(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。なお、各図において同一の符号を付したものは、同一の構成要素を示すものとする。
【0016】
ここで、本発明のメタン発酵ガスの精製システムは、余剰汚泥や、生ゴミや、有機性排水等の有機性廃棄物をメタン発酵処理して得られるメタン発酵ガスを精製して精製ガスを製造する際に用いることができる。なお、精製ガスは、都市ガス原料や自動車燃料等として用いることができる。そして、精製ガスは、その用途に応じた性状(例えば、メタンガス濃度や圧力)を有している必要がある。
【0017】
図1に示すメタン発酵ガスの精製システム1は、有機性廃棄物をメタン発酵処理してメタンガスと炭酸ガスとを含むメタン発酵ガスを得るメタン発酵ガス生成機構としてのメタン発酵処理装置2と、メタン発酵処理装置2で生成したメタン発酵ガスを精製して精製ガスを得る精製機構4とを備えている。なお、精製システム1は、メタン発酵処理装置2と精製機構4との間にメタン発酵ガスを貯留するメタン発酵ガスタンク3を備えている。また、精製システム1は、ガスの流れ方向に見て精製機構4の後段側(メタン発酵ガスタンク3側とは反対側)に背圧弁5を備えている。
【0018】
メタン発酵処理装置2は、嫌気性微生物を用いて有機性廃棄物をメタン発酵処理する装置である。ここで、メタン発酵処理装置2では、メタンガスと、炭酸ガスと、その他の不純物(例えば、硫化水素やシロキサン等)とを含み、圧力P1が例えば3〜100kPa(ゲージ圧)のメタン発酵ガスが生成される。
なお、メタン発酵処理装置2としては、特に限定されることなく、例えば特開2009−66513号公報に記載のメタン発酵槽を用いることができる。具体的には、メタン発酵処理装置2としては、温度が30〜60℃のメタン発酵槽を用いてメタン発酵処理を行う装置であって、メタン発酵槽内を強制的に加圧することなく、発酵によって生じる自然発酵圧によってメタン発酵ガスの圧力を所望の圧力P1とする装置を用いることができる。
【0019】
メタン発酵ガスタンク3は、メタン発酵処理装置2で得られたメタン発酵ガスを圧力P1のまま(即ち、強制的に加圧することなく)、一度貯留するためのものである。
【0020】
精製機構4は、メタン発酵処理装置2で得たメタン発酵ガス(メタンガスと炭酸ガスとを含む混合ガス)を精製してメタンガスが富化された精製ガスを得るための機構である。そして、この一例の精製システム1の精製機構4は、圧力スイング吸着法を使用してメタン発酵ガスから炭酸ガスを分離する精製装置を有している。
なお、精製機構4は、メタン発酵ガスから余分な水分を除去するミストセパレータ(図示せず)や、メタン発酵ガスから硫化水素を除去する硫化水素除去装置(図示せず)や、メタン発酵ガスからシロキサンを除去するシロキサン除去装置(図示せず)を有していてもよい。因みに、ミストセパレータ、硫化水素除去装置およびシロキサン除去装置としては、特に限定されることなく、既知のミストセパレータ、硫化水素除去装置およびシロキサン除去装置を用いることができる。また、ミストセパレータ、硫化水素除去装置およびシロキサン除去装置は、精製機構4内の任意の位置、例えば、精製装置よりもメタン発酵ガスタンク3側に設けることができる。
【0021】
精製機構4の精製装置は、活性炭や、分子ふるい炭や、ゼオライト等の吸着剤を充填した吸着塔を有している。そして、精製装置では、吸着剤を充填した吸着塔にメタン発酵ガスを供給し、メタン発酵ガス中の炭酸ガスを吸着剤に吸着させることにより、メタンガスが富化された精製ガスが製造される。また、精製装置では、吸着剤に吸着したガスの量が飽和吸着量に近づくと、吸着剤に吸着されたガスを減圧下(吸着時の圧力よりも低い圧力下)で脱着させて吸着剤を再生させる。
即ち、精製装置の吸着塔では、吸着塔にメタン発酵ガスを供給して精製ガスを得る吸着工程と、吸着工程において吸着剤に吸着されたガスを減圧下(吸着工程よりも低い圧力下)で脱着させて吸着剤を再生する脱着工程とが交互に繰り返して実施される。
【0022】
ここで、精製装置としては、精製ガスの用途に応じたメタンガス濃度の精製ガスが得られる任意の精製装置を用いることができる。なお、メタン発酵ガスからのメタンガスの回収率を高める観点からは、精製機構の精製装置としては、後に詳細に説明する精製装置100を用いることが好ましい。
【0023】
背圧弁5は、精製システム1内のガスの圧力を一定に保つための圧力調整機構として機能する。そして、背圧弁5により、精製システム1内のガスの圧力、即ち、メタン発酵ガスおよび精製ガスの圧力は、圧力P1に保たれている。
なお、本発明のメタン発酵ガスの精製システムでは、背圧弁を設けなくてもよい。そして、本発明のメタン発酵ガスの精製システムでは、ガスを加圧する加圧装置を設けることなく、精製機構で精製されるメタン発酵ガスの圧力がメタン発酵ガス生成機構で得られるメタン発酵ガスの圧力以下となり、且つ、精製機構で得られる精製ガスの圧力が精製機構で精製されるメタン発酵ガスの圧力以下となればよい。因みに、「精製機構で精製されるメタン発酵ガスの圧力がメタン発酵ガス生成機構で得られるメタン発酵ガスの圧力以下となる」および「精製機構で得られる精製ガスの圧力が精製機構で精製されるメタン発酵ガスの圧力以下となる」には、配管などの圧力損失によりガスの圧力が低下した場合も含まれる。
