特許第6014026号(P6014026)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014026
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】強化された眼科測定方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20161011BHJP
   A61B 3/107 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A61B3/10 R
   A61B3/10 H
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-513329(P2013-513329)
(86)(22)【出願日】2011年6月1日
(65)【公表番号】特表2013-527012(P2013-527012A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】US2011038809
(87)【国際公開番号】WO2011153275
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年1月9日
(31)【優先権主張番号】13/150,999
(32)【優先日】2011年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/350,258
(32)【優先日】2010年6月1日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512310538
【氏名又は名称】オプトビュー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100101063
【弁理士】
【氏名又は名称】松丸 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100153903
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明
(72)【発明者】
【氏名】ソマニ,シーマ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ジェイ
【審査官】 宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−230141(JP,A)
【文献】 特表2002−529184(JP,A)
【文献】 特開2008−154941(JP,A)
【文献】 特開2005−052249(JP,A)
【文献】 特開平8−289874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 − 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
断層映像法(OCT)システム、
1以上の眼科システム、
前記OCTシステムおよび前記1以上の眼科システムに接続されたカプラ、
を備え、
前記カプラは、OCT光路からと前記1以上の眼科システムからの経路の結合ビームを提供し、
前記撮像装置はさらに、前記1以上の眼科システムに接続されたコンピュータシステムを備え、
前記コンピュータシステムは、前記OCTシステムからの情報を分析して物体の位置合わせ情報を取得し、少なくとも2つのガイドマーカ線とともに前記物体をディスプレイに表示させ、
前記ディスプレイに表示させる前記少なくとも2つのガイドマーカ線の位置と前記物体の位置は、前記位置合わせ情報の作動距離に基づいている
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記1以上の眼科システムは、トポグラフィーシステム、角膜曲率測定システム、眼底撮像システム、波面システム、バイオメトリクスシステム、およびレーザ外科システムからなるセットのうち少なくとも1つを備える
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記カプラは、少なくとも1つのビームスプリッタを備える
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記位置合わせ情報を受信し、試料に対する各前記システムの位置を調整する、位置合わせ器を備える
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記位置合わせ情報を受信し、各前記システムのうち少なくとも1つに対する試料の位置を調整する、位置合わせ器を備える
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記1以上の眼科システムは、トポグラフィー撮像器を含む
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
前記眼科システムは、プラチドコーンを含む
ことを特徴とする請求項6記載の撮像装置。
【請求項8】
前記OCTシステムは、時間領域OCTシステム、分光計ベースの周波数領域OCTシステム、および掃引信号源ベースの周波数領域OCTシステムを備える
