特許第6014044号(P6014044)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014044迅速分散顆粒、口腔内崩壊錠、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014044
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】迅速分散顆粒、口腔内崩壊錠、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20161011BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 9/36 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 31/4458 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 31/135 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 31/4178 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 31/4422 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 31/41 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 31/403 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A61K9/16
   A61K47/26
   A61K47/10
   A61K9/36
   A61K47/12
   A61K31/137
   A61K31/4458
   A61K31/343
   A61K31/135
   A61K31/4178
   A61K31/404
   A61K31/4422
   A61K31/41
   A61K31/403
   A61K31/573
   A61K45/00
   A61P25/00
   A61P25/04
   A61P25/06
   A61P25/08
   A61P25/16
   A61P25/20
   A61P25/22
   A61P25/24
   A61P25/28
   A61P29/00 101
   A61P29/00
   A61P3/10
   A61P31/04
   A61P1/08
【請求項の数】24
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2013-542228(P2013-542228)
(86)(22)【出願日】2011年12月2日
(65)【公表番号】特表2013-544849(P2013-544849A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】US2011063172
(87)【国際公開番号】WO2012075455
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年11月27日
(31)【優先権主張番号】61/419,114
(32)【優先日】2010年12月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512000167
【氏名又は名称】アデア ファーマスーティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテッシュ,ゴーピ エム.
(72)【発明者】
【氏名】スワミナサン,ヴィジャヤ
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ジン−ワン
(72)【発明者】
【氏名】クレヴェンジャー,ジェイムズ エム.
【審査官】 常見 優
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0169620(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/120548(WO,A1)
【文献】 特表2010−532384(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/085497(WO,A1)
【文献】 特開2004−002326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K47/00−47/48
A61K31/33−33/44
A61P 1/00−43/00
A61K45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分を含まない、中央粒径が100μm〜300μmの範囲にある、薬学的に許容される迅速分散マイクロ顆粒であって、糖アルコール、糖、またはそれらの混合物、スーパー崩壊剤、および多機能性添加剤から成り、
前記多機能性添加剤が前記マイクロ顆粒の1〜3重量%の量で存在するアルファ化デンプンである、迅速分散マイクロ顆粒。
【請求項2】
請求項1に記載の迅速分散マイクロ顆粒において、前記糖アルコール、糖、またはそれらの混合物、スーパー崩壊剤、および多機能性添加剤が、88〜96(糖アルコール):1〜10(崩壊剤):1〜3(多機能性添加剤)の重量%の比で存在することを特徴とする迅速分散マイクロ顆粒。
【請求項3】
請求項1に記載の迅速分散マイクロ顆粒において、前記糖アルコールがマンニトール、キシリトール、およびそれらの混合物からなる群から選択され、前記糖がラクトース、スクロース、フルクトース、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする迅速分散マイクロ顆粒。
【請求項4】
請求項1に載の迅速分散マイクロ顆粒において、前記スーパー崩壊剤がクロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする迅速分散マイクロ顆粒。
【請求項5】
請求項1に記載の迅速分散マイクロ顆粒において、前記糖アルコールが60μmの中央粒径を有するマンニトールであり、前記崩壊剤が低置換ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする迅速分散マイクロ顆粒。
【請求項6】
請求項1に記載の迅速分散マイクロ顆粒において、前記糖アルコールが15μm〜30μmの中央粒径を有するマンニトールであり、前記崩壊剤が低置換ヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする迅速分散マイクロ顆粒。
【請求項7】
口腔内崩壊錠である医薬投与剤形であって、請求項1に記載の迅速分散マイクロ顆粒および治療有効量の少なくとも1つの活性医薬成分を含む医薬投与剤形。
【請求項8】
請求項7に記載の医薬投与剤形において、香料、甘味剤、着色剤、圧縮助剤、および追加の崩壊剤から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤をさらに含むことを特徴とする医薬投与剤形。
【請求項9】
請求項7または8に記載の医薬投与剤形において、前記活性医薬成分が、味マスキング、放出制御特性、またはそれらの組合せを付与するための1つまたは複数の機能性ポリマーの1つまたは複数のコーティング、および場合によっては薬学的に許容される賦形剤をさらに含むことを特徴とする医薬投与剤形。
【請求項10】
請求項9に記載の医薬投与剤形において、前記活性医薬成分の前記味マスキングされたマイクロ粒子が100〜400μmの範囲の中央粒径を有し、前記口腔内崩壊錠投与剤形が、哺乳動物の頬側口腔内で唾液と接触すると迅速に崩壊し、前記味マスキングされた薬物マイクロ粒子を含有することを特徴とする医薬投与剤形。
【請求項11】
請求項9に記載の医薬投与剤形において、味マスキング、放出制御、またはそれらの特性の組合せを付与された、前記活性医薬成分の前記マイクロ粒子が100〜400μmの範囲の中央粒径を有し、前記口腔内崩壊錠投与剤形が、哺乳動物の頬側口腔内で唾液と接触すると迅速に崩壊し、味マスキング、放出制御特性、またはそれらの組合せを有する薬物マイクロ粒子の、滑らかでざらつきのない飲み込み容易な懸濁液を形成し、1日1回または1日2回の投与レジメンに適した血漿濃度−時間プロフィールを示すことを特徴とする医薬投与剤形。
【請求項12】
請求項7または9に記載の医薬投与剤形において、前記口腔内崩壊錠投与剤形が、ブリスターまたはボトルへの包装、保管、商品流通のための輸送、および最終使用の間における摩耗に耐えるのに十分な高錠剤硬度および低摩損度を達成するように、ロータリー打錠機上で前記口腔内崩壊錠組成物の成分を圧縮することにより形成されることを特徴とする医薬投与剤形。
【請求項13】
請求項7または9に記載の医薬投与剤形において、前記口腔内崩壊錠投与剤形が、米国薬局方メソッド<701>により崩壊時間に関して試験される場合に、30秒以内に崩壊することを特徴とする医薬投与剤形。
【請求項14】
請求項12に記載の医薬投与剤形において、前記口腔内崩壊錠投与剤形が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ナトリウムステアリルフマラート、およびベヘン酸グリセリルからなる群から選択される滑沢剤を使用して、各圧縮前に、材料に接触するパンチ表面およびダイ壁を滑らかにするための外部滑沢装置を装備したロータリー打錠機上で圧縮されることを特徴とする医薬投与剤形。
【請求項15】
請求項12に記載の医薬投与剤形において、前記口腔内崩壊錠投与剤形の前記成分が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ナトリウムステアリルフマラート、ベヘン酸グリセリル等からなる群から選択される滑沢剤で前記成分を内部的に滑らかにした後に圧縮されることを特徴とする医薬投与剤形。
【請求項16】
請求項7または9に記載の医薬投与剤形において、前記治療剤が、中枢神経系に対する薬物、抗うつ剤、鎮吐剤、心血管作動剤、覚醒剤/抗不安剤、鎮静剤、抗てんかん剤、鎮痛剤/解熱剤、関節リウマチ剤、抗偏頭痛剤、オピオイド、パーキンソン病に対する薬物、抗精神病剤、血小板凝集阻害剤、骨格筋弛緩剤、抗アルツハイマー薬、鎮痙剤、プロトンポンプ阻害剤、ヒスタミンH拮抗剤、胃腸障害アミノサリチル酸、メトロニダゾール、コルチコステロイド、抗糖尿病剤、抗アレルギー剤、および抗生物質から選択されることを特徴とする医薬投与剤形。
【請求項17】
請求項14に記載の医薬投与剤形において、前記活性医薬成分が、アンフェタミン、メチルフェニデート、シタロプラム、セルトラリン、オンダンセトロン、ピンドロール、ニカルジピン、グアンファシン、リスイナラプリル(lisinalapril)、バルサルタン、カルベジロール、アムロジピン、ニフェジピン、フロセミド、ニトラゼパム、フェニトイン;鎮静剤、クロナゼパ(clonazepa)、テマゼパム、ゾルピデム、ジフェンヒドラミン、ラモトリギン、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、スマトリプタン、フェンタニル、オキシコドン、アマンタジン、セレゲリン(selegeline)、パリペリドン、プラスグレル、チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール、シクロベンザプリン、バクロフェン、チザニジン、ガランタミン、ジサイクロミン、パントプラゾール、ファモチジン、メトクロプラミド、シサプリド、アミノサリチル酸、テガセロッド、メトロニダゾール、メトホルミン、パラモマイシン(paramomycin)、およびセファレキシンからなる、経口投与用に承認されたかまたは承認されうる群から選択されることを特徴とする医薬投与剤形。
【請求項18】
請求項7または8に記載の医薬投与剤形において、前記少なくとも1つの活性医薬成分が1つまたは複数の機能性ポリマーによる味マスキングコーティングを必要としないことを特徴とする医薬投与剤形。
【請求項19】
請求項18に記載の医薬投与剤形において、前記活性医薬成分が、アンフェタミン、メチルフェニデート、シタロプラム、セルトラリン、オンダンセトロン、ピンドロール、ニカルジピン、グアンファシン、リスイナラプリル(lisinalapril)、バルサルタン、カルベジロール、アムロジピン、ニフェジピン、フロセミド、ニトラゼパム、フェニトイン;鎮静剤、クロナゼパ(clonazepa)、テマゼパム、ゾルピデム、ジフェンヒドラミン、ラモトリギン、ジクロフェナクナトリウム、フェンタニル、オキシコドン、アマンタジン、セレゲリン(selegeline)、パリペリドン、チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール、シクロベンザプリン、バクロフェン、チザニジン、ガランタミン、ジサイクロミン、ファモチジン、メトクロプラミド、シサプリド、アミノサリチル酸、テガセロッド、メトロニダゾール、およびメトホルミンからなる、経口投与用に承認されたかまたは承認されうる群から選択されることを特徴とする医薬投与剤形。
【請求項20】
請求項16に記載の医薬組成物において、香料、甘味剤、着色剤、圧縮助剤、または追加の崩壊剤から選択される、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤をさらに含み、前記組成物が内部または外部滑沢のロータリー打錠機を使用して、圧縮されて口腔内崩壊錠になり、前記錠剤が米国薬局方メソッド<701>により崩壊時間に関して試験される場合に30秒以内に崩壊することを特徴とする医薬組成物。
【請求項21】
活性成分を含まない、100〜300μmの範囲の中央粒径を有する迅速分散マイクロ顆粒の製造方法であって、
糖アルコール、糖、またはそれらの混合物と、
スーパー崩壊剤と、
薬学的に許容される多機能性添加剤であって、前記マイクロ顆粒の1〜3重量%の量で存在するアルファ化デンプンである多機能性添加剤とを、
88〜98(糖アルコール):1〜10(崩壊剤):1〜3(多機能性添加剤)の比で含む粉末混合物を、湿式造粒物の粉砕および/または乾式造粒物の広範な粉砕を必要とすることなく、流動層造粒機の中で簡単かつ迅速に造粒する工程を含む、迅速分散マイクロ顆粒の製造方法
【請求項22】
口腔内崩壊錠を製造する方法であって、
a.活性医薬成分マイクロ粒子を調製する工程と、
b.場合によっては、味マスキングおよび/または放出制御特性を付与するために、1つまたは複数の機能性ポリマーで薬物マイクロ粒子をコーティングする工程と、
c.中央粒径が100〜400μmの範囲にある、工程(b)からのポリマーコーティングされた薬物マイクロ粒子、請求項1または2に記載のマイクロ顆粒、ならびに香料、甘味剤、着色剤、圧縮助剤、および追加の崩壊剤から選択される他の任意選択の薬学的に許容される賦形剤を含む粉末混合物を調製する工程と、
