(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来より、自動車のオーナメントに照明装置を取り付けてイルミネーションを構成する技術(イルミネーション付オーナメント)が知られている。
このイルミネーション付オーナメントでは、光源の前方側に合成樹脂製のシート材やレンズなどの装飾部材を取付固定しておき、光源の点灯時には装飾部材を透して高輝度で明るく発光させ、光源の消灯時には装飾部材が金属調に煌めいて見える(外観にメタリック感を付与する)ようにして、意匠性を高めることが考えられる。
【0006】
光源の消灯時に装飾部材を金属調に見せるには、例えば、装飾部材の表面にメッキや蒸着により金属層を形成するか、装飾部材の表面にメタリック塗装を施せばよい。
しかし、オーナメントの装飾用の文字符号などが装飾部材の表面に形成されている場合には、その文字符号の形状に合わせて金属層を形成することが要求されるが、金属層を装飾部材の表面の所定箇所のみに形成することは困難である。
そして、装飾部材の表面が起伏の大きな曲面の場合には、その曲面に金属層を形成することは困難である。
【0007】
ここで、光源の点灯時に装飾部材を透して高輝度で発光させるには、金属層の膜厚を薄くして光透過率を高くすることが望ましい。
また、光源の消灯時に装飾部材を金属調に見せるには、金属層の膜厚を厚くして光透過率を低くすることが望ましい。
すなわち、光源の点灯時と消灯時において、金属層の光透過率と膜厚にはトレードオフの関係があるため、光源の点灯時と消灯時の両方における意匠性を高めることは困難である。
【0008】
また、メタリック塗装は、顔料として金属フレークを含有しているが、金属フレークは光反射性が高く光透過性が低いという性質がある。
ここで、光源の点灯時に装飾部材を透して高輝度で発光させるには、金属フレークの含有量を減らして光透過率を高くすることが望ましい。
また、光源の消灯時に装飾部材を金属調に見せるには、金属フレークの含有量を増やして光透過率を低くすることが望ましい。
すなわち、光源の点灯時と消灯時において、メタリック塗装の光透過率と金属フレークの含有量にはトレードオフの関係があるため、光源の点灯時と消灯時の両方における意匠性を高めることは困難である。
【0009】
特許文献1の発明はマイカなどのパール顔料を用い、特許文献2の発明はミネラルマイカなどの混合作用顔料を用いるが、どちらの発明も、マイカなどの顔料による光の干渉を利用するものである。
そのため、特許文献1の前記呈色可変部材や、特許文献2の前記プラスチック部材によって前記装飾部材を作製した場合には、光源の光が前記干渉によって装飾部材の外部へ放射され難いため、光源の点灯時における装飾部材の光透過率が低くなることから、光源の点灯時に装飾部材を透して高輝度で発光させることが困難である。
【0010】
本発明は前記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、光源の点灯時と消灯時の両方における意匠性を高めることが可能な照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明の各局面に想到した。
【0012】
<第1の局面>
第1の局面は、
励起光を放射する光源と、
蛍光体を含有し、光源の励起光を透過して放射する蛍光体層と、
顔料およびマイカを含有する塗料が塗布形成され、蛍光体層の放射光を透過して放射する塗装膜と
を備えた照明装置であって、
塗装膜の光透過スペクトルのピーク波長が、光源の発光スペクトルのピーク波長と、蛍光体層の発光スペクトルのピーク波長との間に位置する。
【0013】
第1の局面では、光源の励起光である一次光と、その一次光の一部が蛍光体層に含有された蛍光体で励起されることにより波長変換された二次光(蛍光)とが混色され、その混色された光が放射光として蛍光体層から放射される。
塗装膜は、マイカを含有するため、光源の点灯時(発光時)には励起光に対する光透過性を優先的に起こし、光源の消灯時(非発光時)には外部光に対する光反射性を優先的に起こす特性を有する。
【0014】
そして、塗装膜の光透過スペクトルのピーク波長が、光源の発光スペクトルのピーク波長と、蛍光体層の発光スペクトルのピーク波長との間に位置する。
