【実施例】
【0089】
実施例1 pACE-GFPemdのベクター骨格のpAC3-GFPemdへの改変およびGFPの同位置へのシトシンデアミナーゼ遺伝子配列の挿入
pACE-GFPemdプラスミドの以前の骨格(US6899871, Wangら、Hum Gene Ther 14:117 2003)を
図3Eに示したように3つの方法で改変した。改変はPCRを用いてオリゴヌクレオチド指定突然変異により行った(Loggら、J. Mol Biol 369: 1214, 2007; “Molecular Biology and Biotechnology” Eds. J M. Walker, R.Rapley, Royal Society of Chemistry, London UK, 2000もまた参照)。以下の改変を行った。1) 広宿主性のenv遺伝子の3'末端p15領域の核酸配列はもともと狭宿主性のエンベロープに由来していたが、この配列を4070A広宿主性のエンベロープの対応する配列によって置換した;コードされているエンベロープのアミノ酸は二つの構築物で同一である。2) IRES配列3'末端をPstI1部位の挿入によって目的の導入遺伝子の挿入が容易となるように改変し、IRES遺伝子導入部位の両端の小さな不完全反復を除いた。3) 3'LTRの下流の残余のウイルス配列を除いた。結果としてできたプラスミドpACE-emdGFP(aka pACE-GFP、pACE-eGFPおよびT5.0006)を、シトシンデアミナーゼおよび変異体をコードするベクターのための基礎として用いた。コード配列カセットの挿入には、初め二つの方法を用いた。最初の方法では5'TTATAAT3'(配列番号74)配列を、二番目の方法では5'TTATAA3'(配列番号75)配列を、ATG開始コドンのすぐ上流に作成した。ベクターおよび合成のシトシンデアミナーゼ遺伝子を単にPstI1およびNot1酵素で切断した後再連結するという点で二番目の方法の方が単純である。シトシンデアミナーゼを挿入したベクターは、CDopt(CD1)およびCDopt+3pt (CD2)(
図2参照)のコード配列ならびに実施例3で説明するように293T細胞の一過性トランスフェクションによって作られた感染性ウイルスの調製物を用いて両方の方法で作った。その後U87細胞を培養中に0.1のMOIで感染させ、細胞が100%感染するまで増殖させた。100%感染した細胞の細胞抽出物のシトシンデアミナーゼ活性を実施例6で述べるようにして測定したところ、酵素の比活性はどちらの上流配列を用いた構築物であっても同等であると認められ、これらの構築物はその他の点では同一であった。したがって、
図2の表で、pACE-eGFP(T5.0006)とpACE-yCD(T5.0007)は一番目の上流配列を有しており、一方で他のさらに試験を行った他の全ての構築物は二番目の配列を有している。その後、異なる挿入遺伝子を有するベクターはPStI1およびNotIの直接の切断によって通常通り構築された。
【0090】
最初のトランスフェクトさせた複製コンピテントレトロウイルスのためのベクター構築物の図である
図3Aを参照されたい。CMVはヒトCMV即時型プロモーターであり、U3、RおよびU5はウイルス末端反復配列(LTR)に対応する領域である。gag、polおよびenvはウイルスタンパク質をコードしている領域である。
図3Bおよび3Dは本発明のプラスミドの構造と配列を示している。
【0091】
本発明のベクターはTaiら、Mol. Ther. 12:842,2005のベクターと比べていくつかの差異がある。Taiらのベクターは、3'LTRから下流のMLV配列が約70bp除去されるように変更されている。エンベロープにあるClaI部位の下流のDNA配列は広宿主性のエンベロープ配列に変更された。この変更はエンベロープのアミノ酸配列は変化させない。さらに、IRES-CDカセットの両端の小さな反復は相同組み換えによる不安定化を回避するために除去されている。これらの変更はまた、予期しなかったことに宿主細胞での複製や継代中の安定性を増加させることにつながった(
図5)。
【0092】
逆転写、および処置した細胞への最初の組み込み事象の後に、DNAプロウイルスおよびそれに続くいずれの後代のレトロウイルスがMLV由来の通常のLTR構造を両端に有していることが認識される。この配置は多数の感染サイクルの後で安定であることが示された(
図5参照)。
【0093】
実施例2 野生型酵母シトシンデアミナーゼ遺伝子の遺伝子的強化
二組の変更がなされた:(1)酵母シトシンデアミナーゼタンパク質の熱安定性を向上させるための三つのアミノ酸(A23L、I140LおよびV108I)を変える三つの位置での変異および(2)アミノ酸配列のさらなる変更を伴わずに、ヒト細胞でのタンパク質の翻訳効率を改善するためのヒトコドン利用配列を増すための、追加の遺伝子配列の変更。
【0094】
CDの配列の設計には最適化されたCD、CD-UPRT(+/-リンカー)およびCD-OPRTase(+/-リンカー)を含む。最終的なシトシンデアミナーゼコード配列は、5'末端にPSI1部位(全長)および3'末端にPSI1/Not1カセットに基づく計画のためのNotI部位とポリAテイルを含んでいてもよい。配列カセットは商業上の売主(BioBasic Inc., Ontario, Canada)に注文し、供給を受けた。
【0095】
酵母シトシンデアミナーゼを含む以下の配列がクローニング、最適化および変異のために用いられた(枠で囲んだ核酸は後のクローニングのための方法で用いた制限酵素の作用部位PsiIおよびNotIを含む):
【化1】
【0096】
以下の表は遺伝子および作成したプラスミドベクターとそれらの名前を要約している。
【表2】
【0097】
Kasaharaらによって記載された複製コンピテントレトロウイルスベクターであるpACE-CD(U.S. Patent No. 6,899,871、その開示内容を本明細書に組み込む)をさらなる改変のための基礎として用いた。ベクター(pAC3-yCD)は本明細書で述べた改変された酵母シトシンデアミナーゼ遺伝子を発現するように改変され、構築物に使用された。最初に感染させた複製コンピテントレトロウイルスのためのベクター構築物の図である
図3Aを参照されたい。CMVはヒトCMV即時型プロモーターであり、U3、RおよびU5はウイルス末端反復配列(LTR)に対応する領域である。gag、polおよびenvはウイルスタンパク質をコードしている領域である。
図3Bと3Dは本発明のプラスミドの構造および配列を示している。
【0098】
外注先(Bio Basic Inc., Markham, Ontario, Canada)によって合成された後、遺伝子はpAC3ベクター骨格(
図3)のPsi1-Not1部位に挿入された。通常、プラスミドの骨格はpAC3-eGFPプラスミドをPsiIとNotIによって切断し、プラスミドとレトロウイルスの骨格をコードしている大きな断片(約11kb)を精製することにより作られた。
【0099】
A.ヒトコドンに最適化したCD遺伝子(CD-opt, aka CD1, T5.0001)
ConradらおよびPCT WO 99/60008のヒトコドンに最適化したシトシンデアミナーゼを比較したところ、両方において合計91の最適化されたコドンが示され、36のコドンは同一であり、47のコドンは3番目の塩基対が置換を起こしており(全て同じアミノ酸をコードしている)、9つのコドンは異なっていた(しかしながらいずれも同じアミノ酸をコードしていた)。異なっていた9つのコドンとして以下のものがある:
AGC(Ser)からTCC(Ser)
CGT(Arg)からAGG(Arg)
