特許第6013847号(P6013847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013847
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】端子圧着状態の検査方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/00 20060101AFI20161011BHJP
   H01R 43/048 20060101ALI20161011BHJP
   G01R 31/02 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   H01R43/00 Z
   H01R43/048 Z
   G01R31/02
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-202400(P2012-202400)
(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公開番号】特開2014-56796(P2014-56796A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕司
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−109517(JP,A)
【文献】 特開2007−103184(JP,A)
【文献】 特開昭63−281071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/00
H01R 43/048
G01R 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
良品サンプルのクリンプフォース波形と不良品サンプルのクリンプフォース波形とに基づき、端子圧着状態の良否の判別に使用する公差を計算して検査条件とする検査条件設定ステップと、
良品サンプルのクリンプフォース波形の平均をとって基準波形とし、該基準波形のクリンプフォース値を計算する基準波形取得ステップと、
端子圧着時のクリンプフォース波形を取得して検査対象の検査波形とし、該検査波形のクリンプフォース値を計算する検査波形取得ステップと、
前記基準波形取得ステップで取得された基準波形のクリンプフォース値と、前記検査波形取得ステップで得られた検査波形のクリンプフォース値とに基づき端子圧着の合否を判定する合否判定ステップと、
を含み、
前記検査条件設定ステップは、
良品の波形のばらつきを考慮した波形と、複数種類の不良品のばらつきを考慮した波形との差を計算するクリンプフォース波形差計算ステップと、
前記クリンプフォース波形差計算ステップで計算された差が最大値のときの時刻を計算する最大値時刻計算ステップと、
最大値時刻計算ステップで計算された時刻における良品サンプルのクリンプフォース波形の標準偏差および平均値を計算し、これらに基づき公差を計算する公差計算ステップを含み、
前記合否判定ステップは、
前記基準波形取得ステップで取得された基準波形のクリンプフォース値と、前記検査波形取得ステップで取得された検査波形のクリンプフォース値との差を計算し、該計算により得られた差が、前記検査条件設定ステップで検査条件として設定された公差より小さい場合に合格と判定し、前記得られた差が前記公差よりも大きい場合に不合格と判定することを特徴とする端子圧着状態の検査方法。
【請求項2】
良品サンプルのクリンプフォース波形と不良品サンプルのクリンプフォース波形とに基づき、端子圧着状態の良否の判別に使用する公差を計算して検査条件とする検査条件設定部と、
良品サンプルのクリンプフォース波形の平均をとって基準波形とし、該基準波形のクリンプフォース値を計算する基準波形取得部と、
端子圧着時のクリンプフォース波形を取得して検査対象の検査波形とし、該検査波形のクリンプフォース値を計算する検査波形取得部と、
前記基準波形取得部で取得された基準波形のクリンプフォース値と、前記検査波形取得部で得られた検査波形のクリンプフォース値とに基づき端子圧着の合否を判定する合否判定部と、
を含み、
前記検査条件設定部は、
良品の波形のばらつきを考慮した波形と、複数種類の不良品のばらつきを考慮した波形との差を計算するクリンプフォース波形差計算部と、
前記クリンプフォース波形差計算部で計算された差が最大値のときの時刻を計算する最大値時刻計算部と、
前記最大値時刻計算部で計算された時刻における良品サンプルのクリンプフォース波形の標準偏差および平均値を計算し、これらに基づき公差を計算する公差計算部を含み、
前記合否判定部は、