【0024】
そして、上記一例のメタン発酵ガスの精製システム1では、メタン発酵処理装置2において、有機性廃棄物をメタン発酵処理してメタンガスと炭酸ガスとを含むメタン発酵ガスを得るメタン発酵ガス生成工程が実施される。また、メタン発酵処理装置2で生成された圧力P1のメタン発酵ガスは、そのまま(加圧されることなく)、精製機構4に供給される。そして、精製機構4では、メタン発酵ガス生成工程で得られたメタン発酵ガスを精製してメタンガスが富化された精製ガスを得る精製工程が実施され、圧力P1の精製ガスが生成する。具体的には、精製工程では、精製装置において圧力スイング吸着法を用いてメタン発酵ガスから炭酸ガスを分離する圧力スイング吸着工程を少なくとも実施する。なお、精製工程では、任意に、メタン発酵ガスから余分な水分を除去する水分除去工程と、メタン発酵ガスから硫化水素を除去する硫化水素除去工程と、メタン発酵ガスからシロキサンを除去するシロキサン除去工程とを実施してもよい。
【0025】
そして、上記一例の精製システム1では、メタン発酵処理装置2において生成したメタン発酵ガスを加圧することなく精製機構4の精製装置において精製しているので、メタン発酵ガスの昇圧に要するエネルギーを無くすことができる。よって、メタン発酵ガスの精製に要するエネルギーを低減することができる。
また、上記一例の精製システム1では、背圧弁5を設けているので、用途に応じた圧力の精製ガスを製造することができる。
【0026】
以上、一例を用いて本発明のメタン発酵ガスの精製システムおよび精製方法について説明したが、本発明の精製システムおよび精製方法は、上記一例に限定されることはなく、本発明の精製システムおよび精製方法には、適宜変更を加えることができる。
具体的には、上記一例の精製システム1では、圧力P1の低圧のメタン発酵ガスから炭酸ガスを分離するため、精製装置で実施する圧力スイング吸着工程においてメタン発酵ガスからのメタンガスの回収率(=(得られた精製ガス中のメタンガスの量/供給したメタン発酵ガス中のメタンガスの量)×100%)が低下し易い。そこで、本発明のメタン発酵ガスの精製システムでは、例えば、以下に詳細に説明するような精製装置100を用いて圧力スイング吸着工程を実施してもよい。
【0027】
<精製装置>
図2に示す精製装置100は、吸着剤を充填した2基以上(図示例では3基)の吸着塔10,20,30を備えている。そして、精製装置100では、メタンガスと、炭酸ガスとを含むメタン発酵ガスが圧力スイング吸着法を用いて精製され、メタンガスが富化された精製ガスが製造される。具体的には、精製装置100では、メタン発酵ガスを吸着塔に供給し、吸着塔内の吸着剤で炭酸ガスの大部分とメタンガスの一部とを吸着することにより、メタンガスが富化された精製ガスが製造される。なお、炭酸ガスとメタンガスとを吸着した吸着剤は、適宜、吸着剤に吸着されたガスを減圧下(吸着時の圧力よりも低い圧力下)で脱着させることにより再生される。
【0028】
ここで、
図2に示すように、精製装置100は、互いに並列に接続された第1吸着塔10と、第2吸着塔20と、第3吸着塔30とを備えている。なお、各吸着塔10,20,30内には、圧力スイング吸着法を用いたメタン発酵ガスの精製に利用可能な既知の吸着剤、例えば、活性炭や、分子ふるい炭や、ゼオライト等が充填されている。
【0029】
また、精製装置100は、装置外からメタン発酵ガスが流入する共通メタン発酵ガスライン40と、共通メタン発酵ガスライン40と第1吸着塔10とを接続する第1メタン発酵ガスライン11と、共通メタン発酵ガスライン40と第2吸着塔20とを接続する第2メタン発酵ガスライン21と、共通メタン発酵ガスライン40と第3吸着塔30とを接続する第3メタン発酵ガスライン31とを備えている。
なお、第1メタン発酵ガスライン11には第1メタン発酵ガス弁12が設けられており、第2メタン発酵ガスライン21には第2メタン発酵ガス弁22が設けられており、第3メタン発酵ガスライン31には第3メタン発酵ガス弁32が設けられている。
【0030】
更に、精製装置100は、各吸着塔から流出した精製ガスを装置外へと流す共通精製ガスライン50と、第1吸着塔10と共通精製ガスライン50とを接続する第1精製ガスライン13と、第2吸着塔20と共通精製ガスライン50とを接続する第2精製ガスライン23と、第3吸着塔30と共通精製ガスライン50とを接続する第3精製ガスライン33とを備えている。そして、共通精製ガスライン50には、精製装置100から流出する精製ガス中の炭酸ガス濃度を測定する精製ガス濃度計としての第1炭酸ガスセンサ51が設けられている。
なお、第1精製ガスライン13には第1精製ガス弁14が設けられており、第2精製ガスライン23には第2精製ガス弁24が設けられており、第3精製ガスライン33には第3精製ガス弁34が設けられている。
【0031】
また、精製装置100は、第1精製ガスライン13から分岐して延びる第1均圧化ライン15と、第2精製ガスライン23から分岐して延びる第2均圧化ライン25と、第3精製ガスライン33から分岐して延びる第3均圧化ライン35とを備えている。そして、それら第1均圧化ライン15、第2均圧化ライン25および第3均圧化ライン35は、共通均圧化ライン60を介して互いに接続されている。