d.内部または外部滑沢を使用して、ロータリー打錠機上で前記粉末混合物を圧縮する工程と
を含み、前記口腔内崩壊錠が、頬側口腔内で唾液と接触すると迅速に崩壊し、ポリマーコーティングされた薬物マイクロ粒子または糖アルコール、スーパー崩壊剤、および場合によっては香料もしくは甘味剤で造粒することによって味マスキングされた薬物マイクロ粒子を含有する、滑らかでざらつきのない飲み込み容易な懸濁液になる方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、前記錠剤が、前記ブレンドに滑沢剤を添加することなくロータリー打錠機上で前記粉末混合物が圧縮される方法により調製され、前記方法が、材料に接触する打錠機のパンチ表面およびダイ壁を滑らかにするための滑沢装置を含むことを特徴とする方法
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、前記粉末混合物がステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ナトリウムステアリルフマラート、ベヘン酸グリセリル等からなる群から選択される滑沢剤と混合された後に、ロータリー打錠機上で圧縮される方法により前記錠剤が調製されることを特徴とする方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年12月2日に出願された米国仮特許出願第61/419,114号に対する優先権を主張するものであり、その内容全体は、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、水または他の液体を必要とすることなく、哺乳動物の口腔内で崩壊する口腔内崩壊錠(ODT)に組み込まれる医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
投与レジメンに対するアドヒアランスの欠如が、数十億ドルのコストをもたらす米国の主要な医療問題である。薬物の服用は、単に丸剤を飲み込めばよいというほど簡単なものとは限らない。処方通りに正確に薬物を服用し、推奨される適切な生活様式に従うことは、高度に有益であり、副作用の影響を低減する可能性がある。薬物コンプライアンスの欠如(アドヒアランスの欠如)、すなわち処方された投薬量で時間通りに薬物服用をしないことは、多くの病気と同じくらい危険で高コストをもたらす。コンプライアンスの欠如により、米国では毎年125,000人の死亡者が生まれ、病院および養護施設の入院の10〜25パーセントがもたらされ、さらにこれが国際的に蔓延しつつあることを複数の研究が示している。さらに、投与レジメンに対する患者のアドヒアランスまたはコンプライアンスは、数百万ドルのコストをもたらす主要な懸念材料になっている。複雑なレジメン(例えば、多すぎる薬物、頻繁すぎる投与)、遵守する上での物理的な困難さ(例えば、薬物容器を開くこと、小さな錠剤を扱うこと、嚥下障害(例えば、一般人口の約30%)、飲料を適時に入手できること)、後で廃棄するために「頬に薬物を入れること」を含む故意の拒絶、実際の副作用または知覚された副作用、および有効性の欠如、魅力のない製剤(例えば、不快な味または臭い)が、コンプライアンスの欠如の原因となる因子として挙げられることが多い。統合失調症、双極性障害などの疾患を有する患者の一部は、混乱するかまたは記憶に問題があること(認知機能障害)が多く、薬物の規則的な服用をしないことが、多くの場合観察される。
【0004】
経口投与錠剤、カプセル剤、サッシェ剤、粉末剤(懸濁剤、シロップ剤への再構成用)等のための種々のタイプの医薬投与剤形がある。しかしながら、そのような投与剤形にはいくつかの問題がある。錠剤およびカプセル剤の場合には、例えば、嚥下障害により飲み込む意思がないかまたは困難を感じる高齢者または小児に対して薬物を服用させることは難しいことがある。薬物を含有する懸濁剤、シロップ剤、サッシェ剤等は、苦味がありすぎて、不快な食感により経口摂取することができない場合が多い。さらに、生活様式から「活動的な人々」または偏頭痛の患者は、必要なときに、水または飲料を簡単に入手できないことがある。
【0005】
一方、持続的、遅延的または時間調節的、パルス的な放出性を付与する機能性ポリマーで上手に味マスキングされ、かつ/またはコーティングされた薬物のマイクロ粒子を含む固形医薬組成物は、飲み込む際に、水を必要とすることなく、またはいかなる後味も感じさせることなく、頬側口腔内で迅速に崩壊して、ざらつきのない食感と共に、滑らかで(ざらつきのない)、飲み込みが容易な懸濁液を形成するものであるが、経口投与の便宜を提供し、かつ投与レジメンに対する患者のアドヒアランスまたはコンプライアンスを改善するために極めて必要とされる目標インビトロ薬物放出プロフィールを示す。
【0006】
米国特許第4,134,943号明細書は、錠剤含有物と不活性溶媒とを混合し、凍結乾燥することを含む、優れた崩壊特性を有する多孔性錠剤の製造方法に関するものである。Zydis(登録商標)技術(米国特許第4,305,502号明細書;米国特許第5,738,875号明細書)、Lyoc技術(米国特許第4,616,047号明細書;米国特許第5,843,347号明細書)、およびQuickSolv(登録商標)技術(米国特許第5,215,756号明細書;米国特許第5,298,261号明細書)は、低温での昇華/凍結乾燥により、凍結したブリスターから脱水することを可能にし、凍結乾燥された糖、ラクトース、マルトデキストリン、および/またはゼラチンマトリックスをベースとした迅速溶解錠剤/ウェーハ剤を製造する。凍結乾燥技術の主要な欠点としては、それが高価であり、脆弱な製品に備えるものであり、味マスキングされた薬物粒子と共に使用することが困難であり、加圧条件下で悪い食感および安定性を呈することが挙げられる。
【0007】
米国特許第5,039.540号明細書および同第5,079,018号明細書は、水分がすべて組成物から実質的に除去されるまで、0℃以下で無水エタノールなどの無水有機液体に錠剤の内容物を接触させることを可能にすることによって、十分な強度を備えた錠剤を製造する方法に関するものである。これらの製造工程のそれぞれは、複雑な製造段階と、凍結乾燥機、特殊な包装装置などの追加の装置とを必要とし、そのため、生産コストが高くなる。
【0008】
米国特許第5,720,974号明細書は、多孔構造を有する急速溶解錠剤のための製造方法に関するものであり、そこでは、1〜3重量%の水で造粒され、粒径が20〜70μmである、活性成分と、糖、デンプン、ラクトース、またはマンニトールなどの糖アルコールを含めた炭水化物との造粒物を含む錠剤が、乾燥前に低い圧縮力で湿潤塊を圧縮して錠剤にすることにより製造される。そのため、湿潤錠剤の乾燥に続いてバルク保管するまで、圧縮後個々の錠剤を扱うための綿密な準備が必要である。
【0009】
CimaのOroSolv(登録商標)技術(米国特許第5,178,878号明細書;米国特許第6,155,423号明細書;米国特許第6,311,462号明細書)、DuraSolv(登録商標)技術(米国特許第6,024,981号明細書)、OraVescent(登録商標)技術(米国特許第6,200,604号明細書)は、コーティングされていないかまたは味マスクキングされた薬物粒子および水溶性賦形剤を含む、圧縮された迅速崩壊錠剤の製造に関するものである。発泡性カップルを含むOraSolv(登録商標)は極めて壊れやすく、一体型打錠包装システムを必要とする。マンニトールまたは圧縮可能な糖などの粉末状(非直接圧縮)増量剤/賦形剤を少なくとも60%w/w含むDuraSolv(登録商標)は、ブリスターまたはボトルの中に包装される硬錠剤を生成する。発泡性成分を含むOraVescent(登録商標)錠剤は、唾液との接触時の一時的なpH変化によって薬物溶解を促進する。OroSolv(登録商標)およびOraVescent(登録商標)技術は両方とも、高価な一体型打錠および包装装置を必要とする。
【0010】
米国特許第5,464,632号明細書は、活性物質(コーティングされた微結晶またはマイクロ顆粒)、および崩壊剤を含む非発泡性賦形剤の混合物を含む、水なしで頬側口腔内にて60秒以内に崩壊する口腔内崩壊錠を製造する方法に関するものである。これらの錠剤はざらつきがあることが多い。WOWTAB(登録商標)技術(米国特許第5,466,464号明細書および米国特許第5,576,014号明細書)は、頬内溶解錠剤の製造方法に関するものであり、ラクトースまたはマンニトールなど、低成形性の糖を活性成分および高成形性の糖(例えば、ソルビトールまたはマルチトール)と共に造粒し、その混合造粒物を、乾燥後滑沢剤とブレンドし、圧縮して頬内崩壊錠にする。あるいは、活性成分を、低成形性の糖と共に別に造粒し、次いで、高成形性および低成形性の糖の造粒物と共に圧縮して頬内崩壊錠にする。SaTab技術(米国特許第6,316,026号明細書)は、専用の加湿および乾燥工程を利用するもので、糖、薬物、および結合剤を含む粉末混合物を低圧縮圧下で圧縮して錠剤にし、加湿および乾燥のために特別に設計された装置にその錠剤を通すことにより、約10秒で崩壊/溶解する高度に多孔性のODT製剤を製造する。
【0011】
米国特許出願公開第20030215500A1号明細書によると、平均粒径が約60μmである、低成形性のマンニトールなどの糖アルコールまたはラクトースなどの糖の顆粒と、クロスポビドン(例えば、ISP製のPolyplasdone XL−10)などのスーパー崩壊剤とを含み、活性成分の存在下または非存在下にて水で造粒された口腔内崩壊錠は、頬側口腔での迅速な崩壊を示す一方、機械強度が低い。しかしながら、ドンペリドンなどの活性成分の存在下または非存在下で、中央粒径が約60μmの糖アルコールまたは糖およびスーパー崩壊剤(例えば、クロスポビドン)を、ポリマー結合剤(例えば、ポビドンK−30またはヒドロキシプロピルセルロース)または高成形性の糖アルコールもしくは糖(例えば、マルトース)を造粒液として使用して造粒した場合、このようにして製造された、重量200mgのODT錠剤は、高い錠剤強度を示すだけでなく、使用された結合剤に応じて、口腔内での崩壊に101〜350秒かかることも示された。一方、米国特許出願公開第20030215500A1号明細書の開示に従って、平均粒径が35μm以下の糖アルコールおよび/または糖、ならびにスーパー崩壊剤を、高剪断造粒機の中で、ドンペリドンなどの活性成分の存在下または非存在下で水を用いて造粒した後、流動層乾燥機で乾燥し、圧縮して内部または外部滑沢の錠剤にする場合、このようにして製造された口腔内崩壊錠は、崩壊特性を損なうことなく高い機械強度を示す。中央粒径が30μm以下の糖アルコール(例えば、マンニトール)または糖(例えば、ラクトース)、およびスーパー崩壊剤(例えば、クロスポビドン)を、精製水を使用して造粒する場合には、活性成分を、マンニトール−クロスポビドン果粒とブレンドし、圧縮してODT錠剤にする。
【0012】
米国特許出願公開第20030215500A1号明細書は、特に口腔内崩壊錠の中に高量(すなわち、錠剤の30重量%超)ある苦味薬物を味マスキングする方法および/または苦味薬物の使用に関するものではない。大部分の薬理学的に活性な薬物は苦味があり、味マスキングが必要になると同時に治療的に有効にするために高用量が必要になることも多い。
【0013】
米国特許出願公開第20040122106A1号明細書によると、平均直径が30μm以下であるマンニトールなどの低成形性糖アルコールの顆粒と、スーパー崩壊剤、例えばクロスポビドンと、1mg/mL以上の水溶解度の活性成分とを含み、水で造粒された口腔内崩壊錠は、頬側口腔内で迅速な崩壊を示す一方、高い機械強度を有する。多くの水溶性活性成分は、苦味が強いため、まったく味マスキングなしでODTに組み込むことはできない。
【0014】
米国特許出願公開第20050232988A1号明細書は、効果的に味マスキングされたマイクロ顆粒を含む、流動および/または圧縮に関連する問題がない、口腔内崩壊錠を調製する方法であって、ラニチジンHClまたはスマトリプタンコハク酸塩など苦味薬物を造粒する工程と、パイロット規模のGMX 25−Glatt GPCG 5システムの中で、中央粒径が約15μmのマンニトールおよびクロスポビドンを含む高剪断造粒物を調製することを含む、中央粒径が約160μmの迅速分散マイクロ顆粒を、エチルセルロースによる溶媒コアセルベーションによりマイクロカプセル化する工程とを含む方法に関するものである。このようにして製造されたODT錠剤は、唾液との接触時に迅速な崩壊を示すだけでなく、ざらつきのある食感も後味も示さない。
【0015】
工業規模の操作(例えば、GMX 600高剪断造粒機−箱形乾燥機(150〜160kg)またはGMX 600流動層乾燥機(Glatt GPCG 200):300〜320kgのバッチサイズ)では、以下の変更が必要でありかつ/または以下の観察がなされた。
・造粒液を増加して使用すると、乾燥前後における湿式造粒物の広範な粉砕および乾燥機の中に充填するための真空トランスファーシステムの包含を必要とし、かつ造粒時間の顕著な増加、したがって、製品コストの顕著な増加をもたらす、より大きな集塊物が得られた。
・乾燥時の過大サイズ集塊物を低減するために湿潤果粒を粉砕するにもかかわらず、この方法により相当量の硬い過大サイズ集塊物が得られた。
・より高い有効収率および製品コストの低減を達成するために、硬い過大サイズ集塊物を激しく乾式粉砕すると、悪い流動性および圧縮性をもたらす鋭い縁を有する不規則形状の果粒が得られた。
・湿式粉砕された湿式造粒物をトレー上で深さ約2インチに均一に広げ、部分的に乾燥した顆粒を粉砕し、次いで1重量%未満の乾燥減量(LOD)になるように乾燥させる工程を必要とするGlatt GPCG 200の代わりに、湿式造粒物を乾燥するための従来型箱形乾燥機を使用すると、製品コストの増加がもたらされた。
・しかしながら、広範な最適化の後、工業規模生産(バッチサイズ:160〜320kg)で製造された迅速分散マイクロ顆粒の性能特性は、単独でまたはマイクロカプセル化されたアセトアミノフェンマイクロ粒子と組み合わせて(すなわち、錠剤の25重量%の薬物負荷で)錠剤化された場合、米国特許出願公開第20030215500号明細書の開示に従って製造されたパイロット/半工業規模の造粒物に類似することが示される。
【0016】
