(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
護岸法線方向に配列された、複数の護岸構造体で構成される遮水壁の上部に構築され、隣合う護岸構造体間を遮水する遮水継手部と上下に対応する位置に設けられた目地部を介して、相互に複数連結されてなる上部コンクリートの遮水構造であって、
前記目地部内に設置される目地材には、上部コンクリート上面の高さから、少なくとも遮水継手部上端面の高さまでの範囲に、アスファルト混合物等の遮水材が用いられて、目地部とこれに対応する遮水継手部との間で、上下方向に連続した遮水構造が形成されていることを特徴とする護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造。
護岸法線方向に配列された、複数の護岸構造体で構成される遮水壁の上部に構築され、隣合う護岸構造体間を遮水する遮水継手部と上下に対応する位置に設けられた目地部を介して、相互に複数連結されてなる既設の上部コンクリートの遮水構造であって、
前記既設の上部コンクリート上面の高さから、少なくとも遮水継手部の上端面の高さまでの範囲の目地部内に設置されていた既存の目地材が、アスファルト混合物等の遮水材に置き換えられ、前記目地部とこれに対応する遮水継手部との間で、上下方向に連続した遮水構造が形成されていることを特徴とする護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造。
上部コンクリート上面の高さから、少なくとも遮水継手部の上端面の高さまでの範囲の目地部の両側の露出面がそれぞれ、護岸法線方向に隣合う上部コンクリートの側壁面間に取り付けられた、目地材流出防止板によって遮蔽されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造。
護岸法線方向に配列された、複数の護岸構造体で構成される遮水壁の上部に構築され、隣合う護岸構造体間を遮水する遮水継手部と上下に対応する位置に設けられた目地部を介して、相互に複数連結されてなる既設の上部コンクリートの遮水構造であって、
前記既設の上部コンクリート上面の高さから、少なくとも遮水継手部の上端面の高さまでの範囲の目地部内に設置されていた既存の目地材が、アスファルト混合物等の遮水材に置き換えられ、前記目地部とこれに対応する遮水継手部との間で、上下方向に連続した遮水構造が形成されているとともに、
前記既設の上部コンクリート上面には、コンクリート製の嵩上げ部が増設され、
護岸法線方向に隣合う、既設の上部コンクリート間と、嵩上げ部間にそれぞれ形成される目地部は上下方向に連続しているとともに、隣合う嵩上げ部間の目地部内には、上部コンクリート間の目地部内に設置された遮水材と上下方向に連続したアスファルト混合物等の遮水材が設置されていることを特徴とする護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造。
それぞれ隣合う既設の上部コンクリートと嵩上げ部の間に上下に連続して形成される目地部の嵩上げ部上面の高さから少なくとも遮水継手部の上端面の高さまでの範囲の目地部の両側の露出面がそれぞれ、護岸法線方向に隣合う、既設の上部コンクリートと嵩上げ部に亘る側壁面間に取り付けられた、目地材流出防止板によって遮蔽されていることを特徴とする請求4に記載の護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造。
既設の上部コンクリート上面に増設された嵩上げ部内には、護岸法線方向に貫通し、下方が前記上部コンクリート上面に開放された空間が形成され、前記空間内には、護岸法線方向両側の目地部内に設置された遮水材ならびに上部コンクリート上面との間を遮水するアスファルト混合物等の遮水材が設置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造。