そのため、光源の点灯時には、放射光(励起光+蛍光)が塗装膜の顔料により吸収・散乱されると共にマイカを透過し、その放射光が均一に拡散するため、塗装膜を高輝度で明るく発光させることができる上に、塗装膜の発光ムラを低減できる。
また、光源の消灯時には、塗装膜の光輝感を高め、塗装膜を金属調に煌めいて見える(外観にメタリック感を付与する)ようにすることができる。
従って、第1の局面によれば、光源の点灯時と消灯時の両方における意匠性を高めることが可能な照明装置を提供できる。
【0015】
<第2の局面>
第2の局面は、第1の局面において、塗装膜の光透過スペクトルは、ピーク波長を中心としてなだらかに変化する。
第2の局面では、第1の局面の前記作用・効果を確実に得られる。
尚、塗装膜の光透過スペクトルがなだらかに変化するとは、光透過スペクトルの半値幅が広く、光透過スペクトルの裾野が大きいことである。
【0016】
そして、塗装膜の光透過スペクトルの半値幅は、光源の発光スペクトルの半値幅よりも広く、蛍光体層の発光スペクトルの半値幅よりも狭いことが好ましい。
塗装膜の光透過スペクトルの半値幅が、光源の発光スペクトルの半値幅よりも狭い場合には、光源から放射された励起光(一次光)と、蛍光体層で生成された蛍光(二次光)のほとんどが、塗装膜によって吸収されてしまうおそれがある。
塗装膜の光透過スペクトルの半値幅が、蛍光体層の発光スペクトルの半値幅よりも広い場合には、塗装膜が様々な色の光を透過することになり、塗装膜が実質的に無色透明に近くなって所望の色に着色することが困難になる。
【0017】
<第3の局面>
第3の局面は、第1の局面または第2の局面において、光源の励起光は青色光であり、蛍光体層の放射光は白色光であり、顔料は青色である。
第3の局面では、美観に優れた青色に光る照明装置を実現できる。
【0018】
また、第3の局面では、塗装膜の顔料と光源の励起光とが同じ青色のため、照明装置の放射光を単色に近い色にすることができる。
また、二次光(蛍光)が一次光(励起光)よりも透過スペクトルのピークにおける長波長側を通過することで、透過スペクトルのピークの全域を有効活用できるため、光源のみを設けて蛍光体層を設けない場合に比べて、放射光の光量を増大させて明るい照明装置を実現できる。
【0019】
<第4の局面>
第4の局面は、第1〜第3の局面において、光源はLEDである。
第4の局面では、第1〜第3の局面の照明装置を低コストで容易に具体化できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照しながら説明する。
尚、各図面では、説明を分かり易くするために、各実施形態の構成部材の寸法形状および配置箇所を誇張して模式的に図示してあり、各構成部材の寸法形状および配置箇所が実物とは必ずしも一致しないことがある。
【0022】
<第1実施形態>
図1および
図2に示すように、第1実施形態の照明装置10は、光源ユニット20、シート材30、塗装膜31、レンズ40などを備え、自動車のイルミネーション付オーナメントとして用いられる。
ちなみに、オーナメントとは、自動車に取付けられるエンブレムや自動車メーカーのロゴ等の装飾品全般を指すものである。
【0023】
光源ユニット20は、基板21、LED(Light Emitting Diode)チップ22、枠体23、蛍光体層24、光放射面20aなどを備える。
基板21は平板状であり、例えば、絶縁材料(例えば、窒化アルミニウムなどのセラミックス材料、合成樹脂材料など)のバルク材から成る基板や、金属材料(例えば、アルミニウム合金、純銅、銅系合金など)の表面に絶縁層が形成された基板などによって形成されている。
【0024】
LEDチップ22は、略直方体状を成した青色LEDである。
LEDチップ22の背面側(下面側)は、基板21の表面上に形成されている配線層(図示略)に対して、ダイボンディング材を用いて取付固定されている。
【0025】
枠体23は矩形枠状(額縁状)であり、LEDチップ22を囲繞するように、基板21の表面上に取付固定されている。
尚、枠体23の内壁面は、光反射性を有し、枠体23の開口側へ向かって広がるような傾斜面状に形成されている。