マイクロカプセル化された薬物マイクロ粒子および工業規模の迅速分散マイクロ顆粒を含む、円滑なODT錠剤製造が、他で報告されている(米国特許出願公開第20090092672A1号明細書における、マイクロカプセル化されたラモトリギン微結晶(錠剤重量800mg当たり200mg)を含むODT錠剤を参照のこと);およびマイクロカプセル化されたアセトアミノフェン微結晶(錠剤1400mg当たり500mg);60〜80メッシュ(177〜250μm)の糖スフェア上にジフェンヒドラミンHCl(DPH)を層形成させることにより得られるマイクロカプセル化されたDPHマイクロ粒子(錠剤650mg当たり25mg)が、米国特許出願公開第20090155360号明細書に開示されている;そして味マスキングの2重膜を有するラニチジンHCl微結晶(錠剤1100mg当たり168mg)が米国特許出願公開第20090202630号明細書に開示されている)。しかしながら、味マスキングされたラニチジンHCl微結晶、味マスキングされたアセトアミノフェン微結晶、および味マスキングされたDPH層形成ビーズを含むODT製剤は、円滑な錠剤製造のために、それぞれ錠剤の10重量%、10重量%、および20重量%で、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH101)などの圧縮助剤が組み込まれることを必要とした。
【0017】
さらに、工業規模の迅速分散マイクロ顆粒ならびに中央粒径が約15μmのD−マンニトールと、微粉化テマゼパムと、クロスポビドンとを含む流動層造粒テマゼパムマイクロ顆粒を含むODT錠剤(錠剤500mg当たり30mg)は、工業規模での円滑な錠剤製造のために、低濃度のポリマー結合剤(例えば、1〜2重量%の低粘度ヒドロキシプロピルセルロース)を必要とした(米国特許出願公開第20090169620号明細書を参照のこと)。
【0018】
しかしながら、工業規模の迅速分散マイクロ顆粒と、味マスキングされたアセトアミノフェン−ヒドロコドン酒石酸水素塩マイクロ粒子と組み合わせてマイクロカプセル化されたアセトアミノフェンマイクロ粒子とを含むODT錠剤は、円滑な長時間錠剤化操作のために、材料流動促進剤(例えば、10重量%で噴霧乾燥されたマンニトール、Parteck(登録商標)M 300)だけでなく、微結晶性セルロースなどの圧縮助剤も必要とした。
【0019】
上記で論述された参考文献は、糖アルコール、糖、またはそれらの混合物、およびスーパー崩壊剤を含む、中央粒径が約100〜約300μmの範囲(例えば、約150〜約250μmの範囲、または約200〜約300μmの範囲)にある、自由流動性の迅速分散マイクロ顆粒に関するものではない。さらに、これらの参考文献は、そのような迅速分散マイクロ顆粒が医薬として活性な薬剤をさらに含み、それによって医薬組成物用に提供することが可能であることも、迅速分散マイクロ顆粒が、場合によっては味マスキングされ、かつ/または機能性ポリマーでコーティングされたマイクロ粒子である医薬として活性な薬剤とブレンドして、医薬組成物用に提供するのにも適するであろうことも開示も示唆もしていない。さらに、これらの参考文献は、そのような迅速分散マイクロ顆粒が、ボトルおよび/またはブリスターへの包装、保管、商品流通、ならびに最終使用のための輸送の間、完全な状態を維持するのに十分な高い錠剤硬度および低い摩損度を有するだけでなく、頬側口腔内で唾液と接触すると迅速に崩壊して、ざらつきのない食感を有する、滑らかで飲み込みが容易な懸濁剤を形成するか、または産業界に対するFDAガイダンス(FDA Guidance to Industry)によって口腔内崩壊錠に要求される、崩壊時間に関する米国薬局方メソッド<701>で試験される場合に30秒以内に崩壊する口腔内崩壊錠に圧縮するのに有用であることについて開示も示唆もしていない。さらに、これらの参考文献には、自由流動性でかつ高い有効収率で製造されるそのような迅速分散マイクロ顆粒についても開示されていない。また、これらの参考文献は、そのような迅速分散マイクロ顆粒またはその医薬組成物を経済的に製造する方法に関するものでもない。さらに、これらの参考文献は、活性医薬成分を含むODTとして医薬組成物を提供するための造粒方法を開示も提案もしていない。また、これらの参考文献は、そのような自由流動性の迅速分散マイクロ顆粒またはその医薬組成物を、高い有効収率で経済的に製造する方法に関するものでもない。
【0020】
本出願でのいかなる文献の引用も特定も、そのような文献が本発明に対して従来技術として利用可能であるということを承認するものではない。
【発明の概要】
【0021】
本発明は、一態様では、口腔内崩壊錠の中に組み込まれる少なくとも1つの薬学的に許容される活性成分を含む味マスキングされたマイクロ粒子とブレンドするための迅速分散マイクロ顆粒を含む薬学的に許容される組成物に関する。一実施形態では、錠剤は、水または他の液体を必要とすることなく、哺乳動物の口腔内にて約60秒で、または哺乳動物の口腔内にて約50秒、約40秒、もしくは約30秒で崩壊する。迅速分散マイクロ顆粒組成物は、一実施形態では、0.5〜3.0重量%の低濃度の多機能な活性を有する薬学的に許容される添加剤(例えば、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース等)と組み合わせて、糖アルコール、糖、またはそれらの混合物、スーパー崩壊剤を含む。
【0022】
本発明者らは、少なくとも1つの糖アルコールまたは糖、少なくとも1つのスーパー崩壊剤、および湿式粉砕工程の除去だけでなく広範な乾式粉砕工程の回避も可能にする、低濃度の多機能性を備えた薬学的に許容される添加剤(例えば、結合剤、崩壊剤、希釈剤/増量剤、流動促進剤等として作用するデンプン)を含む迅速分散マイクロ顆粒を開発した。さらに、このような迅速分散マイクロ顆粒は、医薬として活性な薬剤も含むことができ、それによって医薬組成物用に提供することができる、またはこのようにして製造された迅速分散マイクロ顆粒は、場合によっては、味マスキングされかつ/または放出制御コーティングされたマイクロ粒子である医薬として活性な薬剤とブレンドして、医薬組成物用に提供するのにも適している。ここで、治療有効量の活性薬剤は、特別の製造技術、装置、および/または流動促進性の噴霧乾燥された賦形剤(例えば、打錠の間、流動性が悪い圧縮用ブレンドの流動を改善するParteck M 200/M 300)を必要とすることなく、6:1〜1:2の比で圧縮されて口腔内崩壊錠になる。本発明によるこのような迅速分散マイクロ顆粒は自由流動性であり、高い有効収率で製造される。
【0023】
本発明の実施形態の1つは、糖アルコール、糖、それらの混合物、スーパー崩壊剤、および低濃度の多機能性を備えた薬学的に許容される添加剤(例えば、結合剤、崩壊剤、希釈剤/増量剤、流動促進剤等として作用するデンプン)を含む迅速分散マイクロ顆粒を簡単かつ経済的に製造するための造粒方法に関する。
【0024】
本発明の実施形態の1つは、マンニトールなどの糖アルコール、低置換ヒドロキシプロピルセルロースなどのスーパー崩壊剤、およびデンプンなどの多機能性を備えた添加剤を含む迅速分散マイクロ顆粒を製造することであり、これは、PTP(プレススルー包装)またはピールオフペーパーバック(peel−off paper−backed)ブリスターおよびHDPEボトルへの包装、保管、輸送、商品流通、および最終使用の間における摩耗または剥離に耐えるのに十分な機械強度を有し、同時に、一実施形態では、咀嚼することも水または他の液体を必要とすることもなく、滑らかでざらつきのない食感を伴って60秒以内に頬側口腔内で迅速に崩壊することを示す口腔内崩壊錠を製造するのに適している。即時放出型投与剤形の場合には、味マスキングされた薬物粒子が、高コストの効力研究を回避するために、文献記載の薬物(RLD)に生物学的に同等であるように、RLDに類似の迅速溶解プロフィールを示すことがさらに期待される。
【0025】
本発明の別の実施形態は、迅速分散マイクロ顆粒、味マスキングされかつ/または放出制御(CR)コーティングされた薬物粒子、および滑沢剤が、圧縮の前に、または各圧縮の前に打錠機のパンチおよびダイの表面上に滑沢剤が施される外部滑沢法の前に混合される、口腔内崩壊錠を製造する方法を提供することである。外部滑沢法は、錠剤の中への水または唾液のより速い吸収を可能にし、それによって、より短いインビトロまたは頬内の崩壊時間をもたらす。
【0026】
本発明の別の実施形態は、特には苦味のない少なくとも1つの活性医薬成分をさらに含む迅速分散マイクロ顆粒を製造する方法、ならびにPTP(プレススルー包装)またはピールオフペーパーバックブリスターおよびHDPEボトルへの包装、保管、輸送、商品流通、および最終使用の間における摩耗または剥離に耐えるのに十分な機械強度を有する迅速分散マイクロ顆粒を含有する、そのような薬物を含む口腔内崩壊錠を製造する方法を提供することである。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態は、マンニトールなどの糖アルコールまたはラクトースなどの糖、低置換ヒドロキシプロピルセルロースまたはクロスポビドンなどのスーパー崩壊剤、および低濃度の多機能性賦形剤(例えば、乾燥迅速分散マイクロ顆粒の重量基準で、3%以下のデンプンまたは2%以下のヒドロキシプロピルセルロース)を、流動層造粒機の中で造粒し、乾燥顆粒材料(例えば、中央粒径(二次粒子):約100μm〜約300μm)と、効果的に味マスキングされかつ/またはCRコーティングされた薬物粒子、香料、甘味剤、および場合によっては滑沢剤、圧縮助剤、追加の崩壊剤とをブレンドし、そしてロータリー打錠機を使用して、圧縮して口腔内崩壊錠にすることによりそのような錠剤を製造する方法を提供することである。このようにして製造された錠剤は、PTP(プレススルー包装)またはピールオフペーパーバックブリスターおよびボトルへの包装、保管、輸送、商品流通、および最終使用の間における摩耗または剥離に耐えるのに十分な機械強度を有する。あるいは、乾燥顆粒材料を、薬理学的に活性な成分、香料、および甘味剤を含有するコーティングされたマイクロ粒子と単にブレンドし、錠剤の圧縮および排出を容易にするためにパンチおよびダイの表面上に滑沢剤の薄膜を施すための付属品を装備したロータリー打錠機を使用して、圧縮して錠剤にする。
【0028】
本発明のさらに別の態様は、ポリマーによる味マスキングを必要としない薬理学的に活性な成分を、流動層造粒物の中に組み込むことにより、迅速崩壊剤を計画的に提供することである。
【0029】
本発明のさらに別の態様は、嚥下障害により従来の錠剤/カプセル剤を飲み込むことが困難であるとわかる高齢者および被験体、通常の錠剤/カプセル剤を飲み込む意思のない小児、水または他の飲料を容易に摂取できない「活動的な人々」および偏頭痛、重症糖尿病、または心臓症状に罹患した被験体に対して、水なしで経口投与することを目的とする、迅速分散マイクロ顆粒および味マスキングされ、かつ/または放出制御コーティングされた薬物粒子を含む口腔内崩壊錠を提供することである。
【0030】
本発明で使用することができる活性医薬成分は、これらのクラスに限定されないが、経口投与のために処方される、解熱剤、鎮痛剤、抗炎症剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、抗不安剤、抗偏頭痛剤、制吐剤、骨格筋弛緩剤、平滑筋弛緩剤、抗血小板剤、抗うつ剤、心血管作動剤(例えば、不整脈治療剤、抗高血圧剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、β−遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、および利尿剤)、覚醒剤/抗不安剤、オピオイド、抗精神病剤、抗アルツハイマー薬、抗アレルギー剤、糖尿病、胃腸障害、関節リウマチを治療するために指示される薬物のクラスに属する任意の活性成分である。糖アルコールは、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール等からなる群から選択される。糖は、ラクトース、スクロース、フルクトース等からなる群から選択される。スーパー崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等からなる群から選択され、一方、多機能性を備えた添加剤は、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース等からなる群から選択される。
【0031】
本開示および具体的には特許請求の範囲および/または項目では、「含む(comprises)」、「含まれる(comprised)」、「含んでいる(comprising)」などの用語は、米国特許法でそれに帰属されているとの意味を有することができ、例えば、それらは「含む(includes)」、「含まれる(included)」、「含んでいる(including)」等を意味することができること、ならびに「本質的にそれからなっている(consisting essentially of)」及び「本質的にそれからなる(consists essentially of)」などの用語は、米国特許法でそれらに帰属されているとの意味を有し、例えば、それらは明示的に引用されていない要素を許容するが、従来技術で見られる要素、または本発明の基本的もしくは新規な特性に影響を及ぼす要素を排除することに留意されたい。
【0032】
これらおよび他の実施形態は開示されるか、または以下の詳細な説明から明白でありかつそれらに包含される。
【0033】
以下の詳細な説明は、例として提供するものであって、記載の具体的な実施形態にのみ本発明を限定するように意図するものではないが、次の添付図と併せると最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、米国特許出願公開第20050232988A1号明細書の開示に従って調製された迅速分散マイクロ顆粒に対する、本発明の特定の実施形態に従って調製された、多機能性添加剤としてヒドロキシプロピルセルロースをマイクロ顆粒の0.5、1.0、1.5、および2.5重量%の含量で含む迅速分散マイクロ顆粒組成物の粒径分布を示すグラフである。
図2図2は、米国特許出願公開第20050232988A1号明細書の開示に従って調製された迅速分散マイクロ顆粒に対する、本発明の特定の実施形態に従って調製された、多機能性添加剤としてアルファ化デンプンをマイクロ顆粒の0.5、1.0、1.5、および2.5重量%の含量で含む迅速分散マイクロ顆粒組成物の粒径分布を示すグラフである。
図3図3は、米国特許出願公開第20050232988A1号明細書の開示に従って調製された口腔内崩壊錠の摩損度に対する、本発明の特定の実施形態に従って調製された迅速分散マイクロ顆粒組成物の中に多機能性添加剤として組み込まれたアルファ化デンプンの効果を示すグラフである。
図4図4は、米国特許出願公開第20050232988A1号明細書の開示に従って調製された口腔内崩壊錠の硬度に対する、本発明の特定の実施形態に従って調製された迅速分散マイクロ顆粒組成物の中に多機能性添加剤として組み込まれたアルファ化デンプンの効果を示すグラフである。
図5図5は、商用Fluid Air FA 300で調製された、多機能性添加剤のアルファ化デンプンをマイクロ顆粒の2.0重量%の含量で含む迅速分散マイクロ顆粒組成物の粒径分布を示すグラフである。
