特許第6014018号(P6014018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014018ビスアンヒドロヘキシトールに基づく非対称モノマーから誘導される新規ポリエステルエーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014018
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ビスアンヒドロヘキシトールに基づく非対称モノマーから誘導される新規ポリエステルエーテル
(51)【国際特許分類】
   C07D 493/04 20060101AFI20161011BHJP
   C08G 63/664 20060101ALI20161011BHJP
   C08G 63/80 20060101ALI20161011BHJP
   C08G 63/91 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   C07D493/04 101D
   C07D493/04CSP
   C08G63/664
   C08G63/80
   C08G63/91
【請求項の数】30
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-500225(P2013-500225)
(86)(22)【出願日】2011年3月18日
(65)【公表番号】特表2013-522318(P2013-522318A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】US2011028966
(87)【国際公開番号】WO2011116270
(87)【国際公開日】20110922
【審査請求日】2014年2月21日
(31)【優先権主張番号】61/315,227
(32)【優先日】2010年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512239608
【氏名又は名称】ニュージャージー・インスティチュート・オブ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100182394
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】イースト,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ジャフェ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド,ウィリス
(72)【発明者】
【氏名】フェン,シャンホン
【審査官】 谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/146202(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0021209(US,A1)
【文献】 特開昭61−246184(JP,A)
【文献】 特表2001−505944(JP,A)
【文献】 特開昭58−201738(JP,A)
【文献】 S. CHATTI et al,Synthesis and properties of new poly(ether-ester)s containing aliphatic diol based on isosorbide. Effects of the microwave-assisted polycondensation,EUROPEAN POLYMER JOURNAL,2005年10月11日,vol.42, no.2,p.410-424
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 493/04
C08G 63/06
C08G 63/664
C08G 63/80
C08G 63/91
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接自己重合して以下の一般タイプの立体規則性または位置規則性縮合ポリマーを形成することができるビスアンヒドロヘキシトール誘導体を含む、ABモノマー:
A−X−C−Y−B
[式中、Aは、カルボン酸、カルボン酸のエステル誘導体、およびカルボン酸の反応性カルボニル誘導体、例えば酸塩化物からなる群より選択され;
Yは、イソソルビド、イソイジド、およびイソマンニドからなる群より誘導されるビスアンヒドロヘキシトール単位であり;
