(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014002
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/20 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
G03G21/20
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-205033(P2013-205033)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-69113(P2015-69113A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2015年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100183575
【弁理士】
【氏名又は名称】老田 政憲
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(72)【発明者】
【氏名】増田 慎子
(72)【発明者】
【氏名】米田 真作
【審査官】
三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−003628(JP,A)
【文献】
特開2005−099527(JP,A)
【文献】
特開2001−005354(JP,A)
【文献】
特開2010−156816(JP,A)
【文献】
特開昭61−079285(JP,A)
【文献】
特開2006−163361(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0110172(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/20
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムと、該感光体ドラムに形成される静電潜像を現像してトナー像を形成する現像部とを有するトナー像形成部と、
上記トナー像形成部により形成されたトナー像を用紙に定着させる定着部と、
上記トナー像形成部及び上記定着部を収容する筐体と、
上記筐体の内部において、上記定着部を囲まずに且つ上記トナー像形成部の少なくとも一部を囲むように設けられた金属フレームと、
上記金属フレームを冷却可能に設けられた熱交換器と、
上記定着部側と上記熱交換器側とを繋ぐダクトと、
上記ダクトに設けられて当該ダクトを開閉する開閉機構と、
上記開閉機構を制御する開閉制御部とを備え、
上記開閉制御部は、上記トナー像形成部がトナー像を形成している作動時に上記開閉機構を閉鎖する一方、上記トナー像形成部が停止している停止時に上記開閉機構を開放させる、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記金属フレームを覆うように設けられたカバー部をさらに備え、
上記カバー部と上記金属フレームとの間には、空気層が設けられている、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
上記熱交換器は、熱電素子によって構成され、
上記トナー像形成部の温度を検知する温度検知手段と、
上記温度検知手段により検知された上記トナー像形成部の温度に基づいて上記熱電素子を制御する制御部とをさらに備えている、画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
上記制御部は、上記温度検知手段により検知された温度が第1温度に上昇したときに、上記熱電素子によって上記金属フレームを冷却する一方、上記温度検知手段により検知された温度が、上記第1温度よりも低く且つ露点温度よりも高い第2温度に下降したときに、上記熱電素子に供給する電流の流れを逆に切り替えて、該熱電素子により上記金属フレームを加熱する、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フルカラーのプリンターや複写機等の画像形成装置は、カラー画像を形成する速度が高速化しており、4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)のそれぞれに対応した感光体ドラムを備えた所謂タンデム型の画像形成装置が一般的になっている。
【0003】
この種の画像形成装置は、用紙にトナー像を形成するためのトナー像形成部と、トナー像形成部によって形成されたトナー像を用紙に定着させる定着部と、トナー像形成部及び定着部を例えば用紙搬送路等と共に収容する筐体とを備えている。
【0004】
