(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014032
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】皮膚色素沈着活性を有する化合物およびそれらを含有する医薬または化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20161011BHJP
A61K 31/202 20060101ALI20161011BHJP
A61Q 19/04 20060101ALI20161011BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20161011BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20161011BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K31/202
A61Q19/04
A61Q17/04
A61P17/00
A61P17/16
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-519109(P2013-519109)
(86)(22)【出願日】2011年7月15日
(65)【公表番号】特表2013-536164(P2013-536164A)
(43)【公表日】2013年9月19日
(86)【国際出願番号】EP2011062129
(87)【国際公開番号】WO2012007572
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年7月11日
(31)【優先権主張番号】10425243.2
(32)【優先日】2010年7月16日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501023340
【氏名又は名称】ジュリアーニ ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】GIULIANI S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアーニ ジャンマリア
(72)【発明者】
【氏名】パウス ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ラモート ユヴァル
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー アシュトリート
(72)【発明者】
【氏名】バローニ セルジオ
【審査官】
片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/052328(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/132177(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
A61K 31/00−327
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮のメラニン形成を誘導することにより、ヒトの皮膚の色素沈着を増加させるための、2,4,6-オクタトリエン酸を含む組成物。
【請求項2】
脱色または低色素のヒトの皮膚の色素を増加させるための、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
白斑、白色粃糠疹、特発性滴状低メラニン症、ブルヌヴィーユ症候群(結節硬化症)及び癜風の治療のための、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
皮膚の日焼けを増加させるための、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
表皮のメラニン色素沈着により、皮膚の光防護能を増加させるための、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
局所投与用に製剤された、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物を0.01〜2.0% w/wの範囲の量で含む、請求項6に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚色素沈着活性を有する化合物であって、色素異常症の治療用の医薬または化粧品組成物の調製において有効成分として有用である化合物、または、光防護特性を有する化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の色素沈着およびその光防護能は、メラノサイトが合成するメラニンのタイプおよび量だけではなく、周囲のケラチン細胞内のメラノソームの大きさ、数および分散パターンの違いにも依存する。メラニン合成またはメラニン産生は、チロシナーゼTRP1(チロシナーゼ関連タンパク質1)およびTRP2(チロシナーゼ関連タンパク質2)によって触媒される酵素過程であり、これによりメラノソームにおいてチロキシンがメラニン色素に変換される。これらの酵素の誘導により、メラニン、特にユーメラニンの生合成が促進されるが、メラニンは、紫外線(UV)の悪影響に対し光防護特性を有する色素である。皮膚癌は、最も一般的な腫瘍の一つであることが知られているが、最も予防が容易でもある。紫外線を防ぐことでこのリスクをかなり減らすことができるが、防御せずに日光に当たる割合は依然として高いままである。