Xは、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、2,6−ナフタレンおよび2,7−ナフタレン、およびそれらの置換誘導体などの芳香環、ならびに2,5−フラン2,5−チオフェン、置換された2,5−フラン、および置換された2,5−チオフェンを含む非置換または置換された複素環、ならびに飽和または不飽和の脂肪族鎖からなる群より選択され;
Bは、−OHであり;および、
Cは、エーテル酸素、硫化物硫黄、およびアミン、およびNHまたはNR[式中、RはC1〜C6の有機置換基である]からなる群より選択され、XをYに結合させる]。
【請求項2】
請求項1に記載のABモノマーであって、Xが、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、2,6−ナフタレンおよび2,7−ナフタレン、およびそれらの置換誘導体などの芳香環、ならびに飽和または不飽和の脂肪族鎖からなる群より選択されるモノマーの製造方法であって、
(a)ビスアンヒドロヘキシトールを保護部分と反応させて、ビスアンヒドロヘキシトールの−OH基の1つを保護して前駆体B−Yを形成する工程;
(b)前記前駆体B−Yの保護されていない−OH基を、求核置換を受けやすい誘導体に転化する工程;
(c)前記前駆体を、非置換または置換芳香族フェノール類およびチオフェノール類、非置換または置換芳香族第一級および第二級アミン、脂肪族不飽和または脂肪族飽和アルコール、脂肪族不飽和または脂肪族飽和第一級および第二級アミン、ならびにそれらの誘導体からなる群より選択される化合物と反応させて、該化合物を、前記前駆体の誘導体化された−OH基に、スルフィド結合、アミン結合、またはエーテル結合により結合させて式:A−X−C−Y−Bで表されるABモノマーを生成する工程;ならびに、
(d)式:A−X−C−Y−Bで表されるABモノマーの保護部分を除去する工程、
を含む、前記方法。
【請求項3】
請求項1に記載のABモノマーのホモ重合生成物からなる、位置規則性オリゴマーまたはホモポリマー。
【請求項4】
立体規則性ABオリゴマーまたはホモポリマーの製造方法であって、
請求項1に記載のABモノマーを所望により触媒とともに溶融重合または溶液重合させることを含む、前記方法。
【請求項5】
コポリエステルの製造方法であって、
請求項1に記載のABモノマーおよびポリエステルを、所望により触媒とともに溶融共重合させることを含む、前記方法。
【請求項6】
コポリエステルの製造方法であって、
請求項1に記載のABモノマーを、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、あるいは、ホモポリマー、コポリマー、もしくはブロックコポリマータイプであるポリマーを含有する重合反応器に、所望により触媒とともに混ぜ入れて共重合することを含む、前記方法。
【請求項7】
ポリエステルの性能を改善するための方法であって、
該ポリマーを、請求項3に記載のABホモポリマーまたはオリゴマーと、溶融混合してエステル交換反応することを含む、前記方法。
【請求項8】
前記ポリエステルが、芳香族、および脂肪族ポリエステルからなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ビスアンヒドロヘキシトール部分を、ポリエステル中に、重合中のビスアンヒドロヘキシトールの損失を低減させて導入する方法であって、
請求項1に記載のABモノマーを、重合におけるモノマーとして、ビスアンヒドロヘキシトール部分の供給源として用いることを含む、前記方法。
【請求項10】
第1のモノマーを用いて製造されるポリエステルの結晶化度を改善する方法であって、
重合反応において、請求項1に記載のABモノマーで第1のモノマーの少なくとも一部を置き換えることを含む、前記方法。
【請求項11】
イソイジド部分をポリエステル中に導入する方法であって、
(a)請求項1に記載のモノマーを製造する工程、ここにおいて、ビスアンヒドロヘキシトールはイソソルビドである;および、
(b)該モノマーを重合反応に用いる工程、ここにおいて、イソソルビドは求核置換反応中にイソイジドにエピマー化する、
を含む、前記方法。
【請求項12】
ビスアンヒドロヘキシトール部分をポリエステル中に導入する方法であって、
請求項1に記載の1以上のABモノマーを、反応物質として縮合ポリマー初期反応混合物に加えることを含む、前記方法。
【請求項13】
ビスアンヒドロヘキシトール部分をポリエステル中に導入する方法であって、
請求項1に記載の1以上のABモノマーを、ポリエステル主鎖中にエステル交換することを含む、前記方法。
