特許第6013871号(P6013871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 長野日本無線株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6013871-用紙断裁方法及び装置 図000002
  • 特許6013871-用紙断裁方法及び装置 図000003
  • 特許6013871-用紙断裁方法及び装置 図000004
  • 特許6013871-用紙断裁方法及び装置 図000005
  • 特許6013871-用紙断裁方法及び装置 図000006
  • 特許6013871-用紙断裁方法及び装置 図000007
  • 特許6013871-用紙断裁方法及び装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013871
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】用紙断裁方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/66 20060101AFI20161011BHJP
   B65H 9/14 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B41J11/66
   B65H9/14
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-232552(P2012-232552)
(22)【出願日】2012年10月22日
(65)【公開番号】特開2014-83711(P2014-83711A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000214836
【氏名又は名称】長野日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(72)【発明者】
【氏名】市川 毅
(72)【発明者】
【氏名】小井土 一徳
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−064809(JP,A)
【文献】 特開平02−048972(JP,A)
【文献】 特開2010−188687(JP,A)
【文献】 特開平06−091592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00−11/70
B65H 9/00− 9/20
B65H 13/00−15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電子写真方式を含む印刷方式により印刷したプリント用紙を断裁してプリントを得る用紙断裁方法において、X方向に搬送される前記プリント用紙が所定の設定位置に達したなら、当該プリント用紙の少なくともY方向の位置を検出する用紙位置センサ及び前記プリント用紙をX方向に断裁可能であって当該プリント用紙の搬送方向前方に位置するカッタ機構を備える追動カッタユニットを、前記プリント用紙のY方向外方の待機位置から当該プリント用紙側へ一次移動させ、前記用紙位置センサにより前記プリント用紙を検出したなら、当該検出した位置からY方向における目標とする断裁位置まで二次移動させ、この断裁位置で前記プリント用紙に対するX方向の断裁を行うことを特徴とする用紙断裁方法。
【請求項2】
前記用紙位置センサは、前記プリント用紙のサイドエッジ又は当該プリント用紙に表示されたマーキングを検出することを特徴とする請求項1記載の用紙断裁方法。
【請求項3】
前記プリントには、縁無しの写真プリントを適用することを特徴とする請求項1又は2記載の用紙断裁方法。
【請求項4】
前記所定の設定位置に達する搬送方向手前で、当該プリント用紙に対するスキュー補正処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の用紙断裁方法。
【請求項5】
少なくとも電子写真方式を含むプリント方式により印刷したプリント用紙を断裁してプリントを得る用紙断裁装置において、X方向に搬送される前記プリント用紙が所定の設定位置に達したことを検出する用紙検出手段と、プリント用紙の少なくともY方向の位置を検出する用紙位置センサ及び前記プリント用紙をX方向に断裁可能であって当該プリント用紙の搬送方向前方に位置するカッタ機構を備える追動カッタユニットと、この追動カッタユニットを前記プリント用紙のY方向外方の待機位置から当該プリント用紙側へ反復的に移動可能なユニット移動機構と、前記用紙検出手段の検出により前記ユニット移動機構を移動制御し、前記プリント用紙のY方向外方の待機位置から当該プリント用紙側へ一次移動させ、前記用紙位置センサにより前記プリント用紙を検出したなら、当該検出した位置からY方向における目標とする断裁位置まで二次移動させる移動制御手段とを具備してなることを特徴とする用紙断裁装置。
