特許第6014056号(P6014056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014056コーヒーの煎出物を調製するための交換可能なカプセル及びコーヒーの煎出物を得るための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014056
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】コーヒーの煎出物を調製するための交換可能なカプセル及びコーヒーの煎出物を得るための方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20161011BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A47J31/06 320
   A47J31/06 210
   A47J31/36 120
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-555987(P2013-555987)
(86)(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公表番号】特表2014-511244(P2014-511244A)
(43)【公表日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】IB2012051012
(87)【国際公開番号】WO2012117383
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2015年2月19日
(31)【優先権主張番号】BO2011A000101
(32)【優先日】2011年3月2日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】513220355
【氏名又は名称】マキャヴェッリ ソシエタ.レスポンサビリタ.リミタ−タ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ロンデリ,ラファエレ
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−061663(JP,A)
【文献】 特表2009−511142(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/037868(WO,A1)
【文献】 実開昭61−172061(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーの煎出物を調製するために粉末コーヒーの塊を収容するのに適したカプセルであって、
蓋によって閉塞される容器を含み、該容器は、コーヒー/熱水煎出物の濾過手段を備え、
前記粉末コーヒーの塊は、中央煙突を取り囲む環状空間内に配置されること、及び、
前記煎出水は、少なくとも1つの中間煎出段階の間に、先ず垂直濾過手段を通過して、前記環状空間から前記中央煙突に向かって集束し、
前記煎出水は、底で閉塞される供給井戸内に得られる複数の貫通開口を用いて前記粉末コーヒーの塊に向かって供給されることを特徴とする、
カプセル。
【請求項2】
前記煎出水は、前記蓋上に得られる少なくとも1つの穴を用いて前記粉末コーヒーの塊に向かって供給されることを特徴とする、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
高温の前記煎出水は、前記複数の貫通開口を通過した後に、迷路に沿って流れることを特徴とする、請求項に記載のカプセル。
【請求項4】
前記垂直濾過手段は、複数の垂直突起を含み、該垂直突起の各対は、溝の形状を備える夫々の貫通開口によって分離されることを特徴とする、請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項5】
チャンバが前記容器の底部に設けられ、前記垂直濾過手段を偶発的に通過しようとし得る可能なコーヒー粉末を停止させるのに適した更なる濾過手段を少なくとも部分的に備えることを特徴とする、請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項6】
チャンバが前記容器の底部に設けられ、ショウズク、シナモン、又は朝鮮人参のような、他のエキスで充填されるポッドのような手段によって少なくとも部分的に係合されることを特徴とする、請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項7】