なお、第1均圧化ライン15は、第1吸着塔10と第1精製ガス弁14との間で第1精製ガスライン13から分岐しており、第2均圧化ライン25は、第2吸着塔20と第2精製ガス弁24との間で第2精製ガスライン23から分岐しており、第3均圧化ライン35は、第3吸着塔30と第3精製ガス弁34との間で第3精製ガスライン33から分岐している。そして、第1均圧化ライン15には、第1均圧化弁16が設けられており、第2均圧化ライン25には、第2均圧化弁26が設けられており、第3均圧化ライン35には、第3均圧化弁36が設けられている。
【0032】
更に、精製装置100は、各吸着塔内の吸着剤に吸着されたガスを減圧下で脱着させて吸着剤を再生させた際に生じる脱着ガスを装置外へと流す共通脱着ガスライン70を有している。そして、共通脱着ガスライン70は、第1メタン発酵ガスライン11から分岐して延びる第1脱着ガスライン17、第2メタン発酵ガスライン21から分岐して延びる第2脱着ガスライン27および第3メタン発酵ガスライン31から分岐して延びる第3脱着ガスライン37と接続されている。
なお、第1脱着ガスライン17は、第1メタン発酵ガス弁12と第1吸着塔10との間で第1メタン発酵ガスライン11から分岐しており、第2脱着ガスライン27は、第2メタン発酵ガス弁22と第2吸着塔20との間で第2メタン発酵ガスライン21から分岐しており、第3脱着ガスライン37は、第3メタン発酵ガス弁32と第3吸着塔30との間で第3メタン発酵ガスライン31から分岐している。そして、第1脱着ガスライン17には、第1脱着ガス弁18が設けられており、第2脱着ガスライン27には、第2脱着ガス弁28が設けられており、第3脱着ガスライン37には、第3脱着ガス弁38が設けられている。
【0033】
ここで、共通脱着ガスライン70には、第3脱着ガスライン37との接続部側から装置外側へ向かって、各吸着塔内の減圧に用いられる減圧装置としての真空ポンプ71と、脱着ガス中の炭酸ガス濃度を測定する脱着ガス濃度計としての第2炭酸ガスセンサ72と、共通脱着ガス弁73とが順次配設されている。
【0034】
また、精製装置100は、一端が共通メタン発酵ガスライン40に接続され、他端が共通脱着ガスライン70に接続されたリサイクルガスライン80を有している。
ここで、リサイクルガスライン80の一端は、精製装置100へのメタン発酵ガスの流入口と、共通メタン発酵ガスライン40と第1メタン発酵ガスライン11との接続部との間で共通メタン発酵ガスライン40に接続している。また、リサイクルガスライン80の他端は、第2炭酸ガスセンサ72と、共通脱着ガス弁73との間で共通脱着ガスライン70に接続している。
そして、リサイクルガスライン80には、他端側から一端側に向かって、リサイクルガスの流通を遮断する供給遮断機構としてのリサイクルガス弁81と、リサイクルガスを加圧して送出するリサイクルガスポンプ82とが順次配設されている。
【0035】
そして、上述した構成を有する精製装置100では、共通メタン発酵ガスライン40と、第1メタン発酵ガスライン11、第2メタン発酵ガスライン21および第3メタン発酵ガスライン31とが、各吸着塔10,20,30内にメタン発酵ガスを供給するメタン発酵ガス供給ラインとして機能し得る。
また、第1精製ガスライン13、第2精製ガスライン23および第3精製ガスライン33と、共通精製ガスライン50とが、各吸着塔10,20,30から流出した精製ガスを装置外へと流す精製ガスラインとして機能し得る。
更に、第1精製ガスライン13の一部(第1吸着塔10から第1均圧化ライン15が分岐する部分まで)と、第1均圧化ライン15と、第2精製ガスライン23の一部(第2吸着塔20から第2均圧化ライン25が分岐する部分まで)と、第2均圧化ライン25と、第3精製ガスライン33の一部(第3吸着塔30から第3均圧化ライン35が分岐する部分まで)と、第3均圧化ライン35と、共通均圧化ライン60とが、各吸着塔同士を連通して吸着塔内の圧力を均一化する均圧化ラインとして機能し得る。
また、第1メタン発酵ガスライン11の一部(第1吸着塔10から第1脱着ガスライン17が分岐する部分まで)および第1脱着ガスライン17、第2メタン発酵ガスライン21の一部(第2吸着塔20から第2脱着ガスライン27が分岐する部分まで)および第2脱着ガスライン27、並びに、第3メタン発酵ガスライン31の一部(第3吸着塔30から第3脱着ガスライン37が分岐する部分まで)および第3脱着ガスライン37と、共通脱着ガスライン70とが、各吸着塔10,20,30から流出した脱着ガスを装置外へと流す脱着ガスラインとして機能し得る。
更に、リサイクルガスライン80と、共通メタン発酵ガスライン40と、第1メタン発酵ガスライン11、第2メタン発酵ガスライン21および第3メタン発酵ガスライン31とが、吸着剤を再生中の吸着塔から流出した脱着ガスの少なくとも一部をリサイクルガスとして他の吸着塔へと供給するリサイクルガス供給ラインとして機能し得る。なお、この精製装置100のリサイクルガス供給ラインでは、リサイクルガスはメタン発酵ガスと混合した状態で各吸着塔10,20,30へと供給されるが、精製装置100では、リサイクルガスは各吸着塔に直接供給されてもよい。
【0036】