【請求項6】
前記カッタ機構には、回転する丸刃を用いることを特徴とする請求項5記載の用紙断裁装置。
【請求項7】
前記追動カッタユニットは、搬送方向に対する左右方向両側に一対配することを特徴とする請求項5又は6に記載の用紙断裁装置。
【請求項8】
前記所定の設定位置に対する搬送方向手前には、当該プリント用紙に対してスキュー補正を行うスキュー補正機構を配設してなることを特徴とする請求項5,6又は7記載の用紙断裁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式により印刷したプリント用紙を断裁していわゆる縁無しのプリント等を得る際に用いて好適な用紙断裁方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式により一枚のプリントを直接作成する場合、トナーの一部が周辺に飛散したり熱圧着後のプリントを剥離しにくい等の理由により、縁無しプリントの作成が容易でない。したがって、通常は、最初に周辺に余白を残したプリント用紙として作成し、この後、プリント用紙を断裁して目的の縁無しプリントを得ている。
【0003】
従来、このような方法によりプリントを作成するプリント作成方法としては、特許文献1で開示されるプリント作成方法が知られている。同文献1に記載されるプリント作成方法は、近年、画像が全面に記録されたプリント(縁無しのプリント)が主流であることに鑑み、多面付けを行うプリンタにおいて、個々のプリントを切り出すカッタ、特に、このカッタとして、搬送される記録媒体に当接することにより、Y方向(搬送方向)に切断するYカッタを備え、このYカッタを、記録媒体のX方向の最大サイズに対応して、X方向に、その全域を移動可能にするとともに、Yカッタの位置決めを、センサによる記録媒体のX方向端部検出による方法或いは記録媒体のX方向の搬送基準位置を用いる方法等を用いるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−64809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1で開示されるプリント作成方法で用いる用紙断裁方法をはじめ、従来の用紙断裁方法は、次のような解決すべき課題が存在した。
【0006】
第一に、正確な位置でプリント用紙を断裁することはプリント情報の欠落を回避する観点から重要な要素となるが、従来の用紙断裁方法は、プリント用紙に対するカッタの位置決めが必ずしも正確かつ安定に行われているとはいえない。即ち、プリント用紙の位置をセンサにより検出し、この検出情報に基づいてカッタの位置を制御していたため、検出時の位置及びタイミングと制御時の位置及びタイミング間には多くの誤差要因が介在してしまうとともに、この誤差要因は、気温等の環境にも影響を受けるため、断裁位置の正確性及び安定性を確保することは容易でない。
【0007】
第二に、長期使用による機械的なガタつき、位置ズレ、ドリフト等による経年変化などが生じた場合、それに対応することができず、高い信頼性を確保し、維持することが容易でない。この場合、材料選定や補強機構、更には矯正機能(補正機能)等を付加することにより、経年変化などに対処することも可能であるが、構造の煩雑化及び精密化によるコストアップやサイズアップ等の新たな課題が発生する。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した用紙断裁方法及び装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る用紙断裁方法は、上述した課題を解決するため、少なくとも電子写真方式を含む印刷方式により印刷したプリント用紙Pを断裁してプリントPpを得るに際し、X方向に搬送されるプリント用紙Pが所定の設定位置Xsに達したなら、当該プリント用紙Pの少なくともY方向の位置Xyを検出する用紙位置センサ2及びプリント用紙PをX方向に断裁可能であって当該プリント用紙Pの搬送方向Fc前方に位置するカッタ機構3を備える追動カッタユニットUmを、プリント用紙PのY方向外方の待機位置Xoから当該プリント用紙P側へ一次移動させ、用紙位置センサ2によりプリント用紙Pを検出したなら、当該検出した位置からY方向における目標とする断裁位置Xcまで二次移動させ、この断裁位置Xcでプリント用紙Pに対するX方向の断裁を行うようにしたことを特徴とする。
