【実施例】
【0014】
実施例に係る配線ダクト装置につき、
図1から
図8を参照して説明する。
図1(a)に示されるテーブル2は、主に会議室などで利用される折りたたみテーブルであり、左右一対の脚部材20,20に支持される天板21を有し、脚部材20,20を構成する4本の脚20a,20a,…にはそれぞれキャスタ50,50,…が設けられている。尚、テーブル2Aは
図7における紙面左側を背面、右側を正面として説明する。
【0015】
このようなテーブル2には、その天板21上にパソコンや電話などの電化製品を配置する場合があることから、天板21に下方へ貫通する開口Kを設けるとともにカバー22a,22a,…を取付けて、下方から天板21の上に電線や通信線等の配線類を通す配線引き出し部22,22,…を設けている。
【0016】
また、テーブル2は脚部材20,20の背面側を覆うように横架部材としての幕板6が取付けられている。詳しくは幕板6は、その正面6aにおける下部の左右に下部リンク部材7が取付けられている(
図7参照)。この下部リンク部材は、一端を幕板6側に枢支されて前後方向に回動可能となっている棒材であり、他端を脚体20の内側に前後方向に回動可能に枢支されている。
【0017】
そして、幕板6の正面6a側における上部の左右には、上部リンク部材8が取付けられている(
図7参照)。この上部リンク部材8は、一端を幕板6側に枢支されて前後方向に回動可能となっている棒材であり、他端を天板21の下面210に固着されている。
【0018】
また、幕板6の正面6aには配線ダクト1等を取付け可能な上レール部60(溝部)と下レール部61(溝部)とが長手方向に亘り上下に形成されている。上レール部60は、幕板6の内部に矩形状に凹設されるとともに、開口部分において幕板正面6aから一部下方へ突出した係止部60aを備えた形状となっている。また下レール部61は、上レール部60を天地対称とした形状となっており、係止部61aを備えている。
【0019】
本発明は、上述したテーブルに取付けられて、電線や通信線等の配線類をまとめてテーブルの左右に誘導載置するための配線ダクト装置である。尚、配線ダクト装置1は
図7における紙面左側を背面、右側を正面として説明する。
【0020】
図2ないし
図4に示されるように、配線ダクト装置1は略上向き略J字状の配線ダクト本体3に、その長手方向両端部に取付部材4,4がそれぞれ接続されて構成されており、配線ダクト本体3と取付部材4,4の下部により配線が載置される配線受部5が構成されている。
【0021】
配線ダクト本体3の断面形状は、長手方向に亘り同形の略上向きコ字状であり、その断面形状における上方を向く2つの屈曲片3a,3bのうち1方(3a)が短く形成されており、電線および通信線の脱落を防止するとともに、後述する配線ダクト装置の取付け後において利用者が配線受部にアクセスしやすいように天板21との間に開口を形成するようになっている。また、
図4に示されるように、配線ダクト本体3の端部には切欠き3c,3cがそれぞれ設けられている。
【0022】
取付部材4は、略矩形状に形成されるとともに、側部を開口する開口部4eを備えた側面視略ロ字状となっており、この開口4eより配線受部5に載置された配線をまとめて配線ダクト装置1の外に出すようになっている。
【0023】
そして、取付部材4は配線ダクト本体3の端部形状と略同形の溝部4aを備えており、配線ダクト本体3の端部がこの溝部4a(詳しくは
図6(a)参照)に溝嵌合することで配線ダクト装置1が構成されている。また、溝部4aの内側には突起43が形成されており、当該突起43が前記配線ダクト本体3の端部の切欠き3c,3cにそれぞれ係合することで取付部材4と配線ダクト本体3との固定力が高められている。なお、
図5(a),(b)に示されるように、溝部4aは奥面4hを有した溝構造であるため、配線ダクト本体3を奥面4hに当接して外方へ突出させることなく、また配線ダクト本体3を後述するビス孔40,40に到達させることなく、差込み方向に位置決めできる。
【0024】