また、枠体23は、光反射性の高い材料(例えば、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)の微粒子を含有する白色の合成樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂など)、光反射性のセラミックス材料(例えば、酸化アルミニウムなど)、光反射性の金属材料(例えば、アルミニウム合金など)などによって形成されている。
【0026】
蛍光体層(封止層)24は、LEDチップ22の前面(上面)および側面を被覆するように枠体23内に充填されてLEDチップ22を封止している。
また、枠体23の開口部から露出する蛍光体層24の表面は平坦に形成されており、その蛍光体層24の表面が光源ユニット20の光放射面20aになる。
尚、蛍光体層24は、蛍光体と、その蛍光体が含有混合された透明な塗膜形成成分(基材)とから成る。
蛍光体層24の蛍光体には、例えば、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)系蛍光体などがある。
また、蛍光体層24の塗膜形成成分には、例えば、合成樹脂材料(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)、ゾルゲルガラスなどがある。
【0027】
シート材30は、透明な合成樹脂材料(例えば、アクリル樹脂など)によって形成されたシート状であり、光源ユニット20の光放射面20aの前方側に配置されている。
シート材30の表面側には、装飾用の各種加工(例えば、着色加工、ハーフミラー加工、模様の印刷加工など)が施されている。
【0028】
シート材30の裏面側には、塗装膜(塗膜、塗料層)31が設けられている。
塗装膜31は、着色用の顔料およびマイカと、その顔料およびマイカが含有混合された塗膜形成成分(基材)とから成る塗料を塗布形成したものである。
【0029】
塗装膜31の顔料には、主に青色顔料を用いる。
青色顔料には、例えば、ビクトリアブルーB、ビクトリアブルーR、ビクトリアピュアブルーB、ベンズイミダゾロンジオキサジン、アルミニウムフタロシアニンブルー、コバルトフタロシアニンブルー、インジゴカルミンレーキ、リフレックスブルー、インダンスレンブルー、アルカリブルー、コバルトアルミブルー、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、プルシアンブルー、ブリリアントブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、γ−フタロシアニンブルー、β−フタロシアニンブルー、α−フタロシアニンブルーなどがある。
この中でも、耐候性・耐熱性・耐溶剤性が良好であり、安価であることから、α−フタロシアニンブルーが好ましい。
その他、色の微妙な調整のため、カーボンブラック、キナクリドンレッド、酸化チタンなどの青色顔料以外を併せて用いてもよい。
【0030】
塗装膜31を形成するための塗料中における顔料の含有割合(混合割合)の範囲は、PWCで0.1〜15%が適当であり、望ましくは0.5〜10%、特に望ましくは1〜6%である。
ここで、PWC(顔料重量濃度:Pigment Weight Concentration)は、以下の数式により算出される。
【0031】
PWC={含有顔料重量(%)/全塗料固形分重量(%)}×100
【0032】
青色顔料の含有割合がこの範囲より大きくなると、塗装膜31の光透過率が著しく低くなるため、LEDチップ22が点灯しても、光源ユニット20の放射光が塗装膜31を透過せず、塗装膜31を明るく発光させることができない。
青色顔料の含有割合がこの範囲より小さくなると、塗装膜31の光透過率が高くなり過ぎるため、照明装置10の内部機構(光源ユニット20など)が塗装膜31を透けて見えてしまい、照明装置10の意匠性が低下する。
【0033】
塗装膜31のマイカには、表面を他の物質で被覆しない未処理のマイカや、酸化チタンなどの金属酸化物で表面処理を施したパールマイカを用いる。
パールマイカを用いる場合には、酸化チタンの被覆率が1〜43%のホワイトパールまたはシルバーパールが好適であり、酸化チタンの被覆率は5〜36%がより望ましい。
酸化チタンの被覆率が43%以上であると、反射光や透過光が干渉により色変化するため本発明の目的に合致せず、塗装膜31の光透過率が低くなるため好ましくない。
【0034】
塗装膜31のマイカは、光源ユニット20の放射光に対して透過性を有し、例えば、厚さ0.1〜100μmの薄板状または鱗片状のものが望ましく、また粒子表面が平滑なものが望ましい。