前記基準波形取得部で取得された基準波形のクリンプフォース値と、前記検査波形取得部で取得された検査波形のクリンプフォース値との差を計算し、該計算により得られた差が、前記検査条件設定部で検査条件として設定された公差より小さい場合に合格と判定し、前記得られた差が前記公差よりも大きい場合に不合格と判定することを特徴とする端子圧着状態の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線に圧着端子を圧着により取り付けた場合の圧着状態を検査する端子圧着状態の検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子圧着時の「芯線切れ」や「絶縁体噛み」といった端子圧着不良を検出する方法としてクリンプフォースモニタを用いる方法が知られている。例えば、特許文献1は、圧着状態の良否を安定して判別でき、かつ、細かな不良まで検出でき、しかも判別に要する時間を短縮できる端子圧着状態判別方法を開示している。
【0003】
この端子圧着状態判別方法においては、良好な圧着状態の端子付金具を得た際の荷重値により基準波形を生成し、この基準波形を複数に分割し特異点を設定する。この複数に分割された分割領域のうち特異点を含んだ基準部分波形を積分するとともに、判別対象の端子付金具を得た際の荷重値により特性波形を生成し、生成した特性波形を複数に分割し基準部分波形に相当する部分波形を積分する。その後、基準部分波形の積分値と部分波形の積分値とを比較して判別対象品の良否を判別する。
【0004】
また、端子圧着状態の良否の判別に使用する公差は、不良品の波形を使用して計算したり、良品の波形のばらつきを考慮して計算したりするものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−352931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年の圧着技術の向上により、従来の不良品であってもより高精度で検査できる検査方法が求められている。また、今までにはそれほど問題視されなかった不良品に対しても検査する必要がでてきた。
【0007】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、不良品をより高感度で安定的に検査することができ、しかも、端子圧着で発生する新しい不良品の検査に好適な端子圧着状態の検査方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る端子圧着状態の検査方法は、良品サンプルのクリンプフォース波形と不良品サンプルのクリンプフォース波形とに基づき、端子圧着状態の良否の判別に使用する公差を計算して検査条件とする検査条件設定ステップと、良品サンプルのクリンプフォース波形の平均をとって基準波形とし、該基準波形のクリンプフォース値を計算する基準波形取得ステップと、端子圧着時のクリンプフォース波形を取得して検査対象の検査波形とし、該検査波形のクリンプフォース値を計算する検査波形取得ステップと、前記基準波形取得ステップで取得された基準波形のクリンプフォース値と、前記検査波形取得ステップで得られた検査波形のクリンプフォース値とに基づき端子圧着の合否を判定する合否判定ステップとを含み、前記検査条件設定ステップは、良品の波形のばらつきを考慮した波形と、複数種類の不良品のばらつきを考慮した波形との差を計算するクリンプフォース波形差計算ステップと、前記クリンプフォース波形差計算ステップで計算された差が最大値のときの時刻を計算する最大値時刻計算ステップと、最大値時刻計算ステップで計算された時刻における良品サンプルのクリンプフォース波形の標準偏差および平均値を計算し、これらに基づき公差を計算する公差計算ステップを含み、前記合否判定ステップは、前記基準波形取得ステップで取得された基準波形のクリンプフォース値と、前記検査波形取得ステップで取得された検査波形のクリンプフォース値との差を計算し、該計算により得られた差が、前記検査条件設定ステップで検査条件として設定された公差より小さい場合に合格と判定し、前記得られた差が前記公差よりも大きい場合に不合格と判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不良品をより高感度で安定的に検査することができ、しかも、端子圧着で発生する新しい不良品の検査に好適な端子圧着状態の検査方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で測定対象とされる圧着端子と電線の概略構成を示す斜視図である。
図2】実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で使用される端子圧着装置の構造を示す正面図である。
図3】実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で使用される端子圧着装置の構造を示す側面図である。
図4】実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で使用される端子圧着装置のラムとクリンパホルダの係合状態を説明するための図である。
図5】実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で使用される端子圧着装置に含まれる圧着不良検出装置の構成を示すブロック図である。
図6】実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で使用される端子圧着装置の圧着不良検出装置で実行される検査条件の設定処理を示すフローチャートである。