また、配線ダクト本体3の断面形状における2つの屈曲片3a,3bはそれぞれの上方端部に配線受部5側に膨出する肉厚部30,31を有しており、配線ダクト本体3の捻れ変形を防止している。なお、前記取付部材4,4の溝部4a,4aにはこれらの肉厚部が嵌合可能な拡大溝部4g,4gが形成されている。
【0025】
図6に示されるように、取付部材4は、背面4d上部より下方に向け鉤状に延設される係合部41と、背面4d下部より上方に向け鉤状に延設される係合部42とが、背面4dの幅方向に亘り形成されており、これらが本発明における第1の取付部である。
【0026】
そして、配線ダクト装置1は、これらの上下の係合部41,42を前記幕板6の正面6aに設けられた上レール部60と下レール部61とにそれぞれ溝嵌合させて幕板6に対し固定される。
【0027】
溝嵌合の方法としては、幕板6の長手方向両端にそれぞれ取付けられるエンドキャップ9,9(
図1参照)を一旦取り外して上レール部60と下レール部61の端部を露出させ、当該上レール部60と下レール部61に対し組み上がった状態の配線ダクト装置1における上下の係合部41,42を側方よりスライドさせて溝嵌合し、最後にエンドキャップ7を取付ける。
【0028】
なお、エンドキャップ9,9は幕板6への取付け時に、上レール部60および下レール部61内に所定の長さ侵入する突出片9a,9aを有しているため、最後にエンドキャップ7を取付けたことで突出片9a,9aが取付部材4,4の係合片41,41の外側面41a,41aにそれぞれ当接して配線ダクト装置1の左右方向の移動を規制するようになっている。
【0029】
図5(a),(b)に示されるように、取付部材4の上面4bは、溝部4aの形成される側面とは反対側、すなわち配線受部5の長手方向外方に一部突出する突出部4fを有しており、この突出部4fには第2の取付部であるビス孔40,40が穿設され、後述する天板下面210(
図7参照)への取付け時に利用されるようになっている。
【0030】
続いて、配線ダクト装置1は前記幕板6を備えないテーブル2’の天板21に取付ける場合を
図8を用いて説明する。組み立てられた配線ダクト装置1は、配線ダクト本体3が前記配線引き出し部22の真下またはその近傍に位置するようにテーブル2’の天板21の下面210に配置され、前述したように取付部材4,4のビス孔40,40,…を通して天板下面210に直接ビス100,100,…で固定される。
【0031】
またこのビス止め作業は、
図5(a),(b)に示されるように、ビス孔40,40は配線受部5の長手方向の端部より外方側に穿設されていることから、配線ダクト装置1の取付け作業時においてドライバーをビス孔40,40に対し垂直にアクセスさせることができるため作業効率が高い。
【0032】
なお、取付部材4,4は上面4bと、背面4dとが成す角度が直角より若干小さくなるように設計されていることから、その取付け完了時において背面の下部が正面側に若干傾斜するようになっており、これに伴い配線ダクト本体3の下部も正面側に傾斜するため、配線ダクト装置1全体が正面側に傾斜して、テーブル2Aの背面側から見た際の配線ダクト装置1の存在感を和らげる視覚効果がある。
【0033】
以上説明したように本発明の配線ダクト装置は、電線および通信線を配置する配線受部5と、天板21における下面210に固定可能な第1の取付部と、幕板6などの横架部材の正面6aに固定可能な第2の取付部と、を備えることから、配線受部に電線および通信線を配置可能としながら、天板21と幕板6や一対の脚部材20,20に連結された補強横材等の横架部材とのどちらにも取付けることができる。そのため、天板21と横架部材のどちらに取付ける要望に対しても、それぞれ専用の配線ダクト装置を準備する必要がないため、製造コストを削減可能であるとともに、現場での汎用性が高い。
【0034】
また、第1の取付部を鉤状の係合部41,42を幕板6に設けた上レール部60および下レール部61に対し溝嵌合する構造とすることでテーブルへの固定力を高めるとともに、一方の第2の取付部をビス固定とすることで汎用性を高めることができる。
【0035】
