特許第6014071号(P6014071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECプラットフォームズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6014071-通信装置及びアンテナ装置 図000002
  • 特許6014071-通信装置及びアンテナ装置 図000003
  • 特許6014071-通信装置及びアンテナ装置 図000004
  • 特許6014071-通信装置及びアンテナ装置 図000005
  • 特許6014071-通信装置及びアンテナ装置 図000006
  • 特許6014071-通信装置及びアンテナ装置 図000007
  • 特許6014071-通信装置及びアンテナ装置 図000008
  • 特許6014071-通信装置及びアンテナ装置 図000009
  • 特許6014071-通信装置及びアンテナ装置 図000010
  • 特許6014071-通信装置及びアンテナ装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014071
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】通信装置及びアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/42 20060101AFI20161011BHJP
   H01Q 5/10 20150101ALI20161011BHJP
   H01Q 5/357 20150101ALI20161011BHJP
【FI】
   H01Q9/42
   H01Q5/10
   H01Q5/357
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-58495(P2014-58495)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-185910(P2015-185910A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2015年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】土屋 正登
【審査官】 米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/027824(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0141536(US,A1)
【文献】 国際公開第2005/069439(WO,A1)
【文献】 特表2014−534767(JP,A)
【文献】 特開2007−194995(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/059088(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0001815(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0201067(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0113666(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/42
H01Q 5/10
H01Q 5/357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリットリング部とインピーダンス制御部と給電部とを有し、第一の共振周波数を有するスプリットリング共振器アンテナと、
LC並列回路又は第一のインダクタを介して前記スプリットリング共振器アンテナと接続されたアンテナ素子と、を有し、
前記給電部、前記LC並列回路又は第一のインダクタ、及び前記アンテナ素子により形成される第二の共振周波数は、前記第一の共振周波数とは異なり、
前記インピーダンス制御部と、前記スプリットリング共振器のグランドとを接続する第二のインダクタを有し、当該第二のインダクタを制御することにより前記アンテナ素子の放射抵抗を調整する、ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記給電部は前記スプリットリング部と前記インピーダンス制御部との間に設けられる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記スプリットリング共振器アンテナ及び前記アンテナ素子は同一基板上に設けられている、請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記アンテナ素子は、前記スプリットリング共振器アンテナより、隅となる位置に設けられる、請求項1乃至のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
