特許第6014046号(P6014046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014046ステントデリバリーシステム用搭載バスケットおよびその作製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014046
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ステントデリバリーシステム用搭載バスケットおよびその作製方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20161011BHJP
【FI】
   A61F2/966
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-547579(P2013-547579)
(86)(22)【出願日】2011年12月22日
(65)【公表番号】特表2014-507198(P2014-507198A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】US2011066937
(87)【国際公開番号】WO2012092143
(87)【国際公開日】20120705
【審査請求日】2014年11月17日
(31)【優先権主張番号】61/428,836
(32)【優先日】2010年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ラー
(72)【発明者】
【氏名】ウッド、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、エリック エム.
(72)【発明者】
【氏名】ベルトリーノ、ウィリアム シー.
(72)【発明者】
【氏名】スオン、ナーロン
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−537277(JP,A)
【文献】 特表平07−502673(JP,A)
【文献】 特表2000−512863(JP,A)
【文献】 特表2003−500105(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0103508(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0192518(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/962− 2/97
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントデリバリーシステムと共に使用するための拡張可能な搭載バスケット(108)であって、前記バスケットは、基端(110)、先端(112)および表面(111)を有するとともに、
前記基端に位置し、かつ、直径(D1)を有する基端部分(130)と、
前記基端部分に接続され、かつ、直径(D2)を有する基端側本体部分(134)と、
前記基端側本体部分に接続された先端側移行部分(136)と、
前記先端側移行部分に接続され、かつ、直径(D3)を有する先端側本体部分(139)と、
前記先端側移行部分と先端側本体部分との間の単一の把持部領域(142)であって、先端側本体部分(139)の直径(D3)よりも小さく、かつ、前記先端側移行部分の直径よりも小さい直径(D5)を有している把持部領域(142)と、
前記先端側本体部分に接続され、かつ、前記バスケットの先端を形成する先端部分(140)と、を備えており、
前記先端部分は、前記バスケットの先端側本体部分の直径から先端における直径(D4)まで漸減する直径を有しており、
先端における直径(D4)は先端側本体部分の直径(D3)よりも小さく、先端における直径(D4)は基端部分(130)の直径(D1)よりも大きく、基端側本体部分(134)の直径(D2)は先端側本体部分の直径(D3)よりも大きく、先端側本体部分の直径(D3)は基端部分の直径(D1)よりも大きいことを特徴とする、搭載バスケット。
【請求項2】
前記先端側本体部分(139)の少なくとも一部はコーティングバンド(144)を有する、請求項1に記載の搭載バスケット。
【請求項3】
前記基端部分(130)と基端側本体部分(134)との間に基端側移行部分(132)をさらに備える、請求項1に記載の搭載バスケット。
【請求項4】
前記先端部分は、前記搭載バスケットの先端を画定する複数のループを有する、請求項1に記載の搭載バスケット。
【請求項5】
前記搭載バスケットの表面(111)は編組されており、前記先端において搭載バスケットの周囲の編組された表面を介してフィラメント(146)が織り込まれている、請求項1に記載の搭載バスケット。
【請求項6】
前記先端側本体部分(139)と先端部分(140)との間の第1角度(θ)と、
前記基端側本体部分(134)と先端側移行部分(136)との間の第2角度(θ)と、
前記基端側本体部分(134)と基端側移行部分(132)との間の第3角度(θ)と、をさらに有し、第3角度(θ)は第2角度(θ)に等しい、請求項3に記載の搭載バスケット。
【請求項7】
前記基端部分は、前記基端側本体部分、先端側移行部分、先端側本体部分および先端部分を組み合わせたよりも大きな軸長を有する、請求項1に記載の搭載バスケット。
【請求項8】
搭載状態および展開状態を有するステントデリバリーシステム(100)と共に使用する請求項1−7のいずれか一項に記載の搭載バスケットであって、該ステントデリバリーシステムは、
ステント搭載領域(104)を有する第1部材(102)と、
前記第1部材と摺動可能に係合するとともに、そこに取り付けられた搭載バスケットを有する第2部材(105)と、
基端(116)と、基端側フレア状部分(120)と、本体部分(124)と、先端(118)と、管腔を画定する壁と、を有するステント(114)と、を備え、前記ステントの基端側フレア状部分(120)は前記搭載バスケットの基端側本体部分(134)内に置かれて、そこから本体部分(124)が延び、前記ステントの管腔は第1部材(102)の周りに配置されている、搭載バスケット。
【請求項9】