上部コンクリートの内部には、その上面と、内部に配置された遮水継手部の上端面との間を連通する縦孔が設けられているとともに、前記縦孔内には、アスファルト混合物等の遮水材が設置されて、前記遮水継手部との間で上下方向に連続した遮水構造が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に記載されている工法においては、外海側に設置されるケーソン等の護岸本体と処分場側に設置される遮水壁間に裏込み石を充填して形成した裏込層が、遮水壁を構成する鋼管矢板等の上端付近まで堆積されている場合には、前記裏込層の上で、上部コンクリート壁下面の遮水工事を行うことが可能であるが、遮水壁の外海側にこのような裏込層が設けられていない場合には、このような工法を用いることができない問題があった。
【0006】
また、遮水壁の上に、上部コンクリート壁からなる嵩上げ部を構築する場合、上部コンクリート壁は一般的に、複数の部分が弾性伸縮可能な目地材を充填された目地部を介して相互に連続するように護岸法線方向に配列されて構築される。しかしながら、通常の目地材は遮水性が乏しいため、上部コンクリート壁自体にクラック等の発生が無い場合でも、処分場側の廃棄物から滲出する汚染水が目地部へ浸入する可能性がある。
【0007】
この点、前記特許文献1に記載されているものにおいては、処分場側から目地部に汚染水が浸入したとしても、上部コンクリート壁の外海側の下面と側面は、アスファルト混合物の遮水層や壁、遮水シート等によって遮水されているので、外海側への汚染水の滲出は阻止されている。
【0008】
しかしながら、これらのアスファルト混合物の遮水層や壁、遮水シート等の厚さは、上部コンクリート壁の厚さと比較すると極めて薄く、経年の劣化等によって、これらの遮水部分に亀裂等が発生すると、目地部を通過した汚染水が遮水壁の外海側へ漏れ出してしまう虞があった。
【0009】
そこで、本発明は、前述したような、従来技術における問題点を解消し、海面処分場内の廃棄物の収容可能量を増やすことができ、また、既設や構築途中の処分場においても、当初計画されていた廃棄物の収容可能量を後から増やすことが可能で且つ高い信頼性を有する、遮水壁の上部コンクリート遮水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために提供される、本発明の護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造の第1のものは、護岸法線方向に配列された、複数の護岸構造体で構成される遮水壁の上部に構築され、隣合う護岸構造体間を遮水する遮水継手部と上下に対応する位置に設けられた目地部を介して、相互に複数連結されてなる上部コンクリートの遮水構造であって、前記目地部内に設置される目地材には、上部コンクリート上面の高さから、少なくとも遮水継手部上端面の高さまでの範囲に、アスファルト混合物等の遮水材が用いられて、目地部とこれに対応する遮水継手部との間で、上下方向に連続した遮水構造が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造の第2のものは、護岸法線方向に配列された、複数の護岸構造体で構成される遮水壁の上部に構築され、隣合う護岸構造体間を遮水する遮水継手部と上下に対応する位置に設けられた目地部を介して、相互に複数連結されてなる既設の上部コンクリートの遮水構造であって、前記既設の上部コンクリート上面の高さから、少なくとも遮水継手部の上端面の高さまでの範囲の目地部内に設置されていた既存の目地材が、アスファルト混合物等の遮水材に置き換えられ、前記目地部とこれに対応する遮水継手部との間で、上下方向に連続した遮水構造が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
前記第1及び第2の発明においては、上部コンクリート上面の高さから、少なくとも遮水継手部の上端面の高さまでの範囲の目地部の両側の露出面がそれぞれ、護岸法線方向に隣合う上部コンクリートの側壁面間に取り付けられた、目地材流出防止板によって遮蔽されていてもよい。
【0013】