【0010】
一方、本発明に係る用紙断裁装置1は、上述した課題を解決するため、少なくとも電子写真方式を含むプリント方式により印刷したプリント用紙Pを断裁してプリントPpを得る用紙断裁装置を構成するに際して、X方向に搬送されるプリント用紙Pが所定の設定位置Xsに達したことを検出する用紙検出手段4と、プリント用紙Pの少なくともY方向の位置Xyを検出する用紙位置センサ2及びプリント用紙PをX方向に断裁可能であって当該プリント用紙Pの搬送方向Fc前方に位置するカッタ機構3を備える追動カッタユニットUmと、この追動カッタユニットUmをプリント用紙PのY方向外方の待機位置Xoから当該プリント用紙P側へ反復的に移動可能なユニット移動機構5と、用紙検出手段4の検出によりユニット移動機構5を移動制御し、プリント用紙PのY方向外方の待機位置Xoから当該プリント用紙P側へ一次移動させ、用紙位置センサ2によりプリント用紙Pを検出したなら、当該検出した位置からY方向における目標とする断裁位置Xcまで二次移動させる移動制御手段6とを具備してなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の好適な態様により、用紙位置センサ2は、プリント用紙PのサイドエッジPs又は当該プリント用紙Pに表示されたマーキングを検出することができる。なお、プリントPpには、縁無しの写真プリントを適用することが望ましい。さらに、所定の設定位置Xsに対する搬送方向Fc手前に、当該プリント用紙Pに対するスキュー補正を行うスキュー補正機構7を配設してスキュー補正処理を行うことが望ましい。なお、カッタ機構3には、回転する丸刃3sを用いることができるとともに、追動カッタユニットUmは、搬送方向Fcに対する左右方向両側に一対(Um,Um)配することができる。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明に係る用紙断裁方法及び用紙断裁装置1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
(1) プリント用紙Pの少なくともY方向の位置Xyを検出する用紙位置センサ2及びプリント用紙PをX方向に断裁可能であって当該プリント用紙Pの搬送方向Fc前方に位置するカッタ機構3を有する追動カッタユニットUmを備えるため、用紙位置センサ2とカッタ機構3は一体に変位する。したがって、基本的に、検出時の位置及びタイミングと制御時の位置及びタイミング間には誤差要因がほとんど存在せず、断裁位置の正確性及び安定性を飛躍的に高めることができる。
【0014】
(2) 長期使用による機械的なガタつき、位置ズレ、ドリフト等により経年変化などが生じた場合であっても、これらの発生に影響されないため、これらに対応する材料選定や補強機構、更には矯正機能(補正機能)等の付加も不要になる。したがって、高い信頼性を確保できることに加え、構造の煩雑化や精密化によるコストアップやサイズアップを回避することができる。
【0015】
(3) 好適な態様により、用紙位置センサ2により、プリント用紙PのサイドエッジPsを検出するようにすれば、プリント用紙Pにマーキング等の別途の処理を施すことなく容易に実施できるとともに、用紙位置センサ2により、プリント用紙Pに表示されたマーキングを検出するようにすれば、例えば、印刷された写真画像等に対してより正確な位置関係を検出できる。また、必要により、用途や装置グレード等により、これらを使い分けることも可能となる。
【0016】
(4) 好適な態様により、プリントPpに、縁無しの写真プリントを適用すれば、奇麗で高品質な縁無しの写真プリントを容易に得ることができため、本発明に係る用紙断裁方法及び用紙断裁装置1は、特に、電子写真方式により縁無しの写真プリントを作成する際に用いて最適となる。
【0017】
(5) 好適な態様により、所定の設定位置Xsに対する搬送方向Fc手前に、当該プリント用紙Pに対するスキュー補正を行うスキュー補正機構7を配設してスキュー補正処理を行うようにすれば、Y方向に沿った(平行となる)正確な断裁を行うことができるとともに、この際、X方向にズレた位置にあっても、本発明方法を用いることにより、このズレに左右されることなく正確な位置を断裁することができる。
【0018】