図6図6は、商用Glatt GPCG 120で調製された、多機能性添加剤のアルファ化デンプンをマイクロ顆粒の2.0重量%(バッチA〜D)および2.5重量%(バッチE)の含量で含む迅速分散マイクロ顆粒の粒径分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
薬学的に許容される、「迅速分散マイクロ顆粒」または「迅速分散マイクロ顆粒組成物」は、少なくとも1つの糖アルコールまたは糖、少なくとも1つのスーパー崩壊剤、および低濃度の少なくとも1つの薬学的に許容される多機能性を備えた添加剤(例えば、結合剤、崩壊剤、希釈剤/増量剤、流動促進剤等として作用するデンプン)を含む。本発明の実施形態の1つは、糖アルコール、糖、それらの混合物、スーパー崩壊剤、および多機能性添加剤を、約88〜98(糖アルコール):1〜10(崩壊剤):1〜3(多機能性添加剤)の比で含む迅速分散マイクロ顆粒を製造するための造粒方法に関する。このようにして製造された迅速マイクロ顆粒組成物は、味マスキングされかつ/または放出制御された治療有効量のマイクロ粒子と、6:1〜1:2の比でブレンドして、圧縮して口腔内崩壊錠にするのに適している。
【0036】
本発明の実施形態の1つに従って製造された錠剤は、水または他の飲料を必要とすることなく、一実施形態では60秒以内に、哺乳動物の頬側口腔で迅速に崩壊することを示す。すなわち、錠剤は、唾液と共に容易に飲み込めるように頬側口腔内の唾液中で崩壊する。別の実施形態では、本発明に従って製造された錠剤は、10秒以内、20秒以内、30秒以内、40秒以内、50秒以内、または60秒以内に哺乳動物の頬側口腔内で崩壊する。水または他の飲料を必要とすることなく崩壊は起こる。
【0037】
したがって、本発明の実施形態の1つに従って製造された口腔内崩壊錠は、<701> 崩壊試験法により試験される場合、30秒以下の崩壊時間基準を満たす(参照によって本明細書に組み込まれる、産業界に対するガイダンスを参照のこと)。さらに、本発明の実施形態の1つにより製造された迅速分散マイクロ顆粒を含む口腔内崩壊錠は、ブリスターおよびボトルの中への包装、保管、商品流通のための輸送、および最終使用の間における摩耗/剥離に耐えるのに十分な機械強度を有する。
【0038】
一般に、用語「第1粒子または一次粒子」は、原材料の粉砕/篩別により得られた糖アルコールまたは糖の粒子を指す。用語「二次粒子」は、活性成分の存在下または非存在下における、糖アルコールまたは糖、崩壊剤、および多機能性添加剤の混合物の造粒物である、顆粒材料の粒子を指す。例えば、結晶性マンニトールは、中央粒径が約60μm(0.66g/mLのかさ密度、0.85g/mLのタップ密度、および22.4%の圧縮率を有するPearlitol(登録商標)60として)、約35μm(0.55g/mLのかさ密度、0.78g/mLのタップ密度、および29.5%の圧縮率を有するPearlitol(登録商標)35として)、および15〜25μm(0.49g/mLのかさ密度、0.74g/mLのタップ密度、および33.8%の圧縮率を有するPearlitol(登録商標)25として)のものが市販されている。低置換ヒドロキシプロピルセルロースであるL−HPC(MS−0.2−0.4)は、水中で膨潤し不溶性である。L−HPCは、結合剤になりうるが、固形薬物ではスーパー崩壊剤として使用される。微粒子化L−HPCは、L−HPC LH−31(10.0〜12.9%のヒドロキシプロピル含量)およびL−HPC LH−32(7.0〜9.9%のヒドロキシプロピル含量)として信越化学工業株式会社から市販されている。
【0039】
用語「多機能性を備えた添加剤」または「多機能性添加剤」は、多機能な活性を有する薬学的に許容される賦形剤を指す。例えば、デンプンは、結合剤、崩壊剤、希釈剤/増量剤、流動促進剤等として作用することができる。デンプンは、錠剤造粒物中5〜25%w/w濃度で結合剤として広く使用される。アルファ化デンプンは、流動的かつ直接圧縮可能にするために、化学的および/または機械的に処理されたデンプンである。ヒドロキシプロピルセルロース(MS=3のHPC)は、結合剤、粘稠もしくは粘度増加剤、またはコーティング剤として使用される。2〜6%w/w濃度のHPCは、典型的には、湿式および乾式造粒法または直接圧縮打錠法のいずれかにおいて、結合剤として使用される。
【0040】
用語「自由流動性」は、迅速分散マイクロ顆粒に関する場合、塊または凝集物を形成することなく、進行可能なまたは実質的に妨害されずに移動可能なマイクロ顆粒を指す。
【0041】
用語「高い有効収率」は、約70重量%超、より具体的には約80重量%超、さらに一層具体的には約90重量%超の収率、または本明細書に提示の実施例に示されるような収率を指す。
【0042】
本発明の実施形態の1つは、糖アルコール(例えば、平均粒径が60μm以下、もしくは50μm以下、もしくは40μm以下、もしくは30μm以下のマンニトール)または糖(例えば、平均粒径が100μm以下、もしくは90μm以下、もしくは80μm以下、もしくは70μm以下のラクトース一水和物)を迅速分散マイクロ顆粒の約88〜98重量%の量で、スーパー崩壊剤を約10〜1重量%の量で、多機能性を備えた薬学的に許容される添加剤(例えば、崩壊剤、結合剤、もしくは希釈剤として作用する)を約1〜3重量%の量で含む、平均粒径が約100〜300μmの範囲内にある(例えば、流動層造粒によって)迅速分散マイクロ顆粒を製造する方法に関する。
【0043】
本発明の別の実施形態は、迅速分散マイクロ顆粒組成物、少なくとも1つの活性医薬成分が味マスキングされかつ/または機能性ポリマーコーティングされたマイクロ粒子を約6:1〜約1:2の比で含む口腔内崩壊錠を製造する方法にさらに関する。
【0044】
迅速分散マイクロ顆粒、味マスキングされかつ/または機能性ポリマーコーティングされた薬物マイクロ粒子、ならびに場合によっては、追加の崩壊剤、圧縮助剤、香料、甘味剤、および着色剤を含む粉末混合物を、各圧縮前にステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤により、材料に接触するパンチ表面およびダイ壁を滑らかにするための外部滑沢装置を装備したロータリー打錠機を使用して圧縮することをさらに含む、口腔内崩壊錠を製造する、本発明の実施形態の1つに従う方法。
【0045】
米国薬局方メソッド<701>による崩壊時間に関する試験が行われた場合に、哺乳動物の頬側口腔内で唾液と接触すると60秒以内または30秒以内に崩壊する口腔内崩壊錠を製造する、本発明の実施形態の1つに従う方法。別の実施形態では、本発明に従って製造された錠剤は、10秒以内、20秒以内、30秒以内、40秒以内、50秒以内、または60秒以内に哺乳動物の頬側口腔内で崩壊する。水または他の飲料を必要とすることなく崩壊は起こる。
【0046】
口腔内崩壊錠を製造する、本発明の実施形態の1つに従う方法であって、
1.それぞれ(一次粒子)である糖アルコールまたは糖、スーパー崩壊剤、および多機能性添加剤を含む混合物を水と共に流動層造粒機の中で造粒し、湿式造粒物の粉砕および乾燥顆粒の広範な粉砕を必要とすることなく、ソニックシフターまたはレーザー粒子アナライザーを使用して測定する場合に中央粒径が約150〜約300μmの迅速分散マイクロ顆粒を製造する工程と、
2.このようにして製造された迅速分散マイクロ顆粒を、味マスキングされかつ/または機能性ポリマーでコーティングされた薬物マイクロ粒子、および任意選択の賦形剤(例えば、香料、甘味剤、追加の崩壊剤、圧縮助剤、およびナトリウムステアリルフマラートなどの滑沢剤)と混合する工程と、
3.この圧縮用混合物をロータリー打錠機上で比較的低圧力で圧縮して、口腔内崩壊錠にする工程であって、このようにして製造された錠剤がPTP(プレススルー包装)またはピールオフペーパーバックブリスターおよびボトルへの包装、保管、輸送、商品流通、および最終使用の間における摩耗または剥離に耐えるのに十分な機械強度を有するだけでなく、咀嚼することも水または他の飲用に適する液体の補助を受けることもなく、例えば60秒以内に頬側口腔内で迅速に崩壊する工程と
を含む方法。別の実施形態では、本発明に従って製造された錠剤は、10秒以内、20秒以内、30秒以内、40秒以内、50秒以内、または60秒以内に哺乳動物の頬側口腔内で崩壊する。水または他の飲料を必要性とすることなく崩壊は起こる。
【0047】
あるいは、上で製造された非滑沢性圧縮用混合物は、錠剤圧縮および排出を容易にするために、打錠機のパンチおよびダイの材料接触面上に滑沢剤を噴霧することにより、ロータリー打錠機上で圧縮して口腔内崩壊錠にすることができる。医薬活性成分に特に苦味がない場合、すなわち、薬物の味をマスキングするために、ポリマー、蝋様材料、またはイオン交換樹脂により味マスキングする必要がない場合、薬物含有マイクロ顆粒は、糖アルコールまたは糖を薬物含有マイクロ顆粒の総重量の約60%w/w〜96%w/wの量で、スーパー崩壊剤を約1%w/w〜10%w/wの量で、添加剤を約1%w/w〜3%w/wの量で、そして薬物を約0.1%w/w〜30%w/wの量で含む粉末混合物を造粒することにより、本発明の特定の実施形態に従って工業規模で製造することができる。これらの薬物含有マイクロ顆粒は、場合によっては、必要量の迅速分散マイクロ顆粒および他の賦形剤(例えば、香料、甘味剤、着色剤、圧縮助剤、追加の崩壊剤等)とブレンドして、圧縮して内部滑沢または外部滑沢を有する口腔内崩壊錠にする。
【0048】
本発明の種々の実施形態で許容されるさらなる変形形態は、糖アルコールまたは糖、スーパー崩壊剤、多機能性添加剤、およびポリマーによる味マスキングを必要としない活性医薬成分を含む粉末混合物を造粒する工程と、迅速分散マイクロ顆粒を他の医薬賦形剤(例えば、香料、甘味剤、着色剤、圧縮助剤、追加の崩壊剤等)とブレンドする工程と、圧縮して内部滑沢または外部滑沢を有する口腔内崩壊錠にする工程とを含む。
【0049】
口腔内崩壊錠で使用するのに適した活性医薬成分としては、これらに限定されないが、経口投与に対して承認されたかまたは承認されうる薬理学的に活性な成分の以下のクラスを挙げることができる−中枢神経系に対する薬物(アンフェタミン、メチルフェニデートなどの刺激薬);シタロプラム、セルトラリン、フルオキセチンなどの抗うつ剤;オンダンセトロン、パロノセトロンなどの鎮吐剤;心血管作動剤(アテノロール、ピンドロール、ソタロールなどの不整脈治療剤;トドラジン(todrazine)、ニカルジピン、グアンファシンなどの血圧降下剤;イナラプリル(inalapril)、カプトプリルなどのACE阻害剤;バルサルタン、エプロサルタンなどのアンジオテンシンII受容体拮抗剤;メトプロロール、カルベジロールなどのβ−遮断剤;アムロジピン、ニフェジピン、ベラパミルなどのカルシウムチャネル遮断剤;フロセミド、ヒドロクロロチアジドなどの利尿剤);覚醒剤/抗不安剤(例えば、バルプロ酸ナトリウム、ニトラゼパム、フェニトイン);鎮静剤(例えば、クロナゼパ(clonazepa)、テマゼパム、ゾルピデム、ジフェンヒドラミン);抗てんかん剤(バルプロ酸ナトリウム、ニトラゼパム、フェニトイン、ラモトリギン);鎮痛剤/解熱剤(例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、メロキシカム、インドメタシン);関節リウマチに対する薬物;スマトリプタン、ゾルミトリプタンなどの抗偏頭痛剤;モルヒネ、フェンタニル、オキシコドンなどのオピオイド;パーキンソン病に対する薬物(例えば、カルビドパ−レボドパ、アマンタジン、ヒヨスチアミン、プラミペキソール、セレゲリン(selegeline)、ロピニロール);抗精神病剤(例えば、クロザピン、パリペリドン、アミトリプチリン、トロピセトロン);血小板凝集阻害薬(例えば、クロピドグレル、プラスグレル、チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール);骨格筋弛緩剤(例えば、シクロベンザプリン、クロニジン、バクロフェン、チズニジン(tiznidine)、ヒヨスチアミン);抗アルツハイマー薬(例えば、ドネザピル(donezapil)、ガランタミン);鎮痙剤(例えば、ジサイクロミン);プロトンポンプ阻害剤/ヒスタミンH拮抗剤(例えば、パントプラゾール、ランソプラゾール、ファモチジン);胃腸障害を治療する薬物(胃不全麻痺、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、便秘、下痢、例えば、メトクロプラミド、シサプリド、ドンペリドン、アミノサリチル酸、テガセロッド、メトロニダゾール、コルチコステロイド);抗糖尿病剤(例えば、グリメピリド(glimeperide)、グリピジド、メトホルミン、トルブタミド);抗アレルギー剤(例えば、セチリジン、ロラチジン(loratidine));抗生物質(例えば、パラモマイシン(paramomycin)、アモキシシリン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、セファレキシン、ミノサイクリン)。
【0050】
それぞれ(一次粒子)である平均粒径が約60μm以下である糖アルコールまたは糖は、パイロット/工業規模で迅速分散マイクロ顆粒の調製に使用され、製剤での使用量は、迅速分散マイクロ顆粒の約88〜約98重量%の範囲で変動する。粒子直径がより大きい場合には、糖アルコールまたは糖はジェットミル等を使用して粉砕される。糖アルコールは、一実施形態では、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、イソマルト、エリトリトール、ラクチトール等から選択される。糖は、一実施形態では、ラクトース、スクロース、デキストロース、フルクトース、マルトース等から選択される。迅速分散マイクロ顆粒の中への組み込みに適した多機能性添加剤としては、デンプンおよび種々の化学的および機械的に処理されたデンプン(例えば、アルファ化デンプン、マルトデキストリン)、ならびにヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0051】
頬内迅速崩壊錠の中への組み込みに適した崩壊剤としては、架橋ポリビニルピロリドン(Polyplasdoneまたはクロスポビドンと呼ばれる)、架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウムと呼ばれる)、デンプングリコール酸ナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられ、これらは医薬品および食品産業で広く使用されている。一実施形態では、迅速分散マイクロ顆粒の中で使用される崩壊剤の量は、迅速分散マイクロ顆粒の約1重量%〜約10重量%の範囲で変動する。別の実施形態では、迅速分散マイクロ顆粒の中で使用される崩壊剤の量は、迅速分散マイクロ顆粒の約2重量%〜約8重量%の範囲、または迅速分散マイクロ顆粒の約3重量%〜約7重量%の範囲、または迅速分散マイクロ顆粒の約4重量%〜約6重量%の範囲で変動する。
