特許第6013891号(P6013891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6013891光ファイバケーブル及びその製造方法並びにその製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6013891
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】光ファイバケーブル及びその製造方法並びにその製造装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   G02B6/44 366
   G02B6/44 391
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-259326(P2012-259326)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-106380(P2014-106380A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100102783
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 高明
(72)【発明者】
【氏名】竹田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山中 正義
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−319283(JP,A)
【文献】 特開昭61−073913(JP,A)
【文献】 特開昭61−002104(JP,A)
【文献】 実開昭51−120755(JP,U)
【文献】 特開平11−337792(JP,A)
【文献】 特開平09−178997(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0118299(US,A1)
【文献】 特開2003−329905(JP,A)
【文献】 米国特許第06160938(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02
G02B 6/04− 6/08
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバユニットを備えて構成され、
前記光ファイバユニットは、複数の第1光ファイバ心線又は第1光ファイバテープ心線をSZ撚りに集合して形成された第1ケーブルコアと、この第1ケーブルコア上に直接複数の第2光ファイバ心線又は第2光ファイバテープ心線を蛇行の無い一方向撚りに集合して形成された第2ケーブルコアとを有することを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバケーブルの製造方法であって、
複数の第1光ファイバ心線又は第1光ファイバテープ心線をSZ撚りに集合して第1ケーブルコアを形成する工程と、
前記第1ケーブルコア上に複数の第2光ファイバ心線又は第2光ファイバテープ心線を一方向撚りに集合して第2ケーブルコアを形成する第2工程と、
前記第2ケーブルコアにシースを施して光ファイバケーブルを形成する第3工程と、
を含むことを特徴とする光ファイバケーブルの製造方法。
【請求項3】
前記複数の第1光ファイバ心線又は第1光ファイバテープ心線をSZ撚りに集合した集合点と、前記複数の第2光ファイバ心線又は第2光ファイバテープ心線を一方向撚りに集合した集合点との間の距離をSZ撚りの反転ピッチ以下にしたことを特徴とする請求項2記載の光ファイバケーブルの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の光ファイバケーブルの製造装置であって、
複数の第1光ファイバ心線又は第1光ファイバテープ心線をSZ撚りに集合して第1ケーブルコアを形成するSZ集合機と、
前記第1ケーブルコア上に複数の第2光ファイバ心線又は第2光ファイバテープ心線を一方向撚りに集合して第2ケーブルコアを形成する一方向撚り集合機と、
前記第2ケーブルコアの外周を覆うようにシースを押出成形して光ファイバケーブルを形成する押出し機ヘッドと、
を備えることを特徴とする光ファイバケーブルの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを複数本纏めた光ファイバユニットを実装した光ファイバケーブル及びその製造方法並びにその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多心の光ファイバケーブルでは、光ファイバをドラムに巻いた際に、巻きの内側の光ファイバには圧縮歪みが発生し、巻きの外側の光ファイバには伸び歪みが発生する。このため、一般的には、圧縮歪みと伸び歪みとをキャンセルするように、光ファイバを一方向撚り又はSZ撚りして実装している。
【0003】
従来のこの種の光ファイバのSZ撚りについては、例えば、特許文献1に記載されている。図5は、特許文献1に記載された従来の光ファイバケーブルの構成を示す斜視図である。図5に示す光ファイバケーブルは、光ファイバ集合体の周りを覆うプラスチックヤーンの複数本を左右交互撚り(SZ撚り)状態に配設し、その周りをバインド紐で粗巻きし、プラスチックヤーンの複数本の左右交互撚り状態を保持することにより、プラスチックヤーンは光ファイバ集合体を引きずることなく収縮できる。