CCA(Pro)からCCT(Pro)
全てが等価なGC含量を有し、同じアミノ酸をコードしている。上述の天然の酵母遺伝子配列は個々にコドン最適化され以下のCD遺伝子(CD1)を与え、複製コンピテントレトロウイルス(RCR)をコードしているpAC3プラスミドベクターにIRESと共に挿入された場合にT5.0001と呼ぶ。
【化2】
【0100】
B.熱安定化されたCD遺伝子
シトシンデアミナーゼの安定性を高めるためにさらなる改変がなされた。野生型の酵母シトシンデアミナーゼ遺伝子に遺伝子的強化を施し、三つのアミノ酸(A23L、I140LおよびV108I)を変更する三つの位置で変異を起こさせて、酵母シトシンデアミナーゼタンパク質の熱安定性を向上させた。
【0101】
本発明のシトシンデアミナーゼポリペプチドの遺伝子の生産には以下のプライマー対が用いられた:
部位特異的変異誘発プライマー:
センスプライマー:5'-tcgaggatatcggcgagtgaaacccgttattctttttggc-3'(配列番号45)、
アンチセンスプライマー:5'-gccaaaaagaataacgggtttcactcgccgatatcctcga-3'(配列番号46)、
センスプライマー: 5'tcggcgagtgatccggcggcggcgcctccggcggcggcgcctccggcggcggcgcctccggcggcggcgccaacccgttatt-3'(配列番号47)、
アンチセンスプライマー:
5'-aataacgggttggcgccgccgccggaggcgccgccgccggaggcgccgccgccggaggcgccgccgccggatcactcgccga-3'(配列番号48)。
【0102】
天然の酵母CDタンパク質の安定性を向上させるために、タンパク質に三つのアミノ酸の置換がなされた。これらの置換は単独で、もしくはヒトコドンの最適化と共になされた。
【0103】
三つのアミノ酸の置換は:A23L、V108I、I140Lである。これらの置換アミノ酸をコードしている配列を以下に示した。
【化3】
【0104】
コードされたポリペプチドは以下の配列を含む(置換アミノ酸は下線で示した):
【化4】
【0105】
好ましいコドンを利用した3つのアミノ酸置換A23L/V108I/I140Lを組み込み、配列の全体において好ましいヒトコドン利用を用いた最終構築物の設計は以下のとおりである(この遺伝子はRCRをコードしているpAC3プラスミドベクターにIRESと共に挿入された場合には、CDopt+3pt [aka CD2]およびT5.0002と呼ぶ)。
【化5】
【0106】
下線を付したコドンはアミノ酸置換にとって好ましいコドンを意味する。
【0107】
タンパク質の翻訳配列のアラインメントは、好ましいコドンの変更およびアミノ酸の変更が結果として望んだタンパク質の構造につながることを示している。
【0108】
最適化されたCD配列の設計(ヒトコドンに好ましく、かつ3つのアミノ酸が置換)
【化6】
【0109】
C.CD-UPRT融合遺伝子の構築(CDopt+3pt-UPRT、[aka CDopt-UPRTおよびCD2-UPRT]、pAC3プラスミドRCRベクター中T5.0003)
UPRTポリペプチドに連結されて最適化されたCD-UPRTを形成する上述したCDポリペプチドを含んだ融合構築物もまた開発された。CDとUPRTの間の終止-開始を除くために以下のプライマーが用いられた。
【0110】
プライマー配列:
【表3】
【0111】
結果として生じる融合ポリヌクレオチドは1296bpを含み、その配列はすぐ下に記載する。
【化7】
【0112】
D.CDリンカーUPRT融合遺伝子の構築(CDopt+3pt-LINK-UPRT [aka CDopt-LINKER-UPRTおよびCD2-L-UPRT]
CDポリペプチドとUPRTポリペプチドの間およびフレーム内にリンカー(Ser-Gly-Gly-Gly-Gly)
4(配列番号56)ドメインをクローニングすることにより、最適化されたCD-リンカー-UPRT配列を形成するように融合構築物はまた開発された。リンカーを挿入するために以下の配列が用いられた。
【表4】
【0113】
結果として生じた構築物は1356bpを有し、その配列はすぐ下に記載する。
【化8】
【0114】
E.CD-OPRT融合遺伝子の構築(CDopt+3pt-OPRT [aka CDopt-OPRTおよびCD2-OPRT]、pAC3プラスミドRCRベクターに挿入された際T5.0004)
OPRTポリペプチドと連結させCD-最適化-OPRTase(ヒト化CD+3pt変異+OPRTaseヒト機能性ドメイン)を形成した上述のCDポリペプチドを含んだ融合構築物もまた開発された。
【0115】
結果として生じた構築物は1269bpを有し、その配列はすぐ下に記載する:
【化9】
【0116】
F.CD-リンカー-OPRT融合遺伝子の構築(CDopt+3pt-LINK-OPRT、[aka CDopt-LINKER-OPRTおよびCD2-L-OPRT]、pAC3プラスミドRCRベクターに挿入された際T5.0005)
CDポリペプチドとOPRTポリペプチドの間およびフレーム内にリンカー(Ser-Gly-Gly-Gly-Gly)
4(配列番号56)ドメインをクローニングすることにより、最適化されたCD-リンカー-OPRT配列を形成するように融合構築物はまた開発された。
【0117】
結果として生じた構築物は1329bpを有し、その配列はすぐ下に記載する:
【化10】
【0118】
図4は感染させたU-87細胞において、安定性向上のために三つの変異を有し、ヒトコドンに最適化されたものについて、野生型yCDタンパク質と比較して、高いレベルの発現が認められたことを示している。
【0119】
実施例3 一過性のトランスフェクションによるベクターの生産
ベクターは多くの方法により作成することができるが、最初のステップは感染性の粒子の生産を可能とするためにDNAベクターを細胞に導入することであり、感染性の粒子はその後細胞の上清から回収することができる。ひとたび感染性の粒子が生産されれば、他の生産方法が当業者によって実施可能である。ベクター粒子は293T細胞の一過性のトランスフェクションによって生産された(Pearら、Proc Natl Acad Sci U S A. 90:8392-8396 1993)。
【0120】
293T細胞は解凍され培地中に播種され、その後、DMEM高グルコース培地(Hyclone# 30081, 500 mL)とFBS(Hyclone# SH30070, 50 mL)、Lグルタミン(Cellgro# 25-005-CI, 5 mL)、NEAA(Hyclone #SH30238, 5 mL)、およびPenicillin-strep(Cellgro# 30-002-CI, 5 mL)を混合することにより調製されたDMEM培地を15ml含むT-75フラスコで二回継代された。フラスコは37℃および5%CO
2の条件でインキュベートされた。3回目の継代の後、細胞は1.8x10
6cells/T-25(もしくは7.2 x 10
4cells/cm
2)の細胞濃度で、それぞれ5mLの培地を含む6つのT-25フラスコに播種された。T-25フラスコに播種した一日後、Promegaのリン酸カルシウムトランスフェクションキット(Cat# E1200)を用いて、ウイルスベクターを発現するT5.0002プラスミドを細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションの18時間後,フラスコの1セット(各セット3フラスコ)の培地を10mM NaBを含む新鮮な培地に取り替えた。フラスコの2セット目の培地は取り替えず、対照として扱った(NaBなし)。NaB処置の8時間後全てのフラスコの培地をNaBを含まない新鮮な培地に交換した。両方のフラスコのセットにおいて発現は翌日まで(22時間の間)続くようになされた。フラスコの両方のセットの上清を回収し、qPCRによって力価を検定し、形質導入単位(Transducing Units (TU)/ml)で表した(実施例4を参照)。