【請求項14】
オリゴマーまたはポリマーの形成方法であって、
請求項1に記載のABモノマーを、自己重合して位置規則性縮合オリゴマーまたはポリマーを形成することを含む、前記方法。
【請求項15】
ビスアンヒドロヘキシトール部分をポリエステル中に導入する方法であって、
請求項14に記載の方法で得たオリゴマーまたはポリマーを、反応物質として縮合ポリマー初期反応混合物に加えることを含む、前記方法。
【請求項16】
ビスアンヒドロヘキシトール部分をポリエステル中に導入する方法であって、
請求項14に記載の方法で得た1以上のオリゴマーまたはポリマーを、ポリエステル主鎖中にエステル交換することを含む、前記方法。
【請求項17】
オリゴマーまたはポリマーの形成方法であって、
請求項1に記載の2以上の異なるABモノマーの混合物を重合して、位置規則性縮合オリゴマーまたはポリマーを形成することを含む、前記方法。
【請求項18】
ビスアンヒドロヘキシトール部分をポリエステル中に導入する方法であって、
請求項17に記載の方法で得たオリゴマーまたはポリマーを加えることを含む、前記方法。
【請求項19】
ビスアンヒドロヘキシトール部分をポリエステル中に導入する方法であって、
請求項17に記載の方法で得た1以上のオリゴマーまたはポリマーを、ポリエステル主鎖中にエステル交換することを含む、前記方法。
【請求項20】
ビスアンヒドロヘキシトール部分をポリエステル中に導入する方法であって、
請求項1に記載の1以上のABモノマーを、反応物質として縮合ポリマー初期反応混合物に加え、組み合わせたものを反応性押出機で処理することを含む、前記方法。
【請求項21】
ポリエステルオリゴマーまたはポリエステルの形成方法であって、
請求項1に記載の1以上のABモノマーを、反応物質として縮合ポリマー初期反応混合物に加え、組み合わせたものを重合して、ABモノマー(単数または複数)の位置規則性ブロックを有するポリエステルオリゴマーまたはポリエステルを形成することを含む、前記方法。
【請求項22】
ビスアンヒドロヘキシトール部分をポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー中に導入する方法であって、
請求項1に記載の1以上のABモノマーを、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー主鎖中にエステル交換して、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー自体のTgと比較して上昇したTgを有するコポリマーを形成することを含む、前記方法。
【請求項23】
さらに、請求項4に記載の方法で得た1以上のオリゴマーまたはポリマーを、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー主鎖中にエステル交換して、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー自体のTgと比較して上昇したTgを有するコポリマーを形成することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
さらに、請求項14に記載の方法で得た1以上のオリゴマーまたはポリマーを、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー主鎖中にエステル交換して、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー自体のTgと比較して上昇したTgを有するコポリマーを形成することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
さらに、請求項17に記載の方法で得た1以上のオリゴマーまたはポリマーを、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー主鎖中にエステル交換して、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー自体のTgと比較して上昇したTgを有するコポリマーを形成することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
さらに、請求項21に記載の方法で得た1以上のオリゴマーまたはポリマーを、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー主鎖中にエステル交換して、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー自体のTgと比較して上昇したTgを有するコポリマーを形成することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