スプリットリング部とインピーダンス制御部と給電部とを有し、第一の共振周波数を有するスプリットリング共振器アンテナと、
LC並列回路又は第一のインダクタを介して前記スプリットリング共振器アンテナと接続されたアンテナ素子と、を有し、
前記給電部、前記LC並列回路又は第一のインダクタ、及び前記アンテナ素子により形成される第二の共振周波数は、前記第一の共振周波数とは異なり、
前記インピーダンス制御部と、前記スプリットリング共振器のグランドとを接続する第二のインダクタを有し、当該第二のインダクタを制御することにより前記アンテナ素子の放射抵抗を調整する、ことを特徴とするアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の周波数帯で動作する通信装置及びアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信機器には小型化や低コスト化が望まれており、アンテナにも同様に小型化や低コスト化が要求されている。また、アンテナの配置については、周辺の電子部品やグランドから遠ざける、すなわちアンテナ領域を広げる方が、特性が良くなる。しかし、スマートフォンに代表される高機能な電子機器では、アンテナの他に搭載する部品点数が多く、アンテナ領域を十分に確保することができる位置にアンテナを配置することができない場合がある。
【0003】
そこで、小型で、かつ多層化プリント基板上の外周であれば何処に配置してもアンテナとして機能するスプリットリング共振器(SRR:Sprit Ring Resonator)アンテナを適用することが提案されている。SRRアンテナは基板上の配線パターンにより形成されるため、追加コストも不要である。SRRアンテナは、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
一方、近年、デジタルカメラやプリンター等の電子機器への無線通信機能の搭載が増えている。また、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)と呼ばれ、あらゆる電子機器をインターネットに接続する取り組みも進んでいる。電子機器をインターネットに接続する手段としては無線LAN(Local Area Network)やWi−Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)がある。無線LANは2.4GHz帯と5GHz帯で使用可能であるため、両方の帯域に対応するアンテナが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2013/027824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、関連技術には以下の問題があった。すなわち、SRRアンテナを基板の隅に実装した場合、アンテナ領域を十分に確保することができないためアンテナの性能が劣化する。この劣化は、周波数が低いほど大きくなる。SRRアンテナを基板の隅に実装することによる性能の劣化は、アンテナサイズを大きくすることで緩和することができる。しかし、アンテナサイズを大きくすることは、配線パターンや部品位置の変更、または製品のデザイン変更やサイズアップを招く可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、上述の課題を解決する通信装置及びアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の通信装置は、スプリットリング部とインピーダンス制御部と給電部とを有し、第一の共振周波数を有するスプリットリング共振器アンテナと、LC並列回路又は第一のインダクタを介してスプリットリング共振器アンテナと接続されたアンテナ素子と、を有し、給電部、LC並列回路又は第一のインダクタ、及びアンテナ素子により形成される第二の共振周波数は、第一の共振周波数とは異なることを特徴とする。
【0009】
本発明のアンテナ装置は、スプリットリング部とインピーダンス制御部と給電部とを有し、第一の共振周波数を有するスプリットリング共振器アンテナと、LC並列回路又は第一のインダクタを介してスプリットリング共振器アンテナと接続されたアンテナ素子と、を有し、給電部、LC並列回路又は第一のインダクタ、及びアンテナ素子により形成される第二の共振周波数は、第一の共振周波数とは異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の帯域に対応し、且つSRRアンテナ単体と同じサイズで十分なアンテナ特性を得ることのできる通信装置及びアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】第1の実施形態にかかるアンテナ装置1000の構成を示す平面図である。
