(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の装置の前記転送制御手段は、該第1の記憶手段に格納された該記録ファイルに対応する該第1属性情報を該第2の装置へ送信し、その後に該第2の装置へ送信済みの該属性情報に対応する、該第1の記憶手段に格納された該記録ファイルを該第2の装置へ送信し、
前記第2の装置が該第1の装置から送信された該記録ファイルを受信した場合、前記第2の装置の前記管理手段は、該記録ファイルに対応する該第2の記憶手段に格納された該管理情報を、該記録ファイルの受信済みに変更する
請求項1に記載のファイル管理システム。
前記第2の記憶手段は、該記録ファイルを識別する識別IDと、該記録ファイルが格納されている該第1の記憶手段を特定するアドレスと、該第1の装置が該記録ファイルを受信したか否かを示す受取りフラグを少なくとも前記管理情報として管理する管理テーブルを記憶し、
前記管理手段は、該第1属性情報より取得される、該記録ファイルを識別する識別IDと、該記録ファイルが格納されている該第1の記憶手段のアドレスとを該管理テーブルに登録する、
請求項1至4のいずれかの項記載のファイル管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は一実施例による録音ファイル管理システムの構成例を示す。
本実施例は、1又は複数のローカルな場所にあるコールセンタで生成される通話録音ファイル(以下単に録音ファイルという)を、センタにある管理装置へ転送してセンタで保管するコンタクトセンタ管理システムに適用される。
【0015】
コールセンタのある1又は複数の拠点には、公衆電話網81に接続された電話システム21を含む1又は複数のローカルシステム2が形成される。1又は複数のローカルシステム2は、WAN(Wide Area Network)などのネットワーク82を介してセンタシステム1に接続される。WAN82には、電話システム21のオペレータ端末の稼働状況等を監視するため及び録音ファイルを参照するための端末7が接続されることがある。
【0016】
ローカルシステム2において、電話システム21は、公衆電話網81に接続されたPBX及びそれを通して受信する電話の受け付け業務を行うオペレータ端末を有する。ローカルシステム2はさらに、呼制御サーバ24と、ローカル装置20と、ローカルストレージ22、WANに接続されるネットワーク接続部23、及びネットワーク接続部23に接続される端末27を有する。
【0017】
呼制御サーバ24は、CTIリンク(呼制御用インタファース(I/F))を介して電話システム21から、電話システム21のPBXと内部の電話機との間でやり取りされる呼制御情報(電話の着信、発信元電話番号、相手先電話番号等)、電話システム21において端末を操作するオペレータの情報、電話システム21の状態情報、及び端末の情報を取得して管理する。これらの情報はインタフェースを介してネットワーク接続部23に転送される。
【0018】
ローカル装置20は例えばサーバ装置で構成され、電話システム21のPBXと内部の電話機との間でやり取りされる通話用パケット(例えば音声パケット)を取得して、それを基に録音ファイル92を作成し、更にその録音ファイル92を管理するための属性情報を取得して属性ファイル91を作成する。作成された録音ファイル及び属性ファイルは、ローカルストレージ22に一時的に記憶され、更にセンタシステム1へ送信される。(ローカル装置20の詳細な構成については
図2を参照して後述する。)
ローカルストレージ22に一時的に格納された録音ファイル92は、その後所定の時間帯(即ちネットワーク負荷が小さい夜間等の時間帯)にセンタシステム1へ一括送信されて、センタシステムのストレージ12に保管して管理される。(これについては後述する。)
端末27は、パーソナルコンピュータ(PC)のような、入力器及び表示器及びプロセッサ(処理手段)を備えた管理者用端末であり、オペレータ端末の稼働状況やオペレータの作業状況を監視し、更に上記のように作成された録音ファイルを参照することができる。本実施例における特徴の1つとして、ローカル装置20で作成された録音ファイル及びその属性ファイルは、好ましくはセンタシステム1で一元的に管理されるが、作成後の録音ファイルはローカルストレージ22に、センタシステム1への転送要求があるまでの期間保管される。そのときには、ローカルシステム2内の端末27からの要求に応じて、ローカルストレージ22に記憶された録音ファイルを読み出して、端末27へ転送して参照することが可能である。端末27は、WAN82を使用することなくローカルシステム2内で容易に録音ファイルを参照することができるので、ネットワークの回線コストを低減することができる。
【0019】
ここで、録音ファイル及びその属性ファイルについて説明する。録音ファイルは、通話者とオペレータの間で交わされた通話音から成るファイルであり、例えば、商品注文やサービスの要求・変更、苦情(クレーム)、顧客からの契約内容の確認、等々に関する音声があげられる。属性ファイルとして構成される属性情報は、通話(即ち録音ファイル)ごとに特徴的な情報であり、通話パケットから取得される、オペレータと話者間で交わされる通話の開始時刻及び終了時刻、送信元IPアドレス(PBXの内線側のポートIPアドレス)及び宛先IPアドレス(内線電話機のIPアドレス)等が含まれる。ここで、この属性情報を基本属性情報ということにする。(属性ファイルの構成については
図4を参照して後述する。)
次に、センタシステム1は、センタ装置10と、センタストレージ12と、WANに接続されるネットワーク接続部13と、ネットワーク接続部13に接続される端末17を有して構成される。センタ装置10にはネットワーク接続部13を介して業務管理サーバ6が接続される。業務管理サーバ6は、例えば保険会社や通信販売会社等の取引き業務や顧客情報を管理するサーバであり、対応する1又は複数のローカルシステム2は、保険会社や通信販売会社のためのコールセンタをサポートするものである。
【0020】
センタ装置10は例えばサーバ装置であり、主に、ローカルシステム2から収集した録音ファイル及び属性ファイルを管理する処理と、業務管理サーバ6から必要な業務情報や顧客情報を取得する処理と、端末7、17、27からの要求に応じて属性情報を提供して検索を行わせて、目的の録音ファイルを提供する処理を行う。(センタ装置10の詳細な構成については
図3を参照して後述する。)
センタストレージ12は、各ローカルシステム2から収集される、属性ファイル91が示す属性情報を管理する管理テーブル122と、録音ファイル123(92と同じ)を記憶する。管理テーブル122の構成については
図5を参照して後述する。