【0004】
このため、経時変化や温度変化によるプラスチックヤーンの長手方向の収縮が光ファイバの伝送特性の劣化を誘発しないようすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−6184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、光ファイバの一方向撚りにおいては、集合機を導入するために多大な設備投資が必要になる。また、光ファイバのSZ撚りにおいては、光ファイバを撚った後に、光ファイバの撚り戻りを防止するために、SZ撚りを行った直後に撚った集合コア上に撚り戻り防止のために粗巻きを巻き付けるか、いったん、押さえ巻きを施し、その上から粗巻きを巻き付ける等の方法がある。もしくは、SZ撚り直後に撚りの反転部を樹脂等で固めたり、SZ集合機をできる限り押出しヘッドに近づけ、すぐに外被を被覆する等の方法がある。
【0007】
しかし、粗巻きや樹脂を使用した場合、それ自体の材料費や、装置を導入する費用が
かかることや、ケーブル分岐作業時にそれらを除去する作業時間がかかってしまう問題が
ある。また、SZ集合機をできる限り押出しヘッドに近づけると、SZ集合機が抗張力体や引き裂き紐、押さえ巻き等のパスラインを阻害し、パスラインの確保が困難になる問題があった。
【0008】
本発明の課題は、多大な設備投資を必要とせず、SZ撚り後の撚り戻しの押さえ巻きを必要としない光ファイバケーブル及びその製造方法並びにその製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る光ファイバケーブルは、光ファイバユニットを備えて構成され、前記光ファイバユニットは、複数の第1光ファイバ心線又は第1光ファイバテープ心線をSZ撚りに集合して形成された第1ケーブルコアと、この第1ケーブルコア上に直接複数の第2光ファイバ心線又は第2光ファイバテープ心線を蛇行の無い一方向撚りに集合して形成された第2ケーブルコアとを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光ファイバケーブルの製造方法は、複数の第1光ファイバ心線又は第1光ファイバテープ心線をSZ撚りに集合して第1ケーブルコアを形成する工程と、前記第1ケーブルコアの外周に複数の第2光ファイバ心線又は第2光ファイバテープ心線を一方向撚りに集合して第2ケーブルコアを形成する第2工程と、前記第2ケーブルコアにシースを施して光ファイバケーブルを形成する第3工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光ファイバケーブルの製造装置は、複数の第1光ファイバ心線又は第1光ファイバテープ心線をSZ撚りに集合して第1ケーブルコアを形成するSZ集合機と、前記第1ケーブルコアの外周に複数の第2光ファイバ心線又は第2光ファイバテープ心線を一方向撚りに集合して第2ケーブルコアを形成する一方向撚り集合機と、前記第2ケーブルコアの外周を覆うようにシースを押出成形して光ファイバケーブルを形成する押出し機ヘッドとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、SZ撚りした複数の第1光ファイバ心線又は第1光ファイバテープ心線上に直接蛇行の無い一方向撚りで複数の第2光ファイバ心線又は第2光ファイバテープ心線を撚ることにより、SZの撚り戻りを防止することができる。従って、多大な設備投資を必要とせず、SZ撚り後の撚り戻しの押さえ巻きを必要としない光ファイバケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る実施形態の光ファイバケーブルの構成を示す断面図である。
図2】本発明に係る実施形態の光ファイバケーブルの製造装置の構成を示す側面図である。
図3】S撚り部又はZ撚り部の反転ピッチを示す図である。
図4】本発明に係る実施形態の光ファイバケーブルの諸特性を示す図である。
図5】従来の光ファイバケーブルの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態の光ファイバケーブル及びその製造方法並びにその製造装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る実施形態の光ファイバケーブルの構成を示す断面図である。図1において、光ファイバケーブルの中央には、複数の第1光ファイバ心線1をSZ撚りに集合して形成された第1ケーブルコアが設けられている。この第1ケーブルコアの外周には複数の第2光ファイバ心線2を一方向撚りに集合して形成された第2ケーブルコアが設けられている。
【0016】
なお、SZ撚りとは、複数本の線条を一方向に捻回し、長さ方向にある距離を隔ててから捻回の方向を逆転し、さらに長さ方向に同じある距離を隔ててから捻回の方向を元に戻し、これを繰り返すという状態を言う。
【0017】
なお、複数の第1光ファイバ心線1、複数の第2光ファイバ心線2に代えて、光ファイバテープ心線を用いても良い。
【0018】
さらに、第2ケーブルコアの外周には押さえ巻き3が縦添えして施されている。押さえ巻き3としては、例えば、不織布などからなる押さえ巻きテープが巻かれている。押さえ巻き3の外周にはシース6が施されている。シース6は、例えば、PE(ポリエチレン)などからなる。
【0019】