【0121】
力価の結果は次の表に示す。
【表5】
【0122】
その後のベクター調製物は酪酸ナトリウムを用いないで、この方法で生産された。他のベクタープラスミド(表2)は力価が1E5TU/mlおよび1E7TU/mlの間のベクター調製物を作るために同じ方法で使用された。該材料はさらに精製や濃縮されてもよく、必要に応じて以下に述べるものも参照する: US 5,792,643; T. Rodrigues ら、J Gene Med 9:233 2007。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態では投与量は脳の重量グラムによって算出された。そのような実施形態では、治療の方法に有用な本発明の複製コンピテントレトロウイルスベクターの投与量は、脳の重さ1グラムあたり10
4から10
6TUの範囲であってもよい。
【0124】
実施例4 力価測定における定量的PCR
機能的なベクター濃度もしくは力価は、定量的PCR(qPCR)に基づく方法を用いて決定される。この方法では、形質導入可能な宿主株化細胞(例えばPC-3ヒト前立腺癌細胞、ATCC Cat# CRL-1435)に標準的な量のベクターを感染させ、形質導入の後に宿主細胞の中に存在するプロウイルスが生じた量を測る事によりベクターの力価が決定される。細胞とベクターを標準的な培養条件(37℃、5%CO
2)で24時間インキュベートして完全な感染を可能とした後、ベクターの複製を止めるために抗レトロウイルスAZTを添加する。次に細胞は培養シャーレから回収され、ゲノムDNA(gDNA)がInvitrogen Purelink gDNA精製キットを用いて精製され、RNase/DNaseを含まない無菌水を用いて精製カラムから溶出される。A
260/A
280の吸光度比はサンプルの濃度と相対的な純度を決定するために分光光度計により測定される。gDNA濃度は、追加のRNase/DNaseを含まない無菌水により所与の全てのgDNA調製サンプルのセットの最も低い濃度に対して標準化され、それにより解析した全てのサンプルに対してqPCRに入力されるDNAは一定となる。ゲノムDNAの純度はさらにそれぞれのサンプルの一定分量をエチジウムブロマイド染色した0.8%アガロースゲルで電気泳動することにより評価される。サンプルが1.8-2.0のA
260/A
280吸光度範囲を越え、かつgDNAの単一のバンドを示せば、ベクターのプロウイルスのコピー数のqPCR解析のためのサンプルの準備ができている。プロウイルス(宿主gDNAに組み込まれたベクターDNAおよび逆転写されたベクターDNA)のLTR領域を識別するプライマーを用いてqPCRを行って、既知の数の細胞に形質導入するのに既知の量のベクターが使用されたときに起こった形質導入現象の合計回数を推定する。10
7から10コピーまで連続希釈し、サンプルと同一のqPCR条件下で測定した既知のコピー数の標的担持プラスミドを利用した標準曲線から、反応あたりの形質導入現象の数を計算する。各qPCRにおいて使用されたゲノム当量(先に決定された濃度から)、および反応あたりに起こった形質導入現象の数から、形質導入時に存在した総細胞数に基づいて起こった形質導入の総数が決定される。この値は最初の形質
導入の間に、細胞を含む培地中に希釈された後のベクターの力価である。補正された力価を計算するには、希釈は培養液の容量と力価の容量をかけ、力価の容量で割ることにより補正した。これらの実験は複製中の培養液で行われ、平均力価およびその標準偏差と変動係数を決定するためにそれぞれの条件で三回の測定によるqPCRにより解析される。
【0125】
実施例5 ベクターのテスト
有効であるためには、ベクター構築物およびそれらに由来する感染性の粒子は、(1)一過性のトランスフェクションによって良好な力価のウイルスを生じること(実施例3と4を参照)、(2)複数の継代中安定であること、(3)5-FCの存在下で効率的に細胞を死滅させること、および(4)標的細胞の感染の際に酵素活性を発現することが必要である。実施例3はベクターから有用な力価が得られうる事を示している。
【0126】
ウイルスベクターの遺伝的安定性
安定性を実証するために以下の実験がなされた。およそ10
6の未処理のU-87細胞に最初ウイルスベクターを0.01のMOIで感染させ、単一の感染サイクルが完了するように完全に感染するまで培養した。その後上清を非感染細胞に再度移し、サイクルを繰り返した。本実験においては、12回のサイクルの試験が二度行われた(
図5はそれぞれ二度の試験のうちの一つを示しており;二度の試験の他方は同様の結果であった)。yCD2もしくは他の導入遺伝子配列の遺伝的安定性は、導入遺伝子の挿入部位の隣接部のMLV特異的なプライマーを用いて、感染細胞の組み込まれたプロウイルスのPCR増幅により評価される。全長の増幅産物より短いいずれのバンドの出現も、ベクターの不安定性の指標となる。
図5は、本発明のベクター(T5.0007-改変ベクターと異種のポリペプチドCDを含む)がpACE-CDよりも多くの継代に対して安定性を維持することを実証する。さらにT5.0004とT5.0005がpACE-CDと同程度安定であるように見える一方、T5.0003はいくらか不安定である。pACE-CDはマウスのがん研究において用いられており、マウスモデルにおいて良好な抗腫瘍効果を示す。しかしながら、特に多くの回数の5-FC処置が必要とされる場合には、ウイルスゲノムが安定であるほど、動物およびヒトの治療においてより強力に長く続くだろう。継代の後期において小さなバンドの存在が抑制される事によって示されるように(
図5)、T5.0001とT5.0002は両方顕著にT5.0007より安定であり、これはタンパク質をコードしている配列のサイレントな変更や点突然変異にいたる小さな変更が、より安定的なベクターゲノムをもたらすとともに、予期できない優れた性質をもたらしうることを示している。
【0127】
細胞死滅試験
CellTiter 96 Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay(MTS)は増殖アッセイにおいて生存細胞の数を決定するための比色法である。我々はこのアッセイを5-フルオロシトシン(5-FC)およびフルオロウラシル(5-FU)への様々な株化細胞の用量反応を決定するのと同様に、細胞増殖動態を決定するために利用した。
【0128】
ベクターが100%感染した細胞は96ウェルプレートに1000cells/wellで播種された。様々な濃度の5-FC(対照のために5-FUも用いた)処置の後、それらの細胞を8日間にわたって観察した。細胞の増殖の解析は二日毎にPromega's Cell Titer 96 AQueous One Solution reagent(MTS)を用いて評価した。手短に言えば、20μlのMTSと100μlの培地(製造者によって推奨されている)を混合し、96ウェルプレート中のサンプルに添加した。サンプルは37℃/5%CO
2インキュベーターで60分間インキュベートした。その後、490nmの波長においてプレートリーダー上で吸光度の測定がなされた。
【0129】