前記搭載状態において、前記先端部分(140)または搭載バスケットの把持部領域(142)は、前記ステントの外面と接触する、請求項8に記載の搭載バスケット。
【請求項10】
前記第2部材(105)と摺動可能に係合された第3部材(106)をさらに備え、前記第1部材(102)は前記第2部材(105)と同軸であり、前記第2部材(105)は前記第3部材(106)と同軸である、請求項8に記載の搭載バスケット。
【請求項11】
請求項1に記載の搭載バスケット(108)を作製するための方法であって、
搭載バスケット(108)を形成するために、マンドレルアセンブリ(200)の周りに単一フィラメントの(230)を巻き付ける工程であって、マンドレルアセンブリが、
先端側シャフト(224)を含むマンドレル(202)と、
前記マンドレル(202)の先端側シャフト(224)の外面と係合し、かつ、複数のフック(209)を有するフック端アセンブリ(208)と、
前記マンドレル(202)と取り外し可能に係合する分離チューブ(214)と、を備え、
前記単一フィラメントの(230)を巻き付ける工程が、
前記マンドレルアセンブリの基端(204)からフック端アセンブリ(208)に向かって先端方向へ単一フィラメントをらせん状に巻き付ける工程と、
前記搭載バスケット(108)の先端部にループ(141)を形成するために、前記フック端アセンブリ(208)の複数のフック(209)の1つの周りに単一フィラメントを巻き付ける工程と、
前記フック端アセンブリ(208)からマンドレルアセンブリの基端(204)に向かって基端方向へ単一フィラメントをらせん状に巻き付ける工程と、を含む、工程と、
前記搭載バスケットの表面(111)が完全に形成されるまで、前記巻き付け工程を繰り返す工程と、
前記マンドレルアセンブリから分離チューブ(214)を取り外す工程と、
前記搭載バスケットの基端部分(130)を形成するために、マンドレル(202)の基端部の周りで保持機構(232)により搭載バスケットの表面(111)を引き締める工程と、
前記マンドレルアセンブリ(200)からフック端アセンブリ(208)を取り外す工程と、
前記搭載バスケット(108)の先端(112)を形成するために、成形リング(228)を先端側シャフト(224)上に配置する工程であって、成形リングは前記マンドレル(202)の先端部分(222)に当接する工程と、
前記搭載バスケット(108)の形状を整えるためにヒートセットする工程と、
前記搭載バスケット(108)を前記マンドレルアセンブリから取り外す工程と、を含む、方法。
【請求項12】
前記マンドレルが、
前記搭載バスケット(108)の基端部分(130)を形成するように構成された基端部分(215)と、
前記搭載バスケット(108)の基端側本体部分(134)を形成するように構成された基端側本体部分(218)と、
前記搭載バスケット(108)の先端側移行部分(136)を形成するように構成された先端側移行部分(220)と、
前記搭載バスケット(108)の先端側本体部分(139)を形成するように構成された先端側本体部分(222)と、を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マンドレルがさらに、前記搭載バスケット(108)の把持領域(142)を形成するために、把持部形状(226)を有する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ステントのような医療装置用のデリバリーシステムに関する。より具体的には、本発明は、ステントデリバリーシステム用搭載バスケットおよびその搭載バスケットを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステントおよび他の管腔内人工器官(intraluminary prostheses)のような医療装置は、様々な体内管(body vessels)において疾患の回復および/または治療に用いられている。ステントは、一般に、体内の様々な管腔を開放させたり、支持したりするのに有用である生体適合性材料から形成された縦型管状装置(longitudinal tubular device)である。例えば、ステントは、冠状血管系または末梢血管系、食道、気管、気管支、結腸、胆管、尿管、前立腺、脳および他の管のような体内の管において用いられ得る。これらの装置は、管腔の潰れた部分または部分的に閉塞した部分を開放および/または補強するために前記管内に植え込まれる。ステントは、半径方向に拡張して体内の管を支持かつ補強し、また、自己拡張型であってもよく、および/またはステントを拡張するバルーンや他の手段を用いて機械的に拡張可能であってもよい。
【0003】
ステントデリバリーシステムは、典型的には、ステントを脈管内に適切に配置し、そのステントを展開するためにカテーテルアセンブリを備える。そのようなカテーテルアセンブリは、ステントが脈管内の所望の位置へ進められる間はステントを半径方向に圧縮した形態で保持し、次いでステントが半径方向に拡張できるようにする。カテーテルアセンブリは、ステントを半径方向に圧縮した形態で維持し、また、展開時にステントを半径方向に拡張するために用いられるバルーン、シース、および他の構造を備え得る。
【0004】
ステントデリバリーシステムは当業において周知であるが、そのようなデリバリーシステムの組立てはしばしば複雑になる。いくつかの場合において、ステントは患者に植え込まれる直前に医師によってステントデリバリーシステムに搭載される。しかしながら、この搭載プロセスは、多くの場合、多数の工程を含み、ステントデリバリーシステムの一部ではない多数の用具および取付け具の使用を必要とする。医師は、しばしば手でステントをデリバリーシステムに押し込むことによって搭載プロセスを完了しなければならない。ステントを適切に展開および拡張させるためには、ステントをカテーテル上の正しい位置に搭載することが重要である。
【0005】
共同出願(co−owned)の特許文献1に記載されているように、ステントデリバリーシステムは、デリバリー装置の一部に固定された搭載バスケットを用いることができる。前記特許文献は、参照により余すところなく本願に援用される。
【0006】