端末7、17は、端末27と同様に、パーソナルコンピュータ(PC)のような管理者用端末であり、オペレータ端末の稼働状況を監視したり、センタストレージ12に格納された録音ファイルを参照するために用いられる。
【0021】
図2はローカル装置20の構成例を示す。
ローカル装置20は、電話システムのインタフェース261から通話パケットを取得して録音ファイルを作成する録音ファイル作成部201と、録音ファイル作成時に録音開始時刻、終了時刻、通話先情報等の属性情報(
図4参照)を持つ属性ファイルを作成する属性ファイル作成部202、インタフェース263を介してセンタ装置10に対して属性ファイル91及び録音ファイル92の転送制御を行う転送制御部204、端末27からインタフェース262を介するアクセス要求に応じてローカルストレージ22に記憶された録音ファイル92を読み出す録音ファイル参照処理部205を有して構成される。
【0022】
ローカル装置20のハードウェア構成は示していないが、プログラムを実行するプロセッサ、データ及び実行予定のプログラムを格納するメモリ等を有し、上記各部は、プロセッサでプログラムが実行されることでそれらの機能が実現される。
ローカルストレージ22は、録音ファイル作成部201で作成された録音ファイル92、及び属性ファィル作成部202で作成された、録音ファイル92に対応する属性ファイル91を格納する。
【0023】
なお、図示では、属性ファイル91及び対応する録音ファイル92を格納するローカルストレージ22はローカル装置20の外側に示しているが、ローカルストレージ22はローカル装置20内に含ませてもよい。また、図示では、属性ファイル91と録音ファイル92を同じローカルストレージ22に格納しているが、各ファイルをそれぞれ異なったストレージや記憶部に記憶してもよい。
【0024】
図3はセンタ装置10の構成例を示す。
センタ装置10は、受信した属性ファイルから管理テーブル122に保管すべき情報を抽出する処理及び記録ファイル識別IDと関係付けて管理テーブルの内容を更新する処理を行う属性ファイル処理部101、受信した録音ファイルをセンタストレージ12に記憶処理する録音ファイル保存管理部102、センタストレージ12に記憶された管理テーブル122の書き込み及び読み出しを行うテーブル管理部103、端末17からの参照要求に応じて管理テーブル122を検索し及びセンタストレージ12に格納された録音ファイルを読み出す録音ファイル参照処理部105、IP−PBXや呼制御サーバ24、業務管理サーバ6から、録音ファイルの基本属性情報に関連する付加的な情報(拡張付加情報ということにする)を取得して処理する拡張付加情報処理部106、ローカルシステム2からセンタシステム1へ録音ファイルを転送(アップロードということがある)制御する録音ファイル転送制御部107、端末17から指定される転送条件を転送制御条件テーブル124に登録する処理を行う転送制御条件設定処理部108を有して構成される。
【0025】
センタ装置10のハードウェア構成は示していないが、プログラムを実行するプロセッサ、データ及び実行予定のプログラムを格納するメモリ等を有し、上記各部は、プロセッサでプログラムが実行されることでそれらの機能が実現される。
なお、図示では、管理テーブル122や録音ファイル123等を格納するセンタストレージ12はセンタ装置10の外側に示しているが、センタストレージ12はセンタ装置10内に含ませてもよい。また、図示では、管理テーブル122と録音ファイル123を同じセンタストレージ12に格納しているが、管理テーブルと録音ファイルをそれぞれ異なったストレージや記憶部に記憶してもよい。
【0026】
センタストレージ12は、ローカルシステム2から取得した属性ファイルに含まれる基本属性情報(第1属性情報)と拡張付加情報(第2属性情報)とを録音ファイルに対応付けた管理情報として1つずつのエントリを構成して保管する管理テーブル122と、ローカルシステム2から転送されて取得した多数の録音ファイル123と、録音ファイルのアップロード転送の条件を規定する転送制御条件テーブル124を記憶する。転送制御条件テーブル124に格納される転送条件とは、
図12に示すような、録音ファイルのアップロード転送を行う場合のパラメータである(これについては後述する)。転送制御条件テーブル124の内容は、端末17から管理端末インタフェース及び転送制御条件処理部108を介して設定、変更することができる。なお、管理端末インタフェースは物理的には端末インタフェース262と同じであるが、管理者専用のインタフェースという意味で論理的に区別する観点から、図示は別に示した。
なお、管理テーブル122の構成については
図5を参照し、転送制御条件テーブル124については
図12を参照して後述する。
【0027】
ローカル装置20から送信された基本属性情報から成る属性ファイルは、属性ファイル処理部101で処理され、テーブル管理部103で更新処理に必要な情報が、テーブル管理部103に渡される。これにより、管理テーブルの内容が更新される。すなわち、新たな管理情報のエントリが1つずつ追加される。本実施例において、管理テーブル122の1つのエントリを構成する管理情報のうち、基本属性情報はローカルシステム2から転送された属性ファイルに含まれるものであり、拡張付加情報(
図5の項番#14〜20)は、拡張付加情報処理部106が拡張付加情報インタフェース264を介して、PBXや呼制御サーバ24、顧客管理サーバ6から取得するものである。なお、管理情報の取得動作については
図6〜
図9を参照して後述する。
【0028】
録音ファイルを受け取った場合、録音ファイル保存管理部102が、録音ファイルをセンタストレージ12に格納する。これと同時に、管理テーブル122内の録音ファイル格納場所情報の更新が必要になるため、テーブル管理部103に録音ファイルの格納場所アドレスが送られる。
テーブル管理部103は、管理テーブルの当該録音ファイルに対応する録音ファイル受取りフラグを、未受信「0」から受信済み「1」に書き換える。
【0029】
端末17(又は7)から、センタストレージ12に保存された(或いは保存されている可能性のある)録音ファイル123に対する参照要求があった場合、録音ファイル参照処理部105がその要求を受付け、テーブル管理部103は管理テーブル122の検索処理を行い、その結果を端末17(又は7)に通知する。
【0030】
管理テーブル122の受取りフラグを参照した結果、参照要求の対象となる録音ファイルがセンタストレージ12に格納されている場合(受取りフラグが「1」の場合)、センタストレージ12から目的の録音ファイル123を読み出して、端末17(又は7)へ送信する。一方、管理テーブル122の受取りフラグを参照して、参照要求の対象の録音ファイルがセンタストレージ12に格納されていない場合(受取りフラグが「0」の場合)、管理テーブル122の「録音ファイルの格納場所アドレス」を参照して、当該格納場所アドレスが示すローカルシステム2のローカルストレージ22へ録音ファイルの読み出し指令を送信する。