コーヒーの煎出物を得る方法であって、
(f1)請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のカプセルを提供するステップと、
(f2)前記蓋の貫通穴から熱水が流れ、コーヒー機械に属するノズルから前記供給井戸内に噴射されるステップと、
(f3)前記ノズルから来る前記熱水は、前記供給井戸の開放環状リップ及び前記蓋の内表面に設けられる環状シートが連結されるときに、先ず、前記貫通開口を横切るようにさせられ、次に、迷路に従うようにさせられ、そして、前記粉末コーヒーの塊の内側に重力によって流れるようにさせるステップと、
(f4)前記コーヒーの煎出物を前記垂直濾過手段に通過させ、前記煎出物を中央煙突に向かって集束させるステップと、
(f5)前記コーヒーの煎出物を収集器に向かって流れさせるステップと、
によって特徴付けられる、
方法。
【請求項8】
前記煎出物の更なる濾過ステップを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ショウズク、シナモン、又は朝鮮人参のような、少なくとも1つのエキスを収容する手段を通じた前記煎出物の通過の更なるステップを含むことを特徴とする、請求項又はに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1に、粉末製品からコーヒー、特にアメリカンコーヒー(アメリカ式コーヒー)の煎出物を調製するための交換可能なカプセルに関する。本発明は、コーヒー、特にアメリカンコーヒーの煎出物を調製するための革新的な方法にも関する。
【0002】
本発明は、有利には、(普遍性を失うことなく以下の記載が明示的に言及する)アメリカンコーヒーの煎出物を調製するための交換可能なカプセルに非限定的に用途を有するが、本発明の教示を如何なる種類のコーヒー用の交換可能なカプセル、例えば、エスプレッソコーヒー用の交換可能なカプセルにも適用可能である。
【背景技術】
【0003】
既知であるように、アメリカンコーヒーとして定義付けられるのは、特定の機械の使用によって達成される煎出物であり、そこでは、熱水(高温水)が押圧されない挽いたコーヒーを収容するフィルタを通過し、下にあるカラフ(ポット)内に重力によって沈積させられる。
【0004】
そのような飲料を調製するために使用されるコーヒーは、より粗い方法において粉砕され且つカプセル内にあるときに如何なる事前圧縮にも晒されないという事実の故に、モカ又はイタリアンエスプレッソ機械において使用されるコーヒーと異なる。
【0005】
アメリカンコーヒーを調製するために特に作製された商業的に入手可能な機械があり、それは極めて簡単な操作によって特徴付けられている。
【0006】
実際には、前記機械は、水タンクと、内部にコーヒーを収容する紙フィルタを備える容器内に加熱水を送るポンプとを有する。熱水はコーヒーを浸水させ、フィルタ紙を通過し、下にある適切なカラフ内に重力によって落ちる。飲料は特別な電気保温プレートによって加熱されるので、カラフは飲料を長時間に亘って高温に維持するのに適する。
【0007】
皿形状のフィルタが使用者によって手で充填される伝統的なアメリカ式のコーヒーメーカーに加えて、カプセルが近年市場に現れており、押圧されないコーヒーで部分的に充填された紙フィルタが挿入される外側ケーシングを提示している。
【0008】
特別な濾過機を用いて、コーヒー粉末を浸出する熱水の流れを創り出すために、プラスチック材料の蓋及び底部は穿孔される。
【0009】
しかしながら、現在市場にあるアメリカンコーヒーカプセルは確実に作動しない。実際には、底部に配置されるフィルタのみを普通は提供して、入ってくる熱水は実質的に垂直な優先的な流体ネジ山に沿って流れるよう誘導され、従って、それはカプセル内に収容される挽いたコーヒーの塊全体に影響を及ぼさない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の主目的は、上述の不利点のない交換可能なコーヒーカプセルを提供することである。
【0011】
本発明の更なる目的は、コーヒーを得るための革新的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明によれば、請求項1又は請求項1に直接的又は間接的に従属する請求項において請求されるような交換可能なカプセルを作製する。
【0013】
本発明の原理に一貫して従って、請求項8又は請求項8に直接的又は間接的に従属する請求項において請求されるようなコーヒーを得るための革新的な方法を提供する。
【0014】