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項9】
断層映像法(OCT)システムから作動距離情報を取得するステップであって、前記作動距離は試料までの作動距離である、ステップ、
1以上の眼科システムから情報を取得するステップ、
前記OCTシステムからの情報と前記眼科システムからの前記情報を結合するステップ、
前記結合した情報および前記作動距離情報に基づき少なくとも2つのガイドマーカに関連して前記試料をディスプレイ上に表示するステップ、
を有することを特徴とする撮像方法。
【請求項10】
前記1以上の眼科システムは、トポグラフィーシステム、角膜曲率測定システム、眼底撮像システム、波面システム、バイオメトリクスシステム、およびレーザ外科システムからなるセットのうち少なくとも1つを備える
ことを特徴とする請求項9記載の撮像方法。
【請求項11】
前記情報は、少なくとも1つのビームスプリッタを用いて結合される
ことを特徴とする請求項9記載の撮像方法。
【請求項12】
前記OCTシステムからの情報と前記眼科システムからの前記情報を用いて1以上の位置合わせ情報を提供するステップを有する
ことを特徴とする請求項9記載の撮像方法。
【請求項13】
各前記システムのうち少なくとも1つに対する試料の位置を調整するステップを有する ことを特徴とする請求項12記載の撮像方法。
【請求項14】
試料に対する各前記システムのうち少なくとも1つの位置を調整するステップを有する ことを特徴とする請求項12記載の撮像方法。
【請求項15】
前記1以上の眼科システムは、トポグラフィー撮像器を含む
ことを特徴とする請求項9記載の撮像方法。
【請求項16】
前記眼科システムは、プラチドコーンを含む
ことを特徴とする請求項15記載の撮像方法。
【請求項17】
前記作動距離情報に基づき、試料と像器との間の前記作動距離を調整するステップを有する
ことを特徴とする請求項9記載の撮像方法。
【請求項18】
前記OCTシステムは、時間領域OCTシステム、分光計ベースの周波数領域OCTシステム、および掃引信号源ベースの周波数領域OCTシステムを備える
ことを特徴とする請求項9記載の撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2011年6月1日に出願された米国非仮出願第13/150,999号、および2010年6月1日に出願された米国仮出願第61/350,258号の優先権を主張し、これらはその全体が参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は全体として、眼科画像を収集し処理する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
被験者の眼画像を正確かつ繰り返し取得するためには、撮像デバイスから固定距離においてかつ再現可能な位置で被験者の眼を撮像することが望ましい。したがって、被験者の眼と撮像デバイスの間の望ましい作業距離(Z距離としても知られている)を識別することが重要である。この固定距離から位置がシフトすると、画像の精度と再現性が低下し、さらには測定エラーが生じる可能性がある。
【0004】
例えば角膜トポグラフィーは、正確かつ再現可能な画像を取得することが重要な画像診断技術である。角膜トポグラフィーは、再帰性投影(reflective projection)という方法を用いる。この方法においては、望ましい光パターンが被験者の眼の前面に投影される。光パターンの虚像が角膜近傍に形成され、角膜トポグラフィー器内部の撮像デバイスによって取り込まれる。この角膜近傍の光パターンの虚像からの空間情報は、被験者の眼のトポグラフィー画像を生成するための情報を提供する。得られたトポグラフィー画像は、被験者の眼と角膜トポグラフィー器との間の距離に対する感度が高い。角膜は屈折率が高い面であるため、被験者の眼と撮像デバイスとの間の距離が僅かに変化しても、測定エラーが大きくなる可能性がある。焦点において眼が固定距離から移動した場合、虚像の倍率が変化し、これによりトモグラフィー画像または測定結果のエラーが生じる。
【0005】
固定位置またはより再現性の高い距離において被験者の眼を撮像することにより、エラーを抑制するためのいくつかのアプローチが試みられている。主なアプローチは3つ、すなわち、1)参照撮像法、2)ビーム三角測量ベース法、3)最大信号法、である。
【0006】
図1は、参照撮像法の例を示す。本手法は、光源104とプラチドオブジェクト102を用いて、信頼性のある固定距離を実現することを試みている。これは例えば米国特許第5,847,804号において述べられている。図1に示す方法は、主撮像デバイス108の光軸から外して配置された1以上の別撮像デバイス106を用いる。被験者の眼110の角膜から主撮像デバイス108までの距離は、別撮像デバイス106によって取得された画像から決定される。例えば図1において、別カメラ106は、主撮像デバイス108の光軸に対して垂直となる距離に配置されている。オペレータは、別撮像デバイス106内の眼110の映像が所定位置に到達するまで、主撮像デバイス108と被験者の眼110との間の距離を調整する。この位置は固定位置として識別され、画像はこの位置において主撮像デバイス108上で取得される。しかし、参照撮像法は非常に被験者依存であり、顔サイズやプロファイルが異なる場合は実施することが難しい。この手法では、望ましい固定位置を精度よくかつ再現性高く実現することができない。