(6) 好適な態様により、カッタ機構3に、回転する丸刃3sを用いれば、比較的低コストのカッタ機構により確実かつ容易に断裁できるとともに、コストダウンにも寄与できる。
【0019】
(7) 好適な態様により、追動カッタユニットUmを、搬送方向Fcに対する左右方向両側に一対(Um,Um)配すれば、左右の断裁処理を同時に行うことができるため、より効率的な断裁処理を行うことができるとともに、左右独立した制御が可能になるため、左右それぞれにおいて正確な位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の好適実施形態に係る用紙断裁方法を順を追って説明するためのフローチャート、
図2】本発明の好適実施形態に係る用紙断裁装置の主要部の内部構造を示した平面図、
図3】同用紙断裁装置に備える追動カッタユニットの側面構成図、
図4】同用紙断裁装置に備える追動カッタユニットの平面構成図、
図5】同用紙断裁装置に備える追動カッタユニットの下斜視図、
図6】同用紙断裁装置に備える追動カッタユニットの断面正面図、
図7】同用紙断裁装置を用いた用紙断裁方法の工程状態説明図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
まず、本実施形態に係る用紙断裁装置1の構成について、図2図5を参照して説明する。
【0023】
図2中、10は搬送路であり、この搬送路10の左右両側には対峙した一対のサイドプレート11p,11qを配設する。この搬送路10の搬送方向FcがX方向となり、搬送方向Fcに直交する左右方向がY方向となる。一対のサイドプレート11pと11q間には複数の搬送ローラ機構Rm…を架設する。各搬送ローラ機構Rm…は搬送方向Fcに所定間隔置きに配し、図3に示すように、一つの搬送ローラ機構Rmは、上下一対のローラユニットRmuとRmdを備えるとともに、一つのローラユニットRmuは、図2図3)に示すように、一本のシャフトrsとこのシャフトrsの軸方向に所定間隔置きに設けたローラ体(ゴムローラ)r…からなり、この構成は、他のローラユニットRmu…及びRmd…も同様である。各搬送ローラ機構Rm…はサーボモータ等を利用した回転駆動部15により回転駆動される。
【0024】
また、図2は、三つの搬送ローラ機構Rm…を示しているが、このうち中間に位置する搬送ローラ機構Rmは、レジストローラ機構Rrを構成し、このレジストローラ機構Rrに近接する搬送方向Fc後方位置には、レジストセンサ55を配設する。このレジストセンサ55は、X方向に搬送されるプリント用紙Pが後述する所定の設定位置Xsに達したことを検出する用紙検出手段4を構成するとともに、レジストローラ機構Rrは、搬送路10を搬送されるプリント用紙Pに対するスキュー補正を行うスキュー補正機構7を構成する。このスキュー補正機構7は設定位置Xsに対する搬送方向Fc手前に配される。なお、図3中、12はスキュー補正時にプリント用紙Pの撓みを許容する空間を形成するためのガイドプレートを示す。
【0025】
他方、レジストローラ機構Rrの近傍であって搬送方向Fc前方位置には、左右一対の追動カッタユニットUm,Um及び対応する左右一対のユニット移動機構5,5を配設する。この場合、サイドプレート11pと11q間には、左右における追動カッタユニットUm,Umの、支持機能,ガイド機能及び回転伝達機能を兼ねるとともに、送り出し機能を兼ねる上下一対のドライブシャフト16u,16dを回動自在に架設し、このドライブシャフト16u,16dに各追動カッタユニットUm,Umを装填する。また、図3に示すように、下側のドライブシャフト16dの一端部の近傍にはサーボモータ等を利用した回転駆動部17を配設し、この回転駆動部17の回転出力軸とドライブシャフト16dの一端部をタイミングベルト18bを用いた回転伝達機構18により回転伝達可能に接続するとともに、図6に示すように、下側のドライブシャフト16dの他端部と上側のドライブシャフト16uの他端部は、一対のギア19u,19dを用いた回転伝達機構19により回転伝達可能に接続する。さらに、ドライブシャフト16u,16dの中央位置には、断裁時の送りローラ(ゴムローラ)20u,20d(20dは図示を省略)をそれぞれ固定する。なお、一方の追動カッタユニットUm及びユニット移動機構5はサイドプレート11p側に配設するとともに、他方の追動カッタユニットUm及びユニット移動機構5はサイドプレート11q側に配設し、サイドプレート11p側のレイアウトとサイドプレート11q側のレイアウトはそれぞれ左右対称となる。
【0026】