上記で参照および/または記載した技術は、本願に引用した任意の特許、公開公報または他の情報が本発明に関して「先行技術」であると認めるものではない。本出願の任意の箇所に挙げられるすべての米国特許および出願、並びに他のすべての公開文書は、参照により余すところなく本願に援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0192518号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記した問題を解決することができるステントデリバリーシステムおよびその一部に固定された搭載バスケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
少なくとも本発明の一実施形態において、搭載バスケットは、基端と、先端と、編組表面(braided surface)とを有する。前記搭載バスケットは、基端部分と、基端側移行部分と、本体部分と、先端側移行部分と、第1部分および第2部分を有する先端部分とを有する。少なくとも一実施形態において、第1部分は一定の直径を有し、第2部分は第1部分の一定の直径から第1部分の一定の直径よりも小さい直径に漸減する直径を有する。いくつかの実施形態において、前記搭載バスケットは、先端側の移行部分と先端部分との間に把持部領域をさらに備える。少なくとも一実施形態において、前記把持部領域は、前記先端部分の直径よりも小さい直径を有する。
【0010】
ステントデリバリーシステムも提供され、該システムは搭載状態と展開状態とを有する。少なくとも一実施形態において、前記ステントデリバリーシステムは、ステント搭載領域を有する長尺状内側部材と、前記内側部材と摺動可能に係合された中間管状部材と、中間管状部材と摺動可能に係合された外側管状部材とを備える。一実施形態において、搭載バスケットは基端および先端を有し、基端は中間管状部材の先端に固定される。少なくとも1つの実施形態において、前記ステントの基端は搭載バスケットの内面の中に置かれ、ステント搭載領域においてそこから延びている。前記ステントは、デリバリー装置に搭載されると搭載バスケットの内部と係合して、ステントの体内管腔内の所望位置への送達中に、ステントがずれたり、または移動したりするのを防止する。
【0011】
いくつかの実施形態では、搭載状態において、搭載バスケットの先端はステントの外面と接触する。いくつかの実施形態では、搭載状態において、外側管状部材は、搭載バスケットおよびステントを半径方向に圧縮するために、搭載バスケットおよびステント上を摺動する。いくつかの実施形態では、展開状態において、外側管状部材および中間管状部材は、ステントおよび搭載バスケットを半径方向に拡張させて、ステントが展開させるために、後退させられる。いくつかの実施形態において、内側シャフトは取り付けられた搭載バスケットと共に抜去される。
【0012】
搭載バスケットを製造する方法も提供される。搭載バスケットは、材料から所望の形態にレーザーカットされ得るか、またはいくつかのフィラメント(filaments)から所望の形態に、編組される(braided)、より合わせられる(twisted)、結ばれる(knotted)、編まれる(knitted)、織られる、編組される、曲げられる、より合わせられる、レーザーカットされる、成形される、縛られる、かつ/または巻き付けられ得る。少なくとも一実施形態において、搭載バスケットはマンドレルアセンブリを有する編組機を用いて、単一フィラメントワイヤーから編組される。少なくとも一実施形態において、マンドレルアセンブリは、基端部分、基端側移行部分、本体部分、先端側移行部分および先端部分を有するマンドレルを備える。いくつかの実施形態において、前記マンドレルは先端側移行部分と先端部分との間の把持領域をさらに備える。少なくとも一実施形態において、マンドレルアセンブリは取り外し可能なチューブをさらに備える。いくつかの実施形態において、マンドレルアセンブリは取り外し可能なフック端アセンブリをさらに備える。
【0013】
少なくとも一実施形態において、ステントをステントデリバリーシステムに搭載し、そのステントを前記システムから送達する方法が提供される。少なくとも一実施形態において、ステントデリバリーシステムは、ステント搭載領域において第1管状部材に取り付けられた搭載バスケットを有する。少なくとも一実施形態において、ステントの基端は、ステントの外面が搭載バスケットの内面と接触するように、搭載バスケットの本体に挿入される。少なくとも一実施形態において、第2管状部材は、搭載バスケットおよびステントの双方が半径方向に圧縮されるように、それらの双方の上を摺動させられる。少なくとも一実施形態において、ステントデリバリーシステムは体内管内の所望の位置に進められる。少なくとも1つの実施形態において、少なくとも第2管状部材は、搭載バスケット内に保持されるステントを半径方向に拡張し、それによりステントを展開するために、後退させられる。少なくとも一実施形態において、搭載バスケットを有する第1管状部材および第2管状部材は、展開したステントを管腔内の所望位置に残して、管腔から後退させられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のステントデリバリーシステムの断面図。
図2】本発明の搭載バスケットの実施形態の断面図。
図3】本発明の搭載バスケットの実施形態の断面図。
図4】本発明の搭載バスケットの実施形態の断面図。
図5】本発明の搭載バスケットの実施形態の断面図。
図6】本発明の搭載バスケットの実施形態の断面図。
図7】本発明の搭載バスケットを形成するために使用されるマンドレルアセンブリの実施形態の斜視図。
図8】マンドレルの実施形態の断面図。
図9】マンドレルの実施形態の断面図。
図10A】マンドレル上で搭載バスケットを形成する方法を示す図。
図10B】マンドレル上で搭載バスケットを形成する方法を示す図。
図10C】マンドレル上で搭載バスケットを形成する方法を示す図。
図10D】マンドレル上で搭載バスケットを形成する方法を示す図。
図11A】本発明のステントデリバリーシステムを用いて、ステントを搭載および展開する方法を示す図。
図11B】本発明のステントデリバリーシステムを用いて、ステントを搭載および展開する方法を示す図。