【0003】
日光浴を楽しむ人は、時に、日焼けをしたい気持ちをあらゆる健康問題より優先するため、これまでのところ、このような行動を変えるほとんどの方策は成功しなかった。セルフ・タナーおよびスプレー式の日焼け剤に用いたサンレス・タンニングは、紫外線に当たらずに日焼けした外見を達成する方法であり、メラノーマの予防に有効な追加策となる可能性がある。
【0004】
フ(Fu)、ドゥスザ(Dusza)およびハルペルン(Halpern)による、J. Am. Acad. Dermatol.、50巻、第5号の報告の通り、紫外線の負の効果の認識が高まっていることで、サンレス・タンニング産業の急成長が促進されている。この産業が最近導入した新技術は、例えば、サンレス・タンニング・ブースであり、これは、微細噴霧装置によって皮膚に適用されるサンレス・タンニング溶液をむらなくコーティングすることができる。
【0005】
太陽に当たることによって起きる障害を予防する別の有効なアプローチは、メラニンの産生を増やすことであり、それにより、天然の光防御作用が得られる。
【0006】
光防御メラニンおよび表皮メラニン色素沈着(EMP)についての参照文献は、ジャーナル・オブ・フォトケミストリー・アンド・フォトバイオロジーB: バイオロジー(Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology)、9巻、第2号、1991年5月、135-160頁、光生物学における新しい傾向:メラニンによる光防御(New trends in photobiology: Photoprotection by melanin)、ニキフォロス・コリアス(Nikiforos Kollias)、ロバートM.サイレ(Robert M. Sayre)、リサ・ゼイス(Risa Zeise)およびマイルスR.シェデケル(Miles R. Chedekel)に記されている。
【0007】
主に皮膚に関与する他の疾患の中には、皮膚のある領域の色素異常症、色素の変化または色が変化する病変があり、これらは全身性疾患にはあまり関係しないが、色素沈着は、重篤な疾患を示唆し得ることもある。色素の変化は、単に美容上の問題としか見なされないかもしれないが、患者にとっては恥ずかしさの原因やかなりの情緒的ストレスにもなり得ることを覚えておくことは大切である。
【0008】
最も頻繁に報告される色素異常症の一つは白斑であり、これは、皮膚および粘膜の明確な領域で色素が欠損する。この色素の欠損は局所的または全身的であり、疾病は進行する傾向があって、患者が情緒的な障害を引き起こす可能性がある。
【0009】
白色粃糠疹は、普通は思春期前に明らかになる、小児に一般的な皮膚疾患である。白色粃糠疹の典型的病変は、主として顔面、またそれほど多くはないが、頚部、体幹および四肢上において、フレーク状態になる傾向がややある、低色素性の斑点またはしみである。
【0010】
特発性滴状低メラニン症は、特に腕および脚に脱色斑の様相を引き起こす。これらの不規則な形状のしみは、女性の有病率が高く、基本的に日光を集中的に浴びた肌の白い人によく見られる。
【0011】
炎症後色素沈着過剰症は、メラニン細胞の機能を変える炎症性疾患に起因し、色素過剰か低色素かの色素の斑状変化を引き起こす。
【0012】
ブルヌヴィーユ症候群(結節硬化症)は、発作、精神遅滞および脂腺腫を特徴とする先天性疾患である。患者は、通常、腕、脚および体幹に低色素のしみを有することが多い。これらの病変は、ブルヌヴィーユ症候群の重要所見であり、疾患の最初の臨床兆候となり得る。
【0013】
癜風は、ありふれた皮膚疾患である。患者は夏季に色素の変化に気付くことが多く、色素が減少したこれらの領域を太陽の黒点と呼ぶことがある。この疾病は、微細なフレーク状態を伴った、色素が減少したしみや斑として現れる。病変は円形または扇型の形状になりがちである。罹患領域は通常無症状であるが、患者は痒みを訴えることがある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、予想外に、以下の一般式(I)を有する化合物、および、それらの、ナトリウム、カリウムおよびリシン塩等の薬学的に許容される塩が、上記のタイプの疾患の治療おいて、または、紫外線に対する光防護剤としての使用に有用な、皮膚色素沈着活性を有することを見出した:
CH
3-(CH=CH)
n-R (I)
式中:nは、3、5または7を示し;Rは、-CH
2-O-CO-R'、-CO-OR'または-CO-O
(-)より選択され、R'は、水素原子、C
1-C
22アルキルまたはアルケニル、アリールまたはアラルキル、または糖から選択される。
【0015】
以下に報告する実験研究から、驚くべきことに、本発明の化合物が、非受容体経路によって表皮のメラニン形成活性を顕著に誘導し得ることが示される。