マイカの粒子径は、1〜1000μmが適当であり、望ましくは2〜200μm、特に望ましくは5〜50μmである。
マイカの粒子径がこの範囲より大きくなると、マイカの粒子感が目立つ上に、マイカの粒子の端部が塗装膜31の表面から突出するため、塗装膜31の意匠性が低下する。
マイカの粒子径がこの範囲より小さくなると、塗装膜31の光輝感が不足するため、塗装膜31が金属調にならず意匠性が低下する。
【0035】
塗装膜31を形成するための塗料中におけるマイカの含有割合の範囲は、PWCで0.5〜45%が適当であり、望ましくは1〜20%、特に望ましくは2〜10%である。
マイカの含有割合がこの範囲より大きくなると、塗装膜31の光輝感が強くなり過ぎて意匠性が低下する上に、塗装膜31の塗膜形成成分の割合が小さくなり過ぎ、塗装膜31として成立しなくなる。具体的には、塗装膜31の耐久性などの諸性能を満たさなくなり、塗装膜31からマイカが脱落してしまう。
また、マイカの含有割合がこの範囲より大きくなると、マイカは高価であるため、照明装置10のコストも増大することになる。
マイカの含有割合がこの範囲より小さくなると、塗装膜31の光輝感が不足するため、塗装膜31が金属調にならず意匠性が低下する。
【0036】
塗装膜31の塗膜形成成分として用いられる合成樹脂には、例えば、アクリル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリルメラミン樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂などがある。
【0037】
レンズ40は、透明な合成樹脂材料(例えば、アクリル樹脂など)によって 形成された平板状であり、シート材30の前方側(光源ユニット20とは反対側)に配置されている。
【0038】
[第1実施形態の作用・効果]
第1実施形態の照明装置10によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0039】
[1]照明装置10は、励起光を放射するLEDチップ22(光源)と、蛍光体を含有してLEDチップ22の励起光を透過して放射する蛍光体層24と、顔料およびマイカを含有する塗料が塗布形成されて蛍光体層24の放射光を透過して放射する塗装膜31とを備える。
【0040】
照明装置10では、LEDチップ22から放射された励起光である一次光と、その一次光の一部が蛍光体層24に含有された蛍光体で励起されることにより波長変換された二次光(蛍光)とが混色され、
図1の矢印αに示すように、混色された光が放射光として蛍光体層24から放射される。
【0041】
図2(A)は、照明装置10のシート材30の概略構成を示す縦断面図であり、塗装膜31に含有されたマイカMの状態を示す模式図である。
図2(A)の矢印αに示すように、蛍光体層24(図示略)から放射された光はマイカMを透過するため、蛍光体層24からの放射光に対する塗装膜31の光透過率は高くなる。
すなわち、塗装膜31は、マイカを含有するため、LEDチップ22の点灯時(発光時)には励起光に対する光透過性を優先的に起こし、LEDチップ22の消灯時(非発光時)には外部光に対する光反射性を優先的に起こす特性を有する。
【0042】
図2(B)は、塗装膜31をメタリック塗膜にした場合において、塗装膜31に含有された金属フレークFの状態を示す模式図である。
図2(B)の矢印αに示すように、蛍光体層24(図示略)から放射された光は金属フレークFによって遮断されるため、塗装膜31の光透過率が低くなる。
【0043】
図3は、塗装膜31の光透過スペクトルと、LEDチップ22の発光スペクトルおよび蛍光体層24の発光スペクトルとの関係の一例を示す特性図である。
尚、光透過スペクトルとは光の波長に対する光透過率の分布を示し、発光スペクトルとは光の波長に対する発光強度の分布を示す。
図3に示すように、マイカを含有する塗装膜31は、メタリック塗装の塗装膜31に比べて、光透過率を20%以上高めることができる。
そして、塗装膜31の光透過率のピーク波長λaが、LEDチップ22の発光スペクトルのピーク波長λbと、蛍光体層24の発光スペクトルのピーク波長λcとの間に位置する。
【0044】