図11C】本発明のステントデリバリーシステムを用いて、ステントを搭載および展開する方法を示す図。
図11D】本発明のステントデリバリーシステムを用いて、ステントを搭載および展開する方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、長手軸線103およびステント搭載領域104を備えた第1長尺状部材102と、内側の長尺状部材102と摺動可能に係合した中間管状部材105と、中間管状部材105と摺動可能に係合した外側管状部材106とを備えた本発明のステントデリバリーシステム100を示している。少なくとも一つの実施形態において、第1長尺状部材102は中間管状部材105と同軸であり、中間管状部材105は外側管状部材106と同軸である。
【0016】
搭載バスケット108は中間管状部材105に取り付けられている。搭載バスケット108は、基端110と、先端112と、基端110から先端112まで延在して内部管腔115を画定する表面111とを有する。少なくとも一実施形態において、表面111は編組表面である。基端110は、中間管状部材の先端において中間管状部材105に取り付けられている。
【0017】
基端116および先端118を有するステント114は、ステント搭載領域104においてステントデリバリーシステム100に搭載され、搭載バスケット108の内部管腔115内に保持される。少なくとも1つの実施形態において、ステント114は、搭載バスケット108の編組表面111と接触する。少なくとも1つの実施形態において、搭載バスケット108の先端112はステント114と接触する。いくつかの実施形態において、ステント114は、ステントの長さに沿って一定の直径を有する。他の実施形態において、ステント114は、ステントの長さに沿って一定でない直径を有する。少なくとも一実施形態において、ステント114は、基端側フレア状部分120、基端側移行部分122、本体部分124、先端側移行部分126、および先端側フレア状部分128を有するフレア状ステント(flared stent)である。
【0018】
図1は、搭載バスケットが中間管状部材に取り付けられている3つの部材を有するデリバリーシステムを示しているが、少なくとも1つの実施形態では、搭載バスケットは最も内側の部材(例えば内側長尺状部材102)に取り付けられ得る。
【0019】
図2は、基端110と、先端112と、それらの間に延びる長手軸線113とを有する搭載バスケット108の実施形態を示している。示した実施形態では、搭載バスケット108は基本的に階段状の形態を有する。搭載バスケット108は、基端部分130、基端側移行部分132、本体部分134、先端側移行部分136、および先端部分138を備える。少なくとも一実施形態において、先端部分138は先端側移行部分に軸線方向に隣接した第1部分139と、第1部分139に軸線方向に隣接した第2部分140とを有する。少なくとも一実施形態において、第2部分140は、搭載バスケット108の先端112を形成する複数のループを有する。少なくとも一実施形態において、先端部分138の第2部分140は、先端部分138の第1部分139に対して、長手軸線113に向かって傾斜している。内側に傾斜した部分140は、搭載バスケット108の全体的な形状とともに、ステント114が搭載バスケット108内に固定されることを可能にし、出荷およびステント搭載プロセスの間にステント114が内側長尺状部材102上で不要にずれるのを防止する。搭載バスケット108の実施形態は、本願に記載する特徴の少なくとも1つ、または本願に記載する特徴の任意の組み合わせを有し得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、第1部分139と第2部分140との間に角度θが存在する。角度θが小さいほど、先端側ループ端部140の傾きはより急勾配になり、これは搭載バスケット108内のステント114のより良好な把持を可能にする。いくつかの実施形態において、角度θは約90度〜約145度である。いくつかの実施形態において、角度θは約125度〜135度である。一実施形態において、角度θは130度である。
【0021】
いくつかの実施形態において、本体部分134と先端側移行部分136との間には角度θが存在する。角度θが小さいほど、先端側移行部分136の傾きはより急勾配になり、これは搭載バスケット108内おけるステント114のより良好な把握を可能にする。いくつかの実施形態において、角度θは約125度〜135度である。一実施形態において、角度θは130度である。
【0022】
いくつかの実施形態において、本体部分134と基端側移行部分132の間には角度θが存在する。いくつかの実施形態において、角度θは約125度〜135度である。一実施形態において、角度θは130度である。
【0023】
少なくとも一実施形態において、θはθより小さい。少なくとも1つの実施形態において、θはθに等しい。好ましい実施形態において、角度θは130度である。少なくとも1つの実施形態において、θはθに等しい。いくつかの実施形態において、θはステントの幾何学的配置によって決定される。いくつかの実施形態において、θはステントの幾何学的配置によって決定される。いくつかの実施形態において、θはステントの幾何学的配置によって決定される。いくつかの実施形態において、本願に記載する前記角度のすべてはステントの角度に対応し、いくつかの実施形態では、本願に記載する前記角度のすべてはステントの角度に対応しない。
【0024】
いくつかの実施形態において、基端部分130は第1直径Dを有し、本体部分134は第2直径Dを有し、先端部分138は第3直径Dを有する。少なくとも1つの実施形態において、本体部分Dの直径は先端部分Dの直径より大きく、また先端部分Dの直径は基端部分Dの直径より大きい。少なくとも一実施形態において、基端側移行部分132は、基端から先端にかけてDからDに徐々に増大する直径を有する。少なくとも一実施形態において、先端側移行部分136は、基端から先端にかけてDからDに徐々に減少する直径を有する。少なくとも一実施形態において、先端部分138の第2部分140は、先端112においてDより小さい直径Dを有する。少なくとも1つの実施形態において、直径Dは直径Dの約70%〜約80%である。
【0025】
