、ユーザーはこの調理器を使用する際、シール部に誤って触れてしまうことも考えられる。
【0007】
この点について、特許文献1記載の断熱材を、グリル扉の上端だけでなく、シール部までも共に覆うようにすることが考えられる。この場合、シール部の温度は高温になるため、耐熱温度が高い断熱材を使用する必要があるが、耐熱温度の高い樹脂は、黒色や灰色といった限定的な色にしかできないという問題がある。すなわち、断熱材は、グリル扉の上端を覆うように取り付ける必要があって、断熱材の一部が外部に露出してしまうため、断熱材が黒色や灰色といった限定的な色にしかできないと、意匠性が低下してしまう。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユーザーが扉本体の上端部に触れた場合であっても、ユーザーが感じる熱さを十分に低減できる上に、意匠性の低下を防ぐことができるグリル扉の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のグリル扉の製造方法は、ケーシングの内部にグリル部が設けられ、このグリル部は、前方に開口したグリル庫と、このグリル庫の上面と前記ケーシングとの間に設けられ前方に開口する断熱用間隙とを備えており、このグリル部に開閉自在に設けられるグリル扉を製造する製造方法であって、前記グリル扉は、前記グリル庫の前方開口を開閉自在に閉塞する扉本体と、前記グリル庫の前方開口を閉じた状態において前記扉本体の上端から後方に向かって突出し前記断熱用間隙内に挿通される金属製の庇部と、前記庇部の上面に隙間を介した状態で当該庇部に覆設された樹脂断熱部と、前記扉本体の前面上縁に設けられると共に前記樹脂断熱部に一体成形された化粧部とを備え、前記化粧部が一体成形される前の前記樹脂断熱部は、前記化粧部との接続部分に表面から凹没した保持凹所が設けられており、出成形のための金型内に予め成形された前記樹脂断熱部をインサートし、この金型と前記樹脂断熱部とで形成されるキャビティ内に、前記樹脂断熱部よりも耐熱温度が低い溶融した状態の樹脂を充填し、この溶融樹脂を前記保持凹所内に入り込ませた状態で硬化させて前記化粧部を前記樹脂断熱部に一体成形することを特徴とする。
【0010】
またこのグリル扉の製造方法において、前記樹脂断熱部の上面には左右方向に沿って凹溝部が設けられ、前記化粧部は、前記扉本体の前面の上端縁に沿って設けられた化粧部本体と、この化粧部本体から後方に向かって突出し前記樹脂断熱部の一部または略全部を覆う覆い片と、この覆い片の後端に設けられ前記凹溝部に入り込む係合片とを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のグリル扉の製造方法によれば、ユーザーが扉本体の上端部に触れた場合であっても、ユーザーが感じる熱さを十分に低減できる上に、意匠性の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の加熱調理器を示す斜視図である。
図2】本実施形態の加熱調理器を示す斜視図である。
図3】本実施形態の加熱調理器のグリル扉の上端部周辺の要部断面図である。
図4】本実施形態のグリル扉の斜視図である。
図5】本実施形態のグリル扉の断面図である。
図6】本実施形態の断熱部の斜視図である。
図7】本実施形態の化粧部が成形されていない状態の樹脂断熱部である。
図8】本実施形態の化粧部が成形されていない状態の樹脂断熱部であり(a)は正面図であり(b)は平面図であり(c)は側面図であり(d)は断面図である。
図9】本実施形態の化粧部を形成するための金型を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0014】
本実施形態のグリル扉1は、図1に示されるように、グリル付きの加熱調理器に用いられる。グリル扉1は、加熱調理器のグリル部7に開閉自在に取り付けられる。
【0015】
加熱調理器としては、例えば、こんろバーナ56を備えたガスこんろや、電熱線等を用いた加熱部を有する電気こんろや、電磁調理器(IH(Induction Heating)調理器)であってもよく、また、ビルトイン型のこんろや、テーブルこんろや、こんろ部を備えない単独のグリル調理器であってもよく、特に限定されない。なお、本実施形態の加熱調理器は、複数のこんろバーナ56を備えたビルトイン型のガスこんろである。
【0016】