【0007】
図2は、例えば米国特許第6,450,641号に記載されているような三角測量ベース法の例を示す。光源202からの2以上の光ビーム204を用いて、撮像デバイス(図示せず)から角膜208までの距離をセットする。撮像デバイスの焦点が合った光ビーム204は撮像デバイスの光軸206から設定角度だけ傾いて進み、反射ビーム204がそれぞれ撮像デバイスからの所望距離におけるパターンを交差または集束して固定距離を実現するように方向付けられる。場合によっては、撮像デバイスのオペレータは、眼科検査の間に撮像デバイスを調整して被験者の眼の角膜表面から反射したビーム204の交差を位置合わせすることが必要である。別実装例においては、オペレータは焦点合わせとして撮像デバイスを調整して、被験者の眼の強膜または角膜縁上の光パターンを位置合わせおよび整列する。この三角測量ビーム法は個人依存であり、オペレータが角膜上のビーム交差を位置合わせすることは難しい。被験者は複数のビームにさらされるためこのアプローチは被験者にとって不快である場合があり、複数の光ビームの複雑性のためユーザフレンドリーではない。
【0008】
位置合わせの課題を解決するために試みられている他の手法は、最大信号法である。この手法において、眼に向けられる光または主機器光が眼から反射した光が解析される。1実装例において、眼から反射した総反射光は、被験者の眼にとって最良の作動距離を実現する位置において最大化される。最大反射光を実現する距離は、主撮像機器の所望作動距離として用いられる。別実装例において、検査中に画像セットが取得される。次に最大信号および/または最大シャープネスの画像が識別され、測定および分析のための最良画像として用いられる。この際に適正作動距離は評価されない。これら手法およびその他同様の変形手法は、多くの商用撮像機器およびカメラにおいて広く使用されている。しかしこれら手法は、信頼性が非常に高いわけではない。例えば周辺光のように、取得した画像の品質と信号に影響するその他の要因が存在するからである。
【0009】
したがって、眼の画像を取得するより良いシステムへの要求が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によれば、撮像装置は、断層映像法(OCT)システム、1以上の眼科システム、前記OCTシステムおよび前記1以上の眼科システムに連結されたカプラを備え、前記カプラは連結ビームを提供する。
【0011】
本発明の実施形態に係る撮像方法は、OCTシステムから作動距離情報を取得するステップであって、前記作動距離は試料に対する作動距離であるステップ;前記1以上の眼科システムから情報を取得するステップ;前記OCT情報および前記眼科システムからの情報を連結するステップ;前記連結した情報を表示するステップ;を有する。
【0012】
これらおよびその他の実施形態は、以下の図面とともに詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】側視カメラを介して参照撮像法を用いてZ距離を評価する例を示す。
図2】眼に入射する複数の光ビームによるビーム三角測量法を用いてZ距離を評価する例を示す。
図3】本発明の実施形態に基づくフロー図の例を示す。
図4】本発明の実施形態において使用することができるトポグラフィーシステムの概略図を示す。
図5】本発明の実施形態において使用することができるOCTシステムの概略図を示す。
図6】測定エラーと作動距離との間の関係を示すプロットを示す。
図7】本発明の実施形態に基づく連結したOCTおよびトモグラフィーシステムの概略図の例を示す。
図8】被験者の眼を高精度に位置合わせするユーザインターフェース例である。
図9】本発明の実施形態に基づくシステム例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
同一または同様の機能を有する要素は、同一の要素符号を付する。図面は正確なサイズを示すためのものではなく、相対サイズを示すものではない。
【0015】
本発明の実施形態に基づき、試料と撮像または測定デバイスとの間の正確かつ再現性の高い位置を判定する方法および装置を開示する。以下の実施形態は、画像再現性と撮像機器の精度を強化する方法および装置を開示する。撮像機器は例えば、断層映像法(OCT)測定機能を組み込んだトポグラフィーシステムである。OCTは非常に正確な技術であり、例えば人の眼のような生物組織の3D構造を撮像および測定するため一般に用いられている。OCT技術は、その他の撮像システムとともに用いて、個々の撮像システムでは得られない他の有益な情報を提供し、測定結果および分析結果を相関付け、記録し、強化することができる。例えば、被験者の眼と撮像システムとの間の正確な作動距離は、OCT技術を組み込んで、最適位置に眼を位置合わせして正確かつ再現性のある撮像および測定を実施できるようにすることによって判定することができる。OCTは、高解像度画像を生成するものとしてよく知られており、この高解像度により非常に正確な距離測定を実施することができる。OCT技術を他の眼科システム/アプリケーションと組み合わせて、正確な作動距離を提供し、被験者の眼を眼科システム/アプリケーションに対して正確に位置合わせすることができる。OCTは、その他の眼科アプリケーションと組み合わせることができる。例えばトポグラフィーシステム、角膜曲率測定システム、眼底撮像システム、波面システム、バイオメトリクス測定システム、レーザ外科システムである。