サイドプレート11q側に配設した追動カッタユニットUmを、図4図6に抽出して示す。追動カッタユニットUmはホルダフレーム21を備え、このホルダフレーム21の搬送方向Fcの前部にカッタ機構3を配設する。カッタ機構3は、ホルダフレーム21の上部位置に、左右一対のベアリング23,23により回動自在に支持された筒形のスライダ22を備え、ベアリング23と23間に位置するスライダ22の外周面には、送りローラ(ゴムローラ)25及び丸刃3sを取付ける。この際、送りローラ25は内側(搬送路10の中央側)に配し、丸刃3sはその外側に配する。なお、24,24はスライダ22の両端に取付けたカラーを示す。このように、カッタ機構3に、回転する丸刃3sを用いれば、比較的低コストのカッタ機構により確実かつ容易に断裁できるとともに、コストダウンにも寄与できる利点がある。
【0027】
また、丸刃3sの外側に位置するスライダ22の外周面には、周方向に沿ったリング状のストッパ26を一体形成するとともに、丸刃3sはスライダ22に対して、周方向に規制され、かつ軸方向に変位が許容されるように取付ける。そして、丸刃3sと送りローラ25間には圧縮させた予圧スプリング27を介在させることにより、丸刃3sをストッパ26側に圧接させる。一方、筒形のスライダ22の内部に、前述したドライブシャフト16uを挿通させる。この際、ドライブシャフト16uの外周面には、軸方向に沿ったガイドスリット28を形成するとともに、スライダ22の内周面には、当該ガイドスリット28に係合する凸条部29を形成し、これにより、スライダ22がドライブシャフト16uに対して、周方向に規制され、かつ軸方向に変位自在となるように装填する。
【0028】
さらに、ホルダフレーム21の下部位置には、左右一対のベアリング31,31により回動自在に支持された筒形のスライダ32を備え、ベアリング31と31間に位置するスライダ32の外周面には、送りローラ(ゴムローラ)33と円形の下刃34を取付ける。なお、35,35はスライダ32の両端に取付けたカラーを示す。この場合、送りローラ33は内側(搬送路10の中央側)に配し、下刃34はその外側に配する。この際、図3に示すように、丸刃3sの下端部と下刃34の上端部の一部をオーバーラップさせ、丸刃3sの下端部の端面一部を、下刃34の上端部の端面一部に当接(圧接)させる。一方、筒形のスライダ32の内部に、前述したドライブシャフト16dを挿通させる。この際、ドライブシャフト16dの外周面には、軸方向に沿ったガイドスリット36を形成するとともに、スライダ32の内周面に当該ガイドスリット36に係合する凸条部37を形成し、これにより、スライダ32がドライブシャフト16dに対して、周方向に規制され、かつ軸方向に変位自在となるように装填する。
【0029】
また、ホルダフレーム21の搬送方向Fcの後部には、ユニット移動機構5を配設する。この場合、ホルダフレーム21の後部にボールねじ機構41のねじ部41nを固定するとともに、サイドプレート11qにボールねじ機構41のスクリュ部41sの一端を回動自在に取付ける。なお、スクリュ部41sの他端は、搬送路10の中央側に配した支持プレート42により回動自在に支持する。さらに、スクリュ部41sの外側端部の近傍にはサーボモータ等を利用した回転駆動部43を配設し、この回転駆動部43の回転出力軸とスクリュ部41sの外側端部をタイミングベルト44bを用いた回転伝達機構44により回転伝達可能に接続する。したがって、ユニット移動機構5は、追動カッタユニットUmをプリント用紙PのY方向外方の位置から当該プリント用紙P側へ反復的に移動させることができる機能を備えている。
【0030】
一方、ホルダフレーム21の搬送方向Fcの後端部から後方へ水平なサブフレーム部21sを一体に形成し、このサブフレーム部21sの下面に、プリント用紙Pの少なくともY方向の位置Xyを検出する用紙位置センサ2を取付ける。この用紙位置センサ2には、例えば、反射型の光学式センサを用いることができる。この場合、用紙位置センサ2による検出対象は、プリント用紙PのサイドエッジPsであってもよいし、プリント用紙Pの余白に別途印刷(表示)したマーキングであってもよい。サイドエッジPsを検出するようにすれば、プリント用紙Pにマーキング等の別途の処理を施すことなく容易に実施できるとともに、用紙位置センサ2により、プリント用紙Pに表示されたマーキングを検出するようにすれば、例えば、印刷された写真画像等に対してより正確な位置関係を検出できる。また、必要により、用途や装置グレード等により、これらを使い分けることも可能となる。
【0031】