ビスアンヒドロヘキシトール部分をポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー中に導入する方法であって、
請求項4に記載の方法で得た1以上のオリゴマーまたはポリマーを、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー主鎖中にエステル交換して、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー自体のTgと比較して上昇したTgを有するコポリマーを形成することを含む、前記方法。
【請求項28】
ビスアンヒドロヘキシトール部分をポリ(エチレンテレフタレート)ポリマーに導入する方法であって、
請求項14に記載の方法で得た1以上のオリゴマーまたはポリマーを、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー主鎖中にエステル交換して、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー自体のTgと比較して上昇したTgを有するコポリマーを形成することを含む、前記方法。
【請求項29】
ビスアンヒドロヘキシトール部分をポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー中に導入する方法であって、
請求項17に記載の方法で得た1以上のオリゴマーまたはポリマーを、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー主鎖中にエステル交換して、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー自体のTgと比較して上昇したTgを有するコポリマーを形成することを含む、前記方法。
【請求項30】
ビスアンヒドロヘキシトール部分をポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー中に導入する方法であって、
請求項21に記載の方法で得た1以上のオリゴマーまたはポリマーを、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー主鎖中にエステル交換して、ポリ(エチレンテレフタレート)ポリマー自体のTgと比較して上昇したTgを有するコポリマーを形成することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書中で全体を参考として援用する2010年3月18日提出の米国特許出願第61/315227号に対する優先権を主張するものである。
本発明は、一般的には非対称置換化合物、より具体的には、ビスアンヒドロヘキシトールの非対称置換誘導体、例えば、イソソルビドおよびイソイジドに関する。
【背景技術】
【0002】
イソソルビドは、グルコースからソルビトールへの還元および酸触媒による脱水環化により誘導される、安定な硬質ジヒドロキシエーテルである。それはビスアンヒドロ−ヘキシトールとよばれる化合物のクラスに属し、他のメンバーはイソマンニド(マンノースから)およびイソイジド(イドースから)である。そのような物質は、水溶性で無害であり、医薬品および食品化学において広範な使用が見いだされている。群を抜いてもっとも広く入手できるのはイソソルビドであり、これは、バイオマス源から、酵素加水分解して単純なヘキソース糖を製造し、続いて水素化して糖アルコールを製造することにより、得ることができる。イソソルビドは、ポリマーの中間体および原料、添加剤、ならびに安定剤として、次第に用いられるようになってきている。
【0003】
イソソルビドの大きな利点の1つは、その異性体とは異なり、トポグラフィー(topography)および化学反応性が異なる2つのヒドロキシル基を有する点である。一方の−OHはエキソで、もう一方はエンドであり、結果としてそれらは、適切な条件下で特定の化学反応を用いることにより、選択的にエステル化およびエーテル化することができる。本発明は、多官能性添加剤、安定剤などを製造するのにこの知識が利用されていて、すべてイソソルビドに基づいている、さまざまな製品および添加剤を開示する。イソソルビドをPETに組み込むと、得られるコポリマーのTgが上昇し、ホットフィルボトル用樹脂としての可能性を有するコポリマーを得られることが示されている。しかしながら、商業的規模でのイソソルビドのPETへの組み込みでは、いくつかの問題に直面する。イソソルビドのヒドロキシル基は第二級なので、それの反応性は、エチレングリコールの第一級ヒドロキシル基より低い。イソソルビドの揮発性と相まって、この事実により、PEITコポリマー中への組み込みを多くすることが難しくなり、重合中に生じるエチレングリコール/イソソルビド流の再循環に伴う混乱が引き起こされる。イソソルビドの2つのヒドロキシル基の反応性が異なることも、その重合化学を複雑にしていると考えられる。