【0031】
図4は、属性ファイルのフォーマット構成例を示す。
属性ファイル91は基本属性情報を含んで構成されるものであり、録音ファイルを識別する識別ID、電話システム21で話者との録音を開始した時刻を示す録音開始時刻(年月日時分秒)、同じく録音を終了した時刻を示す録音終了時刻(年月日時分秒)、録音時間(時間分秒))、録音ファイルの送信元IPアドレス(PBXの内線側のポートIPアドレス)及び宛先IPアドレス(内線電話機のIPアドレス)、録音ファイルの格納場所を示す格納場所アドレス、通話元の内線電話番号を示す通話元電話番号、通話先の外線番号や内線電話番号を示す通話先電話番号、電話機からの発信か着信かの種別を示す発着信種別、の各情報から構成される。
【0032】
ここで、送信元IPアドレスや宛先IPアドレスは、通話パケットのヘッダ部から取得される。また、格納場所アドレスは、録音ファイルが格納されているローカル装置のアドレス(例えばローカル装置アドレスとローカルストレージ内ディレクトリ情報)である。また、通話元や通話先の電話番号は、呼制御用のパケットを監視したり、或いは電話システム21が保持する情報をCTIリンクを介して取得する等の方法で得られる。
【0033】
図5は、管理テーブルの構成例を示す。
管理テーブル122は、
図5に示すような項目の管理情報から成る多数のエントリから構成される。
各エントリは、録音ファイルを識別する識別ID、電話システム21で話者との録音を開始した時刻を示す録音開始時刻、同じく録音を終了した時刻を示す録音終了時刻、録音時間、録音ファイルの送信元IPアドレス(PBXの内線側のポートIPアドレス)及び宛先IPアドレス(内線電話機のIPアドレス)、録音ファイルの格納場所(即ちローカルストレージか又はセンタストレージ)を示す格納場所アドレス、センタシステム1で録音ファイルを受信完了したことを示す録音ファイル受取りフラグ、ローカルストレージに録音ファイルが残っていることを示すローカルキャッシュフラグ、録音ファイルをローカルストレージにキャッシュとして格納している場合のローカルストレージ内の格納場所アドレス、通話元電話番号、通話先電話番号、発着信種別、発信者外線番号、着信(外線)電話番号、内線側電話番号、コールセンタの電話システム21で対応するオペレータを識別するオペレータID、コールセンタで応対するサービス会社の顧客に固有に付与された顧客識別情報(顧客名)、電話の内容が顧客へのサービスの契約の成立を示す契約成立フラグ、顧客からの電話の内容がクレームであることを示すクレームフラグ、管理テーブル122の当該エントリの管理情報を端末17等が参照した累積回数を示す参照回数カウンタから構成される。
【0034】
ここで、項番#8の受取りフラグは、センタ装置10が、既に管理テーブル122に登録されたエントリの管理情報に対応する録音ファイルをローカルシステム2から受信完了したか否かを示す情報である。受信完了の場合には「1」、受信未完の場合には「0」で示す。また、#9のローカルキャッシュフラグは、録音ファイルがローカルストレージ内に保存されている場合は「1」、消去されている場合は「0」で示す。
【0035】
管理情報の取得先に関して、項番#1〜7、#11〜13の情報は、ローカルシステムから転送される属性ファイルによって取得され、#14〜20の情報(拡張付加情報)は、拡張付加情報処理部106が拡張付加情報インタフェース264を介して、PBXや呼制御サーバ24、顧客管理サーバ6から取得したものである。
【0036】
なお、ローカルシステム2が複数存在する場合、各ローカルシステム対応に管理テーブル122が構成され、複数の各管理テーブルには各ローカルシステムを識別するローカルシステムIDが付与される。代案として、複数の管理テーブルを纏めて1つの管理テーブルで構成することもできる。
【0037】
管理者は、端末17にて管理テーブル122に登録された管理情報を参照することにより、録音ファイルの属性内容や、顧客やサービス内容の分析に利用することができる。(なお、管理情報の参照動作については
図14〜
図15を参照して後述する(実施例4)。)
また、ローカルシステム2において参照されることが多い録音ファイルは、ローカルストレージをキャッシュとして使用し、センタストレージ12に録音ファイルを転送完了した後も、ローカルストレージに当該録音ファイルを残しておき、この状況を#9のローカルキャッシュフラグで管理することで、当該録音ファイルに対してローカルシステム2の端末27から参照要求があった場合に、センタストレージ12からWANを経由して当該録音ファイルを転送しないで、ローカルストレージ22に格納された当該録音ファイルを速やかに取得して参照することができる。
【実施例2】
【0038】
<属性情報及び録音ファイルの転送保管動作>
ローカルシステム2とセンタシステム1間の情報の転送は、主に、ローカル装置20で作成された録音ファイルの属性を示す属性情報(第1属性情報という)から成る属性ファイルをセンタシステムへ転送して管理テーブルに登録する動作(フェーズ1)と、その録音ファイルに対応する第1属性情報に付加される拡張付加情報(第2属性情報という)を取得して管理テーブルに登録する動作(フェーズ2)と、ローカルストレージ22に保管された録音ファイルをセンタシステムへ転送してセンタストレージ12に格納する動作(フェーズ3)が含まれる。
【0039】
まず、
図6を参照して、ローカルシステム2からセンタシステム1への属性情報及び録音ファイルの転送及び保管の全体動作について説明する。その後、
図7〜
図9を参照して、第2属性情報の取得及び登録動作を説明し(実施例2)、更に
図10〜
図13を参照して録音ファイルの転送制御動作(実施例3)について説明する。
【0040】
<属性情報の転送及び拡張付加情報の取得、登録動作(フェーズ1,2)>
(フェーズ1)
図6を参照するに、フェーズ1では、ローカル装置20で電話システムのインタフェース261から音声パケットを取得して、その音声パケットを基に、録音ファイル作成部201が録音ファイル92を作成し、属性ファイル作成部202がその録音ファイルの属性情報を含む属性ファイル91(
図4参照)を作成する。作成された録音ファイル92及びその属性ファイル91は、ローカルストレージ22に格納される。
【0041】