また、本発明の護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造の第3のものは、護岸法線方向に配列された、複数の護岸構造体で構成される遮水壁の上部に構築され、隣合う護岸構造体間を遮水する遮水継手部と上下に対応する位置に設けられた目地部を介して、相互に複数連結されてなる既設の上部コンクリートの遮水構造であって、前記既設の上部コンクリート上面の高さから、少なくとも遮水継手部の上端面の高さまでの範囲の目地部内に設置されていた既存の目地材が、アスファルト混合物等の遮水材に置き換えられ、前記目地部とこれに対応する遮水継手部との間で、上下方向に連続した遮水構造が形成されているとともに、前記既設の上部コンクリート上面には、コンクリート製の嵩上げ部が増設され、護岸法線方向に隣合う、既設の上部コンクリート間と、嵩上げ部間にそれぞれ形成される目地部は上下方向に連続しているとともに、隣合う嵩上げ部間の目地部内には、上部コンクリート間の目地部内に設置された遮水材と上下方向に連続したアスファルト混合物等の遮水材が設置されていることを特徴とするものである。
【0014】
前記第3の発明においては、それぞれ隣合う既設の上部コンクリートと嵩上げ部の間に上下に連続して形成される目地部の嵩上げ部上面の高さから少なくとも遮水継手部の上端面の高さまでの範囲の目地部の両側の露出面がそれぞれ、護岸法線方向に隣合う、既設の上部コンクリートと嵩上げ部に亘る側壁面間に取り付けられた、目地材流出防止板によって遮蔽されていてもよい。
【0015】
また、前記第3の発明においては、既設の上部コンクリート上面に増設された嵩上げ部内には、護岸法線方向に貫通し、下方が前記上部コンクリート上面に開放された空間が形成され、前記空間内には、護岸法線方向両側の目地部内に設置された遮水材ならびに上部コンクリート上面との間を遮水するアスファルト混合物等の遮水材が設置されていてもよい。
【0016】
さらに、前述した第1乃至第3の発明においては、上部コンクリートの内部には、その上面と、内部に配置された遮水継手部の上端面との間を連通する縦孔が設けられているとともに、前記縦孔内には、アスファルト混合物等の遮水材が設置されて、前記遮水継手部との間で上下方向に連続した遮水構造が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された発明に係る護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造によれば、遮水壁の上部に構築される上部コンクリートの上面まで、遮水壁の遮水継手部と上下に連続した遮水構造が形成されているため、処分場内に収容される廃棄物を、最大限上部コンクリートの上面の高さまで堆積することが可能となり、海面処分場内の廃棄物の収容可能量を増やすことができる。
【0018】
しかも、上部コンクリート間の目地部には、少なくとも遮水継手部上端面より上方部分が、その全幅に亘ってアスファルト混合物等の遮水材が目地材として設置されているため、遮水性に対して高い信頼性が得られる。
【0019】
請求項2に記載された発明に係る護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造によれば、請求項1に記載された発明の効果に加えてさらに、既に遮水壁に上部コンクリートが構築されている既設や構築途中の海面処分場においても、当初計画されていた廃棄物の収容可能量を後から増やすことが可能となる。
【0020】
請求項3に記載された発明に係る護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造によれば、目地材として、特に、アスファルトマスチックのような流動性のある遮水材を目地部内に流し込んで設置する場合に、設置時や設置後に、目地部内から外部への遮水材の流出を目地材流出防止板によって防ぐことができる。
【0021】
請求項4に記載された発明に係る護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造によれば、既に遮水壁に上部コンクリートが構築されている既設や構築途中の海面処分場においても、遮水性を損なうことなく、当初計画されていた廃棄物の収容可能量を、既設の上部コンクリートの上面に所望の高さの嵩上げ部を増設することによって、後から最大限嵩上げ部の上面の高さまで大幅に増やすことが可能となる。