シース6の中には2つの抗張力体(テンションメンバ)4が互いに略180度の位置に配置されている。また、シース6の中には2つの抗張力体(テンションメンバ)4と略直交する方向に引き裂き紐として用いられるリップコード5が設けられている。
【0020】
光ファイバケーブルの外径は、例えば、9.5mmであり、光ファイバの心数は、第1光ファイバ心線1と第2光ファイバ心線2とを合計して100心である。
【0021】
図2は、本発明に係る実施形態の光ファイバケーブルの製造装置の構成を示す側面図である。
【0022】
図2に示す光ファイバケーブルの製造装置は、光ファイバサプライ11からの複数の第1光ファイバ心線1を挿通する筒12と、筒12から送られてくる複数の第1光ファイバ心線1をSZ撚りに集合して第1ケーブルコアを形成するSZ集合機14と、SZ集合機14を固定するためのSZ集合機固定具13と、SZ集合機14から送られてくる第1ケーブルコアの集合点である第1集合口金15とを備える。
【0023】
また、光ファイバケーブルの製造装置は、第1ケーブルコア上に複数の第2光ファイバ心線2を一方向撚りに集合して第2ケーブルコアを形成する一方向撚り集合機16と、一方向撚り集合機16から送られてくる第2ケーブルコアの集合点である第2集合口金17と、第2ケーブルコアに押さえ巻き3を施し抗張力体4とリップコード5とを施した後、シース6を押出成形することにより光ファイバケーブル20を形成する押出し機ヘッド18とを備える。SZ集合機14は、一方向撚り集合機16の中心部に設置されている。
【0024】
また、複数の第1光ファイバ心線1をSZ撚りに集合した集合点である集合口金14と、複数の第2光ファイバ心線2を一方向撚りに集合した集合点である集合口金15との間の距離は、SZ撚りの反転ピッチ以下に設定されている。
【0025】
ここで、反転ピッチとは、図3に示すように、SZのS撚り部の長さ又はZ撚り部の長さである。
【0026】
次に、このように構成された図2に示す光ファイバケーブルの製造装置を用いて実現される光ファイバケーブルの製造方法を説明する。
【0027】
まず、一方向撚り集合機16の後方に設置された光ファイバサプライ11からSZ集合用の複数の光ファイバ心線1を筒12を挿通させてSZ集合機14に送出する。複数の第1光ファイバ心線1はSZ集合機14によりSZ撚りされ集合されて第1ケーブルコアが形成されて第1集合口金15に送られる。形成された第1ケーブルコアは第2集合口金17に送られる。
【0028】
次に、形成された第1ケーブルコア上に、複数の第2光ファイバ心線2が一方向撚り集合機16により一方向撚りされ集合されて第2ケーブルコアが形成される。形成された第2ケーブルコアは、第2集合口金17を通り、第2ケーブルコアに押さえ巻き3が縦添えされ、抗張力体4とリップコード5とが施される。そして、押出し機ヘッド18によりシース6が押出成形されて、光ファイバケーブル20が形成される。
【0029】
本実施形態では、SZ集合機14によるSZ撚りピッチ(捻回の周期)は500mmとし、一方向撚り集合機16による一方向撚りピッチは、800mmとした。試作した光ファイバケーブルの初期伝送損失、圧壊特性、曲げ特性、衝撃特性、ねじり特性等の諸特性を測定したので、この緒特性を図4に示す。図4から、試作した光ファイバケーブルの諸特性が良好な特性を有していることがわかる。
【0030】
このように実施形態に係る光ファイバケーブルによれば、SZ撚りした複数の第1光ファイバ心線1又は第1光ファイバテープ心線上に一方向撚りで複数の第2光ファイバ心線2又は第2光ファイバテープ心線を撚ることにより、SZの撚り戻りを防止することができる。
【0031】
これにより、光ファイバを集合した後、すぐに押さえ巻きを施す必要がなくなり、また、シースを施さなくてもSZの撚り戻りの発生がなくなった。また、SZ撚り単体で光ファイバケーブルを製造する場合よりも高い張力を印加することができる。
【0032】
また、実装される複数の光ファイバ心線(例えば100心)の一部の複数の心線(例えば60心)をSZ撚とし、残りの複数の心線(例えば40心)を一方向撚りとすることができるので、全ての光ファイバ心線(例えば100心)を一方向撚りとする必要がなく、全ての光ファイバ心線を一方向で撚るための一方向撚り集合機の設備投資を抑えることができる。従って、多大な設備投資を必要とせず、SZ撚り後の撚り戻しの押さえ巻きを必要としない光ファイバケーブルを提供することができる。
【0033】
また、複数の第1光ファイバ心線1をSZ撚りに集合した集合点である集合口金14と、複数の第2光ファイバ心線2を一方向撚りに集合した集合点である集合口金15との間の距離が、SZ撚りの反転ピッチ以下に設定されているので、S撚り部及びZ撚部がほどけてしまうのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、光ファイバを複数本纏めた光ファイバユニットを実装した光ファイバケーブル及びその製造方法並びにその製造装置に適用される。
【符号の説明】
【0035】
1 第1光ファイバ心線
2 第2光ファイバ心線
3 押さえ巻き
4 抗張力体(テンションメンバ)
5 リップコード
6 シース
11 光ファイバサプライ
12 筒
13 SZ集合機固定具
14 SZ集合機
15 第1集合口金
16 一方向撚り集合機
17 第2集合口金
18 押出し機ヘッド
20 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5