ここで、属性ファイル作成部202は、録音ファイルを識別するための固有の情報(録音ファイル識別ID)を生成して、その録音ファイルに付与する。録音ファイル92は録音ファイル識別IDが付与されてローカルストレージ22に格納される。さらに、属性ファイル作成部202は、属性ファイルA1の録音ファイル識別IDに「i」を記録し、録音ファイル格納先アドレスにローカルストレージ22のアドレス「p1」を記録した属性ファイルを作成して、ローカルストレージ22に格納する。
【0042】
転送制御部204は、上記のように作成された属性ファイルA1を、センタシステムインタフェース263を介してセンタシステム1へ送信する。この動作は、新たな録音ファイルが作成される度に行われる。
【0043】
センタシステム1のセンタ装置10において、属性ファイル処理部101は、受信した属性ファイルを基に管理テーブル122に書き込むべき管理情報を作成する。この例で、録音ファイル識別IDは「i」、録音ファイル格納先アドレスはローカルストレージ22のアドレス「p1」、録音ファイルは未だ受信していなので受取りフラグは未受信状態「0」である。作成された管理情報は、テーブル管理部103によりセンタストレージ103の管理テーブル122の項番#1〜#7、#11〜#13に書き込まれる。
【0044】
(フェーズ2)
次にフェーズ2の動作に移る。フェーズ2は、PBXや呼制御サーバ、顧客管理サーバから、録音ファイルに関連する第2属性情報A2を取得して管理テーブルに登録する動作である。これについては、
図7〜
図9を参照して説明する。
【0045】
図7に示すように、電話完了を機にしてPBXから、発信者外線番号、着信外線電話番号、内線電話番号等の拡張付加情報A2を取得して、管理テーブル122の項番#14〜16に登録する。これらの情報は、センタ装置10の拡張付加情報処理部106が、ネットワーク接続部13、拡張付加インタフェース264、WAN82、ローカルシステム2のネットワーク接続部23を経由し、電話システム21が保持する情報を、CTIリンクを使用して取得する。なお、電話システム21においてPBXからの呼制御用パケットをローカル装置が監視し解析できる時には、CTIリンクを使わずに上記の情報を取得できる場合もある。
【0046】
そして、テーブル管理部103が、管理テーブル122の管理情報を検索して、取得した拡張付加情報と先に取得する済みの第1属性情報との一致性を判断して、第1属性情報に対応する項目の場所に拡張付加情報を登録する。一致性の判断については、テーブル管理部103は電話の開始及び完了時刻を基にその時刻における通話用パケットの宛先及び送信元IPアドレスが一致するかで判断する。
【0047】
次に、
図8に示すように、電話完了を機にして呼制御サーバ24から内線電話番号に対応するオペレータIDを取得して、管理テーブルの項番#17に登録する。これは、センタ装置の拡張付加情報処理部106が、ネットワーク接続部13、拡張付加インタフェース264、WAN82、ローカルシステム2のネットワーク接続部23を介して、呼制御サーバ24から呼分配制御情報に含まれる情報の1つとして取得する。なお、この拡張情報(オペレータID)と先に取得する済みの第1属性情報との一致性は、電話の開始及び完了時刻を基にその時刻における電話番号と一致するかで判断する。
【0048】
次に、
図9に示すように、オペレータIDに対応した拡張付加情報の登録完了後に、センタ装置の拡張付加情報処理部106が、業務管理サーバ6から顧客識別情報、契約成立フラグ、クレームフラグ等の情報を取得して、管理テーブルの項番#18〜#20に登録する。業務管理サーバ6は、顧客の氏名(名称)や、住所、連絡先(電話番号やメールアドレス等)、年齢、職業等の個人情報や契約内容(現状況)等の顧客情報を、応対の開始及び完了時刻、オペレータIDと共に管理しているので、先に取得した第1属性情報と、業務管理サーバ6から得る上記情報の一致性は、例えば第1属性情報に含まれる電話の開始及び完了時刻を基にその時刻におけるオペレータIDと一致するかで判断する。
【0049】
このようにして、ローカルシステム2のローカル装置20で作成された、ある録音ファイルの第1属性情報の属性ファイルA1と、第1属性情報に関連する拡張付加情報である第2属性情報A2が収集されて、管理テーブル122には当該録音ファイル(録音ファイル識別IDi)に対応する1つの管理情報のエントリが形成される。この時点では、録音ファイルはローカルシステム2の各ローカルストレージ22に保管された状態であり、センタ装置10はそれらの録音ファイルが未受信である(#8録音ファイル受取りフラグ「0」)である。また、録音ファイルの格納先アドレス#7は、ローカルストレージ格納場所アドレスp1である。また、ローカルキャッシュフラグ#9及びローカルキャッシュ格納場所アドレス#10は未登録である。
上記のようなフェーズ1及びフェーズ2の動作が、それぞれの録音ファイルが作成される度に繰り返される。
【0050】
このように、ローカル装置20が電話システム21から直接的に得る通話パケットを基に作成した第1属性情報だけでなく、センタ装置10の拡張付加情報処理部105が取得した第1属性情報に関連する第2属性情報を含む管理情報が管理テーブル122に収集されることなる。この管理情報は、その後の、管理情報に含まれる種々の情報に基づく検索に使用され、管理者は種々の情報を用いた広範な観点からの検索によって録音ファイルを入手することができる。管理者は、検索の結果の録音ファイルの内容を聞いて、オペレータと話者との会話や業務上のやり取りを確認し、監視することができる。これによりオペレータの配置や業務管理、顧客管理等のためにより有益となる。
【0051】
(代案例)
なお、上記実施例では、属性ファイル作成部202が属性ファイルを作成する度に、転送制御部204より属性ファイルをセンタシステム1へ送信するとした。しかし、代案例によれば、作成された属性ファイルをローカルストレージに一旦格納しておき、その後一定時間毎(例えば1時間毎)に、ローカルストレージ22に蓄積された複数の属性ファイルを纏めてセンタシステムへ送信するようにしてもよい。
【実施例3】
【0052】
<録音ファイルの転送制御(フェーズ3)>
次に、
図10〜
図12を参照して、ローカルシステムからセンタシステムへの録音ファイルの転送制御動作について説明する。
最初に、
図12を参照して、転送制御条件テーブル124の構成例について説明する。
転送制御条件テーブル124は、ローカルストレージ22に保管された録音ファイルをセンタシステム1へアップロードする時刻を指定する録音ファイルの転送開始時刻、録音ファイルの録音期間、着信外線電話番号、契約成立フラグ、クレームフラグ、参照回数、等の情報を登録する。これらの情報は管理者が端末17から指定することによって登録される。ここで、契約成立フラグ、クレームフラグ、参照回数は、アップロード抑止条件であり、これらの項目の設定された条件の1つでも該当すれば、該当する録音ファイルのアップロードは抑止される。