【0022】
請求項5に記載された発明に係る護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造によれば、特に、アスファルトマスチックのような流動性のある遮水材を、既設の上部コンクリートやその上に増設する嵩上げ部の目地部内に流し込んで設置する場合に、設置時や設置後に、目地部内から外部への遮水材の流出を目地材流出防止板によって防止することができる。
【0023】
請求項6に記載された発明に係る護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造によれば、請求項4に記載された発明において、既設の上部コンクリート上面とその上に構築された嵩上げ部下面の接合部分に万一漏水が発生した場合においても、嵩上げ部内の空間内に設置されているアスファルト混合物等の遮水材によって、処分場側から外海側への漏水の透過が確実に阻止されるため、遮水性に対する信頼性をより高めることができる。
【0024】
請求項7に記載された発明に係る護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造によれば、請求項1乃至6の何れかに記載された発明における、上部コンクリートの内部に配置されている遮水壁の遮水継手部と上部コンクリートとの間の遮水性をより高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造の第1の実施形態における、廃棄物海面処分場の遮水護岸の全体構造を示す概略図である。
【0027】
同図に示す遮水護岸1は、一般廃棄物や産業廃棄物を受入れ、その後、堆積された廃棄物の上層に覆土Mが被せられて埋立地とされる廃棄物海面処分場を外海から区画するものであり、海底地盤G上に、護岸法線方向に内外2列に設置された、多数の護岸構造体としての鋼管矢板2を有している。
【0028】
図2に示すように、これらの内外2列の鋼管矢板2のうち、内側(処分場側)の鋼管矢板2どうしは遮水継手部2Aを介して連結されて遮水壁3を構成している。これらの遮水継手部2Aは、例えば、特開2001−288739号に記載されているような公知の構造のものであり、上下方向にスリットが形成された小径の鋼管どうしを互いのスリットで噛み合わせて、これらの内側に形成される空間内にアスファルト混合物等の止水グラウト2Bを施して、鋼管矢板2間の鉛直遮水工を構成している。
【0029】
また、それぞれの鋼管矢板2と遮水継手部2Aの下端部は、
図1に示す海底Gの透水性地盤4のさらに下方の不透水性地盤5に打ち込んであり、また、内外2列に対向する鋼管矢板2どうしは、上端部近傍で水平なタイロッド6で相互に連結してある。
【0030】
また、前記内外2列の鋼管矢板2の間には、これらの上端付近まで、海底面Gの上に中詰土砂7が充填されている。なお、同図中、H.W.L及びL.W.Lはそれぞれ、外海の高低の潮位を示し、C.W.Lは、処分場内の管理水位を示している。
【0031】
また、内外各列の鋼管矢板2の上端部には、上部コンクリート8,8’が設置されている。これらのうち、外海側の上部コンクリート8’は従来周知の構造であるので、以下においては、内側の鋼管矢板2の列で構成されている遮水壁3に対する上部コンクリート8の取付構造について説明する。
【0032】
図3は、遮水壁3の部分側面図、
図4は、遮水壁3の部分平面図、
図5、
図6、
図7は、
図4のA−A断面、B−B断面、C−C断面を示すそれぞれ示す図である。
図3及び
図4に示されているように、上部コンクリート8は、護岸法線方向に配列されている、相互に遮水継手部2Aで連結された鋼管矢板2の上端部に、鋼管矢板2の複数ピッチ間隔で設けられた目地部9を介して相互に複数連結されて設置されている。
【0033】
図5に示すように、鋼管矢板2の上端部は、埋殺しの吊り型枠10を用いて打設された上部コンクリート8によって閉塞され、その内部に埋設されている。また、外海側に対向する鋼管矢板2との間に渡されているタイロッド6の端部にはねじ部6Aが形成されており、上部コンクリート8内に水平方向に設置されて、隣合う鋼管矢板2どうしを連結している連結部材11にナット12で締結固定されている。