トナー像形成部は、複数の感光体ドラムと、感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラーと、各感光体ドラムに形成されたトナー像が転写される中間転写ベルトとを有している。
【0005】
各感光体ドラムは、帯電器による電圧の印加や、光走査装置によるレーザー光の照射等によって加熱される。現像ローラーは、感光体ドラムに接触して回転しているので、感光体ドラムとの間の摩擦熱によって加熱される。また、中間転写ベルトは、感光体ドラムに接触しているため、感光体ドラムの熱によって加熱される。
【0006】
中間転写ベルトが過度に加熱されると、中間転写ベルトに転写されているトナーが溶融して中間転写ベルトに固着してしまう問題が生ずる。そこで、トナー像形成部を適切に冷却する必要がある。
【0007】
特許文献1には、トナー像形成部において発生した飛散トナーを含む空気と外気とを吸引して混合した混合気を、フィルタを通した後にファンによりトナー像形成部へ供給することによって、トナー像形成部を冷却することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−25084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1の画像形成装置では、トナー像形成部で発生したトナーがファンの風によって撒き散らされるため、筐体内におけるトナーの飛散を抑制することが難しい。したがって、筐体の内部だけでなく用紙が飛散トナーによって汚染されてしまう虞がある。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的とするところは、トナーの飛散を抑制しつつ、トナー像形成部を適切に冷却することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、感光体ドラムと、該感光体ドラムに形成される静電潜像を現像してトナー像を形成する現像部とを有するトナー像形成部と、上記トナー像形成部により形成されたトナー像を用紙に定着させる定着部と、上記トナー像形成部及び上記定着部を収容する筐体と、上記筐体の内部において、上記定着部を囲まずに且つ上記トナー像形成部の少なくとも一部を囲むように設けられた金属フレームと、上記金属フレームを冷却可能に設けられた熱交換器と、
上記定着部側と上記熱交換器側とを繋ぐダクトと、上記ダクトに設けられて当該ダクトを開閉する開閉機構と、上記開閉機構を制御する開閉制御部とを備え
、上記開閉制御部は、上記トナー像形成部がトナー像を形成している作動時に上記開閉機構を閉鎖する一方、上記トナー像形成部が停止している停止時に上記開閉機構を開放させる。
【0012】
この構成によると、トナー像形成部は、感光体ドラム及び現像部を有するために発熱する。これに対し、定着部を囲まずに且つトナー像形成部の少なくとも一部を囲む金属フレームを設けると共に、その金属フレームが熱交換器によって冷却可能になっているので、金属フレームを冷却することにより、トナー像形成部を適切に冷却することが可能になる。しかも、ファンではなく熱交換器によってトナー像形成部を冷却するようにしたので、筐体の内部でトナーの飛散を抑制することができる。
【0013】
また、上記構成によると、トナー像形成部の作動時には、金属フレームを冷却している熱交換器の排熱によって温められた空気が、開閉制御部により開閉機構が閉鎖されたダクトに溜められる。その後、トナー像形成部の停止時には、定着部も作動停止すると共に、開閉制御部によってダクトの開閉機構が開放される。そうすると、ダクト内の温かい空気が定着部へ供給されるので、定着部の温度低下を抑制して、次のトナー像形成部の作動時における定着部の立ち上がりを早めることが可能になる。
【0014】
上記金属フレームを覆うように設けられたカバー部をさらに備え、上記カバー部と上記金属フレームとの間には、空気層が設けられていることが好ましい。
【0015】
この構成によると、金属フレームの外側に形成された空気層が断熱層となるので、例えば、熱交換器によって冷却された金属フレームと金属フレームの内側の空気とを空気層によって保温することができる。よって、トナー像形成部を効率よく冷却することが可能になる。
【0016】
上記熱交換器は、熱電素子によって構成され、上記トナー像形成部の温度を検知する温度検知手段と、上記温度検知手段により検知された上記トナー像形成部の温度に基づいて上記熱電素子を制御する制御部とをさらに備えていることが好ましい。
【0017】
この構成によると、制御部は、トナー像形成部の温度に基づいて熱電素子を制御する。したがって、トナー像形成部を所望の温度に制御することが可能になる。
【0018】