以上、サイドプレート11q側に配した追動カッタユニットUmについて詳細に説明したが、サイドプレート11p側に配する追動カッタユニットUmも上述したサイドプレート11q側の追動カッタユニットUmと同様に構成することができる。この場合、サイドプレート11p側に配する追動カッタユニットUmは、サイドプレート11q側に配した追動カッタユニットUmに比べ、左右対称となるようにレイアウト構成する点を除き、基本的な構成は同じとなる。このため、サイドプレート11p側に配する追動カッタユニットUmにおいて、サイドプレート11q側に配した追動カッタユニットUmと同一部分については同一符号を付してその構成を明確にした。このように、追動カッタユニットUmを、搬送方向Fcに対する左右方向両側に一対(Um,Um)配すれば、左右の断裁処理を同時に行うことができるため、より効率的な断裁処理を行うことができるとともに、左右独立した制御が可能になるため、左右それぞれにおいて正確な位置決めを行うことができる。なお、図中、39はドブガイド、46は切屑収容ボックスをそれぞれ示す。
【0032】
他方、用紙断裁装置1には、全体の制御を司るコンピューティング機能を有する断裁装置コントローラ51を備える。この断裁装置コントローラ51は、CPU及び内部メモリ等のハードウェアを備え、内部メモリには、少なくとも本実施形態に係る用紙断裁方法に係わる一連の動作を制御するシーケンスプログラム等を格納するプログラムエリア51pを有するとともに、各種データ(データベースを含む)を書込むデータエリア51dを有する。また、断裁装置コントローラ51には、表示部を含む設定部52が付属する。さらに、断裁装置コントローラ51の出力ポートには、前述した回転駆動部15,17,43,43を接続するとともに、センサポートには、レジストセンサ55及び用紙位置センサ2,2を接続する。なお、設定部52は、少なくとも後述する断裁位置Xc…の設定(選定)を含む各種設定を行うことができる。
【0033】
この場合、各搬送ローラ機構Rm…を回転駆動する回転駆動部15は断裁装置コントローラ51により制御されるため、この回転駆動部15と断裁装置コントローラ51は、X方向に搬送されるプリント用紙Pを停止又は停止解除可能な搬送制御手段を構成する。したがって、各搬送ローラ機構Rm…において、特に、レジストローラ機構Rrはクラッチを介して回転駆動部15側に接続し、或いは独立した回転駆動部により回転駆動可能に構成する。また、断裁装置コントローラ51は、用紙位置センサ2の検出結果に応じてユニット移動機構5を回転駆動する回転駆動部43を制御する機能を備えるため、断裁装置コントローラ51,用紙位置センサ2及び回転駆動部43は、ユニット移動機構5を移動制御することにより、用紙位置センサ2によりプリント用紙Pを検出したなら、当該検出した位置からY方向における目標とする断裁位置Xcまで移動させる移動制御手段6を構成する。
【0034】
次に、このように構成した用紙断裁装置1の動作を含む本実施形態に係る用紙断裁方法について、図2図7を参照しつつ図1に示すフローチャートに従って説明する。
【0035】
本実施形態に係る用紙断裁装置1は、プリンタに内蔵し、又はプリンタに外付けし、又は単独で使用することができる。なお、単独で使用するとは予めプリンタで印刷されたプリント用紙Pを用いる意味である。
【0036】
したがって、用紙断裁装置1の使用時には、まず、図示を省略したプリンタにより印刷処理が行われる(ステップS1)。プリンタの印刷方式はフルカラーの電子写真方式であり、プリンタからは写真画像が印刷されたプリント用紙Pが得られる。そして、このプリント用紙Pは、本実施形態に係る用紙断裁装置1により断裁され、最終的に縁無しの写真プリント(プリント)Ppを得ることができる。このように、プリントPpに、縁無しの写真プリントを適用すれば、奇麗で高品質な縁無しの写真プリントを容易に得ることができため、本発明に係る用紙断裁方法及び用紙断裁装置1は、特に、電子写真方式により縁無しの写真プリントを作成する際に用いて最適となる。
【0037】