【0016】
また、本発明は、それらの医薬および化粧品組成物に関し、一般式(I)を有する各化合物は、単独で、または他のものと混合して使用される。
【0017】
従って、本発明は、メラニン形成活性が有益な効果をもたらす全ての治療または化粧用途のための有効成分としての、式(I)を有する化合物の使用に関し、上記の表皮の色素異常症、特に白斑、白色粃糠疹、特発性滴状低メラニン症、炎症後色素沈着過剰症、ブルヌヴィーユ症候群(結節硬化症)および癜風の治療のための使用に関する。
【0018】
本発明による別の化粧用途では、前記のメラニン形成活性は、日焼けの代わりにサンレス・タンニング効果を発揮するのに有用である。
【0019】
さらに、本発明は、皮膚への紫外線(UV)の有害な効果に対する光防護剤としての、一般式(I)を有する化合物の使用に関する。
【0020】
本発明の一つの組成物は、好ましくは皮膚への局所投与用に処方されるが、前記の有効成分を組成物の0.01〜2重量%の範囲の量で含む。
【0021】
一般式(I)を有するいくつかの好ましい化合物の特性データおよび構造式を、本発明を制限しない記述として以下に示す。
【0022】
C
8H
10O
2 PM 138.17
2E,4E,6E-オクタ-2,4,6-トリエン酸
CAS #: 5205-32-3
【0023】
C
8H
9O
2・Na PM =160.15
2E,4E,6E-オクタ-2,4,6-トリエン酸ナトリウム塩
CAS #: データなし
【0024】
C
8H
9O
2・K PM 176.26
2E,4E,6E-オクタ-2,4,6-トリエン酸カリウム塩
CAS # 1147842-10-1
【0025】
C
8H
9O
2・C
6H
15N
2O
2 PM 284.36
2E,4E,6E-オクタ-2,4,6-トリエン酸L-リシン塩
CAS # 該当なし
【0026】
C
10H
14O
2 PM =166.22
2E,4E,6E-オクタ-2,4,6-トリエン酸エチルエステル
CAS # 5941-49-1
【0027】
C
16H
20O
2 PM=244.34
2,4,6-オクタ-2,4,6-トリエン酸2,4,6-オクタトリエニルエステル
CAS #: 該当なし
【0028】
C
15H
16O
2 PM=228.29
安息香酸 2,4,6-オクタトリエニルエステル; 2,4,6-オクタトリエン-1-オール, ベンゾエート
【0029】
C
10H
14O
2 PM=166.22
酢酸2,4,6-オクタトリエニルエステル; 2,4,6-オクタトリエン-1-オール, アセテート
CAS # 79541-79-0
【0030】
C
24H
42O
2 PM=362.60
パルミチン酸2,4,6-オクタトリエニルエステル; 2,4,6-オクタトリエン-1-オール, パルミテート
CAS # 625112-01-8
【実施例】
【0031】
以下は、上記の使用に特に好適な組成物についての非制限的な例である。
【0032】
INCI命名法に従って特定される成分の量を重量パーセントで表すが、これは記載した範囲内で変更してもよい。
【0033】
実施例1
局所投与用ゲル
成分(INCI名) % w/w
C10-30 アルキルアクリレートクロスポリマー 0.05-0.30
変性アルコール 0.50-5.00
リン脂質 0.50-2.50
オクタトリエン酸 0.05-0.30
PEG-8 カプリル酸/カプリン酸グリセリド 0.10-0.30
ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム 0.40-0.50
水 適量100
製剤のpHは、乳酸でpH=6に調整する(要時)。
【0034】
実施例2
水性アルコールゲル
成分(INCI名) % w/w
カルボマー 0.10-1.50
EDTA二ナトリウム 0.02-0.05
変性アルコール 5.00-20.00
オクタトリエン酸、カリウム塩 0.05-0.30
トリエタノールアミン 0.15-2.25
水 適量100
製剤のpHは、トリエタノールアミンでpH=5.5に調整する(要時)。
【0035】
実施例3
化粧乳液
成分(INCI名) % w/w
EDTA二ナトリウム 0.05-0.10
カルボマー 0.10-0.40
オクタトリエン酸L-リシン塩 0.05-0.30
PEG-8蜜ロウ 5.00-14.00
イソステアリン酸イソステアリル 5.00-10.00
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 5.00-10.00
フェノキシエタノール 0.30-0.90
乳酸 0.10-0.50
ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム 0.20-0.45
パルミチン酸アスコルビル 0.001-0.005
パルファム 0.20-0.50
乳酸 0.30-0.90
水 適量100
製剤のpHは、水酸化ナトリウム溶液または乳酸でpH=5.5に調整する(要時)。
【0036】
実施例4
ボディローション
成分(INCI名) % w/w
ステアレス-2 1.00-4.00
ステアレス-21 1.00-4.00