図7図6のステップS13で実行される良品、不良品の差の波形の計算処理の詳細を示すフローチャートである。
図8】実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で使用される端子圧着装置の圧着不良検出装置で行われる絶縁体噛み時の動作を説明するための図である。
図9】実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で使用される端子圧着装置の圧着不良検出装置で行われる芯線切れ時の動作を説明するための図である。
図10】実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で使用される端子圧着装置の圧着不良検出装置における検査時の位置設定例を説明するための図である。
図11】実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で使用される端子圧着装置の圧着不良検出装置で行われる基準波形取得処理を示すフローチャートである。
図12】実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で使用される端子圧着装置の圧着不良検出装置で行われる検査処理を示すフローチャートである。
図13】実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で使用される端子圧着装置の圧着不良検出装置で行われる波形判定方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の端子圧着状態の検査方法及びその装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係る端子圧着状態の検査方法で測定対象とされる圧着端子と電線の概略構成を示す斜視図である。図1において、圧着端子51は、電線61に端子として圧着して取り付けられる。
【0013】
電線61は、導電性の芯線60と、この芯線60を被覆する絶縁性の被覆部62とを備えている。芯線60は、複数の導線が撚られて(束ねられて)構成されており、断面形状が丸形に形成されている。芯線60を構成する導線は、例えば、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの導電性を有する金属からなる。被覆部62は、絶縁性の合成樹脂からなる。電線61は、圧着端子51が取り付けられる前に、被覆部62の端部の一部が除去されて、芯線60の一部が露出した状態となっている。
【0014】
圧着端子51は、導電性の板金を折り曲げるなどして形成されている。圧着端子51は、後述する電気接触部53が筒状に形成された所謂雌端子である。圧着端子51は、電線61と接続するための電線接続部52、他の端子金具と接続するための電気接触部53、ならびに、これら電線接続部52と電気接触部53とを繋ぐ底壁54を備えている。
【0015】
電線接続部52は、一対の電線加締め足55と、一対の芯線加締め足50を備えている。一対の電線加締め足55は、それぞれ、底壁54の両縁から立設している。電線加締め足55は、底壁54に向かって曲げられることにより、底壁54との間に、被覆部62の上から電線61を挟む。こうして、一対の電線加締め足55は、電線61を加締める。
【0016】
一対の芯線加締め足50は、それぞれ、底壁54の両縁から立設している。芯線加締め足50は、底壁54に向かって曲げられることにより、底壁54との間に露出した芯線60を挟む。こうして、一対の芯線加締め足50は、芯線60を加締める。
【0017】
次に、芯線加締め足50および電線加締め足55を底壁54に向かって曲げて、圧着端子51を電線61に加締める端子圧着装置について、図2図4を参照して説明する。
【0018】
図2の正面図に示すように、端子圧着装置200は、フレーム1を有している。このフレーム1は、基板2とその両側の側板3,3とを備えている。両側板3,3の上部後方には、図3の側面図に示すように、減速機5を備えたサーボモータ4が固定されている。減速機5の出力軸6には、図2に示すように、偏心ピン(クランク軸)8を有する円板7が軸装され、偏心ピン8にはスライドブロック9が枢着されている。スライドブロック9はラム11に取付けられた受座10,10a間に摺動自在に装着されている。スライドブロック9は、円板7の回転により受座10,10a間を左右方向にスライドする。ラム11は、スライドブロック9とともに上下方向に移動する。
【0019】
このラム11は両側板3,3の内面に設けたラムガイド12,12に上下摺動自在に装着されている。円板7、スライドブロック9、受座10,10a、ラム11およびラムガイド12は、ピストン−クランク機構を構成している。ラム11は、図4に示すように、下端部に係合凹部13を有し、この係合凹部13にはクリンパ14を取付けたクリンパホルダ15の係合凸部16が着脱自在に装着されている。
【0020】