加熱調理器は、機器本体5と、天板6とを備えている。機器本体5は、当該機器本体5の外郭を形成するケーシング50と、ケーシング50内に配置された複数のこんろバーナ56と、ケーシング50内に配置されたグリル部7とを有している。
【0017】
ケーシング50は、前面・後面・両側面・底面を有する有底箱形状に形成されている。また、ケーシング50は、前面の上端から後方に向かって延出した天面前部51と、天面前部51の後方側の先端から上方に向かって延出した縦面部52と、上方開口部53とを備えている。上方開口部53は、縦面部52の上端と、両側面部の上端と、後面の上端とにより構成されており、平面視矩形枠状に形成されている。ケーシング50の前面には、図2に示されるように、グリル扉1が取り付けられるグリル部用開口54と、グリル部用開口54の左右両側に設けられた操作部55とが設けられている。操作部55は、ユーザーがこんろバーナ56やグリル部7を操作するために用いられる。
【0018】
天板6は、ケーシング50の上方開口部53を塞ぐようにして取り付けられる。天板6は、排気口部61と、バーナ設置部62とを備えている。排気口部61は、天板6の後部に配置されている。排気口部61は、平面視矩形状の開口により構成されており、天板6を上下方向に貫通している。排気口部61には、網状の排気カバー63が取り付けられている。排気口部61は、グリル部7に連通しており、グリル部7からの排気を加熱調理器の外部に排出する。バーナ設置部62は、複数の貫通孔(本実施形態では3つ)を有している。バーナ設置部62には、ケーシング50の内部に収容配置されたこんろバーナ56が取り付けられる。天板6は、例えば、ガラスや、ステンレス板により構成されるが、特に限定されない。
【0019】
加熱調理器がキャビネットに設置されると、機器本体5は前面が露出した状態でキャビネット内に埋設され、天板6はキャビネットの上面に載設される。
【0020】
機器本体5の内部には、グリル部7が設けられている。グリル部7は、被加熱物を内部に収容して、被加熱物を上下両側から加熱する。グリル部7は、図3に示されるように、グリル庫71と、グリル庫71の上方に設けられた断熱用間隙74とを備えている。
【0021】
グリル庫71は、筐体72と、熱源となるグリルバーナ(図示せず)とを備えている。筐体72は、前方に向かって開口した前方開口を有している。この前方開口は、ケーシング50の前面のグリル部用開口54に接続されている。この筐体72の前方開口の周縁部には、扉当接部73が設けられている。扉当接部73には、閉じた状態のグリル扉1の背面が当接または近接対向するようになっている。
【0022】
グリル庫71の下部後方には、グリル受皿(図示せず)が設けられている。グリル受皿には、被加熱物を載置するための焼き網(図示せず)が設置される。これにより、被加熱物をグリルバーナにて加熱できるようになっている。また、グリル庫71の後部には、排気通路(図示せず)が接続されている。排気通路は、グリル庫71の後部から上方に向かって延出し、天板6の排気口部61に接続されている。言い換えると、排気通路は、一端がグリル庫71に連通接続され、他端が排気口部61に連通接続されている。排気通路は、グリルバーナの燃焼排ガスを排気口部61に導き、これにより、グリル庫71内の燃焼排ガスをグリル庫71外に排気させる。
【0023】
グリルバーナは、上バーナ(図示せず)と、下バーナ(図示せず)とを備えている。上バーナは、グリル庫71の上部に配置されており、グリル庫71内に収容された被加熱物の上面を加熱する。下バーナは、グリル庫71の下部に、左右一対設けられている。下バーナは、グリル庫71内に収容された被加熱物の下面を加熱する。
【0024】
なお、グリルバーナは、上下方向のうちのいずれか一方のバーナにより構成されたものであってもよく、特に限定されない。また、グリル庫71の熱源として、グリルバーナに替えて、通電により発熱し輻射熱を放射するヒータが用いられてもよい。
【0025】
断熱用間隙74は、グリル庫71の熱がケーシング50に向かって熱伝導するのを抑制する。断熱用間隙74は、図3に示されるように、グリル庫71の筐体72の上面と、ケーシング50の天面前部51との間の空隙により構成されている。言い換えると、断熱用間隙74は、グリル庫71の上面とケーシング50との間に設けられている。また、断熱用間隙74は、正面視において、グリル部用開口54の左右方向の略全長に亙って形成されている。断熱用間隙74は、前方に開口している。また、断熱用間隙74は、ケーシング50の内部に連通しており、また、天板6の下方を介して排気口部61に連通している。