グリセリン 1.00-5.00
ヒドロキシプロピルグアー 0.05-0.30
炭酸ジカプリル 0.50-2.00
水素化レシチン 0.50-0.80
フェノキシエタノール 0.10-0.50
カプリリルグリコール 0.10-0.70
ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム 0.10-0.50
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 1.00-5.00
イソステアリン酸イソステアリル 1.00-5.00
変性アルコール 0.10-4.00
EDTA二ナトリウム 0.05-0.10
オクタトリエン酸 0.01-0.05
ジメチコン 0.50-2.00
水 適量100
製剤のpHは、水酸化ナトリウム溶液または乳酸でpH=6に調整する(要時)。
【0037】
実施例5
保湿クリーム
成分(INCI名) % w/w
グリセリン 2.00-5.00
ジグリセリン 1.00-3.00
セテアリルアルコール 0.50-2.00
セテアリルグルコシド 1.00-5.00
PEG-100ステアレート 1.00-5.00
グルタミン酸二酢酸四ナトリウム 0.10-0.50
オクタトリエン酸 0.05-0.50
水素化イブニングプリムローズ油 0.50-3.00
オクチルドデカノール 0.50-3.00
イソステアリン酸イソステアリル 1.00-4.00
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 1.00-4.00
アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー
0.10-0.50
水酸化ナトリウム 0.04-0.20
ブチロスパーマム・パーキー 1.00-5.00
デルタトコフェロール 0.05-0.20
ジメチコン 0.50-1.50
エチルヘキシルグリセリン 0.25-0.50
フェノキシエタノール 0.50-0.99
パルファム 適量
水 適量100
製剤のpHは、水酸化ナトリウム酸でpH=6に調整する(要時)。
【0038】
実施例6
ボディ乳液
成分(INCI名) % w/w
グリセリン 1.00-6.00
プロピレングリコール 1.00-6.00
セチルヒドロキシエチルセルロース 0.10-0.40
キサンタンガム 0.10-0.40
タピオカ澱粉 1.00-2.00
EDTA二ナトリウム 0.025-0.20
ソルビタンステアレート 2.00-5.00
スクロースココエート 0.01-1.00
パルミチン酸エチルヘキシル 1.00-5.00
水素化ポリデセン 1.00-5.00
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 1.00-5.00
ブチロスパーマム・パーキー 1.00-5.00
イソステアリン酸イソステアリル 1.00-5.00
ジメチコン 1.00-3.00
ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム 0.10-0.20
フェノキシエタノール 0.70-0.90
パルファム 0.30
デルタトコフェロール 0.02-0.25
ソルビチルフルフラル 0.10-0.90
水 適量100
製剤のpHは、乳酸でpH=6.0に調整する。
【0039】
実施例7
医薬品軟膏
成分(INCI名) % w/w
流動パラフィン 1.00-5.00
ワセリン 1.00-5.00
PEG-8 5.00-75.00
PEG-40 2.00-30.00
PEG-75 1.00-10.00
2,4,6-オクタトリエン-1-オール、パルミテート(パルミチン酸オクタトリエニル)
0.05-0.50
【0040】
実施例8
医薬品乳液
成分(INCI名) % w/w
フェノキシエタノール 0.70-0.99
流動パラフィン 1.00-5.00
グリセリン 3.00-5.00
セテアリルアルコール 1.00-5.00
PEG-8 5.00-30.00
PEG-40 5.00-30.00
PEG-75 5.00-45.00
2,4,6-オクタトリエン-1-オール、アセテート(酢酸オクタトリエニル)
0.05-0.50
水 適量100.00
【0041】
実施例9
セルフ・タナー
成分(INCI名) % w/w
グリセリン 2.00-5.00
ジヒドロキシアセトン 3.50
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 5.0-12.00
ステアレス-20 0.20-3.00
オクタトリエン酸 0.05-0.50
モノステアリン酸グリセリル 0.50-5.00
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート
1.00-5.00
安息香酸C12-15アルキル 5.00-15.00
セチルアルコール 0.50-3.00
メチルパラベン 0.01-0.15
プロピルパラベン 0.01-0.05
水酸化ナトリウム 適量
パルファム 0.20
メチルプロパンジオール 1.00-6.00
水 適量100
【0042】
実施例10
高級日焼け止め
成分(INCI名) % w/w