【0034】
また、隣合う上部コンクリート8の垂直な壁面間の隙間で形成されている目地部9内には、
図6に示すように、上部コンクリート8の上面の高さから、遮水継手部2Aの上端面の高さまでの範囲Hに遮水性目地材13Aが設置されている。一方、目地部9内の前記範囲Hより下方部分には、前記遮水性目地部材13Aと比較して、遮水性は乏しいが安価な一般の伸縮目地材13Bが設置されている。
【0035】
本実施形態のものにおいては、遮水性目地材13Aとして、遮水材であるアスファルトマスチックが使用されていて、目地部9の下部に伸縮目地材13Bを設置後、加熱して流動性を持たせたアスファルトマスチックを上方から目地部9内に流し込んで充填している。
【0036】
そのため、目地部9の隙間は、伸縮目地材13Bが設置されている下方部分と比較して、遮水性目地材13Aとなるアスファルトマスチックが充填される上方部分の方が、充填時の流動性を確保するために、広く形成されている。
【0037】
また、本実施形態のものにおいては、少なくとも前記範囲Hの目地部9の両側の露出面をそれぞれ、護岸法線方向に隣合う上部コンクリート8の側壁面間を跨ぐように取り付けた目地材流出防止板14によって遮蔽し、遮水性目地材13Aとするアスファルトマスチックの目地部9から外部への流出を防止している。
なお、これらの目地材流出防止板14は、遮水性目地材13Aを目地部9内に設置後においても、柔軟なアスファルトマスチックが目地部9の外側へ漏れ出すことを防止する役割を果たしている。
【0038】
以上に説明したように、本実施形態における遮水構造によれば、上部コンクリート8間の目地部9内に、当該上部コンクリート8の上面の高さから、遮水継手部2Aの上端面の高さまでの範囲Hにおいて、アスファルトマスチックを用いた遮水性目地材13Aが設置され、当該遮水性目地材13Aの下端面を、遮水継手部2A内部に充填されている止水グラウト2Bの上端面と密着させることで、遮水継手部2Aと目地部9との間で上下方向に連続した遮水構造を形成している。
【0039】
その結果、上部コンクリート8の上面の高さまでの遮水が可能となるため、処分場内に収容される廃棄物を、遮水継手部2Aの上端よりも高く、最大限上部コンクリートの上面の高さまで堆積することが可能となり、処分場内の廃棄物の収容可能量を増やすことができる。
なお、前述した遮水性目地材13Aは、目地部9内の遮水継手部2Aの上端面より下方の位置まで、もしくは、伸縮目地材13Bを全く用いずに、目地部9内全体に設置してもよい。
【0040】
本実施形態のものにおいては、さらに、
図7に示すように、目地部9間の上部コンクリート8の内部に埋設されている遮水継手部2Aと上部コンクリート8間の遮水性をより高めるために、これらの遮水継手部2Aの真上位置にそれぞれ、上部コンクリート8の上面と、遮水継手部2Aの上端面との間を連通する縦孔15が形成され、その内部に、アスファルトマスチックを用いた遮水材16が充填されている。
【0041】
前記遮水材16は、遮水継手部2Aの上端面でその内側に充填されている止水グラウト2Bと密着して、この遮水継手部2Aと上下方向に連続した遮水構造を形成している。なお、このような縦孔15とその内部に設ける遮水材16は、上部コンクリート8と、その内部に埋設されている遮水継手部2Aとの間の遮水性が十分確保されている場合には省略してもよい。
【0042】
次に、本発明の護岸遮水壁の上部コンクリート遮水構造の第2の実施形態について説明する。本実施形態のものは、
図8に示すような、既設の上部コンクリート8Aの目地部9Aを改修して、前述した上部コンクリート8の目地部9と同等な遮水構造を形成するものである。
【0043】
なお、
図8は、前述した第1の実施形態における
図6に対応する位置の、既設の上部コンクリート8Aの断面を示している。なお、
図8中、既設の上部コンクリート8Aと、その目地部9A以外の
図6と同じ番号で示している各部材等は、第1の実施形態と共通のものである。