【0026】
グリル扉1は、グリル部用開口54にレールを介して引き出し自在に取り付けられる。つまり、グリル扉1は、グリル部7に開閉自在に設けられている。
【0027】
グリル扉1は、図5に示されるように、扉本体2と、扉本体2の上端に取り付けられた庇金具3と、扉本体2の上端部を覆う断熱部4とを備えている。グリル扉1は、図3に示されるように、グリル庫71の前方開口を閉じた状態では、庇金具3の一部が断熱用間隙74に挿通されるようになっている。
【0028】
扉本体2は、グリル庫71の前方開口を開閉自在に閉塞する。扉本体2は、図4に示されるように、上下方向に幅(高さ)を有し、左右方向に長さを有し、これにより正面視矩形状をしている。扉本体2は、窓部21(図1,2,5参照)と、把持部22とを備えている。窓部21は、扉本体2の上下方向の中央部よりも上方に形成されている。窓部21には、ガラス等の透光性を有する透明部材が嵌め込まれている。把持部22は、扉本体2の前面に、左右方向の略全長に亙って設けられている。扉本体2の上端面には、庇金具3が載設される。
【0029】
庇金具3は、図3,5に示されるように、扉本体2の上端面に固着具9を介して固定されている。庇金具3は、扉本体2の後面よりも後方に向かって突出している。庇金具3は、金属により構成されている。庇金具3は、扉本体2の上端に固定される固定部31と、固定部31の後方側の先端から後方に向かって延出した庇部32とを備えている。固定部31は、前方側の先端が下方に屈曲しており、断面略横倒しL字状をしている。固定部31は、前方側の先端が扉本体2の前面に当接した状態で、扉本体2の上端面に固定される。庇部32は、後方側の先端が上方に向かって屈曲しており、断面略横倒しL字状をしている。固定部31と庇部32とは、プレス加工等により一体成形されている。
【0030】
断熱部4は、庇金具3の上面および扉本体2の上端部を覆う。言い換えると、断熱部4は、庇部32および扉本体2の上端部を覆う。断熱部4は、樹脂断熱部41と、化粧部47とを備えている。断熱部4は、樹脂断熱部41と化粧部47とが一体成形されているが、製造に当たっては、予め樹脂断熱部41の樹脂成形を行った上で、化粧部47を成形するための金型8内にこの樹脂断熱部41をインサートして成形するものである。
【0031】
樹脂断熱部41は、高耐熱性樹脂により構成されている。また、樹脂断熱部41は、硬質樹脂により構成されており、例えば、PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)により構成されている。この樹脂断熱部41は、例えば、射出成形や注型成形等により一体成形される。
【0032】
図7,8には、化粧部47が成形される前の樹脂断熱部41が記載されている。化粧部47が成形される前の樹脂断熱部41は、前後方向に幅を有すると共に左右方向に長さを有しており、平面視矩形状(帯状)をしている。この樹脂断熱部41は、前端部に設けられた保持凹所42と、前端部の上面に設けられた覆い片収容凹部43と、左右方向の両端に設けられた側方覆い部44とを備えている。
【0033】
保持凹所42は、樹脂断熱部41の前端縁に沿って設けられている。保持凹所42は、化粧部47との接続部分に設けられている。保持凹所42は、樹脂断熱部41の表面から下方に向かって凹没している。具体的に保持凹所42は、樹脂断熱部41を上下方向に貫通した貫通孔により構成されている。貫通孔には、左右方向に並ぶように複数並設された縦片421が設けられている。
【0034】
覆い片収容凹部43は、図8に示されるように、保持凹所42よりも上方に設けられている。覆い片収容凹部43は、樹脂断熱部41の左右方向の略全長に亙って設けられている。覆い片収容凹部43は、化粧部47から延出した覆い片472(図3参照)が入り込む部分である。覆い片収容凹部43は、樹脂断熱部41の上面から凹没した連通部431と、連通部431よりも下方に凹没した凹溝部432とを備えている。覆い片収容凹部43は、断面略L字状をした凹部を形成している。
【0035】
連通部431は、左右方向の略全長に亙って設けられている。連通部431は、前後方向に幅を有している。連通部431の底面は、図8(d)に示されるように、樹脂断熱部41の上面よりも下方に位置している。連通部431は、樹脂断熱部41の厚み内において、保持凹所42よりも上方に位置している。凹溝部432は、左右方向の略全長に亙って設けられている。言い換えると、凹溝部432は、樹脂断熱部41の上面に、左右方向に沿って設けられている。凹溝部432は、連通部431の後端から下方に向かって連設されている。凹溝部432の底面は、連通部431の底面よりも下方に凹没している。