図6AはAC3-yCD2(ベクター)もしくはAC3-yCD(ベクター)のどちらかを感染させたU-87細胞において5-FCの滴定を行うことによって、yCD2タンパク質を発現する細胞のシトシンデアミナーゼが野生型のCDタンパク質を発現する細胞のそれと少なくとも同程度活性であることを実証する実験結果を示している。手短に言えば、AC3-yCD(野生型CD)ベクターもしくはAC3-yCD2(熱安定化とコドン最適化された)ベクターのどちらかを0.1の感染効率で感染させた5日後のU-87細胞(すなわち100%感染している)に、量を増加させた5-FCもしくはポジティブコントロールとして0.1mMの5-FUに8日間曝露した。8日目に、MTSアッセイ(Promega CellTiter 96 AQUEOUS One Solution Proliferation Assay)を用いて培養細胞の生存率を評価した。5-FC処置用量の増加によって二つのレトロウイルスベクターで同等の死滅がみられたことをデータは示している。
【0130】
RG2細胞(ATCC Cat# CRL-2433)を用いた同様のin-vitroの培養細胞の試験では、RG2株化細胞に5つの異なるベクター(pACE-CD、T5.0001、T5.0002、T5.0004およびT5.0007)を形質導入した。次に量を増加させた5-FC(コントロールとして5-FU)に8日間曝露し、上述したように観察した。結果は
図2に示してある。野生型酵母シトシンデアミナーゼ(pACE-yCD)を除く試験した全てのベクターにおいて、完全な死滅の誘導には0.01mMの濃度で十分であった。野生型は感受性がより弱く、完全な死滅には1.0mMの5-FCが必要であった。
【0131】
CD発現アッセイ
U87細胞は0.1の感染効率(MOI)で形質導入され、ウイルスを伝播させるために5日間培養し、形質導入5日後の細胞を回収した。800xg、5分間の遠心分離により細胞を集めた。細胞のペレットから上清を吸引除去し、5mLのリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、800xg、5分間遠心分離した。得られた細胞ペレットは1.5mLのPBS中に取り上げ、ピペットチップを通過させることによって再懸濁させ、-20℃の冷凍庫に配置した。細胞は凍結/融解法により溶解させた。再懸濁した細胞が室温で解凍され、ピペットチップを通過させ、プロテアーゼインヒビター混合物と混ぜて-20℃で再凍結した。酵素アッセイの前に、サンプルは再び室温で解凍し、ピペットチップを通過させた。その後、懸濁液はテーブルトップ遠心機で14000rpm、5分間遠心分離した。上清はデカントでペレットから新しいエッペンドルフチューブに移し、氷上に配置した。
【0132】
yCDの酵素活性はHPLCアッセイを用いて評価した。HPLCアッセイはフォトアレイの検出器およびオートインジェクターに直列でつながっているShimadzu LC20AT装置を用いて行われた。固定相は粒子サイズが5μmでありカラム寸法が4.0x 250mmのHypersil BDS C
18 HPLCカラムである。移動相はpH2.1で、0.01%の過塩素酸三級ブチルアンモニウムおよび5%のメタノールを含む50mMリン酸アンモニウムであり;系は22℃で平衡にした。全ての試薬はACSグレードであり溶媒はHPLCグレードである。反応混合物は800μL、5-FC(1 mM)の最終濃度はPBS中に0.125mg/mLであり、1.5mLのオートサンプラーバイアルに配置された。その後反応は各細胞溶解液を200μL加えることにより開始させた。反応/オートサンプラーのバイアルはオートサンプラー中に配置し反応混合物の5μLが注入された。各反応バイアルからとった5μLの分量を回収しHPLCカラム上で解析することによりタイムポイントが周期的にとられた。5-FCから5-FUへの変換率は、先立って作られた5-FUの標準曲線から既知の量とピーク面積との比較により計算した。5-FCの5-FUへの変換の割合は対応する時間間隔に対して生産された5-FU(nmol単位)の量をプロットすることにより求めた。細胞サンプルのタンパク質濃度を求め、変換率(nmol/min)をアッセイにおいて用いられるタンパク質のmg量で割ることによって、細胞溶解サンプルの比活性を計算した。
図6Bは0.1のMOIで形質導入した5日後の様々なベクターの比活性を示している。組織の培養細胞におけるシトシンデアミナーゼの比活性の点に関して、pACE-yCD(T5.0000)<pAC3-yCD1(T5.0001)<pAC3-CD2 (T5.0002)であることをデータは実証している。
【0133】
実施例6 ベクターの精製と濃縮
本発明のベクターは293T細胞への一過性のトランスフェクションにより作られ(実施例3)、続いて細胞上清の回収、ろ過、ベンゾナーゼ処置、透析ろ過/濃縮および透析を行った。さらに当業者に知られるカラムクロマトグラフィーのステップが含まれていてもよい(例えばUS5792643; T. Rodriguez ら、J Gene Med 9:233 2007; WO2010148203を参照)。ベクターはまた恒常的に感染させた株化細胞から産生され、上述のような手順で処理されてもよい(例えばWO2010148203を参照)。臨床の材料は無菌性、マイコプラズマやエンドトキシン、加えて製品特有の効力、強さや純度テストなどの標準的な試験に基づいて用いられる。力価は、標的細胞に組み込まれたウイルスベクターDNAのPCRによる定量によって形質導入単位(TU)として決定した(実施例4)。最終産物は10
9TU/mlまでの力価を有することを目標としており、無菌で注入可能な等張のトリス緩衝ショ糖溶液中に配合された。
【0134】
一般に、ベクターのロットの強さを正確かつ的確に決定するために、定量的なPCRに基づく力価アッセイが開発された(実施例4において一般の用語で述べている)。アッセイの手順の詳細は以下のステップで構成される。
【0135】
形質導入
形質導入は安定なヒト前立腺がんに由来するPC-3株化細胞を用いて12ウェルプレートでなされる。各試験サンプルのために、三つのウェルにおいてPC-3細胞に形質導入するのに、力価測定していない3つの希釈度のベクター調製物を用いた。ウイルスの複製は形質導入の24時間後にアジドチミジン(AZT)を用いて停止させた。細胞は回収およびゲノムDNAの精製の前にさらに24-64時間維持された。
【0136】
ゲノムDNAの調製
Qiagen DNeasy DNA Minikitsを、形質導入し回収した細胞からゲノムDNAを調製するために製造者のプロトコルに従って用いた。DNA濃度および純度はA260およびA260/A280比を決定するためのUV/vis分光光度法を用いて直接吸光度を測定することにより評価した。
【0137】
Real-time定量的PCR
BioRad CFX96 real-time PCR装置もしくは同等のものを定量PCRを行うために用いた。各試験サンプルに存在するプロベクターのコピー数は、特異的なDNAオリゴヌクレオチドプライマーおよび、CMV/Psiプラスミドプロモーターに対する、組み込まれたもしくはプロレトロウイルスのU3/Psiパッケージングを増幅するために設計されたTaqMan probeを併せて用いることにより測定した。ベクターの力価はコピー数の標準曲線に対して表される。ベクターのコピー数の標準曲線を作成するために、PC-3細胞のゲノムDNAにプロレトロウイルスのU3/Psi配列を有する独特なプラスミドが追加された。ベクター試験サンプルの力価は、希釈液あたりの反応数を用いて、複数の希釈液で形質導入されたゲノムの数を計算することにより求めた。
【0138】