本発明のより良好な理解のために、限定の目的ではなく、純粋に例示によって、添付の図面の助けを受けて、ある実施態様を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に従った交換可能なコーヒーカプセルを示す三次元図である。
図2図1のカプセルを示す第1の縦断面図である。
図3図1のカプセルに属する容器を示す縦断面図である。
図4図1のカプセルに属するコーヒー容器を上から示す三次元図である。
図5図4の容器を底から示す三次元図である。
図6図1のカプセルの一部拡大された詳細を示す拡大図及び相対倍率図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1−5には、本発明の教示に従った交換可能なカプセル100の好適な実施態様が例示されている。
【0017】
交換可能なカプセル100は、上で付与した定義に従ったアメリカンコーヒーの調製のために特定の量の粉末コーヒーをその内側に収容するのに適している。
【0018】
交換可能なカプセル100は、既知のシステムによって蓋102によって閉じられる容器101を含む。
【0019】
次に、容器101は、実質的に切頭円錐形を有し且つ長手対称軸(Y)を有する側壁105を含む。
【0020】
容器101全体をアメリカ式のコーヒー機械(図示せず)に形成される特別な受口内に収容し得ることを保証するために、容器101の第1の端部101Aで、円形の冠形状の支持縁部103が突出している。側壁105及び相対的な支持縁部103は、既知の種類の食品に適したプラスチック材料で一体形に作製されるのが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。
【0021】
側壁101の外表面は、側壁105自体の構造を強化するために、リブ104も提示し得る(図1)。
【0022】
再び図1に示されているように、容器101の第2の端部101B付近には、チャンバ110が設けられており、チャンバ110は、容器101自体の底部の引抜きで作製される
【0023】
本実施態様の場合、容器110は、実質的に切頭円錐形を有し、側壁111によって並びに実質的に円形冠の形状の第1の底部112によって定められている。
【0024】
容器101は、その下方部分において同様に円形冠の形状の第2の底部105Aによって閉じられている。第2の底部105Aは、第1の底部112が位置する平面と平行な平面に位置している(図2)。
【0025】
第1の底部112は、円形穴113を更に備え、円形穴113の中心は、対称軸Yの上に配置される。第1の底部112から上向きに外れているのは、複数の垂直突起114である。
【0026】
各対の垂直突起114の間には、相対的な貫通開口115が定められ、貫通開口115は、熱水/コーヒー煎出物の通過を可能にする。
【0027】
明らかに、ノッチの形態であるのが有利な各貫通開口115の幅は、高温煎出物によって運ばれる挽いたコーヒーの顆粒の通過を可能な限り阻止するように計算される。
【0028】
従って、垂直突起114及び開口115の組は、空間(SP)から出てくるコーヒーの煎出物及び中央煙突180内に入って来るコーヒーの煎出物を濾過するのに適した垂直フィルタ(FT)を構成する。
【0029】
次に、垂直突起114は、供給井戸120を支持する。供給井戸120は、蓋102で終端し(以下を参照)、常に対称軸(Y)を有し、供給井戸120の表面には、後により良好に見られる目的のための貫通開口121がある。供給井戸120は、その底部で円形基部122によって閉じられている。
【0030】
加えて、垂直突起114は、各々が段114Aを提示する段付きプロファイル151を有するのが有利である(図2)。
【0031】
図2に示すように、蓋102は、供給井戸120に貫通穴151を備える。
【0032】
図6により詳細に示すように、熱水がカプセル100内に進入するための迷路125を定めるよう、供給井戸120の開放環状リップ123が蓋102の内表面に設けられる環状シート152内に収容される(以下を参照)。
【0033】
従って、粉末コーヒーの塊(MC)は、側壁105の内表面、垂直突起114の外表面、並びに、側壁11の外表面及び2つの底部105A,112の外表面との間に含められる、環状空間(SP)内に収容される。
【0034】
また、容器101内には中央煙突180が形成され、中央煙突180は、頂部では底部122によって境界付けられ、下方では底部112,105Aによって境界付けられ、横方向では垂直突起114によって並びに側壁111によって境界付けられていることに留意のこと。
【0035】
迷路125は容器101の内部に向かう熱水の流出を保証するが、貫通開口121からの粉末コーヒーの逆流を防止することも注意のこと。
【0036】