なお、精製装置100は、少なくとも一つの吸着塔にメタン発酵ガスを供給して精製ガスを製造している間に残りの吸着塔のうちの少なくとも一つで吸着塔内を減圧して吸着剤に吸着されたガスを脱着するように運転される。なお、精製装置100の運転は、手動で行ってもよいし、図示しない制御盤等を用いて自動でおこなってもよい。
【0037】
そして、この精製装置100では、前記残りの吸着塔のうちの少なくとも一つから排出される脱着ガスの少なくとも一部が、リサイクルガスとして前記少なくとも一つの吸着塔に供給される。因みに、脱着ガスをリサイクルガスとして吸着塔に供給する量は、共通脱着ガス弁73、リサイクルガス弁81およびリサイクルガスポンプ82の動作を制御する制御装置90を用いて制御することができる。ここで、精製装置100の制御装置90は、第1炭酸ガスセンサ51で測定した精製ガス中の炭酸ガスの濃度と、第2炭酸ガスセンサ72で測定した脱着ガス中の炭酸ガス濃度とを使用し、後に詳細に説明するようにして共通脱着ガス弁73、リサイクルガス弁81およびリサイクルガスポンプ82の動作を制御する装置である。
【0038】
<圧力スイング吸着工程>
図2に示す精製装置100を用いたメタン発酵ガスの精製は、
図3(a)に示すような運転工程表に従って行うことができる。具体的には、精製装置100では、
図3(a)に示すステージ1〜3を順次繰り返して実施することにより、メタン発酵ガスを連続的に精製し、高濃度のメタンガスを含有する精製ガスを得ることができる。
なお、精製ガス中のメタンガスの濃度は所望の濃度以上であることが好ましい。ここで、「所望の濃度」とは、精製ガスの用途に応じて予め定まる濃度であり、例えば、精製ガスを都市ガス原料として使用する場合には99.5体積%であり、精製ガスを自動車燃料として使用する場合には95体積%である。精製ガス中のメタンガスの濃度が所望の濃度よりも低い場合、所望の濃度以上のメタンガスを含む別の精製ガスと混合したり、精製ガスを再び精製したりしてメタンガスの濃度を所望の濃度以上に高めてから、都市ガス原料や自動車燃料等として使用する必要があるからである。
【0039】
ここで、
図3(a)に示すように、この一例のメタン発酵ガスの精製方法では、第1吸着塔10、第2吸着塔20および第3吸着塔30のそれぞれにおいて、吸着塔にメタン発酵ガスを供給して精製ガスを得る吸着工程と、吸着工程において吸着剤に吸着されたガスを減圧下(吸着工程よりも低い圧力下)で脱着させて吸着剤を再生する脱着工程とが繰り返して実施される。そして、この一例の精製方法では、
図3(a)に示すように、一つの吸着塔で吸着工程を実施している間に残りの吸着塔のうちの一つで脱着工程を実施する。
【0040】
なお、
図3(a)からも明らかなように、この一例の精製方法では、ステージ毎に吸着工程を実施する吸着塔を順次切り替えることによりメタン発酵ガスを連続的に精製している。従って、当業者であれば、ステージ2およびステージ3は、ステージ1と同様にして実施し得ることを理解することができる。そこで、以下では、
図4A〜
図4Dを用いて、メタン発酵ガスの精製開始から2回目以降(即ち、ステージ1〜3を少なくとも1回以上実施した後)のステージ1における精製装置100の運転内容について説明し、ステージ2および3における精製装置100の運転内容については説明を省略する。なお、
図4A〜
図4Dでは、太線矢印を用いてガスの流れを表示している。
【0041】
ここで、メタン発酵ガスの精製開始から2回目以降のステージ1の開始時には、各吸着塔10,20,30は、ステージ3の工程4が終了した状態にある。従って、
図3(a)から明らかなように、第3吸着塔30は、吸着剤に炭酸ガス等が吸着された状態にある。
そして、ステージ1では、下記の工程1〜4が順次実施される。
【0042】
(工程1)
図4Aに示すように、ステージ1の工程1では、第1メタン発酵ガス弁12、第1精製ガス弁14、第2均圧化弁26および第3均圧化弁36のみを開き、他の弁は閉じると共に、真空ポンプ71およびリサイクルガスポンプ82を停止させた状態とする。
【0043】
そして、ステージ1の工程1では、共通メタン発酵ガスライン40の一部および第1メタン発酵ガスライン11を介して第1吸着塔10にメタン発酵ガスを供給する。ここで、第1吸着塔10では、供給されたメタン発酵ガスに含まれている炭酸ガスの大部分と、メタンガスの一部とが吸着剤に吸着される。その結果、第1吸着塔10からはメタンガスが富化された精製ガスが流出し、第1吸着塔10から流出した精製ガスは、第1精製ガスライン13および共通精製ガスライン50を通って装置外へと流出する。
【0044】
なお、メタン発酵ガスは、比較的低い圧力P1:3〜100kPa(ゲージ圧)で第1吸着塔10に供給される。そのため、炭酸ガスを吸着剤に十分に吸着させる観点からは、吸着塔に充填する吸着剤の量を増やし、空間速度SVを少なくすることにより、炭酸ガスを吸着剤に十分に吸着させることができる。具体的には、分子ふるい炭を吸着剤として使用した場合には、空間速度SVを300h
−1以下とすることにより、炭酸ガスを吸着剤に十分に吸着させることができる。ここで、空間速度SVは、下記式(1)を用いて算出することができる。
SV=(メタン発酵ガスの供給速度[m
3/h]/吸着剤体積[m
3]) ・・・(1)
【0045】