それぞれの力価の評価系では、鋳型を含まないコントロール(プラスミドまたはゲノムDNA以外の全ての成分を含むウェル)およびネガティブコントロール(形質導入されていないPC-3細胞からの当量のゲノムDNAを含む全ての成分)が3回試験された。力価はミリリットルあたりの形質導入単位(TU/mL)で表される。
【0139】
本発明のベクターの効力はベクターの複製および結果としての標的細胞内でのシトシンデアミナーゼ(CD)活性の両方に依存する。それゆえ効力のアッセイはそれまで非感染の組織培養の株化細胞にベクターの感染が広がるときの、経時的なCD活性の増加を測定する。逆相HPLCによる分離およびUV検出を用いて5-フルオロシトシン(5-FC)から5-フルオロウラシル(5-FU)への変換を観察することによって、アッセイは感染の初期、中期、および後期の形質導入細胞における導入されたyCD2タンパク質の酵素活性を測定する。感染過程におけるCD活性の増加は、経時的な感染細胞の割合の関数であり、TOCA511ベクターの複製能力の指標である。5-FCから5-FUへの変換率に基づくCD活性は各タイムポイントでタンパク質1mgあたりのCDの単位(比活性、SA)として測定される。SAの増加は時間の経過にともなってプロットされ、培養中のウイルス複製の結果としての形質導入された細胞の割合の増加および、結果としてCD活性が伝達されたことの両方を反映している。複数のアッセイとベクターロットから蓄積したデータは、産物の放出のためのCDの比活性SAの増加の適切な規格値を決定するために用いられる。MOI約0.1での最初の感染および非感染対照における1、3および5日後でアッセイのタイムポイントがとられた。
【0140】
後期の感染細胞(5日目のタイムポイント)のCD活性を、この活性の同定試験への利用性を評価するためにロット間で比較した。アッセイは以下のステップを含む。
【0141】
形質導入
形質導入はマルチウェルプレート上でU87細胞に対して行われた。それぞれの形質導入において、適した三つの希釈液が用いられ、それぞれ三回行われた。細胞は形質導入の0、1、3および5日後に回収された。
【0142】
CD反応の準備
細胞を溶解し、BSAを標準として用いたBCAタンパク質アッセイにより全タンパク質濃度を決定した。yCD2酵素アッセイのために、37℃、1-2時間の条件で5-FUの生成の割合が直線を保たれるように、適切な量の細胞溶解物を5-FCを含む緩衝液に加えた。反応溶液の最終的な容量は100μLである。2時間後、酵素反応をトリクロロ酢酸の添加によって終了させ、短くボルテックスして次のHPLC解析のために準備した。非形質導入細胞からの細胞溶解物はネガティブコントロールとして用いた一方で、100%感染細胞からのサンプルを用いた同様のアッセイはポジティブコントロールとして用いた。
【0143】
HPLC解析
反応を終了させた混合物は12,000rpm、5分間、室温で微量遠心機により遠心分離した。その後上清はデカントでペレットから除き、pHが約4.0のリン酸緩衝液を含む水性の移動相で事前に平衡化した逆相HPLCカラムに注入する前に、さらに微粒子を除くために0.2μフィルターを通過させた。クロマトグラムは基質の消費および産物の生成の両方を観察するため260nmおよび280nmで調査した。基質または産物の濃度は、GraphPadの描図と解析能を用いて、既知濃度の基質又は産物から計算して事前に作った標準曲線と比較することにより決定した。1-2時間で作られた5-FUの量は活性のCD単位(CD活性の1単位は1分当たりに5-FUを1nmol生成するものとして定義する)を決定するために用いられ、この値をアッセイで用いたタンパク質量(細胞溶解物に由来する)で割ることにより比活性を計算した。
【0144】
実施例7 CTLA-4(CD152)に対する一本鎖抗体をコードするベクターの構築と利用
一本鎖抗体は好ましい効果を有する既知の完全な抗体の配列に由来する。そのような配列は利用可能である(例えばWO2006048749, US2006165706, US7034121, Genbank Accession Numbers DJ437648, CS441506, CS441500, CS441494, CS441488、その開示内容を参照し本明細書に組み込む)。そのような通常の抗体遺伝子配列は、当業者に知られている一般に用いられる方法で一本鎖抗体(scFv)配列に変換される(例えばGilliland ら、“Rapid and reliable cloning of antibody variable regions and generation of recombinant single chain antibody fragments.” Tissue Antigens 47, 1-20, 1996を参照)。CTLA-4に対するファージの一本鎖抗体もまたファージscFvライブラリーを直接スクリーニングすることにより利用可能であり(Pistilloら、Tissue Antigens 55:229 2000)、本発明の複製レトロウイルスベクターに挿入するために直接用いることができる。配列の由来がどのようなものであるかに関わらず、scFvは一般的に約700-900bpの長さであり商業的な売主(BioBasic)によって、先に述べたように5'末端にPsiI部位および3'末端にNotIに適合する部位をともなって合成される。この配列はその後yCD2配列の除去後にPsiI-NotI部位でpAC3-yCD2由来の複製レトロウイルス骨格に挿入される。ベクターは説明したとおりに作製および力価測定され、上述のとおり必要であればさらに精製された。ヒトおよびマウスのCTLA4は配列がよく類似しており、本発明の複製レトロウイルスは最初、当業者においてよく知られるCT26/BALB/cモデルやS91マウス黒色腫モデルのような適した同系の免疫適格性のマウスモデル(例えば Hodge ら J.Immunol. 174:5994 2005を参照)において試験された。結果は一またはそれ以上の: がん成長の調節;毒性の欠如;抗腫瘍反応の発生;全身免疫の指標となる離れた病変の縮小によって測定された。投与量はマウスに対して10
3から10
7TUの範囲に及ぶ。患者においてベクターはがんへの病巣内注射によって、もしくはその後ウイルスをがんへと運ぶ血液循環内投与によって投与された。投与量は10
5から10
11TUの範囲に及ぶ。
【0145】
実施例8 抗CD152一本鎖抗体を発現するベクターを用いたマウス黒色腫モデルにおける抗腫瘍有効性試験
目的
本試験の目的は、表面抗原152(CD152)とも呼ばれる細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)に対する一本鎖抗体を有する新規のMLVを基礎とする複製コンピテントレトロウイルスベクター(pAC3-αCD152)の、皮下の黒色腫(クラウドマンS91)を有するDBA/2マウスに腫瘍内(IT)注入を介して送達されたときの、黒色腫の増殖に対する効果を評価することである。
【0146】
マウス
メスのDBA/2もしくはBALB/cマウス(〜8週齢)をJackson Laboratories (Bar Harbor, ME)より購入した。マウスは試験を始める前に、到着後7日間順応させた。
【0147】
細胞
クラウドマンS91細胞(ATCC, Manassas VA)はDBA/2マウスに由来する自然に生じた黒色腫である。10%のウシ胎児血清、ピルビン酸ナトリウム、およびGlutamax(Hyclone, Logan UT、およびInvitrogen, San Diego CA)を含むダルベッコ変法イーグル培地により細胞を培養した。細胞は移植のためPBS (Hyclone, Logan UT)に再懸濁した。S91細胞(100μL中に1E6)はDBA/2マウスの腹部右側に注入された。