図1B】第1の実施形態にかかるアンテナ装置1000の構成を示す平面図である。
図2】第1の実施形態にかかるアンテナ装置1000のリターンロス特性を示す図である。
図3】第1の実施形態にかかるアンテナ装置1000の放射特性を示す図である。
図4】SRRアンテナを基板の中央に配置した場合のリターンロス特性を示す図である。
図5】SRRアンテナを基板の中央に配置した場合の放射特性を示す図である。
図6】SRRアンテナを基板の隅に配置した場合のリターンロス特性を示す図である。
図7】SRRアンテナを基板の隅に配置した場合の放射特性を示す図である。
図8】第2の実施形態にかかるアンテナ装置2000の構成を示す平面図である。
図9】第2の実施形態にかかるアンテナ装置2000のリターンロス特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の実施形態にかかるアンテナ装置は、例えばIEEE802.11a/b/g/nに対応したポータブルルータでの使用が考えられる。
【0013】
図1A及び1Bは、第1の実施形態にかかるアンテナ装置1000の構成を示す平面図である。本実施形態では、アンテナ装置1000を基板の隅に実装した例を示す。
【0014】
以下の説明で、基板の隅とは、基板の一辺とそれに接する他辺が交わる角の部分を占める領域、基板の端部とは、その隅の領域においてより終端部を占める領域を指すものとする。
【0015】
アンテナ装置1000は、第一の共振周波数を有するスプリットリング共振器アンテナ110と、第一の共振周波数とは異なる第二の共振周波数を有するアンテナ素子120とを有する。
【0016】
図1Aの長破線で囲まれるスプリットリング共振器(SRR)アンテナ110は、スプリットリング部111とインピーダンス制御部113と給電部112とを備える。
【0017】
スプリットリング部111、インピーダンス制御部113、給電部112は、プリント基板(基板)100に銅箔で描画印刷されている。図1Aにおいて灰色で示されている部分には銅箔が設けられており、白色で示されている部分には銅箔が設けられていない。白色で示されている部分は基板が削除され基板誘電材101により満たされている。
【0018】
図1Aの破線で囲まれるスプリットリング部111は、その周囲の一部にスプリット部(開口部)を有する。開口部では、間隙を挟んで銅箔パターンが対向している。開口部はコンデンサの機能を有し、SRRアンテナ110のキャパシタンスを大きくするために設けられる。
【0019】
図1Aの一点鎖線で囲まれるインピーダンス制御部113は、RF回路(図示せず)とのインピーダンス整合性を制御し、アンテナ装置1000の放射抵抗を制御する機能を有する。
【0020】
給電部112には、同軸ケーブル又はマイクロストリップライン等、アンテナ装置1000に電波を損失なく伝送する伝送線路が接続される。
【0021】
アンテナ素子120は、一般的なモノポールアンテナである。
【0022】
SRRアンテナ110とアンテナ素子120とは、LC並列回路(フィルタ)又はインダクタ(第一のインダクタ)L1を介して接続されている。図1A及び1Bでは、SRRアンテナ110とアンテナ素子120とがフィルタ121を介して接続されている例を示している。
【0023】
フィルタ121は、SRRアンテナ110が有する共振周波数を十分に減衰するカットオフ周波数を有するように調整される。
【0024】
アンテナ領域とは、アンテナをパターニングするために、基板グランドを形成した領域であり、図1Bに示す破線の領域を示す。
【0025】
一般的なモノポールアンテナの長さ[m]は、次の式1で求められる。cは光速[m]、fは周波数[MHz]を表す。
長さ=(c/f)/4・・・・・(式1)
また、モノポールアンテナの等価回路であるLC直列共振回路における共振周波数は、次の式2で求められる。π(パイ)は円周率を表す。
f=1/(2π√(LC))・・・・・(式2)
式1及び式2より、フィルタ121を構成するインダクタL又はインダクタL1は、モノポールアンテナであるアンテナ素子120の短縮に寄与することがわかる。
【0026】
モノポールアンテナの長さは、2.4GHzではおよそ3.125[cm]となる。
【0027】
続いて、アンテナ装置1000の動作について説明する。
【0028】
周波数fのRF信号が入力されたSRRアンテナは、それぞれの開口部の開口縁に沿ってスプリットリング部をリング状に流れる電流によって生じるインダクタンスLと、開口部に生じるキャパシタンスCとからなるLC直列共振回路として、上述の式2に基づいて、入力されたRF信号を共振させる。
【0029】