また、取付部材4,4に第1の取付部と第2の取付部を設けたことから、配線ダクト本体3に取付部を設ける必要がなく、かつ配線ダクト本体3は長手方向に亘り同形の断面形状であることから、配線ダクト本体3を任意の長さに切断して、その長さを調整可能であり、種々の大きさのテーブルに対応できる。
【0036】
また、略上向きコ字状に形成された配線ダクト本体3は、変形に強い矩形状の取付部材4,4に設けられた溝部4aに嵌合するため、捻れや歪みに強い。また、このように構造的に配線ダクト装置1の強度を高められていることから、例えば配線ダクト装置1を強度の高い金属に替えて合成樹脂等の素材で構成することができるため、配線ダクト装置1の軽量化が可能であり、前記第1の取付部及び第2の取付部に掛かる負荷の軽減も可能である。
【0037】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0038】
例えば、前記実施例では、取付部材4の係合部41,42を上レール部60と下レール部61に溝嵌合させる際に、幕板6の長手方向両端にそれぞれ取付けられるエンドキャップ9,9(
図1参照)を一旦取り外して上レール部60と下レール部61の端部を露出させ、係合部41,42を側方よりスライドさせて溝嵌合させる態様で説明されているが、例えば、係合部41,42を上レール部60と下レール部61に対し押圧することで弾性変形させて嵌合させてもよい。
【0039】
また、変形例に係る取付部材4’’として、
図9(a),(b)に示されるように、それぞれ下向き鉤状に形成される係合部41’,42’を、幕板6’の正面6a’に設けられた上レール部60’と下レール部61’の係止部60a’,61a’とにそれぞれ係合させ、さらに係合部41’と上レール部60’との間に生じた間隙に楔部材110を押圧挿入することで配線ダクト装置を上方に移動不能に幕板6’に取付けるようにしてもよい。
【0040】
また、配線ダクト本体と取付部材の組み立て態様は前記実施例の構成に限らず、組み立て態様の変形例として、例えば
図10に示されるように、配線ダクト本体3の下面3d’における長手方向端部近傍に係合孔3c’を穿設し、取付部材4’の下面4c’側に突起43’を設け、この突起43’を前記係合孔3c’に係合させることで取付部材4’と配線ダクト本体3’との固定力を高める構成にしてもよい。
【0041】
また、第1の取付部は溝嵌合による取付け構造に限らず、例えばビス止めなどであってもよく、第2の取付部も同様に、例えば溝嵌合等の別の取付け構造であってよい。
【0042】
また、配線ダクト本体3の形状は断面視略J字状に限らず、例えば断面視略コ字状や略円形であってもよい。
【0043】
また、配線ダクト装置1は、配線ダクト本体3と取付部材4とに分かれて構成される構造に限らず、これらを一体に形成し、配線ダクト装置1の外面に第1の取付部および第2の取付部を設けてもよい。さらに、このように一体に形成した場合において、配線ダクト装置1の少なくとも長手方向側端部の上縁を前方に屈曲させるとともに、前記配線受部5より外側に突出する突出部を形成し、この突出部に天板に取付けるための第2の取付部を設けてもよく、これによれば、配線ダクト装置1の取付け作業時においてドライバーをビス孔40,40に対し垂直にアクセスさせることができる。
【0044】
また、取付部材4,4には開口部4eがそれぞれ設けられているが、取付部材4,4には開口部4eを設けず、配線ダクト本体3の下面における長手方向の所要箇所に開口を穿設して、この開口より電線および通信線をまとめて配線ダクト装置1の下方へ出すようにしてもよい。
【0045】
また、配線ダクト装置1は、前記実施例にあるような折りたたみ式のテーブルに取付けられる用途に限らず、例えば書類などを収納するとともに、天板にファックスや電話の子機等を載置するキャビネットなどに取付けられてもよい。
【0046】
また、特に図示しないが、配線ダクト本体3の中央付近に、背面に取付部材4の係合部41,42と同形状の係合部を有するとともに配線ダクトの断面形状と略同形の貫通孔を有する補助取付部材を配置することで、配線ダクト装置1が取付けられる家具が長手方向に長く形成されている場合であっても、配線ダクト本体3の下方への撓み、およびこの撓みに起因する取付部材4からの配線ダクト3の脱落を防止できる。