【0052】
従来の錠剤では、クロスポビドンまたはデンプンなどの崩壊剤は、米国薬局方メソッド<701>により試験される場合に5分以内の崩壊時間を達成するために、錠剤の約25重量%以内の濃度で使用される。そのような錠剤は、頬側口腔内での崩壊には一般に適していない。
【0053】
一実施形態では、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、ナトリウムステアリルフマラート、ベヘン酸グリセリル等の滑沢剤は、顆粒を滑らかにするために使用されるか、または錠剤を圧縮するために使用されるロータリー打錠機のダイおよびパンチの材料接触表面上に外部的に塗布される。
【0054】
本発明の実施形態によるODT錠剤は、糖アルコールまたは糖、多機能性を備えた薬学的に許容される添加剤、およびスーパー崩壊剤を含む粉末混合物を、水、アセトン、エタノール、イソプロパノール、またはそれらの混合物と共に造粒し、味マスキングまたは放出制御特性を付与するために、1つまたは複数の機能性ポリマー、疎水性ワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル、およびそれらの混合物でコーティングされた薬物マイクロ粒子および任意選択のODT賦形剤(例えば、香料、甘味剤、崩壊剤、着色剤、圧縮助剤)とブレンドした後、内部的または外部的に塗布された滑沢剤と共にロータリー打錠機を使用して、圧縮して錠剤にすることにより得ることができる。あるいは、ODT錠剤は、各一次粒子の平均粒径が約60μm以下である糖アルコールまたは糖、1つまたは複数の機能性ポリマー、疎水性ワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル、およびそれらの混合物による味マスキングを必要としない薬学的に許容される活性成分、およびスーパー崩壊剤を、多機能性を備えた添加剤の溶液を使用して、本発明の方法に従って造粒する工程と、迅速分散/溶解薬物含有マイクロ顆粒、任意選択のODT賦形剤、および追加の迅速分散マイクロ顆粒を含む粉末混合物を圧縮して、哺乳動物の頬側口腔内で唾液と接触すると迅速に崩壊して後味のない、滑らかで飲み込みが容易な懸濁液を形成するか、または米国薬局方崩壊時間試験法<701>により試験される場合に30秒以内に崩壊するODT錠剤にする工程とによって工業規模で製造することができる。
【0055】
造粒法は限定されない;しかしながら、精製水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、またはそれらの混合物の中に溶解した添加剤の溶液を使用する流動層造粒法が、具体的な実施形態である。本発明の実施形態の1つによると、例えば、造粒は、Glatt GPCG 5、GPCG 120、またはWSG造粒機もしくはFluid Air FA0300などの上部噴霧式流動層造粒機の中で粉末混合物上に添加剤溶液を噴霧し、同じ流動層乾燥機の中で造粒物を乾燥することにより行なうことができる。このようにして製造された乾燥顆粒材料を、適切な篩を通して篩別し、微粉を廃棄して、場合によっては過大サイズ顆粒を粉砕/再篩別して所望の粒径分布を有する迅速分散マイクロ顆粒を回収する。本発明の実施形態の1つによる、流動層造粒機におけるアルファ化デンプンの水溶液を使用するマンニトールおよび低置換ヒドロキシプロピルセルロースの流動層造粒は、限定的な粉砕工程で行われ、全造粒物の90重量%以上が約400μm以下の粒径分布を有する使用可能な迅速分散マイクロ顆粒の全収率が得られる。さらに、400μm以下の粒径分布を有する使用可能な迅速分散マイクロ顆粒を製造するために必要とされる粉砕工程、すなわち、湿式造粒物の粉砕、部分乾式造粒物の粉砕、および篩別された過大サイズ果粒の粉砕の数は、0回、または最悪の場合でも典型的には全理論バッチサイズの5重量%未満である篩別された過大サイズ果粒の1回の粉砕に低減される。迅速分散マイクロ顆粒は、一実施形態では、コーティングされた薬物マイクロ粒子(例えば、効果的に味マスキングされかつ/または放出制御(CR)コーティングされた、すなわち、所望のインビトロ/インビボの薬物放出特性を付与する1つまたは複数の機能性ポリマーでコーティングされた薬物コア)および場合によっては香料、甘味剤、着色剤、追加の崩壊剤、および圧縮助剤と混合され、その後、所定形状に圧縮されて、頬側口腔内で迅速に、例えば60秒以内に崩壊を示す口腔内崩壊錠になる。
【0056】
味マスキングおよび/または放出制御特性を付与するために1つまたは複数の機能性ポリマーでコーティングされた薬物マイクロ粒子は、約100μm〜約400μm(または約200μm〜約400μm、または約300μm〜約400μm、または約100μm〜約350μm)の範囲の中央粒径とすべきであり、かつマイクロ粒子の90%以上は、ヒト被験体の口腔内に置かれたときに滑らかでざらつきのない食感を受けるように、口腔内崩壊錠の中にそれらを組み込むために約600μmより小さくすべきである。このような味マスキングされかつ/またはCRコーティングされた薬物マイクロ粒子は、以下の開示に従って調製することができる:米国特許第6,500,454B1号明細書;米国特許第6,627,223B1号明細書;米国特許第6,663,888B1号明細書;米国特許出願公開第20050232988A1号明細書;米国特許出願公開第20060078614A1号明細書;米国特許出願公開第20060105039A1号明細書;米国特許出願公開第20060105038A1号明細書;米国特許出願公開第20070196491A1号明細書;米国特許出願公開第20070190145A1号明細書;米国特許出願公開第20080069878A1号明細書;米国特出願公開許第20090092672A1号明細書;米国特許出願公開第20090155360A1号明細書、米国特許出願公開第20090169620A1号明細書、米国特許出願公開第20090202630A1号明細書;米国特許出願公開第20090232885A1号明細書;米国特許出願公開第20090258066A1号明細書;米国特許出願公開第20100025083A1号明細書;米国特許出願公開第20100025067A1号明細書;米国特許出願第12/639,496号明細書;米国特許出願第12/688,493号明細書;米国特許出願第12/772,770号明細書;および/または米国特許出願第12/772,776号明細書。
【0057】
本発明のこのような口腔内崩壊錠は、圧縮前に圧縮用混合物を滑沢剤とさらに混合する内部滑沢法により製造することができる。あるいは、それは、滑沢剤が錠剤製剤に含まれるのではなく、ロータリー打錠機のパンチおよびダイの材料接触面上に外部的に塗布される外部滑沢法によっても製造することができる。
【0058】
ここで、以下の非限定実施例によりさらに詳細に本発明を説明する。
【0059】
以下の実施例は、米国特許出願公開第20030215500号明細書および/または米国特許出願公開第20050232988号明細書で実行されたように製造されたものと比較した、本発明に従って製造された、迅速分散(RD)マイクロ顆粒ならびにこれらのマイクロ顆粒、味マスキングされかつ/またはCRコーティングされた薬物マイクロ粒子、および場合によっては他の賦形剤を含む口腔内崩壊錠の比較例を提供する。あるいは、米国特許出願公開第20030215500号明細書および/または米国特許出願公開第20050232988号明細書で実行されたように製造されたものと比較した、本発明の方法に従って多機能性を備えた添加剤の溶液を使用する、各一次粒子の平均粒径が約60μm以下である糖アルコールまたは糖、味マスキングを必要としない薬学的に許容される活性成分、およびスーパー崩壊剤を含む迅速分散薬物含有マイクロ顆粒、ならびに本発明に従って製造された、これらの薬物含有マイクロ顆粒、迅速分散マイクロ顆粒、および他のODT賦形剤を含む口腔内崩壊錠の比較例もまた提供する。
【実施例】
【0060】
以下の実施例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、上記に記載の実施形態と同様に、例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでは決してないことに留意されたい。
【0061】
比較例1.A:Kogyo FS−200−Sangyo FLO−120におけるSolblet果粒
中央粒径が約15μmのD−マンニトール(38kg)およびクロスポビドン(2kg)を30メッシュスクリーンにより篩別して集塊物を除去した後、Kogyo FS−200造粒機の中に充填して、20重量%の精製水と共に造粒する。同じ条件下で行なわれた2つのバッチからの造粒物を流動層乾燥機Sangyo FLO−120の中で入口温度90℃、流動化空気体積100cfmにて乾燥し、1重量%未満のLODを得る。乾燥果粒を篩別して、もしあれば過大サイズ顆粒を廃棄する。
【0062】
比較例1.B:GMX 600−Glatt 200における迅速分散マイクロ顆粒
例えば、D−マンニトール(Roquette製の中央粒径が約15μmのマンニトール25を152kg)およびクロスポビドン(ISP製のPolyplasdone XL−10を8kg)を30メッシュスクリーンにより篩別して集塊物を除去した後、Vector Corporation製の高剪断造粒機GMX 600に充填して、精製水(38kg)と共に造粒する。同じ条件下で行なわれた2つのバッチからの造粒物を、Comil(登録商標)(湿式粉砕)を介して流動層乾燥機Glatt GPCG 200の中に真空トランスファーして、流動化空気体積の下、入口温度90℃で乾燥して、1重量%未満のLODを得る。乾燥果粒を、Kason sieverで20メッシュスクリーンに通して篩別し、Comilを使用して過大サイズ顆粒を粉砕し、再篩別して所望の粒径分布を有するマイクロ顆粒を回収する。
【0063】
表1に、米国特許出願公開第20030215500A1号明細書および/または米国特許出願公開第20050232988A1号明細書における開示に従って、KyowaおよびEurandで迅速分散(RD)マイクロ顆粒を製造するために使用したプロセスパラメーターを示す。
【0064】
比較例1.C:Glatt GPCG 5における迅速分散マイクロ顆粒
上部噴霧式造粒機ボウル、1.2mmのノズル(空気キャップも備えたノズルチップ)、および精製水を100mL/分で送達するために設置されたペリスタル型ポンプを装備したGlatt GPCG 5に、各粒子の平均粒径が30μm以下であるD−マンニトール6650g、およびクロスポビドン(Polyplasdone XL−10)350gを充填し、以下の条件下で精製水と共に造粒する。
【0065】
予熱条件:入口空気フラップ設定−50%;入口空気量−300CFM;入口空気温度−100℃;最終出口温度−70℃。造粒条件:入口空気フラップ設定−37%;入口空気量−135〜150CFM;入口空気温度−60℃;生成物温度−30±0.5℃;霧化空気圧力−1.0バール;溶液噴霧速度−100mL/分。乾燥条件:入口空気フラップ設定−38%;入口空気量−155CFM;入口空気温度−100℃;最終出口温度−43℃。
【0066】
Compu−Trac湿度計を使用して測定した場合に、85℃で0.56%のLODになるようにGlatt乾燥機の中で造粒物を乾燥するが、有効収率は極めて低い(70重量%未満)。篩分け分析は、ATMソニックシフターを使用して行なわれる(強度設定8および時間:4分で試料10g)。かさ密度およびタップ密度を測定して、米国薬局方の方法論に従って圧縮率パーセントを計算する。
【0067】
比較例1.D:Glatt GPCG 120におけるRDマイクロ顆粒
上部噴霧式造粒機ボウル、3ヘッドの上部噴霧ガン(3つの1.8mmノズル)、および3ヘッドの単一ガンに精製水を2000mL/分で送達するために設置された3つのペリスタル型ポンプを装備したGlatt GPCG 120に、D−マンニトール152kg(各粒子の平均粒径は30μm以下)、およびクロスポビドン(Polyplasdone XL−10)8kgを充填し、以下の条件下で精製水と共に造粒する。
【0068】
予熱条件:入口空気量−2500CFM;入口空気温度−100℃;最終出口温度−60℃超。造粒条件:入口空気量−2000CFM;入口空気温度−95℃;生成物温度−31.5±0.5℃;霧化空気圧力−1.0バール;溶液噴霧速度−2000mL/分。乾燥条件:入口空気量−1500CFM;入口空気温度−100℃;最終出口温度−45℃超。
【0069】
乾燥造粒物は、Kason sieverを使用して、20メッシュ篩に通す。生成物ボウルの壁に貼り付いた多数の造粒物を掻き取って、記録するが、結果として収率は極めて低い(70重量%未満)。篩分け分析はATMソニックシフターを使用して行なわれる(粒径、かさ密度およびタップ密度の結果については表1を参照のこと)。
【0070】
比較例1.E:Glatt GPCG 120におけるポビドン含有RDマイクロ顆粒
ポビドン(K−30;4.32kg)を、ステンレス鋼容器の中で常時撹拌しながら、精製水に徐々に加えて溶解させる。D−マンニトール(中央粒径:30μm未満)150kgおよび クロスポビドン(XL−10)8.65kgの混合物を、Glatt GPCG 120の中で、以下の条件下で造粒する:造粒条件:入口空気量−2000CFM;入口空気温度−95℃;生成物温度−32±0.5℃;霧化空気圧力−1.0バール;溶液噴霧速度−2000mL/分。生成物ボウルの内壁は、壁に貼り付いた造粒物についてかなりきれいであり、この反映として、95重量%超の%有効収率が得られる。
【0071】
実施例1.F:アセトアミノフェンのマイクロカプセル化
Covidien製のアセトアミノフェンUSP(顆粒グレード;粒径:45〜80メッシュまたは177〜350μm)を、この工程のためにコンピュータ化されたレシピを使用して、工業規模の500ガロンまたは1000ガロンのシステムで溶媒コアセルベーションを行うことにより、エチルセルロース(Dow Chemical製のEthocel Standard Premium 100)で味マスキングする。エチルセルロースを溶解させるために80℃に制御しながら加熱し、30℃未満に制御しながら冷却すると同時に、マイクロカプセル層を真空濾過に供し、シクロヘキサンですすいで残留ポリエチレンを洗い流す。マイクロカプセルを流動層乾燥機に移して乾燥手順に供し、4〜6時間乾燥して、シクロヘキサン濃度を1000ppm以下に低減する。
【0072】
実施例1.G:口腔内崩壊錠