前提として、SR共振器アンテナ110の共振周波数がf1、アンテナ素子120の共振周波数がf2に設定されているものとする。ここで、f2はf1と異なる周波数であり、以下では、f1がf2より高帯域である例について説明する。また、RF回路(図示せず)は、期間を分けて周波数f1のRF信号とf2のRF信号をそれぞれ出力するものとする。
【0030】
RF回路が給電部112に周波数f1のRF信号を出力すると、給電部112はRF回路から入力された当該RF信号を反射なく伝搬し、RF電力をSRRアンテナ110に出力する。当該RF信号を入力されたSRRアンテナ110は上述の通りLC直列共振回路を形成し、入力されたRF信号を共振させる。この現象に基づき周波数f1の電磁波信号を中空に放射する。なお、周波数f1のRF信号はフィルタ121により減衰されアンテナ素子120には流れない。
【0031】
以上のようにして、アンテナ装置1000は周波数f1の電磁波を中空に放射するアンテナとして機能する。
【0032】
一方、給電部112に周波数f2のRF信号が入力されると、給電部112とフィルタ121とアンテナ素子120とが入力されたRF信号を共振させる。この現象に基づき周波数f2の電磁波信号を中空に放射する。
【0033】
以上のようにして、アンテナ装置1000は周波数f2の電磁波を中空に放射するアンテナ装置としても機能する。
【0034】
続いて、アンテナ装置1000の特性について説明する。図2はアンテナ装置1000のリターンロス特性、図3は放射特性を示す図である。
【0035】
リターンロス特性は、アンテナ装置の性能を図る指標の一つであり、給電部112にネットワークアナライザを接続して測定する。リターンロス特性は、値が小さいほどアンテナ装置の性能がよいことを示し、リターンロスが−5dBを下回ればアンテナとして機能する。
【0036】
放射特性(放射効率)も、同じくアンテナ装置の性能を図る指標の一つであり、アンテナ装置に入力された電力に対するアンテナ装置から中空に電波となり出力された電力の割合で求められる。放射効率は、値が大きいほどアンテナ装置の性能がよいことを示す。
【0037】
図2より、アンテナ装置1000の2.4GHzと5.15GHzにおけるリターンロスが−5dB以下であることがわかる。すなわち、アンテナとして機能していることがわかる。また、図3より、アンテナ装置1000の放射効率は2.4GHzにおいて−3.0dB、5.15GHzにおいて−3.0dBであることがわかる。
【0038】
ここで、比較のため、SRRアンテナを基板端の中央に実装した場合のリターンロス特性(図4)及び放射特性(図5)並びに、SRRアンテナを基板の隅に実装した場合のリターンロス特性(図6)及び放射特性(図7)を示す。なお、比較に用いるSRRアンテナのアンテナ領域と図1に示したアンテナ装置のアンテナ領域は同一である。
【0039】
図4及び6より、2.4GHzにおけるリターンロスがともに−5dB以下であることがわかる。すなわち、SRRアンテナを基板端の中央に実装した場合及び基板の隅に実装した場合においても、アンテナとして機能していることがわかる。
【0040】
図5より、SRRアンテナを基板端の中央に実装した場合の2.4GHzにおける放射特性は−2.5dBであることがわかる。また、図7より、SRRアンテナを基板の隅に実装した場合の2.4GHzにおける放射効率は−5.6dBであることがわかる。図5図7とを比較すると、SRRアンテナを基板の隅に実装することにより、アンテナの性能が劣化することがわかる。
【0041】
また、図3図5とを比較すると、本実施形態にかかるアンテナ装置1000であっても、SRRアンテナを基板端の中央に実装した場合と同様の性能を確保することができることがわかる。すなわち、アンテナ装置1000は、基板の隅に実装されたとしても十分な性能を示すことがわかる。
【0042】
本実施形態にかかるアンテナ装置1000は、SRRアンテナ110と当該SRRアンテナ110とフィルタ又はインダクタを介して接続されているアンテナ素子120とを有する。これにより、SRRアンテナを基板の隅に実装してもアンテナ特性を確保することができる周波数帯(上記説明では高周波数帯域)についてはSRRアンテナを用い、アンテナ特性を確保することができない周波数帯(上記説明では低周波数帯域)についてはSRRアンテナ、共振回路及びアンテナ素子により十分なアンテナ特性を確保することができる。この結果、複数の帯域に対応し、且つSRRアンテナ単体と同じサイズで十分なアンテナ特性を得ることのできるアンテナ装置を実現することができる。
【0043】
ここで、基板の端部からアンテナ素子、SRRアンテナとなる配列で形成したアンテナ装置について説明したが、配列はいずれであっても、共振周波数をSRRアンテナに対し、より低帯域となるよう割り当てることができればよい。すなわち、基板の端部からSRRアンテナ、アンテナ素子となる配列で形成することもできる。