図2に示すように、クリンパ14にはアンビル17が対向している。アンビル17は、基板2上のアンビル取付台24に固定されている。また、図4に示すように、ラム11と、クリンパホルダ15との間には、圧力センサ100が設けられている。この圧力センサ100は、圧着不良検出装置300に接続されている。そして、圧力センサ100の出力により圧着不良検出装置300でクリンパ14からの上下方向の荷重(以下、この荷重の値を「荷重値」と呼ぶ)が検出され、この検出された荷重値が、圧着過程での特性値として処理される。この荷重は、圧着作業中の圧着端子51からの反力および圧着端子51に加える力をなしている。
【0021】
なお、図2において、符号18は既知の構成を有する端子供給装置を示している。この端子供給装置18は、図示しない連鎖状の圧着端子51を支持する端子ガイド19、端子押さえ20、先端に端子送り爪21を備えた端子送りアーム22および端子送りアーム22を進退させる揺動リンク23などを備えている。
【0022】
揺動リンク23は、ラム11の降下および上昇に合わせて前後に揺動し、端子送り爪21により圧着端子51を1個ずつアンビル17上に送り込むようになっている。また、アンビル17はアンビル取付台24のハンドル25の操作によりクリンパ14に対する位置調整や撤去、交換などを容易にできるようになっている。
【0023】
サーボモータ4は、正逆回転を行い、上述したピストン−クランク機構によりラム11、すなわちクリンパ14を降下および上昇させる。サーボモータ4は、このサーボモータ4の駆動を制御するドライバ32(位置決め機能付き)に接続されている。そして、サーボモータ4の回転に応じたクリンパ14の下降および上昇により、このクリンパ14とアンビル17との間に配置された、圧着端子51および電線61の圧着が行われる。
【0024】
したがって、ラム11の上側停止位置(上死点位置)と下側停止位置(下死点位置)は、サーボモータ4のサーボ制御で定められた正逆回転量によって決定される。このように、ラム11の下死点位置は、サーボモータ4のサーボ制御に応じて定まり、ラム11が到達できるピストン−クランク機構の構造上の下死点位置とは必ずしも一致しない。そこで、ラム11が到達できる構造上の下死点と区別するために、サーボモータ4のサーボ制御に応じて定まるラム11の下死点を「サーボ下死点」と呼ぶ。ラム11の下死点位置は、端子圧着装置200における位置が低い(アンビル17に近い)ほど小さい値で示され、位置が高い(アンビル17から遠い)ほど大きい値で示される。
【0025】
なお、ドライバ32には入力部33が接続されている。入力部33は、圧着端子51の規格(またはサイズ)、対応する電線61のサイズ、クリンプハイトおよびサーボモータ4にかかる負荷(電流)などの基準データを入力するために使用される。また、サーボモータ4の図示しない出力軸にはエンコーダ31が付設されており、その回転数に基いてクリンパ14の位置を検出してドライバ32にフィードバックする。
【0026】
次に、圧着不良検出装置300について、図5に示すブロック図を参照しながら説明する。圧着不良検出装置300は、本発明の端子圧着状態の検査装置に相当し、圧力センサ100の出力を増幅するアンプ41、アンプ41から出力されるアナログ電圧信号をデジタルの電圧データに変換するA/D変換器42、入力部43、CPU44、ROM45、RAM46、表示部47および通信インターフェース48を備えている。
【0027】
入力部43、CPU44、ROM45、RAM46、表示部47および通信インターフェース48はマイクロコンピュータを構成している。CPU44は、ROM45に格納された制御プログラムに基づいて、RAM46をワーキングエリアとして使用して制御を行う。
【0028】
具体的には、A/D変換器42で得られる圧力センサ100による荷重値のデータを特性値としてサンプリングする。また、CPU44は、サンプリングした特性値に基づいて検査条件の設定処理、基準波形の取得処理、圧着端子51の圧着状態の良否を判定する検査処理などを行い、検出結果を表示部47に表示する。
【0029】
圧着端子51の圧着時には、圧力センサ100による荷重値のデータである特性値を示す波形が得られる。この波形は、クリンパ14およびアンビル17から圧着端子51にかかる荷重の時間の経過に応じた変化を示している。
【0030】
次に、実施例1にかかる端子圧着装置200において、圧着端子51と電線61とを圧着して、圧着端子51が取り付けられた電線61の良否を判別する工程の流れを、フローチャートおよび説明図を参照して説明する。
【0031】
最初に、検査条件の設定処理について、図6および図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。この検査条件の設定処理は、本発明の「検査条件設定ステップ」、「検査条件設定部」に対応する。なお、以下で説明する各処理は、主に圧着不良検出装置300において実行される。
【0032】
検査条件の設定処理では、まず、良品サンプルのクリンプフォース(以下、「CF」と略する)波形が取得される(ステップS11)。すなわち、端子圧着装置200で圧着端子51と電線61とを圧着してNa個(この場合のNaは2以上の整数)の良品サンプルを作製し、そのときの波形を取得してRAM46に記憶する。