【0053】
一例として、録音ファイルの転送開始時刻として、ネットワークの回線コストの安価な夜間の時間帯(例えば「午前0時」)を指定できる。また、録音ファイルの録音期間として「録音後1週間以上経過」が指定されている。なお、録音ファイルの録音期間が指定されないこともある。着信外線電話番号は特定のサービス用電話番号或いは特定のエリア(例えば東京03−管内)に着信した電話番号を指定することができる。なお着信外線電話番号が指定されないこともある。契約フラグやクレームフラグが指定できるが、指定されないこともある。参照回数は、端末から属性情報ないし録音ファイルが参照された回数である。録音ファイルはローカルシステム内において管理者が参照する機会が多いので、参照回数が一定以上のものはローカルシステムに残しておき、参照回数が一定未満のものをセンタシステム1へ転送するのが好ましい。
【0054】
なお、ローカルシステムが複数在る場合には、各ローカルシステム対応に転送制御条件テーブル124が構成される。その場合、各ローカルシステムに対応した、転送制御条件テーブルにおける録音ファイルの転送開始時刻は、ネットワークの回線コストの安価な夜間の時間帯においてずらして設定するのがよい。何故なら、もし同じ時刻に録音ファイルの転送を開始すると、センタ装置10には多数の録音ファイルの受信が集中することがあるので、かえって録音ファイルの格納及びその属性情報の更新処理の渋滞を招きかねないからである。
【0055】
次に
図10〜
図11を参照して、録音ファイルの転送及び保管動作について説明する。
前提として、録音ファイルはローカルストレージ22に保管され、録音ファイルに対応する第1属性情報や第2属性情報(拡張付加情報)の管理情報は管理テーブル122に登録済みとする。
【0056】
図10において、ローカルストレージ22に保管された録音ファイルのセンタシステム1への転送動作は、センタ装置10の録音ファイル転送制御部107から発せられる録音ファイル転送制御条件及び転送要求の送信によって開始する。転送要求の発行及び転送すべき録音ファイルの選択は、転送制御条件テーブル124に登録された条件に従って行われる。この例の場合、センタ装置10が有するタイマが計時する現在時刻が、転送制御条件テーブル124に登録された録音ファイル転送開始時刻(午前0時(ネットワークの帯域を確保し易い時間帯))になった時点で、録音ファイル転送制御部107がローカルシステム2に対して録音ファイル制御条件及び転送要求を発する。
【0057】
転送制御条件に基づくアップロード対象となる録音ファイルの選択の例について、
図11を参照して詳しく説明する。
この例は、ローカルシステム2内で参照頻度が高い録音ファイルについては、センタシステム1へ転送せずにローカルストレージ22にそのまま保管し続けておくことで、ローカルシステム2内の端末27からの参照要求に対して短時間で目的の録音ファイルを端末7に提供することをねらっている。即ち、ローカルストレージ22から目的の録音ファイルを即読み出して端末27に転送すれば、センタストレージ12に保管された録音ファイルを転送する場合に比べて、録音ファイルの転送時間を大幅に短縮でき、ネットワークの回線コストも節約できる。更に、センタシステム1へ録音ファイルを転送する(アップロードという)必要も無くなる。
【0058】
図11の動作を説明する。まず、転送制御部204は、管理テーブル122内の管理情報を参照して、録音ファイルの録音期間が指定の範囲かを判断する(S1101)。例えば、属性情報の録音終了時刻から1週間以上経過しているかを判断して、1週間以上経過していればアップロード対象となる(S1101:YES)。即ち、録音後1週間以内(最近のもの)の録音ファイルはローカルシステム2内で参照される頻度が高い傾向にあるので、ローカルストレージ22に保管し続け(S1101:NO)、一方録音後1週間以上経過した録音ファイル(古いもの)はローカルシステム2内で参照される頻度が低減するので、それらはセンタシステム1へアップロードして(S1101:YES)、センタストレージ12に保管する趣旨である。
【0059】
次に、受付業務内容を示す着信外線電話番号が指定の範囲かを判断する(S1102)。この着信外線番号は複数指定することができる。この着信外線番号は属性情報の#15着信外線電話番号から判断する。着信外線番号が指定の範囲内であれば、該当する録音ファイルはセンタシステム1へのアップロード対象候補となる。
【0060】
次に、契約成立フラグ有りの判断において(S1103)フラグ無し“0”のもの、クレームフラグ有りの判断において(S1104)フラグ無し“0”のもの、属性情報の参照回数が指定範囲以内かの判断において指定回数以下(例えば1回以下)のもの(S1105)がアップロード対象となる。つまり、契約フラグやクレームフラグが“1”(有り)や、参照回数が指定回数以上の録音ファイルは、センタストレージへアップロードしないでローカルストレージ22に保管しておき、ローカルシステム2内で参照して利用し易いようにしている。
センタ装置10の録音ファイル転送制御部107は、上記転送制御条件に合致する、全ての属性情報の録音ファイルIDを読み出して、それらをローカルシステム2へ送信する。
【0061】
ローカル装置20の転送制御部204は、センタ装置10から転送された、1又は多数の録音ファイルIDを受信すると、ローカルストレージ22に記憶された未転送分の録音ファイルの内から、この録音ファイルIDに合致する録音ファイル92を順次読み出して、ネットワーク接続部23を介してセンタシステム1へ送信することになる。
【0062】
センタシステム1ではセンタ装置10の録音ファイル保存管理部102が、送信された録音ファイルを順次受信してセンタストレージ12の録音ファイル格納領域に格納する。例えば、録音ファイル識別IDiの録音ファイルを受信して録音ファイル格納領域に格納すると、録音ファイル識別IDiとその格納したアドレス(センタストレージ格納場所アドレス)q1を、テーブル管理部103へ送る。テーブル管理部103は、管理テーブル122の録音ファイルiに対応する受取りフラグ#7を、未受信「0」から受信済み「1」に書き換え、かつ録音ファイル格納場所アドレスをセンタストレージ格納場所アドレスq1に書き換える。このようして、受信した全ての録音ファイルについて録音ファイル識別IDに対応した、格納先アドレス及び受取りフラグが変更されて、管理テーブルの内容が更新される。
このようにして、センタ装置10が転送制御条件に合致した全ての録音ファイルを受信すると、録音ファイル転送制御部107は、録音ファイルの転送抑止を発する。以後、次の転送要求が発行されるまで、抑止状態が維持される。