【0036】
側方覆い部44は、庇金具3の側方を覆う部分である。側方覆い部44は、樹脂断熱部41の左右方向の両端に設けられている。側方覆い部44の下端は、庇金具3の下面よりも下方に位置する。
【0037】
また、樹脂断熱部41の下面には、下方に向かって突出する突起部46が設けられている。これにより、樹脂断熱部41は、庇金具3に固定された状態では、図3,5に示すように、庇部32の上面との間に、一定の隙間42を形成するようになっている。また、樹脂断熱部41には、複数の固着具挿通孔45が設けられている。固着具挿通孔45は、左右方向に並ぶよう所定のピッチで配置されている。固着具挿通孔45は、凹溝部432よりも後方に配置されている。断熱部4は、図3〜5に示されるように、固着具挿通孔45に固着具9が挿通され、これにより庇金具3と共に扉本体2の上端面に固定される。
【0038】
化粧部47は、扉本体2の前面上縁に設けられる。この化粧部47は、樹脂断熱部41の前端部に一体成形される。化粧部47は、低耐熱性樹脂により構成されている。言い換えると、化粧部47は、樹脂断熱部41よりも耐熱温度が低い。化粧部47は、硬質樹脂により構成されており、例えば、PET/PBT樹脂(ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとの複合樹脂)により構成されている。
【0039】
化粧部47は、扉本体2の上端部において左右方向の略全長に亙って設けられている。化粧部47は、上下方向に幅(高さ)を有し、左右方向に長さを有している。化粧部47の上端面は、グリル扉1が閉じた状態では、図3に示すように、ケーシング50の天面前部51の下面に近接対向するようになっている。化粧部47は、扉本体2の前面から前方に向かって突出している。
【0040】
化粧部47は、化粧部本体471と、覆い片472と、係合片473と、支持部474とを備えている。化粧部本体471は、扉本体2の前面の上端縁に沿って設けられている。覆い片472は、化粧部本体471の後面から後方に向かって突出している。覆い片472の上面は、樹脂断熱部41の上面と略面一となっている。覆い片472は、樹脂断熱部41の連通部431に入り込んでおり、樹脂断熱部41の一部を覆っている。係合片473は、覆い片472の後方側の先端から下方に向かって突出している。係合片473は、凹溝部432に入り込む。係合片473は、覆い片472の左右方向の略全長に亙って設けられている。
【0041】
なお、本実施形態の凹溝部432は、樹脂断熱部41の前側に設けられているが、樹脂断熱部41の後端部に沿って設けられたものであってもよい。この場合、化粧部47の覆い片472は、樹脂断熱部41の上面の略全部を覆うことになる。
【0042】
支持部474は、化粧部本体471の裏面から後方に向かって延出している。化粧部47は、樹脂断熱部41を金型8内にインサートして射出成形したものであるため、支持部474が樹脂断熱部41の保持凹所42内に、隙間なく充填されている。支持部474には、保持凹所42の縦片421が埋設されている。
【0043】
化粧部47の成形には、例えば、図9に示されるような射出成形用の金型8が用いられる。
【0044】
金型8は、上型81と、下型82とを備えている。金型8内には、予め成形された樹脂断熱部41がインサートできるようになっている。下型82に樹脂断熱部41を配置し、この状態で下型82に上型81を型締めすると、図9に示されるように、上型81と下型82と樹脂断熱部41との間に、キャビティ83が形成される。このキャビティ83内に、化粧部47を形成するための低耐熱性樹脂が溶融した状態で充填される。
【0045】
キャビティ83内に溶融した状態の樹脂(以下、溶融樹脂という)が充填されると、この溶融樹脂は、保持凹所42内に充填され、また、連通部431を通って凹溝部432にも充填される。この溶融樹脂は、保持凹所42内の縦片421の周囲にも回り込み、最終的にキャビティ83内に隙間なく充填される。溶融樹脂は、この状態で金型8と共に冷却されて硬化する。
【0046】
充填された樹脂が硬化した後、金型8を型開きする。これにより、断熱部4が形成される。この断熱部4は、図3,4,5に示されるように、扉本体2の上端に、庇金具3と共に固着具9を介して固定される。