上記制御部は、上記温度検知手段により検知された温度が第1温度に上昇したときに、上記熱電素子によって上記金属フレームを冷却する一方、上記温度検知手段により検知された温度が、上記第1温度よりも低く且つ露点温度よりも高い第2温度に下降したときに、上記熱電素子に供給する電流の流れを逆に切り替えて、該熱電素子により上記金属フレームを加熱することが好ましい。
【0019】
この構成によると、トナー像形成部の温度が第1温度に上昇したときに、トナー像形成部は、熱電素子により金属フレームを介して冷却されるため、トナー像形成部の温度上昇を適切に防止できる。一方、トナー像形成部の温度が第2温度に下降したときに、トナー像形成部は、熱電素子により金属フレームを介して加熱されるため、露点温度まで低下せず、結露の発生を防止することが可能になる
。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、トナーの飛散を抑制しつつ、トナー像形成部を適切に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本実施形態における画像形成装置の要部構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、金属フレームによって覆われたトナー像形成部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、金属フレームにおける底板部の形状を示す断面図である。
【
図4】
図4は、ヒートシンク及びファンを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、熱電素子、ヒートシンク及びファンを示す断面図である。
【
図6】
図6は、熱電素子の制御系統を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、画像形成装置の構成を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本実施形態における画像形成装置1の要部構成を示している。
図2は、金属フレームによって覆われたトナー像形成部12を示している。
【0024】
画像形成装置1は、例えばタンデム型のカラープリンターである。画像形成装置1は、
図1に示すように、画像形成される用紙を収容する給紙カセット11と、給紙カセット11から供給された用紙に現像剤の像であるトナー像を形成するトナー像形成部12と、トナー像形成部12にレーザー光を照射する光走査部13と、トナー像形成部12によって用紙に形成されたトナー像を当該用紙に定着させる定着部14と、トナー像が定着された用紙が排出される排紙トレイ15とを有している。
【0025】
画像形成装置1は、装置本体としての筐体10を備えている。筐体10には、上記トナー像形成部12、光走査部13、定着部14及び用紙搬送路(不図示)が収容されている。
【0026】
図2に示すように、光走査部13は、トナー像形成部12の下方に配置されている。光走査部13は、画像形成装置1が受信した画像データに基づいてレーザー光をトナー像形成部12へ照射する。
【0027】
トナー像形成部12は、
図2に示すように、感光体ドラム16と、現像部17と、帯電器18と、クリーニング部19と、中間転写ベルト20とを備えている。
【0028】
感光体ドラム16は、光走査部13の上方に例えば4つ並んで設けられている。感光体ドラム16の上方には、無端状の中間転写ベルト20が設けられている。中間転写ベルト20は、複数のローラーに巻き掛けられており、図示しない駆動装置によって回転駆動される。4つの感光体ドラム16は、中間転写ベルト20に沿って一列に配置されている。
【0029】
各感光体ドラム16の周囲には、帯電器18、現像部17及びクリーニング部19が設けられている。帯電器18は感光体ドラム16の表面を帯電させる。帯電器18により帯電された感光体ドラム16には、光走査部13から照射されたレーザー光によって静電潜像が形成される。
【0030】
現像部17は、感光体ドラム16の表面に接触して回転する現像ローラー17aを有している。現像ローラー17aは、現像部17の内部のトナーを感光体ドラム16の表面に供給する。そうして、現像部17は、感光体ドラム16に形成される静電潜像を現像することによって、感光体ドラム16の表面にトナー像を形成する。4つの感光体ドラム16には、イエロー、マゼンタ、シアン、又はブラックのトナー像がそれぞれ形成される。
【0031】
中間転写ベルト20は、複数の感光体ドラム16の外周面に当接することによってその複数の感光体ドラム16の外周面からトナー像が転写されるように構成されている。
【0032】
すなわち、中間転写ベルト20の感光体ドラム16と反対側には、一次転写ローラー21が設けられている。一次転写ローラー21は、中間転写ベルト20を感光体ドラム16に押しつけることによって、感光体ドラム16のトナー像を中間転写ベルト20に一次転写する。