また、ステージ1の工程1では、第2均圧化ライン25、共通均圧化ライン60および第3均圧化ライン35を介して第2吸着塔20と第3吸着塔30とを連通する。そして、第2吸着塔20内の圧力と、第3吸着塔30内の圧力とを均一化することにより、後の工程において第2吸着塔内の圧力を増加させたり、第3吸着塔内の圧力を低下させたりする際に必要となるエネルギーを削減する。
【0046】
即ち、ステージ1の工程1では、第1吸着塔10において、吸着塔にメタン発酵ガスを供給して精製ガスを得る吸着工程を実施し、第2吸着塔20および第3吸着塔30において、吸着塔間の圧力を均一化する均圧化工程を実施する。
なお、工程1の実施時間は、第2吸着塔20および第3吸着塔30の圧力を均一化するのに十分な時間とすることができる。
【0047】
(工程2)
工程1の後に実施する工程2では、
図4Bに示すように、第1メタン発酵ガス弁12および第1精製ガス弁14は開いた状態を維持する一方で、第2均圧化弁26および第3均圧化弁36は閉じる。また、工程2では、第3脱着ガス弁38およびリサイクルガス弁81を開くと共に、真空ポンプ71およびリサイクルガスポンプ82を運転させる。なお、その他の弁は閉じた状態を維持する。
【0048】
ここで、ステージ1の工程2では、真空ポンプ71を用いて第3吸着塔30内を減圧し、第3吸着塔内の吸着剤に吸着されていたガスを脱着させて吸着剤を再生する。また、第3吸着塔30から流出した脱着ガスを、リサイクルガスポンプ82を使用し、第3メタン発酵ガスライン31の一部、第3脱着ガスライン37、共通脱着ガスライン70の一部およびリサイクルガスライン80を介して共通メタン発酵ガスライン40へと流入させる。即ち、工程2では、第3吸着塔30から流出した脱着ガスをリサイクルガスとしてメタン発酵ガスと共に第1吸着塔10へと供給する。
【0049】
そして、ステージ1の工程2では、共通メタン発酵ガスライン40の一部および第1メタン発酵ガスライン11を介して第1吸着塔10に供給された、メタン発酵ガスとリサイクルガスとの混合ガスが、第1吸着塔10内で精製される。即ち、第1吸着塔10では、メタン発酵ガスとリサイクルガスとの混合ガスに含まれている炭酸ガスの大部分と、メタンガスの一部とが吸着剤に吸着され、メタンガスが富化された精製ガスが流出する。なお、第1吸着塔10から流出した精製ガスは、第1精製ガスライン13および共通精製ガスライン50を通って装置外へと流出する。
【0050】
即ち、ステージ1の工程2では、第1吸着塔10において、吸着塔にメタン発酵ガスおよびリサイクルガスを供給して精製ガスを得る吸着工程を実施する。また、第3吸着塔30において、吸着剤に吸着されていたガスを脱着させて吸着剤を再生する脱着工程を実施すると共に、脱着工程において発生した脱着ガスを、吸着工程を実施している第1吸着塔10にリサイクルガスとして供給するリサイクル工程を実施する。なお、第2吸着塔20では、工程1終了後の状態を維持する保持工程を実施する。
【0051】
ここで、吸着工程では、メタン発酵ガスに含まれている炭酸ガスの大部分と、メタンガスの一部とが吸着剤に吸着される。また、吸着工程の終了時には、高濃度のメタンガスを含む精製ガスが吸着塔内の空隙部に残留している。従って、脱着工程において吸着塔から排出されるガス(脱着ガス)中には、炭酸ガスと、メタンガスとの双方が含まれている。そのため、脱着ガスをリサイクルガスとして第1吸着塔10に供給した場合、脱着ガス中のメタンガスを精製ガスとして有効に回収することができるので、脱着ガスの全量を装置外へ排気する場合と比較し、メタンガスの回収率を向上させることができる。
【0052】
しかしここで、脱着ガス中に含まれているメタンガスの濃度は低濃度(例えば、最大で20体積%程度)であり、脱着ガスは、比較的高い濃度の炭酸ガスを含んでいる。
また、圧力スイング吸着法で用いる吸着剤は、通常、メタンガスよりも炭酸ガスを吸着し易い一方で、炭酸ガスよりもメタンガスを脱着し易い。更に、吸着工程の終了時に吸着塔内に残留している精製ガスは脱着工程の開始直後に排出される。従って、脱着ガス中に含まれているメタンガスの濃度は、脱着工程の開始直後に最大となり、その後次第に減少する。
そのため、脱着ガスをリサイクルガスとして第1吸着塔10に供給し続けた場合、第1吸着塔10に流入する炭酸ガスの量が増加する。そして、第1吸着塔10に流入する炭酸ガスの量が増加すると、吸着剤に吸着されたガスの量が飽和吸着量に近づき、吸着工程の実施中、特に吸着工程の終了間際に精製ガス中の炭酸ガスの濃度が増加する(即ち、メタンガスの濃度が低下する)虞がある。そして、精製ガス中の炭酸ガスの濃度が増加した場合、メタンガスの濃度が所望の濃度以上の精製ガスを得ることができなくなる。
【0053】
そこで、精製装置100では、以下のようにして、工程2を終了し、リサイクルガスの第1吸着塔10への供給を停止する。
即ち、精製装置100では、現在実施中のステージ1(以下「今回のステージ1」と称することがある。)の一回前に実施したステージ1(以下「前回のステージ1」と称することがある。)の吸着工程の終了時(即ち、工程4の終了時)に第1炭酸ガスセンサ51を用いて測定した精製ガス中の炭酸ガス濃度を利用して、今回のステージ1の工程2を実施し得る最大時間を決定し、工程2の開始から当該最大時間が経過するまでの間に工程2を終了する。具体的には、精製装置100では、工程2の開始から所定の最大時間が経過した際に、制御装置90がリサイクルガス弁81を閉じると共にリサイクルガスポンプ82の運転を停止させて、第1吸着塔10へのリサイクルガスの供給を遮断し、工程2を終了させる。