【0016】
図3は、本発明の実施形態に基づく、眼科アプリケーションにおいて作動距離を正確に管理する方法のフロー図例を示す。図3に示す例において、トポグラフィー撮像法などの眼科アプリケーションと組み合わせてOCT技術を用いる。トポグラフィー撮像器は、被験者の眼の前面のトポグラフィー情報を提供する。OCTシステムは、眼の反射特性から生じる軸反射分散に対応する、正確な3D強度データを生成する。医師と臨床医はトポグラフィー情報とOCT情報を共通して使用し、被験者の眼の様々な病状を視認および診断する。OCTシステムと組み合わせたトポグラフィーシステムの例を、以下に説明する。
【0017】
図3に示すステップ302において、1以上の眼科アプリケーションがOCTシステムに統合される。実施形態においては、トポグラフィー撮像器がOCTシステムに統合される。トポグラフィー撮像器は、眼のトポグラフィー画像を提供するために広く用いられている撮像デバイスである。以下に詳述する図4は、本発明の実施形態において利用することができるトポグラフィーシステムおよび関連する光学構成要素の例を示す。OCTシステムは、眼の高速、高解像度な3D画像と測定結果を提供する用途においても広く用いられている撮像デバイスである。以下に詳述する図5は、本発明の実施形態において利用することができるOCTシステムと関連する光学構成要素を示す。
【0018】
図3のステップ304において、OCT情報と選択した眼科アプリケーションの情報を表示または評価して、最適な撮像のための所望の作動距離を実現することができる。ステップ306において、統合撮像システムまたは被験者の眼を位置合わせして、眼科アプリケーション306から所望の情報を取得することができる。実施形態においては、ステップ306の位置合わせプロセスを自動化して使用を簡易にし、オペレータ操作の個人依存性をさらに抑制することができる。作動距離の位置が決定されると、眼画像および/または測定結果をステップ308において取得することができる。
【0019】
図4は、本発明の実施形態において組み込むことができるトポグラフィーシステム400と関連する光学構成要素の概略図を示す。図4に示すように、システム400はコーン面402を備える。コーン面402上には、プラチドリングと呼ばれる同心リングパターンセットが配置されている。リング404は、照射回路によって照らすことができる。眼408の前部406は、このリング404からのリング光パターンにとっては反射器として動作する。リング光源の虚像は、眼408の前面の僅か後ろに形成される。この像は撮像光学素子により、光軸上に配置されたカメラ410へ、リング404のコーン内の穴を介して中継される。リング404のサイズと倍率は、反射器から反射する光パワーに関連する。反射器は、この場合においては被験者の眼408の角膜である。システム400を用いて、リング404の像を分析し、光パワーと被験者の眼408の角膜の曲率プロファイルを推定することができる。
【0020】
作動距離の制御が欠けていること、および/または、所望距離の固定位置において被験者の眼408の情報を再現的に取得できないことに起因して、測定エラーが生じると考えられる。トポグラフィーシステム400の問題による測定エラー、および再現性のある正確なトポグラフィー情報を取得できないことについて、図6に示す。
【0021】
図6に示すように、角膜の光パワーの測定エラーは、作動距離に関連している。角膜の光パワーは、K(角膜曲率測定法)値としても知られている。K値は、リング/環状(プラチド)光源の像を拡大することによって計算される。図6に示すように、像拡大は被験者と撮像器との間の距離が変化することにともなって変化する。この場合においてはリング光と眼の間の距離である。図6に示すように、測定値は出射元においてのみ正しく、K値のエラーは最適フォーカスからの距離が増加するのにともなって増加する。
【0022】
図5は、本発明の実施形態において組み込むことができるOCTシステム500と関連する光学構成要素の概略図を示す。フーリエ領域OCT(FD−OCT)システムにおいて、広帯域光源502が4ポートファイバカプラ504に連結されている。光源502からの光はファイバ506を介して伝搬し、2つのファイバ508と510へ分割される。ファイバ508は、2次元(X−Y)スキャン光学部品および被検査物514を介して光を送信する。被検査物(例えば眼)内の異なる組織と構造によって反射された光は同じ経路を辿り、ファイバ508に連結される。ファイバ510は、光を参照経路512へ搬送する。参照経路は、例えば調整可能遅延ラインである。2つの経路を干渉させるため、ファイバ510の光路長と経路512の和は、光源のコヒーレンス長以内で、ファイバ508と経路514の和に合致する必要がある。
【0023】
ファイバ508と510からの光は、カプラ504によってファイバ516へ結合される。分光計518はファイバ516からの光を受信し、その光を線形検出器またはラインカメラに向けて拡散させる。ラインカメラからの信号は、データ取得電子部品520によって取り込まれ、処理のためホストコンピュータ522へ送信される。コンピュータ522は、強度信号の逆フーリエ変換を実施し、深度情報および/または画像を生成する。