PEG-30ジポリヒドロキシステアレート 1.00-5.00
(ジイソステアリン酸ポリヒドロキシステアリン酸セバシン酸)ポリグリセリル-4
2.00-5.00
サリチル酸エチルヘキシル 2.00-5.00
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 6.00-10.00
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 3.00-10.00
ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレート 3.00-6.00
セバシン酸ジイソプロピル・ベヘン酸グリセリル/エイコサジオエート
2.00-6.00
テトラ-ジ-T-ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチル
0.02-0.06
ブチルメトキシジベンゾイルメタン 1.00-5.00
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート
5.00-9.00
エチルヘキシルトリアゾン 1.00-5.00
オクトクリレン 1.00-5.00
ステアリン酸マグネシウム 0.10-0.80
ソルビチルフルフラル 0.05-0.10
オクタトリエン酸カリウム 0.05-0.50
ケルセチン 0.001-0.005
カテキン水和物 0.05-0.25
ルチン 0.15-0.60
安息香酸 0.2-1.50
トリクロサン 0.20-0.30
窒化ホウ素 0.05-0.20
グリシルレチン酸 0.05-0.50
二酸化チタン処理物(水酸化アルミニウム、ステアリン酸)
3.00-5.00
グリセリン 3.00-5.00
クエン酸トリエチル 0.10-0.70
水 適量100
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】有効成分の被験投与量に対するマッソン・フォンタナ染色強度の図である。
【
図2】処置した表皮基底層における色素沈着のマイクロ写真(200倍拡大)を示す。
【
図3】リアルタイムRT-PCRおよびウェスタンブロット法を用いた、mRNAおよびチロシナーゼタンパク質発現の結果の図表を示す。
【
図4】分光光度法によるチロシナーゼの酵素活性の結果の図表を示す。
【
図5】分光光度法によるメラニン生成の定量の結果の図表を示す。
【0044】
実験研究
1)皮膚色素沈着活性
第一の実験研究を、
図1および2の添付図面を参照して、以下に記載する。
【0045】
材料および方法
本発明による有効成分のオクタトリエン酸についてのこの実験研究は、皮膚生体組織の器官培養を基礎とし、4群(3例の皮膚生体組織/ウェル)において試験し、異なる濃度の有効成分と共に6日間インキュベートした。
【0046】
図1は、有効成分の被験投与量に対するマッソン・フォンタナ染色強度の図である。
【0047】
図2は、処置した表皮基底層における色素沈着のマイクロ写真(200倍拡大)を示す。
【0048】
組織標本
インフォームド・コンセントを行った、通常のフェイスリフト手術を受けた女性から、正常のヒトの頭皮を得た。全ての実験は、専門の倫理委員会の承認を得て、ヘルシンキ宣言に従って実施した。
【0049】
全層皮膚器官培養
3-4mmの大きさの生体組織を、100 IU mL
-1のペニシリン、10μg mL
-1のストレプトマイシン(ギブコ(Gibco)、独国カールスルーエ)、10μg mL
-1のインスリン(シグマ(Sigma)、独国タウフキルヒェン(Taufkirchen))、10 ng mL
-1のヒドロコルチゾン(シグマ)および2 mmol L
-1のL-グルタミン(インビトロジェン(Invitrogen)、英国ペイズリー)を補ったウィリアムスE培地(バイオクロム(Biochrom)、英国ケンブリッジ)中、37℃で6日間培養した。
【0050】
3種の濃度のオクタトリエン酸(0.1μg/mL、0.25μg/mL、0.5μg/mL)または対照培地を、培地の交換時毎に一度投与した(即ち、48時間毎)。
【0051】
LDH活性
製造元の使用説明書に従って、細胞毒性の指標として、上澄中の乳酸脱水素酵素(LDH)活性を一日おきに測定した(細胞毒性検出キット;ロシュ(Roche)、独国マンハイム)。ELISAプレートリーダーを使用して、サンプルの吸光度を490nmで測定した。
【0052】
表皮色素沈着
組織化学的なメラニン評価のため、冷凍した成人頭皮片にマッソン・フォンタナ染色を施した。褐色の斑点として染色されたメラニンおよび色素沈着の程度を、他に記載された通り(イトウ(Ito)ら、2005年)、定量的マッソン・フォンタナ試験を使用して評価した。この方法により、標準的なチロシナーゼ発現および酵素活性アッセイで示される通り、メラニン合成における変化について感度および信頼性の高い指標が得られる(カウセル(Kauser)ら、2006年)。
【0053】
染色強度は、イメージJ(ImageJ)ソフトウェア(国立衛生研究所(National Institute of Health))を用い、前記で規定した表皮の参照領域において分析した。
【0054】