【0047】
このような構成のグリル扉1は、グリル部7に取り付けられる。図3に示されるように、グリル扉1を閉じると、グリル扉1の後面から後方に向かって突出した庇部32が断熱用間隙74内に挿通される。また、グリル扉1の後面が、グリル庫71の前方開口の周縁部の扉当接部73に当接する。このとき、扉当接部73とグリル扉1とが隙間なく当接すれば、扉当接部73とグリル扉1との間から熱気が溢れ出るのを防ぐことができるが、扉当接部73とグリル扉1との間には、構造上、僅かな隙間ができる。
【0048】
この熱気は、扉当接部73とグリル扉1との間の隙間90を通過し、グリル庫71の上面と庇部32との間の隙間91を通り、断熱用間隙74内に流通する。断熱用間隙74は、グリル庫71よりも温度が低くなっているため、流入した熱気の温度を低下させる。
【0049】
断熱用間隙74に流入した熱気は、大部分が、天板6に設けられた排気口部61を介して外部に放出される。また、排気口部61に向かわなかったその他の熱気は、庇部32の下方を通過した後、樹脂断熱部41の上方側に回りこんで、ケーシング50の天面前部51の下面と化粧部47との間の隙間92に向かって移動する。このとき、化粧部47に至る熱気の温度は、断熱用間隙74を移動する際に、熱交換して低下しているため、化粧部47は、高熱の熱気に晒され難くなっている。そして、この熱気は、化粧部47の上端と天面前部51の下面との間の隙間92を介して、外部に放出される。
【0050】
また、庇部32と樹脂断熱部41との間には、一定の隙間42が介在しているため、庇部32が高温になったとしても、樹脂断熱部41への熱伝導を低減させることができる。しかも、樹脂断熱部41に触れる熱気は、庇部32に沿って迂回して、一旦、断熱用間隙74内を流通した熱気であるため、ある程度、温度低下している。このため、樹脂断熱部41として、高耐熱性樹脂でなく、低耐熱性樹脂を用いた場合であっても、耐熱性に関する問題は生じにくい。
【0051】
なお、グリル扉1に庇部32が設けられていない場合、グリル部7を使用すると、扉当接部73とグリル扉1との間の隙間90を通過した熱気の大部分は、化粧部47の上端と天面前部51の下面との間の隙間92に流れ込み、外部に放出される。つまり、庇部32が設けられていないグリル扉1を使用した場合に、化粧部47の上端と天面前部51の下面との間の隙間92から放出される熱気は、本実施形態のように、グリル庫71から溢れ出した熱気のうち、庇部32に衝突した後に回り込んだ僅かな量の熱気ではないため、化粧部47の上端と天面前部51の下面との間の隙間92から放出される熱気の量が多くなり、したがって、庇部32が設けられていないグリル扉1では、上端部における温度が高くなってしまうことになる。
【0052】
つまり、断熱用間隙74に没入する庇部32および樹脂断熱部41を備えたグリル扉1を用いた場合には、庇部32および樹脂断熱部41を備えないグリル扉1を用いた場合に比べて、グリル扉1の上端部における温度が低減される。
【0053】
また、化粧部47は、上述のように、低耐熱性樹脂により構成されている。このため、着色が自由に行いやすいものとなっている。なお、高耐熱性樹脂により形成された樹脂断熱部41は、黒色や灰色等の限定的な色にしかすることができず、着色の自由度は小さいものとなる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態のグリル扉1は、グリル部7に開閉自在に設けられるものである。グリル部7は、ケーシング50の内部に設けられている。グリル部7は、グリル庫71と、断熱用間隙74とを備えている。グリル庫71は、前方に開口している。断熱用間隙74は、グリル庫71の上面とケーシング50との間に設けられており、前方に開口している。グリル扉1は、扉本体2と、庇部32と、樹脂断熱部41と、化粧部47とを備えている。扉本体2は、グリル庫71の前方開口を開閉自在に閉塞する。また、庇部32は、グリル庫71の前方開口を閉じた状態において、扉本体2の上端から後方に向かって突出しており、断熱用間隙74内に挿通されるものである。樹脂断熱部41は、庇部32の上面に隙間を介した状態で、この庇部32を覆うよう設けられている。化粧部47は、扉本体1の前面上縁に設けられている。また、化粧部47は、樹脂断熱部41に一体成形されている。化粧部47が成形される前の樹脂断熱部41は、化粧部47との接続部分に表面から凹没した保持凹所42が設けられている。化粧部47は、射出成形のための金型8内に予め成形された樹脂断熱部41をインサートし、この金型8と樹脂断熱部41とで形成されるキャビティ83内に、樹脂断熱部41よりも耐熱温度が低い溶融した状態の樹脂を充填し、この溶融樹脂を保持凹所42内に入り込ませた状態で硬化させたものである。