ベクター
ベクター調製物は一過性のトランスフェクションにより(もしくはHT1080細胞中の産生株化細胞から)およそ7E6TU/mlの力価で作成された。最初の試験ではベクターはさらなる精製や濃縮は行っていない。次に続く完全な用量反応曲線を決定する試験のために、高い力価の精製されたサンプルを、およそ10
8/mlの力価となるように調製した。ベクターは腫瘍内(IT)に50-100μLの容量および静脈内(IV)に100μLの容量で投与され、全体の投与量/マウスはおよそ7E5〜7E6〜7E7TU/マウスとした。αCD152を発現するベクターはToca αCD152とした。
【0148】
がんの移植とベクターの注入
5つのグループのメスのDBA/2(55頭のマウス、9-10週齢)にS91黒色腫細胞を皮下移植し(0日目)次に、投与(S91がんの増殖の速度;およそ50-100mm
3になる程度にあわせて4-7日目)した;ビヒクルとともに(グループ1)、コントロールベクター[AC3-GFP(V)]とともに(グループ2)、Toca αCD152ベクターの腫瘍内(IT)注入(グループ3)、もしくはToca αCD152 ベクターの静脈内注入(グループ4)とともに。グループ5のマウスはがんの移植をせずToca αCD152のみを静脈内注入した。
【0149】
データの解析
がんの増殖解析は大きさが2000mm
3になっとき、もしくは60日後のうち、どちらかが最初に訪れたときに行われた。各グループの10頭のマウスについて、時間経過ごとににがんのサイズをプロットした。統計上の有意性は分散分析(ANOVA)を用いて決定した。P値<0.05が全ての解析において統計的に有意であると考えられ、解析はPrism 5 statistical software(GraphPad Software)または同等のものを用いて行われた。治療中のαCD152発現の何らかの有害な現象を評価するために生涯にわたる観察もまた行われた。
【0150】
結果
複製MLVの腫瘍内(IT)注入によるαCD152の送達は、コントロールと比較して統計的に有意な増殖遅延を示した。複製MLVの静脈内注入によるαCD152の送達は、コントロールと比較して統計的に有意な増殖遅延を示し、DBA/2-クラウドマンS91マウス黒色腫モデルの黒色腫の負担を抑制した。それ以上の動物実験は以下により詳細に述べるとおりに行われた。
【0151】
実施例9 AC3-yCD2ウイルスベクターはヌードマウス中の頭蓋内のヒト異種移植片(U87)において治療効果がある
ヌードマウス宿主中でのRCRベクターによるシトシンデアミナーゼ自殺遺伝子治療の治療効果だけでなく、RCRベクターの伝播および体内分布を試験するために、U87ヒト神経膠腫株化細胞を用いた頭蓋内異種移植モデルが確立された。
【0152】
順応に続いて、マウスは8つの処置グループの一つにランダムに割り当てられた(下のグループの説明を参照)。7つのグループは右線条体に1頭の投与マウスあたり1x10
5のU87細胞を0日目に頭蓋内投与した。グループ8のマウスは腫瘍を移植されなかった。5日目に、マウスに調合物の緩衝液のみ、もしくは9x10
5/5μl、9x10
4/5μl、もしくは9x10
3/5μlのRCRベクターを注入した。ベクターを受け入れていないマウス、もしくは9x10
5/5μlもしくは9x10
3/5μlのベクターを受け入れたマウスはランダム化されて19日目の最初に一回の腹腔内(IP)投与で5-FC(500mg/kg/day)を与え、もしくは5-FCを与えなかった。ベクターを受け入れたマウスは中央の濃度で全て5-FCを受けた(すなわち、この投与量で個々の対照グループは存在しない)。5-FCの投与は7日間連続して毎日続いた後に15日間無処置とした。休止と薬のサイクルは4回まで繰り返された。グループ8を除く各グループの10頭のマウスをランダムに生存解析カテゴリーに割り当てた。残ったマウスは定めたスケジュールにしたがって屠殺した。
【表6】
【0153】
静脈内投与は尾部の静脈への注入によりなされた。腹腔内投与は膀胱を避けるよう注意を払いながら腹部への注入によりなされた。頭蓋内注入のためにマウスはイソフルランをもちいて麻酔し、とがっていないイヤーバーを有する定位固定性の装置に配置した。皮膚は剪毛され、外科部位を準備するために頭皮を処理するのにベタジンを使用した。動物は加熱パッドの上に配置され、皮膚の正中線に切り込みを作るためにメスが無菌条件下で使用された。切り込み部位の皮膚の収縮と筋膜の反射により頭蓋骨を見ることが可能になった。3.5mmの突起を有するキャップを装着した3mmの突起を有するガイドカニューレが、頭蓋骨の穿頭孔をとおして挿入され、歯科用のセメントおよび三つの小さなねじで頭蓋骨に取り付けられた。セメントが固まった後、皮膚は縫合で閉じられる。突起の定位座標はAP=0.5-1.0mm、ML=1.8-2.0mm、DV=3.0mmである。パイロット実験(2-3頭の動物)において染料を注入しその位置を決定することにより、入手した同齢集団の動物のための正確な定位座標を決定する。麻酔からの回復の間動物は観察される。鎮痛剤、ブプレノルフィンは手順の最後の前に皮下(SC)で投与され、その後ブプレノルフィンが3日間までおよそ12時間毎に投与される。動物は毎日観察した。細胞もしくはベクターは、ガイドカニューレを通して挿入された3.5mmの突起を有する注入カニューレを通して頭蓋内に注入された。ハミルトンシリンジおよび柔軟な管を装着したシリンジポンプを用いて注入速度が調整された。細胞の注入では、1分間につき0.2マイクロリットルの流速で1マイクロリットルの細胞が送達された(計5分)。ベクターの注入では、1分間につき0.33マイクロリットルの流速で5マイクロリットルのベクターが送達された(計15分)。
【0154】
ベクターは送達され、マウスの脳重量1gに対する形質転換単位(TU)が計算された。そのような計算を利用することで、ヒトを含む他の哺乳類に対する投与量の変換を計算することができる。
図8はこのモデルマウスにおけるベクター投与量の効果を示している。
【0155】
実施例10 AC3-yCD2(V)は脳がんの同系マウスモデルにおいて治療効果を有する
RCRベクターによるシトシンデアミナーゼ自殺遺伝子治療の治療効果およびその免疫学的影響だけでなく、RCRベクターの伝播と体内分布を試験するために、同系のBALB/cマウスにおいてCT26結腸直腸がん株化細胞を用いた頭蓋内異種移植モデルが確立された。
【0156】
本試験は129頭の動物、0頭のオス、119頭のメスおよび10頭の予備動物(contingency animals)(10頭のメス)を含む。順応に続いて、マウスは8つの処置グループの一つにランダムに割り当てられた(下のグループの説明を参照)。7つのグループは右線条体に1頭の投与マウスあたり1x10
4のCT26細胞を0日目に頭蓋内投与した。グループ8のマウスは腫瘍の移植をしなかった。4日目に、マウスに調合物の緩衝液のみ、または9x10
5/5μl、9x10
4/5μl、もしくは9x10
3/5μlのベクターを注入した。ベクターを受け入れていないマウス、または9x10
5/5μlもしくは9x10
3/5μlのベクターを受け入れたマウスはランダム化されて13日目の最初に腹腔内(IP)投与で5-FC(500mg/kg/BID)を与え、もしくは5-FCを与えなかった。ベクターを受け入れたマウスは中央の濃度で全て5-FCを受けた(すなわち、この投与量で個々の対照グループは存在しない)。5-FCの投与は7日間連続した後無処置の10日間が続いた。休止と薬のサイクルは4回まで繰り返された。グループ8を除く各グループの10頭のマウスをランダムに生存解析カテゴリーに割り当てた。残ったマウスは定めたスケジュールにしたがって屠殺した。