【0044】
図8に示す改修前の上部コンクリート8Aの目地部9A内には、遮水性の乏しい一般的な伸縮目地材13Bが目地部9A内全体に設置されている。この目地部9Aを改修するにあたり、先ず
図9に示すように、上部コンクリート8Aの上面から遮水継手部2Aの上端面の高さまでの範囲Hの目地部9A内の既存の伸縮目地材13Bをはつり作業によって取り除く。
【0045】
次に、
図10に示すように、伸縮目地材13Bが取り除かれた前記範囲Hの目地部9Aの両側の露出面をそれぞれ、目地材流出防止板14によって遮蔽する。これらの目地材流出防止板14は、先に説明した第1の実施形態のものと同様に、護岸法線方向に隣合う上部コンクリート8Aの両側の側壁面間を跨ぐように、これらの側壁面に固定する。
【0046】
その後、
図11に示すように、両端をそれぞれ目地材流出防止板14で遮蔽された目地部9Aの空間内に、加熱して流動性を持たせたアスファルトマスチックを、遮水性目地材13Aとして目地部9Aの上方から流し込んで充填する。
【0047】
こうして目地部9A内に設置された遮水性目地材13Aの下端面は、遮水継手部2Aの内側に充填されている止水グラウト2Bの上端面と密着し、遮水継手部2Aと目地部9Aとの間で上下方向に連続した遮水構造が形成される。
【0048】
このようにして目地部9Aが改修された上部コンクリート8Aは、前述した第1の実施形態における上部コンクリート8と同等な遮水性を確保することができ、既設や構築途中の海面処分場において、当初計画されていた廃棄物の収容可能量を後から増やすことが可能となる。
【0049】
なお、図示は省略するが、既設の上部コンクリート8Aにおいても、先に説明した第1の実施形態において、
図7で説明したものと同様な縦孔を目地部9A間の上部コンクリート8Aの内部に埋設されている遮水継手部2Aの真上位置に形成し、当該縦孔内にアスファルトマスチック等の遮水材を設置してもよい。
【0050】
次に、
図12は、本発明の第3の実施形態における、嵩上げ部が構築された既設の上部コンクリートの部分斜視図、
図13は、嵩上げ部が構築された既設の上部コンクリートの部分縦断面図、
図14と
図15は、
図13のA−A断面とB−B断面をそれぞれ示す断面図である。
【0051】
これらの図に示す実施形態は、前述した第2の実施形態のものと同様に、既設や構築途中の海面処分場において、当初計画されていた廃棄物の収容可能量を後から増やす必要が生じた場合に対応できるようにしたものであるが、本実施形態のものは、さらに、既設の上部コンクリートの上面を超える高さまで、処分場内の廃棄物を堆積可能としている。
【0052】
そのため、本実施形態のものにおいては、前述した既設の上部コンクリート8Aの上面に、これと同一の長さと幅を有するコンクリート製の嵩上げ部17を増設して、上部コンクリート8Aの高さを嵩上げしている。
【0053】
嵩上げ部17の構築に際しては、その前工程として、先に、
図9で説明した場合と同様に、上部コンクリート8Aの上面から遮水継手部2Aの上端面の高さまでの範囲Hの目地部9A内の既存の伸縮目地材13Bを除去しておく。
【0054】
また、これも先に
図7で説明した場合と同様に、縦孔15を隣合う目地部9A間の上部コンクリート8Aの内部に埋設されている遮水継手部2Aの真上位置に削孔する。なお、嵩上げ部17の構築前に、嵩上げ部17と上部コンクリート8A間に接合を強固にするために、上部コンクリート8Aの上面を目荒らしておくことが望ましい。
【0055】
本実施形態のものにおいては、
図12、
図13、及び
図15から明らかなように、嵩上げ部17の内部に、護岸法線方向に貫通し、下方が上部コンクリート8Aの上面に開放されているトンネル状の空間18が形成されている。また、嵩上げ部17の上面と、前記空間18の内部との間を連通する縦孔19が、上部コンクリート8Aの縦孔15の直上位置に形成されている。
【0056】
また、