【発明の概要】
【0004】
われわれは、イソイジドカルボメトキシフェニルエーテル()を含むイソソルビドからさまざまなABモノマーを合成した。これに加えて、われわれは、これらのABモノマーから、ポリマーの新規クラスを示すホモポリマーを合成した。
【0005】
本発明は、ビスアンヒドロヘキシトールのエーテル誘導体である新規非対称置換化合物からなる。該化合物は、重合反応において、非対称またはいわゆるABモノマーとしての適用性を有する。イソソルビドは、1つのエキソヒドロキシル官能基および1つのエンドヒドロキシル官能基を有するので、好ましい出発物質である。本発明の化合物の製造方法は、イソソルビドの5−位における求核置換を包含する。ヒドロキシル官能基を、p−トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニルまたはメタンスルホニルなどの良好な脱離基を用いてアシル化して、反応性エステルを形成する。これは、メチル 4−ヒドロキシベンゾエートのカリウムフェノキシドなどのアルカリ金属フェノキシドを用いたウィリアムソン反応において、高収率で求核置換することができる。5−位におけるこの反応はワルデン反転をもたらし、イソイジドエーテルが生じる。イソソルビドの立体化学に起因して、5−OHだけがそのような反応を受けやすい。除去可能な保護基により2−位を保護することができ、または、アシル化の速度支配を単独で採用して、望ましい結果を得ることができる。
【0006】
本発明の目的は、新規非対称置換ビスアンヒドロヘキシトールを提供することである。
本発明の他の目的は、新規自己重合反応により重合してホモポリマーをもたらすことができる、非対称置換ビスアンヒドロヘキシトールを含む新規ABモノマーを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、新規モノマーおよび/またはホモポリマーを、縮合ポリマーに添加して、新規で改善された特性を有する縮合ポリマーを製造することである。
本発明のさらに他の目的は、ビスアンヒドロヘキシトール部分を、ポリエステル中に、重合中のビスアンヒドロヘキシトールの損失を低減させて、導入することである。
【0008】
本発明のこれらおよび他の目的は、図面を含む本明細書および添付する請求項を検討し、理解することにより、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ポリマーの300MHz H NMRスペクトル(TFA−d中)である。
図2図2は、ポリマーのDSC分析のチャートである。
図3図3は、アニール後のポリマーのDSC分析のチャートである。
図4図4は、重合したを製造する第1の実験のDSC分析のチャートである。
図5図5は、重合したを製造する実験で製造したポリマーの300MHz H NMRスペクトルである。
図6図6は、重合したを製造する第2の実験のDSC分析のチャートである。
図7図7は、重合したを製造する第2の実験で製造したポリマーの300MHz H NMRスペクトルである。
図8図8は、重合したを製造する5つの実験に関するTmax対数平均分子量のチャートである。
図9図9は、重合したを製造する5つの実験に関するTg対Tmaxのチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A. ABモノマーの調製
1. トシラート(3a)からの2−ベンジルオキシイソイジド 5−(4−カルボメトキシ)フェニルエーテル(4)の調製
密封テフロン櫂形攪拌機、Drierite保護管を有する還流空気冷却器、およびTherm−o−WatchTMセンサーを含む胴の長い温度計を取り付け、最後に残った口にゴムセプタムを取り付けた、1000mLの四つ口フラスコ中で、反応を実施した。ガラス器具は110℃で乾燥した。フラスコに、32.6g(0.088モル)のイソソルビド 2−ベンジルエーテル5−トシラート(3a)、14gの無水炭酸カリウム、15.0g(0.097モル)のメチル 4−ヒドロキシベンゾエート、および1.0gの18−クラウン−6エーテルを入れた。該フラスコに、ゴムセプタムに挿入した細長い注射針を通して乾燥窒素を散布し、モレキュラーシーブ上で保管した300mLの乾燥ジメチルホルムアミドを、窒素圧力下で、18ゲージで両端が同形のカニューレを通して加えた。固体は室温で迅速に溶解し、該混合物を加熱してDMFの沸点直下の140℃に制御した。該混合物を窒素下で保持した。加熱および攪拌を18時間継続させた。