【0055】
このため、本実施形態のグリル扉1によれば、ユーザーが、グリル庫71内に収容された被加熱物を取り出そうとした際に、誤って、グリル扉1の上端部や庇部32の上面部分に触れてしまったとしても、ユーザーが感じる熱さを低減させることができる。特に、本実施形態のグリル扉1は、庇部32の上面が、樹脂断熱部41に隙間42を介して覆われているため、樹脂断熱部41に伝導する熱を低減させることができる。
【0056】
しかも、本実施形態のグリル扉1は、グリル部7を閉じた状態で、庇部32が断熱用間隙74に挿通されるため、グリル扉1の上端と、ケーシング50の前端との間の隙間92から漏れ出す熱気の量を減らすことができ、これにより、グリル扉1の上端の温度が熱くなるのを防ぐことができる。
【0057】
また、本実施形態のグリル扉1は、断熱部4が、予め成形された樹脂断熱部41をインサートして化粧部47を成形したものである。このため、化粧部47として、低耐熱性樹脂を用いることができる。この低耐熱性樹脂は、自由な着色がしやすいものであるため、種々の色に着色でき、設計上の自由度を向上させることができる。この結果、グリル扉1の前面に露出する断熱部4を良好な意匠とすることができ、意匠性を向上させることができる。
【0058】
しかも、化粧部47は、樹脂断熱部41を金型8内にインサートして射出成形により成形されたものであるため、保持凹所42内に隙間なく充填されており、樹脂断熱部41との結合力が強い。つまり、樹脂断熱部41が高耐熱樹脂により形成され、化粧部47が低耐熱樹脂により形成されたとしても、両者の結合力が強いものであるため、化粧部47が樹脂断熱部41から簡単に外れてしまうのを防ぐことができる。
【0059】
また、本実施形態の樹脂断熱部41の上面には、左右方向に沿って凹溝部432が設けられている。化粧部47は、化粧部本体471と、覆い片472と、係合片473とを備えている。化粧部本体471は、扉本体2の前面の上端縁に沿って設けられている。覆い片472は、化粧部本体471から後方に向かって突出し樹脂断熱部41の一部または略全部を覆う。係合片473は、覆い片472の後端に設けられ凹溝部432に入り込んでいる。
【0060】
一般的に、樹脂は射出成型後、硬化する際に収縮してしまうため、樹脂断熱部41の上面を覆う化粧部47の覆い片472は、化粧部本体471側に収縮しようとする。しかしながら、本実施形態の覆い片472には、凹溝部432に入り込む係合片473が設けられているため、覆い片472が収縮してしまうのを防ぐことができる。
【0061】
仮に、覆い片472に係合片473が設けられていないと、断熱部4は、射出成形後、硬化する際に、覆い片472が収縮して、この覆い片472の後方側の端部が化粧部本体471側に移動してしまう。すると、覆い片472の後方側の端部と、樹脂断熱部41との間に隙間が生じてしまう。このように、覆い片472の後方側の端部と樹脂断熱部41との間に隙間が生じると、美観を損ねたり、この隙間に異物が入り込んだりするおそれがある。つまり、本実施形態の係合片473と凹溝部432によれば、覆い片472と樹脂断熱部41との間に隙間ができるのを防止し、意匠性を良好に保つことができる。
【0062】
なお、本実施形態のグリル扉1は、樹脂断熱部41が高耐熱性樹脂により構成され、化粧部47が低耐熱性樹脂により構成されていたが、本発明においては、このものに限定されない。
【符号の説明】
【0063】
1 グリル扉
2 扉本体
3 庇金具
31 固定部
32 庇部
4 断熱部
41 樹脂断熱部
42 保持凹所
421 縦片
43 覆い片収容凹部
431 連通部
432 凹溝部
47 化粧部
471 化粧部本体
472 覆い片
473 係合片
474 支持部
5 機器本体
50 ケーシング
51 天面前部
6 天板
7 グリル部
71 グリル庫
72 筐体
73 扉当接部
74 断熱用間隙
8 金型
81 上型
82 下型
83 キャビティ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9