【0033】
次いで、X種類の不良品サンプルのCF波形が取得される(ステップS12)。すなわち、端子圧着装置200で圧着端子51と電線61とを圧着することにより、X種類(Xは正の整数)の不良品サンプルを作製し、そのときの波形を取得してRAM46に記憶する。この場合、X種類の不良品サンプルの各々には、Nx個(この場合のNxは1以上の整数)の不良品サンプルが含まれる。不良品の例としては、例えば、絶縁体噛みや芯線切れなどを挙げることができる。
【0034】
次いで、X種類の不良品ごとに、良品と不良品の差の波形が計算される(ステップS13)。すなわち、良品の波形のばらつきを考慮した波形(例えば、平均値±6σ)と、X種類の不良品のばらつきを考慮した波形(不良品が1個の場合は1波形)との差の波形F(1)〜F(X)が計算される。
【0035】
例えば、不良品が絶縁体噛みである場合、図8(a)に示すような良品と不良品の波形との差が計算されて、図8(b)に示すような時刻T(1)において最大となる差の波形が得られる。同様に、不良品が芯線切れの場合、図9(a)に示すような良品と不良品の波形との差が計算されて、図9(b)に示すような時刻T(2)において最大となる差の波形が得られる。このステップS13は、本発明の「クリンプフォース波形差計算ステップ」、「クリンプフォース波形差計算部」に対応する。
【0036】
ここで、ステップS13で行われる良品、不良品の差の波形の計算処理の詳細を、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0037】
良品、不良品の差の波形の計算処理では、まず、変数nが「0」に初期化される(ステップS21)。次いで、変数nがインクリメント(+1)される(ステップS22)。次いで、良品、不良品の同一時刻(tn:n=1〜Nt(この場合のNtは1波形のサンプルデータ数))において、CFの平均値と偏差値σが計算される(ステップS23)。
【0038】
次いで、良品の平均から不良品の平均を減じた値が0より大きいかどうかが調べられる(ステップS24)。このステップS24において、良品の平均から不良品の平均を減じた値が0より大きいことが判断されると、下記(1)式に従って、良品、不良品の差が計算される(ステップS25)。その後、ステップS27に進む。
【0039】
(良品、不良品の差)=〔{(良品の平均)−(良品の6σ)}−{(不良品の平均)+(不良品の3σ)}〕/(良品のσ)…(1)
一方、上記ステップS24において、良品の平均から不良品の平均を減じた値が0より大きくないことが判断されると、下記(2)式に従って、良品、不良品の差が計算される(ステップS26)。その後、ステップS27に進む。
【0040】
(良品、不良品の差)=〔{(不良品の平均)−(不良品の3σ)}−{(良品の平均)+(良品の6σ)}〕/(良品のσ)…(2)
ステップS24,S25の良品、不良品の差の計算は他に、
(良品、不良品の差)=|良品の平均−不良品の平均|/3(良品のσ+不良品のσ)などを用いることができる。
【0041】
ステップS27においては、変数nがNになったかどうかが調べられる。このステップS27において、変数nがNになっていないことが判断されると、ステップS22の処理に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップS27において、変数nがNになったことが判断されると、良品、不良品の差の波形の計算処理は終了する。その後、図6に示したフローチャートのステップS14に戻る。
【0042】
ステップS14では、差の波形F(1)〜F(X)が最大値のときの時刻T(1)〜T(X)が計算される(ステップS14)。すなわち、良品の分布と不良品の分布の差が一番大きい時刻、すなわち、良品と不良品の差の波形が最大値のときの時刻(または、最大値の周辺区間)を計算し、図10に示すように、その時刻が、以降における検査時の位置T(1)〜T(X)とされる。図10(a)は、検査の位置を時点で設定した例を示し、図10(b)は、検査の位置を区間で設定した例を示している。なお、区間としては、他に波形差の最大値の区間、最大値周辺の区間(例えば、最大値の区間±1msec)、波形差が0以上の区間、最大値の50%以上の区間などを用いることができる。このステップS14は、本発明の「最大値時刻計算ステップ」、「最大値時刻計算部」に対応する。
【0043】
次いで、良品サンプルの時刻T(1)〜T(X)のときのCFの標準偏差σ(1)〜σ(X)と平均値AVE(1)〜AVE(X)が計算される(ステップS15)。次いで、時刻T(1)〜T(X)のときの公差D(1)〜D(X)が計算される(ステップS16)。この場合、下記に示すような、ステップS14で計算された時刻T(1)〜T(X)での良品の値(または、良品の区間内の合計の平均)の6σの良品の値比(%)を検査の公差D(1)〜D(X)とすることができる。
【0044】
D(1)=6σ(1)/AVE(1)
D(2)=6σ(2)/AVE(2)