【0011】
反応混合物は、初期は薄い淡黄色であったが、最後は暗赤色であった。冷却後、混合物を2リットルの蒸留水に加え、30分間撹拌した。濃厚なエマルションが形成したが、これは最終的には結晶化した。固体を15cmのブフナー漏斗で吸引濾過し、該固体を、DMFの臭いが感知されなくなるまで繰り返し水洗した。生成物を40℃の真空オーブンで一定重量まで乾燥した。相当な量の水が除去された後、重量は22.0g(理論値の67%)であった。生成物を100mLのメタノールから再結晶化させ、0℃で静置した後、輝きのある小板(platelet)が析出した。これらを真空オーブンで乾燥し、重量を測定すると19.0g(理論値の59%)であった。生成物は68〜9℃ではっきりと溶融した。プロトンNMRスペクトルは、望ましい構造と一致していた。
2. 2−ベンジルオキシイソソルビド(3b)のメチルエステルの調製
櫂形攪拌機、250mLの均圧滴下漏斗に取り付けた窒素入口、胴の長いアルコール温度計、および気泡管を介して窒素出口を取り付けた空気冷却器を取り付けた、乾燥した5000mLの四つ口フラスコに、1000mLの乾燥ピリジンおよび252.0g(1.07モル)の融点99〜100℃の再結晶化イソソルビド 2−ベンジルエーテルを入れた。混合物に窒素を散布し、すべての固体が溶解するまで攪拌した。フラスコを、氷−塩混合物で満たされた大きな浴に据え付け、0〜5℃に冷却した。97mL、134g(1.17モル)のメタンスルホニルクロリドを、攪拌し続けながら滴下して加え(2秒ごとに1滴)、反応混合物を約0〜2℃で保持して5℃を超えないようにした。添加には約6時間かかった。フラスコに栓をし、−15℃の冷凍庫に一晩入れた。
【0012】
翌日、混合物を放置して約5℃まで温め、滴下漏斗、温度計および攪拌機を窒素の入口および出口に再び取り付けた。蒸留水(100mL)を、塩化ピリジニウムによる曇りが消失するまで滴下して加えた。その後、フラスコの内容物を、6000mLの脱イオン水および2キロの粉砕された氷が入っていて、十分に攪拌されている10リットルのビーカーに加えた。10分撹拌後、生成物は晶出し始めた。該混合物を30〜40分間攪拌し、生成物を、15リットルの濾過瓶を用いて24cmのブフナー漏斗で濾過した。固体をピリジンの臭いがしなくなるまで希塩酸(1N)で洗浄した後、洗液が中性になるまで再び水洗した。固体を、大きなガラス製の蓋をして吸引乾燥した後、50℃の真空オーブン中30インチのHgで一晩乾燥した。白色固体の最終収量は307.7gで、理論値の91.6%、融点91〜2℃であった。シリカ上でのTLCは、3/1(v/v)のクロロホルム/アセトン移動相でRf0.59のスポットを1つだけ示した。粗生成物は次の反応段階で用いるのに十分純粋であったが、沸騰しているメチルt−ブチルエーテルから25g分を再結晶化させて、融点92〜3℃の輝きのある小さな針状結晶を得た。
3. メシラート(3b)からの2−ベンジルオキシイソイジド 5−(カルボメトキシフェニル)エーテル(5)の調製
500mLの四つ口フラスコに、密封櫂形攪拌機、窒素の入口および出口、ならびに胴の長い温度計を取り付けた。ガラス器具はすべて、110℃のオーブンで乾燥した。フラスコに、300mLの乾燥DMF、31.4g(0.10モル)のイソソルビド−2−ベンジルエーテル−5−メシラート(3b)、16.7g(0.11モル)のメチル 4−ヒドロキシベンゾエート、20gの無水炭酸カリウム、および1.5gの18−クラウン−6エーテルを順番に入れた。系に乾燥窒素を散布し、Therm−o−Watch検出器を温度計に取り付けて、バッチを135℃、すなわちDMFの沸点未満に制御した。混合物をこの温度で24時間にわたり加熱攪拌した。初期段階において、反応混合物は非常に堅くなり、濃密な塊を粉砕するために手で攪拌しなければならなかったが、その後、機械的攪拌に問題はなくなった。翌日、混合物は不透明な灰色の懸濁液であった。それを室温で放置して24時間攪拌した後、2−リットルのビーカー内の1リットルの蒸留水に激しく攪拌しながら加えた。乳状のエマルションが形成したが、間もなく固体がビーカーの壁に析出し始め、液体は徐々に透明になった。さらに30分間撹拌した後、結晶質固体をこすり落とし、液体と結晶の懸濁液を、#4濾紙を用いて7cmのブフナー漏斗で濾過した。灰色がかった白色の固体を繰り返し水洗し、濾紙上で吸引乾燥した。生乾きにした生成物の重量は37gであり、45℃の真空オーブンで乾燥後、重量は32.5g(理論値の88%)であった。