【0054】
ここで、工程2を実施し得る最大時間は、前回のステージ1の工程4の終了時に第1炭酸ガスセンサ51で測定した精製ガス中の炭酸ガスの濃度を用いて、以下の(I)〜(III)のようにして定めることができる。
(I)第1炭酸ガスセンサ51で測定した精製ガス中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度未満の場合には、前回のステージ1の吸着工程において第1吸着塔10にリサイクルガスを流通した時間(即ち、前回の工程2の実施時間)よりも長い時間とする。
(II)第1炭酸ガスセンサ51で測定した精製ガス中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度超の場合には、前回のステージ1の吸着工程において第1吸着塔10にリサイクルガスを流通した時間(即ち、前回の工程2の実施時間)よりも短い時間とする。
(III)第1炭酸ガスセンサ51で測定した精製ガス中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度と等しい場合には、前回のステージ1の吸着工程において第1吸着塔10にリサイクルガスを流通した時間(即ち、前回の工程2の実施時間)以下の時間、好ましくは前回の工程2の実施時間と同じ時間とする。
【0055】
ここで、工程2を実施し得る最大時間を決定する際の「所定の濃度」は、使用する吸着剤の性能や、求められるメタンガスの回収率や、精製ガス中のメタンガスの濃度低下の許容範囲に応じて定められる濃度である。具体的には、「所定の濃度」は、例えば、ステージ1が終了するまでの間に精製ガス中のメタンガスの濃度が所望の濃度未満にならない範囲内で実験的に定めることができる。なお、メタン発酵ガスの精製においては、各ガス中のメタンガス濃度と炭酸ガス濃度との合計は100体積%と近似することができる。そのため、「所定の濃度」は、より具体的には、例えば、精製ガス中のメタンガスの濃度が所望の濃度のときの炭酸ガスの濃度(以下「限界炭酸ガス濃度」と称する。)よりも0.2〜2.0体積%低い濃度とすることができる。所定の濃度を限界炭酸ガス濃度よりも0.2体積%以上低くすれば、最大時間を前回の工程2の実施時間よりも長くした際に精製ガス中のメタンガスの濃度が所望の濃度未満になるのを十分に抑制することができるからである。また、所定の濃度を限界炭酸ガス濃度よりも2.0体積%以下の範囲内で低くすれば、最大時間が前回の工程2の実施時間よりも短く設定される確率を低減して、メタンガスの回収率が低下するのを抑制することができるからである。
なお、前回の工程2の実施時間に対して最大時間をどの程度長く(或いは、短く)するかについては、比例制御、微分制御、積分制御、PID制御などの既知の手法を用いて決定することができる。具体的には、過去の工程2の実施時間と工程4の終了時の炭酸ガス濃度とのデータを蓄積しておき、PID制御などを用いて最大時間をどの程度長く(或いは、短く)するか決定することができる。
【0056】
ここで、前述したように、脱着ガス中に含まれているメタンガスの濃度は、脱着工程の開始直後に最大となり、その後次第に減少する。そのため、前回のステージ1の工程4の終了時の精製ガス中の炭酸ガス濃度を利用して決定した最大時間の経過時に工程2を終了させる場合には、特に工程2の後半に、メタンガスの濃度が非常に低い脱着ガスもリサイクルガスとして第1吸着塔10へと供給することとなる可能性がある。
そこで、この精製装置100では、メタンガスが殆ど含まれていない脱着ガスをリサイクルガスとして第1吸着塔10へと供給するのを抑制する観点から、脱着ガス中に含まれている炭酸ガスの濃度も使用して、今回のステージ1の工程2を終了させるタイミングを決定することが好ましい。
即ち、精製装置100では、今回のステージ1の工程2において第2炭酸ガスセンサ72を用いて脱着ガス中の炭酸ガス濃度を連続的に測定し、測定した脱着ガス中の炭酸ガス濃度を利用して、工程2を終了するタイミングを決定することが好ましい。具体的には、工程2を実施中に脱着ガス中の炭酸ガス濃度を連続的に測定し、メタンガスの濃度が所定の濃度以上の脱着ガスのみをリサイクルガスとして第1吸着塔10へ供給するように、工程2を終了するタイミングを決定することが好ましい。
【0057】
より具体的には、精製装置100では、最大時間が経過する前であっても、第2炭酸ガスセンサ72で測定した脱着ガス中の炭酸ガスの濃度が所定値以上となった場合には、制御装置90がリサイクルガス弁81を閉じると共にリサイクルガスポンプ82の運転を停止させて、第1吸着塔10へのリサイクルガスの供給を遮断し、工程2を終了させることが好ましい。なお、最大時間が経過するまでの間に脱着ガス中の炭酸ガスの濃度が所定値以上にならなかった場合には、最大時間の経過時に工程2を終了させる。
【0058】
ここで、工程2を終了させる「脱着ガス中の炭酸ガスの濃度の所定値」は、使用する吸着剤の性能や、求められるメタンガスの回収率に応じて適宜設定することができる。