【0024】
さらに、フーリエ領域OCTシステムは、上記のように分光計を基礎とするか、または高速調整レーザ(「掃引信号源」としても知られている)を基礎とすることができる。実施形態においては、レーザの波長または周波数がレーザ利得媒質によってサポートされる範囲にわたって掃引される。波長掃引の間に反射した光は、分光計518に代えて単一の光検出器で収集することができる。
【0025】
図7は、本発明の実施形態に基づく、OCTシステムとトポグラフィーシステムを結合したシステム700の概略図例である。システム700により、オペレータは画像を取得する眼の関心領域の正確な距離を取得することができ、倍率エラーなしで被験者の眼をトポグラフィーシステムの正確な焦点に位置合わせすることができる。関心領域は、例えば被験者の前眼部または後眼部である。図7の結合システムにおいて、OCT光路702と704、およびトポグラフィーシステムの撮像経路706と708は、ビームスプリッタ710を介して連結される。プラチドコーン712は、結合システム700の前面に取り付けられる。OCT経路702から、光ビームが眼714へ送信され、関心領域にわたってスキャンされ、例えば深度や眼の画像情報などのOCT情報を取得する。撮像光学部品706とビデオカメラ708の光路は、眼に投影されたプラチドコーン712の像を取得する。このように、OCTシステムからの深度情報を用いて良好に定義された既知の距離において、トポグラフィーシステムのプラチドコーンからの情報を用いて、角膜の倍率パワーを計算することができる。OCTシステムの干渉信号は、参照位置に対する眼の位置を与える。その後、眼とシステム700との間の相対距離は、例えば角膜の頂点などの所望位置に到達するまで、変化させることができる。
【0026】
実施形態において、撮像光学部品モジュール706は、図4に示すように、角膜によって形成されたリング光パターンの虚像を画像検出器へ中継するために用いるレンズセットを備えることができる。他の実施形態において、ビデオカメラ(画像検出器)モジュール708は、CCDまたはCMOSカメラである。他の実施形態において、OCT光源と検出器モジュール704は、近赤外SLD(スーパールミネセントダイオード)である。このSLDは、40nm以上の帯域を備え、良好な空間解像度を備えるようにすることができる。OCT光源のOCT検出器および検出器モジュール704は、コリメーションレンズ、ホログラフィック回折格子、CCDまたはCMOSラインカメラを備える分光計を用いて構成することができる。
【0027】
実施形態において、時間領域OCTシステムを用いて、正確な作動距離を図7の統合システムに提供することができる。スペクトルまたはフーリエ領域OCTシステムを用いることが望ましい。フーリエ領域OCTシステムは、撮像解像度が向上した時間領域OCTシステムよりも非常に高速であるという利点を有する。このフーリエ領域OCTの高速スキャン速度により、取得時間を削減できるので、取得動作中の眼の動きに起因するエラーをさらに除去することができる。
【0028】
図8は、距離測定位置合わせ方法についての情報を表示するユーザインターフェースディスプレイの例を示す。図8において、例えば角膜のような眼の前頭部のOCT画像810が、2つの水平ガイドラインとともにユーザインターフェース上に表示されている。オペレータは、この画像のXY位置を調整して眼を適切に整列することができる。OCT画像810は、図8に示すように、取得動作中における眼の正確な距離をリアルタイムで示す。最良の作動距離を実現して角膜表面を撮像するため、ユーザは例えば、角膜の頂点(角膜頂)を2つのガイドラインマーカ820の間に持ってくることができる。2つのガイドラインマーカ820間の距離は、眼の作動距離判定の所望精度に応じて調整することができる。マーカ線820間の距離が小さいと、角膜頂点のより正確な位置合わせが可能である。この距離が大きいと、位置合わせの許容公差が大きくなる。実施形態において、3つの水平ガイドライン、2つのガイドライン820、およびターゲットラインを、アプリケーションユーザインターフェース内でOCT画像とともに表示することができる。この例において、角膜頂点をターゲットラインにできるだけ近く持ってくるとともに2つのガイドラインマーカ820の範囲内に留めることにより、ユーザは角膜頂点の正確な位置合わせを実現することができる。角膜頂点がターゲットラインに配置されると、角膜から機器までの距離は、非常に正確に所望距離へセットすることができる。これはターゲットラインの位置を変更することにより調整することができる。
【0029】
実施形態において、この手動整列プロセスを自動化して、使い易さを強化し、オペレータによる位置合わせの個人依存性を抑制することができる。例えば、モータ駆動システムを実装して、試料と撮像器との間の作動距離の自動調整を提供することができる。モータ駆動システムは、例えばXY方向および/またはZ方向に自動移動するXYZテーブルである。さらに、回転モータ駆動システムを用いて、被験者の眼の回転に起因する距離エラーを抑制することができる。この統合システム700が取り込んだ作動距離情報を評価して、自動的に関心物体を所望位置へ配置することができる。例えば、角膜頂点を自動的にターゲットラインまたは図8のようにガイドライン820の中央に配置することができる。