いくつかの実施形態において、搭載バスケット108は、搭載バスケットに搭載されるべきステント114の寸法に適した大きさに形成されている。少なくとも一実施形態において、Dはステント114の公称直径よりも約8mm大きい。少なくとも一実施形態において、Dはステント114の公称直径よりも約1.5mm大きい。少なくとも一実施形態において、Dはステント114の公称直径よりも小さい。少なくとも一実施形態において、Dはステント114の公称直径よりも約4.5mm小さい。少なくとも一実施形態において、ステントの公称直径は、図1に示す本体部分124における直径である。
【0026】
少なくとも一実施形態において、基端部分130は、基端側移行部分132、本体部分134、先端側移行部分136および先端部分138の軸長の合計に等しいか、それよりも大きい軸長を有する。バスケット108の全長は、デリバリーシステムの全長に影響を与えるので、最小にされるべきである。
【0027】
搭載バスケットは、材料から所望の形態にレーザーカットされ得るか、またはいくつかのフィラメントから所望の形態に、編組されるか、より合わせられるか、結ばれるか、編まれるか、織られるか、曲げられるか、レーザーカットされるか、成形されるか、縛られるか、かつ/または巻き付けられ得る。いくつかの実施形態において、搭載バスケットは、円形および矩形を含むが、これらに限定されない任意の断面の単一フィラメント(mono−filament)ワイヤーまたは多重フィラメント(multiple filament)ワイヤーからなり得る。いくつかの実施形態において、フィラメントワイヤーは実質的に平坦であり得る。少なくとも一実施形態において、搭載バスケット108は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、他のポリマー材料、および金属のような様々な生体適合性材料の単一フィラメントから編組されている。いくつかの実施形態において、搭載バスケットは、ニチノールのような形状メモリ合金から構成され得る。編組プロセスについてさらに下記で検討する。
【0028】
図3は、搭載バスケット108の実施形態を示している。この実施形態において、搭載バスケット108は、先端側移行部分136と先端部分138との間に把持部形状(gripper feature)142をさらに備える。把持部形状142は、先端部分138の第1部分139の直径Dよりも小さい直径Dを有する。少なくとも一実施形態において、Dはステント114の公称直径よりも小さい。少なくとも一実施形態において、Dはステント114の公称直径よりも約1.5mm小さい。把持部形状142のより小さな直径および位置は、ステントを保持する搭載バスケットの能力を増大させる。
【0029】
図3は内側に傾斜した第2部分140と把持部形状142との双方を備えた搭載バスケット108を示しているが、搭載バスケット108が把持部形状142を備えるいくつかの実施形態では、第2部分140は、先端部分138の第1部分139に対して長手軸線113に向かって傾斜していない(換言すると、先端部分138は、その軸長に沿って一定の直径を有する)。
【0030】
図4は、搭載バスケット108の実施形態を示している。この実施形態では、搭載バスケット108は先端部分138において少なくとも1つのコーティングバンド144を有する。コーティングバンド144は、先端部分138において搭載バスケットの周囲の少なくとも一部のまわりに延在する。いくつかの実施形態において、コーティングバンド144は第2部分140を被覆する。いくつかの実施形態において、コーティングバンド144は、搭載バスケットの先端から第2部分140の長さの一部に沿って基端方向に延在する。いくつかの実施形態において、コーティングバンド144は、第1部分139の一部を被覆する。いくつかの実施形態において、コーティングバンド144は先端部分138全体を被覆する。少なくとも1つのコーティングバンド144は、名目上の薄いコーティング(nominally thin coating)から著しく厚いコーティング(significantly thicker coating)までにわたる任意の有用な厚さを有し得る。少なくとも一実施形態において、コーティングバンド144は、搭載バスケット108を形成するために用いられるフィラメントワイヤーの直径より小さい厚さを有し得る。少なくとも一実施形態において、コーティングバンド144は、搭載バスケット108を形成するために用いられるフィラメントワイヤーの直径より大きい厚さを有し得る。
【0031】
少なくとも一実施形態において、コーティングバンド144はシリコーンを含有する。少なくとも一実施形態において、コーティングバンド144は治療薬を含有する。前記治療薬は、非遺伝子薬(non−genetic agents)、遺伝子薬(genetic agents)、細胞物質などのような薬剤または他の医薬品であり得る。少なくとも一実施形態において、前記治療薬はポリマー剤を含有する。前記ポリマー剤は、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレントリブロックコポリマー(SIBS)、ポリエチレンオキシド、シリコーンゴム、および/または他の適切な基材であり得る。
【0032】
図5は、搭載バスケット108の実施形態を示している。この実施形態では、搭載バスケット108は第2部分140において搭載バスケット108の編組表面に織り込まれている縫合糸146を有する。少なくとも1つの実施形態において、縫合糸146は、先端112において、または先端112の実質的に近くにおいて織り込まれている。少なくとも1つの実施形態において、縫合糸146は搭載バスケットの編組表面を介して織り込まれている。少なくとも1つの実施形態において、縫合糸146はエンドループ141を介して織り込まれている。縫合糸146はまた、搭載バスケット108の他の位置にも配置され得る。縫合糸146を引き締めることによって、縫合糸146の位置における搭載バスケット108の直径は、搭載バスケット108内にステント114を保持するために、さらに制限され得る。
【0033】