具体的には、「脱着ガス中の炭酸ガスの濃度の所定値」は、例えば、40体積%以上80体積%以下の範囲内で設定することができる。所定値を40体積%以上とすれば、メタンガスの回収率を十分に高めることができるからである。また、所定値を80体積%以下とすれば、メタンガスの回収率を十分に高めつつ、メタンガスが殆ど含まれていない脱着ガスをリサイクルガスとして第1吸着塔10へと供給するのを抑制することができるからである。
【0059】
なお、上記一例では、工程2の開始から最大時間が経過した場合、または、脱着ガス中の炭酸ガスの濃度が所定値以上となった場合に工程2を終了させたが、工程2を終了させるタイミングは、上記一例以外の方法で決定してもよい。
具体的には、工程2を終了させるタイミングは、工程2の開始から最大時間が経過した際と、脱着ガス中の炭酸ガスの濃度が所定の値となってから所定時間が経過した際との何れか早いタイミングとしてもよい。なお、「所定時間」は、予め実験を行って定めることができる。
【0060】
(工程3)
工程2の後に実施する工程3では、
図4Cに示すように、第1メタン発酵ガス弁12、第1精製ガス弁14および第3脱着ガス弁38は開いた状態を維持し、真空ポンプ71は運転を継続する。一方で、制御装置90がリサイクルガス弁81を閉じる。また、工程3では、制御装置90が、共通脱着ガス弁73を開くと共に、リサイクルガスポンプ82の運転を停止させる。なお、その他の弁は閉じた状態を維持する。
【0061】
ここで、ステージ1の工程3では、真空ポンプ71を用いた第3吸着塔30内の減圧が継続される。そして、第3吸着塔内では、吸着剤に吸着されていたガスが脱着されて吸着剤が再生される。一方、吸着剤から脱着されて第3吸着塔30から流出した脱着ガスは、リサイクルガスとして第1吸着塔10へと供給されることなく、第3メタン発酵ガスライン31の一部、第3脱着ガスライン37および共通脱着ガスライン70の一部を介して装置外へと排出される。
【0062】
そして、ステージ1の工程3では、工程1と同様に、共通メタン発酵ガスライン40の一部および第1メタン発酵ガスライン11を介して第1吸着塔10に供給されたメタン発酵ガスが、第1吸着塔10内で精製される。なお、第1吸着塔10から流出した精製ガスは、第1精製ガスライン13および共通精製ガスライン50を通って装置外へと流出する。
【0063】
即ち、ステージ1の工程3では、第1吸着塔10において、吸着塔にメタン発酵ガスを供給して精製ガスを得る吸着工程を実施する。また、第3吸着塔30において、吸着剤に吸着されていたガスを脱着させて吸着剤を再生する脱着工程を実施すると共に、脱着工程において発生した脱着ガスを装置外へと排出する排気工程を実施する。なお、第2吸着塔20では、引き続き保持工程を実施する。
なお、工程3を終了するタイミングは、第3吸着塔30内の吸着剤からガスが十分に脱着される(即ち、吸着剤が十分に再生する)タイミングとすることができる。具体的には、第3吸着塔30内の圧力が例えば−80kPa(ゲージ圧)となるタイミングとすることができる。
【0064】
(工程4)
工程3の後に実施する工程4では、
図4Dに示すように、第1メタン発酵ガス弁12、第1精製ガス弁14および第3脱着ガス弁38は開いた状態を維持し、真空ポンプ71は運転を継続する。一方で、共通脱着ガス弁73を閉じる。また、工程4では、第2精製ガス弁24、第3精製ガス弁34およびリサイクルガス弁81を開くと共に、リサイクルガスポンプ82を運転させる。なお、その他の弁は閉じた状態を維持する。
【0065】
ここで、ステージ1の工程4では、第1吸着塔10から流出した精製ガスの一部を、第2精製ガスライン23を介して第2吸着塔20へと供給し、第2吸着塔20内を加圧する。そして、第2吸着塔20内の圧力を精製ガスの圧力と略等しい圧力まで高めて、ステージ2の工程1における第2吸着塔20での吸着工程の実施に備える。
【0066】
また、ステージ1の工程4では、第1吸着塔10から流出した精製ガスの一部を、第3精製ガスライン33を介して第3吸着塔30へと供給し、第3吸着塔30内の雰囲気を精製ガスで置換すると共に、第3吸着塔30内に残存している脱着ガスを第3吸着塔30外へと流出させる。なお、第3吸着塔30から流出するガス(以下「置換ガス」と称する。)は、精製ガスと殆ど同じ組成を有しており、メタンガスを高濃度で含む。そのため、置換ガスは、排気することなく、第3メタン発酵ガスライン31の一部、第3脱着ガスライン37、共通脱着ガスライン70の一部およびリサイクルガスライン80を介して共通メタン発酵ガスライン40へと流入させ、第1吸着塔10へと供給する。
【0067】
そして、ステージ1の工程4では、共通メタン発酵ガスライン40の一部および第1メタン発酵ガスライン11を介して第1吸着塔10に供給されたメタン発酵ガスと置換ガスとの混合ガスが、第1吸着塔10内で精製される。即ち、第1吸着塔10では、メタン発酵ガスと置換ガスとの混合ガスに含まれている炭酸ガスの大部分と、メタンガスの一部とが吸着剤に吸着され、メタンガスが富化された精製ガスが流出する。
【0068】
即ち、ステージ1の工程4では、第1吸着塔10において、吸着塔にメタン発酵ガスおよび置換ガスを供給して精製ガスを得る吸着工程を実施する。また、第2吸着塔20において、吸着塔内を予め加圧することにより次に実施する吸着工程に備える加圧工程を実施する。更に、第3吸着塔30において、吸着塔内を精製ガスで置換し、吸着剤を十分に再生させる置換工程を実施する。