一方、写真画像が印刷されたプリント用紙Pは、図2に仮想線で示すように、用紙断裁装置1の搬送路10に搬入され、搬送路10を搬送方向Fcに搬送される(ステップS2)。そして、プリント用紙Pの先端がレジストセンサ55により検出されたならスキュー補正処理が行われる(ステップS3,S4,S5)。スキュー補正処理は、次のように行われる。まず、プリント用紙Pが通過する前は、レジストローラ機構Rrの回転を停止させておく。この場合、前述したクラッチ等の切断制御により回転を停止させることができる。なお、停止とは回転方向に固定する意味である。そして、プリント用紙Pが搬送され、プリント用紙Pの先端がレジストセンサ55により検出された後、所定のタイミングによりクラッチ等を接続制御してレジストローラ機構Rrの回転を開始させる。この際、所定のタイミングを、予め適切なタイミングに設定すれば、プリント用紙Pの先端がレジストローラ機構Rrに当接した際に、プリント用紙Pに撓みを生じさせ、プリント用紙Pの先端辺を、レジストローラ機構Rrにいわば線接触させることができる。即ち、図7(a)に示すように、プリント用紙Pが若干傾斜して搬送されたとしても、回転が停止しているレジストローラ機構Rrにプリント用紙Pの先端辺が当接し、当該先端辺がレジストローラ機構Rrの各ローラ体Rr…の配列方向に平行となるように補正される。
【0038】
また、プリント用紙Pの先端がレジストセンサ55により検出された後、所定の設定時間が経過したなら回転駆動部15を停止制御する。これにより、プリント用紙Pは、図7(b)に示す設定位置Xsで停止する(ステップS6,S7)。この場合、設定位置Xsは、プリント用紙Pの先端が、用紙位置センサ2のX方向位置を通過し、かつカッタ機構3に到達する手前で停止させる。これにより、プリント用紙Pはスキュー補正されてレジストローラ機構Rrから搬出されるとともに、当該設定位置Xsに到達して停止する。
【0039】
このように、設定位置Xsに対する搬送方向Fc手前に、当該プリント用紙Pに対するスキュー補正を行うスキュー補正機構7を配設してスキュー補正処理を行うようにすれば、Y方向に沿った(平行となる)正確な断裁を行うことができるとともに、この際、X方向にズレた位置にあっても、後述するように、本発明方法を用いることにより、このズレに左右されることなく正確な位置を断裁できる利点がある。
【0040】
そして、プリント用紙Pが設定位置Xsで停止したなら、回転駆動部43を制御し、ボールねじ機構41のスクリュ部41sを回転させる。これにより、追動カッタユニットUmは、プリント用紙PのY方向外方の待機位置Xoから当該プリント用紙P側へ一次移動する(ステップS8)。なお、以下は、一方の追動カッタユニットUmの動作のみを説明するが他方の追動カッタユニットUmの動作も同様のタイミングにより同様に行われる。追動カッタユニットUmが待機位置Xoから一次移動すれば、用紙位置センサ2がプリント用紙PのサイドエッジPsを検出する。用紙位置センサ2が検出したなら、そのまま継続して二次移動に移行させる(ステップS9,S10)。そして、この後、追動カッタユニットUmが、用紙位置センサ2の検出した位置からY方向における目標とする断裁位置Xcに達したなら追動カッタユニットUmの移動を停止させる(ステップS11,S12)。この場合、プリント用紙Pの用紙サイズ及びプリント用紙Pにおける断裁位置Xcは予め既知情報として判っているため、用紙位置センサ2の検出した位置から断裁位置Xcまでの移動量は、移動距離又は移動時間により設定できる。例示の場合、回転駆動部43にはロータリエンコーダ付のサーボモータ或いはステッピングモータ(パルスモータ)等を使用するため、必要な移動距離はパルス数により容易かつ正確に設定できる。
【0041】
この後、回転駆動部15及び回転駆動部17を制御し、搬送ローラ機構Rm…及び送りローラ(ゴムローラ)20u…,33…を回転させることにより、プリント用紙Pを搬送方向Fcへ送り出す(ステップS13,S14)。これにより、プリント用紙Pは断裁位置Xcから再搬送され、X方向への搬送中に、カッタ機構3を通過、即ち、上側の丸刃3sと円形の下刃34が回転するカッタ機構3を通過することにより、プリント用紙Pに対する断裁が行なわれる。この状態を図7(c)に示す。なお、同図(c)中、Kc…は断裁した個所を示している。例示の場合、一方のカッタ機構3における丸刃3sとサイドプレート11p間の距離Lpと他方のカッタ機構3における丸刃3sとサイドプレート11q間の距離Lqは異なる場合を示している。このように、プリント用紙Pの位置が左右にズレていても、断裁位置Xcは左右とも正確な位置が設定される。なお、図7(a)中、C1,C2,C3は、プリント用紙Pに対する正規の異なる断裁位置を示している。
【0042】