統計分析
統計分析は、独立したサンプルについて、スチューデントの両側t-検定を用いて実施した。
【0055】
知見
皮膚培養物をオクタトリエン酸で処理したところ、試験した3種の投与量の全てで皮膚の色素沈着が増加した。
【0056】
添付した図面中、
図1の図表は、マッソン・フォンタナ染色強度が上述の処置の6日目で、各投与量について、培地のみと比較して著しく増加したことを示す。
【0057】
図2の写真(200倍拡大)は、各投与量について、上述の処理の6日目で表皮基底層における色素沈着が増加したことを示し、また、メラニン発生領域を示す(矢印参照)。
【0058】
2)メラニン形成活性
第二の実験研究では、
図3、4および5の添付図面を参照して以下に記載した通り、メラニン形成過程におけるメラノサイトの分化現象に対する、本発明の化合物の作用を評価した。この目的のため、オクタトリエン酸(簡略にするため、図表中、Octaとする)を、程度の異なる基底色素沈着を有する包皮のプリマリー・メラノサイト培養物に使用し、以下のパラメータを評価した:
a)リアルタイムRT-PCRおよびウェスタンブロット法を用いた、mRNAおよびチロシナーゼタンパク質発現;
b)分光光度法によるチロシナーゼの酵素活性;
c)分光光度法によるメラニン生成の定量。
【0059】
図3は、上述の実験(a)の結果の図表を示す。
【0060】
図4は、上述の実験(b)の結果の図表を示す。
【0061】
図5は、以下に論じる通り、上述の実験(c)の結果の図表を示す。
【0062】
a)チロシナーゼ発現分析
チロシナーゼmRNA発現を、40および55 mMの濃度のオクタトリエン酸と共に24時間インキュベーションした後の細胞から抽出したmRNA試料について、リアルタイムRT-PCRによって評価した。
【0063】
メラニン合成を促進する能力があるアデニル酸シクラーゼ活性化剤として知られている、フォルスコリン(FSK)を対照として使用して、オクタトリエン酸の活性と比較した。
【0064】
図3のカラムの各対は、対照培養物(Ctr)、FSK、および2つの被験濃度のOctaについて、低色素沈着の正常ヒトメラノサイト(NHM LP、各対の左カラム)および高色素沈着の正常ヒトメラノサイト(NHM HP、各対の右カラム)のチロシナーゼmRNA発現の傾向(Rel Tyr mRNA発現、倍数変化)を示す。これらのカラムにおいて、*=p<0.01対Ctr、**=p<0.001対Ctr、および$=p<0.05対Ctrである。
【0065】
図3に示す通り、程度の異なる基底色素沈着を特徴とするプライマリーメラノサイトのこれらの培養物に対して実施された実験により、2つの投与量のオクタトリエン酸で処理すると、チロシナーゼmRNA発現が有意に誘導されることが明らかになった。
【0066】
同投与量のOctaで72時間処理した細胞由来のタンパク質抽出物に対する、チロシナーゼのウェスタンブロット分析により、被験物質がメラニン生成酵素のタンパク質発現を誘導したことが確認された。
【0067】
b)チロシナーゼ活性の分析
チロシナーゼ活性は、40および55 mMの濃度のオクタトリエン酸と共に72時間インキュベートした試料に由来する細胞溶解物の、対照培養物と対比した分光光度分析によって評価した。
図4の図表の結果から、程度の異なる基底色素沈着を有するプライマリーメラノサイトの両培養物中の活性を、y座標上にCtrに対する%として表わされるように、即ち、この実験においても、対象培養物(Ctr)および2つの被験濃度のOctaについて、低色素沈着の正常ヒトメラノサイト(NHM LP、各ペアの左カラム)および高色素沈着の正常ヒトメラノサイト(NHM HP、各ペアの右カラム)が検討され、酵素活性の顕著な増加が示される。
これらのカラムでは、Ctrに対して、*=p<0.05である。
【0068】
c)細胞内メラニン含量の分析
細胞内メラニン含量を、40および55 mMの濃度のオクタトリエン酸と共に72時間インキュベートした試料に由来する細胞溶解物の分光光度分析によって評価したが、
図5に示す通り、低色素沈着の正常ヒトメラノサイト(NHM LP、左のカラム4本の群)および高色素沈着の正常ヒトメラノサイト(NHM HP、右のカラム4本の群)について評価し、これらのカラムは、対照培養物(Ctr)、参照FSK(上記参照)および2つの被験濃度のOctaを意味する。
図5において、*=p<0.05対Ctr、**=p<0.01対Ctr、$=p<0.001対Ctrである。
【0069】
程度の異なる基底色素沈着を特徴とするプライマリーメラノサイトの培養物について実施した実験において、
図5の図表に示す結果から、2つの投与量のオクタトリエン酸で処理したところ、細胞内メラニンの量が顕著に誘導されることが明らかになった。
【0070】
結論
程度の異なる基底色素沈着を特徴とする、包皮のプライマリーメラノサイトの培養物について実施した実験で得られた結果から、オクタトリエン酸が、チロシナーゼ(メラニン生成の中心的酵素)の発現および活性を誘導し、細胞内メラニン含量を増加させる能力を実証した。
【0071】
これらの結果から、本発明による化合物は、表皮のメラニン色素沈着によって皮膚の光防護能を改善させ、皮膚の日焼け強度を増すために好適であることが明らかである。