なお、工程4を終了するタイミング、即ちステージ1を終了するタイミングは、ステージ1の開始から予め定めておいた所定時間が経過したタイミングとすることができる。
因みに、工程4の終了時には、第1炭酸ガスセンサ51で精製ガス中の炭酸ガスの濃度を測定する。そして、測定した炭酸ガスの濃度は、次のステージ1(即ち、ステージ2,3を実施した後のステージ1)において工程2を実施し得る最大時間の決定に用いられる。
【0069】
そして、精製装置100を用いた上記一例の精製方法によれば、各ステージの工程2において、脱着工程を実施中の吸着塔から排出される脱着ガスの少なくとも一部をリサイクルガスとして吸着工程を実施中の吸着塔に流通させるので、脱着ガス中に含まれているメタンガスを精製ガスとして回収することができる。従って、低圧のメタン発酵ガスを使用した場合でも、メタン発酵ガスからのメタンガスの回収率を向上させることができる。
【0070】
また、上記一例の精製方法では、各ステージの工程2を実施し得る最大時間を、前回のステージの工程4の終了時に第1炭酸ガスセンサ51で測定した精製ガス中の炭酸ガスの濃度を用いて決定している。従って、脱着ガス中に含まれているメタンガスを十分に回収してメタン発酵ガスからのメタンガスの回収率を向上させつつ、精製ガス中のメタンガスの濃度が所望の濃度よりも低くなるのを抑制することができる。
具体的には、第1炭酸ガスセンサ51で測定した精製ガス中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度未満の場合、即ち、前回の工程4の終了時に吸着塔に炭酸ガスを吸着する余裕が十分に残っていた場合には、最大時間を前回の工程2の実施時間よりも長い時間として、メタンガスの回収率を更に向上させることができる。
また、第1炭酸ガスセンサ51で測定した精製ガス中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度超の場合、即ち、前回の工程4の終了時に吸着塔に炭酸ガスを吸着する余裕が十分に無かった場合には、最大時間を前回の工程2の実施時間よりも短い時間として、精製ガス中のメタンガスの濃度が所望の濃度よりも低くなるのを抑制することができる。
更に、第1炭酸ガスセンサ51で測定した精製ガス中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度の場合には、最大時間を前回の工程2の実施時間以下として、メタンガスの回収率を向上させつつ、精製ガス中のメタンガスの濃度が所望の濃度よりも低くなるのを抑制することができる。
【0071】
なお、上記一例の精製方法では、脱着ガス中の炭酸ガスの濃度も利用してリサイクルガスの流通を停止すれば、メタンガスの濃度が低い脱着ガスがリサイクルガスとして吸着塔へ流通するのを抑制して、メタン発酵ガスからのメタンガスの回収率を効果的に向上させることができる
【0072】
なお、上記一例では、炭酸ガスセンサを設け、メタンガス濃度よりも測定が容易な炭酸ガス濃度を測定することにより制御を行ったが、精製装置100では、炭酸ガスセンサに変えて(或いは、加えて)メタンガスセンサを設け、炭酸ガス濃度に変えて(或いは、加えて)メタンガス濃度を測定することにより制御を行ってもよい。より具体的には、上記一例の工程2を実施し得る最大時間は、前回のステージの工程4において精製ガス中のメタンガスの濃度を測定し、測定したメタンガス濃度を用いて決定してもよい。なお、工程4において測定した精製ガス中のメタンガス濃度を用いる場合には、以下の(IV)〜(VI)のようにして最大時間を決定することができる。
(IV)メタンガスセンサで測定した精製ガス中のメタンガスの濃度が所定の濃度超の場合には、前回のステージの吸着工程において吸着塔にリサイクルガスを流通した時間(即ち、前回の工程2の実施時間)よりも長い時間とする。
(V)メタンガスセンサで測定した精製ガス中のメタンガスの濃度が所定の濃度未満の場合には、前回のステージの吸着工程において吸着塔にリサイクルガスを流通した時間(即ち、前回の工程2の実施時間)よりも短い時間とする。
(VI)メタンガスセンサで測定した精製ガス中のメタンガスの濃度が所定の濃度と等しい場合には、前回のステージの吸着工程において吸着塔にリサイクルガスを流通した時間(即ち、前回の工程2の実施時間)以下の時間、好ましくは前回の工程2の実施時間と同じ時間とする。
また、上記一例の工程2は、工程2において脱着ガス中のメタンガスの濃度を測定し、脱着ガス中のメタンガスの濃度が所定値以下となった場合に終了させてもよい。なお、上記一例ではメタンガス濃度と炭酸ガス濃度との合計は100体積%と近似することができるので、メタンガス濃度を使用して制御を行う場合には、上記近似を用いて「精製ガス中のメタンガスの所定の濃度」や「脱着ガス中のメタンガスの濃度の所定値」を決定することができる。
また、上記一例の運転工程表の工程1および工程3は実施しなくてもよい。
更に、精製装置100では、工程1の実施時間、工程2および工程3の合計の実施時間、工程4の実施時間を予め定めておき、工程2の実施時間を前記工程2および工程3の合計の実施時間の範囲内で変化させてもよい。
更に、2基の吸着塔を用いて精製を行う場合には、例えば
図3(b)に示すような運転工程表に従って精製を行うことができる。