【0013】
粗生成物を160mLのメタノールから再結晶化させ、重量24.6g(理論値の66%)、融点68〜70℃の白色結晶質固体を得た。2回目の再結晶化によりこれは69〜70℃に上昇し、トシラートから調製した物質と一致した。
4. 5−(4−カルボメトキシベンゾキシ)−2−ベンジルオキシ−イソイジド(5)からイソイジド 2−(4−カルボメトキシフェニル)エーテル(1)への還元
200mLのメタノールおよび0.94gの予備還元してある10%Pd/C触媒が入っているLabCrest耐圧瓶に、18.5g(0.05mol)の5−(4−カルボメトキシフェノキシ)−2−ベンジルオキシ−イソイジドを加えた。75psiのNおよびこれに続く0.5mmHg未満への排気を数サイクル行った後、マニホールドを水素で75psiに加圧し、攪拌を開始した。18時間の間に圧力は23psi低下した(理論値:26psi)。系に通気し、生成物のメタノール溶液を濾過して触媒を除去した。メタノールをロータリーエバポレーターで除去すると、15.6gの透明オイルが得られ、これは静置中に凝固した。生成物を100mLのメタノールから再結晶化させて、融点117〜118℃の白色結晶を10.4g(収率72%)得た。該結晶は、TLC(CHCl:アセトン 3:1)によるスポットが1つの純粋さであった。
【0014】
【数1】
【0015】
反応をスキーム1に例示する。
【0016】
【化1】
【0017】
B. モノマーからのポリマーの調製
1. ポリマー2を作製するためのイソイジド 2−(4−カルボメトキシフェニル)エーテル(1)の第1の重合
重合は、10〜20グラムのモノマーが入るように設計されているガラス製の小型重合反応装置中で溶融物の状態で実施した。これを、密封Herschbergニクロム線攪拌機で攪拌し、デジタル式電源装置により加熱および制御されている背の高い油浴に浸した。重合器を、高真空トラップおよび0.01mmHgを達成することができる真空ポンプに直接接続した。以下に記載する溶融重合はすべて、全く同じ方法で実施した。
【0018】
低温の装置に10.0gのイソイジド 2−(4−カルボメトキシ)フェニルエーテル(融点116〜17℃)を入れ、0.01mmHgまで排気して、装置およびモノマーを完全に乾燥させ、微量の湿分および他の揮発分をすべて除去した。次に、乾燥窒素を用いて真空を開放し、触媒を加え、1.0mLのジクロロメタンに溶解した5.0mLの(液体)チタンテトラ−イソプロポキシド(TIPT)の溶液を、サイドアーム中のセプタムに通してマイクロシリンジから加えた。真空を再び施用して溶媒を蒸発させ、加熱を開始した。油浴を1時間にわたり160℃に加熱し、モノマーが溶融した後すぐに撹拌を開始した。該浴を160℃で3時間保持した。初期に透明であった溶融物は激しく泡立ち始め、最終的に不透明な白色になった。それはまた、より粘性になり、泡立ちはおさまった。油浴を165℃で1時間保持した後、277℃まで10℃ずつ徐々に上昇させた。真空は0.05mmHgであった。277℃で加熱した後、溶融物をこの温度で30分間維持した。その後、油浴を取り外し、系を撹拌することなく放置して冷却し、最終的に、乾燥窒素を用いて真空を大気圧まで低下させた。
【0019】
ポリマーボタン(polymer button)を攪拌機の周囲から除去し破壊した。その重量は4.7gで、これを粉砕して粉末にした。一部をTFA−dに溶解した。TFA−d中のNMRスペクトル(図1)は、これが、予想される構造を有する低分子量ポリマーであり、末端基の計算から、約5000g/モルのMnに相当する約20のDPを有することを示した。DSC(図2)は、約170℃のTgおよび約300℃のTmを示した。単離した固体を、窒素下、油浴中の管中で加熱して、これをアニールした。260℃で4時間後、DSCを再び測定した(図3)。これは、Tgが約176℃にわずかに上昇したことを示した。Tmは変化しなかったが、エンタルピー変化(ピーク面積)により判断した結晶化度は著しく上昇した。反応をスキーム2に例示する。
【0020】
【化2】
【0021】
2. イソイジド 2−(4−カルボメトキシフェニル)エーテル、イドイジドAB−エーテル(1)の第2の重合