図14に示すように、嵩上げ部17の構築後、それぞれ隣合う上部コンクリート8Aと嵩上げ部17の間に上下に連続して形成される目地部9A、9Bの、嵩上げ部17上面の高さから少なくとも遮水継手部2Aの上端面の高さまでの範囲hの両側の露出面はそれぞれ、護岸法線方向に隣合う、上部コンクリート8Aと嵩上げ部17に亘る側壁面間に目地材流出防止板14Aを取り付けて遮蔽する。
【0057】
目地材流出板14Aを取り付けた後、嵩上げ部17側の目地部9Bの上端もしくは嵩上げ部17の上面に開口する縦孔19から、加熱して流動性を持たせたアスファルトマスチックを遮水材16として流し込む。前記遮水材16は、目地部9A、9B内と、空間18、縦孔15、縦孔19の内部にそれぞれ充填され、目地部9A、9B内に充填された遮水材16は、遮水性目地材13Aとして機能する。
【0058】
なお、本実施形態のものにおいては、遮水材16を流し込む際に、嵩上げ部17の上面に開口する縦孔19や目地部9Bは、空気抜き用の通路としても機能するため、遮水材16の流し込みを容易に行うことができる。また、空間18内を満たす遮水材16によって、既設の上部コンクリート8Aと嵩上げ部17間の接合面の遮水性に対する信頼性を高めることができる。
【0059】
さらに、既設の上部コンクリート8Aの縦孔15内に充填された遮水材16によって、下方の遮水継手部2Aの内側に充填されている止水グラウト2Bが、遮水継手部2Aの上端面で縦孔15内の遮水材16と密着して、上下方向に連続した遮水構造が形成される。
【0060】
なお、縦孔15内への遮水材16の充填は、上部コンクリート8Aの上面に嵩上げ部17を構築する前に行うことも可能である。また、先述した第1の実施形態における上部コンクリート8の場合と同様に、前記縦孔15は、上部コンクリート8Aとその内部に埋設されている遮水継手部2Aの間の遮水性が十分確保されている場合には省略してもよい。
【0061】
次に、
図16は、本発明の第4の実施形態における、新設の上部コンクリートの目地部の遮水構造を示す平面図、
図17は、
図16のA−A断面を示す図であって、これらの図に示す実施形態のものにおいては、隣合う上部コンクリート8B間の目地部9Cの幅方向中央部には、内径が当該目地部9Bの隙間よりも大きく、上端から下方の遮水継手2Aの上端面に達する縦孔状の拡張目地部20が形成されていて、その内部には、アスファルトマスチックを用いた遮水材21が充填されている。
【0062】
また、目地部9C内の、遮水材21を中央に挟んだ両側には、それぞれシート状の膨潤性止水材からなる、一対の遮水性目地材13’Aが設置されている。これらの遮水性目地材13’Aは、水分を含ませることによって目地部9C内で膨潤して遮水作用をもたらすものである。
【0063】
本実施形態のものにおいては、隣接する上部コンクリート8Bの一方を構築した後、目地部9Cとなる垂直な壁面に前述した一対の遮水性目地材13’Aを配置し、さらに他方の上部コンクリート8Bを構築して、その後に遮水材21であるアスファルトマスチックをこれらの遮水性目地材13’A間の拡張目地部20内に充填している。
【0064】
拡張目地部20内の遮水材21は、その両側でそれぞれの遮水性目地材13’Aと密着し、且つ下方で遮水継手部2Aの上端面と密着することによって、目地部9Cとこれに対応する遮水継手部2Aとの間で、上下方向に連続した遮水構造が形成される。
【0065】
本実施形態のものにおいては、目地部に設置する目地材に、アスファルトマスチック等の流動性の遮水材を使用しないため、目地材流出防止板が不要である利点がある。
また、具体的な実施形態の説明は省略するが、既設の上部コンクリートの上面に嵩上げ部を増設する場合の、嵩上げ部間の目地部においても、同様な遮水構造とすることが可能である。
【0066】
なお、前述した各実施形態のものにおいては、遮水壁を構成する護岸構造体に、鋼管矢板を用いているが、護岸構造体はこれに限定するものではなく、上部コンクリートを備える鋼製矢板、鉄筋コンクリートケーソン、ハイブリッドケーソン、鋼板セル等であってもよい。
【0067】
また、上部コンクリート間の目地部に設置する遮水性の目地材は、アスファルトマスチックのようなアスファルト混合物やシート状の膨潤性止水材に限定するものではなく、柔軟性や弾力性があり、目地材として利用可能な遮水材であればよい。