D(X)=6σ(X)/AVE(X)
上記ステップS15およびステップS16は、本発明の「公差計算ステップ」、「公差計算部」に対応する。なお、公差の計算方法としては、上記以外に、例えば、「(良品平均−不良品平均)の1/2」などを用いることもできる。以上により、検査条件の設定処理は終了する。
【0045】
次に、圧着端子の検査方法について説明する。最初に、圧着端子の検査で行われる基準波形の取得処理について、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。この基準波形の取得処理は、本発明の「基準波形取得ステップ」、「基準波形取得部」に対応する。
【0046】
基準波形の取得処理においては、まず、検査対象のCF波形が取得される(ステップS31)。次いで、Nb個(この場合のNbは1以上の整数)の良品サンプルのCF波形が取得される(ステップS32)。次いで、Nb個の良品サンプルの平均をとることにより基準波形が作成される(ステップS33)。次いで、基準波形の時刻T(1)〜T(X)におけるCF値B(1)〜B(X)が計算される(ステップS34)。これにより、図13に実線で示すような基準波形が得られる。その後、生産(端子圧着)が行われる(ステップS35)。すなわち、端子圧着装置200において圧着端子51と電線61とが圧着される。
【0047】
次に、圧着端子の検査で行われる検査処理について、図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。この検査処理では、まず、検査対象のCF波形が取得される(ステップS41)。このステップS41で取得されたCF波形は、検査波形として使用される。
【0048】
次いで、ステップS41で取得された検査波形の時刻T(1)〜T(X)におけるCF値A(1)〜A(X)が計算される(ステップS42)。これにより、図13に2点鎖線で示すような検査波形が得られる。上記ステップS41およびステップS42の処理は、本発明の「検査波形取得ステップ」、「検査波形取得部」に対応する。
【0049】
次いで、検査波形のCF値A{A(1)〜A(X)}と基準波形のCF値B{B(1)〜B(X)}との差d{d(1)〜d(X)}が計算される(ステップS43)。具体的には、下記の計算が行われる。
【0050】
d(1)=|A(1)−B(1)|/B(1)
d(2)=|A(2)−B(2)|/B(2)

d(X)=|A(X)−B(X)|/B(X)
次いで、全ての時刻において差d{d(1)〜d(X)}が公差D{D(1)〜D(X)}より小さいかどうかが調べられる(ステップS44)。すなわち、d(1)<D(1)、d(2)<D(2)、…、d(X)<D(X)が成り立つかどうかが調べられる。上記ステップS43およびステップS44の処理は、本発明の「合否判定ステップ」、「合否判定部」に対応する。
【0051】
このステップS44において、全ての時間において差dが公差Dより小さいことが判断されると、検査は合格(OK)となる(ステップS45)。その後、検査処理は終了する。
【0052】
一方、ステップS44において、少なくとも1つの時刻において差dが公差Dより大きいことが判断されると、検査は不合格(NG)となる(ステップS46)。そして、1〜Xのどの番号で不合格(NG)になったかが調べられて不良品の種類が表示される(ステップS47)。その後、検査処理は終了する。
【0053】
以上説明したように、実施例1に係る端子圧着装置によれば、
(1)従来の検査方法に比べて、従来から発生している不良品の検出感度を上げることができる。
【0054】
(2)端子種類とは無関係に、操作者の経験・知見によらず、設定の位置、公差を設定することができる。
【0055】
(3)新種の不良品が発見された場合であっても操作者の経験・知見によらず、他の不良品と同様に容易に検査の設定が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、端子圧着で発生する不良品をより高感度で安定的に検出し、新しい不良品の検出をも要請される端子圧着装置に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 フレーム
2 基板
3 側板
4 サーボモータ
5 減速機
6 出力軸
7 円板
8 偏心ピン
9 スライドブロック
10 受座
11 ラム
12 ラムガイド
13 係合凹部
14 クリンパ
15 クリンパホルダ
16 係合凸部
17 アンビル
18 端子供給装置
19 端子ガイド
21 爪
22 アーム
23 揺動リンク
24 アンビル取付台
25 ハンドル
31 エンコーダ
32 ドライバ
33 入力部
41 アンプ
42 A/D変換器
43 入力部
44 CPU
45 ROM
46 RAM
47 表示部
48 通信インターフェース
50,55 加締め足
51 圧着端子
52 電線接続部
53 電気接触部
54 底壁
60 芯線
61 電線
62 被覆部
100 圧力センサ
200 端子圧着装置
300 圧着不良検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13