イソソルビドAB−エーテル(14.16g、DSCによる純度99%)を上記微小重合反応器に入れ、反応器を100℃/15mmHgで1時間排気してモノマーを乾燥した。該反応器を乾燥窒素で満たし、1mLの乾燥ベンゼンに溶解した5.6μLの純粋なチタンテトライソプロポキシド触媒(64ppm Ti)および0.75mLのベンゼンに溶解した45mgのIrganox 1076を加えた。該装置を1mmHgに排気し、乾燥窒素で満たした。これをさらに2回繰り返して、微量の酸素を除去した。1atmの乾燥窒素下の反応器を、温度制御された流動床加熱装置中で150℃に加熱して、モノマーを溶融させた。攪拌機のスイッチを入れ、反応器を50mmHgに排気した。温度を1段階で200℃に上昇させた後、10℃ずつ270℃まで上昇させ、その間に真空を40分間かけて0.4mmHgに段階的に低下させた。続いて2.5時間かけて温度を295℃に徐々に上昇させ、真空を0.4mmHg未満に維持しつつ295℃で0.5時間保持した。該反応器を乾燥窒素で1atmまで満たし、攪拌機を溶融ポリマーから引き上げ、反応器を流動床加熱装置から取り出して冷却した。十分に冷却した後、淡褐色結晶質固体を反応器から取り出した。該固体は、Tg=171℃(2回目の加熱)、ならびに279および299℃に2つの融点を示した(図4)。NMRスペクトル(TFA−d中、図5)は、DP=12.8およびMn=3180g/molを有する、望ましいホモポリマーと一致していた。最終温度310℃で終了する実験を繰り返すと、Tg=191℃およびTm>320℃、DP=50(図6)およびMn=12500(図7、NMRによる;NMRスペクトルにおける3.8ppm(CHO−)のピークは、ホモポリマーの一方の末端を表すと考えられる)であるポリマーが得られた。5つの重合反応からのデータを表1にまとめる。これは、各重合で達した最高温度であるTmaxに対するMnおよびTgの依存性を表にしたものである。
【0022】
【表1】
【0023】
考察
表1から、ポリ(イソイジドAB−エーテル)について得られた最大分子量は、重合で達した最高温度により決定されると思われる。これは、図7に申し分なく示されており、ポリマーの分子量は重合温度300℃より上で著しく大きくなることがわかる。ポリマーの色により証明されるように、300℃において顕著な分解も起こる。最良のポリマーを得るためには、いくつかの変数、例えば、温度プログラム、Tmaxの時間、モノマーの純度、代替触媒を、最適化する必要がある。図8は、TgがMnに伴い上昇することを示している。データがばらついているので、ホモポリマーの極限Tg(limiting Tg)が何度であるのか明らかでない。
結果
Sn2反転化学を用いて、トシラート(3a)またはメシラート(3b)のいずれかから出発してイソイジドAB−モノマーを高収率および高純度で製造することが可能であった。これにより、エステル結合より安定であると予想されるエーテル結合を有するABモノマーが生じる。このモノマーは、他の新規クラスのポリマーをもたらす。
【0024】
スキーム15で概説するように、ABモノマーを重合して、NMR末端基分析により決定した数平均分子量が約5000g/molであるホモポリマーを得るのに成功した。これは、同種類で最初のイソイジド含有ホモポリマーである。新規ポリマーであることに加え、該ホモポリマーをエステル交換によりPETおよびPLLAに組み込むと、これらのポリマーのTgを上昇させることができると思われる。適した触媒および熱的条件を用いると、をブロックとしてコポリマーに組み込むことが可能であり得る。エステル交換によるABモノマーのPETへの実施(implementation)の化学的スキームを、以下に見ることができる。
【0025】
【化3】
【0026】
エーテル結合に起因して、この物質はエステル交換により乱雑に広がる(scramble)ことはなく、これにより、明確な構造を有する類のないポリマーがもたらされる。
前記解説および図面は、本発明の例示的態様を含む。本明細書中に記載した前記態様および方法は、当業者の手腕、経験および好みに基づき、変動させることができる。該方法の段階を特定の順序でのみ挙げたことは、該方法の段階の順序に制限を与えるものではない。前記解説および図面は、本発明を説明および例示しているにすぎず、本発明は、請求項で制限されている場合を除き、これらに限定されない。これらに先立つ開示物を有する当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、これらに修正および変動を加えることができるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9