【0157】
未処置の監視マウス(sentinel mice)は屠殺を予定された動物と共に飼育し、排出を介するベクターの伝達を評価するために同じタイムポイントで屠殺した。
【表7】
【0158】
静脈内投与は尾部の静脈への注入によりなされた。腹腔内投与は膀胱を避けるよう注意を払いながら腹部への注入によりなされた。頭蓋内注入のために、3.7mmの突起を有するキャップを装着し、右線条体に挿入された3.2mmの突起を有するガイドカニューレを有するマウスが用いられた。突起の定位座標はAP=0.5-1.0mm、ML=1.8-2.0mm、DV=3.0mmである(十字縫合から)。細胞もしくはベクターは、ガイドカニューレを通して挿入された3.7mmの突起を有する注入カニューレを通して頭蓋内に注入された。ハミルトンシリンジおよび柔軟な管を装着したシリンジポンプを用いて注入速度が調製された。
【0159】
細胞の注入では、1分間につき0.2マイクロリットルの流速で1マイクロリットルの細胞が送達された(計5分)。ベクターの注入では、1分間につき0.33マイクロリットルの流速で5マイクロリットルのベクターが送達された(計15分)。
【0160】
ベクターは送達され、マウスの脳重量1gに対する形質転換単位(TU)が計算された。そのような計算を利用することで、ヒトを含む他の哺乳類に対する投与量の変換を計算することができる。
図9はベクターが頭蓋内に送達されたときのこのモデルマウスにおけるベクター投与量の効果を示している。
【0161】
実施例11 miR-128-1およびmiR128-2を発現するRCRベクターの構築と試験
ヒトpri-miRNA-128-1の異種のポリヌクレオチド配列を有する組み換え複製コンピテントレトロウイルスベクターの構築
miR-128-1を発現する複製コンピテントレトロウイルスベクターpAC3-miR-128-1は一つの実施形態で述べたpAC3-yCD2の骨格に由来している。pAC3-miR-128-1ベクターのpAC3骨格は、IRES-yCD2ポリヌクレオチド配列を除くために、MluIおよびNotIを用いてpAC3-yCD2プラスミドのDNAのエンドヌクレアーゼ消化により単離された。pri-miR-128-1のポリヌクレオチドDNA配列はpEP-mir-128-1発現ベクター(Cell BioLabs Inc.)(配列番号31)のプロダクトシートから得られた。pri-miR-128-1のDNA配列は、二本鎖DNA断片の5'末端にMluI制限酵素部位、および3'末端にNotI制限酵素部位を有するように合成され、次にMluIおよびNotIで消化した上述のpAC3-yCD2プラスミドDNAの対応する部位に挿入された。結果としてできた構築物であるpAC3-miR-128-1は3つの遺伝子:gag、pol、およびenvをコードし、そしてpri-miR-128-1非コード配列を有する。
【0162】
miR-128を有する組み換え複製コンピテントレトロウイルスベクターの形質導入細胞からの成熟miR-128の発現試験
miR-128を有する組み換え複製コンピテントレトロウイルスベクターの形質導入細胞からのmiR-128の発現を確かめるために、感染度が最大に達する感染から9日後の細胞を、成熟miRNAの発現の検出を目的とした全RNAの抽出のために膨張させ回収した。Taqman microRNAアッセイの結果は、pAC3-miR-128-1、pAC3-miR-128-2、およびpAC3-H1-shRNAmiR128で形質転換させたHT1080およびU87-MG細胞の両方において、それぞれ形質転換していない細胞と比較して、成熟miR-128が過剰に発現したことを示した。両方の株化細胞において、pAC3-miR-128-1およびpAC3-H1-shRNAmiR128ベクターで形質転換させた細胞は、pAC3-miR-128-2ベクターで形質転換した細胞よりも高いレベルの成熟miR-128を発現した。
【0163】
実施例12 IRES、yCD2、ヒトH1プロモーターおよび ヒトpre-miR128-1の異種ポリヌクレオチド配列を含む組み換え複製コンピテントレトロウイルスベクターの構築と試験
構築
複製コンピテントレトロウイルスベクターpAC3-yCD2-H1-shRNAmiR128は一つの実施形態で述べたpAC3-yCD2の骨格に由来している。NotIを用いてpAC3-yCD2プラスミドのDNAをエンドヌクレアーゼ消化することにより、pAC3-yCD2-H1-shRNAmiR128ベクターのpAC3-yCD2骨格は単離された。ヒトH1プロモーターのポリヌクレオチドDNA配列はpSilencer 3.1 H1 hygro発現ベクター(Ambion)の製品情報から得、そして短いヘアピン構造を有するpre-miR-128-1のポリヌクレオチドDNA配列はthe http:(//)www.mirbase.org/から得た。ヒトH1プロモーターと連結させたpre-miR128-1のDNA配列(配列番号34)は、二本鎖DNA断片の両端にNotI制限酵素部位を有するよう合成され、次にNotIで消化した上述のpAC3-yCD2プラスミドDNAの対応する部位に挿入された。結果としてできた構築物であるpAC3-H1-shRNAmiR128は4つの遺伝子:gag、pol、envおよびyCD2をコードし、そして短いヘアピン構造を有するpre-miR-128-1非コード配列を有する。
【0164】
ベクターストックはベクターをコードするプラスミドDNAの293T細胞へのリン酸カルシウム法を用いた一過性トランスフェクションにより作られた。トランスフェクションの18時間後、培養液は新鮮な培地に交換した。培地交換の24時間後、ベクターを含む上清は回収され0.45μmフィルターを通してろ過され、直ちに用いられるか、もしくは後の使用のために一定量で-80℃で保存された。回収したベクターストックの20マイクロリットルを、ヒト前立腺がん細胞であるPC3に感染させるために用いた。感染の24時間後、それ以上のウイルスの複製を阻害するために細胞にAZTを添加した。感染の48時間後、感染P3細胞のゲノムDNAは力価測定のため抽出された。ベクターストックの力価は既知のコピー数の標準を含んだqPCRにより決定した。
【0165】
pAC3-yCD2-H1-shRNAmiR128組み換え複製コンピテントレトロウイルスベクターの培養液中での複製動態の試験 H1-pre-miR-128-1の組み込みが正常に複製されていることを確かめるために、新鮮なヒト線維肉腫細胞、HT1080およびヒト神経膠腫細胞、U-87MGにそれぞれ0.1のMOIで感染させるのに、上述の一過性のトランスフェクションで回収された各ベクターストックの算出された量が用いられた。形質転換した細胞は感染の後3、6、9日後に継代された。各タイムポイントにおいて、qPCRを目的とするゲノムDNAの抽出のために一定の割合の細胞が回収された。qPCRへのゲノムの入力を等しい量にするために、一定分量のゲノムDNAを同じ濃度で生じるようにゲノムDNAの希釈液が調製された。各ベクターの複製動態は反転したC(t)値をタイムポイントに対してプロットすることにより作成した。結果はコントロールのMLVウイルスと比較して同様の動態でベクターが複製していることを示している。
【0166】
pAC3-yCD2-H1-shRNAmiR128組み換え複製コンピテントレトロウイルスベクターの形質導入細胞からの成熟miR-128の発現試験