そして、プリント用紙Pがカッタ機構3を通過し終えたことを不図示の用紙センサにより検出すれば、追動カッタユニットUmは、ホームポジションである元の待機位置Xoに戻される(ステップS15,S16)。他方、断裁された後のプリント用紙Pは、プリント(写真プリント)Ppとして不図示のスタッカに収容されるとともに、断裁された切屑は、切屑収容ボックス46に収容される。以上により、一枚のプリント用紙Pに対する一回の断裁処理(断裁工程)が終了するため、他の残っているプリント用紙Pが終了するまで、同様の処理が繰り返し行われる(ステップS17,S1…)。また、以上の断裁処理は、プリントPpにおける二辺の断裁処理となるため、残りの二辺に対しては、プリントPpを90度向きを変え、プリント用紙Pとして、再度、搬送路10に搬入させれば、残りの二辺に対する断裁処理が同様に行われ、これにより、最終的なプリントPpを得ることができる。
【0043】
なお、上述した実施形態では、プリント用紙Pを設定位置Xsで一旦停止させ、この状態で追動カッタユニットUmを断裁位置Xcまで移動させた後、プリント用紙Pの搬送を再開するようにしたが、プリント用紙Pが設定位置Xsに達した際に必ずしも停止させる必要はなく、そのままプリント用紙Pの搬送を継続してもよい。この場合、プリント用紙Pが、設定位置Xsを通過した後、追動カッタユニットUmのカッタ機構3の手前(直前)に達するまでの移動時間内に、追動カッタユニットUmを待機位置Xoから断裁位置Xcまで移動させる必要があるため、追動カッタユニットUmにおけるカッタ機構3と用紙位置センサ2の配置間隔を長く設定したり、或いはプリント用紙Pの搬送速度を低下させる等により実現可能である。したがって、本発明は、プリント用紙Pを設定位置Xsで一旦停止させることなく、そのまま搬送を継続させる態様も含む概念である。
【0044】
よって、このような本実施形態に係る用紙断裁方法及び用紙断裁装置1によれば、プリント用紙Pの少なくともY方向の位置Xyを検出する用紙位置センサ2及びプリント用紙PをX方向に断裁可能であって当該プリント用紙Pの搬送方向Fc前方に位置するカッタ機構3を有する追動カッタユニットUmを備えるため、用紙位置センサ2とカッタ機構3は一体に変位する。したがって、基本的に、検出時の位置及びタイミングと制御時の位置のタイミング間には誤差要因がほとんど存在せず、断裁位置の正確性及び安定性を飛躍的に高めることができる。しかも、長期使用による機械的なガタつき、位置ズレ、ドリフト等により経年変化などが生じた場合であっても、これらの発生に影響されないため、これらに対応する材料選定や補強機構、更には矯正機能(補正機能)等の付加も不要になる。したがって、高い信頼性を確保できることに加え、構造の煩雑化や精密化によるコストアップやサイズアップを回避することができる。
【0045】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0046】
例えば、プリントPpには、縁無しの写真プリントを適用して最適であるが、縁有りの写真プリントや他の各種プリントに適用する場合を排除するものではない。また、用紙位置センサ2として、反射型の光学式センサを例示したが、透過型の光学式センサであってもよく、要はプリント用紙PのサイドエッジPs或いはマーキングを検出できるセンサであれば、各種センサを利用できる。さらに、回転伝達機構18,19,44の構成として、タイミングベルトを利用したタイプ,一対のギアを利用したタイプを例示したが、回転伝達機構を介在しないタイプ、即ち、モータの回転を直接伝達するタイプであってもよいし、モータも、サーボモータのみならず、ステッピングモータ(パルスモータ)をはじめ、リニアモータ等の各種モータを選択して利用できる。一方、スキュー補正機構7を設けることが望ましいが、必ずしも必須の要件ではない。また、カッタ機構3に、回転する丸刃3sを利用する場合を示したが、他の各種カッティング手段を排除するものではない。さらに、追動カッタユニットUmは、搬送方向Fcに対する左右方向両側に一対(Um,Um)配することが望ましいが、一方にのみ配する場合を排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る用紙断裁装置は、例示した電子写真方式の印刷装置に利用して最適であるが、その他、銀塩方式,インクジェット方式,熱転写方式等の各種方式の印刷装置(プリント装置)にも同様に利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1:用紙断裁装置,2:用紙位置センサ,3:カッタ機構,3s:丸刃,4:用紙検出手段,5:ユニット移動機構,6:移動制御手段,7:スキュー補正機構,P:プリント用紙,Pp:プリント,Xy:Y方向の位置,Xo:待機位置,Xc:断裁位置,Fc:搬送方向,Um:追動カッタユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7