アスパルテーム(0.67kgまたは錠剤の0.45重量%)、S.D.Grape香料(0.83kgまたは0.55%)、およびクロスポビドンXL−10(10.5kgまたは7%)を、2立方フィートのV−ブレンダーの中で10分間ブレンドし、20メッシュスクリーンを装備したComil(登録商標)に1400rpmで通す。必要量のアセトアミノフェンマイクロカプセル(41.17kgまたは27.45%)、迅速分散(RD)マイクロ顆粒(96.82kgまたは64.55%)、およびプレブレンドを、確立された手順どおりに、10立方フィートのブレンダーの中でブレンドする。次いで、Hata打錠機−Matsui Exlubシステムを25rpmおよび2.34ボルトの平均ステアリン酸マグネシウム流動(1分当たり5gの流速と同等)で使用して、これらの圧縮用混合物を圧縮して重量が約620mgの160mgODT錠剤にする。各ロットの錠剤は、14、18、20、22、25、および30kNの圧縮力で約30分間製造する。より長い打錠動作(4時間以内)も、21〜22kNの圧縮力で行い、錠剤重量および硬度の経時変化を評価する。1つの同等圧縮力での打錠特性を表2に示し、より詳細には表3に示す。Hata打錠機−Matsui Exlubシステムを使用して圧縮された、パイロット規模、半工業規模、および工業規模の迅速分散マイクロ顆粒を含むプラセボODT錠剤は、同等の打錠特性を示す。
【0073】
RDマイクロ顆粒の物理特性および打錠特性
・粒径分布は、GMX−Glatt造粒物、結合剤存在下および非存在下の流動層(FB)造粒物の間で、また半工業規模のKyowa Solbletおよび工業規模のGMX−Glatt 200造粒物の間で顕著に変動する。
・GMX−Glatt造粒物のかさ密度および形状は、Kyowa Solblet造粒物に類似している。
・粒子形状、粒径分布、および/または圧縮率の差にもかかわらず、圧縮パラメーターの調整を必要とする、アセトアミノフェンODT(処方1〜5)の打錠動作の間に、流動に関連する問題には遭遇しない。
・充填重量の変動は、1%未満のRSDで厳格に維持される。
・錠剤硬度の変動は、10%未満のRSDで厳格に維持される。
・いずれの造粒物を含有する圧縮用混合物も、それがKyowa SolbletもしくはGMX−Glatt造粒物か否か、または粉砕された過大サイズ材料が、篩別された果粒とブレンドされたか否かにかかわらず、類似の打錠特性、すなわち錠剤重量変動、厚さおよび硬度を示した。
・18〜30kNの圧縮力範囲では、錠剤摩損度の値は、統計的に差がない(表3を参照のこと)。
・流動層造粒物(結合剤なし)は、GMX−Glattのロットよりも若干低い硬度値を示す。しかしながら、流動層マイクロ顆粒の最大の欠点は、生成物ボウル面にマンニトール粉末が貼り付くことによる広範な材料損失であり、それによって極めて低い全有効収率が得られる。
・長い打錠動作の錠剤は、同様の崩壊時間(範囲:25〜38秒)−処方1(Kyowa Solblet果粒)に対して32秒、処方2に対して38秒、処方3に対して32秒、および処方4(流動層)に対して25秒を示す。
・結合剤含有流動層造粒物は、同等の圧縮力での他の結合剤非含有ロットよりも高い錠剤硬度値を示す(表2〜3を参照のこと)。さらに、結合剤含有流動層マイクロ顆粒の最大の欠点は、ODT錠剤が顕著にかつ容認できないほど長い崩壊時間を示すことである。したがって、規定上かつ/または財政上の考察から、流動層処理は両方とも、工業規模での迅速分散マイクロ顆粒の製造には適さないと考えられ、それによって未だ対処されていない必要性が生じる。
【0074】
比較例2.A − ラモトリギンODT、25、50、100、および200mg
米国特許出願公開第20090092672A1号明細書は、迅速分散マイクロ顆粒(実施例1.F)および味マスキングされたラモトリギン結晶を含む口腔内崩壊錠を工業規模で製造する方法について教示する。500ガロンの溶媒コアセルベーションシステム(326ガロンまたは1234Lのシクロヘキサン)に、ラモトリギン微結晶(78.3kg)、エチルセルロース(Ethocel 100cps;13.8kg)、Epolene(9.2kg)を充填し、80±5rpmで撹拌しながら、ラモトリギンを溶媒コアセルベーションにより味マスキングする。コンピュータ制御の「80℃に加熱および維持」サイクルを使用して、80℃の温度を達成し、コアセルベーションシステムの中でエチルセルロースを溶解する。その後、集塊物の形成を回避するために常時撹拌しながら、45分以上で30℃未満になるようにシステムを冷却サイクルに供す。温度が約65℃を下回ると、シクロヘキサン中でもはや可溶性でないエチルセルロースが沈殿し始め(相誘導物質であるポリエチレンにより促進されて)、それによって滑らかなコーティングによりラモトリギン微結晶がカプセル化され、味マスキングが施される。このマイクロカプセルを真空濾過し、シクロヘキサンで洗浄し、3段階の温度(例えば、25℃、35℃、99℃)を使用して流動層乾燥機の中で4〜6時間乾燥し、1000ppm未満の残留シクロヘキサン濃度を達成する。マイクロカプセルをUS35メッシュ篩で篩別し、もしあれば集塊物を廃棄する。
【0075】
スクラロース(0.40%w/w)およびクロスポビドンXL−10(5.0%w/w)を、均一になるようにその混合物をComil(登録商標)に通すことにより、プレブレンドする。同様に、チェリー香料(1.0%w/w)を、少量の迅速分散マイクロ顆粒(64.19%w/w)とプレブレンドし、これら2つのプレブレンド混合物を均一になるまでブレンドする。味マスキングされたマイクロ粒子(29.41%w/w)および残りの迅速分散マイクロ顆粒を一緒にブレンドし、さらに上記のプレブレンドとブレンドして、160kg〜550kgのバッチサイズを製造する。Hata打錠機−Matsui ExLubシステムを使用する、ODT錠剤25mg(7mm×100mg)、50mg(9mm×200mg)、100mg(11mm×400mg)、および200mg(14mm×800mg)の工業規模錠剤製造の間に、材料流動または圧縮に関連する打錠問題は、何も観察されなかった。
【0076】
比較例2.B − アセトアミノフェンODT、250および500mg
米国特許出願第12/772,770号明細書または米国特許出願第12/772,776号明細書は、迅速分散マイクロ顆粒および味マスキングされたアセトアミノフェン結晶を含む口腔内崩壊錠を工業規模で製造する方法について教示する。500ガロンのコアセルベーションシステム(単一タンク)に、326ガロンのシクロヘキサン、180kgのアセトアミノフェン(Covidien製の準微細グレードA137)、20〜24.5kgのエチルセルロース(Dow Chemicals Co.製のEthocel Standard Premium 100)および4.0〜4.9kgのポリエチレンを、60±5rpmで撹拌しながら充填する。このシステムをコンピュータ制御の「加熱および冷却」サイクルに80℃で約5分の保持時間で供し、上記の比較例2.Aに開示のように、エチルセルロースコーティングで薬物層形成ビーズをマイクロカプセル化する。
【0077】
外部滑沢装置および周囲13mmおよび17mmの平坦な面に縁取るツーリングを装備したロータリー打錠機を、種々の圧縮力およびタレット速度で使用する、重量がそれぞれ700および1400mgのODT錠剤250および500mgのフィージビリティ開発の中で、驚くべきことに、30%w/w超の味マスキングされたアセトアミノフェン、工業規模の迅速分散マイクロ顆粒、および5重量%のクロスポビドンを含む圧縮用ブレンドは、そのようなODT製剤を問題なく工業規模で錠剤製造するために、約10重量%の微結晶性セルロース(Avicel PH101)を含むべきであることが見出される。したがって、アスパルテーム(2.56kg)、人工ストロベリー香料(2.56kg)、微結晶性セルロース(16kgのAvicel PH101)、およびクロスポビドンXL−10(8kg)を、Comil(登録商標)に別々に通して集塊物を除去した後に、2立方フィートのV−ブレンダーの中で10分間プレブレンドして均一にする。味マスキングされたマイクロ粒子(63.5kg)、プレブレンド、および迅速分散マイクロ顆粒(実施例1.Fからの67.4kg)を、10立方フィートのV−ブレンダーの中で15分間ブレンドして、160kgのバッチサイズの圧縮用混合物を製造する。HDPEボトルへの包装、保管、および欧州でのマーケティングのための海外輸送の間における摩耗に耐えるのに十分な高抗張力および低摩損度を有するODT錠剤250および500mgに圧縮する。これらの錠剤は、米国薬局方DTメソッド<701>で試験される場合に30秒以内に崩壊するだけでなく、米国薬局方装置2(pH5.8緩衝液中で、パドル@75rpm)を使用して試験される場合に15分で85%以上を放出する。
【0078】
比較例2.C − ラニチジンHCl ODT、75および150mg
米国特許出願公開第20090202630号明細書は、迅速分散マイクロ顆粒および味マスキングされたラニチジンHCl結晶を含む口腔内崩壊錠を工業規模で製造する方法について教示する。ラニチジンHCl微結晶(形態II)をEthocel 100cpsおよびEpoleneと共に5ガロンのシステムに充填し、上記の開示に従って150rpmの速度で撹拌しながら、15重量%のコーティング用にマイクロカプセル化する。味マスキングされたラニチジンマイクロ粒子に、チェリーまたはバニラのミント香料(62%)およびスクラロース(17%)、ならびにクエン酸トリエチル(21%)、可塑剤を含有する、ホモジナイズされた懸濁液を、約41℃の標的生成物温度を維持しながら噴霧することにより、任意選択の香料コーティングを施し、小児集団が味マスキングされた薬物粒子の中に偶然噛み入れて受ける衝撃を最小化する。香料コーティングに続いて、流動層コーティングを、Ethocel 10 cps/Eudragit E100/クエン酸トリエチル溶液を45℃の生成物温度で噴霧することにより継続し、コーティングされた薬物粒子をそのユニット内で10分間乾燥し、残留溶媒を除去する。
【0079】
スクラロース(0.35重量%)、チェリー香料(1.3%)、赤色/青色着色剤(0.5%)、微結晶性セルロース(10%のAvicel PH101)、およびクロスポビドンXL−10(5%)を、Comil(登録商標)に別々に通して集塊物を除去した後に、V−ブレンダーの中で10分間プレブレンドして均一にする。味マスキングされたマイクロ粒子(約28%)、プレブレンド、および迅速分散マイクロ顆粒(約55%)を、V−ブレンダーの中で15分間ブレンドし、材料流動または圧縮に関連する問題を起こすこともなく、圧縮して、HDPEボトルまたはブリスターへの包装、保管、輸送、商品流通、および最終使用の間における摩耗に耐えるのに十分な高抗張力および低摩損度を有するODT錠剤250および500mgを製造する。
【0080】
比較例2.D − ジフェンヒドラミンHCl ODT、25mg
米国特許出願公開第20090155360号明細書は、迅速分散マイクロ顆粒および味マスキングされたジフェンヒドラミンHCl結晶を含む口腔内崩壊錠を工業規模で製造する方法について教示する。ヒドロキシプロピルセルロース(8.42kgのKlucel−LF)を、加熱マントルを装備したステンレス鋼タンクの中で、750±25rpmで撹拌しながら、65℃にてアセトン/精製水(86.4kg/9.6kg)混合物に徐々に加えて溶解させる。ジフェンヒドラミンHCl(76.5kg)を、別のステンレス鋼タンクの中で、850±25rpmで撹拌しながら、アセトン/精製水(300kg/93kg)混合物に徐々に加えて溶解させる。ヒドロキシプロピルセルロース溶液を、均一になるように撹拌しながら薬物溶液に徐々に加える。糖スフェア(60〜80メッシュまたは170〜250μm;215kg)を、32”底部噴霧式Wursterインサートを装備した、予熱したGlatt GPCG 120流動層コーティング機に充填する。ビーズを適切に流動化する、すなわち、適切に空気中に懸濁させると、噴霧乾燥することも集塊物を形成することもなく薬物層形成が継続して確実に完了するように、コンピュータ制御のレシピによる処理条件−処理空気量:1500CFM;霧化空気圧力:1.3mmのノズルポートサイズで2.5バール(HSカラー);生成物温度:49〜51℃−の下で約1500g/分(範囲:300〜2000g/分)の噴霧速度で溶液を噴霧することにより糖スフェア上に薬物は層形成する。薬物層形成の完了に続いて、ヒドロキシプロピルセルロースのシールコーティングを300g/分の噴霧速度で施して2%重量増加させ、薬物層形成ビーズを同じユニット内で乾燥して残留溶媒を除去し、#32および#80メッシュスクリーンにより篩別して、過大サイズの粒子および微粉を廃棄する。
【0081】
200ガロンのコアセルベーションシステムに、150ガロンのシクロヘキサン、65.1kgの薬物層形成ビーズ、6.5kgのエチルセルロース(Dow Chemicals Co.製のEthocel Standard Premium 100)、および8.9kgのポリエチレンを、60±5rpmで撹拌しながら充填する。コンピュータ制御の「80℃に加熱および維持」サイクルを使用して、80℃の温度を達成し、コアセルベーションシステムの中でエチルセルロースを溶解する。その後、集塊物の形成を回避するために撹拌しながら、45分以上で30℃未満になるようにシステムを冷却サイクルに供す。温度が約65℃を下回ると、シクロヘキサン中でもはや可溶性でないエチルセルロースが沈殿し始め(相誘導物質であるポリエチレンにより促進されて)、それによって6重量%での滑らかなコーティングによりアセトアミノフェン結晶がカプセル化され、味マスキングが施される。このマイクロカプセルを真空濾過し、シクロヘキサンで洗浄し、3段階の温度(例えば、25℃、35℃、99℃)を使用して流動層乾燥機の中で4〜6時間乾燥し、1000ppm未満の残留シクロヘキサン濃度を達成する。マイクロカプセルをUS35メッシュ篩で篩別し、もしあれば集塊物を廃棄する。
【0082】
外部滑沢装置および周囲11mmの平坦な面に縁取るツーリングを装備したロータリー打錠機を、種々の圧縮力およびタレット速度で使用する、重量が650mgのODT錠剤25mgのフィージビリティ開発の中で、驚くべきことに、少なくとも約15〜20重量%での微結晶性セルロース(Avicel PH101)の使用が、ODT錠剤の崩壊時間または感覚刺激特性に影響を及ぼすことなく、より高い抗張力を達成するのに大いに有利となることが見出される。
【0083】
比較例2.E − アセトアミノフェン/ヒドロコドン酒石酸水素塩ODT、500−mg/5−mgおよび300−mg/10−mg
米国特許出願第12/772,770号明細書または米国特許出願第12/772,776号明細書は、迅速分散マイクロ顆粒と、溶媒コアセルベーションにより味マスキングされたアセトアミノフェン結晶であるアセトアミノフェンマイクロカプセル上に層形成された味マスキングされたヒドロコドン酒石酸水素塩とを含む口腔内崩壊錠を工業規模で製造する方法について教示する。200ガロンの溶媒コアセルベーションシステム(シクロヘキサン:142kg)に、アセトアミノフェン(準微細グレードA137;75.5kg)、エチルセルロース(EC−100;4.8kg)、Epolene(2.1kg)を充填し、80±5RPMで撹拌しながら、200ガロンシステムの溶媒コアセルベーションによってアセトアミノフェンを味マスキングする。コンピュータ制御のレシピを使用して、上記の比較例2.Dに開示のように、アセトアミノフェン微結晶を6重量%でコーティングする。同様の手順を使用して、アセトアミノフェン微結晶(94.1kg)をさらに、Ethocel 100cps(10.5kg)および相誘導物質としてEpolene(2.1kg)を用いて10重量%で味マスキングする。