【0033】
そうして、中間転写ベルト20の表面には、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー像が互いに重ね合わされたカラートナー像が形成される。また、トナー像が中間転写ベルト20に転写された感光体ドラム16の表面は、クリーニング部19によって清掃される。
【0034】
中間転写ベルト20の側方には、二次転写ローラー22が設けられている。二次転写ローラー22は、中間転写ベルト20のトナー像を、給紙カセット11から搬送された用紙に二次転写する。
【0035】
定着部14は、二次転写ローラー22の上方に設けられている。定着部14は、互いに圧接されて回転する定着ローラー(不図示)及び加圧ローラー(不図示)を備えている。そうして、定着部14は、用紙に二次転写されたトナー像を、定着ローラー及び加圧ローラーにより加熱及び加圧することによって、当該用紙にトナー像を定着させる。
【0036】
そして、画像形成装置1は、筐体10の内部において、定着部14を囲まずに且つトナー像形成部12の少なくとも一部を囲むように設けられた金属フレーム25と、金属フレーム25を冷却可能に設けられた熱交換器27とをさらに備えている。
【0037】
図2に示すように、金属フレーム25は、トナー像形成部12と光走査部13との間に設けられた底板部25aと、トナー像形成部12の上方に配置された天板部25bと、トナー像形成部12の側方周囲に設けられた側板部25cとを有している。
【0038】
トナー像形成部12の感光体ドラム16及び現像部17は、金属フレーム25によって密閉されていることが好ましい。そのことにより、感光体ドラム16及び現像部17の冷却効果を高めることができる。例えば、金属フレーム25に加工上形成されるパイロット孔等は、シール材によって塞ぐことが望ましい。
【0039】
図3は、底板部25aの断面形状を示している。
図3に示すように、金属フレーム25は波板状に形成されている。そのことにより、金属フレーム25の伝熱面積が増大するので、トナー像形成部12を効率よく冷却することが可能になる。
【0040】
また、底板部25aには、光走査部13から出射されたレーザー光が透過する第1透過部24が形成されている。第1透過部24は、開口部によって形成してもよいが、トナー像形成部12の冷却効果の観点から、ガラス等の透明部材によって閉塞することが好ましい。
【0041】
波板状の底板部25aは、互いに平行に延びる複数の溝26を有しているので、感光体ドラム16及び現像部17から飛散したトナー23が各溝26に溜まることとなる。ここで、現像部17は、筐体10に対してスライド移動することにより着脱可能になっている。そして、底板部25aは、各溝26が現像部17のスライド移動方向Aに交差する方向に延びるように設けられている。そのことにより、現像部17を着脱する際における底板部25aからのトナー23の飛散を抑制することができる。
【0042】
熱交換器27は、例えばペルチェ素子等の熱電素子27によって構成されている。ここで、
図4及び
図5は、熱電素子27の構成を示している。
図2、
図4及び
図5に示すように、熱電素子27は、金属フレーム25の側板部25cに設けられている。
【0043】
熱電素子27は、所定方向に電流を流すことによって、金属フレーム25側に冷却部が形成される一方、金属フレーム25と反対側に放熱部が形成される。そのことによって、熱電素子27は金属フレーム25を冷却する。
【0044】
熱電素子27と側板部25cとの間には、熱拡散層が介在され、伝熱性を高めるようになっている。熱電素子27の側板部25cと反対側には、熱拡散層を介してヒートシンク28が設けられている。さらに、ヒートシンク28の熱電素子27と反対側には、ファン29が装着されている。
【0045】
さらに、
図2に示すように、画像形成装置1は、筐体10の内部において金属フレーム25を覆うように設けられたカバー部31を備えている。そして、カバー部31と金属フレーム25との間には、空気層32が設けられている。
【0046】
カバー部31は、例えば樹脂等の断熱性の高い材料によって形成することが好ましい。カバー部31には、光走査部13から出射されたレーザー光が透過する第2透過部31aが形成されている。熱電素子27は、カバー部31の内側に配置される一方、ヒートシンク28は、カバー部31の外側に配置されている。
【0047】
図6は、熱電素子27の制御系統を示している。画像形成装置1は、トナー像形成部12の温度を検知する温度検知手段である温度センサー33と、温度センサー33により検知されたトナー像形成部12の温度に基づいて熱電素子27を制御する制御部34とをさらに備えている。
【0048】