少なくとも1つの実施形態において、搭載バスケット108の把持能力は、バスケット上の所望の位置において搭載バスケットの周囲に配置されたコーティングバンド、縫合糸、および/または制限バンドによって肯定的にもたらされ得る。一実施形態において、前記制限バンドは弾性フィラメントを含む。
【0034】
図6は、搭載バスケット108の実施形態を示している。この実施形態において、搭載バスケット108は、基端部分、基端側移行部分132、本体部分134、および長手軸線113に向かって内側に傾斜する先端部分138のみを有する。
【0035】
少なくとも一実施形態において、搭載バスケット108の内面は、ステントとの面接触を増大または減少させるように設計され得る。例えば、付加的なコーティングバンドを用いることもできるし、または、搭載バスケットの内面が搭載状態におけるステントの把持を支援する隆条またはリブを有することもできる。
【0036】
図2図6に示した実施形態に示されているか、またはさもなければ上述されている特徴および要素のいずれも搭載バスケット108の実施形態に組み入れられ得ることは本発明の範囲内である。
【0037】
先に上記で検討したように、搭載バスケット108は、ポリエチレンテレフタレート(PET)および他の同様の材料のような単一フィラメントから編組され得る。いくつかの実施形態において、搭載バスケット108は、図7図9に示したマンドレルのようなマンドレルアセンブリ200上で編組される。
【0038】
図7は、マンドレルアセンブリ200の斜視図を示している。マンドレルアセンブリ200は、基端204および先端206を有するマンドレル202、フック端アセンブリ208、マンドレルシャフト210、取り外し可能なチューブサポート212、および取り外し可能なチューブ214を備える。少なくとも一実施形態において、マンドレル202は、ヘルツォーク 36 キャリア フィナイト ブレーダー(Herzog 36 carrier finite braider)および他の同様の編組機のような編組機と共に用いられるマンドレルシャフト210に取り付けられている。搭載バスケット108の編組は手によって行われてもよい。
【0039】
マンドレル202は完成した搭載バスケット108の所望形状に対応する特有な形状を有する。この形状について、図8および図9を参照してさらに検討する。フック端アセンブリ208は、マンドレル202の先端206付近において、マンドレル202と取り外し可能に係合され得る。フック端アセンブリ208は搭載バスケット108の先端側ループ端部分138(ループ141を含む)を形成するために用いられる。フック端アセンブリ208は複数のフック209を有する。いくつかの実施形態において、第1フック209aは周方向に隣接する第2フック209bから偏倚されている。少なくとも一実施形態において、フック端アセンブリ208は第1フック列および第2フック列を有し、第2フック列は、第1フック列から軸線方向かつ半径方向に偏倚されている。図7は2列のフックを備えたフック端アセンブリ208を示しているが、前記フックアセンブリは2列未満のフックまたは3列以上のフックを有し得る。前記フックはまた、編組中にフィラメントを保持するのを支援するタブ、ピン、孔、スロット、突起、および他の同様の装置であり得る。
【0040】
チューブ214は、マンドレルシャフト210およびマンドレル202と取り外し可能に係合される。いくつかの実施形態において、マンドレルアセンブリ200はさらに、マンドレルシャフト210の直径より大きな直径を有するチューブサポート212を備える。少なくとも一実施形態において、チューブサポート212はチューブ214より小さな直径を有する。いくつかの実施形態において、チューブサポート212の外面は、取り外し可能なチューブ214の内面と接触する。少なくとも1つの実施形態において、チューブ214の端部は、マンドレル202の基端204に当接する。少なくとも一実施形態において、チューブ214はマンドレル202の基端204と同一の直径を有する。
【0041】
図8は、少なくとも図2に示した実施形態の搭載バスケット108を形成するために用いられるマンドレル202の実施形態の断面図を示している。
マンドレル202は、搭載バスケット108の基端部分130、基端側移行部分132、本体部分134、先端側移行部分136および先端部分138の所望形状にそれぞれ実質的に相関する基端部分215、基端側移行部分216、本体部分218、先端側移行部分220、および先端部分222を備える。少なくとも一実施形態において、マンドレル202は、少なくとも図2に関して上述したのと同じ直径および角度を有する。
【0042】
少なくとも図8に示す実施形態において、マンドレル202はまた先端部分222から先端方向に延びる先端側シャフト224も有する。先端側シャフト224は、先端部分222の直径より小さい直径を有する。少なくとも一実施形態において、先端側シャフト224は、基端部分21の直径より大きい直径を有する。図7および図8を参照すると、フック端アセンブリ208は、フック端アセンブリの内面が先端側シャフト224の外面と係合するような管状形態を有する。少なくとも1つの実施形態において、フック端アセンブリ208も先端部分222に当接する。
【0043】
図9は、マンドレル202の実施形態の断面図を示している。この実施形態において、マンドレル202は、図3に示した把持部形状142を有する搭載バスケット108を形成するために用いることができる。少なくともこの実施形態において、マンドレル202は、先端側移行部分220と先端部分222との間に把持領域226をさらに備える。少なくとも一実施形態において、マンドレル202の基端部分21、基端側移行部分216、本体部分218、先端側移行部分220、先端部分222は、搭載バスケット108の基端部分130、基端側移行部分132、本体部分134、先端側移行部分136および先端部分138の所望形状に実質的に相関する。角度θおよび角度θは、少なくとも図2に示した搭載バスケットの角度θおよび角度θと同一の大きさを有する。
【0044】