【0084】
18”底部噴霧式Wursterインサートを装備したFluid Air FA−300流動層コーティング機の中で最適処理条件下にてヒドロキシプロピルセルロース(0.4kg)を含む薬物層形成製剤(10%固形分)を噴霧することにより、上記からのアセトアミノフェンマイクロカプセル(6%コーティングで;56kg)上にヒドロコドン酒石酸水素塩(3.6kg)を層形成させる。薬物層形成に続いて、このマイクロ粒子を、同じユニット内でヒドロキシプロピルセルロース(3.2kg)およびナトリウムステアリルフマラート(0.5kg)でシーラントコーティングし、その後、味マスキングスクラロース(3.3kg)溶液コーティングを施し、5分間乾燥して残留水分を低減し、30および80メッシュの篩を通して篩別して過大サイズの粒子および微粉を廃棄する。
【0085】
外部滑沢装置ならびに周囲15mmおよび17mmの平坦な面に縁取る、ロゴ付きツーリングを装備したロータリー打錠機を、種々の圧縮力およびタレット速度で使用する、重量がそれぞれ1400および1100mgのヒドロコドン酒石酸水素塩ODT錠剤500−mg/5−mgおよび300−mg/10−mgのフィージビリティ開発の中で、驚くべきことに、味マスキングされたアセトアミノフェン微結晶(10%w/w)、味マスキングされたヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子、工業規模迅速分散マイクロ顆粒、および5重量%のクロスポビドンを含む圧縮用ブレンドは、そのようなアセトアミノフェン/ヒドロコドン酒石酸水素塩ODT製剤の問題のない工業規模錠剤製造のために、圧縮助剤である微結晶性セルロース(Avicel PH101)および材料流動促進剤である噴霧乾燥マンニトール(Parteck M 300)を、両方とも少なくとも10重量%で含むべきであることが見出される。したがって、スクラロース(2.25kg)、人工チェリー香料(2.55kg)、微結晶性セルロース(15kgのAvicel PH101)、噴霧乾燥マンニトール(15kgのParteck M 300)、およびクロスカルメロースナトリウム(1.5kgのAc−Di−Sol)を、2立方フィートのV−ブレンダーの中で5分間プレブレンドして均一にした後、このプレブレンドを1446rpmで作動するComil(登録商標)スクリーン/スペーサーに通して集塊物を除去する。味マスキングされたヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子(500−mg/5−mgODTに対して9.98kgまたは300−mg/10−mgODTに対して25.39kg)、味マスキングされたアセトアミノフェン微結晶(500−mg/5−mgODTに対して50.81kgまたは300−mg/10−mgODTに対して23.29kg)、プレブレンド、および迅速分散マイクロ顆粒(500−mg/5−mgODTに対して51.41kgまたは300−mg/10−mgODTに対して63.52kg)を、10立方フィートのV−ブレンダーの中で20分間ブレンドし、その後、予め選別されたナトリウムステアリルフマラート(1.5kg)と5分間ブレンドする。HDPEボトルまたはブリスターへの包装、保管、輸送、商品流通、および最終使用の間における摩耗に耐えるのに十分な高抗張力および低摩損度を有するODT錠剤500−mg/5−mgおよび300−mg/10−mgを、圧縮用ブレンド(各150kg)の圧縮により製造する。これらの錠剤は、米国薬局方DTメソッド<701>で試験される場合に30秒以内に崩壊するだけでなく、米国薬局方装置2(pH5.8緩衝液中で、パドル@50rpm)を使用して試験される場合に30分で両活性成分を80%(Q)以上放出する。
【0086】
比較例2.F − テマゼパムODT、7.5、15、22.5、および30mg
米国特許出願公開第20090169620号明細書は、迅速分散マイクロ顆粒およびテマゼパムマイクロ顆粒を含む口腔内崩壊錠を工業規模で製造する方法について教示する。Glatt GPCG 5流動層造粒機の中で、造粒液として精製水を使用して、テマゼパム微結晶、マンニトール、およびクロスポビドンを造粒することにより、テマゼパムマイクロ顆粒を調製する(6kgのバッチサイズ)。スクラロース、チェリーまたはペパーミント香料、クロスポビドンXL−10、および微結晶性セルロースを最初にプレブレンドし、次いでこの混合物を迅速分散マイクロ顆粒およびテマゼパムマイクロ顆粒とブレンドすることにより調製される種々のODT組成物を、製剤の「頑健性」の判定のために評価する。
【0087】
中央粒径が約15μmのマンニトール25(122.4kg)およびクロスポビドンXL−10(8.0kg)を、Comil(登録商標)粉砕機にこの混合物を通すことにより粉砕する。マンニトール、クロスポビドン、微結晶性セルロース(Avicel pH 101;8kg)、およびテマゼパム微結晶(Covidien、19.2kg)を、Fluid Air FA 300流動層造粒機の中で、得られる造粒物の微粉量を最小化するために、異なる空気流量およびフィルターバック振盪時間の3ループでヒドロキシプロピルセルロース(Klucel LF、2.4kg)溶液を噴霧することにより造粒する。噴霧後、湿潤果粒を2.0%未満のLODになるように乾燥する。Kason 30シフターを使用して、20メッシュマーケットグレードスクリーンに乾燥果粒を通して、もしあれば過大サイズ凝集物を廃棄する。この方法により、極めて均一の粒径分布および極めて高い収率(例えば、96%〜99%)でテマゼパムマイクロ顆粒が製造される。
【0088】
これらの結果は、貼り付きおよび微粉のレベルが低下したことを示し、微結晶性セルロースとブレンドされた錠剤のいずれにも、スコーリングは観察されなかった。
【0089】
実施例1A:クロスポビドンおよびKlucelを含むRDマイクロ顆粒:
ヒドロキシプロピルセルロースであるKlucelLF(90g)を、ステンレス鋼容器の中で常時撹拌しながら、精製水に徐々に加えて溶解させる。Glatt GPCG 5を、上部噴霧式生成物ボウル、噴霧ガン、およびペリスタル型ポンプでセットアップし、中央粒径が20μm未満のD−マンニトール(5610g)およびクロスポビドン(300g)を、以下の条件下でKlucel溶液を噴霧することにより造粒する:造粒条件:入口空気量−70scfm;入口空気温度−95℃;生成物温度−41±1℃;霧化空気圧力−1.5バール;溶液噴霧速度−80mL/分。生成物ボウルの内壁は、造粒物が壁に貼り付いた状態でかなりきれいであり、この反映として、95重量%超の%有効収率が得られる。LODが0.3%の乾燥材料(処方A)を#20メッシュスクリーンに通して、95%超の全収率を得る。造粒はまた、種々のKlucel含量で行う(例えば、造粒物の2.5重量%、0.5重量%、および1.0重量%;実際の組成については、表4を参照のこと)。4回の造粒のそれぞれで得られる粒径分布は、ソニックシフターを使用して測定し、かさ密度およびタップ密度の値も測定する。これらの値から、パーセント圧縮率の値を計算する。表4および図1に、米国特許第20050232988号明細書に従って工業規模で製造されたPE375バッチ(マンニトール/クロスポビドン;多機能性添加剤なし)と比較した、マンニトール/クロスポビドン/Klucel LF(0.5、1.0、1.5、または2.5%で)を含む、4つのRDマイクロ顆粒バッチについての粒径分布データを示す。
【0090】
実施例1B:口腔内崩壊錠
クロスポビドン、微結晶性セルロース(Avicel PH101)、スクラロース、およびストロベリー香料を、ポリエチレンバッグの中で混合し、40メッシュスクリーンに通す。選別された材料を、必要量のアセトアミノフェンマイクロカプセル(ロット番号 1198−JMC−106)、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース(Klucel LF)(処方K(1.0%)、処方K(1.5%)、または処方K(2.5%))を含む迅速分散顆粒、および/または結合剤なしの迅速分散顆粒(実施例1.Fから)と、0.25立方フィートのV−ブレンダーの中で10分間ブレンドする(250mgアセトアミノフェンODT組成および打錠特性については表5を参照のこと)。
【0091】
実施例2:RDマイクロ顆粒(クロスポビドンおよびStarch 1500):
アルファ化デンプン(Colorcon製のStarch 1500(登録商標)、2重量%または120g)を、ステンレス鋼容器の中で常時撹拌しながら、精製水に徐々に加えて溶解させる。Glatt GPCG 5を、上部噴霧式生成物ボウル、噴霧ガン、および85mL/分で送達するためのペリスタル型ポンプでセットアップする。中央粒径が20μm未満のD−マンニトール(5580g)およびクロスポビドン(300g)を、以下の条件下でデンプン溶液を噴霧することにより造粒する:造粒条件:入口空気量−70scfm;入口空気温度−95℃;生成物温度−37±1℃;霧化空気圧力−1.0バール;溶液噴霧速度−80〜90mL/分。生成物ボウルの内壁は、造粒物が壁に貼り付いた状態でかなりきれいである。乾燥材料(CS−2%)を#20メッシュスクリーンに通して、91.3%の有効収率および3.8%の過大サイズ顆粒を得る。
【0092】
実施例3:L−HPCを含有するRDマイクロ顆粒
中央粒径が20μm未満のD−マンニトール(4750g)および低置換ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業株式会社製のL−HPC、250g)を、予熱した(90℃)Glatt 5の中で、以下の条件下で精製水を噴霧することにより造粒する:造粒条件:入口空気量−75scfm;入口空気温度−90℃;生成物温度−39±2℃;霧化空気圧力−1.0バール;溶液噴霧速度−85〜95mL/分。
【0093】
実施例3.A:L−HPCおよびKlucel LFを含有するRDマイクロ顆粒
Klucel LF(90g)を、ステンレス鋼容器の中で常時撹拌しながら、精製水に徐々に加えて溶解させる。Glatt GPCG 5を、上部噴霧式生成物ボウル、噴霧ガン、および85mL/分で送達するためのペリスタル型ポンプでセットアップする。中央粒径が20μm未満のD−マンニトール(5610g)および低置換ヒドロキシプロピルセルロース(300g、LS−HPC)を、予熱した(90℃)Glatt 5の中で、以下の条件下でKlucel溶液を噴霧することにより造粒する:造粒条件:入口空気量−72〜75scfm;入口空気温度−85℃;生成物温度−39±1℃;霧化空気圧力−1.0バール;溶液噴霧速度−85〜94mL/分。生成物ボウルの内壁は、壁に貼り付いた造粒物がなくきれいである。乾燥材料(処方LK(1.5%))を、#20メッシュスクリーンに通して、96.3%の有効収率を得る。
【0094】
実施例3.B:L−HPCおよびStarch 1500を含有するRDマイクロ顆粒:
National Starch Corp.製のアルファ化デンプン(120g)を、ステンレス鋼容器の中で常時撹拌しながら、50℃の温水に徐々に加えて溶解させる。Glatt GPCG 5を、上部噴霧式生成物ボウル、噴霧ガン、および80mL/分で送達するためのペリスタル型ポンプでセットアップする。中央粒径が20μm未満のD−マンニトール(5580g)および低置換ヒドロキシプロピルセルロース(300g)を、予熱した(90℃)Glatt 5の中で、以下の条件下でデンプン溶液を噴霧することにより造粒する:造粒条件:入口空気量−70scfm;入口空気温度−90℃;生成物温度−39±2℃;霧化空気圧力−1.0バール;溶液噴霧速度−80〜100mL/分。生成物ボウルの内壁は、壁に貼り付いた造粒物がなくきれいである。乾燥材料(処方LS(2%))を、#20メッシュスクリーンに通して、96.4%超の有効収率および39gの過大サイズ顆粒を得る。造粒はまた、2つのデンプン含量(造粒物の1.0および3.0重量%)で行なわれる。
【0095】
実施例4.A:L−HPC/Starch 1500を含有するRDマイクロ顆粒
造粒添加剤としてStarch(商標)1500の商標を有する、Colorcon,Inc.製のアルファ化デンプン(マイクロ顆粒の重量を基準にして2%に相当する120g)を、ステンレス鋼容器の中で常時撹拌しながら、精製水に徐々に加えて溶解させる。Glatt GPCG 5を、上部噴霧式生成物ボウル、噴霧ガン、および85mL/分で送達するためのペリスタル型ポンプでセットアップする。中央粒径が20μm未満のD−マンニトール(5580g)および低置換ヒドロキシプロピルセルロース(300g)を、以下の条件下でデンプン溶液を噴霧することにより造粒する:造粒条件:入口空気量−75scfm;入口空気温度−95℃;生成物温度−37±1℃;霧化空気圧力−1.0バール;溶液噴霧速度−85〜100mL/分。生成物ボウルの内壁は、造粒物が壁に貼り付いた状態でかなりきれいである。乾燥材料(処方LS(2%))を#20メッシュスクリーンに通して、95.2%の有効収率および1.3%の過大サイズ顆粒を得る。Starch 1500を(1.0%で:処方LS−1%;1.5%で:処方LS−1.5%;2.5%で:処方LS−2.5%;3.0%で:処方LS−3%)含む迅速分散マイクロ顆粒についても行なわれる。
【0096】
アルファ化デンプン(PGデンプン)を含む6つの造粒のそれぞれで得られる粒径分布を、ソニックシフターを使用して測定し、かさ密度およびタップ密度の値も測定する。これらの値から、パーセント圧縮率の値を計算する。表6および図2に、米国特許出願公開第20050232988号明細書に従って工業規模で製造されたRDマイクロ顆粒のPE375(マンニトール/クロスポビドン;多機能性添加剤なし、アルファ化Starch 1500)と比較した、6つのRDマイクロ顆粒バッチ[マンニトール/L−HPC/Starch 1500(1.0、1.5、2.0、2.5、または3.0%)の5バッチおよびマンニトール/クロスポビドン/Starch 1500(2.5%)の1バッチ]についての粒径分布データを示す。
【0097】
実施例4.B:口腔内崩壊錠