制御部34は、温度センサー33により検知された温度が、予め設定された第1温度T1に上昇したときに、熱電素子27によって金属フレーム25を冷却する。そのことにより、トナー像形成部12の温度上昇が抑制される。
【0049】
一方、制御部34は、温度センサー33により検知された温度が、予め設定された温度であって第1温度T1よりも低く且つ露点温度よりも高い第2温度T2に下降したときに、熱電素子27に供給する電流の流れを逆に切り替えて、その熱電素子27により金属フレーム25を加熱する。そのことにより、トナー像形成部12の温度低下が抑制されるので、トナー像形成部12の結露を防止することが可能になる。
【0050】
図7は、画像形成装置1の構成を概略的に示している。画像形成装置1は、定着部14側と熱電素子27側とを繋ぐダクト36と、ダクト36に設けられて当該ダクト36を開閉する開閉機構37と、開閉機構37を制御する開閉制御部38とをさらに備えている。
【0051】
ダクト36の一端は、熱電素子27及びファン29を覆うように設けられている。ダクト36の他端は、定着部14の近傍において筐体10に接続されている。開閉機構37は、ダクト36の他端側を開閉する開閉弁によって構成されている。
【0052】
開閉制御部38は、トナー像形成部12がトナー像を形成している作動時に開閉機構37を閉鎖する一方、トナー像形成部12が停止している停止時に開閉機構37を開放させる。そうして、トナー像形成部12の停止時に、熱電素子27の排熱によって温められた空気を、ダクト36から定着部14へ供給するようになっている。
【0053】
したがって、本実施形態によると、トナー像形成部12は、感光体ドラム16及び現像部17を有するために発熱する。これに対し、定着部14を囲まずに且つトナー像形成部12の少なくとも一部を囲む金属フレーム25を設けると共に、その金属フレーム25を熱電素子27によって冷却可能にしたので、金属フレーム25を冷却することにより、トナー像形成部12を適切に冷却することができる。しかも、ファンではなく熱交換器27によってトナー像形成部12を冷却するようにしたので、筐体10の内部でトナーの飛散を抑制することができる。よって、飛散トナーによる用紙の汚染を抑制できる。
【0054】
しかも、金属フレーム25を覆うようにカバー部31を設けて、カバー部31と金属フレーム25との間に空気層32を形成することにより、金属フレーム25の外側において空気層32が断熱層となるので、例えば、熱電素子27によって冷却された金属フレーム25と金属フレーム25の内側の空気を空気層32によって保温することができる。よって、トナー像形成部12を効率よく冷却できる。
【0055】
さらに、画像形成装置1は、温度センサー33により検知されたトナー像形成部12の温度に基づいて熱電素子27を制御する制御部34をさらに備えているので、制御部34によって、トナー像形成部12を所望の温度に制御することができる。
【0056】
そして、トナー像形成部12の温度が第1温度T1に上昇したときに、熱電素子27によって金属フレーム25を冷却する一方、トナー像形成部12の温度が第2温度T2に下降したときに、熱電素子27により金属フレーム25を加熱するようにしたので、トナー像形成部12の温度上昇を適切に防止できると共に、トナー像形成部12の温度を露点温度まで低下させないようにして結露の発生を防止できる。
【0057】
さらにまた、画像形成装置1は、定着部14側と熱電素子27側とを繋ぐダクト36と、ダクト36を開閉する開閉機構37と、開閉機構37を制御する開閉制御部38とを備えることにより、トナー像形成部12の作動時には、金属フレーム25を冷却している熱電素子27の排熱によって温められた空気を、開閉制御部38により開閉機構37が閉鎖されているダクト36に溜めることができる。そうして、トナー像形成部12の停止時には、定着部14も作動停止すると共に、開閉制御部38によってダクト36の開閉機構37が開放される。そうすると、ダクト36内の温かい空気が定着部14へ供給されるので、定着部14の温度低下を抑制して、次のトナー像形成部12の作動時に、定着部14の立ち上がりを早めることができる。
【0058】
尚、上記実施形態では、カラープリンターを画像形成装置の一例として説明したが、これに限らず、例えば複写機、スキャナ装置、又は複合機等の他の画像形成装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、本発明は、電子写真方式の画像形成装置について有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
10 筐体
12 トナー像形成部
14 定着部
16 感光体ドラム
17 現像部
25 金属フレーム
27 熱電素子(熱交換器)
31 カバー部
32 空気層
33 温度センサー
34 制御部
36 ダクト
37 開閉機構
38 開閉制御部