図10A図10Dは、搭載バスケット108を作製するために用いられる編組プロセスを示している。図10Aは、マンドレルアセンブリ200上で編組された搭載バスケット108を示している。単一フィラメント230は、マンドレル202の基端204から先端206に向かって、マンドレル202の全長に沿って、らせん状に先端方向に巻き付けられる。単一フィラメントがマンドレル202の先端206に到達したならば、次に、単一フィラメント230は、搭載バスケットの先端112において1つのループ141を形成するために、フック端アセンブリ208のフック209のうちの1つの周りに巻き付けられる。次に、単一フィラメントの230は、マンドレル202の先端206からマンドレル202の基端204に向かって、マンドレル202の全長に沿って、らせん状に基端方向に巻き付けられて戻る。表面111が完全に形成されるまで、そのプロセスが繰り返される。
【0045】
少なくとも一実施形態において、完成したバスケットが適当な形状を有するように、編組部分が所望の方法でマンドレル202に接触できるようにするために、ケーブルタイ232のような保持機構が用いられる。これは編組部分が製造工程中にマンドレル202から離れて逸脱することを防止する。少なくとも一実施形態において、保持機構232は、マンドレル202の本体部分218の周囲に配置される。いくつかの実施形態において、保持機構232は分離チューブ214の基端においてマンドレルアセンブリのまわりに配置され得る。
【0046】
編組が完了したならば、マンドレルアセンブリ200は編組機から取り外される。チューブサポート212を備えたチューブ214は、図10Bに示すようにマンドレルアセンブリ20から取り外される。チューブ214が取り外されたならば、付加的な保持機構232は、基端部分215の周りに編組表面111を引き締めて、搭載バスケットの基端部分130を形成するために用いられ得る。図10Cは、搭載バスケット108の所望の基端11に配置された第1保持機構232aと、基端部分215と基端側移行部分216とが合流する位置にある第2保持機構232bとを示している。
【0047】
図10Dに示すように、次にフック端アセンブリ208はマンドレルアセンブリ200から取り外される。次に、成形リング(forming ring)の一端がマンドレル202の先端部分222に当接するように、成形リング228が先端側シャフト224上に配置される。成形リング228は搭載バスケットの先端側ループ端の直径を形成するために用いられる。いくつかの実施形態では、先端側ループ端を成形リング上に縛り付けて、搭載バスケットの先端側ループ端の適当な角度を形成するために、縫合糸が用いられる。いくつかの実施形態おいて、成形リング228は先端部分138の第1部分139と第2部分140との間に所望の角度のテーパー状の外径を有する。そのような実施形態ではて、最大外径を有する成形リングの端部は、マンドレル202の先端部分222に当接する。
【0048】
把持部形状142が所望され、かつマンドレル202が把持領域226を有する実施形態では、縫合糸または他のワイヤーは、把持領域においてマンドレルの周囲に巻き付けられ、編組表面がマンドレルの形状にほぼ一致するように引き締められる。
【0049】
最後に、マンドレルは搭載バスケット108を形状に形成するために標準温度でヒートセットされ、次いで、アニーリングが完了すると、完成した搭載バスケット108がマンドレルアセンブリから取り外される。
【0050】
図11A図11Dは、ステントをステントデリバリーシステム上に搭載するために用いられる方法を示している。図11Aは、搭載バスケット108の基端110が中間管状部材105に取り付けられているステントデリバリーシステム100を示している。搭載バスケット108は完全に拡張され、ステント114を受容する準備ができている。
【0051】
図11Bに示すように、ステント114の基端116は搭載バスケット108の管腔115内に挿入される。少なくとも1つの実施形態において、ステント114は中間管状部材105と同軸である。ステント114の外面は、少なくとも先端部分138の第2部分140において搭載バスケット108の内面と接触する。いくつかの実施形態において、ステント114の外面は、搭載バスケット108の把持部形状142において搭載バスケット108の内面と接触する。少なくともステント114がフレア状ステント(flared stent)である場合、いくつかの実施形態において、基端部分120は、完全に搭載バスケット108の本体部分134の内部に存在する。図11Bに示すように、ステント114の先端118は自由である。
【0052】
図11Cに示すように、外側管状部材106を、搭載バスケット108およびステント114の双方が半径方向に圧縮されるように、それら双方の上を摺動させる。ステントデリバリーシステムは体内管腔において所望の位置へ進められる。ステントを展開する場合、ステントを展開するために、中間管状部材105および外側管状部材106を後退させる。ステント114は管腔内で半径方向に拡張する。内側長尺状部材102、中間管状部材105(取り付けられた搭載バスケット108を含む)および外側管状部材106は、体内管腔内の所望の位置にステント114を残して、すべて後退させられる。
【0053】
任意の実施形態において、搭載バスケット108は、弾性であっても、コンプライアントであっても、またはノンコンプライアントであってもよく、あるいは特定部分が拡張および可撓性について様々な特徴および特性を有するように設計されていてもよい。
【0054】
任意の実施形態において、搭載バスケット108の内面は、搭載バスケット108とステント114との間の接触を向上するために、隆条(ridges)、リブ、隆起(bumps)、コーティング、表面アブレーション(surface abrasions)または、粗面(roughness)、および他の同様の形状構成(feature)を含むが、これらに限定されない、ステント114と相互に作用する任意の数の前記形状構成を有してもよい。いくつかの実施形態において、ステント114の外面は、搭載バスケット108とステント114との間の接触を向上するために、隆条、リブ、隆起、コーティング、表面アブレーションまたは、粗面、および他の同様の形状構成を含むが、これらに限定されない、搭載バスケット108の内面と相互に作用する任意の数の形状構成を有してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、搭載バスケット108の材料は、ステント114に対する搭載バスケット108の把持能力を向上するように選択され得る。いくつかの実施形態において、搭載バスケット108の材料はステント114に用いられる材料に関連して選択され、またその逆も正しい。