【0063】
<ローカルキャッシュについて>
本例の場合、ローカルストレージ22から録音ファイルをセンタシステム1へ転送した場合でも、ローカルストレージ22にその録音ファイルを残しておき、ローカルストレージ22をセンタストレージ12の、所謂キャッシュとして利用する。そのための管理フラグとして、ローカルキャッシュフラグを「1」として、ローカルキャッシュ格納場所アドレスを登録しておく。例えば、録音ファイルiのローカルキャッシュ格納場所アドレスは従前のアドレスと同じ「p1」である。
【0064】
録音ファイルの検索等のアクセス要求は、録音ファイルの作成当初は同じローカルシステム内からのものが比較的多い。そのため、キャッシュとしてローカルストレージ22に記憶された録音ファイルを、同じローカルシステム2内の端末27へ転送するのは、センタストレージ12に記憶された録音ファイルをセンタ装置10から端末27へ送信するよりも、ネットワークの負荷が低くコストも安価となり、効果的である。
【0065】
なお、ローカルストレージ22に保存された録音ファイルの消去は、センタ装置10の録音ファイル転送制御部107から指示によって行なうことができる。例えば、録音ファイル転送制御部107が、消去の対象となる録音ファイル識別IDを付加したキャッシュクリア要求をローカル装置20へ送信し、ローカル装置は受信した録音ファイル識別IDに対応する録音ファイルをローカルストレージ22から消去する。消去が終わると、その旨をセンタ装置10へ通知して、テーブル管理部103は、消去された録音ファイル識別IDに対応するローカルキャッシュフラグを「0」にして、ローカルキャッシュ格納場所アドレスを削除する。キャッシュクリア要求の発行については例えば、管理テーブル122の管理情報の取得日時(例えば録音終了時刻)からの経過時間を監視して、一定時間(例えば1ヶ月)を計時したものについて、録音ファイル転送制御部107が順次キャッシュクリア要求を発行することで行うことができる。
【0066】
(代案例)
上記実施例3では、センタ装置10からローカルシステム2へ転送要求及び転送制御条件を送信している。しかし、代案例によれば、最初にローカル装置20からセンタ装置10へ転送要求を発して、センタ装置で転送制御条件テーブル124を参照して、転送許可状態かを判断して(転送開始時刻になったかを判断して)、転送許可応答及び転送制御条件をローカルシステムへ送信するようにしてもよい。
【0067】
また、他の代案例によれば、転送制御条件テーブル124による設定条件が、上記第2属性情報によるものを含まず上記第1属性情報のみを含む場合、この転送制御条件テーブル124をローカルストレージ22にも保持するようにしてもよい。この場合、ローカル装置20には、転送制御条件設定処理部108´を設けて、センタシステム1側の管理者用の端末17からの要求に応じて、センタストレージ12内にある転送制御条件テーブル124と同様にこの転送制御条件設定処理部108´の転送制御条件の設定、変更を行うことができる。なお、転送要求の発行及び録音ファイルの転送制御は上記実施例と同様であり、ローカル装置20の転送制御部204がローカルストレージ22内の転送制御条件テーブル124´に登録された条件に従ってローカルストレージ22に記憶された録音ファイルを読み出してセンタシステム1へ転送する。
【0068】
更に、上記実施例2〜3では、フェーズ2の後でフェーズ3の動作を行っているが、代案例によれば、フェーズ3をフェーズ2よりも先に行ってもよい。これによれば、センタ装置の管理テーブル122は拡張付加情報を取得するのが遅くなるが、センタストレージ12内への録音ファイルの保管を早めることができる。このため、センタシステム側の端末17は基本属性情報を検索すること、センタストレージ12からの録音ファイルを速く安価に取得することができる。
【実施例4】
【0069】
次に、
図13〜
図15を参照して、端末からの録音ファイルの検索、参照動作について説明する。
図13の(A)は録音ファイルがローカルストレージ22に在る場合、(B)は録音ファイルがセンタストレージ12に在る場合を示す。また(B1)は録音ファイルがセンタストレージ12及びローカルストレージ22に在る場合(キャッシュ機能)、(B2)は録音ファイルがセンタストレージ12のみに在る場合を示す。
【0070】
管理者は、端末7,17,27の入力器を操作して、表示器の表示画面に
図14のような検索画面を表示して、録音ファイルの検索を行うとする。検索画面の検索項目には、管理テーブル122で管理される管理情報の第1属性情報及び第2属性情報(拡張付加情報)が含まれる。管理者が端末の入力器を操作して、検索画面中の検索したい項目の内容を指定又は入力することで、検索条件が作成される。検索条件に関して、例えば特定のオペレータ(オペレータID)の受話状況を調べるとか、時間帯(何時から何時まで)及び特定の内線電話番号が受けた録音を聞くとか、特定の顧客(顧客名(顧客識別情報))からのあったクレームの内容を聞くとか等、のために検索条件の項目を指定することができる。
【0071】
検索条件の項目を入力(指定)した後、「検索実行」ボタンを操作すると、検索条件を含む検索要求が端末から発せらされる。端末27からの検索要求は、ローカルシステム2のネットワーク接続部23及びWAN82を介して、端末7からの検索要求はWAN82を介して、端末17からの検索要求はネットワーク接続部13を介して、それぞれセンタシステム1のセンタ装置10へ転送される。
【0072】
センタ装置10は、端末インタフェース262を介して検索要求を受信すると、録音ファイル参照処理部105が、受信した当該検索条件に基づいて管理テーブル122を検索する。そして、その検索結果を、端末インタフェース262を介して要求元の端末へ送信する。
【0073】
検索要求元の端末では、表示器の表示画面に
図15に示すような検索結果画面が表示される。なお、センタ装置10から送信される検索結果の情報には、表示画面に表示されない情報も含まれる。例えば、録音ファイル受取りフラグ及び録音ファイル格納場所アドレス、ローカルキャッシュフラグ及びローカルキャッシュ格納場所アドレスが含まれる。
【0074】
検索結果画面には、検索条件に合致した録音ファイル識別IDに対応した項目の他に、「参照フラグ」及び「削除フラグ」が追加表示される。管理者は、検索結果画面から参照したい録音ファイルの「参照フラグ」を選択して(「レ」を入力)、「実行」ボタンを操作すると、選択された録音ファイルの取得動作に移る。ここまでの動作は、
図13(A)及び(B)共に同じである。
【0075】
(A)に示すように、選択された録音ファイルが、センタストレージ12に無く(録音ファイル受取りフラグ「0」)、ローカルストレージ22に在る場合(録音ファイル識別ID「m」の場合)、端末はローカル装置20へアクセスする。アクセス要求はローカルストレージのアドレスp1を伴っている。