低置換HPC(5重量%)、微結晶性セルロース(Avicel PH101を10%)、スクラロース(0.4%)、およびストロベリー香料(0.6%)を、ポリエチレンバッグの中で混合し、40メッシュスクリーンに通す。選別された材料を、必要量のアセトアミノフェンマイクロカプセル(10%EC−100コーティングでロットの38重量%)、造粒添加剤としてアルファ化デンプン(処方LS−1.0%、処方LS−1.5%、処方LS−2.0%、処方LS−2.5%、処方LS−3.0%)を含む46重量%の迅速分散顆粒、または多機能性添加剤を含有しない迅速分散マイクロ顆粒(PE375)と、0.25立方フィートのV−ブレンダーの中で10分間ブレンドし、Hata打錠機−Matsui ExLubシステムおよび周囲13mmの平坦な縁取りツーリングを使用して、12〜18kNの圧縮力で圧縮して重量700mgの250mgアセトアミノフェンODTにする。打錠動作はすべて、材料流動に関連する問題もなく円滑である。種々のODT製剤について同等の圧縮力で観察される硬度および摩損度の値は、狭い範囲内にある(種々のODT製剤について図3および図4を参照のこと)。
【0098】
実施例5.A:Fluid Air FA 300におけるL−HPC/Starchを含有するRDマイクロ顆粒
中央粒径が約15μmのマンニトール25および低置換ヒドロキシプロピルセルロース(8.0kgのL−HPC)を、60Hzまたは1,446rpmで回転するQuadro Comil(登録商標)粉砕機(0.032”=約104μmスクリーンおよび0.275”スペーサー)にその混合物を通して共粉砕する。多機能性を備えたStarch 1500(登録商標)(Colorcon製のアルファ化デンプン、3.2kg)を、ステンレス鋼容器の中で750±25rpmにて撹拌しながら、156.8kgの精製水USPに徐々に加えて溶解させる。生成物サポート200メッシュステンレス鋼スクリーンおよび3ヘッドの上部噴霧ガンを装備した上部噴霧式造粒機ボウルと、3つのペリスタル型ポンプとを装備したFluid Air FA 300造粒機を空にしながら予熱して、そのユニットの壁に貼り付く材料の量をもしあれば低減する。マンニトールとL−HPCとのプレブレンド混合物を、予熱した生成物ボウルに充填する。このブレンド上に上記のStarch 1500水溶液を噴霧し、以下の処理パラメーターで造粒する−入口気温:100℃;空気量:700〜900scfm;噴霧速度:550g/分(775(処方2)または1000(処方3)g/分まで上昇させる);霧化圧力:4.0バール;生成物温度:30〜32℃。噴霧後、湿潤果粒を、入口温度:100℃;入口空気量:700scfm;および最終生成物温度:48℃で乾燥して、造粒物中の水分を2.0%未満に低減する。Kason30”シフターを使用して20メッシュマーケットグレードスクリーンに乾燥果粒を通して、1つの内部帯電防止ポリエチレンバッグで二重に内張りされたファイバードラムの中に入れる。有効収率は、理論バッチサイズの83%〜98%の範囲で変動した。かさ密度:0.47g/ccおよびタップ密度:0.63g/cc。さらに、RDマイクロ顆粒の3つのレプリケートバッチ(各160kg)を、上記のように、Starch 1500含量は同じであるが、水の量は変えて調製する。過大サイズ果粒は、2重量%を超える場合、粉砕してもよい。この方法により、極めて均一の粒径分布を有し、かつ過大サイズ材料が1%未満で95%〜99%の極めて高い収率を示すRDマイクロ顆粒が製造される。
【0099】
実施例5.B:Glatt GPCG 120におけるL−HPC/Starchを含有するRDマイクロ顆粒
Starch 1500(登録商標)(3.2kg)を、上記の実施例5.Aに記載のように、ステンレス鋼容器の中で100kgの精製水USPに徐々に溶解させる。マンニトール25(148.8kg)および低置換ヒドロキシプロピルセルロース(8.0kgのL−HPC)のブレンドを、Comil(登録商標)スクリーン/スペーサーにその混合物を通すことにより粉砕し、予熱したGlatt GPCG 120の中で、以下の処理パラメーターにて上記実施例5.Aに記載のように、Starch 1500水溶液を噴霧することにより造粒する−入口空気温度100℃;空気量:2500scfm;噴霧速度:2000g/分霧化圧力:3.0バール;生成物温度:30〜32℃。噴霧後、湿潤果粒を、入口温度:100℃;入口空気量:1,500scfm;および最終生成物温度:48℃で乾燥して、造粒物中の水分を2.0%未満に低減する。さらに、同じStarch 1500含量のRDマイクロ顆粒の4つのレプリケートバッチ(各160kg)および2.5%のStarch 1500含量の1つのバッチ(処方E)を、上記のように調製する。有効収率は、理論バッチサイズの91〜96%の範囲で変動した。粒径およびかさ/タップ密度の測定を行って中央粒径を決定し、実施例5.Aおよび5.BのRDマイクロ顆粒バッチについての圧縮率を、それぞれ図5および6に示す。
【0100】
実施例5.C:マンニトール/L−HPC/Starchマイクロ顆粒を含有するアセトアミノフェンODT
低置換HPC(5重量%)、微結晶性セルロース(Avicel PH101を10%)、スクラロース(0.4%)、およびストロベリー香料(0.6%)を、0.5立方フィートのV−ブレンダーの中でブレンドし、40メッシュスクリーンに通す。選別された材料を、必要量のアセトアミノフェンマイクロカプセル(10%EC−100コーティングでロットの38重量%)、造粒添加剤としてアルファ化デンプンを−実施例5.B、2%もしくは2.5%で含む46重量%の迅速分散顆粒、または結合剤を含有しない迅速分散マイクロ顆粒(PE375、マンニトール/クロスポビドン;多機能性添加剤なし)と、2立方フィートのV−ブレンダーの中で10分間ブレンドし、Hata打錠機−Matsui ExLubシステムおよび周囲13mmの平坦な縁取りツーリングを使用して、12〜18kNの圧縮力で圧縮して重量700mgの250mgアセトアミノフェンODTにする。
【0101】
圧縮用ブレンドバッチを、外部滑沢装置であるMatsui Exlubシステムを装備したHata打錠機上で圧縮する。開始運転パラメーターは、錠剤の重量、硬度、厚さ、および摩損度を商業的許容範囲内に維持するために必要に応じて変更する。錠剤の重量範囲は、典型的には、目標錠剤重量の±4%に維持する。ExLubシステムは、打錠機の作動時に、滑沢剤の適切な噴霧が確実になされるように開始する。充填深さ(mm)、プレ圧縮位置(mmまたはkN)、およびメイン圧縮位置(mmまたはkN)などの打錠パラメーターを、予定規格を満たす250mg錠剤を製造するために、打錠機上で調整する。首尾よくセットアップした後に、打錠機を圧縮操作の完了まで「自動モード」で作動させる。作動中、製造された錠剤が規格を満たすことを確認するために一定間隔でサンプリングする。30分ごとの5つの錠剤サンプルについて、錠剤の重量、硬度、および厚さを測定する。60分ごとに、摩損度試験用に十分なサンプルも採取する。すべての打錠動作は、操作パラメーターの調整を必要とすることなく円滑であると予想され、規格内の錠剤性状が維持される。これらの打錠動作の間に、流動関連の処理問題またはスコーリングは観察されない。さらに、造粒添加剤なしで調製されたODTと比較して、多機能性添加剤を追加してもインビトロまたは口腔内での崩壊時間は増加しない。
【0102】
実施例5.D:マンニトール/L−HPC/Starchを含有するアセトアミノフェン/ヒドロコドンODT
スクラロース(1.0%)、人工チェリー香料(1.15%)、微結晶性セルロース(10%のAvicel PH101)、およびクロスカルメロースナトリウム(3%のAc−Di−Sol)を、Vブレンダーの中で5分間プレブレンドして均一にした後、このプレブレンドを1446rpmで作動するComil(登録商標)スクリーン/スペーサーに通して集塊物を除去する。上記比較例2.Eからの味マスキングされたヒドロコドン/アセトアミノフェンマイクロ粒子(18.6%)、比較例2.Eからの味マスキングされたアセトアミノフェン微結晶(17.1%)、プレブレンド、および迅速分散マイクロ顆粒(48.2%)をV−ブレンダーの中で20分間ブレンドした後、予め選別されたナトリウムステアリルフマラート(1.0%)と5分間ブレンドする。この圧縮用混合物を圧縮することにより、HDPEボトルへの包装、保管、および輸送の間の摩耗に耐えるのに十分な高抗張力および低摩損度を有するODT錠剤300−mg/10−mgを製造する。これらの錠剤は、米国薬局方崩壊時間メソッド<701>により試験される場合に30秒以内に崩壊することが見出される。
【0103】
実施例6.A:Pearlitol 60/L−HPC/StarchまたはKlucel LFを含むRDマイクロ顆粒
アルファ化Starch 1500(マイクロ顆粒の重量を基準にして2%に相当する120g)を、ステンレス鋼容器の中で常時撹拌しながら、精製水に徐々に加えて溶解させる。中央粒径が約60μmのD−マンニトール(5580gのPearlitol 60)および低置換ヒドロキシプロピルセルロース(300g)を、上記実施例4.Aに開示のように、Glatt GPCG 5の中で、デンプン溶液を噴霧することにより造粒する。造粒添加剤として低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(90gのKlucel LF)を含む迅速分散マイクロ顆粒を、加熱マントルを装備したステンレス鋼容器の中で常時撹拌しながら、60℃で精製水に徐々に加えて溶解させる。中央粒径が約60μmのD−マンニトール(5610gのPearlitol 60)および低置換ヒドロキシプロピルセルロース(300g)を、上記実施例4.Aに開示のように、Glatt GPCG 5の中で、Klucel溶液を噴霧することにより造粒する。
【0104】
実施例6.B:Pearlitol 35/L−HPC/Starchを含むRDマイクロ顆粒
中心粒径が約35μmのD−マンニトール(5580gのPearlitol 35)および低置換ヒドロキシプロピルセルロース(300g)を、上記実施例4.Aに開示のように、Glatt GPCG 5の中でデンプン溶液(120gのアルファ化Starch 1500)を噴霧することにより造粒する。
【0105】
実施例6.C:CRメルペロンマイクロ粒子
メルペロン塩酸塩ODT CR錠剤を、米国特許出願第12/639,496号明細書の開示に従って調製する。メルペロン塩酸塩(15.0kg)を、アセトンと水との50/50混合物に撹拌しながら徐々に加えて溶解させる。上記メルペロン溶液を、18”底部噴霧式Wurster18”カラム、HS Collarを備えた3.0mmノズル口、および底部内側「G」および外側「C」分配プレートを装備したGlatt GPCG 120の中で、32℃の生成物温度(範囲:29〜36℃)にて45〜60メッシュの糖スフェア(43.8kg)上に噴霧する。薬物層形成に続いて、Klucel(登録商標)LFのシールコーティングを2重量%で施し、Glattユニット内で5分間乾燥して、残留溶媒(水分を含む)を除去し、35メッシュ(500μm)スクリーンで篩別して、もしあれば2倍のものを廃棄する。リン酸水素ナトリウム(6.2kg)を、撹拌しながら124kgの精製水に徐々に加える。メルペロン塩酸塩IRビーズ(52.6kg)を、生成物温度53℃(範囲:49〜60℃)にて、アルカリ性緩衝水溶液でコーティングする。緩衝液層形成に続いて、約2%の重量増加を目的とした、50℃の生成物温度でのOpadry Cearの保護シールコーティング。
【0106】
エチルセルロース(13.9kg)を、撹拌しながら85/15のアセトン/水混合物に徐々に加えて溶解させる。次いで、セバシン酸ジブチル(1.1kg)を、ポリマー溶液に徐々に加え30分間撹拌する。緩衝液でコーティングされたメルペロンIRビーズ(34.0kg)を、Glattの中で生成物温度33℃(範囲:29〜40℃)にて、上記SRコーティング溶液(7%の固形分)でコーティングする。アセトンですすいだ後、続いて、SRでコーティングされたビーズに、シールコーティング溶液(Klucel(登録商標)LF; 7.5%の固形分)を噴霧し、Glattユニット内で5分間乾燥して残留溶媒(水分を含む)を除去し、次いで篩別して、もしあれば過大サイズおよび微粉を廃棄する。
【0107】
実施例6.D:マンニトール/L−HPC/Starchマイクロ粒子を含有するODT CRメルペロン
クロスポビドン(5重量%)、微結晶性セルロース(Avicel PH101を10%)、スクラロース(0.4%)、およびペパーミント香料(1.0%)を、0.5立方フィートのV−ブレンダーの中でブレンドし、40メッシュスクリーンに通す。選別された材料を、工程6Bからの必要量のメルペロンSRビーズ(36重量%)、実施例6からの47.4重量%の迅速分散顆粒と、V−ブレンダーの中で10分間ブレンドし、12〜18kNの圧縮力で圧縮して、重量が1000mgの50mgメルペロンHCl ODT CR錠剤にする。
【0108】
工業用途可能性:
本発明の実施形態の1つに従って、各粒子の中央粒径が60μm以下である糖アルコール、糖、またはそれらの混合物、スーパー崩壊剤、および薬学的に許容される多機能性添加剤を含む自由流動性の迅速分散マイクロ顆粒を、例えば、湿式造粒物の粉砕および/または広範な乾式粉砕を必要とすることなく、流動層造粒機の中で、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、またはそれらの混合物を使用して簡単かつ迅速に製造する。自由流動性の迅速分散マイクロ顆粒、機能性ポリマーでコーティングされた薬物マイクロ粒子(例えば、薬物の味を効果的にマスキングするために味マスキングされた、または放出制御(CR)特性を付与するために1つまたは複数の専用機能性ポリマーでコーティングされた)、および他の薬学的に許容される賦形剤(例えば、香料、甘味剤、着色剤(任意選択)、追加の崩壊剤、圧縮助剤、および滑沢剤(任意選択))を含む口腔内崩壊錠を、生産規模のロータリー打錠機を使用して製造し、保管、輸送、商品流通、および最終使用のために、PTP(プッシュスルー包装)またはペーパーバックピールオフブリスターおよびよび/またはボトルの中に包装する。このODTは、口腔内で唾液と接触すると迅速に崩壊し、ざらつきのない食感で飲み込まれるコーティングされた薬物マイクロ粒子を含有する滑らかで飲み込み容易な懸濁液を形成する。
【0109】
本出願の中で引用されたすべての文献、特許、特許出願、刊行物、製品説明、プロトコールは、あらゆる目的のためにそれらの内容全体が参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0110】
本明細書で説明および論述した実施形態は、本発明を製作または使用するのに本発明者らが知る最良の方法を当業者に教示することのみを意図するものである。上記の教示に照らして当業者が認識するように、本発明から逸脱することなく、上記の実施形態の修正形態および変更形態が可能である。したがって、特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内で、具体的に記載されたもの以外の方法で本発明を実施することができることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6