【0030】
OCT技術とトポグラフィーを組み合わせることによりトポグラフィー測定の測定精度および再現性を改善することに加え、これら2つの測定機器のシナジーにより、OCTデータをトポグラフィーシステムから取得した画像データと相関付けることができる。図7のシステムを用いたこれら2つの撮像機器の共通画像形状の座標は、OCTデータがトポグラフィーデータとともに記録されるように座標変換することによって関連付けることができる。実施形態において、OCT技術は波面測定と組み合わせることができる。OCT技術は上述のように、関心物体の構造の画像と測定結果を提供する。一方で波面技術は、例えば視力のような眼の視覚機能の測定結果を提供する。OCTと波面技術を組み合わせることにより、OCTからの構造情報と被験者の眼の波面からの機能情報を、撮像、測定、および提示することができる。異なる機器から取得した関心領域の共通形状を操作および記録して、測定結果の理解を強化することができる。これには組み合わせ機器からの測定結果の記録が含まれる。
【0031】
図9は、本発明の実施形態に基づくシステム900を示す。図9に示すように、システム910、912、914などの1以上の眼科システムまたは眼科アプリケーションは、カプラ918と光学的に連結されている。カプラ918に連結された眼科システム910、912、914の個数は任意である。眼科システム910、912、914は、任意の眼科撮像システムまたは眼科アプリケーションであってよい。例えばトポグラフィーシステム、角膜曲率測定システム、眼底撮像システム、波面システム、バイオメトリクスシステム、またはレーザ外科システムである。システム900はさらに、カプラ918に連結されたOCTシステム916を備える。カプラ918は、試料928から反射された光ビームを眼科システム910、912、914、OCTシステム916それぞれへ向けて連結する任意のデバイスまたはデバイスの組み合わせである。
【0032】
カプラ918からの連結光出力は、光システム920へ向けて連結される。光システム920は、図9に示すような眼などの試料920へ光を方向付ける。光システム920は、カプラ918からの光を試料928へ向けて連結し、試料928からの光をカプラ918へ戻すことができる、任意のデバイスまたはデバイスの組み合わせである。光システム920は、例えば図7のプラチドコーン712のような1以上の光源であってもよい。
【0033】
試料928からの光は次に、光システム920とカプラ918を介して、撮像システム910、912、914、およびOCTシステム916へ向けて連結される。各撮像システム910、912、914および916は、試料928からの光を分析し、電気信号をコンピュータシステム924へ提供する。コンピュータシステム924は、眼科システム910、912、914およびOCTシステム916からのデータを分析することができる任意のコンピュータデバイスである。コンピュータシステム924は、各システム910、912、914、916から形成された情報と画像を分析する。上述のように、これらシステムから取得した情報と画像は、相関付け、記録し、互いに参照することができる。さらに、コンピュータシステムはユーザインターフェース922に結合される。ユーザインターフェース922は、ユーザ入力とディスプレイ装置の任意組み合わせである。ユーザインターフェース922は、例えば図8に示すインターフェースイメージを表示するために利用することができる。
【0034】
実施形態において、OCTシステム916は、試料928と光システム920との間の位置合わせ情報を、ユーザインターフェース922へ提供する。図7において説明したように、例えば撮像システム910はトポグラフィー撮像システムであり、光システム920は眼のトポグラフィー情報を取得するためのプラチドコーンである。これらはOCTシステム916を用いて取得した上方により正確かつ再現可能に決定された作動距離を用いる。実施形態において、位置合わせ情報は位置合わせ器926に提供することができる。位置合わせ器926は、提供される位置合わせ情報に基づき、試料928とシステム900との間の距離を調整する。実施形態によっては、位置合わせ器926は光システム920内の構成要素を調整する。実施形態によっては、提供される位置合わせ情報に基づき、システム900の全体を移動して距離を調整することができる。実施形態によっては、位置合わせ器926は、システム900に対する試料928の位置を調整して最良フォーカスと最良作動距離を実現することができる。
【0035】
実施例は、例示および本発明の特定実施形態と側面を示すために提供したものであり、その範囲を限定するものであると解釈してはならない。上述の説明において、対象物として主に眼を取り上げた。これは説明を補助することのみを目的とするものであると理解すべきであり、本発明の適用対象についての制約であると理解すべきではない。したがって「眼」という用語が用いられている箇所は、より一般的な透明かつ散乱する物体または器官を代わりにすることができる。本発明の教示を組み込んだ様々な実施形態を示し詳細に説明したが、当業者は本発明の教示を組み込んだその他様々な実施形態を容易に実施することができる。
図1
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図7
図8
図9