ローカル装置20は端末インタフェース262を介してアクセス要求を受信すると、録音ファイル参照処理部205は、ローカルストレージ22からアドレスp1に対応する録音ファイルを読み出して録音ファイル参照処理部205へ送る。録音ファイル参照処理部205は、アドレスp1に対応する録音ファイル92を、端末インタフェース262を介して要求元の端末へ送信する。
【0076】
一方、(B1)に示すように、選択された録音ファイル(録音ファイル識別ID「k」)が、センタストレージ12に在る場合(録音ファイル受取りフラグ「1」)、さらにローカルキャッシュフラグ及びローカルキャッシュ格納場所アドレスを参照する。その結果、目的の録音ファイルがローカルストレージにある場合(ローカルキャッシュフラグ「1」)、端末(主に端末27)はローカル装置20へローカルキャッシュ格納場所アドレスp1を伴うアクセス要求を発する。ローカル装置20はそのアクセス要求を受信すると、上記動作と同様にして、ローカルストレージ22からアドレスp1に格納された録音ファイルを読み出して録音ファイル参照処理部205を介して要求元の端末へ送信する。
【0077】
しかし(B2)に示すように、目的の録音ファイルがローカルストレージに無い場合(ローカルキャッシュフラグ「0」)、端末は、センタストレージ格納場所アドレスq1を伴うアクセス要求を発する。センタ装置10において、録音ファイル参照処理部105は端末インタフェース262を介してアクセス要求を受信すると、センタストレージ12からアドレスq1に対応する録音ファイルを読み出して、その録音ファイルを、端末インタフェース262を介して要求元の端末へ送信する。
上記のようにして、管理者によって端末で選択された録音ファイルは、ローカルストレージ又はセンタストレージから要求元の端末に送信される。管理者は、端末に取得された録音ファイルを再生してその内容を聞くことができる。
【0078】
1又は複数のローカルシステム2で作成された録音ファイルは、上記した転送制御条件に従って最終的にはセンタシステム1に収集されてセンタストレージ12に保管して管理されるが、ローカルストレージ22がキャッシュとして機能して、録音ファイルがローカルストレージ22にも格納されている場合には、端末27はWAN82を経由しないで、ローカルシステム内のローカルストレージから速やかに目的の録音ファイルを取得することができる。ネットワークの通信費も節約できる。
【0079】
なお、録音ファイルの上記選択動作において、「削除」が選択されると、端末からセンタシステム10又はローカル装置20へ、対象の録音ファイルIDを伴う削除要求が送信される。この削除要求を受信すると、センタ装置10の録音ファイル保存管理部102は指定された録音ファイルIDの録音ファイルをセンタストレージから削除し、ローカル装置20の転送制御部204はローカルストレージ22から指定の録音ファイルを削除する。
【実施例5】
【0080】
画像ファイル管理システムの例
図16及び
図17を参照して、画像ファイル管理システムの例について説明する。
図16は、オフィス等の入退室管理システムに適用した場合の画像ファイル管理システムのローカルシステムの構成例を示す。
図1に示す録音ファイル管理システムにおけるコールセンタに適用されるローカルシステムが、
図16の画像ファイル管理システムのローカルシステムに置き換わったと考えることができる。
図1のセンタシステム1の基本的な構成は変わらないが、センタストレージ12に格納される記録ファイル123及び管理テーブル122は、画像ファイル及び画像ファイルの属性情報及びその関連情報(付加情報)を管理するテーブルに変る。なお、画像ファイルの管理テーブルについては、
図17を参照して後述する。
【0081】
図16に示す入退室管理システムは、主に人の入退室を管理する入退室管理装置25と、ローカル装置20´と、ローカルストレージ22´と、ネットワーク接続部23´と、端末27´を有して構成される。ここで、ローカル装置20´、ローカルストレージ22´、ネットワーク接続部23´、端末27´等の構成や機能は、
図1及び
図2に示す構成部位や諸機能と同様或いはそれらから容易に理解できるので、それらの説明は省略する。
【0082】
入退室管理装置25は一種のサーバ装置であり、プログラムを実行してデータ処理するプロセッサ(CPU)や、メモリ、記憶装置等を有している。入退室管理装置25は、さらに電子錠制御インタフェースを介して、電子錠付扉26の開閉を制御するドア開閉制御部251と、入室する人が所持するIDカードの情報を読取るカードリーダ252と、入室する人の顔や人物を撮影する監視カメラ253を備えている。本例は、監視カメラ253で取得した人物の画像ファイルを最終的にはセンタシステムへ送信してセンタストレージに格納して管理するが、それに先だって画像ファイルの属性情報をセンタシステムへ送信して、画像ファイルの検索を可能とする。入退室管理装置25という場合、入退室管理装置25のプロセッサがプログラムを実行して実現される動作又は機能をいう。
【0083】
IDカードを所持した人は、入退室するオフィスの入り口に来て、扉付近に備えられたカードリーダ252にIDカードを読ませる。入退室管理装置25は、カードリーダ252が取得したIDカードの認証情報と、予め記憶装置(図示せず)に記憶された入室を許可する人のIDカードの認証情報とを照合して、認証情報の一致不一致をチェックする。照合チェックの結果、認証成功の場合は、ドア開閉制御部251の制御により扉の電子錠を解放する。更に、監視カメラ253が、扉付近でカードリーダ252にIDカードを読ませる人物(結果的に入室成功又は或いは入室が不成功となった人物)の画像を取得すると、入退室管理装置25は、その画像をローカル装置20´へ転送する。
【0084】
入退室管理装置25はまた、IDカードの認証時刻、認証判定完了時刻および認証結果等の情報(属性情報)を取得する度にそれらをローカル装置20´へ転送する。ローカル装置20´では、画像ファイル作成部が、受信した画像をファイル化して画像ファイルを作成し、作成したそれぞれの画像ファイルに固有の画像ファイル識別IDを付与して、画像ファイルをローカルストレージ22´に格納する。また、属性ファイル作成部は、画像ファイル識別IDやIDカードの認証時刻、認証判定完了時刻および認証結果等の情報からなる属性情報(ここでは基本属性情報という)と、開放要求を発した扉を識別する扉ID、IDカードを識別するIDカード番号、及びIDカードによる認証が成功か失敗かを示す認証結果、等の情報(ここでは基本付加情報という)から構成される属性ファイルを作成して、その属性ファイルをセンタシステム1´へ送信する。