そのため、LEDチップ22の点灯時には、光源ユニット20の放射光(励起光+蛍光)が塗装膜31の顔料により吸収・散乱されると共に塗装膜31のマイカを透過し、その放射光が均一に拡散するため、塗装膜31を高輝度で明るく発光させることができる上に、塗装膜31の発光ムラを低減できる。
また、LEDチップ22の消灯時には、塗装膜31の光輝感を高め、塗装膜31を金属調に煌めいて見える(外観にメタリック感を付与する)ようにすることができる。
従って、第1実施形態によれば、LEDチップ22の点灯時と消灯時の両方における意匠性を高めることが可能な照明装置10を提供できる。
【0045】
[2]
図3に示すように、塗装膜31の光透過スペクトルは、ピーク波長を中心としてなだらかに変化するため、前記[1]の作用・効果を確実に得られる。
尚、塗装膜31の光透過スペクトルがなだらかに変化するとは、光透過スペクトルの半値幅が広く、光透過スペクトルの裾野が大きいことである。
【0046】
そして、塗装膜31の光透過スペクトルの半値幅は、LEDチップ22の発光スペクトルの半値幅よりも広く、蛍光体層24の発光スペクトルの半値幅よりも狭いことが好ましい。
塗装膜31の光透過スペクトルの半値幅が、LEDチップ22の発光スペクトルの半値幅よりも狭い場合には、LEDチップ22から放射された励起光(一次光)と、蛍光体層24で生成された蛍光(二次光)のほとんどが、塗装膜31によって吸収されてしまうおそれがある。
塗装膜31の光透過スペクトルの半値幅が、蛍光体層24の発光スペクトルの半値幅よりも広い場合には、塗装膜31が様々な色の光を透過することになり、塗装膜31が実質的に無色透明に近くなって青色に着色することが困難になる。
【0047】
[3]照明装置10では、LEDチップ22から放射された励起光である一次光(青色光)と、その一次光の一部が蛍光体層24に含有される蛍光体で励起されることにより波長変換された二次光(黄色光)とが混色されて白色光が生成され、その白色光が放射光として蛍光体層24から放射される。
そして、塗装膜31の顔料は青色であり、蛍光体層24から放射された白色光は青色光になって照明装置10から放射されるため、美観に優れた青色に光る照明装置10を実現できる。
【0048】
さらに、塗装膜31の顔料とLEDチップ22の一次光(励起光)とが同じ青色のため、照明装置10の放射光を単色に近い色にすることができる。
また、二次光(蛍光)が一次光(励起光)よりも透過スペクトルのピークにおける長波長側を通過することで、透過スペクトルのピークの全域を有効活用できるため、LEDチップ22のみを設けて蛍光体層24を設けない場合に比べて、放射光の光量を増大させて明るい照明装置10を実現できる。
【0049】
[4]照明装置10では、励起光源としてLEDチップ22を用いるため、低コスト化を図ることができる。
【0050】
<第2実施形態>
図4に示すように、第2実施形態の照明装置100は、光源ユニット20、シート材30、レンズ40、塗装膜41などを備え、自動車のイルミネーション付オーナメントとして用いられる。
第2実施形態の照明装置100において、第1実施形態の照明装置10と異なるのは、シート材30の裏面側に塗装膜31を塗布形成するのではなく、レンズ40の裏面側に塗装膜41を塗布形成している点であり、塗装膜41の組成は塗装膜31と同じである。
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0051】
<別の実施形態>
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、前記実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
【0052】
[A]LEDチップ22は、蛍光体層24の蛍光体を励起可能であれば、どのような励起光源(例えば、有機ELチップなど)に置き換えてもよい。
【0053】
[B]第1実施形態では、塗装膜31をシート材30の裏面側に塗布形成したが、塗装膜31をシート材30の表面側に塗布形成してもよい。
また、第2実施形態では、塗装膜41をレンズ40の裏面側に塗布形成したが、塗装膜41をレンズ40の表面側に塗布形成してもよい。
【0054】
本発明は、前記各局面および前記各実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。