本発明のカプセル100の動作は以下の通りである(図2及び図6)。
(a)蓋102の貫通穴151から(矢印(F1))、コーヒー機械(図示せず)に属するノズル(図示せず)から噴射される熱水が供給井戸120内に流入する。
(b)環状リップ123と環状シート152とは結合されるので、ノズルから来る熱水は、第1に、貫通開口121を横断させられ、次に、迷路125に従わされ(矢印(F2))、重力によって粉末コーヒーの塊(MC)の内側に流させられる(矢印(F3))。
(c)次に、煎出物が粉末コーヒーの粒子を常に環状空間(SP)内に保持する垂直フィルタ(FT)の開口115から出る(矢印(F4))。
(d)最終的に、熱水中のコーヒーの煎出物は、中央煙突180に向かって収束し(矢印(F5))、次に、煎出物は、例示しない既知の種類の収集器、例えば、グラス又はカラフに流れる(矢印(F6))。
【0037】
図示しない更なる実施態様では、垂直フィルタ(FT)の開口115を偶発的に通過しようとする煎出物の流れによって運ばれるコーヒーの如何なる粒子をも保持するのに適した追加的なフィルタ(図示せず)が、チャンバ110を少なくとも部分的に占めるのが有利であるが、必ずしもそうである必要はない。
【0038】
図示しない他の実施態様では、少なくとも1つの他のエキス、例えば、ショウズク、シナモン、朝鮮人参等で充填される濾過ポッドが、チャンバ110を少なくとも部分的に占める。従って、下にあるポッドも通過する熱水中のコーヒーの煎出物は、ポッド自体内に収容される生成物のエキスも抽出する。
【0039】
図示しない他の実施態様において、煎出用の熱水は、供給井戸120からよりもむしろ、既知のシステムによって蓋102を通じて作製される少なくとも1つの穴から進入し得る。
【0040】
本発明は、飲料煎出物、特にアメリカンコーヒーの煎出物を得るための方法にも関し、当該方法は、
(f1)挽いたコーヒーの容器の内側に特定の量の熱水を噴射するステップ(矢印(F1))と、
(f2)容器の外周縁に向かって容器の内側に熱水を流させるステップ(矢印(F2))と、
(f3)環状空間内に配置される粉末コーヒーの塊の内側に重力によって熱水を流させるステップ(矢印(F3))と、
(f4)煎出物を垂直濾過手段に通過させ(矢印(F4))、煎出物を中央煙突に向かって収束させるステップ(矢印(F5))と、
(f5)コーヒーの煎出物を収集器に向かって流させる(矢印(F6))と、
によって特徴付けられる。
【0041】
本方法は、煎出物の更なる濾過ステップを更に含み得る。
【0042】
その上、本方法は、ショウズク、シナモン、又は朝鮮人参のような、少なくとも1つのエキスを収容する手段を通じて煎出物を通過させるステップを更に含み得る。
【0043】
本発明の使い捨て式のカプセル物体の利点は以下の通りである。
【0044】
− 本発明のカプセル物体が中央井戸を有し、機械の単一の噴流から来る熱水の第1の進入は中央井戸から起こるのが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。よって、熱水は挽いたコーヒーの塊中に均等に分配され、この機能はカプセル内への水の分配を均一で一定の方法において制御することを可能にする。
【0045】
− カプセルの底部、或いは、むしろコーヒーを収容する区画の底部は閉じられ、故に、底部にあるフィルタ又は底部自体を通じる穿孔の結果として創成される単一の開口を有する市場で既知の他のカプセルで代わりに起こるような、煎出中の垂直の優先的な水の流出は回避される。
【0046】
− 煎出物の濾過領域は、底部にのみ配置されるコーヒー用のフィルタを予想するカプセルと比較してより大きな濾過領域を有するよう、中央煙突について実質的に垂直である。加えて、この垂直濾過は、煎出されるべき製品の取込み(exploitation)を向上させる乱流の効果を創成する。
【0047】
− 本発明のカプセル物体を用いるならば、水の進入及び製品自体に従った製品の排出を検量することによって、より多くの製品を変換することが可能である。
【0048】
− カプセルは多数の区画を備える一体形に作製され、よって、カプセル自体の工業化のために包装機械を単純化するのが有利である。
【0049】
− その使用のために穿孔されなければならないという特徴を有しない本発明のカプセル物体を、酸素を排除し且つ製品の酸化プロセスを回避する窒素で充填されるバッグ(袋)内に詰め込み得る。よって、本発明のカプセル物体は、挽いた製品の酸化プロセスの望ましくない原因である排除し難い酸素のポケットを挽いた製品と閉塞底部との間に生み出す市場にあるカプセルの殆ど全てと異なる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6