なお、上記構成の代例として、ローカル装置20´が有する
図2に示される画像ファイルを処理する諸機能は、サーバ装置である入退室管理装置25の一部として持たせることも可能である。
【0085】
図17は、画像ファイルの属性情報を管理する属性情報管理テーブルの構成例を示す。
センタシステム1のセンタストレージ12に保管される属性情報の管理テーブル122は、監視カメラが取得した画像ファイル或いはその取得に関する基本属性情報と、画像ファイルそのものと言うよりも画像ファイル(人物像)を発生した人又その人が所持する物(IDカード)に係わる情報である付加情報を格納する。付加情報は更に基本付加情報と、拡張付加情報から構成される。
【0086】
基本属性情報には、画像ファイルを識別する識別ID、監視カメラ253が録画を開始した時刻を示す録画開始時刻、同じく録画を終了した時刻を示す録画終了時刻、録画時間、IDカードの所持者の入室のために認証を開始した時刻を示す認証開始時刻、同じく認証判定を完了した時刻を示す認証終了時刻、画像ファイルが格納されるローカルストレージ又はセンタストレージの格納場所を示す格納場所アドレス、センタ装置が画像ファイルを受信完了したことを示す受取りフラグ、ローカルストレージ22´内に画像ファイルが保存されていることを示すローカルキャッシュフラグ、画像ファイルをローカルストレージにキャッシュとして保存している場合のローカルキャッシュ格納場所アドレス、等が含まれる。
【0087】
拡張付加情報には、開放要求を発した扉を識別する扉ID、IDカードを識別するIDカード番号、及びIDカードによる認証が成功か失敗かを示す認証結果、等の情報が含まれる。また、拡張付加情報には、IDカード利用者名や当該属性情報を参照した累積の回数を示す参照カウンタ等の情報が含まれる。ここで、拡張付加情報であるカード利用者名(カード利用者の個人情報)等の情報は、センタ装置が画像ファイルの基本付加情報及び基本付加情報を取得して管理テーブルに格納した後に、センタ装置が、それに接続される人事管理サーバ(図示せず)によって管理されるマスタファイルからIDカードを所持する人の個人情報として取得したものである。
【0088】
上記のように構成された画像ファイル管理システムにおけるローカルシステム2からセンタシステムへの画像ファイルの転送制御、及び画像ファイル管理システムを用いた画像ファイル乃至属性情報の検索については実施例1と同様であるので、それらの説明を省略する。
【0089】
実施例4によれば、画像ファイルの転送時間帯を、帯域確保の容易な時間帯に行うことができるなど、実施例1と同様の効果が得られる。また、入退室管理システムに適用した例によれば、人の認証に不成功であった画像ファイルを優先的にセンタシステムへ送信することで、セキュリティへの早期対処が可能になる。また、顧客等の社外の人の画像ファイルに対応する属性情報を優先的にセンタシステムへ転送することにより、顧客対応を充実化することができる。
【0090】
なお、実施例4の変形例として、人物像を撮影する監視カメラ253に代えて、ビルやオフィスに入退出する人の指紋や静脈の画像を取得するカメラでもよい。この場合でも上記実施例4と同様の効果を得ることができるであろう。
【0091】
更に他の例として、例えば、高速道路のインタチェンジゲートに設置された監視カメラとETC装置を有するシステムにも適用可能である。車両や運転手の画像を取得する監視カメラは、画像及びその属性情報(第1属性情報)を取得し、ETC装置はETCカードから個人情報(第2属性情報に相当)取得して、これら属性情報及び画像ファイルをセンタへ転送して管理することが可能である。
【0092】
上記実施例1〜5に対する変形例も色々考えられる。
例えば、上記実施例では、管理テーブル122と録音ファイル123が同じストレージに記憶されているが、必ずしも同じストレージである必要はない。管理テーブルはセンタ装置となるサーバ内に設けられる半導体メモリ等の比較的記憶容量の小さい記憶装置に記憶させ、録音ファイルは大容量のストレージに記憶させることができる。
【0093】
また、上記実施例では、コールセンタで生成される録音ファイルをセンタシステムに送信して、センタシステムで保管して管理するコンタクトセンタ管理システムについて述べた。ここで、センタシステムは必ずしも予め決められた固定的なホストコンピュータのようなものである必要はない。応用例によれば、センタシステムは、例えば、コールセンタを利用するユーザやコールセンタの運用を任された会社が指定したサーバやコンピュータであってもよい。
【0094】
また、上記実施例において録音ファイルや画像ファイルを総称して記録ファイルと呼んだが、その呼び方は種々あり得る。例えば、録音や画像又は動画の記録ログと言うこともあり、また音声や画像のコンテンツファイルと言うこともあろう。
【0095】
以上、幾つかの実施例によれば、ローカルな拠点で作成された記録ファイルの属性情報をまずセンタ装置へ送信して管理情報として管理しておき、その後にセンタ装置が記録ファイルを取得するようにした。ローカルな場所にある記憶手段に格納された記録ファイルをセンタ装置へ送信するには、記録ファイルの転送制御条件を自在に設定することで多様な転送制御が可能となる。例えば、記録ファイルをセンタ装置へ送信する時期について、帯域の確保しやすい夜間等の時間帯を転送制御条件に設定することで、ネットワークの所要帯域の削減や回線コストを低減することが可能になる。
【0096】
また、ローカルな場所にある装置から取得された属性情報だけでなく、他の装置で取得された属性情報を関連付けて管理情報として管理しておき、この管理情報を検索することで、記録ファイルの広範で多様な検索が可能となる。
【0097】
また、ローカルシステム2内で作成された記録ファイルはローカルストレージ22に一定期間保管されているので、端末27からの要求に応じて記録ファイルの検索や参照が容易に行える。コールセンタの場合、管理者やオペレータが同じ拠点で生じた通話録音の内容をその後に聞き直して確認したいというニーズがあるが、このようなニーズに容易に応えることができる。
【0098】
この場合、ローカルな拠点にある端末27から、キャッシュとしてローカルストレージ22に保存された記録ファイルを直に読み出すので、センタからWAN経由で記録ファイルをダウンロードしないで済むので、記録ファイルの再生に要する時間が短縮できる。
【0099】
また、セキュリティの観点から、記録ファイルをローカルな拠点内に留めておきたいユーザに対しては、記録ファイルをセンタに送らず、属性ファイルだけをセンタに送ってセンタで管理できるので、記録ファイルのセキュリティを確保しつつ通話録音の集中管理が可能になる。