【0056】
いくつかの実施形態において、ステント114の外面は、搭載バスケット108とステント114との接触を向上させる粘着性コーティングを備えてもよい。いくつかの実施形態において、搭載バスケット108の内面は、搭載バスケット108とステント114との接触を向上させる粘着性コーティングを備えてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、ステントおよび搭載バスケットは、単にステントを固定するよう機能するが、ステントの性能には影響しない相互鎖錠(interlocking)領域を有してもよい。相互鎖錠領域の例としては、搭載バスケット上の環状溝と係合するステント上の環状隆条、搭載バスケット上の環状溝と係合するステント上の環状隆条、フック・アンド・ループ接続および他の同様の相互鎖錠機構が挙げられるが、これらに限定されるものではない。搭載バスケットのステントに対する把持を向上するために、任意の数の形状構成が、搭載バスケット108、ステント114、またはそれらの双方の上に備えられてもよい。
【0058】
一実施形態において、上述した搭載バスケットを製造するためのマンドレルアセンブリが提供される。マンドレルアセンブリは、基端部分、基端側移行部分、基端側本体部分、先端側移行部分、先端側本体部分、および先端部分を有するマンドレルを備える。少なくとも一実施形態において、マンドレルアセンブリは、リングの外面上に複数のフックを備えたリングを有する取り外し可能なフック端アセンブリをさらに備える。少なくとも一実施形態において、マンドレルアセンブリは、マンドレルの基端側本体部分の直径に相当する直径を有する取り外し可能なチューブをさらに備える。少なくとも一つの実施形態において、マンドレルは、先端側移行部分と先端部分との間に把持領域をさらに備える。
【0059】
少なくとも一実施形態において、搭載バスケットを製造する方法が提供される。前記方法は、マンドレルアセンブリを有する編組機を用いて搭載バスケットを編組することを含む。マンドレルアセンブリは、マンドレル、取り外し可能なチューブおよび取り外し可能なフック端アセンブリを備える。マンドレルは基端部分、基端側移行部分、基端側本体部分、先端側移行部分、先端側本体部分、および先端部分を備える。取り外し可能なチューブはマンドレルの基端側本体部分の直径に相当する直径を有する。取り外し可能なチューブは、マンドレルの本体部分に当接し、そこから基端方向に延びる。取り外し可能なフック端アセンブリは先端部分に当接する。少なくとも一実施形態において、前記方法はさらに、搭載バスケットが編組された後、編組機からマンドレルアセンブリを取り外すことを含む。少なくとも一実施形態において、前記方法はさらに、マンドレルアセンブリから取り外し可能なチューブを取り外すことを含む。少なくとも一実施形態において、前記方法はさらに、編組された搭載バスケットおよびマンドレルアセンブリのまわりに少なくとも2つの保持機構を配置することを含み、第1保持機構は搭載バスケットの所望の基端に位置し、第2保持機構は基端部分と基端側移行部分とが合流する所に位置する。少なくとも一実施形態において、前記方法はさらに、マンドレルアセンブリからフック端アセンブリを取り外すことを含む。少なくとも一実施形態において、前記方法はさらに、先端部分の先端においてテーパー状の外径を有する成形リングを挿入することを含み、成形リングは先端部分に当接する。少なくとも一実施形態において、前記方法はさらに、熱を加えることを含む。少なくとも一実施形態において、前記方法はさらに、搭載バスケットから成形リングおよびマンドレルアセンブリを取り外すことを含む。
【0060】
少なくとも一実施形態において、ステント搭載領域において第1部材に取り付けられた搭載バスケットを有するステントデリバリーシステム上にステントを搭載し、前記システムからステントを送達する方法が提供される。前記方法は、ステントの外面が搭載バスケットの内面と接触するように、ステントの基端を搭載バスケットの本体に挿入することと、搭載バスケットは基端部分、基端側移行部分、基端側本体部分、先端側移行部分、先端側本体部分、および先端部分を備えることと、先端部分は、搭載バスケットの先端側本体部分の直径から先端における直径まで漸減する直径を有し、先端における直径は先端側本体部分の直径よりも小さいことと、搭載バスケットおよびステントの双方が半径方向に圧縮されるように、それらの双方の上に第2部材を摺動させることと、ステントデリバリーシステムをステントの送達のための体内管における所望の位置に進めることとを含む。少なくとも一実施形態において、前記方法はさらに、搭載バスケットおよびステントの双方を半径方向に拡張させるために、少なくとも第2部材を後退させることを含む。少なくとも一実施形態において、体内管から第1部材および搭載バスケットを後退させることを含む。少なくとも一実施形態において、前記方法はさらに、少なくともステントが拡張することを可能にするために第3部材を後退させることを含む。
【0061】
これで本発明の好ましい実施形態および代替実施形態の説明を完結する。当業者は本願に記載した特定の実施形態に対する他の均等物を認識し得、その均等物は本願に添付された特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【0062】
上記の開示は、例示であり、網羅的なものではないことが意図される。本記載は、当業者に多くの変形例および別例を示唆するであろう。個々の図面に示し、上記で説明した様々な要素は、所望により、組み合わされてもよいし、または組み合わせるために変更されてもよい。これらの別例および変形例はすべて特許請求の範囲内に含まれることが意図され、特許請求の範囲では、「備える(comprising)」という用語は「含むが、それに限定されるものではない(including, but not limited to)」ことを意味する。
図1
図3
図4
図5
図6
図7
図10A
図10C
図10D
図11A
図11D
図2
図8
図9
図10B
図11B
図11C