pAC3-yCD2-H1-shRNAmiR128組み換え複製コンピテントレトロウイルスベクターの形質導入細胞からのmiR-128の発現を確かめるために、感染度が最大に達する感染から9日後の細胞を、成熟miRNAの発現の検出を目的とした全RNAの抽出のために膨張させ回収した。Taqman microRNAアッセイの結果は、pAC3-yCD2-H1-shRNAmiR128を形質転換させたHT1080およびU87-MG細胞の両方において、形質転換していない細胞と比較して、成熟miR-128が過剰に発現したことを示す。
【0167】
miR-128の標的の関与を示すための、pAC3-yCD2-H1-shRNAmiR128組み換え複製コンピテントレトロウイルスベクターの形質導入細胞からのBmi-1発現試験
Bmi-1の発現は神経膠芽腫を含むヒトの様々ながんにおいて上方制御されることが観察されており、miR-128の標的であることが示されている。miR-128の標的の関与を確かめるために、pAC3-yCD2-H1-shRNAmiR128形質導入細胞からのBmi-1の発現をqRT-PCRにより検出した。結果はpAC3-yCD2-H1-shRNAmiR128を形質導入したU-87-MG細胞が形質導入していない細胞よりも低い量のBmi-1を発現する一方で、HT1080細胞では形質導入細胞と形質導入していない細胞の間に有意な差が観察されなかったことを示している。このデータはmiR-128が中枢神経系において重要な機能的役割を果たしているという考えを支持する。
【0168】
pAC3-yCD2-H1-shRNAmiR128の形質導入細胞からのyCD2発現の免疫ブロットによる試験
pAC3-yCD2-H1-shRNAmiR128組み換え複製コンピテントレトロウイルスベクターの形質導入細胞からのyCD2の発現を確かめるために、感染度が最大に達する感染から9日後の細胞をyCD2発現の検出を目的とした全タンパク抽出のために膨張させ回収した。免疫ブロットの結果は、pAC3-yCD2-H1-shRNAmiR128を形質導入させたHT1080およびU87-MG細胞の両方において、pAC3-yCD2形質導入細胞と比較して正常なyCD2の発現がみられたことを示している。
【0169】
実施例13 マウス/ヒト異種移植モデルにおけるmiRNA発現ベクターによる抗腫瘍有効性試験
目的
本試験の目的は、miR128配列を担持する新規のMLVベースの複製コンピテントレトロウイルスベクター(AC3-miR128-1(V);AC3-miR128-2(V);AC3-miR128-3(V))が生存へ与える影響を評価することであり、その評価はヒト神経膠腫異種移植片を有するヌードマウスへ頭蓋内(IC)注入を介して、Toca 511が三段階の投与量で送達されたときに行う。
【0170】
マウス
メスの胸腺欠損のnude-Foxn1^nu(ヌード)マウス(〜8週齢)はHarlan(Indianapolis IN)から購入した。マウスは到着後7日間順応させた。3.5mmの突起を有するキャップを装着し、右線条体に移植された3.0mmの突起を有する留置ガイドカニューレをマウスに外科的に配置した。突起の定位座標はAP=+0.5 mm、ML=-1.8mmである(十字縫合から)。
【0171】
細胞
U-87MG細胞(ATCC, Manassas VA)は44歳のコーカサス人女性の悪性の神経膠腫に由来する。10%のウシ胎児血清、ピルビン酸ナトリウム、およびGlutamax(Hyclone, Logan UT, and Invitrogen, San Diego CA)を含むダルベッコ変法イーグル培地により細胞を培養した。細胞は移植のためPBS(Hyclone, Logan UT)に再懸濁した。U-87MG細胞(1μL中に1E5)はガイドカニューレを通して挿入された3.5mmの突起を有する注入カニューレを通して、1分間につき0.2μLずつ頭蓋内(IC)注入された(5分間に続いてさらに5分間)。
【0172】
ベクター調製物は一過性のトランスフェクションにより(もしくは生産株化細胞から)作られ、全ておよそ5E6TU/mlの力価を有していた。最初の試験ではベクターはさらなる精製もしくは濃縮は行っていない。次に続く完全な用量反応曲線を決定するための試験のために、およそ10 E8/mlの力価で、高い力価の精製されたサンプルを調製した。ベクターは頭蓋内(IC)に5μL以下で投与され、最小のマウスあたりの全体投与量はおよそ2.5E4TU/マウスとした。
【0173】
がんの移植およびベクターの注入
メスの胸腺欠損のnude-Foxn1^nu マウス(65頭のマウス、9-10週齢)の6つのグループにU-87がん細胞を頭蓋内(IC)移植し(0日目)その後ICに(U-87細胞の成長速度にあわせて4-7日目)、ビヒクル(グループ1)、コントロールベクター(AC3-GFP(V)、グループ2)、またはAC3-miR128-1(V); AC3-miR128-2(V); AC3-miR128-3(V)(グループ3-5)を頭蓋内(IC)投与した。グループ6のマウスはがんもしくはベクターを移植しなかった。
【0174】
データ解析
60日目までの生存解析はグループ1-6からの各10頭のマウスにおいて行われ、カプランマイヤープロットとしてプロットされた。生存曲線はログランク検定(log-rank test)により比較した。P値<0.05が全ての解析において統計的に有意であると考えられ、解析はPrism 5 統計ソフトウェア(GraphPad Software)または同等のものを用いて行われた。
【0175】
ベクター処置の結果は、このヒト神経膠腫異種移植片モデルにおいて、コントロールベクターもしくはビヒクル単独処置と比較して統計的に有意に生存に有利であることを示している。
【0176】
実施例14 チモシン組み合わせ療法
チモシンアルファ1を用いた実験がTu2449/B6C3F1神経膠腫マウスモデルへのToca 511処置と併せて行われた(U.Pohle ら、Int J Oncol.15:829-834 (1999); HM. Smilowitz ら、J. Neurosurg 106:652-659 2007)。最初の頭蓋内の細胞接種が10
4細胞であり、5-FCの投与が一日につき二回(BID)腹腔内で500mg/kgで行われ、薬剤のない日が10日間に続いて5-FCの4日間の投与があることを除いて、BALB/c-CT26モデルにおいてそれらと同様の方法で実験を行った(実施例10)。ベクターおよび5-FCの投与に加えて、幾つかのグループにはチモシンアルファ1(TA1)を投与した。チモシンアルファ1はSigma Aldrich cat#T3641から得て、滅菌水で400μg/mLの濃度でストック溶液を作った。TA1(200μg/kg、〜40μg/動物)は7日目から28日間、一日一回(SID)腹腔内(IC)に投与された。
【0177】
結果は
図10に示してある。最適以下の用量のToca511(E3)および標準のBID5-FC投与量を用いたところ、チモシンアルファ1の添加はToca511の最適なE5用量と同程度まで生存割合を増加させた。緩衝液のみと比較して動物は有意に生存に有利であった(p=0.0016、危険率0.1111、95%CLは0.028から0.436)。さらに、最適以下の用量のToca511(E3)、チモシンアルファ1投与、および標準BID5-FCの投与量の使用は、最適以下の用量のToca 511(E3)およびチモシンアルファ1のみの投与と比較して、生存に有利な結果となった。
【0178】
本発明の多数の実施形態を述べてきた。しかしながら、本発明の考えおよび範囲から離れない限り、様々な改変がなされてもよい点は理解されるだろう。したがって、他の実施形態は以下の特許請求の範囲内に含まれる。