【0044】
なお、基板の端部からアンテナ素子、SRRアンテナとなる配列でアンテナ装置を形成する方が、アンテナ素子、SRRアンテナとなる配列で形成する場合と比較して実装面積を削減することができる。
【0045】
基板の端部からSRRアンテナ、アンテナ素子とする配列とした場合には、SRRアンテナ配置側と反対側の基板に対し、基板グランドを形成する必要が生じ、結果として、アンテナ領域を広く取る必要が生じる。
【0046】
また、SRRアンテナは、基板の端部からの距離は大きいほど、特性が改善されることから、距離を確保するために、基板の端部から、アンテナ素子、SRRアンテナとなる配列にアンテナを形成する方がより特性改善を図ることが可能となる。
【0047】
上記実施形態において、アンテナ装置100の放射抵抗はSRRアンテナ110のインピーダンス制御部113により調整される。しかし、インピーダンス制御部113のループ径を変更するとSRRアンテナ110の特性に影響を与えてしまう。そのため、周波数f1とf2のマルチバンドでアンテナ装置を使用する場合、インピーダンス制御部113と基板(グランド)100とを接続するインダクタ(第二のインダクタ)L2を設け当該インダクタL2を制御することにより、アンテナ装置100の放射抵抗を調整することが好ましい。
【0048】
上述の動作の説明では、RF回路は、期間を分けて周波数f1、f2のRF信号を個々に出力するように記載した。この他、周波数f1及びf2のRF信号を重畳して同時に出力してもよい。
【0049】
また、アンテナ装置1000が無線信号の送信側として電磁波を放射するアンテナ装置である場合を説明した。この他、アンテナ装置1000は無線信号の受信側として電磁波を受信することも可能である。すなわち、アンテナ装置1000は、外部から中空を伝搬する周波数f1またはf2の電磁波を受信して、当該受信したRF信号をRF回路(受信回路)へと出力することもできる。この場合の動作手順は、上述した放射する際の動作と逆の手順となる。
【0050】
通信機能を備えた無線通信装置に上述のアンテナ装置1000を少なくとも一つ備えることにより、無線通信装置全体の小型化も可能となる。
【0051】
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態にかかるアンテナ装置2000の構成を示す平面図である。アンテナ装置2000においては、第1の実施形態にかかるアンテナ装置1000において給電部をスプリットリング部とインピーダンス制御部との間に設けた構成である。また、フィルタ121に代えてエレメント調整用のインダクタ(第一のインダクタ)L1を介してSRRアンテナ210とアンテナ素子220を接続している。さらに、SRRアンテナ210に対するアンテナ素子220の接続位置も変更している。
【0052】
図9は、アンテナ装置2000のリターンロス特性を示す図である。図9より、2.4GHzと5CHzにおいて−5dB以下となっており、アンテナとして機能していることがわかる。
【0053】
本実施形態にかかるアンテナ装置2000においても、複数の帯域に対応し、且つSRRアンテナ単体と同じサイズで十分なアンテナ特性を得ることのできるアンテナ装置を実現することができる。
【0054】
なお、アンテナ装置2000において、給電部212とスプリットリング部211との接続位置AをSRRアンテナ210の腕部Bに沿って移動させることにより、インピーダンス整合回路を挿入することなく給電部212とSRRアンテナ210とのインピーダンスを整合することが可能である。
【0055】
[他の実施形態]
以上述べた実施形態では、SRRアンテナとアンテナ素子を同一基板上に設け、SRRアンテナのスプリットリング部、インピーダンス制御部、給電部を同一基板上に設けた例について説明した。この他、プリント基板を層状に複数設け、別々の層にそれぞれの構成を設けてもよい。この場合、導体ビアを用いて各層を電気的に接続する。また、SRRアンテナを構成する導体パターンを同形状、同位置でプリント基板の上下複数層に形成し、層間を導体ビアで接続してもよい。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含むことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
1000、2000 アンテナ装置
101 基板誘電材
100 基板(グランド)
110 スプリットリング共振器アンテナ
111 スプリットリング部
112 給電部
113 インピーダンス制御部
120 アンテナ素子
121 LC並列回路(フィルタ)又はインダクタ(第一のインダクタ)L1
L2 インダクタ(第二のインダクタ)
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9